ロリス・バズへのインタビュー

前戦マニクールでは素直にチームオーダーに従って(その時点で)ランキングトップのトム・サイクスにポイントを譲ったロリス・バズですが、サイクスのチャンピオンのかかった最終戦カタールの第1レースではチームオーダーを無視。2位に入ってサイクスは3位。ランキング2位のギュントーリととトップのサイクスのポイント差は12から3ポイントまで詰まってしまいました。結局第2レースでもシルヴァン・ギュントーリ、ジョナサン・レイ、サイクスの順でゴールしたために第1レースでバズが2位を譲ったとしてもギュントーリのチャンピオンは変わらなかったという結果ではありますが、第1レースの結果がサイクスに与えたショックは推して知るべし。その後ツイッターではサイクスとバズの間に激しいやりとりが交わされています。このあたりはLa ChiricoさんのイタたわGPをご覧下さいませ。
というわけでCRASH.netのバズへのインタビューをどうぞ。結構赤裸々に語ってます。
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CRASH.net:こんにちはロリス。もう落ち着いていろいろ考えられるようになったと思うんで、先週末に起こったことについて話して頂けますか?

バズ:ええ、もちろん。


CRASH.net:ちょっと前に戻りますけど、あなたがカワサキに加入したときのトム(サイクス)との関係はどうだったんですか?

バズ:最初は良かったですよ。でも個人的には友達になるのは無理だなと思うようになりました。まあ実際には別々にレースをしていたし、お互いに助け合うこともなかったんで、関係なかったんですけどね。
 それでも問題は無かったんですよ。どっちにしろ彼は僕より速かったですからね。
 たぶん彼のしてくれたことでいちばん助けになったのは、彼がマシンをすごくうまいこと開発してくれたことでしょう。それについては何度も感謝してますよ。


CRASH.net:ピットではデータの共有もけっこうされてたんですか?

バズ:今シーズンまではデータを共有してたんですが、シーズン開幕前に彼からデータ共有をやめたいって言ってきたんです。それが嫌だったんですね。
 最初は彼のデータは役に立ったし、僕のデータと比べるのも興味深かったんですけど、すぐには使えなかったですね。彼のライディングスタイルは特徴的で僕のスタイルとは違っていましたからね。


CRASH.net:自分がナンバー2だという自覚はありましたか?

バズ:いや、全然ですよ。自分がナンバー2だなんて思ったことはありませんね。
 トムは僕がもっとナンバー2として働くようにカワサキに言ってほしかったと思いますけど、カワサキはいつでも公平で、シーズンを通して僕にもチャンスをくれたんです。でもシーズン終わりになって状況がそれを許さなかったのは残念ですね。僕らはでも負けてはいなかったし、トムとも最後までちゃんと戦えました。
 トムが僕にデータを共有しないように言ってきたのは彼自身のチャンピオンとしての選択だったんでしょう。それも当然ですよ。でもチームについてはナンバー1も2もなく公平に扱ってくれました。


CRASH.net:トムがセパンでのアクシデント(訳注:バズがサイクスを巻き込んでクラッシュした件)の後、もっと上手に接してくれたならカタールでも順位を譲ったってことはありますか?

バズ:ええ、もちろんですよ。僕は悪い奴じゃないし、馬鹿みたいなことはしないつもりだし、自分本位でもないんです。ただ人間ですからね。
 僕はレースが好きで前を走りたいだけなんです。みんなと同じように友達もいるし、でも僕を好きじゃない人もいる。
 トムとの関係は今シーズン当初からうまくいってなかったですけど、僕がセパンでミスをしてからさらに悪くなりましたね。でもミスをしたのは僕の方なんですよ。以来彼はピットでも仲良くしてくれなかったし、僕の手伝いをしようともしてくれなかった。例えばプラクティスで僕が後ろについてると彼はすぐに気付いてよけるんですよ。
 もしチームメイトと良い関係が築けていたら当然彼を助けますし、レースが終われば友達だって言えた。でも自分に親切にしてくれない相手に親切にしないのも当然ですよね。もし彼との関係が良かったなら彼にチャンピオンになってほしいと思ったろうし、喜んで助けましたよ。
 まあ彼がレースで僕の助けを必要とする日は二度と来ないだろうけど、もしそうなっても僕には無理ですね。それとは別にカワサキに恩返しをしたいって気持ちはあったんですよ。彼らのことは大好きですから。でもその狭間で、僕がトムを嫌いな気持ちが勝ったんです。
 僕はそのことについては後悔してないし、たくさんの人が支援のメールを送ってくれました。だから間違ったことだとは思ってないですし、個人的にもレース自体もいい結果が出せたと思ってます。だからこれは過去のこととしておいていきたいし、今はMotoGPのことを考えてワクワクしたいと思ってます。
 正直言うとツイッターを見るのが初めて怖くなりました。だってみんなこの件についてつぶやいているし、だからこそMotoGPテストに向けてポジティブでいたいんですよ。


CRASH.net:まだカワサキとの契約期間中なんですか?

バズ:ええ、まだカワサキとの契約期間中ですけど、太っ腹にもMotoGPテストに出ていいっていってくれたんです。
 全然違うカテゴリーなんで利害対立はないってことですね。だからおかしなことじゃないと思いますよ。


CRASH.net:ピットに戻ってチームと話はしたんですか?

バズ:いえ、話してませんね。ちょっとだけ言葉は交わしましたけどレースとレースの間は本当に忙しいんですよ。ちょっと時間をとって僕の選択について話をしましたけどね。チームに悪さをしたいと思ったわけじゃないことだけははっきりさせておきたかったんです。
 21歳でランキング3位に入ってるというのはすごいことだし、それはキープしたかったですよ。ジョニー(レイ)もマルコ(メランドリ)も第1レースで僕よりずっと後ろだったでしょ。だからその時点ではいける可能性が高かったんですよね。
 ピットから「ポジションをひとつ落とせ」というサインが出たときに思ったのは、ランキングのことだと思ったんです。そしてその後さっき言ったような気持ちがわき上がってきました。


CRASH.net:将来の話に戻りますけど、フォワードレーシングの話はどうやってきたんですか?

バズ:えーっと、まずはカワサキと交渉してたんです。来シーズンはタイトルを獲りたかったんで、もう1シーズン残るという方向で話してました。でも2016年のMotoGPストーブリーグのことも考えていたんですよ。で、カワサキからのオファーは2年契約だったんで、MotoGPに行くにはちょっと長すぎる契約だと思ったんです。
 カワサキにとっては2年契約が必要なこともわかってたんです。だって新型バイクを導入するんですからね。そこで来年のMotoGP参戦を考え始めたんです。で、良いマシンで走る話が来たんで、決断は簡単でした。


CRASH.net:ヤマハとは何年契約なんですか?

バズ:1年契約なんですけど、実際問題それ以上の年数を契約したところで実質的には1年契約なんですよ。3年契約があっても結果を残せなかったら1年でクビですからね。でも結果が出せれば次の話も出てくるものですし。
 だから1年契約でも満足してますよ。


CRASH.net:チームとマシンについて教えて下さい。

バズ:そうですねえ、スタッフは少し変わりますね。2人ばかりアレイシ(エスパルガロ)についてスズキに移るんです。でも基本的にはコーリンのスタッフを引き継ぐことになると思います。
 チーフメカはセルジオでしょう。でも現時点でははっきりとは決まっていないんです。この何年かで知り合ったスタッフもチームにいるし、だからチームに合流するのが楽しみですね。みんないい人ですよ。
 マシン自体は今シーズンアレイシが載っていたものと同じで、電子制御ユニットが変わるだけですね。まずはオープンクラスからはじめられることもよかったと思ってます。
 ヴァレンシアでチームに合流すればまた何かわかることもあるでしょうし、レースの後にはテストがあります。


CRASH.net:これまでにMotoGPマシンに乗ったことはありますか?

バズ:いえ、今回が初めてです。でもWSBKに参戦を始めたときも何もかも初めてだったのにうまくやれたんで、同じようにやればいけると思ってます。
 まずは全部を忘れてゼロからスタートして、できるだけ早くたくさんのことを学ぶんです。チームは経験豊富だし、どう乗ったらいいかは教えてもらえると思ってます。
 まあバイクであることに変わりはありませんからね。タイヤとブレーキが違ってますけど、バイクはバイクで、僕はバイクに乗るのは得意ですし!


CRASH.net:インタビューに応じて下さってありがとうございます。ヴァレンシアでのテストを楽しみにしています。

バズ:こちらこそ。
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また暴れん坊がMotoGPにやってくるんでしょうか?楽しみ、楽しみ。

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ワールドスーパーバイク-Q&A:ダヴィデ・ジェンティーレ(ユージーン・ラヴァティのデータ分析担当メカ)

そんなわけでさっきの電子制御の話につなげるわけではありませんが、ワールドスーパーバイクでスズキに乗るユージーン・ラヴァティのデータ分析担当メカへのインタビューがCRASH.netに載っていたので訳出。どうやったらレースのデータ分析の仕事に就けるかとか、なかなかおもしろいです。中盤には電子制御の技術的な話題があります。なるほどなるほど。
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注:本インタビューはユージーン・ラヴァティが来シーズンMotoGPに参戦することを発表する前に行われている。

CRASH.net:こんにちは。まずはあなたについて聞かせてください。

ダヴィデ・ジェンティーレ:僕はイタリア人でこのチームで働いています。みんなにはイタリア人のデイブって呼ばれていますね。
 昔はバイク乗りでレースもやっていました。ロードレースじゃないですけど、2〜3年ばかりオフロードとエンデューロをやってました。若いときのことですけどね。
 今でもバイクには乗っていて、いろいろ言いバイクを持っています。ヤマハR1とかRG500γとかです。でも最近はドゥカティ・モンスターS4に乗っていて、天気が良ければちょい乗りに出かけすね。まあ僕はイギリス人じゃないんで天気が良くないとだめですけど!


CRASH.net:レースをやめたのはいつですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:ずいぶん昔ですよ。1992年だったかな。僕はヴァレンティーノ・ロッシじゃないってことは言っておいた方がいいと思いますけどイタリア選手権では結構いいところまでいって、望みが無いわけじゃなかったんです。最終的に大腿骨を骨折して膝もつぶしちゃったんでキャリアが終わっちゃったんですよ。でもレベルはそれほど低くなかったですね。


CRASH.net:どうやってデータ分析担当メカになったんですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:元々は普通のメカニックだったんです。トリエステで機械工学の学位を取ったんですけど、電子系を勉強してたわけじゃないんです。大学では内燃機関全般について勉強していましたけど、特にバイクのエンジンが好きだったんですよ。
 で大学の最後の頃になってアプリリアのレースチームで働く機会があったんです。学位を取るには必要だったんです。アプリリアはトリエステ大といろいろつながりがあったんでね。
 その時は125と250のGPマシンにたずさわってました。あと400ツインの初期にも関係しました。これは後に例の恐ろしいキューブ(訳注:3気筒MotoGPマシン)になるんですが。キューブのエンジンの開発が始まった頃のことを覚えてますけど、あれは本当にモンスターマシンで恐ろしいものでしたよ!
 その後アプリリアに入ってRSV1000で燃焼伝播について取り組みました。そしたらレース現場で人が必要になったんで誘われたんです。おもしろそうだから承諾しましたよ。
 レースチームでは新型マネジメントシステムの研究をしていて、データロガーから情報を集めるとか、そういうことをやってたんです。いろんなパラメータを表示してコントロールするためのプログラムを開発していて、幸運にもそれにかかわることができたんです。楽しかったですし、以来その分野で働いてるんです。そんなわけで機械工学のエンジニアが電子制御をやってるんですよ。


CRASH.net:バイクのデータ分析をやりたいとしたらエンジニアとしての勉強とIT分野の勉強と、どっちを優先すべきですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:私の意見ではやっぱり機械工学のバックグラウンドが必要ですね。バイクの力学とか熱力学とかはわかっていなければなりませんから。バイクにどう力が作用して、ライディングがそれにどのように影響するかについて理解しなければならないんです。とは言え今の僕の仕事は数字まみれですけどね。
 数値とマシンで実際何が起こっているかの関係性が大事なんです。加速やグリップやトルクとかについては実際に使えるレベルで理解していなければなりません。


CRASH.net:いわゆる普通の仕事には就いていないんですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:そうですね、大学を卒業してからボルトメーカーで働いたことがありますよ。あんまりいい仕事じゃなくって、3か月したらドゥカティが面接に呼んでくれたんです。


CRASH.net:アプリリアで働いてたって言いませんでしたっけ?

ダヴィデ・ジェンティーレ:ええ、マティア・パシーニとランディ・ドゥ・ピュニエの2人と一緒に何シーズンかやりました。ランディがまだバリバリだったころにね。実は大学に行きながら働いていたんですよ。卒業してボルトメーカーに就職したんです。安定した仕事だと思ったんですよ。でも7時に起きて5時まで仕事するってのは僕のスタイルじゃなかったんです。だからドゥカティに呼んでもらえて良かったですよ。


CRASH.net:データ分析担当メカというのは安定した仕事なんですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:まあレース現場の仕事というのはなかなか不安定ですね。契約は普通1年だし、まあ良くって2年ってところなんですよ。それがレースというものです。でもデータ分析担当メカならシーズン終わりには次の仕事が見つかるってことがわかりましたね。多分僕はラッキーなんでしょう。あんまりこの仕事をやってる人は多くないですからね。
 ダヴィデ・ジュリアーノhttp://it.wikipedia.org/wiki/Davide_Giuglianoとドゥカティでやってたときにはチーフメカみたいなこともやりました。チーフメカ兼戦略立案って感じでしたね。結構おもしろかったですよ。ダヴィデは全力を尽くすライダーでしたから。でも一緒に働くのはたいへんでしたよ。うまくいかないとすぐ怒るし、手が着けられなくなることもあった。でも一旦信頼してもらえたらすごくいい関係を築けるし、たぶん今でも僕のことが大好きだと思いますよ!
 仕事の時間は一定しませんけど、シーズンの今頃が一番忙しいですね。レースの仕事だけじゃなくシーズン終わりのテストの準備もありますから。
 給料はすごくいいと思います。100万ユーロ(訳注:邦貨換算1億4千万円)とは言わないですけど、チーフメカくらいはもらってます。僕みたいな技術を持っている人は少ないんで、価値を認めてもらえるんです。
 いい思いをしてると思いますよ。だって自分でシステムを開発して好きなことができるんです。レプソル・ホンダじゃこうはいかないですよね。いつも誰か別のスタッフと一緒にやらなければならない。僕はクリエイティブなチャレンジが大好きなんです。


CRASH.net:他に一緒にやって楽しかったライダーはいますか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:AMAでベン・ボストロムとやってたときも楽しかったですね。残念なことにその年は彼hあ健康問題を抱えていて、ベン・スピースという最大のライバルもいました。彼はすべてのライダーを撃破してましたからね。


CRASH.net:ところでベン・スピースがWSBKで大活躍したのはマシンのアドバンテージとアクティブサスのおかげだと思いますか?それともベン自身のライダーとしての能力だと思います?

ダヴィデ・ジェンティーレ:あれはヤマハがビッグバンエンジンを出した最初の年で、それほど熟成されていなかったんで、トム・サイクスみたいないいライダーでも6位か7位でした。でもベンについて言うと、あんな強いライダーは見たことが無いですよ。だからマシンとか電子制御のおかげじゃないと思います。あのときのヤマハのパッケージはそれほどでもなかったんですよ。全部ベンがあの年にすごいことをやったってことを意味しているんです。
 当時僕のチームもアクティブサスを使っていて、僕が知る限り手が掛かる割には大して見返りがなかったんです。アクティブとは呼ばれていましたが単にピットに戻らなくてもダイヤルで調整できたというだけの代物だったんです。セクションごとに、例えばあるコーナーに入るときに調整するなんて、あれほど接戦でブレーキングしてるときにできるわけがありません。多少は意味があったかもしれませんがね。


CRASH.net:今、WSBKはモーテック(訳注:電子制御機器メーカー)を使っていますが、あなたはマニエッティ・マレリを使っていましたよね。その経験は移行できたんですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:今モーテックのための新マッピングを作っているところです。でも基本的なロジックやマッピングは同じなんです。それにモーテックはソフトウェアキットを出していて同じことができるので、僕にとっては結果は似たようなものですね。
 プロセッサーのスピードはすごく速くなっているんで、安いユニットでもライダーが気付かないくらい速く対応できるんですよ。マレリの電子制御ユニットは2個だか3個だかのCPUを内応していて、モーテックのはもっとシンプルですけど、これ以上性能を上げる必要はないですね。
 現段階ではすべてのマッピングを来シーズン使うことになる安いECUに移行するためにいろいろやっているところです。マッピングはC++とかで書かれているんですが、僕はプログラミングはできないんです。僕がやるのはプロシージャーを整理してプログラマーに渡すところまでですね。
 プロシージャーの整理とプログラミングのためにはソフトのかなり深い部分まで知らなければなりませんし、ECUをコントロールするためにすべての機能をわかっていなければならないんです。どのチャンネルを使うかとか、この値になるまでこれを反復するとか、まあそういったことですね。
 僕の仕事はそれ以上のことをしなきゃならなくって、現実世界と関連づけなきゃならないんですよ。例えばトラクションコントロールを作りたければこのチャンネルを使ってこういうマッピングをしなきゃ、とかですね。


CRASH.net:チャンネルってどういうことですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:チャンネルってのは測定値のことで、要するにスピードとかピッチアングルとかのことですね。アウトプット、つまりエンジンをコントロールするのに必要ないろんな変数ってことなんです。
 トラクションコントロールがいい例ですね。一番簡単なトラクションコントロールはフロントホイールとリアホイールの回転数を比較するプログラムです。
 その比で設定値と閾値を決められます。で閾値との差分からエラー値を設定する。閾値は要するにそれ以上のホイールスピンをさせたくないという数値で設定値から5%ずれとかいう風に決めるんです。
 スピンが設定値の5%を超えたら設定値からどれくらい乖離しているかの信号が出て、その値に従ってエンジンをコントロールするんです。そうすれば設定範囲内にホイールスピンを収められるというわけです。
 トルクを制御するにはいろんなやりかたがありますけど、例えば点火進角を大きくしてエンジンパワーを制御範囲内にするという手があります。その他にも設定値からの乖離幅に従っていろんな手を使いますね。例えば3%ずれなら点火を弱くするとかです。
 残念ながらこれはちょっと複雑な話なんですよ。何が起こっているかを把握しながら同時にコントロールの結果を見て、それを比べるんです。状況が良くなっているのか悪くなっているのかを把握しなきゃならないということです。これはインテグラル・パスと呼ばれています。
 コントロールのためには3種類の数値を使います。ひとつはその時点での設定値のとの比率で、もう一つは傾向を見るために微分した結果で、3つめは介入の結果どうなるかを積分した結果です。これがコントロールのための3要素です。
 これを全部マッピングして開発者に渡して、その後デバッグすることになります。


CRASH.net:例えばモーテックのECUを私の公道用SV1000に積みたかったら何をすればいいんですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:ECUもソフトも買えますけど、お金次第でいろいろ手に入りますよ。
 でトラクションコントロールとかを使いたければECUに書き込んでエンジン制御をいじるためのマネジメントインターフェイスが必要です。でも正直言うとそれ以前にいじるための技術が必要ですし、でなければ何が起こっているかわからないまま数字をいじるだけになっていまします。
 デフォルト状態のECUでは燃調や進角のマッピングとかいろいろ設定しないとエンジンもかけられないですよ。それにバイクごとに設定値は異なりますしね。
 そういう設定値が入っているECUを買うこともできますが、お金がなければただの箱を買うことになります。箱の中身がないと基本的なマネジメントマッピングを入力するだけでまるまる1年かかるかもしれません。
 基本的なマッピングでエンジンが普通に動くようになったら次は自分なりのトラクションコントロールとかウィリーコントロールとかエンブレコントロールを入れなければなりません。


CRASH.net:そういうことをレースでもやっているんですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:ええ、その通りです。でもトラクションとかウィリーとかエンブレのコントロールといったことの裏にはトルクのコントロールがあるんです。あらゆる回転数とスロットルポジションの組み合わせでエンジンがどれくらいのトルクを発生するかを理解して、それで初めてちゃんとしたマッピングができるんです。
 こうしたマピングはコーナーごとに違いますし、リーンアングルでも違います。リアタイヤのプロファイルは丸いですから、タイヤのどの部分が接地しているかで(訳注:回転数が同じでも)リアタイヤからのスピード値は変わるんです。それに加えてタイヤの摩耗も考慮しなければならない。
 オフセットと呼ばれるマッピングもあります。これはタイヤが摩耗してもそれを調整して一定の値になるようにするものです。


CRASH.net:あなたはユージーン専属なんですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:テストしているときにはユージーンとアレックス(ロウズ)の両方といっしょにやってます。でもレースではユージーン専属ですね。
 レース後はユージーンから報告を直接聞いて、必要な変更をします。プログラムを調整してECUにインプットするんです。
 ライダーはたいてい感覚で話すので、その意味を咀嚼して物理的に何が起こっているのかを理解しなければなりません。ライダーを理解して、彼らがどう語るかをわかってないければいけないんです。僕の大事な技術のひとつですね。
 最初にユージーンと一緒にやったときにはアイルランドなまりがちょっとわかりにくかったですけど、今は彼のことをよくわかってますし、でもユージーンのお父さんは別問題ですよ!


CRASH.net:ユージーンは何を重視するんですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:彼はエンブレに対しては神経質ですね。ライディングスタイルが2スト乗りっぽいんですよ。エンブレのセッティングには正確さを求めるんです。エンブレがかからない感じでコーナーに入っていくのが好みで、(訳注:バック)トルクをコントロールするのに一番簡単なのはバタフライ弁を開けることですね。
 実際エンブレの良し悪しが一番大事なポイントなんです。コーナー進入が一番タイムを削りやすいし、それ以外でタイムを稼ぐのはなかなかたいへんなんです。
 エンブレが良ければ0.5秒とか稼げるんですが、世界最高のトラクションコントロールでもせいぜい0.2秒違うくらいなんですよ。トラクションコントロールなしで走っても最速ラップにはそれほど影響しないんです。
 トラクションコントロールで大事なのはタイヤを保たせられるということなんです。でもラップタイムにはエンブレの方が影響しますね。ですからそちらのマッピングは凄く複雑ですし、今でも開発は続けています。


CRASH.net:アレックスはどうですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:ユージーンはトルクの出方もトラクションコントロールもエンブレもがスムーズなのが好きで、一方アレックスはもっとアグレッシブなのが好みですね。とにかくすぐに最高馬力が出るのが好きなんです。トラクションコントロールもあまり入れませんし、エンブレも利かせます。コーナー進入も脱出もアグレッシブで、その分コーナリングスピードは低くて、見た目が派手なんですね。普通のスーパーバイクスタイルですよ。


CRASH.net:ユージーンのスタイルはMotoGP向きだということですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:ええ、その通りですね。スムーズだしコーナリングスピードも速い。ユージーンはいいシートを探していますけど、彼が残ってくれるといいですね。


CRASH.net:フィリップアイランド以降、パフォーマンスが落ちたのは何か理由があるんですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:フィリップアイランドはスズキ向きのサーキットなんですよ。ストップ&ゴーではないですし、それがうちのエンジンに向いているんです。ロングストロークで低回転域でもトルクがありますからね。ですからめちゃめちゃパワーが無くてもフィリップアイランドなら速く走れるんです。WSBKでもMotoGPでも同じことが起こっています。
 ラグナセカも似たようなキャラクターのサーキットなんです。だから本当はもっといけたはずなんですがエンジントラブルが発生して、2レース目ではリスタートが何度もあって、ユージーンはあんまりスタートが得意じゃないんですよ。ユージーンはレースディスタンスで力を発揮するんです。
 スタートの問題は実は機械的な問題もあって、ユージーンはスズキのクラッチに苦労しているんです。アグレッシブな使い方には向いているんでアレックスはうまくやってるんですけどね。でも残念ながらルールでクラッチには手を着けられないことになってますから。


CRASH.net:レースを続けるモチベーションはどこから来るんですか?問題を解決したいという欲求か、それともサーキットで競い合うことなのか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:両方ですね。コースに出ればアドレナリンのおかげで、とにかく最後の言ってまでやり尽くそうという気になります。
 工学と数字もでも大事な側面です。レース中のライダーをよく観察して、それとライダーのコメントを比較するんです。レースを見るということはデータを取得するのと同じなんです。
 レース中に新しいマッピングのアイディアを得ることもあります。それでテストベンチにかけてコースでもテストするんです。


CRASH.net:CRASH.netでは「TalentFan(訳注:才能第一)」という投稿者がいて、彼は可能な限りすべての電子制御をやめるべきだと主張していますが、電子制御担当としてのご意見はいかがですか?

ダヴィデ・ジェンティーレ:僕の答えは「安全性」というひと言ですね。
  最近では公道マシンでも電子制御があれば安全になりますし、だからレースマシンに電子制御を載せて悪い理由はないでしょう?
 電子制御の最大の目的は安全性で、スピードが上がるのは副産物なんです。でもスピードが上がればますます安全性は重要になりますからね。


CRASH.net:ありがとう、ダヴィデ。

ダヴィデ・ジェンティーレ:どういたしまして。
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文中マッピングとしているのは原文ではstrategyです。このあたり電子制御に詳しい方、ヘルプ・プリーズ!

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ワールドスーパーバイク:よりよいレースを産み出すための新ルール

来年からワールドスーパーバイクに導入される新ルール(全車EVOクラス化)についてKevin Cameron氏がCycle Worldに寄稿していますので訳出。MotoGPにとっても無視できない動きです。まあプロモーターの親会社は一緒ですから様々な動きが同期してるんでしょう。
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来年のワールドスーパーバイクは大きく変わることになる。市販車ベースをフルチューンしたレーシングマシンからコスト抑制型のノーマルに近い、言わば英国スーパーバイクやスーパーストックに近いものになるのだ。現在でもこのEVOクラスがグリッドを埋めるために12台参戦している。

一方でこれは経営的判断でもある。25年前は毎レース60台以上のエントリーがあったが、現在のSBKはいくつかのワークスと資金力のあるチームだけのものとなっている。このままいけばそのうち参戦台数は0となってしまうだろう。

そうはいっても私も含めて多くの人が最速マシンを作り上げるという魅力をこのクラスに感じているのも事実だ。エンジンやフレームやサスの改造に取り組み、その結果故障することのないチタンコンロッドや真空再融解法で作られたへたらないバルブスプリング、軽量マグネシウムホイールなどが導入されている。こうしたアイディアを含む様々なパーツが導入されタップタイムが縮まってきたのだ。サーキットにいないときには圧延機や旋盤やグラインダーベンチの横にいるのだ。充実した人生である。

新たに導入されるEVOクラスは恐れていたほどこうした技術を抑圧するものではなかった。何円にもわたってSBKはアメリカ人のスティーヴ・ホワイトロックの指導の下に発展してきた。彼はあらゆるレベルのバイクレースで経験を積んだ人物である。彼のポリシーは「彼らが必要なものを手に入れられるようにする」ことでグリッドを埋めるということだ。純粋なノーマルクラスのレースでは最新のバイクを販売しているメーカーが勝ってしまうことになると考えているのだ。新モデルには新技術が盛り込まれているからだ。そのため他のチームは追いつくために自分たちのパーツを改良しなくてはならない。ホンダのCBR1000RRにはフライバイワイヤー(電子制御式)スロットルがついていないため、ホワイトロックはチームにフライバイワイヤーの装着を許可している。

これは公式に認められた「ずる」だと考える人もいる。ドルナの親会社がWSBKの興行権を持つインフロント社を買った際に、彼らはホワイトロックのような考えを導入しないで接近戦を実現する厳格なルールを作ろうとした。ホワイトロックのやり方は主観的に過ぎると考えたのだ。元レーサーであるポール・スマートの息子のスコットがホワイトロックの替わりに技術監査を行うことになった。厳格なルールを求めるグループはやっと自分たちが認められるときが来たと喜んだものいだ。

しかしことはそれほど早くは動かなかった。結局ホワイトロック式の考え方が賢明にも引き継がれたのだ。ベースモデルがフライバイワイヤーを採用していないマシンを使うチームは2,500ユーロ(訳注:邦貨換算35万円くらい)以内でこれをとりつけられることになったのだ(2017年からは市販モデルにもホモロゲーションのためにはフライバイワイヤーが義務づけられる)。カムシャフトや他バルブタイミングシステムは自由に交換しても良いが、オリジナルの場所に取り付けられなければならない(バルブサイズや挟み角の変更は不可)。コンロッドは変更可能だが材質は同一でオリジナルの重量を超えてはいけない。このルールは実に現実的だ。ノーマルのコンロッドは、そして特に大端部(ビッグエンド)のキャップボルトはレースでの回転数に充分耐えられるように作られているのだ。シリンダーヘッドは混合気の流量を増やすために改造可能だがノーマルパーツから作らなければならず再鋳造は認められない(「いやこれはノーマルですよ。ノーマルパーツを使って一旦溶かして金型に入れたんです」という話もあった)。燃焼室も改造可能で圧縮比も自由にいじることはできるが、ピストンはノーマルでなければならず改造付加でオーバーサイズピストンの使用も認められない。

スイングアームピボットの位置は、はたつきを抑えるために重要だが、ノーマル位置から5mmの範囲で変更可能となっている。ノーマルで位置可変機構が導入されていなくてもだ。またスイングアーム自体も変更可能である。17インチでフロント3.5インチ、リア6.0インチまでのアルミ製であればホイールも変更可能だ(鍛造マグネシウムホイールは鍛造の上に削りだし加工が必要なため実に高額となる)。

ギアレシオは一時減速比も含めて固定であり、前もって決めなければならない。このおかげでチームはカセットギアボックスを用意する必要がなく、さらにすべてのギアに対して5種類ものレシオを用意するといったことからも免れられる。

ブレーキやサスペンション等の多くのパーツは許可リストの中から選択することができる。確かにこれはAMAプロレーシングが資金稼ぎのためにやったあのいやらしいパーツ許認可制を思わせるものではあるが、最新もMotoGP風ロッド貫通式フォーク(訳注:through-rod fork:訳に自信なし)なぞ3メーカーしかさいようできずお金の問題なのだから、このルールは合理的である。

そこで気がつくかもしれない。MotoGPで採用されている先進的だが費用のかかる技術、例えば自動シフトアップ/ダウンシステムや、CNCマシニングを施したピストンやヘッドで燃焼を最適化することは市販ベースのクラスには入り込む余地は無いのである。そんなことになったら持たざるものたちを表彰台から追い出すことになってしまう。

英国スーパーバイクの成功は誰もが認めるところである。グリッドは常に埋まり、いつでも接近戦があちこちで見られる。そのおかげで英国のライダーは世界でも最高レベルのレースに参戦できるのだ。スペイン選手権の成功も相まって、EVOクラスへの影響は多大だ。目的はエントリー台数の増加と接近戦によるエキサイトメントなのである。

原理主義者は「電子制御もひっぺがして、人間同士の戦いに戻すべきだ」とも言っている。確かにある面ではそれに共感できるところもある。60年前はレースは一人の人間が一つのシリンダーを使っていたのだ。そこについていたのはルーカス製のマグネトーひとつとアマルのキャブひとつである。しかしレースマシンはそのころから4倍以上のパワーを出すようになっている。アメリカ海軍がジェット機にアプローチと着陸のための電子制御を搭載しているのは、高度に訓練されたパイロットを一人たりとも失わないためだ。同じことがバイクレースにも言える。高度にチューンされたエンジンによるしっぺがえしは大きな事故を招き、グリップの高いタイヤはいきなり滑るのである。市販マシンだけでなくレースマシンにも電子制御は搭載されるべきだ。これがコース脇で待機している救急車の助けにもなるのだ。

確かに嫌われ者のインテークリストリクターについてもEVOクラスのレギュレーションには書かれている。ちゃんとした競い合いを確保するために慎重に表現された項目だ。極端な状況に対する抑止力でもある。仲間からある改造を使用としているチームがあるとホワイトロックが聞いたときのことだ。それが多大なアドバンテージをもたらすとしって彼はそのチームのピットに行き、こう言った。「わかったよ。でももしそっちがXを導入するなら、君らがYを使ってるってカワサキが講義するって言ってるんだけどね。だから慎重に考えた方がいいよ」。リストリクターの恐怖は同じような効果をもたらすだろう。性急に何か新しい機構を導入しようとすることに対する抑止力となるのだ。

人間がやることに変わらないものなどない。技術は常にシンプルなものから複雑なものに進化していく。放っておけばどんなものでも高額になりいずれ買うことができなくなるものだ。1972年にカスタムレーシングフレームを買ったときに私が払ったのは数百ドルだ。しかし今日Moto2チームはその400倍以上を払っている。物価上昇率を見込んでも67倍になるのだ。ナンセンス極まりない。

こんな風に価格が高騰するのはレースにとって良いことは一つもない。しかし技術発展が全くないのも悲しいことだ。すばらしいレーシングマシンがボーリングシューズ並の価値になってしまうのを見たい者はいないだろう。しかしSBKやBSB、CEV、そして(在りし日の)AMAプロレーシングプロスーパーバイクの楽しさは、一定のルールが必要であることを強く示唆している。もっとたくさんのアメリカ人ライダーがヨーロッパで走って、もっとたくさんのヨーロッパ人ライダーがデイトナを走る。そんな日が来るのを私は楽しみにしている。
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そして日本人ライダーも・・・。

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ヤマハが2011年でWSBKを撤退

欧州ヤマハがこれまで行ってきたワールド・スーパーバイクへのワークス参戦ですが、2011年で撤退することになったとのこと。

ヤマハのプレスリリースはこちら

これがGPも撤退してCRTにエンジンを供給するための布石だったりしたらたまらんなあ。そんなことはないだろうけれども。

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ビアッジ-メランドリと言えば

むかーし、こんなこともありましたね。

概略1概略2ビアッジの言い分メランドリの言い分

お互い忘れてないってことか・・・。

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バイク乗りの悪夢

ドニントンのレース1での出来事。被害者はマキシム・バーガー。

こんなことってあるんですねえ。ちなみにこのホイールは2〜3レースしか使っていないとのこと。
壊れたホイールの画像はこちらで。

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マックスとはうまくいったことなんてないよ、とメランドリ

予選の後にビアッジに頬をぺちぺちされたのが効いたのか、レース1では1位、レース2では2位と好成績を修めたメランドリが語ってます。GPoneより。
ちょっととみなががお疲れ気味なので、いさかいに関するコメントのみ翻訳。
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「ああいうことはレースの場で起こっちゃいけないことだよ。もう忘れてアッセンに向けて頭を切り換えたいね。そもそもマックスとはこれまでだってうまくいっていなかったんだ。僕らはお互いに違いすぎるんだよ。でも例えばチェカとは良い関係だよ」
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要するに、「僕はチェカともうまくやれるんだから、仲が悪いのはビアッジの性格のせい」と。ま、うなずけるがな。
ちなみにビアッジはレース1はコースアウトして7位、レース2はフライングのペナルティのピットインのサインを無視して失格と散々。気持ちが弱いんだから、穏やかにレースウィークをすごせばいいのに・・・。

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ビアッジ、メランドリにかるくびんた→3000ユーロの罰金

経緯はMotomatters.comGPoneに詳しく載っています。
ざっとかいつまみます。
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メランドリがスーパーポールのアタック中に、インラップ中のビアッジにひっかかって減速。んでメランドリはちょっと頭に来たらしく、ヘアピンでビアッジのインに接触せんばかりにマシンをねじ込んで抜いた上にビアッジの前で急ブレーキをかけたとか。
それに怒ったビアッジがスーパーポール終了後にメランドリのピットにおしかけて、顔を2度ほどかるーくぺちぺちとやっちゃいました。
その映像がこの動画。

一応メランドリにも厳重注意らしいけど、ビアッジには3000ユーロの罰金が科せられましたとさ。いいねえ、遺恨(笑)。

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ビアッジとの長き闘い:メランドリブログ

ワールドスーパーバイク2戦目にして表彰台に上がったメランドリが自分のサイトでいろいろ書いてます。
ちょっとした息抜きにでも読んでくださいな。
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「オーストラリアでは勝ったのと同じような気持ちになれました。実際、今回のチャレンジが成功したわけだし、またバイクに乗って闘う喜びを味わうことができたんです。マシンと格闘するんじゃなくて他のライダーと闘う喜びをね。
 レース1もうまくいきました。でも最終コーナーでトラクションがかからなかったんで、チームメイトに抜かれて表彰台を逃して悔しかったです。もっとうまくやれるはずだったんですが。肩の状態はいいんですが、それでも1日2レースはきつかったですね。
(それでもGPよりは疲れない、と書いたあと)何故かというと鋳鉄ディスクなんでストッピングパワーががそれほどでもないからなんです。スーパーバイクマシンの方が暴れるし重いし、でも2レースやっても疲れ果てるってほどでもなかったです。トータルの走行距離はGPより長いですけど、肩のことを除けば身体的には大丈夫でした。
 レース1のあとチームがマシンをすごく良くしてくれました。レース1ではタイヤのグリップが失われてきたせいで、右肩も疲れてしまい、問題のない左肩に負担を掛けすぎたんで、左にも痛みが出てきたんです。それでレース2のことがちょっと心配になったんですが、最初の5〜6周目でアドレナリンが出て問題がなくなりました。呼吸も忘れるほどだったんです。マシンはレース1より良くなっていて、ビアッジを先に行かさないためにサイドバイサイドで争うこともできました。
 マックスとの闘いはクールなものでした。クリーンなバトルでしたし、彼が僕を抜いたのはほとんどがストレートでしたから。丘のふもとで彼を毎回抜こうとするたびに、彼が僕をストレートで抜く前に6速に入れられるかどうかの賭けになりました。おもしろいレースでしたね。まずは彼の勝ちでしたけど。戦争ではなくて、スポーツ的な意味ですけどもね。まあ正直に言うと、フィリップアイランドではチェカが先に行ってしまったんで、バトルって言っても所詮は2位争い。次は彼のスピードレース(パーソナルスポンサーのエナジー・ドリンク)をカットしないといけませんね。彼がスピードレースの広報マンになるって同意したときには、ここまで速いとは思わなかったんです!
 ドニントンではまたいいレースがしたいですね。寒くなければいいと思います。もう若くないんで寒さが堪えるんです。ライバルはチェカです。なんてったって、彼がランキングトップですからね」
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次はトップ争いで熱い闘いをみせてほしいですね。

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WSB フィリップアイランド 芳賀とメランドリのコメント(ネタバレ)

SUPERBIKE PLANETに掲載されたプレスリリースより。
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芳賀(9位・7位):「2レースとも結果には満足しています。着実に前進していますからね。パッケージがいいんですよ。残念なことにタイヤトラブルで2レースとも後半になって遅れをとってしまったんです。それで良い結果にはならなかったんです。それでもレース1と2の間にチームがセッティングを変えてくれたんで、タイヤの保ちはよくなって、ゴールまで前の方で戦えました。今回の経験を次に活かしていきたいです」

メランドリ(5位・3位):「レース1が良くなかっただけに、レース2で表彰台に上がれて、すごくうれしいです。レース1ではあまりいい感じが得られなかったんですが、レース2までの間にチームが良い仕事をしてくれました。レース2では自信があったし、スタートもアグレッシブな感じでいけました。久しぶりの表彰台は気持ちいいですね。マックスを倒して2位に上がれなくて残念ではありますけど」
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メランドリは本当にうれしそう。やればできる子なんだよね。

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