ライダーの成長に役立つならあらゆることを犠牲にしてもいい

先日のパトリシア・パチェコが最新版となる「MotoGPで働く女性たち(#WomenInMotoGP )」シリーズ。ここからは遡って第1回から訳していきます。
今回はMVアグスタ・フォワード・レーシングのチームマネジャー、ミレーナ・ケルナー氏です。MotoGP公式より。
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ミレーナが最初でMotoGPで得た仕事はロジスティクス(物流/搬送管理)と広報だった。そして2019年、彼女は女性初のチームマネジャーとなる。

子供の頃、彼女は良くGPを観ては、出張が多かった父親にサーキットで何が起こったのか教えていた。その後何年も経った今、ミレーナ・ケルナーはパドックで最も知られた女性の一人となっただけでなく、目指すべきプロフェッショナルとしての見本となっている。そしてその断固たる決意のおかげで、2019年からはMoto2世界選手権を戦うMVアグスタ・フォワード・レーシングを率いているのだ。

バイクレース好き一家で育った彼女は、祖父母に連れられてザクセンリングでの初開催となる1998年のドイツGPを観に行っている。「ザクセンリングから20kmのところで育ったんです。特別なサーキットですね。ライダーがピットに行くには一般エリアを通らなければならないんで、ファンはすぐ近くでライダーを見られるんですよ。その時初めてレース現場に行ったんですけど、まさか何年も経ってまたここにやって来るなんて思いもしなかったです」

ドイツGPの経験の経験がその後の彼女を形作ることになった。ミレーナはヨーロッパ中のサーキットを巡りパドックの雰囲気になじみながら、その住人たちと知り合いになっていく。

サーキットの常連になったミレーナはある時、初めて仕事のオファーを受ける。「サーキットに通い始めて知り合った人の何人かにに言ってたんです。レースに行くのにお金を払うんじゃなくて、お金をもらえるようになりたいから、どこかのチームで働きたいって。最初のオファーは断っちゃったんですが。まだ高校生で、卒業試験も受けてなかったんですよ。でも次に行ったヘレスのGPでまた仕事を紹介してもらって、その時には断れませんでしたね」

1998年にこうしてミレーナはMotoGPの世界で仕事を得ることになった。「モデル(訳注:アンブレラガール?)の仕事だったんですけど、パドックでの本当の仕事と言えるのはチーム・スコットのホスピタリティでした」。世界選手権は最初の内は学費をまかなうためのお金も稼げる楽しい仕事だった。「大学に行く前からパドックで働き始めてました。この生活は楽しいって思っていたんですが、その内ちゃんとした仕事を見つけなきゃと思い始めて、でもここで見つけられましたしね」と笑顔で彼女は語る。

「ホスピタリティで働き始めた時はステファノ・ベドンの指示で動いてました。彼はいろんなことを教えてくれたし、毎年責任をもって取り組むべき仕事をくれたんです」。チーム・スコットでの125cc、250ccの仕事を経てミレーナは新たに立ち上げられたフォワードレーシングでロジスティクスを担当する。そして、ついにMotoGPでの仕事をテック3でのマーケティング及び広報責任者として開始することになる。そこで5年間働いた後、彼女はフォワードレーシングに戻り、以来チームマネジャーとしてMoto2チームを率いている。

ミレーナはパドックで彼女が果たしてきた様々な役割について語ってくれた。それぞれ興味深い違いはあるが、しかしすべてに共通するのは関係性だという。他とは異なる人間関係について思い出しながら彼女は言う。「ライダーの成長を支援するのが好きなんです。たとえbんカル・クラッチローとしばらく一緒に働いてましたが、同じチームじゃなくなるって日のこと、カルが『これでやっと友達になれるね』って言ったんです。ライダーと働くってことは、彼らがやりたくないこともやれって言わなきゃならないってことなんです。だから友情は芽生えにくい。こちらが話すことを敬意を持って聴くことになるんで、ちょっと距離を置いた関係になるんです。でもそれができるからライダーはみんな特別な存在なんですよ」。そしてこうも付け加えた。「でも一緒に働いてる相手とは人間関係ができちゃいますよね。普通の仕事じゃないんです。ほとんどの時間を一緒に過ごしてるんだから」

2019年、ミレーナはパドックでのキャリアの新たなスタートを切った。ドミニク・エガーターとステファノ・マンツィという年齢も性格も異なる二人のライダーを率いるチームマネジャーの仕事だ。「ステファノはずいぶん成長しましたね。今シーズンの初テストのときの振る舞いと今の振る舞いを比べたら別人みたいですよ。こんな風に変化するのを目の当たりにすると、たとえほんの少しだとしても自分がそれに貢献できているのが実感できてとても嬉しいですね。この仕事の一番のやりがいです」

まだ10代でパドックでの仕事を始めたミレーナは自分の仕事の環境が変化していることにも気付いている。毎年様々な分野で仕事をする女性の姿が増えてきているのだ。しかし彼女は言う。「私たちはまだ少数派ですからね」。そしてそれには様々な理由があると言う。「ビジネスの観点から言うと、小さなチームで予算が限られている時に女の子を雇うのってコスト増になるんですよ。一人のためだけに別の服を用意しなければならないし、その上ホテルもシングルルームを予約しなきゃいけない」。しかしこうした制約はミレーナのようにチームにとって欠かすことの出来ない人材となった有能でプロフェッショナルな女性たちによってどんどん打ち破られている。

「そうした話とは別に、もし女の子がパドックで働きたいなら全力を尽くさないといけないと思います。もし何か困難があってもあきらめる必要は無いし、逆にそれが新たなモチベーションになったりするんです」

さらにミレーナは自らの経験から、勉強すること、すごくバイクの技術寄りの話でもできる限りいろいろ[知るようにすることが大事だとアドバイスする。「敬意を持ってもらい、そして自分が主導権を取るためですね。チームのみんなに私がちゃんと見ているとわかってもらうこと、そしてこっちが女だからというだけで上に立てると思わせないことが大事なんですよ。
 あと、パドックでいろんな仕事をしてきたおかげですべてが最高の状態かどうかを確認するにはいつ何を見ておけばいいのかわかるんですよ。なんだかんだ言って人生の半分以上をこの世界で過ごしてきてますしね」

最後にミレーナに自分自身について語ってもらった。「私は嫌なやつで仕事中毒で頑固者ですね」。高い能力のおかげでプロとしてここまで登ってくることはできたが、それでもまだ努力が足りないと彼女は思っているようだ。「いつかむくわれるか?後になってみればわかるでしょうね。でも今はマシンの競争力を高めてライダーが幸せになること、それが目標なんです」

ミレーナ・ケルナーとMVアグスタフォワードレーシングとMoto2がサーキットに戻ってくるそれまでの間、#WomenInMotoGP シリーズをお楽しみいただきたい。(訳注:この記事は2020年8月5日のものなので)
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次回はグレジーニのチームコーディネーター、サンドラ・ヴィルケス氏です。

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女の子たちが私をお手本にしてくれるなんて、本当に誇らしい

MotoGP公式が時々アップしてくれるGPシーンで働く女性たちの記事、#WomenInMotoGP。ずーっと訳そうと思ってたのですが、始めなければ始まらないので始めます。順番は違うのですが、とりあえず最新記事を。

セテ・ジベルノーに憧れていた少女が長じてMotoGPの現場に身を投じ、今はSic58のMoto3チームのテレメトリー技術者をやっているという、パトリシア・パチェコ(Patricia Pcheco)氏の物語です。

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  MotoGPの現場にはテレメトリーの技術者はわずかしかいないが、しかしそんな状況もパトリシア・パチェコのおかげで変わりそうだ。 パトリシア・パチェコが携わっているのはピットの中でも非常に重要な仕事の一つである。テレメトリー技術者というのはマシンのデータをやはり技術者である上司とともに分析し、レースに向けてライダーに採るべき戦略を提案するのだ。パトリが一緒に働くのは、ついこないだまでティーンエイジャーだったようなライダーたちだ。いつも肩にずっしりとプレッシャーを感じている彼らは時にとんでもなく扱いにくいこともある。しかしライダーの緊張が高まる中でもいつもと変わらぬ自然体でコンピュータからデータを読み取ることのできる彼女は、その同じ力を使って、才能に溢れた彼らがチャンピオンをつかみ取れるよう静けさと集中力を取り戻すために正しい言葉を掛けることができるのだ。 彼女の物語は1989年のマドリードから始まる。こどもの頃、彼女はアイドルであるセテ・ジベルノーを応援しながらGPのテレビ中継にかじりついていた。「いつかライダーがマシンをおりて最初に声を掛ける人間になりたいと夢見てたんです。もっと競争力をつけるための解決策がほしいとライダーがこっちを見るような、そういう人間になりたかったんです」。まだそれがただの夢で、とても実現するとは思えなかった頃を思い出して彼女は微笑んだ。 「小さい頃から数学と物理が得意で、だから航空工学を学ぶことにしたんです。そしてマドリードで何年かその世界で働きました。専攻した分野でインターンをやって、その契約終了を待ってそのまま雇ってもらえることになっていたんです。でも本当のことを言うとやりたいこととは違っていたんです」 彼女が情熱を持てるのはいつだってバイクだったのだ。そしてあの幼い頃の夢はかなってしかるべきだった。少なくともパトリは諦める前にあらゆることを試すべきだと思ったのだ。「テレメトリー技術者になるために当時私に頭に思い浮かんだ唯一の道がバルセロナに引っ越してモンラウ校*に通うことでした。それで家族から離れて、堅い仕事も捨てて、未知の世界に向けて新たな冒険を始めたんです」 バルセロナでのパトリはエネルギーと時間を全て勉強に費やし、その結果FIMスペイン選手権で仕事を得ることができた。「プレMoto3選手権での最初の年にセルヒオ・ガルシアと一緒にタイトルを獲得したんです。最終戦はもの凄くテンションが高かったですね。めっちゃ集中してました。だってそのために1年間やってきたわけですから。最終ラップに入ったところでうちのライダーは10台のトップ集団の最後尾で、もう諦めかけたんですけど、6つポジションを挙げて、それでチャンピオンになれたんです。パルクフェルメについた時には喜びではち切れそうだったのを覚えています」。そこで満足のいく結果を得た彼女は、さらなる高みを目指すことにした。 「スペイン選手権は素晴らしくって、チームも凄く居心地が良かったんですけど、世界選手権で働きたかったんです」。そのチャンスはすぐにやってきた。そしてパトリは自身が持っていた苦手意識を克服することになる。「パオロ・シモンチェリがテレメトリー技術者を二人捜してるって知ったんです。一人はスペイン選手権用、もう一人は世界選手権用だったんですけど、パドックでパオロにあったときはまず人見知りな自分の殻を破って一歩前に出ることにしました。イタリア語もしゃべれなかったんですけどね。最初パオロが私に提案したのはスペイン選手権の仕事でした」 しかし言葉はまだうまく操れないにもかかわらず、パトリは自分を理解してもらうことができた。固い決意と、どんな限界を前にしても立ち止まることのない彼女の態度のおかげだ。すぐにSIC58スクアドラ・コルセのオーナーであるパオロ・シモンチェリは、彼女こそが自分の探していた人材だと気付くことになる。 2018年に世界選手権の軽量級クラスで働き始めて以来、彼女は常に鈴木竜生と共に4つのポールポジション、2つの勝利を含む4つの表彰台を獲得している。近年さらに成長を遂げた彼女に対して、パオロ・シモンチェリは2020年のSIC58のスペイン選手権チームのテクニカルマネジャーを任せ、フリアン・ガルシアとセナ・アギウスと共に頂点を目指すことにした。 スペイン選手権でも世界選手権でも、パトリのレースは水曜のピットの設営から始まる。そして木曜にはライダーと、そしてMoto3世界選手権チームのテクニカルマネジャーであるマルコ・グラーナとともに去年のレースを見てデータの確認を行う。ライバルの強さがどこにあるのか、コースのどの場所で誰が速かったのか、どんなミスが致命的になるのか、そしてマシンのセッティングはどうするかといったことを、あらゆる詳細にわたって分析するのだ。そして金曜には朝早くにサーキットに現れてショーを始める。 「タツがコースから戻ってくるとマシンにコンピュータを繋いでデータをダウンロードします。ライダーがうちの技術者のマルコにマシンの感触を語っている間、私はスロットルを開けるのを遅らせるより早めにブレーキを掛けた方がいい、とかいったことを裏付けるデータを探しているんです。セッションが終わると私たちはあらゆる情報を注意深く分析して翌日の戦略を決定します」 パドックで働き始めて数年を経て、パトリはMotoGPファンにはお馴染みの顔になっている。「サーキットにやってくると、小さな女の子が立ち止まって、両親といっしょに、どうやったら世界選手権で働けるのかってきいてくることがよくあるんです。そうやって私の話を聴いてもらえるのって、すごくドキドキしますね。私が成功したってことなら、どんな女の子でもできるってことなんだと思うんです。でも、何年か前の私がそうだったかもしれない女の子たちが私をお手本だと思ってくれるなんて、本当に誇らしいですよ」 テレメトリー技術者としての仕事を上手にこなすにはライダーとの信頼関係が重要である。彼女の場合は技術的な知識に女性特有の繊細さを加えることで、恐怖を感じたり絶望的瞬間を味わったりするのは当然のことだとライダーたちを納得させることができる。そのおかげでライダーたちは誰もが情熱の炎を絶やすこと無くモチベーションを保ち、フィニッシュラインを最初に駆け抜けるために再び気持ちを新たにすることができるのだ。パトリの物語は彼女の強さについての物語でもある。そしてバイクを大好きな若者たちがレース現場で生きていくという夢を叶えるためならパトリはその経験を喜んで共有するだろう。 *:モータースポーツの技術者を育成するために1997年に創設されたモンラウ・レプソル・技術学校(リンク先:英語)のことかと。 

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おそらく英語以外で書かれた文章を翻訳しているらしく、人称代名詞が多少混乱しているのを文脈から判断して補ったりしてますが、それにしても「女性特有の繊細さ」とか微妙な表現だなぁ…。いや原文も「 the sensitivity that distinguishes women」なので誤訳ではないと思うのですが。 さて、このシリーズですが、スズキ・エクスターの広報、塚本肇美氏とかも取り上げられてるので、わりと良いペースで訳していきたい所存。お楽しみに。

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トラックリミット:違反行為と罰則適用について

昨今あちこちで議論を巻き起こしているトラックリミット問題。スティリアGPでもMoto2ではホルヘ・マルティンが最終コーナー最終ラップの緑ゾーンはみ出しを理由に優勝を取り消されたのに、同じコーナーで同じようにはみ出したポル・エスパルガロにはお咎め無しでした。

この2年ばかり、ずいぶん厳しくなっているようにも思いますが、こうした状況を受けてFIMがレース・ディレクターのマイク・ウェッブ氏によるプレスカンファレンスの内容をまとめているので訳出。

なおトラックリミットは「コースの一番外側の線」という意味なので、そのまま訳したりもしてますが、「トラックリミットの外側」を読みやすさ優先で「コース外」と訳したりもしてます。
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レノボ・サンマリノGPでレースディレクターのマイク・ウェッブが土曜に記者会見を行いトラックリミットに関する規約について説明を行いました。

この会見ではZoom経由で多くのメディアの質問に答えるとともに、FIM MotoGP世界選手権のルールの概要の説明を行ったほか、理解の鍵となるポイントについても取り上げています。


トラックリミット違反とはどういうものですか?

トラックリミット違反とは「ライダーがコース外を走った結果有利な状況になり得る場合」のことを指します。縁石(二重縁石を除く)はコースに含まれます。縁石の外側にある二重縁石と緑に塗られたすべてのエリアがコースの外側となります。

前後のタイヤが同時にコース外に出た場合にトラックリミット違反の対象となります。テニスと同様にラインに触れていれば「イン」すなわちコース内と見なされます。前後のタイヤが完全にコース外に出た場合にのみ規則違反と見なされるのです。

ライダーが違反したかどうかは誰がきめるのでしょうか?

トラックリミットに関する決定は他のペナルティと同様、FIMのMotoGP審議委員会だけが権限を持っています。ここでの決定が最終的なもので、抗議や不服申し立てはできません。トラックリミット違反はビデオによる確認となりますが、もちろんペナルティにかかわることですから審議委員会に提出される画像は鮮明なものでなければいけません。

トラックリミットは専用のカメラと画像認識ソフト、そして複数の操作員によってモニタリングされています。そうした映像は国際映像やテレビ中継で使われているものと同じとは限りません。


コース外走行をした場合はどういうことになるのですか?

・プラクティス走行及び予選走行中
 レース本戦以外のプラクティス及び予選においてライダーがトラックリミットを越えて走行した場合、その区間のタイムはキャンセルされます。これに伴い、自動的にその周回のラップタイムもキャンセルとなります。

・レース中
 ライダーがコース外走行し、タイムや順位を落とした場合は、コース外走行は記録されずペナルティは科せられません。
 有利になったか不利になったか不明な場合は、まずコース外走行の事実が記録されます。ミスについては多少考慮しますが、あまりに頻発する場合は有利になっていると見なします。そのライダーが他のライダーと同じコースを走っていないということになりますからね。
 コース外走行が3回記録されると「トラックリミット警告」という表示がライダーのダッシュボードに送られます。5回コース外走行を行った時点でロングラップペナルティが科せられます。こちらはダッシュボードとコース脇のシグナルボードの両方でライダーに伝えられます。
 コース外走行で明らかに有利になったとFIM審議委員会が判断した場合は1回だけでもペナルティが科せられます。ただしこれはペナルティに至らないその他のコース外走行には加算されません。
 こうした、明らかに有利になっている場合のペナルティには、ポジション変更、タイム加算、ロングラップペナルティなどがあります。
 また、コース外走行の直後にライダーが自主的にアドバンテージを返上した場合にはペナルティが科せられないこともあります。


もし他のライダーに幅寄せされたアウトにはみ出した場合はどうなりますか?

他のライダーのせいでコース外走行をした場合は、その事情が考慮されます。

だから1周目のコース外走行については、明らかに有利になるような場合を除いては記録しないことになっています。数多くのライダーが密集して走っていますからね。1周目1コーナーもトラックリミット違反は記録していません。スタート直後の1コーナーでライダーが外側に押し出されるのは良くあることですし、不必要なクラッシュを避けるためにランオフエリアを走らざるを得ないこともありますからね。

とは言えライダーがこうした状況を利用しないように、はっきり不利になったことがわからなければならない。明らか有利になったらたとえ1周目でもペナルティは科すんです。


最終ラップの場合はどうなるのでしょうか?

ライダーが接戦でポジション争いをしている場合、最終ラップでFIM審議委員会がレース結果に影響ありと判断したコース外走行については、まずそのライダーが不利益を被ったことが明確に示されなければなりません。これには順位変動の有無は関係ありません。

コース外走行でゴール順位が変わったと判断された場合、もしそのライダーが明らかに不利になったのでなければ順位を落とすかタイムペナルティを科すことになります。

最終ラップでコース外走行をした結果、そのライダーは順位争いをしている他のライダーと比べて損をしていなければならないというのが原則なんです。

最終ラップはレース結果に影響があるので、特別な取り扱いとしているんです。

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なるほど、スティリアのマルティンは「明らかに損をしているとは言えない」けどポルは「明らかに損している」という判断なのね。

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レプソルホンダ公式による工具解説

レプソル・ホンダ公式がピットのツールボックスについて語っています。興味深いので訳出。リンク元記事の写真も是非ご覧下さいな。
なお工具名にはAmazonのアフィリエイトリンクを張ってたりするので適宜ご参照下さい(ポチっていただくととみながのお小遣い、というか壊れたMacを買い換えた費用の足しになります。ま、特殊な工具が多いので買う人はほとんどいないでしょうけども…)。
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マシン整備のためにレプソルホンダチームは2基のツールボックスをピットに持ち込み壁の両サイドに設置している。さて、中には何が入っているのだろう?

驚かれるかもしれないが、実はマルクとアレックスの担当メカが使っている工具は我々の自宅ガレージにあるのとほとんど同じである。もちろん例外はあるし、特殊な用途のための特注品もある。どんな状況下にあっても最大効率で仕事ができるように作られた工具も当然ある。

かつての世界選手権は今ほど楽ではなかった。アンヘル・ニエートのようなライダーですら自分で整備を行っていたのだ。工具とスペアパーツでいっぱいのトランポにマシンを積み込んだり降ろしたりといったことまで自分でやっていた。幸いにして現代のGPチームはそうした仕事を楽にやれるよう、そして時間を節約できるよう、様々な設備を整えているのだが。


一般的な工具

まず必要なのはスパナ(訳注:レンチとスパナは分けません)である。梃子の力を使ってボルトやナットを締めたり緩めたりするための工具だ。7mmから18mmまでの一般的なサイズの他、これより1サイズか2サイズ大きいものまで揃えることもある。ドライバーも欠かせない工具のひとつだ。これもマシンのどこにでも使えるよう異なるサイズや長さを揃えている。

スパナの他には六角レンチとトルクスレンチも一般的なサイズを取りそろえている。必要に応じてTレンチやラチェットと組み合わせることができるよう、ソケット式のものもある。きちんとした仕事のためには正しい工具を使うことを忘れてはならない、というわけで最後にトルクレンチを紹介しておこう。これはあらゆるものを正確に締め付けるためのものだ。

次は切るための工具と掴むための工具である。いつものメンバーとしてはさみ、プライヤー、クランプ、ウォーターポンププライヤーなどが用意されている。中にはサークリップをはずしたり電線を切ったりといった特殊な用途のための特殊な形状のものもある。

その他、作業の補助具としてメンテナンススタンドも挙げておこう。パーツを組み付けるときに役立つものだ。ほかにもエクステンションバーTレンチ、油のついた手でソケットを交換するためのアクセサリ等、マシンの整備を簡単にする様々な工具もある。さらにはほこりを吹き飛ばしたり工具に繋げたりするためのエアホースもある。


電動工具

速さと手軽さと正確さを兼ね備えた工具。それが電動工具だ。そのおかげで組み立てや調整がずいぶん楽になった。電動ドライバーやインパクトレンチ、ドリルといった工具はピットだけではなく私たちの普通の生活でも良く見かけるだろう。デジタルマルチメーターやデジタル温度計、デジタルノギスなどの測定機器も大いに役立っている。

とは言え最も重要なのはコンピュータである。マシンの電子制御ユニットにつないでセッティングを行うためには不可欠な道具だ。こうしたコンピュータにはマシンからダウンロードしたデータを解析したり、マシンの状態を把握したり、壊れる前に適切なタイミングで交換できるようパーツの使用距離を管理したりするためのプログラムが組み込まれている。そして最近になって導入された電動機器はエンジンスターターだ。前シーズンのものより小型化されている。


様々なアクセサリ

メカニックであれば誰であろうとネジは一本たりとも無くしてはいけないと知っている。だからこそネジや小さいパーツを置く金属トレイは磁石付きなのだ。工具自体に磁性があるのも作業中に固定しておけるので便利である。例えば磁石付きライトなどもそうだ。

エンジン内の液体を交換したり抜いたりするのに使う専用工具もある。オイルシリンジブレーキブリーダーボトルガソリンチャージャーなどだ。他にもエクストラクターや角度を付けたりねじったりした特殊なレンチ、サスペンションの調整や組み立てに使う工具など、普通では見られないものもある。すべてものが正しく測定されていることを確認するために隙間の幅を測定するためのシックネスゲージも用意されている。

汚れの多い環境で仕事をしている人なら誰もが知っていることだが、清掃・洗浄は最も重要な作業の一つだ。ピットの外、たいていはすぐ近くに洗浄・脱脂ブースが設定されており、パーツを可能な限り常にきれいに保つようにしている。そしてもう一つ、洗浄において最も重要でかつ基本的なパーツがある。ペーパータオルだ。


液体その他

エンジンを最高の状態に保つためには、レプソルのオイルとガソリンはもちろんだが、ピットでは浸透潤滑剤やパーツクリーナー、グリスなども使っている。そしてこうしたものは正確に塗布できるようチューブ式容器になっていることも多い。

最後に、ピットのみならずあらゆる便利屋の工具箱に入っている、そして奇跡を起こす二つの道具を紹介しておこう。ダクトテープタイラップだ。どちらもその有効性については充分以上に証明されている。とは言え、レース現場で使うのは最後の手段であるのは言うまでもない。
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ちなみにマダムこと私の妻(小劇場の主宰兼演出家)は「番線とガムテとコンパネさえあればなんでも作れる」と言ってましたね。

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ケニー・ノイスの戦い:周回が残っている限りレースは終わっていない

5年前のアラゴンで大事故に見舞われ、一次は命まで危ぶまれたケニー・ノイスが自伝を出したのを機に、MotoGP公式がインタビューを行っていますので、久しぶりに訳出。
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7月5日はケニー・ノイスの家族にとって特別な、しかし悪夢のような日である。5年前、タイトルホルダーのケニーはモーターランド・アラゴンで行われたFIM CEVスーパーバイクレースで命の危機に陥るような大事故にあったのだ。命を取り留め、さらにグラスゴー・スケールで3点という、これより厳しいレベルはない深刻な昏睡からも脱したケニーは、限界を超えたその先を目指して回復を続けている。彼は日々前身をつづけ、困難な状況の中、それでも新たな人生を歩もうと決意した人々にとってのメッセージを発しているのだ。

偶然にもその事故からちょうど5年目、ケニーは自伝を出版した。「挑戦:スーパーバイク、Moto2、そしてグラスゴー3」というタイトルのこの本にはアメリカでのダートトラックに始まりMoto2に至るまでの歴史と、人生をすっかり変えることになってしまった事故からのリカバリーについて書かれている。有名な元ライダーでコメンテーターである彼の父親、デニス・ノイスとの共著である本書にはMotoGPレジェンドのウェイン・レイニーが序文を寄せていて、すでに予約が始まっている。ノイスは併せて自身の回復のためのチャリティーを立ち上げた。このたびmotogp.comではケニー・ノイスのこれからについて彼にインタビューを行っている。

Q:モーターランド・アラゴンでの事故からちょうど5年の節目を迎えて自伝を上梓されました。執筆を始めたときに思っていたとおりになりましたか?

A:すごくうれしいですね。これまでやってきたのとは全然違うプロジェクトでしたけど、物を書くことは楽しかったです。ちゃんと仕事として取り組んだし、日々いい仕事ができるうようになりました。まあ物を書くということがこんなに時間が掛かる物だとは思ってなかったですけどね。最初は事故からちょうど3年目になる日に出版しようと狙ってたんです。事故後に意識を回復した瞬間のことは忘れる前に書き留めておきたかったんですが、自分の身体の状況を考えてなかったんですよ。ちゃんとした早さでキーボードが打てなかった。だから申し訳なかったんだけどそこは母さんに頼むことにしたんです。すごく我慢強く付き合ってくれましたね。おかげでうまくいったと思います。それが第1章の話なんですが、その後は自分で打てるようになったし、詳細まで記録できたんでよかったです。


Q:この本ではご自身のレースキャリアと事故前後の人生について振り返っています。いろんなことがあったと思うのですが、どうやって構成を組み立てたんですか?お父様のアドバイスが相当役立ったんじゃないかと思いますけど。

A:なかなかたいへんでしたね。精神的に辛いことについて話すのも辛かったですけど、そもそもこういうことについて物を書くというのが初めてってのがきつかったです。父さんが手伝ってくれたおかげで修正すべきことが全部見えてきましたね。今日は完璧に見えた文章が、翌日冷静な頭で読み返すと違って見える。「出版されて初めて完成なんだ」と教えられました。


Q:バイクレースのファンは困難を克服した一例としてあなたを見ていますし、あなたも同じような状況にある人の助けになりたいと話していました。新型コロナウイルスが引き起こした困難な状況の下、人々はあなたのようなお手本になるようなヒーローを求めるようにになるのでしょうか。

A:かもしれませんね。でもそんな風に考えたことは一度も無かったです。ぼくらはこれまでも誰かの助けになることを目的としていましたし、このところずっと誰かに手を貸したり支援したりアドバイスしたりとできる限りのことをやっています。とは言え新型コロナ禍は当初思っていたよりずっとたいへんなことになっていて、だからお手本がほしいと思う人もずっと多くなっているんでしょうね。こうした厳しい状況を生き抜いていくわけですから。他のみんなと同じように私も新型コロナで何が変わっていくのかを注視しています。MotoGPみたいな大イベントは重要ですね。ファンが気を紛らわして楽しい時間を過ごすことができるし、アスリートが真剣に取り組んでいる姿を見ることもできる。残り周回がある限りレースは終わっちゃいない。やっとヘレスでGPが再開されるわけですが、無観客ってのは不思議な感じでしょうね。でもレースが始まるんです。ドルナがやったことは見習うべきことですね。


Q:ウェイン・レイニーが序文を寄せてくれていますが、それはあなたにとってどんな意味を持ちますか?

A:ウェインが書いてくれているように、彼は僕のこどもの頃からのヒーローなんです。だから最初から彼に文章を寄せてもらいたかったんです。それで彼にお願いしてみたらすぐに快諾してもらえました。ウェインは物書きというタイプではないので嬉しかったですしとても感謝してます。とても気に入ってますし、世界中の人に読んでほしいですね。


Q:ウェイン・レイニーは本当にお手本になるような人物ですね。あなたはソーシャルメディアで悲劇から立ち直った同様の例としてポール・バサゴイティア(訳注:フリースタイル・マウンテンバイクライダーで2015年に脊髄損傷を負った)のドキュメンタリーに言及しています。ご家族の献身的なサポートは別にして、回復途上のあなたにとっては誰がヒーローだったのですか?

A:深刻な怪我を負って、でも笑顔を絶やすことなくトレーニングを続けるすべての人たちですね。リハビリの間は本当に苦しかったですけど、ステップ・バイ・ステップ財団で、それぞれ異なる麻痺を抱える人たちに出会ったんですが、彼らがいたから頑張れたんです。彼らはトレーニングを楽しんでいたんですよ。それがすごく衝撃的で、そこから僕の取り組む姿勢が変わったんです。


Q:ソーシャルメディアについてですが、あなたの回復の様子を追いかけているとわかりますけど、笑顔やジョークを絶やしていませんね。だからこそ楽観的でいられるんでしょうか?

A:いちばんたいへんなのは、カメラのスイッチが切れた後も笑顔を絶やさないことですね。最初は自分がついてないからこんな怪我をしたんだと思ってたんですけど、もっと悪い結果だってあり得たんだと、今の状況に感謝できいるようになってきて、運が良いから人生の第2章を始められるんだと思えるようになったんです。


Q:「みんなに昏睡状態ってものをわかってもらいたい。映画みたいにあるときいきなり目が覚めるわけじゃないんだ」と書いていました。この部分からは何を読み取ればいいんでしょうか。「グラスゴー3」というのはこの本の3本の柱のひとつですが…。

A:他にもいろいろ重要なことが書かれているので柱と言って良いのかどうかわからないですけど、確かに家族にとっても僕にとっても重要な転機となったのは間違いないです。僕の回復がいきなり唯一の関心事になってしまったんですから。また普通の生活ができるかどうか。お医者さんが真剣な顔で、死ぬかもしれないし一生植物状態かもしれないと言ったときにみんなの優先順位が変わったんだと思います。そしてそれこそがこの本で僕が伝えたかったことなんです。


Q:あの難しい瞬間から5年が経ちました。今までとは違うやり方で前に進めているという気持ちはありますか?

A:ちょうど昨日も妻と話していたんですが、今は「ここまで達成すれば嬉しい」というラインを設定する以上のことはやっていないんですけど、それを達成したらもう次の目標を考えているんで嬉しさが長続きしないんですよ。


Q:毎日かなりの時間をリハビリに費やしていて、そのおかげで本まで書けるようになりました。でもそれだけじゃなくてノイス・キャンプのようなプロジェクトにも携わっていますしエトニック・トライク(訳注:前2輪の3輪自転車、電動アシストオプションあり。サイトはこちら)のテストライダーも務めています。他にもやろうとしていることはありますか?そもそもどうやって時間を捻出するんでしょうか?すごすぎますよね!

A:今はリハビリが仕事なんですけど、だからといってお医者さんが給料を払ってくれたりはしませんからね、というか逆ですから!ノイス・キャンプは大好きなんです。参加者のお世話をして、スタッフや僕からのアドバイスで彼らが上手くなるのを見るのは楽しいですから。そしてエトニックのトライクについて触れてくれてありがとうございます。僕にとっては最も重要な移動手段なんですよ。あの転倒からこっち、誰かに手助けしてもらわないと2輪ではバランスが取れなくなっているんです。あらゆるものを試してみたんですよ。普通のマウンテンバイクや小径自転車や電動スクーターや140ccのバイクまでね。でもどれに乗っても同じ問題が出るんです。走り出すときと止まるときですね。その瞬間って足の動きに正確さが求められるんですけど、スピードに対してうまく反応できない上に、地面を強く押しすぎないようスムーズに動かすこともできないんです。だからエトニック・バイクを試した時はほんとうにワクワクしましたね。3輪なんで止まるときも足を降ろさなくていい。しかもすごく安定していて4輪マシンみたいなんだけど、でも基本は自転車なんです。


Q:あなたが本の完成に向けてスパートしている一方、MotoGPもヘレス開催に向けて加速しています。今シーズンは何に期待しますか?何か驚くようなことがあるでしょうか?そしてワールドスーパーバイクのような他のカテゴリーについてはどうでしょう。何か特に楽しみにしていることはありますか?

A:何か予想を立てるほど大胆にはなれませね。だってレベルは拮抗しているし、いろいろ新しい要素もありますからね。個人的にはヴァレンティーノ・ロッシとアレックス・リンクのファンなのでで去年のシルバーストンみたいな対決をもっと見たいですね。でもまあいつものことですが、そう簡単にはいかないでしょう。ワールドスーパーバイクについては新型ホンダをどうバウティスタが乗りこなすかがに興味がありますね。でもご存じの通り僕の心は緑色なんで、カワサキ・レーシング・チームと共にトップに行きますよ。


Q:2020年も予定が目白押しで、本を出すのにもチャレンジしたわけですが、直近で何か新たなチャレンジはお考えですか?

A:もっとうまくバランスをとれるようにして走れるようになりたいですね!ほとんどの人には造作も無いことですよね。小さい頃に覚えちゃうんだし。でもクラッシュの後、僕はまだ走れてないんです。スローモーションで考えてみると、走るのってまずは片足でジャンプして、次はもう一方の足でジャンプするってのをバランスを崩すことなく繰り返す…って単純な動作に思えますが、でも実際にはすごく複雑なんですよ。それから、このことには気付いてないんですけど、僕らの脳ってすごい計算と調整を行っていて、それでやっと走ることができるんです。


Q:将来についてはどうお考えですか。いつも新たなプロジェクトが待ってますけど、再び何らかの形でバイクに乗りたいと常々公言されてます。その夢は相変わらず持ち続けていますか?

A:また乗りたいですね。でももうレースはいいです。ノイス・キャンプには小さなカワサキZ12(訳注:Z125PROでしょう)があるんですけど、乗るならあれが完璧じゃないかとにらんでるんです…それもそう遠くない将来にね!最初に乗るときにはカメラをたくさん使って記録しますよ。できれば膝スリもしたいし、楽々とやってみせたい。トライするところは必ずみんなに見てもらいますよ。

ここまであなたは多くの目標を自分で掲げて、それを一歩一歩成し遂げてきました。これからもそれは変わることがないように思えます。だからこれからもこの調子で目標に向かっていってください。頑張って、ケニー!
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インタビューで言及されるEttnic.comはサイトがめっちゃ重いので、走行シーンを見たい方はこちらのYouTubeチャンネルからどうぞ。

しかし今年のMotoGPクラスの初戦となるスペインGPは怪我人続出でしたので、みなさまくれぐれもご安全に。

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ネックブレースの有効性について

Cycle Newsに掲載されていた「モトクロスにおけるネックブレースの効果」という記事がツイッターのTLで回ってきたんですが、興味深いし重要な情報なので、とりあえずオリジナルの報告のみ翻訳。

ただし数字の解釈は報告レベルで、査読付き論文にするにはいろいろ瑕疵もある感じがします。これについては文中に差し挟んだ訳注をご参照ください。もちろん私の間違いに関するご指摘も大歓迎です。

この報告を作成したグレート・レイクス・EMS社というのはモトクロスを中心にアマチュアのレースイベントに対して緊急搬送サービスを提供している組織(おそらく民間営利企業)です。ちなみにEMSってのはEmergency Medical Serviceの略で、緊急医療サービスとか緊急搬送サービスと訳されます。要するにモトクロスに特化した民間救急車サービスと思ってもらえば当たらずとも遠からずなはず。
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ネックブレースの効果について:グレート・レイクス・EMS(アクションスポーツEMS)による

序論/背景

アクションスポーツEMSは5つの州にわたるアマチュアモトクロス界において救急搬送サービスを提供している。2008年にノーザン・ウィスコンシンで設立されて以降、中西部における最大級のモトクロス会場でのサービスを提供するまでに成長してきた。この1年間でもロレッタリンの複数の地域予選や地区予選、フラットトラック・グランドナショナル、ISOC(訳注:スノーモービル世界選手権)、スノークロス等のイベントに対応している。この他、我々は様々なイベントにおいてAMAとの直接契約の下、緊急ケア及び搬送サービスを提供している。1回で1000人以上のライダーが参加する週末イベントも珍しくはない。

さて、様々な安全装備に関しては、その有用性が語られている一方、否定的な見解も表明されているし、そうした話は我々もここ何年にもわたって耳にしている。特に話題にされるのがネックブレースだ。その種類やメーカーに関係無く、ネックブレースは「悪い」ものだと人々は考えているのだ。こうした見解の裏には、かつての設計の問題や個人的経験やソーシャルメディアでのコメントに加えて、身体力学に関する知識の欠如があるのかもしれない。

6歳から50歳以上に至るまで、多くのライダーがネックブレースに関する間違った知識に汚染されている。こうした知識の多くはいわゆる「キャンプファイヤートーク」(訳注:井戸端会議みたいな感じでしょうか)で他のライダーから教えられるものだ。しかしそれ以上に問題視すべきは年少ライダーの指導者もライダーの親や他の若いライダーに間違った知識を伝えているということである。以下はその例である。

・ネックブレースのせいで鎖骨を骨折する。
・登り坂やジャンプで上が見えないから装着するな。
・そんなもんをつけてたらまともに戦えないし、プロだってあんまり使ってない。
・背骨を折って神経が傷ついて、へたすりゃ麻痺。
・付け心地が悪い。
・動きが制限される。
・バカみたいに見える。
・まともにフィットするのがない。

我々チームはライダーの皆さんにネックブレースのメカニズムを理解し、何ができて何ができないのか知ってほしいと考えている。さらにはネックブレースにまつわる間違った神話を一掃したいと考えている。頸椎を、場合によっては命を守るために設計されたものなのだ。これは何十年も前にシートベルトやエアバッグについて言われてきたのと同じことなのである。

我々は、実際の患者のデータを見ればネックブレースが本来の機能を発揮していることは証明できると感じている。ネックブレースのメーカーは何年も前からこの事実を知っているのだが、皆様にも広範なデータに基づく本報告を(他の同様な報告と共に)お読みいただき、今度こそ思い込みではない現実世界に目を向けていただきたい。我々は製造メーカーは正しい方向に歩んでいると感じているし、実際のデータがそれを裏付けているのだ。


収集データ

本研究のデータは2009年1月から2018年10月(ほど10年間)にわたって収集された。患者数は9430人、内8529人についてネックブレースの装着有無が判断できた。またすべての患者について頸椎損傷有無、鎖骨骨折有無、死亡有無を記録した。それ以外の901人については過去に遡って「ブレース有り」「ブレース無し」を質問し確認しているため、今回の分析からは除いた。本症例研究では前述の頸椎損傷、鎖骨骨折、死亡有無の他、入院有無、ALS搬送(高規格救急車または航空機による搬送)有無。頸椎固定、致命傷有無等についても厳密に記録した。

8529人の患者の内、4726人は事故時及び記録作成時にネックプロテクションを装着していないことを示す「NO」マークがついており、3802人は事故時及び記録作成時にネックプロテクションを装着していたことを示す「YES」マークがついていた。


統計

1.深刻な頸椎損傷はネックプロテクション無しの場合89%以上多い

訳注:やや誤解を招くタイトル。89%というのはネックブレース無し239件とネックブレース有り26件を単純に比べた数値なので、本当は「無し239/4726=5.06%」「有り26/3803=0.68%」の比から「86%多い」と言うか「7.4倍」と言うのが適切かと)

本研究期間中の10年間で、ネックブレース装着無しで239件、装着有りで26件の頸椎損傷が発生した。

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2.(頸椎損傷に基づく)死亡確率*はネックブレース装着無しでは69%以上増加
訳注:ここまで死亡が少ないとχ2乗検定では有意差がでませんので、あくまで参考値で)

本研究期間中の10年間で、ネックブレース装着無しで4件、装着有りで1件の死亡が発生した。
*:ネックブレース装着ケースでの死亡例については、過去の事故で頸椎固定を施されていた患者であることに留意。またこのケースではバイクの一部が直接首の後ろに強く当たっている。本報告で設定した規定に当てはまるため本ケースについても統計上は含んでいるが、怪我の状況については留意されたい。

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3.深刻でない頸椎損傷はネックブレース無しの場合75%以上多い

訳注:こちらも1と同様やや誤解を招くタイトル。これも「81%多い」と言うか「5.2倍」と言うのが適切かと)

本研究期間中の10年間でネックブレース装着無しで702件、装着有りで109件の深刻でない頸椎損傷が発生した。

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4.鎖骨骨折はネックブレース無しの場合45%以上多い

訳注:同様。「18%多い」と言うか「1.2倍」と言うのが適切かと。ちなみにたかが1.2倍ですが有意差はちゃんと出ますのでむしろネックブレースに鎖骨骨折防止の効果があると言えそうです。)

本研究期間中の10年間でネックブレース装着無しで443件、装着有りで291件の頸椎損傷以外の怪我が発生した。

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本研究期間中の10年間でネックブレース装着無しで702件、装着有りで109件の頸椎損傷以外の怪我が発生した。


5.ネックブレースなしの頸椎損傷はより深刻な結果を招き、より手厚いケアを必要とする

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黒:深刻な頸椎損傷
黄:入院
橙:高規格救急車または航空機による搬送
赤:頸椎固定

上左図のとおり、ネックブレースのない場合、重篤な頸椎損傷ケース(黒)239件の内、100%(239件)が入院(黄)および高規格救急車または航空機による搬送(橙)を必要とした。一方、ネックブレースありの場合はそれぞれ73%、42%に留まっていた(上右図)。

またネックブレースのない重篤な頸椎損傷ケース239件の内、87%(207件)が頸椎固定(赤)を施されているが、ネックブレースありの場合は76%(22件)に留まっている。

訳注:頸椎こてに関しては、χ2乗検定では有意差が出ないどころか、ほとんど偶然とも言える程度の差と言ってもいいです。ただし頸椎固定は安全をみて実施するもので、その有無が怪我の深刻さの差を表しているわけではないことに注意してください)


6.ネックブレース無しの場合頸椎損傷の可能性は82%増加する

訳注:なぜかここだけ正しい表記になってますね…)

本研究期間中の10年間で重症度を問わない頸椎損傷はネックブレースなしで945件(4726人中20%)、一方でネックブレースありの場合は136件(3803人中3.5%)だった。

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結論

10年間で記録された9430件の事故は現実世界におけるネックブレース関連データとして確固たるものである。さらにここまで示したとおり、ネックブレースはライダーの安全性を指数関数的に高めている。我々は今後も何年にもわたってデータを記録していく所存である。そしてみなさんがネックブレースを受け入れていけば、今回示した効果に関する数値は良くはならないとしても、少なくとも変わらないだろうという思いを強くしている。もちろんネックブレース(に限らずあらゆる装備)が事故の際になんらかの否定的な作用を及ぼす可能性を完全に否定することはできないが、それでも人類がこれまで作ってきたものが100%の効果を発揮することはないと言うことも知っておくべきである。それはネックブレースについても同じなのだ。

我々が望むのは、みなさんにこれをご覧いただき、自らネックブレースの有効性に気付いた上で、バイクに乗る際には安全に関して充分な情報に基づく意志決定をしていただくことである。数字は嘘をつかない。そして安全性を高めることができるあらゆる防護アイテムの装着についてすべての人に検討してもらいたいと我々は考えている。

我々はライダーの安全を守ることだけを願って緊急搬送サービスを提供している。ここで提示した現実世界のデータは何年にもわたって収集したものであり、ネックブレースを推奨するために有効性を強調したり、否定するために問題を強調したりといったデータの操作は当然ながら全く行っていない。みなさんの安全を守るのが我々の願いであり、モータースポーツ業界に、そしてバイクを愛する人々に貢献し続けてきた中で学んだことを共有するのが我々の義務であると考えている。あなたのバイクやヘルメットやブーツなどと同様に、あらゆる装備はメーカーが指定する方法に従って正しく装着しなければ最大の効果は発揮できないし装着性も悪くなることは忘れないでいただきたい。間違った方法で装着された装備は想定外の結果を招く可能性もあり、場合によってはあなたのライディング能力を阻害することにもなる。そして怪我や死亡につながらないとも限らない。


専門用語解説

・頸椎:1番から7番頸椎に相当する首の部分。
・入院:外科、ICUまたは一般病棟への入院
・頸椎固定:板状の担架における頸椎固定
・深刻でない:頸部の刺すような痛み、可動範囲の制限、救急車内での診察のみ

出典:グレートレイクスEMS社/アクションスポーツEMS−救急データ報告システム

患者ケア用ワークシートにおいて収集している装備関連データ対象:ヘルメット、ゴーグル、ニーブレース、ネックブレース、チェストプロテクター、グローブ、ボディアーマー、バイク、ATV、モトクロス、フラットトラック、ヒルクライム、ウッズ


警告

本報告書に掲載したあらゆるデータ及び関連データはグレートレイクスEMS社にのみ所属する。またグレートレイクスEMS社による書面による法的同意が無い限り、どのような主体、企業、製造業者、組織であろうとマーケティング、セールス、商品やサービスの利益にするために本報告書を使用してはならない。本報告暑中のデータは情報提供及び統計のみを目的として収集されたものであり、どのような商品、サービス、企業を宣伝するためのものではない。関連データについても同様である。また本報告書で言及した傷病を防止するために設計された商品の効果を示すためのものでもない。グレートレイクスEMS社及びその職員、ボランティア、協力者等は医師ではなく、何らかの医学的アドバイスをしているものではない。グレートレイクスEMS社は、今後使用する予定の商品や健康、安全等に疑問を持った場合は医学専門家、特定のブランド/商品の地元の販売店に相談することを強く推奨する。
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そんなわけでネックブレースは大事ですよ。

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クラッチローはヴァレンシアGPを欠場

オーストラリアのGP2での怪我のせいで最終戦も欠場だそうで。残念。カルのコメントをLCR公式より。
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まず最初にフィリップアイランドの金曜以来、みんながくれた励ましに感謝したいと思います。サーキットの医療スタッフやLCRホンダ・カストロール・チーム、HRC、そしてメルボルンの病院に来てくれたみんな、そして何よりわざわざ12日間の入院中、一緒にいてくれるためにやってきてくれた妻のルーシーにありがとう。それにあらゆることを片付けてくれたジェイク・ハリソンとアンディ・ロシェにも感謝します。もちろんマレーシアに行くまで一緒にいてくれたチーム・マネジャーのルーチョ(チェッキネロ)にもね。
 マティアス・ラスでの手術も素晴らしかったしエヴァンス先生は浮腫が引いて6日後に手術ができるようになるまで固定具を装着してくれました。クラッシュのせいで脛骨と腓骨と距骨がピロン骨折(訳注:さっくり言うと足首上下の骨が関節に接する部分で折れたと言うよりぐっしゃりいく感じ。なので固定がたいへん難しいのです)になってしまったんです。3時間半の手術では人工骨と2枚の金属プレートと8本のスクリューを挿入しました。
 怪我からの回復には12か月かかることもありますが、まあ普通のバイクレーサーとしてはヴァレンシアで復活できると思ったんです。でも残念なことにそれは無理だった。
 6週間は足首に体重を全くかけられないんです。でも回復に向けて理学療法を継続中です。今週はまず自転車に乗ろうと思ってます。2019年2月のセパンテストに向けてね。
 今年はLCRホンダとHRCのおかげで素晴らしいシーズンになりました。2019年、そして2020年もすばらしい思い出が作れるといいと思ってます。今週末のヴァレンシアでLCRチームもMotoGPのグリッドにつくみんなも幸運に恵まれますよう。今週はファンのひとりとして最高のモータースポーツを楽しみます。
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Pilon骨折の画像検索で深刻さを確認してる。早く回復しますように…って、もう自転車乗るのか!

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ジベルノーがポンス・レーシングのMotoEで復活

目を疑うようなニュースですがほんとです。MotoGP公式より(元はチームポンスのリリースかな)。
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ポンス・レーシングは2019年より開催されるFIM・エネル・MotoE世界選手権に挑戦するためにセテ・ジベルノーを迎え入れることとなった。11シーズンにわたってGP最高峰クラスで走り、ランキング2位を二度記録している彼は1995年、250cc時代に走っていたチームで新たな一歩を踏み出すことにしたのだ。

話題となること間違い無しのこの契約についてチームはこう語っている。「新たに始まる選手権で間違いなく主役をはれるはずですよ」

ヴァレンシアGPで11月16日金曜、現地時間17:45(日本時間11:45)からチームのホスピタリティで開催されるプレスカンファレンスではライダーとチームがこの契約と新たなチャレンジについて語る予定となっている。

「完全に引退したつもりでいたんで、まさかまたバイクレースの、それも選手権で走るなんて思ってもみなかったですよ」とジベルノーは語る。「でも人生びっくりするようなことってあるんですよ。引退して10年間、全然レースはしてないのに、いまここにいる。シト(ポンス)にはチャンスをくれてありがとうって言いたいです。もう一度挑戦してみようって気にさせてくれたんです。人生が面白くなるよってね。シトみたいな人に呼んでもらったんですから、それに応えるために頑張りますよ。僕としても新世代の電動バイクで走れる上に、少しは開発に貢献できるかと思うと楽しみで仕方がないですね。それに世界選手権で三つの異なる世代のマシンに乗ったって自慢できるんですよ。2ストロークと4ストロークと電動マシンの三つにね」

一方、チーム代表のシト・ポンスはこう語っている。「MotoE世界選手権が発表された時点でもう参加したい気持ちになったんです。間違いなく電動バイクこそが未来のバイクの姿なんですよ。つまり、ここに参加することは私たちの誇りでもあり、私たちの情熱をかき立てることでもあるってことなんです。経験のあるライダーが必要なことは最初からわかっていたので、このプロジェクトに参加してもらうのにセテ・ジベルノー以外は考えられなかったですね。彼の能力も誇り高さも充分わかってますから。セテが参加してくれるって明言してくれたってことは、準備を調えて全力を尽くしてくれるってことなんです。現役時代ずっとそうだったようにトップを目指して戦ってくれるってことなんです。彼の経験、そして能力は、MotoEにとって目指すべき指標になるはずです。彼が来てくれて本当に嬉しいですよ。この新たな旅に一緒に挑戦するのが待ち遠しいですよ」
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なんかね、いつか電動マシンがスタンダードになるのは間違いなくって、その時にこうした人たちのことを、今、1920年とかのバイクレースを私たちが思い出すように、100年後の人たちが思い出すんだよ、きっと。

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ポンシャラル:KTMのポテンシャルを信じている。

これ、日本語だと微妙にイン韻を踏んでいる感があるんですが、英語ではどうなんでしょうか?MotoGP公式より。あ、パート1だそうですよ。続きは明日。
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テック3の親玉に対するmotoGP.com独占インタビューの前半。ポンシャラルは2018年の状況やヤマハの現状、KTMについての展望を語っている。

フライアウェイ・ラウンドを前にしてmotoGP.comはモンスター・テック3・ヤマハのトップであるエルヴェ・ポンシャラルにインタビューを行った。話題は2018年シーズンのこれまで、ヤマハの現状に対する彼らの見立て、そして2019年に使用するKTMについてなどだ。

:2018年のここまでの成績は期待通りです?それとも2017年の素晴らしい結果からしたら物足りないものですか?

:期待以上と言ったら嘘になりますね。2017年は素晴らしかったっておっしゃいましたけど、公式テストやシーズン前テストの結果も期待が持てるものだったんです。カタールではポールを獲って、レースのほとんどはトップで走れてます。次のアルゼンチンでは2位に入って、ヨハンはヘレスでも表彰台に立った。実際のとこフランスGPまでは雲の上にいるみたいでしたね。ランキングでも2位で、しかもその前にいるのはマルク・マルケスなんですよ!彼はまだ表彰台に昇れるだけのものはもってるって思いましたし、でもフランス人最高位という立場から来るプレッシャーを彼が感じていたのは否めませんね。一方ハフィズについて言うなら、間違いなく最高のルーキーですね。とは言えモントメロでクラッシュしてからはトラブル続きで、マシンのあっちが壊れたと思ったらこんどはこっち、みたいな感じなんですよ。そういう意味ではどちらも本来の成績とは程遠いんです。今のところ嬉しいことよりイライラすることの方が多いですね。シーズン序盤とは全然違う感じです。ですから、今の状況には全然満足してませんよ…それが答えですね。こういう浮き沈みはレースには付きものですけどね。それは仕方が無いこととして受け入れて、原因をきちんと把握して一刻も早い捲土重来を目指そうと思ってます。


:ヤマハが直面している問題についてはどうですか?良いタイミングでメーカーを変えられたと思われます?もちろんKTMに変更するというのはずいぶん前の決定ですけれども。

:まず言っておきたいんですけど、私も現状何が起こっているのかちゃんと理解できてないんです。シーズン序盤でもヤマハは最高のマシンとは言えなかったかもしれませんが、それでも良いマシンではあった。うちはカタールでもアルゼンチンでもルマンでも素晴らしい結果をだしてます。で、ヴァレンティーノもマーヴェリックは開発が進んでるマシンに乗っていて、いい感じで走れていた。ザクセンリングでは二人とも表彰台に乗ってるんです。もう一人はマルクですよ!でもこないだの週末のM1の最高位はドゥカティとスズキの後ろってだけじゃなくて、アプリリアのアレイシ・エスパルガロにも前を行かれてるんです。正直、一晩やそこらでなんとかなる話じゃないですよ。なんでこんなことになったのか…。
 私が来年について決めた時点ではヤマハも今みたいなどん底ではなかった。本当のところ、単に次の冒険に出発したかっただけなんです。そこにKTMがワークスと全く同じマシン(!)を来年2台供給するって持ちかけてくれたんです。たった2年前にMotoGPに参戦したことを思うとなおさらわくわくしますよね。それに2台増えればそれだけ開発も進むわけですし、こちらもいろいろ学ぶことができる。要するにスポーツという観点からも、人としても、とんでもなく魅力的な話だってことなんです。さらに言うなら、私は今でも新しいことを切り拓いていきたいし、同時にビジネスとしても継続的に続けていきたいと思っていたし、今でもそう考えている。ここでKTMとレッドブルから3年間の契約をオファーされて、それこそ私の希望にぴったりだったということなんです。ここまでヤマハと素晴らしい20年間を過ごしてきましたし、ヴァレンシアGPの最終ラップまで全力を尽くしますよ。そしてその後は新しい章が始まるんです。


:KTMの今シーズンはどういう風に見てらっしゃいますか?来年はRC16を2台走らせるわけですが。

:ブラッドリー・スミスの日曜のパフォーマンス(訳注:アラゴンで一時はヴィニャーレスの前を走り13位でポイント獲得)には正直驚かされましたね…。ヨハンに才能があるのはわかってますし、ヤマハの力もわかってます。だからブラッドリーがうちの前でゴールできたということはKTMの実力はランキング以上だってことですよ。彼らは凄くがんばっていて、でもいろんなことのせいで実力が発揮できていない。でなきゃもっと強いはずです。ポルはセパンでの転倒から完全に回復してない。ミカ・カリォも離脱してしまった。開発には欠くことのできない人材なのに。そんなわけですべてがブラッドリー次第ということになって、でも未来のために今がんばるというのは簡単なことではないんです。しかも来年出て行く立場ならなおさらですよ。自分たちにかかわる部分については全面的にKTMを信頼していますよ。彼らは勝てるライダーも世界チャンピオンになれるライダーも抱えている。それがベゼッキになるかビンダーになるかオリヴェイラになるかはわかりませんけどね。まだMotoGPではタイトルを獲ってませんけど、そこは心配してません。彼らの力を信じているし、彼らの本気も疑ってない。いつ表彰台にのるかと毎週楽しみにしてるんですよ…いや、もちろん自分たちもですよ!とにかく彼らが進化し続けるマシンを作る力を持っているってことはつゆほども疑っていないですし、トップ争いとするのもそれほど先のことではないと思ってます。うちがそれに少しでも貢献できるといいですね。
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そっかー、KTM行けそうなのかー。楽しみ楽しみ。

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マンツィのブレーキレバーをストレートで握ったフェナティの公式コメント

サンマリノGPのMoto2レース。マンツィにグラベルに押し出されたことにカッとしてストレートで彼のブレーキレバーを握るという暴挙に出た結果、レースは失格、アラゴン、タイの2戦は出場停止というペナルティを科せられたロマーノ・フェナティが自身のサイトで本件についてコメントしています。Google翻訳経由、フェナティ公式サイトより。
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レース界全てに対して謝ります。
今朝になって落ち着いてみると、あれが悪い夢だったらどんなによかったかと思います。
何度もあの瞬間を思い返しています。自分はなんて酷いことをしたんだろう。人としてやってはいけないことをしてしまったんです。
レース後、レースディレクションに行って、その前に起こったことについてもきちんと裁いてもらおうとしました。もちろん僕はあんな風にカッとなるべきではなかった。
僕に対する非難はすべて正しいと思いますし、みんなが僕に対して怒ってるのも当然だとわかってます。
僕のことを信じてくれた皆さん、そして僕のやったことで傷ついた皆さんに謝りたいです。
僕自身だけではなくレースというスポーツのイメージまでだめにしてしまった。本当になにもかも台無しにしてしまいました。
本当の僕はそんな人間じゃないんです。僕のことを良く知っている人たちはみんなわかってくれてます!
レースを始めてからずっと僕はいいライダーであろうと努力してきました。去年の僕は数少ないペナルティを受けなかったライダーの一人でしたし、誰かの命を危険にさらすこともなかった。それどころか僕は危ないライダーや危ないライディングスタイルについて指摘もしてたんです。
僕が直情的な性格なのは確かです。それは自分でも良くないと想ってます。でも僕がやろうとしてたのは、僕みたいなライダーを怪我させて思い知らせることじゃなく、どれほど危険なのかをわかってもらって、そして僕にしたようなことを彼に対してやってみせることだってできたったわかってほしかったんです。
自分は悪くなかったと言うつもりは全くありません。僕のやったことはどうやっても正当化できないし、だから全ての人に謝りたいと思います。
そして今の僕は、自分を省みて、考えを整理する時間を与えてもらったんです。
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うーん、DV夫とかと同じで、一瞬優しくなってもなー、みたいな気はします。ヘルメット投げたりマシンを放り投げた上に蹴ったりならともかく、人の命を危険にさらすようなことを考え無しにやっちゃうのはヤバい。VR46をクビになったのも、何度も注意しても改まらなかったんだろうな…。きらいじゃないんですが…。

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