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女の子たちが私をお手本にしてくれるなんて、本当に誇らしい

MotoGP公式が時々アップしてくれるGPシーンで働く女性たちの記事、#WomenInMotoGP。ずーっと訳そうと思ってたのですが、始めなければ始まらないので始めます。順番は違うのですが、とりあえず最新記事を。

セテ・ジベルノーに憧れていた少女が長じてMotoGPの現場に身を投じ、今はSic58のMoto3チームのテレメトリー技術者をやっているという、パトリシア・パチェコ(Patricia Pcheco)氏の物語です。

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  MotoGPの現場にはテレメトリーの技術者はわずかしかいないが、しかしそんな状況もパトリシア・パチェコのおかげで変わりそうだ。 パトリシア・パチェコが携わっているのはピットの中でも非常に重要な仕事の一つである。テレメトリー技術者というのはマシンのデータをやはり技術者である上司とともに分析し、レースに向けてライダーに採るべき戦略を提案するのだ。パトリが一緒に働くのは、ついこないだまでティーンエイジャーだったようなライダーたちだ。いつも肩にずっしりとプレッシャーを感じている彼らは時にとんでもなく扱いにくいこともある。しかしライダーの緊張が高まる中でもいつもと変わらぬ自然体でコンピュータからデータを読み取ることのできる彼女は、その同じ力を使って、才能に溢れた彼らがチャンピオンをつかみ取れるよう静けさと集中力を取り戻すために正しい言葉を掛けることができるのだ。 彼女の物語は1989年のマドリードから始まる。こどもの頃、彼女はアイドルであるセテ・ジベルノーを応援しながらGPのテレビ中継にかじりついていた。「いつかライダーがマシンをおりて最初に声を掛ける人間になりたいと夢見てたんです。もっと競争力をつけるための解決策がほしいとライダーがこっちを見るような、そういう人間になりたかったんです」。まだそれがただの夢で、とても実現するとは思えなかった頃を思い出して彼女は微笑んだ。 「小さい頃から数学と物理が得意で、だから航空工学を学ぶことにしたんです。そしてマドリードで何年かその世界で働きました。専攻した分野でインターンをやって、その契約終了を待ってそのまま雇ってもらえることになっていたんです。でも本当のことを言うとやりたいこととは違っていたんです」 彼女が情熱を持てるのはいつだってバイクだったのだ。そしてあの幼い頃の夢はかなってしかるべきだった。少なくともパトリは諦める前にあらゆることを試すべきだと思ったのだ。「テレメトリー技術者になるために当時私に頭に思い浮かんだ唯一の道がバルセロナに引っ越してモンラウ校*に通うことでした。それで家族から離れて、堅い仕事も捨てて、未知の世界に向けて新たな冒険を始めたんです」 バルセロナでのパトリはエネルギーと時間を全て勉強に費やし、その結果FIMスペイン選手権で仕事を得ることができた。「プレMoto3選手権での最初の年にセルヒオ・ガルシアと一緒にタイトルを獲得したんです。最終戦はもの凄くテンションが高かったですね。めっちゃ集中してました。だってそのために1年間やってきたわけですから。最終ラップに入ったところでうちのライダーは10台のトップ集団の最後尾で、もう諦めかけたんですけど、6つポジションを挙げて、それでチャンピオンになれたんです。パルクフェルメについた時には喜びではち切れそうだったのを覚えています」。そこで満足のいく結果を得た彼女は、さらなる高みを目指すことにした。 「スペイン選手権は素晴らしくって、チームも凄く居心地が良かったんですけど、世界選手権で働きたかったんです」。そのチャンスはすぐにやってきた。そしてパトリは自身が持っていた苦手意識を克服することになる。「パオロ・シモンチェリがテレメトリー技術者を二人捜してるって知ったんです。一人はスペイン選手権用、もう一人は世界選手権用だったんですけど、パドックでパオロにあったときはまず人見知りな自分の殻を破って一歩前に出ることにしました。イタリア語もしゃべれなかったんですけどね。最初パオロが私に提案したのはスペイン選手権の仕事でした」 しかし言葉はまだうまく操れないにもかかわらず、パトリは自分を理解してもらうことができた。固い決意と、どんな限界を前にしても立ち止まることのない彼女の態度のおかげだ。すぐにSIC58スクアドラ・コルセのオーナーであるパオロ・シモンチェリは、彼女こそが自分の探していた人材だと気付くことになる。 2018年に世界選手権の軽量級クラスで働き始めて以来、彼女は常に鈴木竜生と共に4つのポールポジション、2つの勝利を含む4つの表彰台を獲得している。近年さらに成長を遂げた彼女に対して、パオロ・シモンチェリは2020年のSIC58のスペイン選手権チームのテクニカルマネジャーを任せ、フリアン・ガルシアとセナ・アギウスと共に頂点を目指すことにした。 スペイン選手権でも世界選手権でも、パトリのレースは水曜のピットの設営から始まる。そして木曜にはライダーと、そしてMoto3世界選手権チームのテクニカルマネジャーであるマルコ・グラーナとともに去年のレースを見てデータの確認を行う。ライバルの強さがどこにあるのか、コースのどの場所で誰が速かったのか、どんなミスが致命的になるのか、そしてマシンのセッティングはどうするかといったことを、あらゆる詳細にわたって分析するのだ。そして金曜には朝早くにサーキットに現れてショーを始める。 「タツがコースから戻ってくるとマシンにコンピュータを繋いでデータをダウンロードします。ライダーがうちの技術者のマルコにマシンの感触を語っている間、私はスロットルを開けるのを遅らせるより早めにブレーキを掛けた方がいい、とかいったことを裏付けるデータを探しているんです。セッションが終わると私たちはあらゆる情報を注意深く分析して翌日の戦略を決定します」 パドックで働き始めて数年を経て、パトリはMotoGPファンにはお馴染みの顔になっている。「サーキットにやってくると、小さな女の子が立ち止まって、両親といっしょに、どうやったら世界選手権で働けるのかってきいてくることがよくあるんです。そうやって私の話を聴いてもらえるのって、すごくドキドキしますね。私が成功したってことなら、どんな女の子でもできるってことなんだと思うんです。でも、何年か前の私がそうだったかもしれない女の子たちが私をお手本だと思ってくれるなんて、本当に誇らしいですよ」 テレメトリー技術者としての仕事を上手にこなすにはライダーとの信頼関係が重要である。彼女の場合は技術的な知識に女性特有の繊細さを加えることで、恐怖を感じたり絶望的瞬間を味わったりするのは当然のことだとライダーたちを納得させることができる。そのおかげでライダーたちは誰もが情熱の炎を絶やすこと無くモチベーションを保ち、フィニッシュラインを最初に駆け抜けるために再び気持ちを新たにすることができるのだ。パトリの物語は彼女の強さについての物語でもある。そしてバイクを大好きな若者たちがレース現場で生きていくという夢を叶えるためならパトリはその経験を喜んで共有するだろう。 *:モータースポーツの技術者を育成するために1997年に創設されたモンラウ・レプソル・技術学校(リンク先:英語)のことかと。 

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おそらく英語以外で書かれた文章を翻訳しているらしく、人称代名詞が多少混乱しているのを文脈から判断して補ったりしてますが、それにしても「女性特有の繊細さ」とか微妙な表現だなぁ…。いや原文も「 the sensitivity that distinguishes women」なので誤訳ではないと思うのですが。 さて、このシリーズですが、スズキ・エクスターの広報、塚本肇美氏とかも取り上げられてるので、わりと良いペースで訳していきたい所存。お楽しみに。

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