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MotoGP:電子制御と加速

昨日訳したMotoMatters.comでもロッシが「うちの問題はマシン自体より電子制御。割合で言えばマシン25、電子制御75」って言ってましたが、そこをさらに掘り下げたPeter McLaren氏の記事をCRASH.netより。
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冬期テストの頃からヴァレンティーノ・ロッシが繰り返し強く主張していたのは、ヤマハは電子制御に手を入れて加速を改善すべきだということである。

「ドゥカティはみんな加速がいい。それは彼らがうちより電子制御でかなり前に言ってるからなんですよ」。これは彼が2月に言っていたことである。「MotoGPが統一電子制御になってから問題が出始めたんです。ホンダとドゥカティは僕らが知らないことを知っている」

別の場面ではこうも言っている。「去年ホンダとドゥカティは電子制御分野に資金も人員も投入したんですよ。ヤマハはそこが充分じゃなかったんでしょう。それで遅れをとって…。
 がっかりですよ。だってその他の部分では良くなってるんですから。僕の理解では電子制御をなんとかするのって時間が掛かるんです。ブラックボックスが相手ですから」

先週末は滑りやすいスペインの路面で苦労続きだったロッシはM1の問題は25%程度が機械的なもので75%が電子制御の問題だと指摘している。

そして月曜のテストを終えた彼はこう言っている。「加速については少しは前進しましたね。でも最初の一歩を踏み出したに過ぎない。バルセロナ以来、やっと重要な部分に手を着けられたってことだといいんですが」

しかし電子制御はソフトもハードも共通である。ではメーカーはどうやって電子制御から加速力を引き出すことができるのだろうか?

MotoGPの技術監督、コラード・チェッキネリによれば「参照用数値で決まる」のだそうだ。

説明しよう。電子制御ユニットの働き(つまり計算し、設定を入力し、その上で機能する)は同じである。各メーカーはそれぞれのマシンに合わせて「もしこうなったらこうしろ」と決めるための何千もの数値をシステムに入力するのだ。

この数値がチェッキネリが言う「参照用数値」である。

2006年から2010年までドゥカティのレース部門の副総監督だったチェッキネリはCRASH.netにこう語っている。

「いわゆる『シャーシ制御プログラム』と呼ばれるトラクションコントロールとウィリーコントロールは同じ機能を使ってるんです。つまり、センサーからの情報とインプットして、そのインプットに基づいてトルクを削るように命令を出すんです。
 この命令はもちろんマシンが限界に達していなければ「0」として出力されます。
 それぞれの機能が拮抗していて、だからウィリーじゃなくてリアが空転している時にはトラクションコントロールの方が優位になってトルク削減を最大にもっていく、つまり後輪に伝わるトルクは最小になるんです」

これはあくまで直線での加速の場合だ。

「通常機能するのはトラクションコントロールとウィリーコントロールなので、そのセッティングを行います。スタートにはローンチ・コントロールですね。
 ストレートで加速しているとトラクションコントロールとウィリーコントロールが並行して介入しています。どちらかがトルクを削らなければと判断すると、トルク削減の命令を出すわけです。
 一番わかりやすいのはドライコンディションでの直線加速ですね。その場合はウィリーの方が先に限界に来ます。
 そのときウィリーコントロールの参照用数値が低すぎたらどうなるでしょうか?マシンがウィリーする前にトルクを削りに掛かるかもしれないし、ウィリーが問題となるほどでない段階で削りに掛かってしまうかもしれない。そうなると加速が鈍るわけです。
 これは公道用の4輪でよくある話ですね。すぐにトラコンが介入するんで、それが無い方がうまく走れるってなったりしますよね。それが無い方がいいって思うでしょ。まあたいていは間違いなんですけどね。
 そんな感じでヤマハのライダーが、自分のマシンが本来ならもっと加速するはずだって思ったら、マシンのポテンシャルをフルに発揮できるようなセッティングをしろってエンジニアに要求するわけですよ。
 これって限界のこちら側にどう留まるかのせめぎ合いなんです。そしてぎりぎりまで限界に近づかないといけない」

ECUの参照用数値がどれほど重要かはわかったが、ではメーカーはどうやって適正な数値を見出すことができるのだろうか?

「主に計算なんですけど、試行錯誤も少しは必要ですね」というのがチェッキネリの返答だった。

「机上ですべてを計算し尽くすことはできないんです。だって実際にサーキットに来たら路面に埃は浮いているし、路面温度やタイヤもその時によってそれぞれですからね」

さらに面倒くさいことに、この参照用数値はサーキット毎に設定しなければならないのだ。

その設定値をできるだけ早く見出すために、特にサーキット入りしてからの数値変更のために、メーカーはシンプルなインターフェイスを用意してこうした数値をまとめていじれるようにしている。

「普通メーカーがやっているのはインターフェイスの開発ですね。自分たちで計算するためのツールと私たちが供給する参照用数値設定ツールの仲立ちをするものですね。それがあるとソフトウェアの使用している言語で参照用数値を設定しやすくなるんです。みんなそれぞれ自分専用のインターフェイスを作って参照用数値設定ツールをいじってるんです。
 例えば進角を1°進めるとトルクがどう減るかを理解するためにはエンジンの状況をかなり精密にシミュレートできないといけない。でもそれは別のプログラムの話なんです。そうやって参照用数値を設定していくんですよ」
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めんどくせー!(←シングルエンジンのキャブセッティングで気が狂ってた)

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コメント

元HRCの中本さんによれば、どのパラメーターが
どこに紐づいているとか、そういう説明が一切ないから
結局、マニエッティのエンジニアを引き抜くことになるんでしょうね。
ソフトウェアの階層、紐づけがわからないとセッティングの
しようがない。
しかも不定期にVerアップされるという・・・。
共通ソフト導入の時にはそういう説明は一切されなかった
という乱暴さ。

投稿: ブラインドカーブ | 2018/05/11 09:51

先日のよしなごとを見てヤマハも改善なったんだろうなと思ったんですが、、、残念でした。
やっぱり、どうしても考えちゃうのはザルコの快走ですよね。
ロッシはともかくマーベリックとザルコは体格がほぼ一緒。
なのに、この差の原因は、やはり乗り方の違いでしょうかね。
二人のテレメンタリーを比べるとか、もうとっくにやってるんでしょうけど悩ましいです。
ライティングスタイルなんて、そう簡単に変えられないでしょうし。
変えたとしても同じ速さを出すのは至難の技でしょう。
今、ホルヘが苦しんでいるように。
磐田の人達には頑張ってもらわないとですね。

投稿: motobeatle | 2018/05/11 20:39

>ブラインドカーブさん
 結局そうなんですよねぇ。でもそれ説明するのも難しそうですし…。

投稿: とみなが | 2018/05/13 00:48

>motobeatleさん
 なんかヘレス編のよしなしごとを読むと、いっそヴィニャーの方がドゥカティに向いてるかもですね。それもちょっと見てみたいですが。

投稿: とみなが | 2018/05/13 00:49

多分、ソースコードレベルまで分解して
差分リストを出せば変更点は把握できるんでしょうけど
そもそもMOTOGPの戦いなのに、プログラムを
一生懸命解析している時点で、本来の目的から
かけ離れてしまっている感が強いです。

そんなことで勝ち負けが決まるってどうなの?って意味で。

投稿: ブラインドカーブ | 2018/05/13 11:00

>ブラインドカーブさん
 ですよねぇ。道具の総合力ならともかく、お仕着せのパーツの使いこなしで決まっちゃうってのは…。いっそミシュランタイヤみたいに誰にとってもギャンブルならいいんですけど。

投稿: とみなが | 2018/05/17 21:36

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