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スズキかヤマハか:悩めるマルクVDSチーム

どうせロッシが率いるVR46に席を譲ることになるのだろうからスズキでほぼ決まりと思われていたマルクVDSチーム。オースチンで発表があるとも言われていましたけど、まだ決まっていない様子です。そのあたりの事情をMotoMatters.comより。
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ヤマハからKTMに乗り換えるとテック3が決断したのを受けて大きな地殻変動が起こりつつある。ヤマハのサテライトマシンに空席ができた上にスズキもサテライトチームに供給できる体制を整えてきたということで、これまで考えもしなかった可能性がサテライトチームに広がっているのである。これほどの贅沢な状況は現在のMotoGPの健全性の象徴とも言えよう。かつてはヤマハにしてもホンダにしてもサテライトチームが他のメーカーに乗り換えるなどということはとても考えられなかったものだ。今では4メーカーの中から戦闘力のあるサテライトマシンを選べるのである。

では2019年以降のヤマハのサテライトマシンを手に入れるのは誰なのだろうか?そしてその結果としてどこのチームがスズキを手に入れるのだろうか?この状況の真っ只中にいるある人物によれば、現時点では何一つ決まっていないように見えるとしても近々決断が行われるだろうということだ。ヘレスで予定されているいくつかの会合で来年のサテライトマシンの椅子取りゲームがかなり整理されることにだろう。

このすべての鍵となるのがマルクVDSチームである。ベルギーに拠点を置くこのチームは財政面も安定しておりスタッフも豊富で、さらに優秀なライダーのおかげで相手を自由に選ぶことができる立場にある。チームはホンダを離れたいという気持ちを隠そうともしていない。これまで受けたサポートのレベルの低さに失望しているのだ。しかしこの2か月ほど彼らはヤマハとスズキの間で迷っている状態である。

決めなきゃ決めなきゃ

オースチンのMotoGPレースの1週間前、ドイツ語ウェブサイトのスピードウィークがマルクVDSチームがスズキとの3年契約をテキサスのレースで発表するという記事を掲載した。しかし実際にはそうはならなかった。そしてまだ決定はなされていない様子である。状況を良く知る情報源によれば、スズキとヤマハのオファーがそれぞれ利点と欠点があるため、チームボスのミハエル・バルトレミーも決めかねているということである。

外野の目からはそれほど難しい決断ではなさそうに見えるが、複雑な要素が絡み合っているのである。わかりやすいところでは、それぞれのメーカーが供給しようとしているマシンの性能差である。さらにヤマハなりスズキなりがマシンを走らせるためにどれほどのサポートをしてくるかについてもはっきりした差がある。

とは言え、他にも考えなければならないことがある。サテライトチームとしてメーカーと契約するということは、単に金を払ってマシンとエンジニアを手に入れるということに留まらないのだ。メーカーはそれぞれ独自の部品供給元やスポンサーを抱えている。そして新たに加わるチームにはこうしたパートナーとの整合性も求められるのである。メーカーが要求するこうした整合性を自チームの既存のスポンサーとの間で成立させるのは非常に難しいのだ。わかりやすい例を挙げよう。スズキのメインスポンサーはスズキの所有するオイルブランドであるエクスターであり、一方のマルクVDSチームは長いことトタルを潤滑油のスポンサーとしているのである。

サービスレベル保証契約

スズキとヤマハはどんなマシンを供給しようとしているのだろう?スズキと契約する利点は、スズキのレース部門が小規模であるおかげで異なるスペックのマシンを製造・供給できるほどの体力がないということである。つまりスズキとサテライト契約を結ぶチームにはおそらくワークスチームとほぼ同じマシンが供給されるだろうということだ。スズキが2008年以来の連続表彰台を獲得したことを思えば、供給されるマシンの戦闘力が高いのは間違いないはずだ。

ヤマハはこれまでサテライトチーム(テック3)には前年型マシンを供給するという方針を維持してきた。しかしヤマハ・レーシングのマネージング・ディレクターであるリン・ジャーヴィスが私に語ったところでは、ヤマハもその方針を再検討するのにやぶさかではないということである。

HRCとLCRホンダのカル・クラッチローの関係やドゥカティとアルマ・プラマック・ドゥカティのダニオ・ペトルッチとの関係と同様に、ヤマハもワークス契約のライダーにはワークススペックに近いマシンを供給するということだろうか?「そういうことです」とリン・ジャーヴィスは答えた。テック3のヨハン・ザルコが今年受けているサポートを見ればわかるだろうということだ。「ヨハンのマシンを見ていただければわかると思いますけど、あれは普通のサテライトマシンじゃないんですよ」

外部から見る限りザルコのマシンはマーヴェリック・ヴィニャーレスやヴァレンティーノ・ロッシが乗るモヴィスター・ヤマハのワークスマシンに非常によく似ているように思える。ザルコが使っているのはワークスと同じ空力パーツ、そして通常サテライトに供給されるものより回転数制限の緩い2018年型エンジンなのである。

マルクVDSになるのか他のチームになるのかはともかく、ヤマハがチームに供給するマシンのスペックはチームの予算で決まるのだとジャーヴィスは教えてくれた。良いライダーを抱えた強いチームの銀行口座が健全であれば、財政的に厳しくスタッフも限られているチームより良いマシンを手に入れられるということである。

サテライトかサテライトでないか、それが問題だ

ヤマハがマルクVDS以外のチームとも交渉しているのは公知の事実だ。しかしジャーヴィスによればヤマハが走らせるのがワークスの2台だけになるという可能性もあるとのことである。「まあ、そうしたいわけではないですけどね」とジャーヴィスは言った。「4人のライダーからデータを得られるというのは、ヤマハにとってもライダーにとっても良いことですからね」。そしてこれにはプライドとイメージ戦略もからんでくるのだというのがジャーヴィスの説明だ。これまで常にサテライトマシンを供給してきたヤマハにとっては、サテライトチームを失うことに利点はないのである。とは言え、もし良いパートナーとなるチームがみつからなければ、ワークス2台のみということもあり得るのだそうだ。

一方スズキはマルクVDSのみをターゲットとしている。「うちが交渉している相手はマルクVDSだけですよ」。スズキは他のチームと交渉しているのかと問われたダヴィデ・ブリヴィオはこう答えている。「もしマルクVDSと合意に達することができなければ一からやり直しですね」。

スズキはヘレスでマルクVDSとの最終合意をとりつけられることを望んでいるとブリヴィオは言う。「ヘレスで決められるといいと思っています。(チーム監督の)佐原(伸一)サンが日本から来るんで、そこでミーティングを行う予定なんです」

ヤマハのスケジュール感はそれよりやや長めである。ヤマハとして決定する期限は「どんなに遅くても6月終わり」とリン・ジャーヴィスは私に語っている。その時期が来シーズンに向けての製産予定を組むための期限だということだ。

宙ぶらりん

現時点ではどちらに転ぶか見極めるのは難しい。マルクVDSは最終的にスズキだろうというのが関係者の話を聞いた上での私の精一杯の予想だが、難しい決断であるだけに、どちらに転んでもおかしくはない。

いずれにせよ最も大事なのは、チームがMotoGPに連れて行きたい若いライダーにどれだけ入門に適したマシンを供給できるかということである。フランコ・モルビデリはマルクVDSと2年契約、つまり2019年もチームに留まることになっている。一方ホアン・ミルもMoto2は1年で卒業して、できるだけ早くMotoGPに行きたいという希望を公言している。ヤマハはMotoGPルーキーに優しいマシンだという定評があるが、マーヴェリック・ヴィニャーレスとアレックス・リンスがスズキでみせた進歩を鑑みれば、GSX-RRも同じくらいルーキー向けマシンだと言えよう。
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私としてはスズキを選んでほしいなあ。いや、私も微妙に鈴菌なので。

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