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2017ヴァレンシアMotoGP決勝まとめ:思うようにならないチームオーダー、そして奇跡

お待たせしました。テストがはさまったので次のシーズンが始まっちゃった感じですが、MotoMatters.comの超長文まとめをいきます。
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様々なドラマが交錯したシーズン。最終戦がその掉尾を飾るべく、やはりドラマに満ちた戦いとなるのも当然だろう。タイトルの行方については当然のように予想通りの結果となった。マルク・マルケスは21ポイントという大差をつけてヴァレンシア入りしたのだ。それでも彼は11位以上でゴールしなければアンドレア・ドヴィツィオーゾが勝利を逃すのを祈ることになるという状況だったのだが。

予選終了時点ではマルケスにとってかなり有利な状況となっていた。彼はポールを獲得し、ドヴィツィオーゾはグリッド3列目に沈んだのだ。二人の間にはドヴィツィオーゾがトップを目指すのを阻むように強力なライバルたちがひしめいている。それどころではない。彼らは彼らで当然の権利としてドヴィツィオーゾから優勝を奪い獲るかもしれないのだ。

レース終了を告げるチェッカードフラッグが振り下ろされるまで、ギリシアの叙事詩のように様々な出来事が続けざまに起こっていた。チームオーダーと裏切り、クラッシュとクラッシュ寸前でのリカバリー、策謀と隠蔽、密かなマシン変更、誰もが予想しなかったほど上位でゴールする一群。味わい深い勝者、勝利に見放されたライダー、そしてタイトル決定。ヴァレンシアまでの17レースも多くの語るべきことがあったが、最終戦はこれまで以上に多くの物語に満ちている。

戦略と戦術

ある意味21ポイント差というのがレースを少々複雑にしたという一面はある。4度目のMotoGPタイトルを狙うマルク・マルケスにとっても、2007年以来のタイトルを目指すドゥカティにとっても戦略こそがすべてだった。集中を切らさないことに望みを繋いでマルケスはリスクを冒してでも序盤でプッシュし勝利を狙うべきだろうか?10番手辺りを安全に走るべきだろうか?しかしその場合集中力を切らして取り返しのつかないミスをする危険はないだろうか?転倒のリスクを冒して前に抜け出るべきだろうか?それとも血気盛んなアンドレア・イアンノーネやヨハン・ザルコのいる危険なトップ5辺りで留まるべきだろうか?

ドゥカティにとっても難しい決定が待ち受けている。まずやらなければならないのはドヴィツィオーゾをできるだけ前に行かせてトップを狙えるようにすることだ。しかし前にはチームメイトのホルヘ・ロレンソがいる。ロレンソを先に行かせてドヴィツィオーゾがトップに絡んできたら譲れる位置を確保させるべきだろうか?ロレンソにドヴィツィオーゾを引っ張らせて、できるだけ前まで一緒に行くべきだろうか?それともすぐにでもドヴィツィオーゾに道を譲って後は彼に任せるべきだろうか?

他にも考えるべきことはある。ダニ・ペドロサは自身が勝利することでチームメイトを助けることができる。アンドレア・ドヴィツィオーゾの前でゴールするだけでも充分だ。ヨハン・ザルコは初勝利を渇望しているし、アンドレア・イアンノーネはスズキでの初表彰台を狙っている。しかしどちらもタイトル争いに変な形で絡みたいとは思っていない。

誰が決めるのか?

あらゆる戦略やら何やらがこれにかかわるメーカーやチームで検討された。上手くいかなかった場合の対策も作られ、チームボスはライダーと話し、ライダーはチームと話し、ライダーとチームの間でピットボードに何を掲示するかが決められる。ワークスはダッシュボードメッセージを決め、ライダーにその意味が伝えられる。

しかし、どんな戦略を作り上げようとも、最後に何をするかを決めるのはライダーだ。ライダーはピットボードやダッシュボードのメッセージを無視することができるのだ。コンディションが悪ければマレーシアでのホルヘ・ロレンソのようにメッセージを見逃す可能性もある。ことによったら敢えて無視した上で、見なかったと言い張ることさえするかもしれない。

抵抗を突破する

スタートランプが消えるとマルク・マルケスの戦略が明らかになる。彼は前に出ることにしたのだ。彼はスタートダッシュを決めるとトップを狙う。しかし2列目からスタートしたチームメイトにはかなわなかった。二人は1コーナーに向けてマシンを倒し込んでいくが、ペドロサがマルケスのリアホイールに危うく接触しかけたほど接近していた。

2台のホンダに続くのはアンドレア・イアンノーネだ。その後ろをホルヘ・ロレンソとヨハン・ザルコが追いかける。しかし優勝を狙うザルコは11コーナーまでには優雅にアンドレア・イアンノーネのインにマシンを滑り込ませて3位に順位を上げる。

イアンノーネの後ろにはホルヘ・ロレンソが迫っていた。そしてその後ろにいるのがアンドレア・ドヴィツィオーゾだ。ドヴィツィオーゾは思い通りのスタートを決め、6位に上がりチームメイトの後ろにぴたりとつける。2周目にロレンソがイアンノーネを抜くとドヴィツィオーゾも2つのコーナーをクリアするころにはそれに続く。トップの5人、レプソル・ホンダ、ワークス・ドゥカティ、そしてテック3のヨハン・ザルコが後続を徐々に引き離し、勝利の行方はこの5台に絞り込まれる。つまりタイトルの行方も彼らが決めることになったということだ。

ネタバレ注意

早めにトップに立って後続を引き離そうというのがマルケスの計画だったとしてもそれに付き合う気はヨハン・ザルコにはさらさらなかった。ザルコはすぐにダニ・ペドロサを抜くと2周にわたってマルケスを追いかける。彼は6コーナーでマルケスを抜くとすぐにギャップを広げ始めようとする。彼はマルケスを引き離すことはできなかったが、しかしマルケスのアタックを怖れなくても良いくらいの速さは保ち続けることができた。

ザルコとマルケスは少しずつペドロサを離していく。一方ペドロサの後ろにはワークス・ドゥカティの2台が迫っていた。ロレンソはペドロサを追いかける。しかし後ろのアンドレア・ドヴィツィオーゾは明らかに苛立ちを増しながらチームメイトの後ろを走っていた。ドヴィツィオーゾはコース前半でロレンソに近づくが後半では少しだけ遅れてしまい、最大の抜きどころである1コーナーでアタックを掛けられる距離までどうしても近づくことができない。

“推奨”マッピング

これがレースの序盤1/3ほどにわたって続く。そしてロレンソがペドロサから離れ始めるとワークス・ドゥカティの我慢も限界に達する。ロレンソのダッシュに「推奨マッピング:マッピング8」と表示される。セパンで現れたメッセージと同じだ。

エンジンマッピングを変更した方が良いという穏やかな提案だろうか?レース序盤でタイヤのエッジがたれてしまったとでも?ロレンソがドヴィツィオーゾに道を譲るために進路を変えなかったということはそれが正しいというのもいかにもありそうなことだ。しかし5ラップ後に同じメッセージが表示される。つまりもうごまかす気はなくなったということだ。そしてその1周後にはロレンソのピットボードに順位を落としてドヴィツィオーゾに譲るよう指示がでる。ドゥカティとしてはこれ以上はっきりしたメッセージは出せなかっただろう。

ダッシュボードに表示される暗号も、ピットボードでのはっきりしたメッセージもしかし何ら期待された効果を発揮しなかった。ホルヘ・ロレンソはドヴィツィオーゾに道を譲ることなく前を走り続ける。彼はむしろペースを上げてペドロサに再び近づき始めたのだ。彼はドヴィツィオーゾをスリップに従えている。その間もダッシュボードとピットボードの両方でメッセージは表示され続ける。しかしロレンソはそれを無視し続ける。にもかかわらずドヴィツィオーゾは今やレース中のベストポジションまで上がってきたのだ。チームメイトの肩越しにはペドロサが見える。そしてそのすぐ前にはザルコとマルケスがいる。

この状況がメディアの間に議論を巻き起こしたのだ。チームオーダーとそしてドゥカティが心からロレンソをそれに従わせたかったことについてだ。しかしその議論はすべてチェッカードフラッグが振り下ろされて後の話だ。レースの女神はまだ驚きのネタを一つか二つ用意していたのである。予想されていた以上にレースが面白いものとなったのだ。

バトルが始まる

レースがその2/3にさしかかる頃、ダニ・ペドロサが徐々にマルケスとザルコに近づき始める。これをきっかけとしてマルケスは自分の選択肢を再検討し始める。彼は自分のペースがザルコに勝っていることに気付いていた。そしてザルコの後ろを走り続けることで集中力が途切れかけていることにも気付いていた。「彼の後ろを走ってるとき、自分はもっと行けるって思ったんです」とマルケスはレース後に語っている。「集中も切れそうでした。あり得ないようなミスも何度かしてたんです。自分のペースで走れてなかったらですね。そんな時、彼がミスをして僕が抜いて、でも彼はアグレッシブでしたね」

マルケスとザルコはその前も順位を入れ替えていたが、ザルコはマルク・マルケスやヴァレンティーノ・ロッシと同じ流派に属している。誰かに抜かれたら抜き返さずにはいれられない一派だ。二人のホンダとヤマハはダンスをするように2コーナーから4コーナーまでを駆け抜ける。ザルコがマルケスのインにねじ込み前に出る。マルケスの心が乱れているのは明らかだった。抜かれた後の彼は一旦後ろを振り向いてドヴィツィオーゾがどこにいるのかを気にし始めたのだ。

4周後、ザルコの直後につけたマルケスはチャンスを見逃さなかった。最終コーナーでザルコが僅かにアウトにはらんだのだ。マルケスにとってはそれで充分だった。過去何年もホンダは14コーナーではヤマハに歯が立たなかったのだが、ビッグバンエンジンが状況を変えたのだ。マルケスはクロスラインでザルコの前に出る。しかしザルコがついている音も聞こえていた。ザルコのM1が急速に近づいてくる音でマルケスの心はかき乱されることになる。

マルケススタイル

「僕が彼を最終コーナーで抜いたときは怖かったですね。彼のマシンがすごく近くにいる気がして、それでブレーキを遅らせてヤバい状況を避けようとした。でもそのせいで自分がヤバいことになったんです」。そのヤバい状況とはマルケスがレース後に語ったとおり、“マルケススタイル”そのものであった。彼は1コーナー進入でフロントを滑らせる。そしてフロントホイールは左側にフルロックしたのだ。マルケスはマシンを膝と、そして肘で支えながらなんとかフロントがグリップを取り戻すことを祈る。その間もフロントはロックしたまま白煙を挙げている。ついにリアがグリップを取り戻すと彼はマシンを起こして1コーナー外側のアスファルトから飛び出していく。どうにかマシンをコントロールしながら彼はグラベルに突っ込み、そして2台のドゥカティの数秒後ろでコースに復帰して見せた。

マルケスはレース後にこの一連の動きをこう分析している。「ストレートエンドで1台すごく僕に近づいてくるような気がして、それでブレーキを遅らせすぎたんです。これが最初のミスですね。そしてコーナーにも速く入りすぎた。で、突然小さくチャタリングが起きたんです。このチャタリングには今週末ずっと悩まされてたんです。そしてフロントが滑った。フロントが滑って、OK、とにかく最後までマシンを離さないようにしようって思いました。グラベルで止まるか壁まで行くかはわからないけど、とにかくマシンを離さないようにってね」

マシンにしがみつきながらもマルケスは転倒しないかもしれないと気付いていた。「フロントは滑ってましたけどリアはまだグリップしてることに気付いてたんです。フロントはいっちゃったけどリアはまだ大丈夫。で、肘で立て直せるなってなって、肘と膝を全力で突っ張ったんです」。この週末を通じて彼にかかっていたプレッシャーレスのせいでこんなことが起こったのだとしても、彼を救ったのもそのプレッシャーだ。「ここから立て直せたのはレースの緊張感のおかげですね。マシンの上で硬くなりすぎてはいました。でも同時に感覚も研ぎ澄まされたままだったんです。それでマシンを立て直して、またマシンを寝かせてアスファルトの上に留まるって手もあったんですけど、グラベルに入ってでも5位に留まる方が良いって思ったんです」

(ほぼ)不可能を可能にする

しかし転倒寸前からのマルケスの復活はドラマチックな幕切れに向けての前奏曲にすぎなかった。彼がコースに復帰する一方、ドヴィツィオーゾのタイトル獲得のチャンスが僅かながら広がることになる。このままマルケスが5位に留まれば優勝してもタイトル獲得は不可能だ。しかしドヴィツィオーゾにはそれ以外の選択肢はないのだ。「その時点でもう僕はほぼ終わってましたね。でもマルクがミスをするのを見て、もう表彰台なんてどうでもいいから勝ちに行こうと思ったんです。そこまでのペースはなかったけど、でもその時は全力を尽くしてました」

それ以前にホルヘ・ロレンソはペースを上げて前を行くダニ・ペドロサを追走していた。ドヴィツィオーゾがそれを追いかける。頼れるのは自分だけだ。しかしペースの違いが明らかになっていく。ロレンソはペドロサをプッシュし始める。ドヴィツィオーゾをトップに連れて行こうとしているのかもしれないし、2005年以来の優勝無しという結果を怖れていたのかもしれない。

理由はどうあれ、彼は走り続けることはできなかった。5コーナーで無理をしすぎたロレンソは進入でフロントを滑らせ転倒してしまうのだ。マルク・マルケスとは異なりロレンソはフロントのスリップから復活できなかった。

グラベルへ
だからといって彼が何もしなかったというわけではない。「グリップが無くなり始めてフロントは終わりかけてました」とロレンソは説明する。「ハードを選んでも変わらなかったですね。070(原注:ムジェロ以来使われているフロントタイヤ)のサイドは前のより充分固くて、ハードだともっと固いんです。最後の5周で右コーナーではフロントが滑ってましたね。クラッシュしそうなところからから何度も立ち直って、でも最後は無理だった。ダニとザルコがすごく近づいてきて、ちょっとリスクを冒したらいっちゃったんです」

限界を超えたドゥカティライダーはロレンソだけではない。コーナー3つ後にはペドロサとのギャップを縮めようとしたアンドレア・ドヴィツィオーゾが8コーナーでマシンを止められないままグラベルに真っ直ぐ突っ込みスロースピードで転倒、タイトル争いに決着がつく。再びマシンにまたがりゆっくりドゥカティのピットに戻ってきた彼はヒーローとして迎え入れられる。そこでアンドレア・ドヴィツィオーゾは自分がドゥカティに愛されていることを知るのだ。そしてそれは当然のことなのだ。

全力を尽くしてレースを戦ったドヴィツィオーゾだが、最初はタイトル争いが絶望的になってしまうことを怖れていたと言う。「5周目を過ぎた頃からはずっと最後まで100%で走ってました」とドヴィツィオーゾは言う。「トップと同じペースで走れてましたけどレース中ずっと限界以上で走ってたんです。だからホルヘはクラッシュしたんだし、僕もクラッシュした。そこまでのペースでは走れなかったんです。いいところまでは行けたんですけどね。0.2秒とかそれくらいの差なんですけど、全力で走ってるときの0.2秒って大きいんですよ」

スムーズに走れるように

最初はロレンソが少々邪魔だったが、5周目以降にロレンソがペースを上げると彼についていくことで自分がスムーズに走れるようになったとロレンソは言っている。しかし彼がドゥカティGP17を曲げるのにかなり苦労しているのは明らかで、レース後はかなりぐったりしていた。かなりのエネルギーを費やさなければなかったようだ。「ホルヘは僕が予選までよりスムーズに走れるように助けてくれましたけど、それでスムーズに走れてたというわけじゃないんです。体力も使いましたしタイヤも使ってしまった。体力を使い果たしたせいでスムーズに走れなくなった。クラッシュするまではトップについていけたんですが」

最終的に彼はフロントタイヤと体力を使い果たしてしまったのだ。「8コーナーでかなり強くブレーキングしたのは得意なコーナーだったからです。でも突っ込み過ぎましたね。マシンを止められなくてリアが滑ってしまった。ワイドになって白線を踏んでコースアウトしてしまったんです。ずっと限界を超え続けて、それでも走れてたんですけど、結局こうなってしまいました」

ホンダ対ヤマハ

タイトル争いは終わったかもしれないがレースにはまだまだ決着がついていない。ダニ・ペドロサがヨハン・ザルコに追いつきはじめ襲いかかるチャンスをうかがっているのだ。彼は14コーナーで一度抜きにかかるが少々無理をし過ぎてはらんでしまい、再びザルコにインに入られてしまう。ザルコはヤマハの優れた脱出加速を活かして最終コーナーを立ち上がりホームストレートで差を広げていく。

しかしペドロサはあきらめていなかった。残り4周、ザルコを追いながらチャンスをうかがう彼は明らかに速さでは勝っていたのだ。しかしザルコも黙ってはいないだろう。もしペドロサがトップに立ちたければもう一段上を行くしか無いのだ。

ペドロサは最終ラップに入ったところに狙いを定めていた。ザルコの後ろ、スリップがきく位置につけた彼は、スリップから抜けると今週の彼が出した最速スピードでストレートを駆け抜ける。ザルコに並んだ彼はインをとるとブレーキングで前にでる。ペドロサは完璧なラインでコーナーに入り、ザルコは進入でワイドにはらむ。そしてほんの僅かリードが広がる。

それで充分だった。ペドロサが2コーナーで少しだけラインを外したときザルコは充分狙える位置まで近づいていたのだが、ペドロサはうまくリカバーしてみせたのだ。最終ラップで全力を尽くした彼はザルコが再び抜こうと思えない距離を保ったままゴールラインを駆け抜ける。今シーズン2度目となる素晴らしい勝利だ。そしてレプソル・ホンダのチームタイトルにさらにポイントを上乗せしたのだ。

穏やかでも偉大

ペドロサの優勝にはありがちなことだが、今回も歴史的な偉業にもかかわらずあり得ない程無視されてしまいそうだ。今回の勝利でペドロサはエディー・ローソンの持つ最高峰クラス31勝という記録に並び、ドゥーハンの通算54勝(ドゥーハンの場合はすべて500ccでの記録だが)にも並んだのである。1988年から1993年の黄金時代に活躍したライダーでいまだにトップ4以内に名を留めているのはドゥーハンだけだ。ヴァレンティーノ・ロッシ、ホルヘ・ロレンソ、マルク・マルケス、そして今ダニ・ペドロサがレイニー、シュワンツ、ローソンを上回っている。残りはドゥーハンだけだ。

ペドロサは今後も過小評価された天才で居続けるだろう。ヴァレンティーノ・ロッシ、マルク・マルケス、ホルヘ・ロレンソ、ケイシー・ストーナーの全てにキャリアを通じて安定して勝ち続けている唯一のライダーなのだ。彼がMotoGPタイトルを獲得していないと指摘するファンもいるが、それは彼が史上最高の4人のライダーに互して最高峰クラスで31勝を挙げているという事実を無視しているのだ。タイトルを獲れなかったライダーの名簿はもの凄く長いものだ、そしてMotoGPのエイリアンを相手に勝つ続けられたライダーはごく僅かしかいないのである。

今回の勝利もおそらく忘れられてしまうことだろう。記憶に起こるシーズンの議論になったレースのことを振り返ったときのトリビア問題になってしまうかもしれない。レース後にペドロサの勝利に語っていた人は僅かしかいなかった。ほどんどはチームオーダーやホルヘ・ロレンソがアンドレア・ドヴィツィオーゾを助けなかったことやマルク・マルケスのクラッシュ寸前からの復帰について語っていた。しかしダニ・ペドロサはそんなことは気にしないだろう。彼は勝利をおさめ、そして今ウインドサーフィンに向かっている。ペドロサが勝利を目指すのは自分を満足させるためであり人々の注目を集めるためではないのである。

ダメなハンドリング

ペドロサの優勝に陰を落としたのはそびえ立つ策謀の壁だ。まず最初の疑問はチームオーダーについてである。ドゥカティがロレンソのダッシュボードに「推奨マッピング:マッピング8」というメッセージを表示した際には「疑わしきは罰せず」の原則を通すこともできた。もちろんドゥカティがセパンでチームオーダーについて頭を悩ませていたことは間違いない。しかしそれとダッシュボードに表示されたメッセージの直接的な関係を証明することは難しかった。

ヴァレンシアで最初にロレンソのダッシュボードに同じメッセージが表示された時点で、それはほぼチームオーダーを暗号で表したものであることは確証できた。そして何度もそれが表示されるに及んで(実際にはレース中盤からはずっとダッシュボードに表示されたままだったようだが)疑いの余地は無くなった。そしてドゥカティはダッシュボードメッセージに続いてロレンソのピットボードには他に解釈のしようがない「一つ順位を落とせ」というメッセージを出している。ドゥカティはヴァレンシアのレースでチームオーダーを出したということだ。そしてホルヘ・ロレンソに順位を一つ落とすように命令したのである。

ドゥカティにとっての問題を大きくしたのはホルヘ・ロレンソがオーダーを無視したという事実だ。最初から最後までロレンソは後ろを走るドヴィツィオーゾに順位を譲ろうとはしなかった。順位を落とすふりすらしなかったのである。特に最初の数周、ドヴィツィオーゾは明らかにロレンソより速かったにもかかわらずだ。

だから前から言ってたじゃないか

これは驚くべきことではないのかもしれない。土曜に時点でチームメイトを手助けするかと訪ねられたロレンソは、助けるための条件を明確に示したのである。「それほど複雑な話ではなくてドヴィはまずトップグループにいるのが条件ですね。で、トップグループに彼がいたら後はトップグループのライダーがそれほど多くなくて彼にも勝つチャンスがあって、そして彼にとっては理想的な展開ですけどマルクが何かミスをするかトラブルがあるかですね。それはかなり難しいですけどまずは勝つこと、そしてマルクが12位以下でゴールすることが条件ですから。そう簡単には起こることじゃない。マルクがエンジンに問題を抱えるとかクラッシュするとかの方がありそうですね」

ロレンソは自分がドヴィツィオーゾを手助けする状況については明確なビジョンを持っていた。「まずは自分がトップグループに入るようにしないとね。そしてドヴィもそこにいて、で、マルクが何か問題を抱えていて、その上でピットサインかダッシュボードを見て、そうしたら手助けしますよ」。

コーポレートコミュニケーション

レースの展開のおかげでドゥカティはイメージ低下防止に向けて緊急対処が必要な羽目に陥ることになる。レース終盤の何周かを残して二人がピットに戻ってきたとき、まずはロレンソがドヴィツィオーゾのところに行って自分がやったことについて説明を始めた。テレビの画面ではドヴィツィオーゾがそれに反論することなく受け入れる姿が映っていたが彼の表情は明るいものだったとは言えない。

レース後、メディアの面々が押しかけたのは「例のスポンサーのホスピタリティ」と遠回しに呼ばれている場所だ。ライダーが何を話すか聞くためである。公式発表はもう決まっていて、当事者たちも説明を受けているのは間違いない。ジャーナリストたちはドゥカティのボス、パオロ・チアバッティが会社の公式見解をチームボスのダヴィデ・タルドッツィに渡しているのを目にしている。我々がチアバッティと話す時点ではチームの末端までその見解が浸透していた。

ドゥカティの公式見解のポイントはロレンソのダッシュボードに表示された「推奨」という言葉である。チアバッティはこう語った。「これはピットの視点からのライダーへの提案ですね。ライダーは私たちが他のライダーも見ていることはわかってるわけですし、今回について言えば、ドヴィと話してもらってもわかると思いますが、序盤は彼が速いコーナーもあったし遅いコーナーもあったと彼は考えている。でも見方を変えると彼のきれいなラインのおかげでドヴィは楽に乗れていたってのもあるんです。だから彼はペドロサに追いつくことができたと言っているし、残念ながら二人とも限界を超えてしまったとも言っている。そしてホルヘも、自分がマルケスにトラブルが発生するのを見たて、しかもトップに追いついたら間違いなく抜かせたって言っています。でもまずはトップグループに追いついて1位と2位の座を確保しなきゃならなかった。話はそれからだったんです」

私たちには見えないこと

チアバッティはテレビ画面で状況を判断することの危険性についても言及している。「正直言うとテレビ画面だけでは本当は何が起こっているのなんて絶対にわかりませんよ。ライダーが前との差を詰められると思って、もう一人がそれについていけると思っていて、そしてきれいなラインをなぞることで上手くいっていると思ったのならそれでいいと私は思ってますよ。ぜんぜん怒ってなんかいません。もしマルクがクラッシュしてロレンソが勝ってドヴィが2位なんてことだったらそりゃあ頭にきますよ。でも今回はそうはなってないんです。
 さっき言った通り、見た通りに判断することはあるでしょうけど、マシンに乗って走ってるのはライダーなんです。まだいけるかどうか、マージンがあるかどうか、前との差を、チームメイトとの差を詰められるかどうか、そういうことを判断するのはライダーなんです。だから彼が抜きにかかったり、別のライダーが接近したりとか、そういう状況があったとはとても思えないんですよ。だからドヴィの言ったことがすべてですね。彼がそう思うからそうなんだってことです。だから彼も頭にきてなんかいない。彼は本当に少しだけリラックスできて、それほど無理をしなくて済んだってことなんです」

そうは言ってもドゥカティはロレンソとも話をしている。「ええ、私たちは彼がドヴィの邪魔になっていた場面もあると思ってましたからね。でも結局こういうことになって、ドヴィは怒り心頭でピットに戻ってきても良かったのにそんなことはなかった。だからプロのライダーを信頼すべきってことですよ。彼らは自分が何をしているのか充分わかっている。私たちの提案はドヴィを前に行かせることだった。彼を前に出すべきだって思ったんです。でも別の見方をすれば、確かにドヴィは遅れ始めていて、そこから取り戻していったのも事実なんです」

一丸となって

ドヴィツィオーゾに抜かせれば全てが済んだというわけではもちろんない。ドヴィツィオーゾがタイトルを獲得するにはそれ以上のことが起こらなければならなかった。「前の二人を抜くためにはまずは追いつかなきゃならなかった」。チアバッティはこう続けている。「もし追いつけなければどうにもならないわけです。そして二人ともにクラッシュするまでは実にうまくいっていた。前2台との差を着実に詰めていけてましたからね。でも結局、マルクがクラッシュ寸前から立て直したのを見せられた。彼は5位か4位でゴールするだろうし、残念だけどそれじゃあうちにとってはなんの意味も無い。彼はクラッシュしなかったってのがすべてですね。彼はグラベルに突っ込んで、それでマシンを立て直せないまま再スタートできない可能性もあった。でも結局そうはならなかった。だからうちにとっても後悔はあんまりないんです」

チアバッティは不当な形でタイトルを奪われたとドゥカティが思っているわけではないと明言している。「実際マルケスはチャンピオンにふさわしいですよ。だって今シーズンの彼のライディングは凄かったですからね。それにマルケスとホンダを相手にして最終戦まで戦えたってのはすごいことだと思いますよ」。そう彼は語っているのだ。

「もちろん心から喜ぶことはできないですけどね。ブルノやフィリップアイランドのことは後悔してますし、アルゼンチンでのクラッシュも悔やんでいる。あれはうちのせいじゃないですから。もしもっといい立場で最終戦に臨めたなら、そしてフィリップアイランドとかアルゼンチンで失った11ポイントとかが取り戻せたなら話は違ったと思うんです。5ポイントとか6ポイント差だったかもしれない。そしたら違う戦略もあったでしょうしマルケスにかかるプレッシャーも違ったでしょうね。でもこれがレースってものですから。マルケスだってシルバーストンでエンジンブローに見舞われてますしね。もしそれがなかったらたぶんあそこでは表彰台だってしょうし」。チアバッティはレースで起こる予測不可能な事象について辛そうにこう語ったのだ。「たられば」が本当になるなら毎日がクリスマスみたいなものだろう。

紳士にふさわしい良い仕事

ドヴィツィオーゾは敗者となってもいつもの通り人間の大きさを見せてくれた。「メッセージについては何も知らないんです。序盤では僕の方が少し速い場所もありましたけどコースの後半は遅かっだですね。週末を通じてずっとホルヘからは0.3秒遅れくらいまでしか詰められなかった。でもレースではもっと良かったんです。でもまだ彼よりは遅かった」。ドヴィツィオーゾはロレンソのおかげで体力を温存できたと強調している。少しだけスムーズに走れたということだ。レースを通じてドヴィツィオーゾの走りは彼らしくないものだった。マシンと格闘していたのだ。ロレンソの後ろで走ることで少しだけ楽に乗れるようになったのである。

ドヴィツィオーゾは今シーズンの最後のレースから明るい光を見出しているようだ。「クラッシュするまではトップグループについていけましたからね。つまり去年より戦闘力がついてきたってことなんです。去年のヴァレンシアより戦闘力があったんで嬉しいですね。でも結果を見ればわかるとおりまだ充分じゃない。でもトップは遠くない。まだ足りないところはあります。コーナリングとかはまだmだですし、もっとスムーズに乗れるようにしないとね」

厳しい尋問
ドヴィツィオーゾがメディアに優しく接してもらい、そして彼が会見のために椅子に座った時には大きな拍手が起きた一方で、ホルヘ・ロレンソは容赦ない攻撃にさらされていた。イタリアメディア向けの会見では、彼がドヴィツィオーゾに譲らなかったことについてあるジャーナリストがほとんど喧嘩を仕掛けていた。ロレンソはかなり苛立ち最後にはイタリア語での返答をやめスペイン語で話し始めたほどだ。「あなたは質問してるんじゃないでしょ。質問してるんじゃないなら答える気もないですね」

英語話者向け会見でのロレンソはそれほど戦闘的ではなかったが、何が起こったのかについてかなり厳しい質問を浴びていた。彼の言い分はドゥカティの作り上げた公式見解そのものだった。「ドヴィが後ろにいたことに関しては、見ての通り今週末の彼はずっとリズムが作れないまま苦労してましたからね」。それがロレンソの説明だ。「タイトルがかかったのが彼が得意とするサーキットじゃないのも悔しいですね。もし他のコースなら彼はもっと速かったはずです。でも週末を通して僕の方が速くてマルケスと同じくらいで走れてた。トップグループとはコンマ何秒くらいの差になったあたりでドヴィについてのメッセージがダッシュボードに出てるのを観たんですけど、最後まで攻めて前に近づいて残りのコンマ何秒かを詰めた方がドゥカティにとっても僕にとってもドヴィにとってもいいって思ったんで」

今回はメッセージを確認できたとも彼は言っている。「メッセージは見てますよ。でもその提案を見た上で最後まで攻めることにしたんです。その感触は正しかったですし。ドヴィのタイムを0.1〜2秒は縮める助けになったし、それでトップグループに近づくことができた。トップグループに近づくのが僕の目的だったし、それは見ての通りです。ペドロサに近づいてていて、もしドヴィツィオーゾが僕に近づいて優勝が見えてきたなら譲るつもりでした。そうはならなかったのは残念ですが。もしマルケスがクラッシュしたのを見たら彼を前に出してましたよ」

走りながら考える

ロレンソが憤激しているのは見た目にも明らかだった。「それ以外に何ができたってんですか?チームにとっても僕に撮ってもドヴィにとっても最高の結果になるようにやってたのに。そりゃドヴィが近づくコーナーもあったでしょうし、僕が彼にスペースを残すために遅くなったこともある。でも30周全体を考えたら彼の前を走る方が彼のタイムを縮めることができたんです」

ロレンソは家でテレビを見ているファンの目にどう映ったかということは全く気にしていない。「まず言いたいのは、今この時点では僕は他の人がどう考えるかなんて気にしてません。僕は自分が良かれと思ったことをするだけだし、チームを一番に考えてるんです。今回も同じですよ。なんでこのことについてずっと話してるのか意味がわかんないですよ。チームにだってなかなかわかってもらえないのに、関わりのない人にわかってもらえるなんてとても無理ですよ。10倍くらい難しい」

彼がピットに戻るとドゥカティのレース部門のボス、ジジ・ダリーニャがロレンソのもとにやってきてメッセージを見たのか尋ねたという。ロレンソは語る。「ジジが僕にメッセージを見たかどうか聞いてきたんで、ちゃんと見てたし、あれが自分にできる最良のことだって答えたんです。彼はドヴィにも話を聞いていて、ドヴィも前に行くのに僕が助けになったって言ってます。僕もドヴィのところに行ってなんで僕が攻め続けたか説明して、彼も『あれ以上は自分にはできなかった』って言ってます」

誰の目にも悪そうに映る

ロレンソの決断は正しかったのだろうか?それとも彼はチームオーダーを無視した咎で罰せられるべきだろうか?結果はどうあれドゥカティもロレンソも褒めてもらえるような状況にはないのは確かだ。今回の状況が生み出したドラマのせいで関係者すべてがひどい人間にのように見えてしまう(ただしアンドレア・ドヴィツィオーゾは当然のようにその例外だ)。ドゥカティはチームオーダーを出してライダーを無理矢理従わせようとしたひどい会社に見える。その上、最初はダッシュボードに表示されたそれがチームオーダーではないとごまかしたせいで、さらに悪者になっている。そしてホルヘ・ロレンソがそれを無視したことがさらに問題を大きくしている。

ホルヘ・ロレンソもまたひどい人間に見えてしまっている。彼が正しいことをしかたどうかではなく、チームオーダーのせいで彼はチームメイトを窮地に追い込んだ悪人となってしまった。それもただのチームメイトではない。かつての負け犬が気骨を見せて最強のマルク・マルケスに挑んでいる、そのアンドレア・ドヴィツィオーゾを窮地に追い込んだことになってしまったのだ。たとえドヴィツィオーゾを前に行かせるより後ろに従えて走った方が助けになったとしても、彼の選んだ方法はひどいものに見えてしまうのだ。世間に対するロレンソの印象は元々よろしくないものだった。しかし今回のことはそれをさらに悪くする方向にしか働いていない。

しかし今回の件で最悪なのはこれら諸々が結果になんの影響も与えなかったということだろう。アンドレア・ドヴィツィオーゾはそもそもヴァレンシアで勝てる速さがなかったのだ。それはロレンソが彼を引っ張ろうが彼を前に行かせようが関係なかっただろう。マルク・マルケスは珍しくも神経質になって多くのミスを犯したが、5位よりもっと下でゴールすることもあり得なかった。ドヴィツィオーゾもプレッシャーと緊張感から逃れることはできなかった。マシンの上の彼はひどい様子で、あらゆるコーナーに進入するたびにマシンと格闘していた。彼の体は弓のようにこわばり、力を発揮できないまま彼の速さはどこかにいってしまった。

では、もしロレンソがドヴィツィオーゾを前に行かせていたらどういうことになっただろうか?ドヴィツィオーゾはやはりクラッシュしていた可能性があるし、トップに追いつこうとなんとかする遙か以前に転倒していたということもありそうだ。レース後半のドヴィツィオーゾはロレンソより遅かった。つまりドヴィツィオーゾは転倒し、さらにロレンソもトップに追いつけず大した成績を残せないという結果に終わった可能性もあるということだ。

正しい?間違い?どうでもいい?

ロレンソがやったことは間違いだったのだろうか?必ずしもそうとは言えない。彼の行為はタイトル争いに実質的な影響を及ぼしていないのだ。彼に関して言えば、確かにドヴィツィオーゾをトップに追いつかせようとしていたというのは事実の可能性が高い。しかしことここに至ると確固たる証拠がほしくなるというものだ。もちろんロレンソがそうしたように自分の意見を表明することは可能だ。タイトルを逃したドゥカティの悔しさを和らげるために優勝を狙うべきだったと主張してもいい。あらゆる言説がそれなりの価値を持っている。しかしそれでも目に見えるものがひどすぎるのだ。

広報の視点から言うとドゥカティとロレンソにとって最高のシナリオはこうだ。ロレンソにドヴィツィオーゾを行かせるよう最初にメッセージを出した際にロレンソがその通りにする。同じメッセージを何度もダッシュボードに表示させるというのはドゥカティにとっては良くない状況だ。さらにそれを暗号で出したというのもまずい。ロレンソがそれを無視したというのは、ドゥカティにとってもロレンソにとってもダメージを大きくしている。

2017年のMotoGPタイトルを獲得するためにドゥカティがあらゆる手を尽くしたことについては責めるべきではない。彼らはできることをやって、それでも目標には届かなかっただけだ。こんなことで2017年のすばらしい、そして実は心温まる物語に影が落とされるのは残念だし、それ以上に悲しいことだ。アンドレア・ドヴィツィオーゾが偉大なライダーの一人となったのだ。彼は史上最高のライダーと互角に戦ったのである。

偉大なライダーが作られるのを見ているのだ

はっきりさせておこう。2017年のタイトルを獲得したことでマルク・マルケスは史上最高のライダーになったということは間違いない。彼はシーズンを通じて何度もそれを証明してみせたのだ。彼は必要とあればこれまで誰もやったことのないやり方で勝ってみせた。新たな戦術、新たな戦略、時にはシンプルに誰も真似のできない速さでもって勝ってみせた。彼の能力と生まれ持った才能には疑問の余地はない。馬鹿馬鹿しいと言ってもいいほどの転倒寸前からの復帰は、居並ぶ我々に彼の才能をまざまざと見せつけるものだった。まだまだこれからの24歳にもかかわらずマルケスは既に6つの世界タイトルを獲得している。しかもその内4つは最高峰クラスだ。そして彼は4つの最高峰タイトルと6つの世界タイトルを最年少で達成しているのだ。彼はここ何年も開幕時点でMotoGPのチャンピオン最有力候補に挙げられ、そして毎戦優勝候補となっている。

今年の彼のタイトル獲得は安定性によるものが大きいだろう。もちろん優勝も多い。マルケスとドヴィツィオーゾは共に6勝ずつを挙げているのだ。しかしそれ以上に重要なのは彼が優勝できないレースでポイントを稼いでいることである。彼の表彰台は6回。対するドヴィツィオーゾは2回。ゴールしたレースでの最低順位はムジェロの6位だ。あとは4位が2回あるだけで、それ以外は表彰台に昇っているのである。

この安定性のおかげで今シーズン彼をみまった3度のリタイヤにもかかわらずチャンピオンを獲得できたのだ。その内2回は彼のミスのせいだ。コンディションがついてこなかったのに責めすぎたのが理由である。しかし3つめについてはホンダのせいだ。シルバーストンでのエンジンブローである。これがなければもっと早くタイトルは決まっていただろう。

アンドレア・ドヴィツィオーゾについてはどうだろう。勝てないときの彼はかなり苦労していた。彼がゴールしたレースでトップ5を逃したのは4回。その内1回はフィリップアイランドでの13位だ。しかし彼はマルケスを最終コーナーでの競り合いの末に破ってもいる。オーストリアともてぎだ。敗れたとは言えドヴィツィオーゾの成績は誇るべきものだ。

楽な勝利はない

今シーズンのマルケスがどれほど辛い思いをしていたかは彼の美容師が気付いている。マルケスがタイトル獲得のプレスカンファレンスでこう語った。バルセロナを終えてマルケスが髪を切りに行くと美容師が彼に何か悩みがあるのかと尋ねたというのだ。「モントメロの後、美容院に行くと彼女が言ったんですよ。『何があったんですか?』ってね。『何があったって?なんでそんなこと聞くの?』って返すと『禿がある』って。24歳なんだからそんなわけないって言ったんですよ。僕のおじいさんも父親も髪はふさふさですから。で、その足で病院に行ったらお医者さんがレースに対するやり方を変えろって言うんです。ストレスがひどすぎるんだって。それでわかったんです。いつもにこにこしてるし楽しいと思ってるんだけど、心の底では違うって。僕も普通の人間でプレッシャーを感じてたんです」

彼はこうしたことについてチームとも話をしていたようだ。「ルマンが終わって空港に向かう車の中でエミリオとホセに言ったんです。乗ってて楽しくないって。仕事だから乗ってるけど楽しめてない。それで考え方を変えることにしたんです。まずは楽しく乗れるようにアプローチを変えよう、その上でどう結果を出せるか考えようってなったんです。今はそうやってるんです。テストではしゃかりきに働く。テストでは毎日100周以上走る。楽しくやれる方法をみつけたんです」

その変化はフレームにも表れている。マルケスは彼専用の剛性の高いフレームを捨ててホンダの他のライダーと同じフレームを使い始めたのだ。「ルマンの後にモントメロでテストをしたんです。そこで変えたんです。違うフレームを試して、選んだのは新型じゃなかった。カルとか他のみんなが使ってるスペックになったんです。僕が使ってたのは違うやつでした。でもみんなと同じ方が少しだけいい感じだったんです。ちょっとずつ色んなことを試したんです。そうやってちょっとずつ感触を取り戻していった」。それでもまだマシンに全幅の信頼を置いて走れているわけではない。それが今シーズン27回もクラッシュした理由だ。しかし戦闘力は取り戻している。そしてマシンも気持ち良く乗れるようになっているのだ。

悩めるヤマハ

マルク・マルケスのタイトル獲得は誰にとっても予想の範囲内だが、2017年のヨハン・ザルコの活躍には皆が驚かされることになった。モンスター・テック3ヤマハの彼はルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したばかりかベスト・インディペンデント・ライダー(訳注:サテライトのトップ)まで獲得したのである。彼のMotoGP初勝利もそれほど遠くはないはずだ。今シーズンは微妙に歯車がかみ合わないことがあったし、それがまたしてもヴァレンシアで起こってしまったのが未勝利の原因である。彼はヴァレンシアではトップから1/3秒差でゴールしているが、前にいたダニ・ペドロサには1コーナーできれいに抜かれた末の敗戦なのだ。

今シーズンのザルコがすごいのはワークスのモビスター・ヤマハの前で何度もゴールしているということだ。シーズン前半、ヴァレンティーノ・ロッシとマーヴェリック・ヴィニャーレスの二人を後ろに従えてザルコがゴールしたのは9戦中4戦。ヴァレンシアも同じだ。ワークスヤマハを差し置いて第一バイオリンを弾いたのはザルコだったのである。

ワークス・ヤマハが最終戦で試験的に2016年型フレームに戻したにもかかわらず同じことが起こっているのだ。そうだ。2017年型を捨てたヴィニャーレスとロッシがヴァレンシアのレースで使ったのは2016年型だったのである。当初の予定ではテストで旧型フレームを使うはずだった。しかし予選結果が奮わなかったことでロッシもヴィニャーレスも失うものはないと考えたのだ。どちらも前よりましだったとかんじている。旧型フレームの方がシーズンを通じて見つからなかったものを持っているようだ。しかしセッティング時間が限られていたせいでトップ争いができるほどマシンを仕上げられなかったのである。

先祖返り

セッティング時間が特に不足していたのがマーヴェリック・ヴィニャーレスだ。彼は3回目のアタックでマシンを止めてしまう。マシンから得られる感触が良すぎて無理をしてしまったのだ。「フレームの感じは最高でしたね。最初のアタックで1分32秒台を連発できて、2回目には2番手まで上がれた。今週通じて得られなかった感触でした。すごくいい感じで、だからちょっと責めるのが早すぎたんですね。ほんとにいい感じだったんでね」

セッティング時間が足りなかったのがヴィニャーレスにとっては全てだった。リアタイヤにバイブレーションが出た結果12位でゴールすることになる。しかし彼が得た良い感触のおかげで火曜のテストに向けての光が見えているらしい。そして2017年についてはもうすべてを忘れてしまいたいようだ。「今シーズンについてはこれ以上考えたくないですね。もうこれで終わりにしたいです。もう次のシーズンに向けて走り始めたいし、もう同じ間違いはしたくない。あんまりいろいろ頭を悩ませたくないってのが正直なところです。特に最後の何レースかはほんとに難しかったし、めっちゃみんなきつかった。だからもう辛かったシーズンは終わりにして新しいシーズンを始めたいんです」

ヴァレンティーノ・ロッシの方はもう少し前向きだ。「もともと火曜と水曜にテストをするつもりだったんでこうしたんです。なんで今日やったらだめなの?ってなったんですよ。10日テストをやるよりレースを1回走る方が得られることが多かったりしますしね。だからそうしたんです。結果が出せなかったのは残念ですけどね。でも得るものはあった…、面白いことに気付けたんです。でもまあ今のところは簡単ではない。ギャップを縮めるためにいろんなところに手を着けてますから。電子制御についてもそうだし、マシンの動的な解析とかもですね。だから今が大事な時期なのは間違いないです」

ロッシにとってはマシンからのフィードバックが増えたことが大きな一歩になったようだ。「マシンが乗りやすくなったし、マシンからのフィードバックもわかりやすくなりましたね。去年、新型を試したときと同じフィーリングでですね。でも同時にリアタイヤに問題を抱えてしまったのも事実です。それで似たような成績になってしまった。もし昨日のマシンを使っていても似たような順位だったでしょうね」

タイヤの消耗をコントロールする

2016年型フレームの最大の問題はタイヤの消耗だ。レース終盤でタイヤがだめになってしまうのだとロッシは言う。それで最後の数ラップの戦闘力が落ちてしまうのだそうだ。難しいところだが解決不可能な話ではない。ヨハン・ザルコはダニ・ペドロサとわずか1/3秒差でゴールしているのだ。

なぜザルコは2016年型フレームを使いながらもワークスライダーの指摘する問題に悩まされていないのだろうか?違いはおそらくザルコのスロットルワークのスムーズさにあるのだろう。土曜の夜、ミシュランのボス、ニコラス・グーベールが最も驚かされたライダーとしてザルコの名を挙げていた。特にスロットルワークのスムーズさが凄いのだと言っている。カレックスのフレームでMoto2を走っている際に学んだことかもしれない。カレックスはレース序盤では速いのだがすぐにリアタイヤを消耗してしまうのだ。ザルコはMoto2でタイヤマネジメントを学んだのだ。そしてそのスキルをMotoGPに適用しているのである。ザルコはリアタイヤを必要なだけ滑らせるためのスロットルワークを身につけていて、それでタイヤライフとパフォーマンスを両立させているのである。

ヤマハが2018年シーズンの開始にあたって2016年型を再び引っ張り出すことを決めたということは、要するに失敗を認めたということである。これは驚くべきことだ(補足するなら、これは報道発表(別名「嘘」)の観点からも学ぶべきことがある。我々がヴァレンティーノ・ロッシに旧型を使わないのか尋ねると、彼はそれが不可能だと答えていた。2017年型エンジンは2016年型フレームに載せられないと言うのだ。結局それは、まあ言うなれば解釈の間違いであり、事実とは違っていたということである)。

迷い道

ヤマハはどこで道を誤ったのだろうか?2017年型フレームは冬期テストの段階では良い感触だった。マーヴェリック・ヴィニャーレスはスズキ風の乗り方で、ストレートでハードにブレーキを掛けてから曲がっていく。逆にロッシはマシンをそれほど気に入っていなかった。ヴィニャーレスの乗り方だとフロントタイヤに大きな荷重がかかり、それで曲がっていくのだが、ヤマハを速く走らせる乗り方ではない。マシン開発の過程で、特にミシュランがフロントタイヤのケーシングを固くして以降はM1の開発の方向性とミシュランの特性が乖離していき、シーズンが深まるにつれてそれが大きくなっていったのだ。

そしてヤマハは2016年型フレームに戻すことにした。これがヴァレンシアテストのベースとなる他、1週間後のセパンでも使われる予定だ。2016年型フレームが持つ感触の良さを維持しながら今シーズン苦労し続けたタイヤ消耗を抑えることができればいいと彼らは願っている。

ヴァレンティーノ・ロッシはセカンドグループでレースを終えている。トップから13秒遅れでスズキの二人と一緒だった。ロッシと、そしてチームメイトのアンドレア・イアンノーネの前でゴールしたアレックス・リンスが4位で、これはMotoGPでの彼のベストリザルトだ。スズキの2台の成績がワークス・ドゥカティのリタイヤの恩恵を得ているのはもちろんだが、リンスもイアンノーネも再び進歩し始めたのも事実だ。スズキのプロジェクトが正しい方向に向かいだしたのだ。2018年用の新型エンジンはこれまでのパワーの問題を解決しているはずだ。アラゴンでのレース後のテストではレース中のタイムを1秒縮めているのである。

スズキの数秒後ろでは2台のサテライト・ホンダが7位と8位でゴールしている。フィニッシュライン直前にカル・クラッチローを抜いたジャック・ミラーが7位だ。ミラーは良い形でホンダでの最後のレースを終えることになった。ミケーレ・ピッロがドゥカティ最上位の9位、ティト・ラバトが5台目のホンダとして10位に滑り込んでいる。これは彼のシーズン最高位だ。

奇跡はいつも起こるわけではない

MotoGPの決戦を前にしたサポートクラスも実に見応えのあるものだった。最初のレースとなるMoto3でジョアン・ミルが今シーズン11勝目を挙げるかに見えたのだが、彼は目の前でクラッシュしたガブリエル・ロドリゴを避けきれずコースアウトしてしまう。これについてミルは自分のせいだと言っている。ロドリゴに近づきすぎた上、彼のリアホイールの外側に接触してしまったということだ。

その時のロドリゴとミルはホルヘ・マルティンを追いかけていたのだが、既にこの時点でトップのマルティンにじわじわと離され始めたいた。そして2台がクラッシュするとマルティンは後続とのギャップを広げながら悠々と初勝利を飾る。長いこと待ち望んだ勝利だ。そして強さを発揮した今シーズンの締めくくりにふさわしい勝利だ。

ミルは最終的に2位まで上がっている。その後ろでマルコス・ラミレスが3位となった。しかし最も印象的だったのはミルのペースだ。彼は15周でマルティンとの差を4秒詰めたのだ。

Moto2の決勝もスリリングな始まりだった。しかしミゲール・オリヴェイラがトップに立つと2017年のMoto2チャンピオンのフランコ・モルビデリに2秒以上の差をつけてそのまま勝利する。そしてブラッド・ビンダーが3位に入ったことで、KTMは2台での表彰台を連続で実現することとなった。

オレンジ色の未来?

KTMのMoto2プロジェクトは初年度にもかかわらず長足の進歩を遂げている。しかしこれは彼らにとっては過程の一つにすぎないのだ。ヴァレンシアの決勝の翌日となる月曜日、ドイツ語サイトのSpeedweekのインタビューに答えてKTMのボスであるステファン・ピエレが2019年の計画について語っている。彼によればブラッドリー・スミスをまずはヨハン・ザルコと交代させたいとのことだ。既にかなり以前から交渉は進んでいるようだ。

ザルコと契約するというのはKTMにとってもザルコ自身にとっても大いに意味のあることだろう。ヴィニャーレスとロッシが走っている限りワークスのモヴィスター・ヤマハに空席はない。そしてロッシが引退する気配もない。2017年はランキング5位に終わったとは言え、彼は今年も優勝して戦闘力がまだあることを証明してみせたのだ。一方のヴィニャーレスはヤマハの将来を背負っているライダーだ。ヤマハは長期的視野でその決定をしているのだ。

ザルコは類い希なる才能を示しているし、フィードバックも驚くほど的確である。ザルコはKTMがタイトル争いに割って入るためには必要なライダーなのだ。そして彼はKTM125で行われるレッドブル・ルーキーズ・カップの初代チャンピオンでもある。つまり彼は出身地に帰るということになるのだ。

サテライトチームの新設というのもKTMの計画には含まれている。ドゥカティにとってのプラマックと同様のジュニアチームを作るという計画だ。そのシートを埋めるのは簡単だろう。ミゲール・オリヴェイラとブラッド・ビンダーは既に速さと知性と戦闘力を持っていることが証明されている。ピエレは特にビンダーを買っているようだ。曰く「神のごときブレーキング」。二人は2019年にはMotoGPにやってくるだろう。そのサテライトチームの運営はマルクVDSが最有力候補である。

明るい未来

とは言えこれはすべて未来の話だ。今2017年が終わったばかりである。残るのは思い出だけだ。しかしなんという思い出だろう!2017年には奥のことが明らかとなった。私たちは今レースの黄金時代を目の当たりにしているということ、そこに降臨したのは史上まれに見る偉大なライダーたちだということ、レースはすでに接戦続きでドラマに満ちているが、それでもライダーの個性が求められているということ、テストが制限され電子制御とタイヤが統一された新たなレギュレーションの下では知性が鍵となること、恐ろしいほどのスピードを保ちながらレースをコントロールするにはタイヤとマシンの耐久性のバランスが重要なこと、目も眩むような速さで走れなければ勝てないこと、しかし速さだけでは勝てないこと、GPが(比喩的にも文字通りにも)豊かになるのはこうした発展のおかげだということ。

2017年の最大の収穫?我々は今黄金時代のただ中にいて、そしてその終わりはまだまだ見えない。才能溢れる多くのライダーがいて、フランコ・モルビデリやミゲール・オリヴェイラやブラッド・ビンダーやジョアン・ミルやホルヘ・マルティンやその他の多くの若くて素晴らしいライダーが上を狙っている。未来は今と同じくらい明るいことがわかったのだ最大の収穫だろう。
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いいシーズンでしたねえ。ほんとに。しばらくはこの余韻を噛みしめながら過ごしましょう。

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コメント

長文翻訳おつかれさまです!
今考えるとマルケスは、あのレースで勝ちたい本能と会計士モードとが彼の中で入りめぐっていたんだと思います。
そして、そのキーとなったのがザルコでは?
ザルコと絡むのは嫌だけど、気がついたら自分の方が速い。
更に勝つのが最低条件のドヴィが後方にいる。
イヤー、しかしあのリカバリーは超絶ですよね!
異常!?まったく普通じゃない!
なんと形容して良いか分からないけど、やはり彼こそ今年のチャンプにふさわしいと思います。

ヤマハが昨年型フレームを使用していたとは!
マルケスのチャンピオンプレカンで気がついたんですが、ムジェロでミシュランがタイヤを変えてきたこと。
これにヤマハはうまく合わせられなかったのが、今年の敗因ではないかと感じました。
序盤での有望株は誰が見てもマーベリックだったでしょう。
シーズンが終わった時点で、不調の原因が分かったのか?
それとも未だ原因不明なのか?
非常に気になるところです。

KTM!上がってきました!
昨年のバレンシアでクラスが違うのでは?という感じのマシンで不安になりましたが。
鋼管フレームで、これからも攻めてほしいです。

ホルヘとドヴィさんの件は、互いが「引っ張った」「引っ張ってもらった」と意識が共通してましたよね。
当事者がそう言っているのに外野があれこれ言うのは的外れだし、それでも言い続けるのは、他に何か意図があるような気もします。
強いて言えばホルヘは自分で語っている通り、「どう思われても気にしない人間」であり、やはり鋼の意思を持った人。
そしてドヴィさんにとっても、こういう論争は彼のプライド(仮に彼に発言とは違う感情があったとしても)を傷つける事になるとは思いますね。

ともあれ山あり谷あり!
内容がしっかり詰まった良いシーズンだったです!

投稿: motobeatle | 2017/11/20 20:56

>motobeatleさん
 いやはや、まじ疲れましたね。そしてザルコですか。確かにザルコがいい感じで引っかき回してくれたのでレースが面白くなりましたよね。来年も楽しめるといいです!

投稿: とみなが | 2017/11/20 22:25

「テレビ画面だけで本当は何が起こっているのかなんて絶対にわからない。マシンに乗って走ってるのはライダーであって、彼らは自分が何をしているのか充分わかっている。彼らの思うことがすべてなんだ。」というチアバッティ氏の言葉、ホルヘへのバッシングの嵐を見て私もまさにそう思いました。
そしてホルヘの言ったように、「チームにだってなかなかわかってもらえないのに、関わりのない人にわかってもらうなんてとても無理」だろうということも痛感しました。
ホルヘはいつでもバカがつくほど正直に自分の思いや考えを話してくれるので、彼の性格をわかっている人間であれば、会見での彼の発言に嘘はなく、あれが信念を持っておこなった行動だったと理解できます。でも、彼を嫌う人達にこの時の状況や考えをいくら説明したところで絶対に納得しないだろうし、どこまでもロレンソは悪者で理解不能な気難しい男でしかないんでしょう。

「自分がすべきことを貫いただけ、他人にどう思われようと関係ない」というホルヘ。
でもできることなら、「わたしたちは分かってるよ」と伝えたいですね。

投稿: たけちよ | 2017/11/27 15:13

>たけちよさん
 ファンはそうやって祈るるしかないのです。でもコースで声をからして声援するのもファンの務め!

投稿: とみなが | 2017/12/02 18:30

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