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2017セパンMotoGPまとめパート1:チームオーダーか純粋な能力か?

いろいろ味わい深いことになったセパンでしたね。ホルヘは、ほんとうは勝ってロッシにざまあみろって言いたかったんじゃ無いかなぁとかいろいろ見ながら思ってましたよ。そんなセパンのまとめをMotoMatters.comから。長いぞ!
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時にタイトル獲得にはチームからのちょっとした助けが必要となることがある。タイトル争いが熾烈なときは特にそうだ。チームメイトからのちょっとした手助けはチームのトップが彼にちょっとした耳打ちをしたからかもしれない。そこに勝利ボーナスを取り損なうという苦い薬を飲み込むための経済的なおまけがついていたとしても誰にわかろう。こうしたことは実に効果を発揮する。もちろんあなたとチームメイトが憎み合っていないというのが前提ではあるが。

バイクレースにおいてチームオーダーというのはずっとタブーである。ジャーナリストもライダーもチームも誰もがその話題を慎重に避けようとしてる。一方ファンはライダーのやったことが単なるコース上の出来事ではなくチームボスに命じられたことなのかどうかを血眼になって探ろうとする。ライダーとピットの間の無線連絡ができない状況ではピットボードと、そして昨年からはダッシュボードに表示する定型文のみがコミュニケーションの手段だ。

無線連絡ができないということはつまりチームオーダーに関する推測や妄想は増すばかりだということだ。ピットボードは他のチームにも見える上、スペースも限られている。メッセージはいきおい簡単で、その分あいまいなものにならざるを得ない。ヴァレンティーノロッシは永遠にBRKというピットボードが何を意味するか問われ続けているし、ダニ・ペドロサもレース中のDOGMAやら最終ラップに入るときのZZTTという表示をよく使っている。

あいまいだからこそ安全なのか?

こうしたメッセージは何をいみしているのだろうか?チームはあまり進んで語ることはない。コミュニケーションがすべて公開されている中、彼らは少しでもうまくやろうとしているのだ。ありふれたわかりやすいメッセージはライバルを利することになってしまう。先週日曜、レースの2/3あたりまでは自分のではなくライバルのピットボードだけを見ていたとマルケスは言っている。相手が何をしているかを把握しようとしていたのだ。だからこそチームは大事な情報を発信するときにはカモフラージュしようとするのである。

こうしたあいまいさが陰謀論にせっせと肥料を与えているのである。ファンもジャーナリストもメッセージを穴の開くほど見つめながら裏の意味を探ろうとする。コース上の動きとピットボードのメッセージを関連づけようとするのだ。「前後即因果」というやつである。99%は牽強付会にすぎない。しかしたまに、ほんとうにごくたまにその推測にも根拠がある場合があるのだ。

そしてこうした一見ありふれたメッセージが先日の決勝、残り6周というところでホルヘ・ロレンソのダッシュボードに表示されたのだ。彼はその時点でトップを走っていたが、この数周ほどチームメイトのアンドレア・ドヴィツィオーゾが1秒弱というところまで近づいてきた。一方マルク・マルケスは4番手を走っている。このままの順位ならドヴィツィオーゾに26ポイント差。つまり2台のドゥカティが順位を入れ替えない限りセパンでタイトルを決めるという状況だったのだ。しかしもしドヴィツィオーゾがロレンソの前でゴールすればマルケスとの差は21ポイントとなりタイトル決定はヴァレンシアまで持ち越しとなる。

アルミ箔の防御シールド

ロレンソのダッシュボードに(そしてドルナのおかげで世界中のテレビ画面に)表示されたメッセージはこうだ。「推奨マッピング:マッピング8」。これはロレンソに対してドヴィツィオーゾに譲れという意味だろうか?それともエンジンマッピングをずぶ濡れのセパンの決勝終盤にむけて最適なものにしろという文字通りの意味だろうか?その真の意味を探るにはレースを振り返り、そして当事者たちの発言を見直すのが一番だろう。

アンドレア・ドヴィツィオーゾはマルク・マルケスに33ポイント差をつけれられてセパン入りしている。フィリップアイランドは悲惨な結果だったのだ。初のMotoGPタイトル獲得の可能性は風前の灯火だった。自力ではもうどうにもならないのだ。セパンでは自分が勝って、しかもマルケスの結果が奮わないということにならなければタイトル争いには復帰できない。しかもヴァレンシアに飛んで同じことを繰り返さなければならないのだ。とても無理そうに見えるって?その通りだ。しかしタイトル争いというのは終わるまではどんな可能性でもあるのだ。

週末のドヴィツィオーゾは絶好調だった。ウェットの金曜もドライの土曜も速さを発揮し予選ではフロントローを獲得する。幸運が少しだけ戻ってきたようだ。一方マルケスはQ2で転倒を喫し予選は7位に終わっている。マルケスと自分の間にはチームメイトのホルヘ・ロレンソがいる。今シーズンなんども破ってきた相手だ。そしてロレンソの理解力に疑問の余地は無い。少なくとも自分が近づけばロレンソは注意深く走るだろうことは間違いない。自分を転倒されるような危ないことはしないはずだ。最高の展開なら?ロレンソが手助けしてくれる可能性もある。

条件付き支援

ロレンソは機会ある毎にメディアに対して喜んで手助けしたいと語っている。とは言えいつもというわけではない。タイトルがヴァレンシアに持ち越されたなら、という条件をつけていたのだ。他のラウンドで助けなければならない場合については口をにごしてきた。

余談だが、メディアがロレンソがドヴィツィオーゾを助けるかどうかということを話題にしたがっている一方でヴァレンティーノ・ロッシがモヴィスター・ヤマハのチームメイトのマーヴェリック・ヴィニャーレスに対する支援について聞かれることがほとんどないのは興味深い(付け加えるならフィリップアイランドでヴィニャレースのタイトル獲得の可能性にとどめを刺したのはロッシその人である。彼が前でゴールしたことでヴィニャーレスとマルケスの差は50ポイントに広がりタイトル争いから脱落することになった)。ダニ・ペドロサも、もしそういう状況になったらマルク・マルケスに何をしてあげるつもか、などという質問に悩まされてはいない。

Moto2決勝終了後からMotoGP決勝の間に降った雨でさらに運命はドヴィツィオーゾに味方することになる。ドゥカティGP17がウェットで速いのはFP2の結果を見れば明らかだった。そして速かったのはGP17だけではない。ウェットでのトップ10の内4台がドゥカティで、ホンダはマルケス一人だったのだ。モヴィスター・ヤマハの二人はFP2で速さを見せている。フィリップアイランドでの進歩がマレーシアでも維持されているようだ。スズキまでもが争いに割って入っている。もしFP2のパターンがレースでも繰り返されるのであればドヴィツィオーゾがマルケスのリードをしっかり削るというのもあながち無い話ではないだろう。

パニックに襲われた?

マルク・マルケスの頭の中ではこうした考えが巡っていたことだろう。彼は絶妙なスタートを切って1コーナーではホールショットを決める。しかしそのせいでぎりぎりのブレーキングと2コーナーに向けてのギャンブルめいたマシンの切り返しが必要になってしまった。そこで少し熱くなりすぎたマルケスはわずかにはらんでホルヘ・ロレンソをコースの端まで追いやってしまう。マルケスの天下はわずか50mほど。ヨハン・ザルコがインにねじ込んできてトップを奪ったのだ。

マルケスがロケットのごとくスタートを切ったのに対してアンドレア・ドヴィツィオーゾのスタートはかなり残念なものだった。スタートで出遅れたせいで彼は1コーナーのブレーキング開始時点で7番手に落ちてしまう。神経質になりすぎたのだろう。それはマルク・マルケスと同様だった。しかしマルケスが神経質になりすぎて1コーナーで順位を落としたのとは対照的にドヴィツィオーゾはスピードを殺してコーナーに入ったおかげでタイトなラインで回りザルコとそう遠くない位置につけることができた。2コーナーに向けて切り返すときにはドヴィツィオーゾはホルヘ・ロレンソの直後につけレプソルホンダを一緒に追いかけることになる。

ザルコはアクセルを開けて差をつけていく。そして彼の後方ではホルヘ・ロレンソがマルケスとペドロサを視界にとらえていた。ドゥカティのパワーとレイトブレーキングを許容する能力のおかげでロレンソは2台のホンダを易々と抜き去って2位に上がる。そして一台のドゥカティに抜かれたと思ったホンダの二人はすぐにもう一台からも攻撃を受けることになる。ダニ・ペドロサは1周ほどはかなりの抵抗を見せドヴィツィオーゾと3~4回順位を入れ替えている。しかし彼らがバックストレートに向けて14コーナーを立ち上がるとドゥカティの加速の優位性が明らかとなる。ペドロサを抜いて4位に上がったドヴィツィオーゾの次の標的はマルケスだ。

やりたい放題

彼がマルケスを完全に抜き去って3位に上がるまでに3周しかかからなかった。14コーナーでインに入るとバックストレートで優位性を存分に発揮したが15コーナーで少しミスを犯しはらんでしまう。そこにマルケスが入ってくる。ドヴィツィオーゾがマルケスがいるにもかかわらずコーナーのイン側に入りかけたときには危うく2台とも転倒するところだった。しかし彼は体制を立て直しマシンを起こす。次のチャンスは4コーナーだ。こんどこそ加速と強力なブレーキングを活かして3位に上がる。

マルケスはドゥカティの加速に負けるのは覚悟していた。しかし本当に負けていたのはそこではない。問題はコーナー進入だったのだ。本来なら天候にかかわらずホンダRC213Vが得意とする部分だ。レース後にマルケスはこう語っている。「今日はあっちはいつもの通り加速が良かったですね。でも問題はこっちの強いところ、ブレーキングとコーナー進入だったんです。これまでのレースと違ってそこで強さを発揮できなかった。感触があんまり良くなかったんです。あっちはいつでも加速はいいんだけど、うちはコーナー進入がいい。今日の問題はそのコーナー進入だったんです」

ドヴィツィオーゾがタイトル獲得の可能性を残すには3位では不十分だった。なによりマルケスが4位では希望はない。しかも上位4台が残りのライダーからどんどん離れている状況ではマルケス4位の可能性はますます高まるばかりだ。5位のダニ・ペドロサとの差はすでにかなりのものとなっている。マルケスが4位ならドヴィツィオーゾは優勝をねらうしかないのだ。

一丁上がり。残るは2台

ドヴィツィオーゾが対処すべき相手は2台。チームメイトのホルヘ・ロレンソとモンスター・テック3ヤマハのヨハンザルコだ。火傷した猫もかくやという勢いで1周目を飛ばしているザルコが頼るのはリアのソフトタイヤだ。おかげでレース序盤にはそのグリップに助けられている。問題はリアソフトでどこまでいけるかだ。そしてそれまでにザルコがどれほどのギャップを築けるかである。

そのソフトリアは予想より保った。ザルコは決してスピードを緩めることはなく、安定したペースで充分なリードを保ち続けたのだ。ザルコの問題はドゥカティが2台とも自分より遥かに速かったことだ。加速に物を言わせて差を縮めてくる。2台のドゥカティは9周目にザルコをとらえると9コーナーでロレンソが、14コーナーでドヴィツィオーゾが抜いていく。そしてレースは2台の争いとなった。

折り返し点ではロレンソがトップ、ドヴィツィオーゾが2位、そしてマルク・マルケスがヨハン・ザルコとの差を縮め始める。まだタイトルはマルケスの手の中だ。この時点でゴールすればマルケスは26ポイント差をつけてタイトル獲得を決められる。彼にはザルコが近づいてくるが見えている。そしてタイトル獲得を確実にする3ポイントの上積みを考え始める。

決め時

マルケスはテック3ヤマハを追いかけるがザルコも自分のリズムをみつけていた。マルケスはわずかに差を詰めるが抜けるほど近づくということはリスクも少々大きくなり過ぎるということだ。失うものが多すぎると判断したマルケスは少し引いてザルコを行かせる。4位で充分だろう。

「レース後はすごく良い気分でしたね。今日は考え得る限り最悪のコンディションでしたから」。後にマルコスはこう言っている。「ウェットで滑りやすいコースで限界もわかりにくい。つまり簡単にミスしてしまうってことなんです。まあとにかく疲れましたよ。スタートではかなりアグレッシブに決めたんですけどドゥカティが2台とも僕より速いって気付いて、あとザルコに追いついた時もちょっと危なかったですね。それで走りながら、ヴァレンシアに乗りこむのに24ポイント差でも21ポイント差でも対して違わないなって考えたんです。だから4位をキープすることにした。今回のレースで大事だったのはとにかく冷静さを保って、無理しないことだったんです」

マルケスはレース中に感じたプレッシャーについて無防備なまでに正直に語っている。「まあぶっちゃけ僕だって人間ですからね。、タイトル争いをしてると、ちょっとした挙動でも大クラッシュかって思っちゃうんですよ。それが普通だし自然なことですよね。今日は、OK、もっとリスクをとれば今日タイトルが獲れるけど、ここでクラッシュしたら8ポイントか7ポイント差に詰められる。だから一歩ずついこうって思ったんです」。大きなポイント差でヴァレンシアに臨む方が数ポイントのためにすべてを手放すよりはいいということだ。

ザルコが3位確実なものにしたことでポイント計算はトップを走る2台のドゥカティ次第となった。もしアンドレア・ドヴィツィオーゾがタイトルの可能性を捨てたくなければホルヘ・ロレンソを抜かなければならない。しかしロレンソは渇望していたドゥカティ移籍後の初勝利を目の前にしている。今シーズン、2回もそのチャンスがあったのに取り逃がしている優勝だ。ロレンソは素直に譲るのだろうか?

領土の確定

その時だ。ロレンソのダッシュボードにメッセージが表示される。「推奨マッピング:マッピング8」。これはロレンソに譲れという暗号なのだろうか?それともその通りの意味なのだろうか?そろそろトラクションコントロールかエンジンブレーキのマップかを適切なものに変更しろということなのだろうか?

真実は我々の知るところではない。ことによったらドヴィツィオーゾとロレンソが二人とも引退してから話してくれるかもしれないが、今のところはレースについて、チームオーダーについて、そしてライダーについて知っていることから判断するしかない。推論でもある程度はどれの答えが正しそうかはわかるはずだ。

まずこれが文字通りの意味かどうかから始めよう。マッピング変更を推奨していたのだろうか?もちろんありそうな話だ。最初に言えるのはライダーがレース中にマッピングを変更するのは事実なのだ。電子制御で何ができるか、どうやってセッティングするのか、ライダーはどうやってマッピング変更を決断するのかについては去年ブラッドリー・スミスに対して行った二つのインタビュー(訳注:和訳はこちらこちらをご覧いただくのがいいだろう。彼はその全てを説明してくれている。

次に言えるのはチームもいつマッピングを変更すべきかライダーに伝えることがあるということだ。ダッシュボードメッセージが使われる前は(使われるようになった今でも)チームはピットボードでライダーに変更を促している。ピットボードにはモードが番号か文字かその両方かで表示され、ライダーは自分が何をすべきか知るというわけである。そしてライダーがこれを無視することもあるのもみんな知っている。アンドレア・イアンノーネがドゥカティ・ワークスに入ってすぐの頃、彼はメッセージが出されたにもかかわらずレース中にマッピングを変更するのを忘れたりしているのだ。

つまりエンジンマッピングの変更を促していたという可能性はあるということだ。ではこれがチームオーダーだったという可能性はどうだろうか?それに答えるにはもう少し要素を分解する必要がある。そもそもMotoGPにはチームオーダーというものが存在するのだろうか。もし存在するならどやってドゥカティはそれを伝えるのだろうか。ドゥカティは(そして他のワークスは)チームオーダーについて正直に語ることがあるのだろうか?それとも隠そうとするのだろうか?そしてライダーはチームオーダーを出されたらそれに従うのだろうか?

チームオーダー:真実は幻想か?

まずはここから始めよう。MotoGPにチームオーダーは存在するのだろうか?疑惑の影はあるものの、そもそもチームオーダーという言葉自体が説明を要するものだ。ライダーとピットの間の無線通信がないということは、チームオーダーは事前に出しておく必要があるというとだからだ。レース後、ドゥカティのチームの幹部たちはジャーナリストから引っ張りだことなった。ダヴィデ・タルドッツィはCRASH.netに対して、ライダーに対して状況の説明はしたと語っている。「ライダーと起こりえることについて話はしていますよ。こういう状況ではとにかくタイトル争いを終わらせないために何ができるかってことなんですよ。マルクにプレゼントを渡すなんて馬鹿げてますからね。確かに難しいってことはわかってますけど、ヴァレンシアまで持ち込めるならそうすべきでしょ?」

スペインのメディア
に対してドゥカティ・コルセのトップ、パオロ・チアバッティは、この件については既にチーム内で議論が進んでいたと話している。タイトルの可能性があるならそれを目指すべきだというのがチアバッティの考えだ。さらに大事なのはドゥカティにとってこれが初めてではないということだ。2016年のアルゼンチンGPの残りコーナー二つというところでアンドレア・イアンノーネがアンドレア・ドヴィツィオーゾをはじき飛ばしている。それが原因となってイアンノーネはドゥカティのシートを失うこととなった。ドゥカティはロレンソとドヴィツィオーゾの両方に激しすぎるバトルは控えるように警告したということだ。ロレンソに対する例のメッセージがドヴィツィオーゾに譲れという意味なのかとはっきり聞かれたチアバッティはにっこり笑ってこう答えている。「あなたがそうお考えなら…」

ドゥカティ・コルセのボス、ジジ・ダリーニャもイタリアのメディアに対して似たようなことを語っている。もちろんライダーと話し合ったということについてだ。「チームのことや会社で働いている人のことを考えるのは当然でしょう。どんなに辛くても選ばなきゃならない道ってものがあるんです」

先例

さらに私たちはドゥカティがかつてチームオーダーを出したということも知っている。これまたダッシュボードメッセージだった。フィリップアイランドのレース序盤、スコット・レディングがドヴィツィオーゾに譲るようにメッセージが送られたのだ。その前の何戦か、ドゥカティのスタッフがドヴィツィオーゾに順位を譲ることについて話し合っているが、フィリップアイランドではそういう話は出ていないとのことだった。レディングはオーストラリアで記者たちにこう語っている。「実際、レース前にそういう話は無かったですよ。日本とか他のところではありましたけど、ここではなかったですね。でもレース中ダッシュにドヴィに行かせろってメッセージが出たんで、その通りにしたんですよ」

しかし後にレディングは考えを変えている。彼はドヴィツィオーゾに追いつくとペドロサを含めた三つ巴のバトルに突入するのだ。「誰かに追いついて、しかも自分の方が速いってのにどうしろって言うんですかね?自分のことも考えなきゃならないんです。ぼくだってランキングを争っている。もしこれがトップ5とかだったらポイント差も大きいんで、僕だってしょうが無いかって思いますよ。でも1ポイントですよ。僕だったら全然気にしませんよ。この何週間か苦労し続けて、なのに連中は僕を助けてくれなかった。今でもですよ。そりゃ僕は移籍するんだし、それでいいですよ。それはわかってたことです。できるときには彼らを助けてもいい。でも1ポイントですよ。んで、あんな状況なら自分のことを考えたくもなるってもんです」

境界を知る

明らかになっているのは、ドゥカティが今後起こり得ることについてライダーに伝えていたということだ。タイトル争いが重要な局面になったらロレンソがドヴィツィオーゾに順位を譲らなければならないことが起こりえるということである。この話し合いにかなりの時間を要したかどうかは別の話だ。ドヴィツィオーゾは注意力も気力もすべてレースに集中させたい。彼が知っておかなければならないのはロレンソに接近したときロレンソが激しい戦いを仕掛けてこないということだけなのだ。

一方ロレンソについても大して説得の必要はなかったはずだ。彼はかなりの金額をチームから受け取っているのだ。毎年1250万ユーロ(邦貨換算16.5億円)である。彼はチームのために働くべきであることはわかっているということだ。「状況については誰に言われなくてもわかってましたよ」とロレンソはプレスカンファレンスで語っている。「マルケスにクラッシュとか何かあったらタイトル争いは重要な要素になりますからね。彼が4以下5位にいるってのもわかってましたし。もちろんレースには勝ちたかったですよ。最後まで攻め続けたかった。でもさっき言った通りフロントがもう限界だったんです。それで最後までドヴィについていくには限界でブレーキングしなければならなかった」

ドヴィツィオーゾを破るにはかなりのリスクを冒さなければならなかった。そしてそのリスクを冒すには失うものが多すぎたということだ。確かに彼はドゥカティでの初勝利を切望していたと言っている。しかしそのためにすべてを捨てるつもりはないもと言っているのだ。「僕はMotoGPで44勝してるんです。だからドゥカティで勝つのも時間の問題だと思ってますよ」そう彼はイタリアのメディアに語っている。彼によれば勝利だけを目指すこともでいたかもしれないが、そんなことをすれば二人ともグラベルに突っ込んでレースを終える可能性が90%くらいになっただろうということだ。

レース後、ここまで正直なコメントが出ているというのに二重の意味を持つ暗号をレース中に送って真意を隠すなどということをドゥカティはしたのだろうか?あり得ないことではない。しかし後から告白するくらいなら隠蔽工作にほとんど意味は無い。ルールではチームオーダーは禁止されていない。つまりドゥカティがそれを隠す必要もないのである。

説明と納得

もしチームオーダーが発信されたとしてロレンソがそれに従わない理由はあるだろうか?それは考えにくい。彼はドゥカティ加入以来、イタリア人チームメイトと良い関係を築いているのだ。ドヴィツィオーゾはこの状況についてこう言っている。「去年のヴァレンシアから行ってますけど、すぐに彼とはうまくやれるって思ったんですよ」とロレンソに向かって言ったのだ。「前にあったみたいに彼は僕に何かひどいことをしたりピット内に奇妙な状況を作り出そうとはしない。彼は自分自身、そしてチームと自分の仕事に集中して、僕が彼をチームメイトだって意識してないってように思ってるみたいなんです。みんなモニタのラップタイムを見てますからね。比べてみればわかりますけど彼と僕はライディングスタイルも違いますし。みんな誰からでも学ぶことはできる。でも彼とライディングスタイルが違っても問題はないですね。彼は彼のやり方があって、僕はそれで何にも問題を感じてませんから」

もちろんロレンソがチームオーダーに気づいてもいいはずだった。レース後、彼はダッシュボードのメッセージを見ていなかったと強調している。「ほんとに何にも見てないんです。次のコーナーに向けてのライン取りに集中していたんです。雨の時は集中力を切らしたくないですから。ミザノで集中力を切らしたときに何があったかはみなさんご存じでしょ?だからダッシュボードを見てもギアを変えるべき回転数だけ見てたんです」。ウェットのミザノでロレンソはマッピングを変更しようとして集中力をとぎらし、結果としてクラッシュしている。コンディションはミザノより悪い中、ロレンソは同じミスを繰り返したくなかったのだ。

要するにチームオーダーなどいらなかったということになったのだ。ドヴィツィオーゾは終始一貫あたかもゴムでつながったようにつかず離れずといった感じでロレンソの後ろで走っていた。あるラップでは彼は近づき、次のラップでは少し離れ、そしてまた近づくといった具合だ。そして16周目、ドヴィツィオーゾは再びロレンソの真後ろにつける。ロレンソのマシンは最終コーナーで激しく暴れる。フロントが滑ったのだ。彼はなんとか膝で立て直した。アスファルトにはそれを示す赤い痕がかなりの長さで残される。そのせいで彼はドヴィツィオーゾに前に行かれてしまった。立ち上がりでドヴィツィオーゾが前に出てトップに立ったのだ。

ロレンソを抜いたドヴィツィオーゾは勝利を確実なものにすべく瞬く間に差を広げていく。最終ラップだけは雨が再び降り始めたことでロレンソにもチャンスが訪れるが、それにしてもリスクは高すぎた。リスクに気付いたロレンソは慎重な走りで2位を確保する。


人にもらったものか、自分で手にしたものか?

結局のところ、セパンでのアンドレア・ドヴィツィオーゾの勝利はチームオーダーの結果なのか?ロレンソがメッセージを見て彼を前に行かせたということなのだろうか?本当のところはわからないながらも、ドヴィツィオーゾがロレンソより速かったのは事実である。そしてロレンソがミスを犯したのも事実だ。最終コーナーでマシンが大きく振られたことでロレンソは順位を落としているのである。そしてそれは彼がトップを守るために限界で走っていたからこそなのだ。

結論は?「推奨マッピング:マッピング8」というメッセージが「15コーナーで激しくフロントを滑らせた上で膝で立て直せ」という意味で無い限り直接的な指示とは考えにくいだろう。もし直接的なチームオーダーだったとしてもアンドレア・ドヴィツィオーゾは実力で勝てたはずだ。ドゥカティがロレンソに何を伝えようが、どちらにせよドヴィツィオーゾより速く走ることはできたなかったのである。この日、ドヴィツィオーゾは相手がチームメイトだろうと誰だろうと決して負けない強さを持っていたのだ。

アンドレア・ドヴィツィオーゾのセパン優勝は彼の血管に流れている血は氷の冷たさであることの証明である。あれだけのプレッシャーの中でも冷静さを保ったのだ。ドヴィツィオーゾは勝つしかなかった。しかし同時に攻めすぎてすべてを失うわけにもいかなかった。マルケスよりドヴィツィオーゾの方が少しだけプレッシャーが少なかったのは確かだろう。ドヴィツィオーゾはそもそもかなり難しい状況に置かれていて、しかも失うものは少なかった。しかし彼の勝ち方は今シーズンの強いドヴィツィオーゾを象徴していたと言えよう。

まだ終わってはいない

この勝利が重要であると言うのには他にも理由がある。ドヴィツィオーゾはついに勝利数でマルケスの6勝に並んだのだ。もし彼がヴァレンシアで勝てば7勝、つまりマルケスはポイント数でドヴィツィオーゾを上回らなければならないということになったのだ。もし同ポイントなら勝利数でチャンピオンが決まる。つまりマルケスはヴァレンシアで最低でも11位、5ポイント以上を獲得しなければならないのである。

もちろんドヴィツィオーゾがタイトルを獲得するのは難しい話だ。彼はヴァレンシアで優勝しなければならないのだ。2位で獲得できるのは20ポイント。そしてマルケスとの差は21ポイントあるのだ。しかもドヴィツィオーゾが勝つと同時にマルケスが今シーズン最悪の結果とならなければいけない。それもマルケスが最も得意とするサーキットでだ。しかもこのコースはドゥカティよりホンダ向きである。

とは言えタイトル争いが最終戦まで持ち込まれたということは、あらゆる可能性があるということでもある。最終戦ヴァレンシアまでタイトル争いがもつれこむのは4スト時代になって4回目のことだ。2015年、ヴァレンティーノ・ロッシはグリッドの後方からスタートしたがホルヘ・ロレンソに追いつくことはかなわず、結局ロレンソがタイトルを獲得している。2013年はマルク・マルケスが慎重に、しかしマシンを暴れさせながら走って優勝したホルヘ・ロレンソのタイトル獲得を阻止している。

しかしヴァレンティーノ・ロッシが転倒してタイトルを逃した2006年の例もある。その結果、一旦はランキングトップから滑り落ちたニッキー・ヘイデンにタイトルを譲り渡すという憂き目に遭っているのだ。「だからこそ僕らは日曜にグリッドに並ぶんです。何が起こるかは誰にもわかりませんからね」。2006年の幕切れはいつもこう言っていたヘイデンにふさわしいものだったと言えよう。

アンドレア・ドヴィツィオーゾがタイトルを獲得するにはヴァレンシアで奇跡が必要となる。奇跡はそうそうやってくるものではないが、しかし可能性はゼロではない。そして何が起こるせよ、ドヴィツィオーゾとマルケスのどちらも今年のチャンピオンにふさわしいのは間違いない。今シーズンのマルケスは光り輝いていた。彼の才能はマシンの性能を遥かに超え、勝利を重ねる安定性もあった。マルケスはほとんどのレースで4位以内に入り、6位より下だったことは一度もない。かつては転倒癖が弱点だったが新たに導入されたフロントタイヤとホンダがマシンに施した改善のおかげでそれも陰を潜めている。

一方のドヴィツィオーゾも素晴らしい結果を出している。ライダーとして成長し、冷静さと静かな集中力を駆使して期待を遥かに超える走りを見せているのだ。彼の走りは安定しているが同時にドゥカティの力を最大限に引き出してもいる。そしてドゥカティの弱点もうまくカバーしているのだ。彼の唯一の弱点は、うまくいかないときの落差である。ひどい結果になることがあるのだ。しかし誰がタイトルを獲ろうが、今シーズンの最大の勝者はMotoGPそのものだろう。
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あー、あー、あー!あと1レースでこの素晴らしいシーズンが終わってしまうなんてー!

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公式プレビュー>マレーシアGP2017

ホンダヤマハドゥカティ(英語)スズキ(英語)アプリリア(英語)、KTM(未)。

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MotoGPオーストラリアGP:ドヴィツィオーゾを最後に凌いだレディング

最後の最後にドヴィツィオーゾを抜き去ったレディングですが、ドゥカティの人たちは(当然)怒っている様子。もっともドヴィツィオーゾ自身は特になんとも思っていないようですが。CRASH.netよりNeil Morison氏の記事を。
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スコット・レディングは日曜のレースで復活を遂げたこと、そして同じドゥカティに乗るアンドレア・ドヴィツィオーゾを最後に抜き去ってみせたことに満足している。一方ドヴィツィオーゾはレディングのやったことに対して感情を動かしている様子はない。

タイトル争いをするアンドレア・ドヴィツィオーゾにとっては痛い誤算だったかもしれない。フィリップアイランドの決勝、スコット・レディングは3台による熾烈な争いを力でねじ伏せて11位を獲得してみせたのだ。

オーストラリアGPの最終ラップ、ドヴィツィオーゾのスリップを利用して11位、5ポイントを獲得したレディングによれば、彼はその後ドゥカティの幹部に無視されているとのことだ。レディングの次でゴールしたのはダニ・ペドロサだ。そしてドヴィツィオーゾはがっかりの13位。タイトル争いにとってはかなり厳しい結果である。

ドヴィツィオーゾが2ラップ目に大きなミスを犯した後、レディングはダッシュボードコミュニケーションで彼に譲るように指示されていたという。そしてレディングはその指示にきちんと従い、黙ってワークスGP17が抜き去っているのを大人しく見守っている。

しかしレディングはすぐに自分の調子が良いことに気付き、前を行くドヴィツィオーゾとペドロサとの差を詰めていく。アラゴンで散々苦労したあげくなんとか14位でゴールし、日本では16位という結果に終わっている彼は、今こそ自分の力を見せつけるときだと考えたのだ。「パドックのみんなはいつだって僕の実力を信じてない。だから自分の力を発揮できてタイヤも使いこなせるときには、ちゃんとそれを証明しないとね」

ドヴィツィオーゾはレディングに抜かれたことについてはなんとも思っていないようだ。フィリップアイランドの高速最終コーナー出口での遅さを恥じるばかりである。「彼は自分のレースをしただけですからね」とドヴィツィオーゾは言う。抜かれたことを問題にしたくはないのだ。

レース後レディングはこう言っている。「すごい差を詰めなきゃならなかった。MotoGPではいきなり何秒も縮めるなんてことはできないですからね。ほんとに少しずつ削って削っていくんです。タイヤのことはちょっと心配してましたね。でもほとんどみんなソフトだったし感触も良かったしグリップもあったしタイヤは保たせることができた。
 だから攻めていったんです。でバトルに持ち込めた。ドヴィを負かすつもりはなかったんです。だって彼が僕を抜いたときに向こうの方がちょっと強いなって思いましたからね。でも僕も、いつもなら苦労する最終コーナーでかなり速かったんで行くことにしたんです。満足してますよ。まあ喜んでない人もいるってのはわかってますけど糞食らえですね。自分のことを考えなきゃならないこともなるんです」

ドヴィツィオーゾを加速で抜き去ったレディングだが、可能であればドヴィツィオーゾを助けるようにという話がドゥカティの中であったのだそうだ。「最終コーナーで彼を抜けたんですが、とにかくぴったり張り付いて頑張って加速してコーナーに突っ込んでいった。でもペドロサも相手にしなきゃならなかったんです。すべてを犠牲にするつもりはなかったんですよ。クソみたいな週末を2回連続で過ごしたんだから、自身を失わないってことだけが大事だったんです。
 ドヴィを助けてやれよって話もありましたよ。でも表彰台争いとかそういう状況ではなかったですからね。そうなれば話は違う。彼はコースアウトして戻ってきて僕は彼を抜いて、そしたら彼が僕に並んだんで先に行かせたんです。行かせてやったら彼はどんどん前に行った。でもどうすれば良かったって言うんですかね。誰かに追いついたってときにどうすればいいと?
 パドックではみんあ僕の力をいっつも疑ってるんです。だから自分の力を発揮できてタイヤも使いこなせるならそれを証明しないと。もしドヴィの後ろでゴールしてたらみんな、ああスコットはよくやったね、ってくらいの感想ですよ。でも今回は違う。みんな『まじか!スコットはすごいね。すごいことをやったよ』って思う。つまり僕は彼を負かそうとしてやったんじゃなくて、単に今日は全般的に僕が強かったってだけなんです。自分でも思ってもみなかったですけどね」

フィリップアイランドのレース前にドヴィツィオーゾを支援するように命令されたのだろうか?「いや、そんなことは言われてませんよ。日本とか別のところでは言われましたけど今回はなかったですね。
 でもレース中インパネにドヴィを行かせろって表示が出たんです。だからその通りに彼を行かせたんですよ。でもさっき言った通り誰かに追いついて抜けそうで、自分がかなり速いってのにどうしろって言うんですかね。
 自分のこれからのことも考えなきゃならないんです。僕もランキング争いをしてるんですよ。あれが5位とかそれ以上を争ってるんならポイント差も大きいし、だったらいいかってなるんですよ。僕も違う風に考えられたかもしれない。でも1ポイントしか違わないんですよ?僕だったら全然気にしませんよ。
 この何週間か苦労し続けて、なのに連中は僕を助けてくれなかった。今でもですよ。そりゃ僕は移籍するんだし、それでいいですよ。それはわかってたことです。できるときには彼らを助けてもいい。でも1ポイントですよ。んで、あんな状況なら自分のことを考えたくもなるってもんです。
 この前に人のタイトル獲得を手伝ってやったのは1ポイントで自分がタイトルを失ったときですよ。今回ももし状況が許せば僕だって手伝ってあげたかったし、実際にそうしてあげた。彼を前に行かせたんですよ。前に行かせて、彼は離れていった。でも今日は僕もいつもより強さがあったし、だからそれを証明したかったんです。証明する相手が自分だとしてもね。
 そういう意味で自分が前でゴールしたことを後悔はしてませんよ。ゴールまでの加速競争で、僕はペドロサが前にいると思ったんです。僕らはバトルしていて、だから何一つあきらめたくはなかったんです。自分ができることを見せたかったんです」

混戦だったレース後にドゥカティの人間と話したかと聞かれたレディングは、今のところ無視されていると答えている。

「いつもならレース後に会いに来てくれるんですけど今のところは無視されてますね。ちょっとがっかりですけど、まああの順位ならどちらにせよタイトルの望みは消えてくわけですし。もっと前を走ってろってことですよ。彼は自分でミスをした(2ラップ目の1コーナー)。それは僕のせいじゃない。
 僕は彼を助けてあげたんですよ。彼を前に行かせた。自分の仕事はこなしたんです。でもいつも与えるだけってわけにはいかないでしょ。誰も僕がタイトル争いをしてるとき助けてなんてくれなかった。僕に与えられたのは腕の骨折って結果だけです。だから僕が自分のことを考えてやらないといけないんですよ」

マルク・マルケスに33ポイント差をつけられたドヴィツィオーゾはレディングのやったことに対して怒っているかと尋ねられてこう答えている。「いいえ、彼は彼のレースをしただけですからね。
 自分のトラクションがなかったことにがっかりしてるだけですよ。結局彼の方がトラクションで勝っていたんです。最終コーナーまでインを閉めまくってたんですけど、最終立ち上がりで僕が遅かったんで彼が抜いていったってだけです」
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普段から良い関係を築いておくのが大事なんですよ。

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公式リリース>オーストラリアGP2017

ホンダヤマハドゥカティ(英語)、スズキ、アプリリア(英語)KTM(英語)

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公式プレビュー>オーストラリアGP2017

ホンダドゥカティ(英語)ヤマハスズキ(英語)アプリリア、KTM(未)。

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ドヴィツィオーゾの秘密兵器:メンタルトレーニングvsフィジカル

もてぎでは最終ラップのビクトリーコーナーでのマルケスのアタックを冷静にいなして見事な勝利を挙げたドヴィツィオーゾ。今年の大化けには理由があります。久しぶりにMotoGP公式より。http://www.motogp.com/en/news/2017/10/17/dovizioso-s-secret-weapon-mental-training-vs-physical/242899
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アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)が先日motogp.comのインタビューに応じてくれた。その席で彼はトレーニングや考え方、そしてそれが2017年にどう変化したかについて語ってくれた。今年になって彼は5勝している。興味深いことに元125ccチャンピオンで今は最高峰クラスのタイトル争いの渦中にいる彼にとって重要なのは、彼に言わせれば他のライダーにも真似できること、メンタルトレーニングなのだそうだ。

<以下ビデオからざっくりディクテ>
「みんな今は体を鍛えてるけど、心の方がずっと重要なんです」そう彼は語る。「みんな心についてはまだ伸びしろがあるんです。すごく面白いやり方をみつけて、それが効果を現してるんです。今年僕が強くなった理由の一つがそこですね」

「何かをする前にまず考える。それが行動に大きな影響を及ぼすんです。アスリートはたいてい次に何が起こるか予想している。悪い方向でね。それが限界を作るんです」

「ドクター・コスタはあらゆるものを黒と白の馬で表現してました。合理性と非合理の象徴ですね。そして彼はいつも僕に愚痴ってました。僕が合理的すぎるって言うんです。『すごい潜在能力があるのにそれを使いこなしてない。頭脳だけでレースをしてるんだよ。感じることが少ないんだ。何もかも頭で理解しようとしている。マシンに乗って感じることがないんだよ』ってね」

「コースに出るたびにもっと黒い馬を使いこなそうとしている。今年の僕はきっと今までより黒い馬を使ってるんです。結果がそれを表してるでしょ?」

「これがほんとのドヴィツィオーゾなのかなって思うこともあるけど、黒い方をより使うのが大事ってわけじゃないですからね。でも黒い馬をここぞというところで使った方がいいこともあるんです。今年はレース中にそういうことを考えたりするんです」

「今日は非合理の黒い馬が姿を現した!」

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なるほどー、「考えるな、感じるんだ」なんですね。そしてドヴィのヘルメットにはそんな意味があったとは!

…とは言えあのビクトリーコーナーでのいなしは頭脳の結果だよなあ…。

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ヴァレンティーノ・ロッシと仕事をするというのはどういうことなのか?

えー、またもやMOTORSPORT.COMの記事に手を出すのですが、ロッシとずっと一緒にやってきたメカニックのアレックス・ブリッグズ氏へのインタビューなんて興味深すぎるのですよ。というわけでAndrew van Leeuwen氏の記事を。
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ヴァレンティーノ・ロッシがMotoGP界における古狸であるというのは誰もが認めるところだろう。しかしザ・ドクターと呼ばれる彼と日々一緒に仕事をするというのはどんな感じなのだろうか。今回我々は彼と長いこと一緒にやっているオーストラリア人メカニックのアレックス・ブリッグズにインタビューを行った。

アレックス・ブリッグズは究極のMotoGPメカニックとして日々過ごしている。

1993年、一人の優秀なモトクロスライダーが故郷のオーストラリアを後にしてヨーロッパに渡った。彼の夢は世界モトクロスでメカニックとして働くことだった。

しかし気がついてみると彼はHRCで同郷のダリル・ビーティーとGPで仕事をしていたのだ。かの有名なエンジニア、ジェレミー・バージェスに誘われたのである。

1年後、ブリッグズはミック・ドゥーハンと働くことになる。その後はタイトルの連続だ。ドゥーハン時代が1999年に終焉を迎えると彼はヴァレンティーノ・ロッシという若きイタリア人にあてがわれることになる。

以来二人はずっと一緒にやっている。ホンダからヤマハへ、そしてドゥカティへ、再びヤマハへとわたり歩く間、7度のタイトルを獲得した。

MOTORSPORT.COM:史上最高のライダーと一緒に仕事をするというのはどんな感じなんですか?

アレックス・ブリッグズ:ひと言で答えることもできるし1冊の本が書けるくらい語ることもできますね!ひと言で言うなら「信じられない体験」ってところです。
 本1冊分の時間はないんで、段落分くらい話しますね。
 私は彼をそんな風に考えたことはないんです。そもそも私が彼と一緒にやりだしたことには「古狸」なんかじゃなかったですからね。でも時が経つにつれてはっきりしてきました。彼はは2ストの125cc、250cc、500cc、そして4ストの990c、800cc、1000ccって全部レースに勝ってタイトルを獲って、鈴鹿の8耐まで勝っている。
 でもメカニック的に考えるのをやめたとたんに自分の仕事を見失っちゃうんですよ。だから私は常にメカニック的気持ちをもって仕事に取り組んでますね。
 ヴァレンティーノと働いていていちばん素晴らしいのは、彼が相手の仕事をきちんと評価してくれるってところですね。そしていつでも私を気にしているって態度で示してくれる。私だけじゃない。私の家族や私のやりたいことまで気にしてくれるんです。


MOTORSPORT.COM:ヴァレンティーノを他のライダーとは違うものにしているのは何なんですか?

アレックス・ブリッグズ:彼がどうしてあれほど凄いかって質問でしょうか。コンピュータを買うようなもんだと思ってるんです。ただ速いだけのもあれば、でかいCPUとメモリを積んでるのもある。最速のコンピュータでしかもどんどんアップグレードしていくモデルを買う。それが彼なんです。
 質問の意味が目に見える何かってことだとしたら、バイクレースに対する愛ですね。レースにまつわるすべてを愛している。彼が愛してるのはただ走ることだけじゃないんです。彼は若いライダーが勝つのを見て喜んでるし、それを手助けすることにも喜びを感じている。完走しても勝ったことのないレースもある。でも彼はレースが大好きで、だからそういう時でも愛がにじみ出ちゃうんです。


MOTORSPORT.COM:今シーズン序盤みたいなロッシの怪我にはチームとしてどう対処するんですか?

アレックス・ブリッグズ:怪我に備えることはできないんで、個別に対処するしかないんです。
 まずはライダーから話を聞きますね。怪我に合わせてハンドルバーをモディファイするのか、ブレーキとかシフターとかステップとかのセッティングを変えたら楽になるのかとかですね。それ以外は前向きな気持ちを保って、あとはできる範囲で手助けするんです。


MOTORSPORT.COM:MotoGPでのチームの文化ってどんなかんじなんですか?外から見える通りチームメイトやスタッフ同士で軋轢とかあったりするんでしょうか

アレックス・ブリッグズ:そういうことのほとんどはメディアと興業側の思惑ですね。もちろんライダー間ではみなさんが思う通り少しは軋轢がありますよ。そういうのはどんなスポーツでも健全なことだと思いますしね。メカニック同士ではそういう悩みはほとんどないですね。みんな自分たちが一生懸命やってるってお互いにわかってますし、これから一緒にうまくやっていくことになるかもしれないってこともわかってますし、過去に一緒に仲良くやってきたこともわかってますから。


MOTORSPORT.COM:メカニックの視点から今年のベストレースを選ぶとしたら?

アレックス・ブリッグズ:勝ったレースは全部ですよ!でも何年もやってると好きなレースって出てきますね。場所とか人とか食べ物とかで決まるんです。
 私がいちばん好きなのはアメリカのラグナセカです。もう開催されてませんけどね。モントレーのホテルに泊まるんですけど、食べ物も街並みも最高なんです。アメリカのレースファンは本当にレースが好きだし礼儀正しい。ああ、それにあのあたりのゴルフコースも世界最高なんですよ。


MOTORSPORT.COM:最悪なのは?

アレックス・ブリッグズ:ライダーが怪我したり決勝でクラッシュしたレースですね。


MOTORSPORT.COM:ヴァレンティーノとの仕事の次は何をする予定ですか?

アレックス・ブリッグズ:よく聞かれるんですよ。毎年、来年もやるのかって聞かれる。
 この25年間ずっと同じです。そしてこれまでと同じく何にもわからないんです。契約は毎年更改するんで。
 史上最高のライダーと一緒に仕事をして、しかも彼が最高峰クラスでデビューしたそのレースから一緒にやってる。そして最後のレースまで一緒にやろうと思ってますよ!


MOTORSPORT.COM:次はあなたにとっての地元レースですね。久しぶりに地元に帰って何が一番楽しみですか?

アレックス・ブリッグズ:友達と会うことですね。1年に一回会うか会わないかのレース仲間で、しかも会うとしたらフィリップアイランドでしか会えないんです。
 あと忙しくなる前に街をふらふらして海岸沿いの雰囲気を楽しむのも好きですね。ちょっとモントレーに似てるんです。音とか天気とかがね。
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身内への気遣いがすごいって田舎のイタリア人っぽいですね(ソースはゴッドファーザー3部作のみですが)。

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ブレーキをリリースしたら後は信じるだけ

今シーズン最高のレースの一つというだけでなく、ことによったら1997年からのもてぎのGPの中でも最高のレースとなった第15戦日本GP。Mat Oxley氏がこれをシュワンツ対レイニーになぞらえてます。Motor Sport Magazineより。
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私がバイクレースというものに畏敬の念を抱くようになったのはもう25年以上も前のことだ。その日付も正確に言える。1991年5月26日である。あのゴールシーンは今思い出しても心臓が口から飛び出しそうになるが、そんな気持ちになるレースを観たのはあれが最後だった。世界選手権の最高峰クラスを象徴する凄いスピード、凄いリスク、とんでもない心拍数がそこにはあった。

もちろんその後にもいくつもの素晴らしいレースがあった。こういうネタについての議論は永遠に尽きることはない。

しかしこの日曜のレースには1991年のホッケンハイムを思い起こさせるものがあったのだ。500ccの世界タイトルを目指すケヴィン・シュワンツとウェイン・レイニーが世界最速かつ世界最恐のサーキットでバトルを繰り広げたのだ。もてぎは必ずしも最速というわけではないし最も恐ろしいところでもない。しかし車軸を流すような雨の中では怖さは段違いとなるのだ。ライダーは自分がどこに向かっているのかさえ見えなくなる。巻き上がる水しぶきとエンジンから立ち上る蒸気のせいだ。そこに身を置いてみなければ想像することさえできないだろうが、時速300kmで飛ばしながら何も見えない中ブレーキングポイントを探し、そしてフロントタイヤをコーナーに向けて滑らせていく。

何はともあれまずは25年ほど前の1991年の話をしよう。ハイデルベルグ近くの森の中だ。ドイツ人がそこにサーキットを建設したのは1932年のこと。アドルフ・ヒトラーが権力を握るわずか数か月前のことだ。

1991年5月。GP500ccクラスの焦点はラッキーストライクのRGV500に乗るシュワンツ、マルボロ・チーム・ロバーツのYZR500を駆るレイニー、そすてロスマンズ・ホンダNSR500 のミック・ドゥーハンだった。このときのホッケンハイムのレースではドゥーハンのリアタイヤが剥離したことでレイニーとシュワンツの一騎打ちとなった。

最終ラップ、2台の500ccマシンはまるで千台ものチェーンソーが一斉にうなりを上げているかのような咆吼をとどろかせながら森の中をトップギアで駆け抜ける。レイニーのリードはほんの数メートル。シュワンツはレイニーにぴったりはりつこうとしている。もてぎの最終ラップのマルケスがRC213Vのリアをひどく滑らせてマシンからの振り落とされそうになったのと同じような目にも遭う。しかしその瞬間がその日のシュワンツの運命を決定づけたのだ。

残り半周というところでホッケンハイムのシュワンツはなぜかトップに返り咲いていた。本当はそんなポジションにはいたくなかったのに。ホッケンハイムは巨大なコースである。2本の長いストレートはまるでアウトバーンだ。勝利の鍵はいかに前車のスリップストリームを使って時速何キロメートルかを稼ぐかにある。

シケインを立ち上がってスタジアムセクション、つまりゴールラインに向かう最後のストレートでシュワンツはコースの右にマシンを寄せる。レイニーはRGVのスリップストリームから抜け出てさらに右から彼を抜く。そこまではレイニーはコースの左端を走っていた。スタジアムセクションの右コーナーに備えるためだ。実質的にはそこが最後の抜きどころである、しかし今回は逆側にラインを取ってしまった。そして彼は自分がどこにいるかを見失ってしまう。プラクティスで常に走っていた場所ではなかったからだ。おかげで彼の心の中のブレーキングポイントはめちゃめちゃになってしまう。

こんどはシュワンツがレイニーのスリップストリームを使う番だ。YZRのリアホイールの数センチに時速290kmで張り付く。そしてその後のオーバーテイクはおそらくGP史上最高のものだ。しかしこれを現実のものとしたのは「神が見えたらブレーキをかける」という彼の天才だけではない。実際には自分でも予想もしていなかった動きだった。

「ウェインが僕を抜いたおかげですごくいい感じでスリップが効いたんです。それで思ったんですよ。まだ終わってない!ってね。目に映るのは目の前のマシンに乗るマルボロのツナギだけ。そしたらそれが自分に向かってやってくる。彼は自身が思ってるより早くブレーキをかけちゃったんです。まじかよ!なんでそんなことしてんだよ!って思いましたね。
 それで彼はちょっと遅れた。これまでとは僕らの左右が逆になってたんです。それでブレーキングの目安がこれまでとは違ってしまった。最初に考えたのは彼にぶつかっちゃいけないってことです。それで彼を避けようとしながらブレーキをかけた。しっちゃかめっちゃかでした。でもおかげでうまくスピードを落とすことができた。
 そして自分はインにつけて、ビデオを見ればわかりますけど、僕はそこで振り返るんです。なんでかって言うと、2速のコーナーで1速に入れてたんです。それほど減速したかったんです。ようやくスロットルを空けられるようになったのにエンジンがついてこなくて加速しない。マザー・ファッカーって感じでしたね。何が悪かったんだ!でタコメーターを見ると15,000回転。12,000回転を超えるとまともに走らないんです。それでギアを上げて、振り返った。このクソファイトが最終左のザックスコーナーでどんなことになるか確かめたかったんですよ」

レイニーにザックスコーナーでの反撃のチャンスは残されていなかった。結果、彼はシュワンツに0.0176秒遅れでゴールすることになる。シュワンツの追い抜きに関しては明らかに怒っているようだった。若いシュワンツは完全にコントロールを失っている様子だったからだ。それが(今回に関しては)彼のミスではないとしてもだ。

「最低な気分でしたね。ケヴィンは僕がブレーキングするのを見てからブレーキをかけて、ものすごく深く突っ込んでいった。僕はさらに彼のアウトにつけようとしてたんですけど、彼の勢いせいでどちらもコースぎりぎりまで行ってしまった。これで終わりだってわかりましたね。もう彼に追いつくチャンスはない。彼の動きは、彼だけが生き残るかそれとも二人ともクラッシュするか、そういう動きだったんです。彼にがつんとやりながらリーンしても良かったけれども、そうなれば二人とも転倒してたでしょうね。もし僕がそれをやってたらあの年のチャンピオンはミック・ドゥーハンだったでしょう」

シュワンツとスタッフは喜びを爆発させていた。その後に起こったことについては公式記録などないが、スズキのレンタカーのうち1台か2台はかは翌日の空港での返却に間に合わなかっただろうことは想像に難くない。一方レイニーは腸が煮えくりかえっていた。もちろんチームオーナーのキング・ケニー・ロバーツもだ。彼も敗戦に打ちのめされていたのだ。当時、特にレイニーとシュワンツがからんだ場合は敗戦というのは世界の終わりを意味していたのである。

1991年のシュワンツとレイニーはお互いに憎み合っていた。文字通りの意味でお互いを蔑んでいた。別にマスコミ向けのサービスでいがみ合っていたわけではない。この憎み合いはアメリカのスーパーバイク時代に端を発し、ヨーロッパに来て完全に熟成することになる。

ドヴィツィオーゾとマルケスは互いを憎み合っているわけではない。ドヴィツィオーゾがマルケスの危険を顧みないやり方について語るときに目をぐるんとさせてみたり、にやっと笑ったりすることがあるとしてもだ。最近のライダーはほとんどみんな自分の感情を上手にコントロールしている。その方が安全だと知っているのだ。レイニーは今でも自分が車いすに乗ることになったのは負けを受け入れられなかったせいだと話すことがある。タイトルを獲れば獲るほどタイトルに取り憑かれていくというのだ。

日曜のレースを終えたドヴィツィオーゾとマルケスは抱き合っていた。つまりはそういうレースだったのだ。ほとんどのレーサーは良いバトルが大好きだ。そしてもてぎのバトルはそれ以上のものだったのだ。

今回のバトルが25年に一度のものになったのはひどい天気のおかげだ。ドライであれば1cm単位で限界を探るところが雨だと1mm単位でさぐることになる。つまり簡単にひどい目に遭うということだ。だからこそ決勝ではほとんどのライダーがスピードを落とすか、でなければ転倒するか、またはスピードを落としたのに転倒していたのだ。

前戦アラゴンでは9位までの最速ラップは0.5秒以内に収まっていた。しかしもてぎでは3位のダニオ・ペトルッチのベストラップでさえ0.5秒離れており9位のライダーの最速ラップは1秒遅れだったのだ。つまりドヴィツィオーゾとマルケスの二人がいかに図抜けていたかということである。

マルケスはほとんどのコーナーでフロントタイヤをロックさせていたと言っている。そしてクラッシュを避けるためにブレーキをリリースしてコーナーに飛び込んでいった。「ブレーキをリリースして後は信じるだけですよ」そう彼は言ったのだ。彼はそれを378回、47分にわたってやり続けたのである。

ドヴィツィオーゾはブレーキングでは優位に立っていた。GP17の過激な空力パーツは単にダウンフォースを稼いでウィリーを防ぎ加速を良くするだけではないのだ。ブレーキングの助けにもなっているのである。マシンが前のめりになるとウイングがさらに前傾してダウンフォースを稼ぐのだ。

さらにドゥカティにはコーナー立ち上がりでの素晴らしいグリップもある。しかしライディングにおいては何かを得るために何かを犠牲にしなければならない。トラクションを稼げるということはタイヤに負荷が掛かるということであり、つまりはゴムが過熱して表面が摩耗していくということになる。それこそドヴィツィオーゾのマシンが恐ろしいほどストレートで暴れていた理由である。

それだけではない。降り続く雨の中ではスリップストリームが使えないのだ。後ろにつくと全く前が見えなくなるのである。そのためドヴィツィオーゾはマルケスのやや右につけて290km/hで巻き上げる水しぶきを避けていた。そしてそのせいで彼のGP17のフロントはダウンヒルストレートで5速、6速とシフトアップするたびに暴れまくっていた。しかしそのまま11コーナー(90度コーナー)に向かい最終コーナーで彼はついにマルケスをとらえることになる。

別の言い方をするなら二人ともドライ路面ではありえないほどぎりぎりのところで走っていたということだ。それはホッケンハイムのシュワンツとレイニーよりリスクを冒していたと言ってもいいだろう。しかしどちらのライダーも一瞬たりとも引かなかった。27周のレースの間、他のライダーがグラベルにはまっていることなど気にしていなかった。

マルケスがそういう走りをするのはそれほど驚くことではない。彼はリスクを冒すために生きているのだ。断崖絶壁でのダンスを楽しんでいるのである。しかしなぜドヴィツィオーゾまで?彼はリスクを冒すタイプではないし、かつてそうであったこともない。それどころかリスクを冒さないことについて何年も批判を受けている。レーサーの仕事はリスクを冒して自分たちを楽しませることだと思っているファンからの批判だ。

「みんながそういうことを言っているけど、それはバイクレースというものをわかってないんですよ」。アマチュアレーサーへのドヴィツィオーゾのまじめな返しだ。「気狂いじみたことをするのが良いライダーの証ってわけじゃないんです。もちろんファンはライダーが何か気狂いじみたことをするのを見たいんでしょうね。でも僕にとってはそれは勝利の鍵ではない。勝利の鍵ってのはたくさんあるんです。あらゆることをうまくまとめて、状況をコントロールするのに何をしなければいけないかを理解する。いろんな分野でいろんなことをしなければならない。気持ちもうまくコントロールしないといけない。そうすれば気狂いじみたことをしなくても勝つことができるってわかってるんです」

実際ドヴィツィオーゾの今シーズンの3勝の内、2勝はまさしくそうやって手にしてものだ。気狂いじみたことをすることなく、マルケスに最終コーナーでリスクを冒させワイドにはらませる。そしてドヴィツィオーゾはゴールラインまでの加速競争に勝利を収めるのである。

一方ドヴィツィオーゾはこれまでなかった場所に立っている。MotoGPのタイトルを巡る争いのまっただ中だ。31歳の彼はMotoGP参戦ライダーの中でも最もバランスのとれた人格者である。彼は控えめで分別もある。不可能なことに挑戦することや限界を超えるまで自分を追い込むことで何かができるなどと信じてはいない。

しかし土曜の夕方、残り4戦となるもてぎ。マルケスを超えるためにはかなりのポイントを稼がなければならない状態で彼がこれまで口にしなかったことを言っている。「勝たなければならないんです。マルケスから少しでもポイントを奪わないと」

そして彼は言った通りのことをやってのけた。1位と2位の差は5ポイントだが、日曜のリザルトはそれ以上の意味を持つ。もしマルケスがドヴィツィオーゾに勝っていたらオーストラリアに21ポイント差の余裕をもって臨むことになっていた。つまりフィリップアイランド、セパン、ヴァレンシアの3戦ともにドヴィツィオーゾの後ろでゴールしてもチャンピオンがとれるということである。しかし今、彼のリードはわずか11ポイントだ。

残るは3戦で75ポイント。何が起こるかは誰にもわからない。神は勇気で勝る者に味方するのか?それとも物事はそんなに簡単には進まないのだろうか?
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残り3戦、どきどきしながら見守りましょう!

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公式リリース>日本GP2017

ホンダドゥカティ(英語)ヤマハスズキアプリリア(英語)KTM(英語)

いやー、最終ラップ最終コーナーについてプレカンでドヴィツィオーゾは「マルクが来るのはわかっていた」と語ってましたが、確かにリプレイを見るとインにねじ込まれるとすぐにマシンを起こして、直後に立ち上がりに向けてマシンを寝かすんですよね。まるでわかっていたかのような動き、っつーか、わかっていたんでしょう。すごいすごい!
そしてスズキ!

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ノビー上田:自身のGPキャリア、そしてロッシのこと

日本GPに合わせて公式が上田昇選手のインタビューを掲載しています。
珍しくディクテしたよ。
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友達がみんな言ってましたね。「ノビー、おまえクラッシュしすぎだよ」って。「あと1レースか2レースクラッシュしてなかったらチャンピオンになってたよ」。まあね(笑)。

いろんな人に眼鏡についても聞かれましたね。あんまり眼鏡をかけてるライダーはいませんからね。「何か問題はないの?曇ったりしないの?」って聞かれましたけど、全然問題なんてなかったんですよ。

1994年はマシンは完璧ですごく速かったし、メカさんもすごがんばってくれたし、あの時がいちばんチャンピオンに近かったですね。

1997年鈴鹿「アナウンス:上田がポールを獲得も何か問題があったようだ。ピットから最後尾のスタートだ。最悪だ!」

いいスタートが切れてレース中盤にはトップグループに追いついたんです。最後の最後にヴァレンティーノ(ロッシ)の後ろについて、そしたらシケイン立ち上がりで彼が後ろを振り返ったんですけど、僕がいたんで二度見したんですよ。だから「やあ!」って挨拶したんです。

彼を負かすのはすごくたいへんでしたね。あの年(1997年)は彼が11勝して、でも残りは全部僕が勝ってるんです。僕の人生の中でも彼といい戦いができたってのは誇れるところですね。

1998年に大けがをしたんです。右腕の橈骨神経を切断しちゃったんです。6か月くらい右腕をまともに動かせなかったんですよ。
でもなんとかレースに復帰したんです。またバイクに乗れるようになった。たぶん怪我をしてから1年と6か月くらいですかね、ブラジルGPでメランドリとバトルして、最終ラップで彼を抜いて勝ったんです。ほぼ2年ぶりにまた優勝できて、ゴールして、ウィニングラップの間、泣いてました。

全力でやってました。辛いことと嬉しいことが良いバランスで(笑)。「あ、ノビー・ウエダ!チャンピオンを2回獲り損なった人だ!」って言われたらこう言うんですよ。
「クラッシュしてなきゃ2回チャンピオンを獲ってる人だよ」
で、みんなが笑ってくれるんですよ。
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ほんとにかっこいいなあ。大好き。

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公式プレビュー>日本GP2017

ホンダヤマハドゥカティ(英語)スズキ(英語)アプリリア(英語)、KTM(未)。

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日本文化へのダニ・ペドロサの情熱に驚愕せよ!

ヘルメットに「侍」の文字を入れていて、前回日本で勝ったときにはダウンヒルで袈裟懸けまで披露したペドロサですが、彼の日本文化への情熱は本物です、って記事をレプソル公式から。6月の記事なんですけどね。
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カステラ・デル・ヴァレス出身の彼は何度も言っている。「日本文化が大好きなんだ」。そんな彼にレプソルのピットでプレスカンファレンスでは出ない質問をしてみることにした。そしてそれはまたひとつダニの人柄を浮き彫りにすることになる。彼は日出ずる国を尊敬しているのだ。ニックネームである「ベイビー・サムライ」というのは伊達ではない。

:こんにちはダニ。あなたのニックネーム、ベイビー・サムライってのはみんな良く知ってますけど、日本が好きだからそう言われてるんですか?それともあなた自信が選んだニックネームです?

ダニ:どっちが先かはよくわからないんです。でも前からサムライや日本の文化に惹かれていたんです。どっちがどうとかはわからないですけど僕にぴったりの名前ですね。


:身近に日本を思い出させるようなものを置いたりしてるんですか?

ダニ:そうですねぇ、僕のロゴマークのリトル・サムライは毎日あちこちで目にしますよ。それにキャリアを通してこれまでずっとホンダに乗ってきていて、日本のファンやスタッフにもらった小物とかがあって、そういうのを見ると日本のことを考えますね。日本や日本の人たちとずっと強い繋がりを感じているんです。僕の人生のかなりの部分を占めているんですよ。


:日本GPをあなたが得意としているのもみんな良く知っています。GPの時に日本ではどんな風に過ごしているんですか?

ダニ:実は残念なことにレースの最中は忙しくてあんまりいろいろ見られないんですよ。ずっとサーキットホテルにいますしね。だから見るものと言えばコースとホテルだけで、レースが終わればすぐに次のレースに出発なんです。


:休暇で日本にいったことはありますか?また行きたいと思います?その時に一番気に入ったのはなんですか?

ダニ:日本で休みがあったことはないんですよ。でも引退したら日本に何ヶ月か滞在してあちこち行きたいといつも思ってます。お寺や日本の伝統的暮らしを見て、座禅とかも覚えたいですね。みんなすごくフレンドリーで良くしてくれる。それに是非体験したい文化もたくさんあるんです。


:日本から何か持ち帰ったりしてます?あとスペインのもので日本に持ち込みたいものはなんでしょうか?あ、もちろんスペインの生ハムは別ですよ(笑)。

ダニ:日本に持ち込むものは全然ないですね。日本にいったら日本の文化を全力で楽しみたいんです…。日本から持ってきたいのは侍の刀ですね。うちに飾るんです。


:カラオケは好きですか?どんな声で歌うんです?日本でカラオケをやったことはあります?

ダニ:へへ、実はあんまり得意じゃないんです。ひどい声なんですよ!場所も大事だけど誰といくかも大事ですね!すごく照れ屋なんで知らない人とか、みんなの前で歌いたいとは思わないんです。でも友達2〜3人と行くならありかもですね。2013年に一度日本で言ったことがありますね。もてぎのレースの後、かなりの大人数で成田のThe Cageってカラオケバーに行ったんです。チームのみんなと歌ったりしてかなり楽しみましたね。


:日本の諺にもいろいろ印象的な日本を象徴するようなものがあります。あなたの印象に残ったものをふたつほど教えてくれませんか?

ダニ:諺とはちょっと違うんですが、チームが教えてくれた大事な文化がありますね。ひとつはダルマってお守りみたいな人形なんですけど、最初はどっちの目も白いままなんです。で目標を決めたり願い事をしたら一方に黒目を入れる。そして願いがかなったらもう一方にも目を入れるんです。


:日本食はお好きですか?何が好きです?寿司とかてんぷらとかの日本の伝統料理を作ったりするんですか?

ダニ:鉄板焼きと寿司が大好きですね。あと麺類も好きです!料理はあんまり上手じゃないんで専門家におまかせしますよ。


:格闘技はお好きですか?その思想が気に入ってる格闘技とかあります?

ダニ:ええ、大好きですよ。特に合気道が好きですね。直線的な動きじゃなくて円を基本にしてるんです。攻撃してくる相手の直線的なラインをはずしながら守りの動きをして、そのまま相手の動きを利用して勝つんです。守るって言っても相手のパンチをブロックするとか相手の力に対抗しようとするとかじゃないんです。僕の体格だと守るだけで、相手の力を利用しながら対抗するってのはすごく興味深いですね。


:日本語はわかりますか?日本語のフレーズを3つ連続でお願いします。証拠としてあとからビデオを送って下さい。

ダニ:基本的なあいさつならできますよ。「こんにちは、ダニ・ペドロサです。初めまして。またあとで!」みたいな(笑)。


:何か他に日本の伝統芸術とか試したことはありますか?華道とか書道とか料理とか日本画とか…。

ダニ:あんまりないですね。でも弓道は学んでみたいです。瞑想の一種で、自分の中の「ゼン」的なものを見つけるみたいな感じで、過去を振り返ったり未来を心配したりしないで現在に目を向けるんです。そうやって初めて自分の最高の能力を引き出して、自分の中にハーモニーを見つけられるんです。感性と知性の両方で体得するものなんです。でも稽古の時にはどちらも捨てる。そして知性のことは忘れて純粋に弓と自分だけになる。的に当てることとか考える必要はないんです。そうやって正しい呼吸と正しい心理状態と正しい身体の状態を保つ稽古ができるんです。目を閉じていてもいいくらいなんです。それくらいのものなんですよ。でもそういう境地に近づくには何年も何年も修行を積まないと行けない。そしてそれでもそこまで達しないこともある。でも弓道は、他の「道」もそうですけど、過程が大事なんです。ゴールが大事なんじゃないんですよ。


:先日 #AskMarcDani2017 で禅とか瞑想について学びたいって言ってましたけど、東洋哲学についてはどんなことを知ってるんですか?

ダニ:禅は日本語で瞑想のことなんです。僕が知ってるのはそれがすごく力がある古からの瞑想の方法だってことですね。高いレベルの自己抑制が必要で、リラックスするための技術と思想を含んでいて、自分の内なるエネルギーを引き出して、共感力と忍耐力を高めるんです。


:ニンジャと侍だったらどっちが勝つと思いますか?

ダニ:誰が勝つかは重要じゃないんです。大事なのは戦いに臨む姿勢なんです。で、僕は侍の姿勢が好きなんです。


ダニについて新たな姿を知るのはとても楽しいことです。みなさんも楽しんで頂けたでしょうか?彼が弓道と合気道が好きだってしってましたか?私たちは知りませんでした。これからも私たちの知らないライダーたちの一面をひきだしていきます。

レプソル仲間でいてくださってありがとうございます!
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へー、弓道。

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ダニ・ペドロサQ&A:状況を変えたらどうなるだろうって好奇心はある

motorsport.comは日本語版もあるので基本的に遠慮しているのですが、ダニだしね。しかもこんな内容だし。Oriol Puigdemont氏の記事です。
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MotoGPに参戦して10年以上になるが、ダニ・ペドロサはまだレプソル・ホンダ以外のチームを経験したことはない。しかし彼は環境を変えたらどんな景色が見えるのか気にはなると告白している…。

ダニ・ペドロサ。先週金曜に32歳の誕生日を迎えた彼がMotoGPで走り始めたのは2006年のことだ。以来一貫してホンダ・ワークスで走っている。そして2013年からはマルク・マルケスがチームメイトだ。

現時点のランキングはマルケスから54ポイント差の4位。数字上ではペドロサはまだタイトル獲得のチャンスを維持しているが、彼自身それの可能性が遠のいていることは自覚している。先月のミサノでのウェットレースが14位という結果で終わったことでさらにタイトル獲得は厳しさを増したのだ。

過去2シーズンの反省を踏まえてペドロサは自分のやり方、特にコース上にいない時のやり方を変えている。そのひとつがMotoGPで華々しい活躍をしたセテ・ジベルナウをアドバイザーに迎えたことだ。

そうした人的資源の充実には満足している一方で、ペドロサはミシュランタイヤが小柄なライダーにとって神経質に過ぎることには不満を感じているようだ。

Q:ダニ、これまでのところ2017年はキャリアで最高のシーズンと言える状況ですか?

「ええ、そうですね。、昨シーズンはちょっと変でしたからね。浮き沈みが激しかったですから。それに引き替え今シーズンは安定してますし。でもタイトル争い自体がかなり変化しているというのも事実なんですけどね。
 タイヤがこんなんで、あと電子制御も新しくなって、それで争いが激しくなってるんです。僕も前より状況をうまくコントロールできるようになってますけどね。特に厳しい状況をうまくコントロールできるようになりました」


Q:ミザノみたいなことが起こった時にはミシュランはなんて説明するんですか?あの時は温度が上がらなくてタイヤが機能しませんでした。

(肩をすくめて笑いながら)「そこは答えたくないですね」


Q:最近のインタビューではレースへのアプローチの仕方を変えたと話してますが、どういうことですか?

「以前よりリラックスしてレースに臨むようにしてるんです。あといろんなことのとらえ方が変わってきてますね。おかげでレースの週末をうまくコントロールできるようになったんです」


Q:そういうやり方は自分でみつけたんですか?それとも誰かのアドバイスでしょうか?

「主に僕自身で見つけたんです。ここ何年かの経験とチーム内や僕の周りが変わったことでそこに行き着いたんです」


Q:ホンダが進めているマシン開発には満足していますか?それとあなた自信の貢献度合いについても満足です?

「ええ。満足していますよ。すごくうまくやれていて、マシンも去年に比べて着実に良くなっている。
 マシンの感触も良いし、望んだり必要だったりする情報がちゃんとメーカーから返してもらえる。去年までは、そういう前に進むための返しがなかったんですよ」


Q:マルケスがチームメイトでいることの良いところと悪いところを教えて下さい。

「いいところはですね、彼がすごく強くて野心があるってことですね。おかげで参考にできる。
 悪いところも同じです。だって戦う相手が彼なんですよ。それがすごくたいへんなこともあるんです。
 でもまあそういうことは置いといて、僕は戦うのも好きだし、ピットの反対側にすごく速いライダーがいることを気にしたことはないですよ」


Q:あなたはドヴィツィオーゾとチームメイトだったこともありました。彼がこれほど強くなるなんて思ってましたか?

「アンドレアの今年の成績にはみんな驚いているのは確かですよ。彼はこれまで努力を重ねてきて、僕らはそれが花開いたのを見てるんです。
 もちろんドゥカティのマシンが違うものだったら彼はここまでの成績を残せなかったかもしれません。現時点ではドゥカティとドヴィツィオーゾのどちらも賞賛に値するってことですね」


Q:見える風景を変えてみるってのはあなたにとっていいことだと思いませんか?

「興味はありますよ。新しいことを学んだり誰かのために働いたりするのは以前から好きですから。マシンを開発してるときに、何かの役に立ちそうなことに気付くと、それを伝えるのがとても嬉しいんです。
 ホンダにはもう何年もいますしね…。だからいつも似たようなマシンに乗っていた。つまり発生する問題もいつも似てたってことです。
 確かに外の世界が気になることはありますし新しいことを学びたいって気持ちもあります。
 ま、それを別にすればこのチームにいられて良かったっていつも思ってます」


Q:MotoGPを引退しても関連の仕事を続けたりするんですか?

「ぜひそうしたいですね。先のことはわかりませんけど心からそう思ってます。僕はここで育って、ここでずっと人生を送ってきて、ここで経験を積んで、違う見方もできる。現役ライダーの身ではまだ言えないこともあるんです。
 でも他の人が気付いていないことも見えている。僕がバイクレースに心血を注いでいるんです。子供の頃からの夢だったんですから」


Q:これからの人生で新たにやってみたいことってありますか?

「たくさんありますよ、でもみんなバカみたいなことばかりです。例えば友達と公道用バイクで砂漠に行ってフルスロットルで砂丘を走るとか。そういうバカみたいなことですね。そういうのがしたいんです」
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なんか涙が出てきた。でも引退前にチャンピオンを獲るんだよ。

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