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スズキのMotoGP活動…いったいいつになったら底を打つのか…

去年の着実は進歩はどこへやら、なんかもう散々なシーズンとなっているスズキについてマニュエル・ペッチーノ氏の記事を。PECINO GPより。
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2016年のアラゴンGP。シルバーストンで2016年そして復帰後の初勝利を飾ったスズキのMotoGPプロジェクトは順調に歩みを進めていた。モーターランド・アラゴンでもその状況は変わらない。マーヴェリック・ヴィニャーレスはマルク・マルケスのRCV、ホルヘ・ロレンソのM1に次いでGSX-RRをフロントローに並べてみせたのだ。翌日のレースでも一時はトップを走り、2人のチャンピオンをバトルを繰り広げた末、4位でゴール。3位のヴァレンティーノ・ロッシとの差はわずか2秒だった。そしてチームメイトのアレイシ・エスパルガロは7位でゴールしている。スズキのMotoGPプロジェクトは軌道に乗っているように見えた。

2017年の同じアラゴンGP。スズキのピットにおける人々の表情は現在おかれている厳しい状況そのままだった。今シーズンは初戦からフラストレーションが溜まる一方である。そしてモーターランド・アラゴンの結果が最後の一滴となってついには我慢も限界に達することとなった。イアンノーネのスターティンググリッドは10番手。これは今シーズン最悪のものというわけではない。決勝結果も最悪ではなかった。10位でスタートして12位でゴールというのは彼の今シーズンの標準的な成績と言ってもいいだろう。しかしアラゴンでの恥ずべき問題はアプリリア1台とKTM2台がトップのスズキの前でゴールしているという事実なのである。MotoGPという極めて難しいカテゴリーにおいてスズキと比べたら遥かに経験の少ない2メーカーだ。そしてどちらもMotoGPプロジェクトを始めたのはスズキに遙か遅れてのことだ。そういうことだ。実に恥ずべき状況なのである。

成績が奮わないということだけがスズキを悩ませている問題ではない。一致団結してプロジェクトを前に進めていかなければならない組織の中に、傍目にも明らかな分断が生じているのである。例えば技術開発面で何か重大な失敗があったとしよう。去年であればホンダ、ヤマハ、ドゥカティという3強に追いつくための発展途上につきものの出来事ととらえることができたはずだ。しかし今年は違う。そうしたミスのせいでMotoGPに参戦する6メーカーの最後尾に追いやられてしまっているのだ。

状況は複雑だが、しかしレースの世界ではこうしたひどい成績をなんとか取り戻す時間というのも普通は確保できるのである。現在のレギュレーションではシーズン中のエンジン開発は凍結されている。つまり状況を改善する時間は以前より長く確保できると言うことだ。しかし負のスパイラルから完全に脱却するためには全員が同じ方向を向くことが必要である。日本にいるワークス部隊もレース現場のスタッフもライダーも全員が同じ方向を向かなければいけない。そしてダヴィデ・ブリヴィオが率いるこのチームに欠けているのが正しくそれなのだ。

ここで話題にしているのは今シーズン時々見られるイアンノーネの振る舞いのことである。もちろんシーズン当初にアンドレアが高いモチベーションと積極的に取り組む姿勢を維持していたのは間違いない。しかし度重なるクラッシュと奮わない結果に彼は完全にやる気を無くしてしまっている。そして彼はそれを隠そうとしないどころか、火に油を注ぐような態度さえ見せているが、こうした態度のせいで彼の抱える問題を解決しようと考えていた人たちからの信頼も失ってしまったのだ。チームは既に彼をメンバーの一員として見てはいない。なんというめんどくさい状況だろう。

一方、アレックス・リンスの最高峰クラスへの習熟っぷりも遅々としたものである。最初のプレシーズンテストが行われたヴァレンシアでのクラッシュと2017年のアルゼンチンGPでの転倒のおかげで、彼の実質的な開幕は第11戦となるオーストリアになってしまった。しかもチームメイトは参考にできない。アンドレアがまともに走ることはないし、そもそも誰もそんなことを期待していないのだ。こうした状況のせいでリンスの挑戦はさらに厳しいものとなっている。彼の成績はそこそこと言ったところだ。良い結果と満足できない結果が混在している。そんなわけで再び「犯人はライダーなのかマシンなのか」という疑問がわき起こってくるしまつだ。

チームは既に2018年に向けて動き始めている。他のメーカーと異なりレース後にそのサーキットで彼らが行うのは2018年用の新型のテストである。今年は間違いなくスズキにとっては試される年となっている。しかし彼らはこの危機的状況を過去何年もレース現場で蓄積してきた経験に基づき克服しようとしている。技術的な側面についてはいつだって復活は可能である。しかし今回については、真に問題なのは人的側面、はっきり言えばライダーなのである。
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ううう。

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公式リリース>アラゴンGP2017

ホンダヤマハドゥカティ(英語)、スズキアプリリア(英語、KTM(英語)

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公式プレビュー>アラゴンGP2017

ホンダヤマハドゥカティ(英語)スズキ(英語)アプリリア(英語)、KTM(未)。

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MotoGPアラゴン:レディング「やっと家族がどんな気持ちなのかわかった」

パートナーのキアラ・フォンタネージが先日5度目の女性モトクロスの世界タイトルを獲得したスコット・レディングがその心中を告白しています。CRASH.netよりPeter McLaren氏の記事を。
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先週末のフランスGP、キアラ・フォンタネージはドラマチックな状況でFIMウィミンズ・モトクロスの世界タイトルを獲得した。そして彼のボーイフレンドであるMotoGPレーサーのスコット・レディングはコース外から彼女を応援していた。

最終戦を迎えてタイトル獲得のチャンスがあるのはフォンタネージを含む4人。そして最後のラウンドは大雨による最悪のコンディションとなった。

そして彼女は1ポイント差でリヴィア・ランスロットを下してチャンピオンを獲得したのだ。

「正直僕はまだ全然回復してないですよ!」。木曜のアラゴンでレディングはそう語った。

「もう疲れ果てましたね…、精神的にですけど。こんな風にごく近い人のせいで気持ちが動くなんてね…僕がバイクに乗ってレースに出るとき家族がどんな気持ちでいるのかやっとわかりましたよ。
 もうあんなに長く見ているだけってのは無理ですよ!」

そして彼はこう付け加えた。「可能性はあったし彼女ならきっとできると思ってました。でも運も必要ですからね。そして第1レースでは運が彼女に味方した。トップのライダーがスタックして、それで彼女は前に出て勝ったんです。きちんとゴールまで走りきった。完璧です。
 第2レースでも少しリードしたけど雨が降り出して、グリップに苦しむことになった。そういう感じでしたね。ずるずる下がって行ってしまった。彼女はどうすることもできず、タイトルも手放さなきゃならない感じでした。
 でもあと2周というところでフィニッシュされたらタイトルが獲れなくなるって相手が一人、登りでスタックしたんです。ほんとに精神的にきつかったですね。彼女は自分の仕事をやりきった。スタックもせず、安定して、限界も超えず、きちんと坂を登ってタイトルまで帰り着いた。
 ほんとにちょっとした幸運が必要なことがあって、タイトルを争う世界では本当にそうですよね。僕は(2015年のMoto2で)タイトルを逃してしまった。運がなかったんです!そういうことってあるんですよ。
 キアラは今シーズン初めはついてませんでした。インドネシアではスタックするし、他にもメカトラブルとかもあって、だから彼女にツキが戻ってきてほんとに良かったです。すごくがんばってましたからね。

What more can i say. 5x WORLD CHAMPION! Team work is Dream work ! Kept a cool head and strong heart. I love you @kiarafontanesi ❤️

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(これ以上言うことは無いよ。5回目のタイトル!チームも最高の仕事をしたね!常に冷静に、気持ちは強く。愛してるよキアラ)

2018年からはプラマック・ドゥカティを離れてアプリリアで走るレディングは残り5戦は来年を視野に入れながら走るとのことだ。

「トップ10に残るのとドゥカティGP16組でトップになるのが目標ですね。以前は目標を高くし過ぎてたし、あとマシンにも問題があった。悪くはないんだけど1ラップあたりコンマ何秒か遅いんですよ。でもシルバーストンとミザノでは安定してラップを刻めるようになってます。
 あんまりプレッシャーを気にしないで来年に向けて学べるだけ学びたいですね。来年はマシンが変わりますけど、まあ2輪でスロットルがあって電子制御がついてるってのは同じですからね。自分自身も含めて改善できる部分があれば、その中には来年に持ち込めるものもあるでしょう。
 違うマシンに合わせてライディングスタイルを変えるのは一番たいへんなことってわけじゃないんです。みんな違うマシンですからね。たいへんなのは自分とマシンの間でやりとりしながらマシンをコントロールすることなんです。リアホイールの空転やロックやスライドなんかを感じながらね。どうやってそういうのをコントロールするかがポイントなんです。
 アプリリアを見てるとハンドリングはすごく良さそうですね。実際そういう評判もきくし。加速は現時点ではまだちょっと足りない。でも現代の技術ならパワーを出さなきゃならないってのはそれほどひどい話じゃない。ハンドリングがダメってより遥かにマシですよ。そうなるとかなりきついですからね。
 今シーズンの終わりまでにはもっと良いマシンになるだろうと確信してますし、そしたらあとは自分の仕事をきちんとこなして準備をするだけです。アプリリアに乗ったらすぐガツンとやれるって言ってるわけじゃないですよ。でも自分としては今と同じくらいのポテンシャルは見せたいし、もっと良くなっていきたいですね。
 今年が終わるまでには厳しいレースもあるでしょうけど、そんなのにはめげませんよ」
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確かにあんな最終戦、見てる方は胃が痛くなったでしょうねえ。

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2017年アラゴンGP木曜まとめ:ロッシの素早い復活、そしてヒロイズムについて

腓骨(太い方:fibula)と脛骨(細い方:tibia)の骨折後20日余りという驚くような速さでレースに復帰しようとしているロッシについての話を中心にMotoMatters.comから木曜のまとめです。
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ヴァレンティーノ・ロッシは右の脛骨と腓骨を骨折してわずか22日後にレーサーに乗っていったい何をしようとしているのか?答えは実に簡単だ。レースがしたいのである。なんでそんなに早くレースがしたいのか?これまた簡単だ。脚の状態が予想を遥かに上回る回復ぶりだったからだ。

前回彼が脚を骨折したのは2010年のことだ。その時の彼は今よりひどい状態だった。「2010年のことを思い出しますね。手術の後、5〜6日はほっんとにひどかったんですよ」とロッシはプレスカンファレンスで語っている。「今回はもう次の日には家に帰れましたからね」

そしてその時、彼は2010年より早く復帰できるかもしれないと考え始めたのだろう。事故後の混乱の中で彼が目標としていたのはもてぎでの復帰だった。しかしその目標はすぐに前倒しされることになる。「最初の何日かで前回と比べると痛みが全然違うってことに気付いたんです。だから前より早く復帰できるかなって思い始めたんですよ。最初の1週間はきつかったですけど、10日もするとかなり良くなってきたんですよ。毎日良くなっているのがわかる。脚も足首もいい感じなっていく。それでアラゴン出場を考え始めたんです」

ロッシをパドックで目にするまでは彼がとても乗れる状態ではないだろうと考えている人もいた。しかし彼がパドックに車を乗り付け、そして車から降りると、私たちの誰もが予想していなかったほど状態が良くなっていることが明らかになったのだ。びっくりするほど軽い足取りで車を降りるた彼はが手にしていたのは一本の松葉杖だけだった。ギプスはなし。サポーターを脚に巻いているだけだったのである。

予想以上に良い

ロッシが予想以上に簡単にサーキットのメディカルチェックをパスしたことでも状態の良さは明らかだった。「テストに関しては自信がありましたよ。だって前回(2010年)のザクセンリングはもっとひどい状態でしたからね。今回は松葉杖なしで歩けたし。脚に体重を掛けられたのも大事なポイントですね。かなりいい感じでした。それと膝も足首もちゃんと動く。そういうところをチェックされたんです。でもそれだけじゃなくて脚の見た目もよくなってるんですよ。腫れてもいないし色も普通。だからチェックは楽勝でしたね」

昔々、あるところにこう疑う人たちがいました。「サーキットドクターというのは、ドルナか有力チームか大スポンサーの強い意向を受けてチケット売り上げに貢献できるライダーのチェックに手心を加えている」。しかしFIMとドルナは四肢を骨折したライダーに対するチェックを標準化することでこうした疑念を振り払っているのだ。

下肢(脚、足首、足)の骨折に対しては4つのチェックが行われることになっている。股関節及び膝関節は通常の50%以上動くか、ライダーは片足で5秒以上立っていられるか、物理的支援なしに20mを15秒以内で歩けるか、階段10段を20秒以内に登り切れるか、の4つである。

ロッシはこうしたテストのすべてをパスしているのだ。そして彼がプレスカンファレンスの席から歩いて退場するのを見れば、素人目にも彼が楽々とチェックをパスしたろうということは明らかだった。彼の足取りはいつもの優雅なステップとは程遠いものだったが、びっこを引いているというよりちょっと足がうまく動かないという程度だったのだ。彼は右足にも体重をかけていたし、躊躇無く歩いていたのだ。もちろん、例えば10kmのハイキングに出かけられるような状態ではないのも明らかだったが、それでも動くのに苦労している様子はなかったのだ。

現代医学の脅威

当然のことだが木曜のパドックでの話題の中心はロッシの怪我についてだった。ある広報担当が私たちに語ったところによれば、その人もロッシと同じような怪我をして脛骨にボルトを入れたのだそうだ。医師によればボルトのおかげで骨が荷重を支えるようになるとのことだったが、依存症にならないよう医師が3日目にオピオイド系鎮痛剤(訳注:モルヒネとかへロイとか)の投与を止めると問題が発生したという。脚の強度には問題がないかもしれないが、痛みのせいで脚に力を掛けるなどということはとても考えられなかったのである。

しかしその広報担当はレーサーでない(そういう意味では大したものだが)。痛みはバイクレーサーには友達のようなものだ。痛みをコントロールするのは彼らの仕事のひとつだと言ってもいいだろう。ロッシは一旦バイクにまたがればなんとかできるだろうと信じているのだ。「マシンに乗れば折ったところが痛むでしょうね。脛骨は下の方で折っていて腓骨は上の方で折ってるんです。向き変えでもちょっと苦労してますし。ベストの自分に比べたらかなり遅いのは間違いないでしょう。特に右コーナーでは痛みのせいで辛いんです」。モーターランド・アラゴンが右コーナーより左コーナーの方が多いというのは幸いである。

誰の頭にも浮かぶ最大の疑問は、なぜロッシがこれほど早く復帰できたのか、ということだろう。わかりやすい答えはこうだ。彼はまだタイトル獲得をあきらめてはない。ホルヘ・ロレンソの言葉がそれを裏付けている。「彼はまだタイトルの可能性を失ってるわけじゃないですからね。もちろん失ったポイントを取り戻すのは簡単じゃありません。怪我もしてるわけだし。それは間違いないです。もちろん彼の中ではタイトル獲得の最後のチャンスを逃すわけにはいかないと思ってるでしょう。それに彼はまだタイトル争いをしているつもりでいる。それこそが彼を突き動かしているんです。彼の考えていることがわかるんです。金曜に試せばいいじゃんってことなんですよ」

大事なのはアラゴンではなくアジア太平洋ラウンド

ロッシ自身は今回の復帰についてタイトル争いとは関係無いと言っている。「いや、タイトル争いのためじゃないんですよ」。そう彼はプレスカンファレンスで語っている。「まだ決まってはいないし、トップの3人について言えば本当に誰がチャンピオンになるのかわからない。でもそのためじゃないんです。状態が良くなったらできるだけ早く復帰したかっただけなんです。それが一番いいと思っていたんです」。復帰の目的は自分の状態を確認することなのだ。どれほど脚が回復しているのか、そしてなによりバイクに乗ることで脚の状態が日々良くなっているのか悪くなっているのかを確かめることなのである。

「まず大事なのはマシンに乗った時の状態と脚の状態を日々こつこつと改善していくことなんです」とロッシは語る。今週末の目的を聞かれての答えだ。「完走は既に見えてきているし、ポイント獲得も可能だと思います、でもまだはっきり言えるほどではないですね。欠場しないことが大事で、あともてぎまで3週間稼げるってものありますね。それにシーズン終盤に向けてトップ争いのために脚をどうしていかなければならないのかを正確に見極めたいってのもあります」。つまりロッシにとってはアラゴンでのレース自体よりパシフィックラウンド3連戦に向けて自分の状態を把握することが大事だということである。タイトル争いはあきらめているのかもしれないが、しかし今シーズンのあと1勝か2勝はまだまだあきらめていないのである。

第三の男

そんなわけで哀れなミハエル・ファン・デル・マルクは寒空の下に放置されることになった。彼はロッシの代役として初のMotoGPマシンで走るのを楽しみにはるばるアラゴンまでやってきたのだ。とは言えファン・デル・マルクは状況を冷静に把握している。「僕が彼なら同じことをしたでしょうしね。だからそれほどがっかりはしてませんよ」

彼にとってはそれも想定済みだということだ。「レースウィークに入る前の時点でヴァレンティーノが走るつもりでいるのはわかってましたしね」とファン・デル・マルクは言っている。「ずっと彼が走るかもしれないってのは覚悟してましたから。明日の朝から走ることしか考えてなかったってわけじゃないんです。ずっと『まあ様子見だね』って思ってましたから」。とは言えロッシがマシンに乗ってみようというところまで回復したのには驚いたとも彼は言っている。

もしロッシが金曜に試し乗りをして、その結果無理だとなったらファン・デル・マルクは想定より遥かに少ない練習時間でMotoGPマシンの初レースに挑むことになる。しかし彼はそれほど気にしてはいないようだ。「いや、でもMotoGPマシンにはみんな乗ってみたいでしょ?もちろん理想的な状況じゃないですけど、そもそもGPマシンなんてテストでも乗ったことがないですからね。まあ状況次第ですね。コースに出て、マシンの性能をでいるだけ引き出して、この素晴らしいチャンスを楽しむだけですよ」

まだチャンスはある?

そういう意味ではファン・デル・マルクにとっては金曜に乗るよりプレッシャーが少ない状況で土曜を走ることになる。期待は高まる。そしてもしファン・デル・マルクが今週走ることができなければヤマハは彼に借りを作ることになるだろう。実際、「もしマイケルが今週レースで走らなければ、彼がMotoGPマシンに乗る機会を作るためにテストを設定しますよ」とリン・ジャーヴィスがGOOneのパオロ・スカレラに語っているのだ。

代役をオファーされてファン・デル・マルクは驚いたことだろう。Pataヤマハのチームメイト、アレックス・ロウズは去年テック3でブラッドリー・スミスの代役を務めており、ファン・デル・マルクも彼にオファーがいくものと思っていたようなのだ。「ヴァレンティーノが脚を骨折したのを知って最初に思ったのは、乗るのはアレックスだろうなってことでした。彼は経験もありますからね。でも僕を選んでくれた」。ファン・デル・マルクは去年の段階でロウズからマシンについて話をきいていたのだそうだ。「アレックスとはずいぶん長いことマシンについて話してたんです。すごく良いマシンだって言ってましたね。そして『すごく楽しめた。めっちゃ面白いよ。これ以上は伝えられないね。あとは自分で体験しないと』って言ってましたよ」

確かにアレックスの方が経験豊かだがヴァレンティーノ・ロッシの代役としてはファン・デル・マルクの方がすぐに適応できただろう。身長も同じくらいだし、ロッシと同じようにひょろっとしている。さらにライディングポジションの調整も少ないだろう。

さらにファン・デル・マルクが乗る予定だったロッシのマシンには伝説がつきまとっている。カル・クラッチローによれば、彼が2011年にテック3に加入した時に彼に与えられたのは2010年終わりにワークスのピットにあったマシンだったのだが、クラッチローはロッシのバイクに乗るように指定されたのだそうだ。全然違いがわからなかったとクラッチローは悲しそうに告白していた。翌年与えられた、ロッシがまったく関与していないマシンと全く同じだったのだそうだ。

ヒロイズムはまだ死んでいない

今般のヴァレンティーノ・ロッシの件を語る中で、どうしても他のライダーの同じような話も引き合いに出したくなる。怪我をしたライダーがとんでもなく短い時間で復帰した例として真っ先に挙げられるのは2013年のアッセンで鎖骨を折ったホルヘ・ロレンソの事例だろう。このときは実に多くの議論が巻きおこっている。彼はバルセロナにもどって鎖骨の手術を行い、一晩おいてマシンにまたがり、結局、鎖骨骨折後わずか32時間で決勝を走っている。

もし自分がヴァレンティーノ・ロッシと同じ立場だったらレースをするかと聞かれたロレンソは実にすがすがしくこう答えている。「わからないですね。それに、普通だったら2013年のアッセンでも走らなかったですよ。またやるよなんて普通言いませんよね。でももし同じことが起こったらやっちゃうかもですねで。それは誰にもわからない」

無理してアッセンを走ったせいでその後厳しい状況に陥ったことを後悔しているのだろうか?そんなことは全くない。「自分で選んだことですからね。それはずっと考えていましたし、許可ももらえたんで走ったんです。確かにまた転倒したらと思ったらものすごくリスキーでしたね」。彼はアッセンでは転倒しなかった2週間後、ザクセンリングの悪名高きウォーターフォールのてっぺんで転倒し、2週間前に鎖骨に入れたばかりのプレートを曲げてしまうことになる。「でも「転倒したのは2週間後のザクセンリングでした。それでまた同じ側の鎖骨を折ってしまった。リスクはあったんです。アッセンでは転倒しなかったけどザクセンリングで転んでしまった。正しい判断だったのか?そりゃすべてがうまくはまっていればそういうことになりましたよね!でもアッセンのせいでタイトルの望みを失うことはなかった、まあザクセンリングでやらかしちゃったんですが」

本命とダークホース

誰もがヴァレンティーノ・ロッシに注目する中、アラゴンでは粛々とレースが進行していた。モーターランド・アラゴンは多くのライダーが愛するコースだ。変化に富んだコースだからである。高速コーナー、低速コーナー、登りと下り、そして多くの抜きどころがある。そんなわけでこのコースを悪く言う者はいない。マルク・マルケスはこのコースを得意としているが、それはここが半時計回り、つまり彼がいつも練習しているダートトラックと同じだからだろう。

しかし注目すべきは彼だけでははい。マーヴェリック・ヴィニャーレスも去年スズキで良い走りを見せている。そしてヤマハがGSX-RRより良いマシンなのは数字が証明している。ダークホースはホルヘ・ロレンソだ。彼は自分が得意なコースならドゥカティをで強さを発揮できるのだ。「アラゴンともてぎは僕らにとっていいコースになりそうです。特にもてぎはね。でもアラゴンでも上手くやれると思ってますよ」とロレンソは言っている。

2010年にケイシー・ストーナーが優勝し、さらに表彰台の残りの一角をニッキー・ヘイデンが占めて以降、ドゥカティはここでは苦労続きだ。しかしロレンソはドゥカティについて何かをつかんだようだ。ミザノでは大きな一歩を踏み出している、「どんどん良くなっているのがわかるんです。どんどん目標に近づいている。このマシンで勝つという目標ですね。かなりいいところまで来ています。ミザノでは勝てそうだったのにクラッシュしてしまった。だから雨で勝てる力はあるんです。でもドライでも優勝争いができると思いますよ。ここでもそうだといいですね」

この週末は雨のスタートとなりそうだ。金曜の午前中何時間かは雨予報である。午後には天気は回復し、昼過ぎには雨も弱くなるらしい。ヴァレンティーノ・ロッシにとってはあまり良い復帰とはならないだろうし、アラゴンで勝つつもりでいる何人かにとってもそうだろう。しかしMotoGPはアウトドアスポーツなのだ。何が起こるか決めることなどできはしない。あるがままを受け入れるしかないのだ。折れた脚、傷めた指の腱、天気。それでもレースはスタートするのだ。あなたの準備ができているかどうかはお構いなしなのだ。
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ロッシ、すごいねえ。そしてロレンソ、期待していいの?

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MotoGP:シャイーナによるインタビュー…今度の相手はサム・ロウズ!

カル・クラッチローへの見事なインタビューでお馴染み、インドネシアのシャイーナ・サルヴィアさん(11歳)。今度は、アプリリアを契約途中で放逐され来年からはMoto2に戻る渦中の人、サム・ロウズが相手です。なんというセレクション、そしてなんという見事なインタビューっぷり。ミザノでのインタビューをCRASH.netより。
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シャイーナ・サルヴィア:こんにちは、サム。今日は5つ質問を持ってきました。最初の質問ですけど、MotoGPに馴染むのはどれくらいたいへんだったんですか?

サム・ロウズ:MotoGPはMoto2とはほんとに違っているんです。乗り方も違うし、何よりずっと速い。楽しいってことなんですけどね!まあバイクはバイクなんで凄く似ているところもあるんです。でも最高出力と加速とブレーキングはMotoGPマシンは全然違うんです。でも悪くはないですよ。


シャイーナ・サルヴィア:MotoGPの方がMoto2より難しいと思いますか?

サム・ロウズ:少しだけ難しいですね。でもそれ以上に違いが大きいんです。Moto2はどれも多かれ少なかれ共通点がある。エンジンは同じだし、フレームもカレックスとスピードアップとスッターでほとんど変わらない。でもMotoGPだとマシンごとに大きな違いがあるんです。ホンダとドゥカティとヤマハとアプリリアとKTMとスズキは全然違う。だから技術的な視点からするとちょっと難しいんですね。


シャイーナ・サルヴィア:今年は前よりクラッシュが多いですけど、これはあなた自身のせいなのかバイクのせいなのか、どっちなんでしょう?

サム・ロウズ:もちろんいくらかは僕のせいですね。でも同時にマシンも潜在能力は高くて、でもすごく複雑なんです。フロントタイヤにも少し苦しめられていて、だからコースによってはマシンのフロントやタイヤに苦しめられるんです。なかなか苦労しているんですよ。
 僕がMotoGPマシンに慣れていないのと、アプリリアにもちょっとした問題があるのと、その両方ですね。チームメイトのアレイシも彼のMotoGPの経験の中で今シーズンがいちばんたくさんクラッシュしてますし。
 だから半々だと思います。


シャイーナ・サルヴィア:来年についてはどうですか?

サム・ロウズ:インターヴェッテン・チームとKTMと僕で良い契約ができましたね。僕らの目標はもちろんタイトルを目指して戦うことです。それができれば世界タイトルも獲れる。それが現実的な目標として掲げられる状態で来シーズンを迎えられて嬉しいですね。みんなでタイトルを目指しますよ。


シャイーナ・サルヴィア:これが最後の質問ですけど、もしGPライダーにならなかったら今なにをしてると思いますか?

サム・ロウズ:良い質問ですね!それについてはあんまり考えないようにしてるんです!スポーツは何でも好きなんですよ。ゴルフもすごくやるし、だからプロゴルファーがいいかもですね。バイクレースとは全然違いますけどね。そういうのがいいかな。スポーツ選手としての人生を楽しんでるんで、たぶんそっちの世界にいるでしょうね。


シャイーナ・サルヴィア:何かスポーツをやってるだろうって答えるライダーが多いですね…。

サム・ロウズ:でしょうね。みんなスポーツが好きで、そういう人生が楽しいんです。


シャイーナ・サルヴィア:ありがとうございました。

サム・ロウズ:こちらこそ。
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毎度シビアな質問です。かっこいい。

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クラッチロー:ファン・デル・マルクはロッシの代役としては違うんじゃないの?

ロッシが怪我してすぐにMotoMatters.comのDavid Emmett氏に「彼は経験も無いし」とか言われたのに対して「地の果てまでも走ってやんよ!」と返して(それが奏功したかどうかは別として)アラゴンでのMotoGP初レースをゲットしたミハエル・ファン・デル・マルク。しかしクラッチローもヤマハの選択に疑問を呈しています。motorsport.comよりJamie Klein氏の記事です。
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ワールドスーパーバイクのレギュラーライダーであるファン・デル・マルクはモトクロスでのクラッシュで脚を骨折したロッシの代役としてヤマハに指名されてGP最高峰クラスでデビューを飾ることとなった。

オランダ人の彼はスペインでのレースを走るライダーの候補として同じくWSBKを走るアレックス・ロウズ、そして二人のテストライダー、中須賀克行と野左根航汰と並んでヤマハが挙げていた4人のライダーの内の一人だ。

しかしミザノでロッシの代役としてのファン・デル・マルクの資格について疑問を呈したのがクラッチローだ。彼はロウズや中須賀の方が良い選択ではないかと言っているのである。

ロウズは去年テック3ヤマハのブラッドリー・スミスの代役として既にMotoGPを走っている。そして中須賀は2011年以降7回ヤマハでの最高峰クラスでの経験を持っている。

「なんでロウズをまた乗せないのか理解できないですよ。だってもうM1に乗ったことがあるんですよ」とヤマハの選択についてたずねられたクラッチローは答えている。

「中須賀のことも良く知ってますけど、彼はいつもM1に乗ってる。中須賀にするか、じゃなきゃロウズにするかでしょ。だってロウズなら去年はアラゴンでプラクティスを走ってるんですよ。まあ決勝は走ってないですけど。
 でもファン・デル・マルクでしょ?なんでか全くわからないですね…いや、彼がダメだって言ってるんじゃないんです。でも他に二人の良い選択肢があるんですよ。ロウズと中須賀っていうね」

なぜファン・デル・マルクがロウズや中須賀と比べて良い代役ではないと思うのかと重ねて問われた彼はこう答えている。「だってめちゃ速いってわけじゃないでしょ?鈴鹿8耐でもロウズほどは速くなかったんですよ」

ヤマハM1でテストすらしたこともないにもかかわらずファン・デル・マルクはロッシの代役としてアラゴンを走るのが楽しみでしょうがないようだ。こんなチャンスをみすみす見逃すなんてできないと彼は語っている。

「当たり前ですよ。僕にとっては最高のニュースなんです!」そうファン・デル・マルクはWSBKのサイトで語っている。

「夢みたいですよね。そりゃきつい週末になるとは思ってますよ。だってGPマシンなんて乗ったことないですからね。でもラッキーなことに最高のチームに呼んでもらえて、世界最高のマシンで走れるんです。コースのことはわかってるんで、後はマシンについて学ぶだけですね。
 めっちゃ忙しくなってますよ。でもこんなチャンスにノーなんて言えないですよ。ヴァレンティーノの代役を頼まれるなんですごく名誉なことですからね」
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を、いい結果を出してほしいですね!!

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マジック・マルクの綱渡り

もうね、あんな勝ち方をされたら、抜かれたペトルッチだけじゃなくて後ろで見ていたドヴィツィオーゾも「うげっ」ってなるような完璧さ。何がすごいって、ペトルッチを抜くときに全く危なげがなかったことですよ。つまり圧倒的な力の差を見せつけたってことです。「ちょっと無理すれば抜けるから、ちょっと無理してみよう」じゃなくて、間合いを測って測って、そして測りきったところで抜いて、突き放す。完璧すぎる勝ち方でした。そのマルケスについてMat Oxley氏の記事をMotor Sport Magazineより。
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雨に見舞われたサンマリノGPの日曜。83人のライダーが出走し、80回ものクラッシュを数えることになった。いったいマルケスは(優勝したのはさておき)どうやってこんなコンディションの中を走りきることができたのだろうか。

日曜のレースを見ながら私はこんな様子を想像しないわけにはいかなった。マルク・マルケスの頭の中でまるでゴクリ(訳注:「指輪物語」に登場する、かつて人だった何か。映画ではゴラムでした)のようにリスクを冒そうとする彼とリスクを避けようとする(もしそんな要素があればだが)彼が言い争いを繰り広げるのだ。

しかしマルケスの中のリスクを避けようとする小さな人が28周のほとんどを支配することになった。彼は賢明にもホルヘ・ロレンソは先に行かせダニオ・ペトルッチにペースを作らせながら彼の後ろに留まることにしたのだ。その間ずっと彼の中のリスクを冒そうとする野獣は外に出ようともがいていた。

「だしておくれよお!」
「ダメだ!20ポイントの方がゼロよりましだ!」
「だしてくれよぉ、あのしとを追いかけるんだよぉ。25ポイントの方が20ポイントよりいいに決まってるよぉ」

こんな会話がレース中盤までは続いていたはずだ。マルケスには今日タイトルを確定することはできないこと、そして今日タイトルを手放す可能性はあることがよくわかっていたのだ。もしクラッシュすればアラゴンのレースはアンドレア・ドヴィツィオーゾに29ポイント差をつけられた状態で臨むことになる。

にもかかわらずマルケスの中の野獣は解き放たれることになった。それも瞬時に切り替わったのだ。彼の動きを見ればそれは明らかだった。彼のレプソル・ホンダは少しだけ暴れはじめ、ペトルッチのリードもわずかずつだが削り取られていく。マルケスは計算尽くで5ポイントを稼ぐために綱渡りをすることにしたのだ。

チャンピオン候補が直面しなければならない神経をすり減らすような状況である。リスクを冒せばクラッシするかもしれない。リスクを怖れるあまり獲れたはずの何ポイントかを逃すかもしれない。

雨が降ればリスクは大きくなる。そしてミザノではいつも以上にリスクがあった。路面はありえないほど滑りやすく決勝日としては史上最多の80回の転倒を数えている。こんなコンディションでは限界ぎりぎりで、なおかつ限界を超えないよう走るのは実に困難な仕事となる。だからこそ多くのライダーが自分がミスをしたと気付くまもなく転倒していったのだ。

当然マルケスは誰よりも多くの危ない瞬間に見舞われることになった。モンスター級のフロントエンドのスライドに見舞われたのだ。神ならぬ身であれば普通なら転倒するようなスライドだ。少なくともスロットルを緩めてチェッカーフラッグまではツーリングモードに徹することになるはずである。なのになぜマルケスはこうした警告に耳を貸さなかったのだろうか?

いや、彼は耳を貸していたのだ。当たり前だ。しかしやり方が違ったのだ。いつだってマルケスはこんな走り方をするのだ。それがドライだろうがウェットだろうが、それどころかスケートリンクの上でも変わらないだろう。ダートトラックでわずかなグリップを求めて走りまくったそのおかげである。彼にとってはマシンは暴れ回っていて欲しいのだ。そうやって彼はバイクと会話をするのである。マシンが右へ左へと降られるたびにその声が聞こえるのだ。何か大事なことを語ってくれる。たいていは「ここが限界、もうぎりぎりだ」と教えてくれる。しかしだからといって彼がスピードを緩めることはない。それどころか違う角度から試して限界を遠ざけるのである。

ライダーであれば誰でもこうした会話をマシンと交わしている。それこそがバイクに乗るということであり、バイクでレースをするということなのだ。マシンが自分の入力に反応するのを感じ、そしてその反応に対して自分が反応する。マルケスとマシンの間で行われているのも同じことである。ただしレベルは全く違う。使っている言語が違うのではないかというほどのレベルの差である。彼にはマシンの言葉がわかる。そしてそれに対して他のライダーにはとてもできないような速さで反応するのだ。それこそが彼を特別たらしめているのである。

マルケスがGPに参戦して10年になる。しかしいまだに多くの人が、コントロールを超えて暴れるマシンで彼が勝てたのは運が良かったからだと信じているようだ。前戦イギリスGPで誰かがアンドレア・ドヴィツィオーゾに正しくそのことについて尋ねている。どうやって彼はコントロールを失っても大丈夫なのか?

ドヴィツィオーゾはひとつため息をついてからその質問に答えている。間違いなく今更そんなことを説明しなければならないことに驚いていたのだ。「みなさんマルクがコントロールを失ってるっておっしゃいますけど、そうじゃない乗り方をしているのを見たことなんかないでしょ?マルクの強さのひとつがそこなんです。彼は限界を弄ぶことができる。そんなことができるライダーはそんなにはいません。確かに彼は何度も限界を超えてミスを犯しています。でもタイトルもたくさん獲っている。つまり彼は状況をコントロールできてるってことなんですよ。実際マルクは限界を弄ぶのを我慢できないんです。彼にとってはそれが普通のことで、だからこそ限界で遊べるんです」

ミザノでのマルケスはプラクティス、予選、ウォームアップで3回の転倒を喫している。誰よりも多い転倒回数だ。しかし彼はレースには勝った。プラクティスで転倒しなかった多くのライダーが転倒したレースでだ。さて、どちらがより賢いのだろうか?

もちろん転倒は危険である。しかし現代のサーキットと最新のライディングギアのおかげで以前よりかなり危険は減っている。マルケスは自分が何をしているか完璧に理解しているのだ。彼はプラクティスやウォームアップを使って限界を見極め、レースでどこまでやれるか探っているのである。彼のやり方は数字が説明してくれる。ここまでの4年間、85回のMotoGPラウンドで76回転倒しているが、33回の優勝と3度のタイトルを獲得している。そして彼はまだ24歳だ。

ミザノでの勝利は様々な意味で偉大なものだった。非常に困難なコンディションで、失うものも多く、そして最終コーナーでは前後のタイヤが身もだえしていた。ことによったら彼自身にとっても最高の勝利だったのかもしれない。

マルケスも自分がすごいことをやってのけたという自覚はあった。彼は笑ってこう言ったのだ。「ゴールしたとき、ほんとにヘルメットにマイクがなくて良かったですよ」

後から振り返ってみて「あれが鍵だったな」と思うようなことは最終戦までまだいろいろあるだろう。しかし彼がこの日曜に上げた勝利は、今シーズン最高に価値のあるものだったということになってもおかしくはないだろう。
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いやはや、どうなることやら。ますますもてぎが楽しみですね!

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公式リリース>サンマリノGP2017

ホンダヤマハドゥカティ(英語)スズキアプリリア(英語)KTM(英語)

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公式プレビュー>サンマリノGP2017

ヤマハホンダドゥカティ(英語)スズキ(英語)アプリリア(英語)、KTM(未)。

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ロッシ:ダートバイクが牙を剥くとき

エンデューロトレーニング中の事故で腓骨と脛骨を骨折。手術は成功し合併症もないとのことでですが、おそらく残りのヨーロッパラウンド2戦は欠場、うまくいけば日本GPで復帰という感じでしょうか。しかし以前もダートバイクで怪我をしているのに、なぜ懲りないのかについてMat Oxley氏がMotor Sport Magazineに書いてます。
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うむ、これで台無しだ。おそらく史上最も素晴らしいものになるはずだった最高峰クラスのタイトル争いはかなり輝きを減じてしまったのだ。ヴァレンティーノ・ロッシがダートバイクでのトレーニング中の事故でタイトル争いから脱落してしまい、争いは6戦を残して13ポイント差でひしめいているアンドレア・ドヴィツィオーゾ、マルク・マルケス、マーヴェリック・ヴィニャーレスの3人に絞られたことになる。

ロッシの事故は最悪のタイミングと言ってもいい。シルバーストンではほぼ完璧な走りを見せた。17周の間トップを走り、トップから0.7秒遅れでゴールするというこれまでで最高の結果を残したのだ。ミスはひとつもなく、チャンピオン候補とまでは言えないまでもタイトル争いの権利はまだ手放していなかった。ヤマハはシルバーストン前のテストで一つ階段を上ったのだ。そして以来めざましい進歩を見せていた。イギリスGPが終わって私はタイトル争いは2つの理由で左右されるという記事を書いた(訳注:タイトルは「ロッシが戦いの場に戻ってきた」)。マシンのセッティングとライダーの怪我だ。この数日で正しくその二つを目にすることになってしまった。

ロッシはエンデューロマシンでクラッシュを喫し、脛骨と腓骨を骨折してしまった。彼が2010年のミザノで骨折したのと同じ骨だ。どちらの骨も位置がずれてしまった。つまりやや複雑なじょうきょうということだ。とは言え外科医がいつものとおりチタン製のピン、医学用語で言うなら釘(訳注:髄内釘と言われるやつです)できちんとダメージを修復している。脛骨の上端にドリルで穴を開け、そこから脛骨と同じ長さの釘を叩き込み折れた骨を補強するのである。実に賢いことに彼は2010年の骨折の際に入れた釘は既に抜いていた。もしそうでなければ手術はもっと複雑なものになっていただろう。脛骨・腓骨は大きな問題を引き起こすことを思い出してほしい。イアン・ハッチンソンやミック・ドゥーハンをはじめとして多くのライダーがそのことを知っている。

当然多くのファンが驚きのあまり両手を掲げてこう尋ねることになる。なんでロッシはダートバイクに乗ったりするのか。みんなダートバイクで怪我をしてるじゃないか。その視点はもっともだ。すくなくとも一見したところ当然の疑問に思える。なぜMotoGPマシンでレースをするという職務を遂行する能力を危うくするのか?なんで田舎道でバイクを飛ばしてギャップに挑戦したりジャンプを連続して飛んだりするのか?

モトクロスやダートトラックやスーパーモトやミニモトで骨折したことのないMotoGPライダーはおそらく今のグリッドにはみつからないだろう。ロッシは幼い頃からダートバイクに乗っている。MotoGPで走るのと同じようにこれは彼にとっては生きることそのものなのだ。

ロッシにダートバイクに乗るなんて危険なことをするなと頼むのはフィンセント・ファン・ゴッホに酒を控えろと言うようなものである。自分の一部を切り離すことなどできないのだ。もし望ましくない何かを手放せば、本来持っているべきものも去って行くのである。

ロッシは大金持ちになりたちとかタイトルを20回獲りたいとか、そういうことで走っている男ではない。彼は自分が楽しいから走っているのだ。楽しいことだけやる。それ以上でもそれ以下でもない。もし彼がエンデューロバイクを乗り回したければ、彼はそうするだけだ。その先に何が待っているかなんて関係ない。それこそがバイクレーサーに求められるマインドセットなのだ。だからもううるさいことを言うのはおやめなさい。彼に変わるようにお願いするなんて無意味なのだ。
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うむ。

そして、この記事の後のOxley氏のツイートも味わい深いです。

「9度のタイトルを獲得したチャンピオンがどんなトレーニングをすべきかとか、レースの準備はこうすべきだとか、どんな人生を送るべきだとか、スポンサーやファンに申し訳なくないのかとか、いろいろアドバイスをくださった皆さん、どうもありがとうございます」

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