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ドゥカティのグリップはコンピュータが作り出したのか?

ここんとこいい感じで走れているドゥカティ。ドヴィツィオーゾはイギリスGP終了時点でランキングトップに立ってます。さて、その要因は那辺にあるのか、Mat Oxley氏が解き明かしてます。イギリスGP前の記事ですがどうぞ。Motor Sport Magazineより。
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今週末(訳注:8/23の記事です)シルバーストンは大した雨も降らずに済みそうだ。しかしそれでライダーやチームが日曜に向けてのタイヤ選択に悩まずに済むというわけでは全くない。

今年、タイヤチョイスはこれまでになく勝敗を分けるものとなっている。おかげでミシュラン迷路を抜け出る知恵を得たチームだけが決勝で戦うための力を得ることができるようになってしまった。

その中でも最も成功しているのがドゥカティだ。この6戦で3勝。つまりドゥカティのエンジニアは正しいタイヤを選択し続けているということだ。しかしどうやって?

ドゥカティのレース部門には頭の良い人たちがひしめいている。偉大なるリーダー、ジジ・ダリーニャ、タイトル争いの一角アンドレア・ドヴィツィオーゾ、彼のチーフメカ、アルベルト・ジリブオーラ。彼らはピットの中でも最も明晰なライダー/エンジニアなのである。特にダリーニャは新技術を採用しライバルにこっそり先んじるのに情熱を燃やしている。だからこそドゥカティは空力面でもウイングを初めて効果的に使いこなし、オーリンスの最新型カーボンファイバー製フォークも使い、もし私たちの秘密の情報提供者が正しければマスダンパーまで使っているのだ。

こうした技術は全て改良につながっている。しかし何より重要なのはタイヤなのだ。タイヤはバイクと路面を繋ぐものだ。ライダーのすることはすべて、そしてエンジニアの施すことはすべてタイヤを通して路面に伝えられるのだ。

タイヤメーカーが一社になって以降、さらにタイヤ選択の重要性が増している。タイヤの選択肢が2〜3しかない中できちんとタイヤの力を引き出すチームを負かすのは極めて難しいのだ。

ドゥカティはこの分野で一歩前に出ているようだ。他のチームが正しいタイヤを選び損なって苦労していることもある一方で、ドヴィツィオーゾと彼のチーフメカ、ヴィークルダイナミクス(訳注:バイクの動きを制御する関係全般なので主にサスかな?)担当のリカルド・サヴィン、ソフトウェアエンジニアのガブリエーレ・コンティは間違いなく素晴らしい結果を出しているのだ。しかし彼らの陰にはメガライド社製のタイヤシミュレーションソフトがあるのだ。メガライドはナポリが本社の車両の動的解析を得意とする会社である。

ドゥカティはメガライド社と2年間の独占契約を今年から結んでいる。メガライドがドゥカティに提供するのはリアルタイムシミュレーションに基づきタイヤパフォーマンスを予測する数種類のソフトウェアだ。こうしたソフトウェアはマシンの数百にも及ぶ記録チャネル、計算チャネルからデータを収集するのだ。タイヤ温度からスリップアングルからスリップ率まで収集している。フォーミュラ1では既に同様の技術は使われている。

タイヤ選択にコンピュータの助けが得られるというのは非常に大きなことだ。勝敗はほんの些細なことで決まるのである。MotoGPにおけるタイヤ選択はソフトかミディアムかハードかという簡単な話ではなくなっているのだ。普通なら柔らかいタイヤは低い温度で機能し、硬いタイヤは高い気温で機能するはずだ。しかし賢いミシュランの化学者たちは柔らかくても高温で機能する配合を作りだしたのである。こうしたタイヤを使えば明らかに優位に立つことはできるのだが、しかし使うのには勇気が必要である。

ミシュランは各チームに異なる温度、異なるコンディションでそれぞれのタイヤがどのように機能するかのコンピュータモデルを提供している。そしてチームの仕事はこのモデルを自分たちのマシンのシミュレーションソフトウェアに取り込むことだ。最初に浮かぶ疑問はドゥカティのこれまでの成功にメガライドがどれほど貢献しているかということである。そして次に気になるのは他社も同様のソフトウェアを使っているのかということだ。

ドゥカティもライバルも数時間のプラクティスの間でタイヤについて全てを把握し、決勝用の最適な戦略を見出さなければならない。これは実に複雑な過程となる。誰もがタイヤの温度を気にするが、これは実際にその必要があるからだ。タイヤの層ごとにそれぞれ違う温度となる。そしてそのすべてがタイヤパフォーマンスと保ちに影響するのだ。コースの場所毎に荷重が異なり、そのせいで表面の温度は常に変化する。タイヤの内部の温度はタイヤエンジニアがプローブを差して測定する。そしてさらに深い層の温度はタイヤの柔軟性に影響を及ぼす。

メガライドのソフトウェアはエンジニアが死命を制する数多の要素を検討するのに役立っている。タイヤと路面の接する部分の摩擦に関するマップを作成し、熱による変性と摩耗を区別し、熱伝導とタイヤ全体の熱分布を予測する。

こうした情報の全てがドゥカティの役に立っている。しかし科学に溺れ、その力を過信してしまうというのも良くある話だ。レース技術というのは巨大なジグソーパズルである。メガライドがもたらしたソフトウェアはほぼ間違いなくそのパズルのピースの一つである。しかし他の多くの新たなコンピュータ技術と同様、そのピースがいったいどこにはまるのかはまだ未知数だ。

とは言えドヴィツィオーゾがウッドコート(訳注:シルバーストンの8コーナー)のアスファルトに黒い線を刻みつけるのを見たときに思いだして欲しい。あなたや私がMotoGPで目にするものはテクノロジーという巨大な氷山の一角にすぎないことを。
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かっこいいなあ。ライダーもかっこいいけど技術もかっこいい。これぞモータースポーツの醍醐味!

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コメント

これも興味深い話ですね。
確かに今年ホンダやヤマハと違いドカはタイヤで苦労してません。
メガライド社がレースでのタイヤのパフォーマンスを正確に予測し得たらレースで外すことはないだろうし、その特性のデーターを基にマシン開発もできますもんね。
更には乗り方、特にスロットルの開け方も注意することができるでしょうか。
最近、ホルヘがそれを言い出してるもデーターからのアドバイスかもw

PS ロッシの負傷には驚きました。
他の選手がランニングやバイシクルのトレーニングをしてるのが公表されたりしてるけど、ロッシの場合あまりそれは見られず、トレはあくまでモーターサイクルに乗ること!って感じに見えました。
シーズンも佳境に入る中、ちょっと残念でしたね。

投稿: motobeatle | 2017/09/01 19:01

>motobeatleさん
 なんかMotoMatters.comの有料会員限定記事によると、使い始めるのはこれからなんだそうです。だとするとさrない強くなるのかも。
 そしてロッシについてはその通りですね。とても残念。

投稿: とみなが | 2017/09/01 21:29

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