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MotoGP:テクニカルディレクターがドゥカティのカウルについて語る

チェコGPの話題をさらったドゥカティの新型カウル。あれ、OKなんだ?ってのとは別に、かっこ悪さと裏腹の速さも見せたことで、いろいろおもしろいことになってますね(私は大好き!)。レギュレーション違反かどうかはテクニカルディレクターが決定するということで、そのダニー・アルドリッジにCRASH.netがインタビューをしています。
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チェコGPの話題の一つはここでデビューを飾ったドゥカティの新型カウルだった。

冬期テストで登場した「シュモクザメ」カウルほどやり過ぎではないものの、今回登場したカウルは出場登録できた新世代カウルの中では最も過激であることは間違いない。

後付けウイングは昨シーズンをもって禁止されており、今年からは「(空力効果のある)パーツでボディから飛び出ていたりボディのラインと一体になっていないもの」は使用不可となっているのだ。

カウルが新たなレギュレーションに合致しているかどうか判断する唯一の人間がテクニカルディレクターのダニー・アルドリッジである。

これはダニー・アルドリッジがブルノで月曜に行われたテストの最中にドゥカティのカウルについて話した内容である。ジジ・ダリーニャによればこのカウルは従来型ウイングの40%程度のダウンフォースしか発揮できていないようだ。

OKが出るまでに4〜5回の修正

「ドゥカティのカウルのデザインが決まって出場登録できるまでに2か月ほど掛かっています。最初のデザインが提出された時にはこちらからは『だめですね、ここは変更してください』って言っています。つまり彼らが望むものがすべて実現したわけじゃないんです。
 彼らの仕事は限界までやることだし、こちらの仕事は限界を守ることです。だからできたものは両方を満たした結果なんです。最初のデザインについては、まあこれは他のメーカーでも起こっていたことではあるんですけど、まずは向こうが『これでOK?』って言ってきて、こちらは『いや、こことかこことかこことかは修正して』と答えてます。それで彼らはバージョン2、3,4と持ってくる。
 こうした空力パッケージの全てについて、最終決定は私がすることに決まっています。でもそうは言ってもかなり重要な決定になることはわかってますから(レースディレクターの)マイク・ウェッブや(MotoGP技術ディレクターの)コラード・チェッキネリとかの意見も聞くようにしています。プチ委員会みたいな感じでじっくり話をするんです。彼らの意見を聞きながら全員が、これならルールの範囲内だってなるところまで議論する。そうやってから私が許可を出すんです。
 ルールにかなりの解釈の余地があるんですけど、それで助かる部分と辛い部分はありますね。誰に対しても平等にあろうとしていますが、何か決定を出すたびにそれが先例になる。いつも考えてるんです。『この決定がどんな影響を持つのか?』ってね。だからマイクやコラードと話をするのは本当に大事なことなんです。3人寄れば文殊の知恵って言いますしね。
 ルール上はテクニカルディレクターがどう解釈するかってことになってますし、もちろんひとそれぞれ解釈は違います。『これはウイングだから不許可』って言う人がいる一方で、それを気に入って、むしろなんでOKなのかを知りたがる人もいる。20人いれば20通りの解釈があるんです。
 でもそれがバイクレースをおもしろくしてるんです。コース上をいろんな形のマシンが走るってのはいいことですよ。でなけりゃワンメイクレースにすることになる。F1でも空力関連ルールは凄く厳しいですけど、それでも毎週のように最新の空力スタイルについて議論が起こっています」

曲率や曲げ角について議論を始める時期かもしれない

「いちばん最初にこちらからメーカーに対してウイング禁止のために『ルールのひな形をもらえないか』って頼んでるんです。で、結局彼らは何も提供してくれなかった。でも今になってみれば解釈の余地がありすぎるルールじゃないかと…。
 簡単じゃないですよ。例えばヤマハのデザインですけど、両サイドに丸みを帯びた膨らみがある。その上でドゥカティのデザインを見ると、同じように膨らんでいるけど、こちらは四角い形です。ヤマハがOKなら、どこまでOKで、どこからだめってことになるんでしょうか?
 そこが問題なんです。許容可能な曲率から定義しないといけないんです。でも現時点ではそれはルールブックには載っていない。現在のルールについてメーカーと話し合いを持って、彼らがうまくいっていないと思っていないか、満足していないのか、そういった点について判断していきたいと思っています。
 今のところ向こうからは何の申し入れもありません。でももしメーカーが相談に来たら私の意見としては、まず曲率と曲げ角を決めようということになりますね」

ドゥカティのカウルは3枚羽根(ペトルッチ仕様)でも2枚羽根(ロレンソ仕様)のどちらでもOK

「ドゥカティは2つのバージョンがあります。水平部分が中側にあるんですけど、ルール上はパーツを外すことができる。そこで彼らはまず中空でないソリッドパーツを一体成形した上で、下側部分を切り落として、スムージングして塗装しているんです。実に頭のいいやり方です。
 ルールで明文化されているのは「ダクト」はカウルと一体でなければいけないってことです。ヤマハもホンダもボルト留めとかリベット止めしている。しかしドゥカティの上側パーツはカウルと一体で型に流し込まれているんですよ」

ドゥカティのカウルはルールぎりぎり?

「その通りですね。実際この4レースか5レース、ドゥカティとミーティングを重ねていて、これ以上ほとんど何もできないというところまできています。実に時間が掛かりましたよ。彼らは当然自分たちが考えている最良の空力パッケージを実現したいわけですし、私はそれをルールの範囲内に引き戻さなければならない。
 彼らがもう少し小さくしたいと相談してきたことがありますけど、その時も私からは『ええ、切り取ってもいいですけど、その切り方だと許可は出せないですね』って言ったりしています。だから彼らもやり方を変えなければならなかった。安全性が理由ですね」

下側を切り取って2枚羽根にすると2枚のウイングを垂直のサイドパネルで繋いだだけに見えますけど…

「ホンダとドゥカティが両極端で、他のメーカーはその中間ですね。
 レギュレーション違反かどうかの判断でいちばん頭が痛いのは、既にヤマハとスズキには許可を出してるってことなんです。どこまでならOKで、どこからがだめなのか?厳しくしたければルールの条文も細かくしないといけないんです。
 ドゥカティについては他のメーカーにも説明しています。みんな何故私が許可をだしたのかわかってくれてますし、説明した時点では不満はないようでしたね」

一部を取り外したり切り取ったりする時に気にするのはどんなことですか?

「いちばん大事なのは安全性です。鋭利な部分とか自分や他のライダーやコースマーシャルに危険を及ぼすような部分があってはいけない。空力パーツについてはもちろんルールに合致していることが条件です。何かをはずしたらウイングになるようなのは無しです」

つまりドゥカティは上下のウイングを繋いでいるサイドパネルは外せないと。

「その通りです。幸いにも私は各メーカーと良好な関係を保っているんで、いつでも検討中のことについて私のところに相談に来てくれてます。いきなり何かを実戦に登場されることはない。基本的に『私が文書で許可しない限り許可にはならない』ってことなんです」

将来的にはパーツの取り外しとか切除とかについても規制を強めたいと考えていますか?

「正直、ボルト留めパーツがもっと少ないといいと思ってますね」

空力関連ルールの変更はどんな手続きになるんですか?

「技術関連ルールの変更にはMSMA(訳注:モータースポーツ製造者協会。MotoGPマシンのメーカーによる会議体)の合意が必須です。安全性の問題については別ですが。ウイングも安全性の問題でした」

ペドロサはドゥカティのカウルについて、ハンドルが引っかかるんじゃないかと言ってますが…

「安全委員会の場でライダーが懸念を示すかレースディレクションに話をすれば、私たちも検討することになります。開口部の面積を制限するのも一案でしょう。まあほとんどのライダーは気にしていないようですが」

シーズン中の変更と見なされるのは、ライダーがそのカウルでコース上を走った時点からですか?

「ええ。実際にコース上で使われた段階ですね。テストは関係ないですよ。ですからヤマハについては今日新型カウルで走ってますけど、これを登録しないといけないわけではない。テストでは好きにやっていいんです。
 GPで実際走る前には私に知らせる必要があります。現時点でドゥカティの新型カウルを使うのはロレンソとペトルッチということになっています。つまり理論的にはドヴィツィオーゾはこのカウルを気に入らなければモディファイして別途登録することも可能なんです。GPで走らない限りはね。だからこそホンダではクラッチローとマルケスとペドロサのカウルが微妙に異なっているんです」

ドゥカティの「シュモクザメ」

「あれは私のところには持ち込まれなかったですよ。ですから何も情報がないんです。テストだけでしたし、それなら問題はありませんし、結局棚上げしてしまいましたし。で、今回のような全然別物が各メーカーから登場した。シーズン後半はこうした新型カウルにお目にかかることになるわけです」

MotoGPカウルのこれから

「いろいろ進化していくでしょう。これまでもバイクレース界では様々は方向に進化して、最終的にひとつの方向に収斂していくということを繰り返している。ドゥカティのカウルのノーズ部分がいい例です。KTMのノーズを極端にしたような形です。そしてアンダーカウルはスズキのものをさらに先鋭化したような形になっている。つまり彼らは限界に達しているってことです。だから今年はいろいろ極端な形態を目にするでしょうけど、来年は全てのマシンが似たデザインに向かっていくでしょうね」

コストカット

「空力関連ルールでコストカットに寄与しているのは、年に1回のみの変更というところですね。各チームが毎週新型を投入するという羽目には陥らないで済んでいる。ウイング時代はそれに近いことが起こってましたからね」

Moto2やMoto3でもこういうカウルは使用できる?

「ルールの範囲内ですからね。だからKTMはやりたければMoto2にMotoGPのカウルデザインを取り入れることもできるんです」
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いろいろ楽しみ!

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コメント

なんか去年のウイングレットを安全な様に収めたら良かったような気が自分はしますけどね。
でも、メーカーは試行錯誤して、より良い効率のフェアリングを出してくるんでしょう。
できれば市販車にも付けれるような優美な物ができると良いと思います。
スズキのなんかは違和感なさそうで保安基準も通りそうな気もしますw

投稿: motobeatle | 2017/08/10 21:56

>motobeatleさん
 えへへ、ドゥカテも市販車にあれを付ければ楽しいのに!

投稿: とみなが | 2017/08/11 12:24

いや、あの一応私もドカ乗ってんですが、あのカサゴのようなのは、、、ありえまへん!爆(*^-^)
あくまでレーサーだけにしてください!

投稿: motobeatle | 2017/08/11 20:20

共通ソフトがショボくてアンチウイリーの効きが
全然ダメだからウイングが必要なんであって
市販車に搭載されている電子制御は遥かに
高等ですから、ウイングなんぞ必要ないですよ。

投稿: ブラインドカーブ | 2017/08/12 13:17

>motobeatleさん
 そこも含めて愛するのが真の愛!(初期型ムルチとか好きなんだけどなー)

投稿: とみなが | 2017/08/12 14:40

>ブラインドカーブさん
 むぅ、それは残念…。

投稿: とみなが | 2017/08/12 14:40

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