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MotoGP史上初のホンダとドゥカティによるタイトル争い

ヤマハがほぼ脱落しかけてることでタイトル争いはホンダとドゥカティに絞られつつありますが、そう言われてみれば確かに史上初なんですね。Motor Sport MagazineよりMat Oxley氏の記事です。
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驚くべきことだが事実である。ホンダとドゥカティがグランプリのタイトルを巡って争うことはかつてなかった。ひとつには両メーカーの調子の良い年が一致することがなかったためである。今年になるまでは…。

2007年にケイシー・ストーナーがドゥカティに初のタイトルをもたらしたとき、ダニ・ペドロサがランキング2位に入っている。しかし彼はタイトル争いに絡んでいたわけではなく、最終的に125ポイントのもの差をつけられてしまっている。それ以前にドゥカティが世界GPのタイトルに近づいたのは1958年のことだ。ライダーはアルベルト・ガンドッシ。乗るのはファビオ・タリオーニ設計の初のデスモドロミックエンジンのマシンだ。この時は125ccクラスでランキング2位。MVアグスタに乗ってチャンピオンになったカルロ・ウビアーリとの差はわずか7ポイントだった。ホンダが世界GPに参戦を開始するのはこの数か月後のことである。

現代に戻ろう。2017年、残り7戦となったところでタイトル争いはホンダ対ドゥカティの様相を呈してきた。いつもならホンダ対ヤマハとなるところだ。それがこの35年間繰り返されてきたことである。

なぜこんなことが起こっているのだろうか?

もちろん理由は一つではない。しかしレース界ではよくあることだが、タイヤが大きな影響を与えているのは間違いない。その傾向はタイヤサプライヤが一社になってからさらに顕著となっている。統一タイヤルールが導入されてブリヂストンとなった最初の数年のことを覚えているだろうか?ホンダはRCVをタイヤに適応させるためにほぼ4シーズンを費やし、数知れないフレーム改良を行っている。ドゥカティは結局ブリヂストンの性能を引き出すことができなかった。少なくともオーストラリアの魔術師が彼らの下を去ってからはそうだ。ブリヂストンを最初から使いこなせていたのはヤマハだけだったのだ。

そして今はドゥカティとホンダがミシュランに上手く合わせこんできている。この6戦でドゥカティは3勝、ホンダは2勝、ヤマハは1勝しかしていない。

ドゥカティはタイヤ選択という迷路においても賢さを発揮している。ミシュランの謎を解く鍵を手にしているのである。土曜のオーストリアでフロントローを獲得したアンドレア・ドヴィツィオーゾはミディアムコンパウンドのリアを使っていた。しかし28周の決勝はソフトを使っていたのである。実に奇妙ではないか。

「ソフトとかミディアムとかハードとかって言わない方がいいと思うんです。ひとつのタイヤでも3種類か4種類のゴムが使われてるんですよ」とドヴィツィオーゾがレース後に説明してくれた。「どのタイヤもいろいろ混ざってるんです。だからどのゴムが、場合によってはケーシングのこともありますが、たいていはゴムが問題なんですが、どれが高い気温に適していてどれが低い気温に合っているかを理解しとかなきゃいけないんです。
 毎回タイヤが違うし、タイヤですごく違いが出る。だから昨日はソフトじゃうまくいかなくて今日はうまくいったりするんです。みんなハードリアで決勝を走ってましたけど僕はソフトを選びました。タイヤ同士の違いはすごく小さくて、だからみんな難しい選択を迫られてるんです。毎日状況は違うし気温が違うとグリップも変わる。だからタイトル争いがこんなに接近していて、だから毎週違う展開になるんですよ」

ドヴィウィオーゾの指摘が正しいことはマルケスがハードリアを選択していたことからもよくわかる。ゴール時点で二人の差はわずか0.176秒だった。F1マニアが歯がみしてうらやましがるような展開である。一方でヤマハは空気と化していた。ヴァレンティーノ・ロッシとチームメイトのマーヴェリック・ヴィニャーレスもトップから8秒差をつけられてのフィニッシュとなっている。

最終コーナー縁石でスライドするという勇気あるチャレンジをみせたマルケスは、負けはしたがそれでもレプソル・ホンダはピットの誰より喜んでいただろう。去年のレッドブルリングではドゥカティに完膚なきまでに叩きのめされているからだ。マルケスはトップから11秒差の5位でゴールするのがやっとだったのである。

今年のレッドブルリングに向けてホンダは完璧に準備をしてきていた。その前の月曜にブルノで行われたレース後テストで、RCVのブリヂストン仕様からミシュラン仕様への転換を完了させたのである。2012年型、ホンダの最初の1000ccMotoGPマシンはブリヂストン用に設計されていた。フロントタイヤがコーナー進入で発揮する驚くべきグリップに合わせて設計することで、ブレーキを残したままコーナーに進入していくことができたのだ。そうやってマルケスはタイムを稼いでいたのだ。例の呆れるほどのコーナー進入である。フロントをスライドさせ、グリップしたと思ったらクリッピングめがけてマシンをとばす。

ミシュランではこんな風にはならない。タイムを稼ぐのはコーナー後半なのである。そのせいでRC213Vのバランスを取り直すための設計変更が必要となったのだ。HRCは加速でタイムを稼げるマシンにRCVを作りかえてきた。マシンのバランスを変更し、電子制御を調整し、そしてマルケス自身もライディングポジションやライディングテクニックを変化させている。

日曜にはそれが手に取るようにわかった。マルケスはコーナー進入でタイムを失っていた。リアが空転するのである。ブリヂストン時代には問題にならなかったことだ。こうした状況でもマシンはコントローラブルだったのだ。今はマシンの性質が変化している。マルケスがブレーキングでスライドを始めるとクリッピングにつけないままワイドにはらんでしまうのである。

「今年は去年と比べてブレーキングで苦労しましたね。だから安定して走るのがたいへんでした」とマルケスは日曜の午後に話している。「テレビで見ればわかると思いますけどリアをものすごく滑らせてるんです。でも加速で取り戻せてたんでなんとかできたんですよ。いい基本セッティングを見つかられたと思ってます。これからミザノでテストをして違うサーキットでも同じセッティングでいけるかどうか確認する予定です」

ドゥカティもやはりミシュランを使って自分たちの長所を伸ばして短所を消すのに時間が掛かっている。ミシュランのおかげでマシンが良くなったと言っているライダーは私が知る限りドヴィツィオーゾだけだ。だからこそ今ドゥカティが強いのだろう。これはマシンの違いというよりタイヤの違いに起因するのだろう。デスモセディチ自体はほとんど変化していないのだ。

ドヴィツィオーゾは最大バンク角でのリアのグリップ力はミシュランの方がブリヂストンより良いのだと言っている。そのおかげでマシンが良く曲がるのだ。ドゥカティが抱えていた曲がらない問題が目に見える形で改善されているのである。ドヴィツィオーゾの考えではホンダもヤマハもミシュランへの適応に苦労しているとのことだ。

少なくともモヴィスター・ヤマハについてはその通りだろう。1970年代から参戦しているワークスヤマハは今大きな問題を抱えている。ロッシもヴィニャーレスも今年の序盤はタイトル争いをリードしていた。しかしこの3レースでは1回の表彰台を獲得しているだけなのだ。

ヤマハのYZR-M1と言えばこれまでずっとコーナリングスピードが長所だった。そうやってレースに勝ってきたのだ。驚くようなブレーキングや加速性能で勝ってきたわけではない。ライダーがエッジグリップをしっかり感じることができれば高いコーナリングスピードを実現するのは難しいことではない。しかしエッジグリップがないと苦労が待っている。

私たちが日曜に目にしたのはまさしくこれだ。ロッシとヴィニャーレスはコーナリングスピードを稼ぐのに必要なエッジグリップがある間は戦うことができた。折り返し地点ではヴィニャーレスはトップから2秒差だったが、最終的にその差は7秒まで広がることになる。ロッシも同じだ。最初の14周でつけられた差は3.1秒だったのだが、後半14周ではさらに5.6秒の差をつけられているのだ。

ヤマハの問題はミシュラン初年度と同じだ。リアタイヤの消耗が早すぎるのである。2017年型M1はこの問題を解決すべく設計されているが、そのせいでコーナリングが犠牲になってしまった。そこでヤマハは慌てて2017.2型フレームを創ってきた。コーナリングは改善しているが相変わらずリアタイヤにはかなり厳しいままだ。これは技術力の低さに起因するように見えるかもしれないが、それは間違いだ。こうした相反する要素を調整するのは綱渡りのようなものなのだ。レースもこのレベルになると、何も犠牲にしないである部分だけ改善することなど不可能なのだ。

ロッシはホンダとドゥカティがミシュラン向きのマシンをうまく作り込んできたことをわかっている。そしてさらに重要なのはミシュランという迷路を抜ける方法を見つけているということだろう。ヤマハが次にすべきはメカニカルグリップとトランクションコントロールとタイヤ選択の改善だ。「リアタイヤの消耗がうちの問題ですね」とロッシは日曜に語っている。「他のメーカーはうまい解決策を見つけてますし」

当初誰もが2017年は彼の年にとなると思っていたヴィニャーレスは、さらに辛い状況にいる。彼は若く経験もそれほどない。特にヤマハでの経験が少ないということで、彼は2017型と2017.2型フレームの間で混乱しているのだ。曲がりくねったタイヤ選択問題は言うに及ばずである。

ヴィニャーレスはここ最近のレースについてはかなり頭にきているようだ。自分にはタイトル争いに加わる才能があると知っていながらマルケスやドヴィツィオーゾに対抗できる武器を手に入れられていないのだ。

「気温が高くなると本当にまずいんですよ」と彼は言った。「タイヤの問題じゃないんです。だってテック3のマシンにはそういう問題は起こってないんですからね」

ではどちらのフレームをレースに使ってどちらのフレームが正しい方向なのだろうか?

「すみません」と彼はにやっと笑いながら言った。「フレームについては話さない方がいいですね…すみませんね。ミザノでテストもありますから。そこで何か変化がなかったらタイトル争いは終わりですね」

レッドブルリングでは多くの人がドヴィツィオーゾを祝福していた。彼はこれまでになかった攻撃性を得て、これまで冒すことのなかったリスクも冒すようになったように見えるということだ。ばかばかしい!31歳の彼は「考える人」だ。リスクを冒すタイプではない。彼の早さはこの何年ものたゆみない努力、そしてマシンとタイヤの性能をどうやって最大限に引き出すかを考え続けた結果だのだ。つまり彼はやっとマルケスと対等に戦うために必要な武器を全てを手にすることができただけなのだ。

おそらく今シーズンは史上初めてドゥカティとホンダの対決となるだろう。そしてシルバーストンではヤマハもミシュランの秘密を解き明かし、再びタイトル争いに絡んでくるかもしれない。
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はぁ、ヴィンテージとはこのことですなぁ。

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2017オーストリアMotoGP日曜まとめ:記憶に残るレース、その他

もうテレビの前で何度叫んだことか。そして最後の最後、最終ラップ最終コーナーでの劇的なバトル。トライした方も天晴れ、守り切った方も天晴れ。本当に良いレースでした。諸々ライダーのコメントも含めてMotoMatters.comより。
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かつてMotoGPに存在した確固たる予測というものは既に過去のものとなっている。2年ほど前まではMotoGPは変わることなく続くわかりやすい、そして説明するのも簡単な論理の下に動いていた。だがそんな時代は過ぎ去ってしまった。レース界における確かな真実だと私たちが信じていたものは単なる幻影に過ぎなかったのだ。常に変化し続ける現実を偽装したものに過ぎなかったのである。

その好例である。オーストリアはスピーエルベルクに位置するレッドブルリングのレイアウトは極めてシンプルだ。ストレート、コーナー、ストレート、コーナー、ストレート、コーナー、ぐるっと一回りしてストレート、コーナー、短いストレート、コーナー。そして最初に戻る。このコースはパワーと加速力とブレーキング性能がものを言う。ここでのレースはつまらないものだった。最速マシンに乗っているライダーが最初から逃げてあとはクルーズ。結局コンマ数秒ではなく数秒差をつけて勝つ。

しかしこの日曜に私たちが目にしたのは3つの魅力的なレースだった。いつまでも結果が予想できない。Moto3の勝者はすぐに確定したが、しかしその後ろでは目の離せないつばぜり合いが繰り広げられていた。続くMoto2もすごかった。4戦連続だ。このクラスも変化していることの象徴である。最後の4周でやっと先が見えてくるのだ。そしてMotoGPレースである。終わった瞬間に語り継ぐべき歴史となった。GP史上トップ10に誰もが入れたくなるようなレースだった。あらゆる要素が詰まっていたのだ。大集団によるトップ争い、そして何台かがそこから抜け出る。3台が並んだままコーナーに突っ込んでいくかと思えば、容赦ない追い抜きがあり、失敗もあり、そして勝利のための最終ラップの最終コーナーでのあり得ない程の思い切った突っ込みが最後を飾る。

誰もが思ってもいなかった展開

コースに騙されただけではない。マシンについての思い込みもまた我々を欺いたのだ。ドゥカティはコーナー立ち上がりが素晴らしく、それでストレートではどのマシンもかなわないと思われていた。しかし2台のレプソルホンダは常に加速でワークスドゥカティに追いついき、ストレートで抜き去っていたのだ。一方、ホンダは加速で劣るところを悪魔のようなブレーキングでカバーしていると思われていたが、アンドレア・ドヴィツィオーゾとホルヘ・ロレンソの二人は何度もホンダをコーナーで追い詰め、ブレーキングでいとも簡単に抜き去っていた。ドゥカティはロケット並みの速さで知られていてトップスピードは図抜けているはずだったのだが、ホルヘ・ロレンソのトップスピードは下から2番目だった。他のマシンより6~7km/h劣っていたのだ。

いずれにせよかつての予測可能性が失われたのは良いことである。再びレースは予想できないものとなった。そして今回のレッドブルリングの勝者は今シーズンの新たな6人目というわけではなかったものの、それでも勝者は驚くようなライダーだった。誰もがマルク・マルケスに注目していたのだ。彼はプラクティスを完璧に支配し、レースに向けて完璧なタイムを刻み続けていた。しかしそのマルケスを横綱相撲で破ったアンドレア・ドヴィツィオーゾはほとんどレーダーに引っかかることはなかったのだ。ドゥカティ向きだと思われていたサーキットで二人のホンダライダーが表彰台に昇り、去年は唯一ドゥカティについて行けたヤマハは完全に影を潜めていた。

どうやってアンドレア・ドヴィツィオーゾはレースに勝てたのだろうか?経験、そして狡猾さが決定的な要因だった。チームメイトのホルヘ・ロレンソが序盤はリードを奪い、やけどした猫のごとく逃げを打ち最初の2周ばかりで大きく差を広げる。「冷えたタイヤで他のライダーよりいい感じで走れたんです。新品タイヤでね。そこを活かしたんです」とロレンソはレース後に語っている。しかしロレンソのリードはレース折り返し直前までしか保たなかった。彼が5周目までに築いた1秒のリードをマルケスが縮めてきたのだ。そして11周目にはロレンソはマルク。マルケスとチームメイトであるドヴィツィオーゾに飲まれてしまった。

後のお楽しみ

ロレンソは自分に何が起こっていたのかはきちんと理解している。二つの問題を抱えていたのだ。「燃料がかなりやばかったですね」とロレンソは言う。「だから3周目からはもう燃料セッティングは最後のスイッチに切り替えないといけなかった。いちばんパワーが出ないモードです。それでマシンはいつもより遅くなってしまったんです。他の3人と比べてストレートでかなり置いて行かれましたね。その後12~15週目あたりで右側のトラクションが不足し始めて、さらにスピードを落とさざるを得なかったんです」

ドヴィツィオーゾもマルケスもこうした問題を回避していた。彼らはプレスカンファレンスでこう話している。「幸いにも速さはあって、序盤は無理をしませんでした」とドヴィツィオーゾは語る。「タイヤを温存してたんですけど、そうすると燃料もセーブできるんです」。一方マルケスは結果として燃料を節約することになっている。「序盤はペースがすごく遅かったですよね。それでタイヤも温存できたし燃料も節約できました」

タイヤを温存するというのは去年ドヴィツィオーゾが学んだことの一つである。2016年、彼はここでチームメイトのアンドレア・イアンノーネに敗れている。イアンノーネは彼の後ろでソフトタイヤを温存していたのだ。2017年、去年はミディアムで走ったドヴィツィオーゾはソフトタイヤを使っている。そしてこのソフトタイヤを温存するという技術のおかげで2017年の2勝目をバルセロナで手にしているのだ。こうした全てを注ぎ込むことで彼はトップで最終ラップに入ることができたのである。あとはマルケスの激しいアタックをかわすだけだ。

史上最高の厳しいパッシング

しかし言うは易し行うは難し。アタックされることがわかっていたのはドヴィツィオーゾの助けにはなっている。「ええ、いつもそうですからね」とドヴィツィオーゾは言っている。「最終ラップでマルクはいつでも何かしますから」。そしてそのおかげでもの凄い見せ場が創られたのだ。1周目のスタートラインはドヴィツィオーゾの後ろにぴったり張り付いて通り抜けたマルケスだが、中盤では0.4秒ほどの差をつけられていた。そしてドヴィツィオーゾは自分が勝つには2つの左高速コーナーである6コーナーと7コーナーまでに充分な差をつけなければならないとわかっていた。「最終ラップは厳しいだろうと覚悟してました。2つの左コーナーでタイムを失ってましたからね。マルクもあそこだったら簡単に僕を抜けましたし」

ドヴィツィオーゾは2つの左コーナーではがっちりとインを閉めて走り抜けた。彼が怖れていたとおりマルケスが近づいてくる。マルケスはドゥカティとの差をあっという間に縮めてきたのだ。しかもたった一つのセクターの間にだ。縮めたのは0.3秒。ドヴィツィオーゾはマルケスが来ているのを知っていた。そしてマルケスに残されたチャンスは9コーナーに向けての無謀な突っ込みだろうと考えていた。

それを防ぐための彼の動きは完璧だった。しかしその日のマルク・マルケスにはあきらめる気などさらさらなかったし、負けを受け入れるつもりもなかった。「最終コーナーで抜こうとしたのはこのままじゃとても眠れないと思ったからですよ。どうしてもトライしたかったんです」とマルケスは言っている。野蛮で危険でそしてトラクションの限界ぎりぎりのライディングだった。「まさか最終コーナーで抜きにかかるとは思ってもいなかったですね。だってそんな場所はないでしょ?ブレーキングゾーンなんてないんですよ」とドヴィツィオーゾは語っている。しかしマルケスにとってそんなことは関係なかったのだ。

ドヴィツィオーゾはブレーキングを無理したせいで9コーナー立ち上がりではアウトにはらんでしまい、10コーナーの内側を開けることになってしまった。もしマルケスが直後にいたら万事休すである。一方のマルケスはその隙間を見逃さなかった。最後の一突き。コントロールの限界ぎりぎりで10コーナーのインに突っ込む。「最後は限界ぎりぎりでしたよ」とマルケスはここでのトライについて語る。そこに誇張などない。フロントエンドは暴れまくり、リアは左右に大きく振れる。マルケスは破綻寸前のところでなんとか踏みとどまっていたのである。もし100%というものが何か知りたかったら、この場面を2~3度リプレイしてみればいい。それこそが答えだ。マルケスはリアホイールをモトクロスでコーナーを抜けるように外に振り出し、なんとかグリップを得ようとする。

計画ができれば戦いの50%は終了

しかしドヴィにも準備はできていた。「インは開けておいたんです。もしインを閉めたら間違いなく彼に当てられて、それで彼が勝ってたでしょうからね」とドヴィツィオーゾは言う。「インを開けて速く立ち上がろうとしたんです。でも彼もブレーキングは上手かったし立ち上がりもかなりがんばっていた。でも僕の方が立ち上がりは速かったですね」。マルケスが来るだろうとわかっていたドヴィツィオーゾは敢えてマルケスの無謀な突っ込みを許し、自分は立ち上がりを重視してホンダを置き去りにしようと試みたのだ。

計画は完璧に遂行された。しかしマルケスの無謀なトライのせいで大量のアドレナリンが出たドヴィツィオーゾは怒りで頭がいっぱいになってしまっていたようだ。「最終コーナーでは不思議な気持ちになりましたね。嬉しかったと言うより怒っていたという感じです。あんな抜き方をされたんですからね」。頭にきたドヴィツィオーゾは勝利に向けてコーナーを立ち上がりながら、腕を振って怒りを表現していた。誰が見てもその意図するところは明らかだ。とは言え彼の怒りは長くは続かなかった。すぐに勝利の喜びに取って代わられたのだ。

この最終ラップは長く語り継がれることになるだろう。単に見応えがあったというだけではない。もの凄いテクニックが披露されたのである。マルケスがトライした追い抜きはトラクションの正しく限界まで達していた。少しでもそれを超えたらリアが彼の制御を超えて滑ることになっただろう。一方のドヴィツィオーゾの反応も負けず劣らず記憶に残るものだ。アタックを予想して対抗策を用意し、そしてそれを実行するまで冷静さを失わなかった。最高に冷静で、慎重に考え抜いた、そして美しいとさえ言える防御だったのだ。

冷静な頭脳

3勝目を挙げたことでドヴィツィオーゾは自分がどれほどライダーとして成長したかを見せつけることに成功した。頭脳と勇気の両方で勝ち取ったレースである。精神的な強さも勝利に貢献している。彼はパドックで最も意志の強い男の猛襲を受けても心を折ることはなかったのだ。今回もドヴィツィオーゾは自分の生き方の変化については語ることを拒否している。単に自分の中でのちょっとした変化だと言っただけだった。物事のとらえ方が変化したおかげで集中力を高めることができるのだという。ドヴィツィオーゾは最高に知性的なライダーであり、それが彼の何物にも代えがたい強さとなりつつあるのだ。

今回ドヴィツィオーゾが優勝しマルケスが2位に入ったことでタイトル争いの様相も大きく変化することとなった。マルケスはランキング2位との差をわずか2ポイント増やしただけだ。その差は16ポイント。しかし2位はマーヴェリック・ヴィニャーレスからドヴィツィオーゾに入れ替わっている。ワークスヤマハの2台は6位、7位に終わっているのだ。そしてヴィニャーレスとマルケスの差は24ポイントに、ヴァレンティーノ・ロッシとマルケスの差は33ポイントまで広がってしまった。残りはまだ7レースあるとは言え、ロッシのタイトル獲得の可能性は徐々に消えつつある。この時点で、優勝で得られる25ポイント以上の差をつけられているというのはかなり辛い状況だ。ヴィニャーレスはまだ追撃可能な位置に留まってはいるが、これ以上離されるわけにはいかないところまできている。今週と同じようなことが再び起こればヴィニャーレスもロッシもタイトル争いから脱落することになるだろう。

タイトル争いから脱落する方法

ヤマハワークスは何を失敗したのだろうか?いろいろたくさんある。まず最初に挙げるべきはポイントリーダーのマルケスと自分たちの間でゴールしたライダーが多すぎるということだ。次にサテライトであるモンスター・テック3・ヤマハのヨハン・ザルコに前にゴールされていることも問題だ。そしてロッシにとってもマルケスにとっても最大の問題はリアタイヤの消耗の早さである。「12周目を終わったあたりからリアタイヤが終わってしまってスピードを落とさなきゃいけなかったんです」とロッシは言う。「すごく乗りにくくなってブレーキングでもミスするようになった」

これは最近のレースでいつも起こっている問題だ。2017年型ヤマハM1はリアタイヤを最後まで保たせられないのである。奇妙な話だ。M1はそこを重視して開発されているのに。グリップがある間のヤマハは速い。しかしタイヤが消耗し始めると極端にタイムが落ち始めるのである。

なぜそんなことが起こっているのだろうか?これまた様々な要素がからみあっているようだ。しかし最も大きな問題は他のマシンがヤマハよりうまく作られている、特にホンダがヤマハに比べて大きく進化しているということだろう。「前進はしてると思いますよ。今日は序盤の10周くらいは良いペースで走れましたからね。でもリアタイヤの消耗は相変わらず問題ですね」とロッシは解説する。「構造的に他のマシンはリアタイヤをそれほど使わなくて済んでいるんじゃないかと思ってます。あと電子制御もホイールを空転させないで加速する方法を見つけてるんでしょうね」

2016年型フレームに戻るという選択肢はあるのだろうか?オーストリアのヨハン・ザルコはロッシ、ヴィニャーレスの両者より前でフィニッシュしている。とは言えザルコもロッシのせいぜい2秒ほど前だっただけだ。そしてモヴィスター・ヤマハの目標はサテライトを負かすことではない。当たり前だ。彼らの目指すのはMotoGPレースでの優勝、そしてタイトル獲得なのだ。

頂点を目指して

表彰台には届かなかったもののザルコの前でゴールしたのはホルヘ・ロレンソである。あそしてレース後のロレンソが最もいらついていたのは自分自身に対してだ。「まあ満足すべきなんでしょうけど、全然うれしくないですね」とロレンソは手短にレースを評している。「最高の結果とは言えないのは確かです。ヘレスでは3位に入ってますからね。でもヘレスではダニから14秒遅れだった。モンテメロ(訳注:カタルニア)ではドヴィから9秒遅れで、今回はそれ以上に差を詰めている。それにこれまでより長くトップを走れた。10周ですね。しかも最前列からスタートできてます」

このよう状況から判断するに、ロレンソのドゥカティ・デスモセディチGP17での栄光への旅路はどこまで来ていると言えるのだろうか?彼は対等に戦えるところまでかなり近づいていると考えている。「乗るたびに自然に走れるようになっていますね。経験も積んで知識も増えて、だから近いうちにかなりのところまでいけると思いますよ」とロレンソは語る。いつ彼は完全に覚醒するのだろうか?「いつでも…。コースによりますね。自分にあった、自分のライディングにあったコースがあるんです。オーストリアが一番あっているとは思ってません。でもシルバーストンでいけるかもしれない。ミザノかもしれない。大事なのはトップを走るライダーとの差が縮まっていることなんです」

それともまた幻の夜明けなのだろうか?ロレンソはドゥカティ移籍以来2度ほど幻に騙されている。しかし今回こそは手応えがあるようだ。ロレンソはジグソーパズルのピースを着実に並べつつある。足りないのはあと2〜3ピースだ。ドゥカティのレース部門の責任者、ジジ・ダリーニャの助けは必要だろう。しかし覚醒の鍵を握っているのは彼自身だ。

ヨハン・ザルコは再びモヴィスターヤマハの2台を従えて5位でフィニッシュしている。彼の秘密兵器はスムーズさだ。だからこそ彼はソフトなリアタイヤで走り切れたのである。レースのたびにザルコは優勝争いができるライダーに近づいている。近い将来のワークスシートに向けての猛アピールだ。

他にも楽しみがあった

今回すばらしいパフォーマンスを見せたのはトップのライダーだけではない。アヴィンティア・ドゥカティのシートを失いそうではあるが、ロリス・バズは9位に入るという大活躍を見せた。同じように素晴らしい走りを見せたアルヴァロ・バウティスタの直後でゴールしている。バズは過小評価されているライダーの一人である。ただ彼の身長が邪魔をしているだけなのだ。

そしてもう一人特筆すべきライダーがいる。KTMのミカ・カリォだ。フィンランド人でテストライダーの彼はKTMの地元で10位でゴールしている。しかも完全にドライのレースでだ。マシンは素晴らしいスタートを切り、前に向かって走り続けた。新型パーツの問題点洗い出しを終えて、手持ちのパーツの改良にフェーズが移行しているということだ。カリォはトップから20秒後にゴールしている。これはKTMにとって今シーズン最短となる差である。まだまだやることはたくさんあるが、しかし彼らの仕事も最終段階にさしかかっているようだ。
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実は皆さんお忘れかもしれませんが(というか生まれてない人もいそう)、1997年のオーストリアGP(リンク先はMotoGP公式のアーカイブ。最後の3分くらい)でも立ち上がりラインに勝負を賭けた上田昇がロッシをゴール直前で差して優勝しているのですよね。良いレースだったなあ。

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MotoGP:クラッチローとマクフィーがこっそりバイクを交換しようと!

いたずらっ子カルのネタです。CRASH.netより。
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カル・クラッチローがMoto3マシンに、ジョン・マクフィーがホンダRC213VMotoGPマシンに乗る?

そんなことが本当に起こりかけていたのだ。サマーブレイク中のブルノでのプライベートテストで二人が一緒に走っていたときのことだ。

クラッチローが語る。

「テストの時、Moto3とMoto2が僕らと同じ時間に走ってたんですよ。ほんとに面白かった。コーナーでめっちゃ速いんですよ!。
 やりたかったんですよ。赤旗がでなければやってましたね。コース上でジョン・マクフィーとマシンを交換してピットに戻ってやろうってね。
 ずっとMoto3マシンに乗りたかったんですよ。土産話としてね。だから朝ご飯のときにジョンに持ちかけたんですよ。『やっちゃおうよ。ラップ途中でマシンを交換するんだ』って。
 それでコース上でお互いを確認して、そこまでは完璧だったんですけどね・・・、でも赤旗が出てて、『誰か怪我したかも』って思ったんです。だとしたらちょっと不謹慎ですからね。だからやらなかったんですよ。
 でもすごく面白かったろうなぁ」
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面白かったろうなぁ。

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公式リリース>オーストリアGP2017

ヤマハホンダドゥカティアプリリア(英語)スズキKTM(英語)

いつまでも語り継がれるような最終ラップの最終コーナーでした。

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2017オーストリアMotoGP金曜まとめ:ロウズの旅路。目に見えないことも含めて。

アプリリアがロウズ放出を決めましたが、アレイシ・エスパルガロやカル・クラッチローがそのやり方に怒っている通り、ライダーとしてはやりきれないひどい切り方だった様子。とりあえずMotoMatters.comのまとめから。
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金曜は嵐の予報だったし、その通りになった。しかしやって来たのはメディアの嵐だ。実際の雷雨ではない。やっとライダーたちがアプリリアの状況については話ができるようになったのだ。もちろん天候は無視できるものではなかった。Moto2は雨に祟られコースは大混乱に陥っている。この件についてもアプリリアによるサム・ロウズ解雇と同じように様々なコメントが出されている。なんにせよ盛りだくさんな一日だった。

まずはアプリリアの話から始めよう。アプリリアは昨晩ついにサム・ロウズへの対応を決めた。1シーズン限りで解雇することにしたのだ。契約は2年まであったにもかかわらずである。実はこの動きはバルセロナテストから始まっていたのだ。このとき既にアプリリアのレース部門の責任者であるロマーノ・アルベシアーノがロウズ放出も考えていると口にしているのである。そんなわけでオーストリアでこれが発表されたことも特に驚きはなかった。ロウズの契約ではアプリリアは8月15日までに決定することとなっていたのも驚きが少ない理由である。

アプリリアの決定について驚くべきことはほとんどない。ルーキーイヤーのサム・ロウズとアレックス・リンスは同じルーキーのヨハン・ザルコとヨナス・フォルガーに大きく水を開けられている。リンスについては仕方のない面もある。MotoGP初年度のかなりの期間を怪我で棒に振っているからだ。一方ロウズについては外から見る限りそのような言い訳の余地はない。彼はワークスチームに所属していて、さらにチームメイトは彼をはるかに上回る結果を出している。アレイシ・エスパロガロはQ2の常連であり、トップ5を狙える走りを見せているのだ。ロウズがQ2に進出したのは1回のみ。そして稼いだポイントは僅か2ポイントである。

目に見えないこと

しかしこれで全てが説明されたわけではないのはもちろんだ。シーズンのほとんどをロウズはチームメイトと比べて性能の劣る機材で走っている。フレームやエンジンの主要アップグレードも無しだ。信頼性も問題だ。そのおかげでロウズはプラクティス中もピットにこもることになり、さらにレースもリタイヤに終わることがある。これはロウズに限った話ではない。アレイシ・エスパルガロはアプリリアRS-GPの設計ミスに起因するエンジントラブルに悩まされ、一度ならず良い結果を出すチャンスを棒に振っている。

しかし一方でロウズが期待されるほど早くは適応していないというのも事実ではある。ライディングスタイルをMotoGPマシンになかなか合わせられないのだ。コーナー立ち上がりでマシンを早めに起こしてスロットルを早く開ける、リーンアングルやコーナリングスピードを稼ぐのは二の次だということを理解するまでに数レースを費やしているのだ。ブレーキングにも苦労している。ロウズはいまだにスロットルを閉じてからブレーキングをするまでに一瞬の間があるのだ。Moto2時代に染みついてしまった習慣である。ホンダのMoto2エンジンには最新のエンブレ制御が組み込まれていないのである。この点についてはロウズはブルノでかなりの進化を見せている。レースでも進歩していたが主にテストでかなり良くなっている。オーストリアでもここが焦点となるだろう。

アプリリアがロウズを放出するというニュースが昨晩流れた時点で、ロウズや他のライダーがこの件について語り始めた。そしてロウズ側の意見に加えてロウズの友人の証言ややはり友人であるカル・クラッチローの発言をきくと、再び見方が変わってくる。ロウズの全発言和訳は「気になるバイクニュース」で)とクラッチローのコメントはCRASH.netで読むことができるが、はっきりわかるのはアプリリアはかなり以前から問題を抱えていたということである。

3レース目にして

「3レース目が終わったあたりからですね」とロウズは言う。「冬の間は旧型に乗ってたんです。カタールまではね」。遅れてやって来た新型のおかげで、ロウズはやっと手厚い支援を受けているチームメイトに近づけるようになった。しかしアプリリアはずっとロウズに代わるライダーを探し続けていた。本人は今日もそれを否定していたがスコット・レディングがロウズの代わりに加入すると目されている。彼は7月のザクセンリングでアプリリアと交渉しているのだ。アプリリアはそれ以前にもアルヴァロ・バウティスタやカル・クラッチローにも声を掛けている他、アンドレア・イアンノーネとも話をしていたという出所不明の噂もあった。

「6月前に僕に声を掛けてきたんですよ」とカル・クラッチローは言っている。「でも誰の代わりかはわからなかった。誰が残留して誰が出るのか知らなかったし、サムの他に誰かを考えていることも知らなかった。それに僕にはその時点で仕事があったし、彼の仕事を奪うつもりも本当に全くなかったですよ」

クラッチローは今回のアプリリアのやり方を強く非難している。「ひどい話ですよ。他に言いようがない。MotoGPの初年度で、しかもヤマハとは全然違うレベルのパッケージに乗らせていったい何を期待してるんですかね。時間が必要なんですよ。そしたら来年はもっと速く走れるでしょう。ほとんどのサーキットでMotoGP初体験になるんです。それに僕のMotoGP初年度を比べてみればいい。僕の成績の方が悪かったですよ、きっと」。クラッチロー自身もMotoGP初年度にテック3を解雇されそうになっている。「エルヴェ(ポンシャラル)に言ったんですよ。僕だったらクビにするね」。彼は当時そう言っていてるのだ。

始まる前から呪われていた

さらにそれ以前からアプリリアがロウズをクビにしたがっていたという証拠がある。去年11月のヘレステストの時点でアプリリアがロウズに代わるライダーを物色していたという確度の高い噂があるのだ。ロウズはワールドスーパーバイクにスイッチさせるつもりだったようだ。つまりアプリリアがはしごを外すまでの2~3日分のテストしかロウズには実力を見せるチャンスがなかったと言うことである。

MotoGPルーキーに引導を渡すには正気とは思えない性急さだ。確かにもっと速く適応できるルーキーもいる。しかしそれはごく少数がたまに出現するだけだ。「サムは速いんですよ。まだ現時点では全てを理解してないってだけなんです」とクラッチローは言う。「でもMotoGPに飛び込んですぐに乗りこなせるなんて世界中探したって2~3人しかいないでしょ?」

問題はアプリリアの内部にあるようだ。ロマーノ・アルベシアーノもレース部門の責任者として結果を出さなければならない立場にある。そして彼が埋めなければならないのはジジ・ダリーニャがドゥカティに移籍してできた巨大な穴なのだ。親会社であるピアジオのトップ、ロベルト・コラニーノは短気な男だ。しかもアプリリアのMotoGPプロジェクトを2015年初めに立ち上げたときには実に野心的な目標をぶち上げている。このプロジェクトも今年で3年目だ。ここまでの結果は堅実だが見所は少ない。アルベシアーノが自分を守らざるを得ない立場に追い込まれている可能性はある。

コミュニケーションがすべて

ロウズはアルベシアーノとの関係構築がかなり難しかったとほのめかしている。「正直言って、彼と僕、そして僕のマネジメントサイドとの関係は良くなかったしプロフェッショナルなものでもなかったんです」とロウズは言う。「凄く難しかった。一緒に働くのがね。自分の役割を理解するのも難しかったんです」。この状況はピットでも同じだった。軽蔑するような態度で接するだけのスタッフも何人かいたのだ。「ピットには僕を信じてくれない人もいましたね。まあ最初から僕を信じる気なんて無かったんですよ。だから負け戦を戦っていたようなものなんです」

ロマーノ・アルベシアーノが公式なものとして語る理由は「もっとリスクの少ない選択肢が必要だった」ということだとロウズは言う。これに対するロウズのコメントは当然のように辛辣だ。「レースでリスクを冒したくないならやめればいいんですよ」。さらにロウズの代わりとして上がっているのはスコット・レディングである。ロウズと比較してレディングの方がリスクが少ないというのはとても納得できない話だ。もちろん彼は表彰台にも昇っているし、時々はそれなりの結果を出しているが、彼のリザルトは現在伸び悩んでいるようにも見えるのだ。

レディングが加入したとしても、それは他のライダーが断ったからだろう。「間違いなく世界中のライダーに声を掛けてるんですよ。でも誰も来てくれなかった」とロウズは言う。「彼女がいるのに、他の友達にもみんなに遊びに行こうって声を掛けるなんてあり得ないでしょ?これはそういう状況なんです。彼ははっきりとアプリリアがいろんな人に声を掛けてるって言ってますよね。カルか誰かが乗るんだったんなら少しは受け入れやすかったかもしれませんね」

レディングはロウズ以上の成績を挙げることができるだろうか?期待はしてもいいだろう。アルベシアーノのためを思うならそうあってほしいものだ。来年はレディングにとって5年目のMotoGPシーズンとなる。ホンダにもドゥカティにも乗って経験は充分だ。もし彼が結果を出せなければ今度首が飛ぶのはアルベシアーノ自身なのだ。

ロウズはどこへ?

ではサム・ロウズはどこへ行くのだろうか?次のシートを探さなければならない状態だ。マルクVDSにはシートが余っている。これが来年の選択肢としては最高だ。だが競争も激しい。トム・ルティ、ミカ・カリォといったライダーがこのシートを狙っているのだ。

コース上でも激しいバトルが繰り広げられた。それも驚きだ。雨で一日は台無しになったと思っていたのだが、一瞬だけ天気の神がMotoGPのパドックに微笑みかけたのだ。しかしそのままにするつもりはなかったようだ。Moto2のFP1が始まるとすぐに激しい雨が降り出してしまった。そしてこれが数多の転倒者を生むことになる。11人があまり普通ではない場所で転倒しているのだ。

クラッシュ大豊漁

ライダーが転倒したのは1コーナー、3コーナー、4コーナーのブレーキングである。ストレートのブレーキングでフロントからスリップダウンしているのだ。赤旗は出なかったものの懸念すべき状況であることは間違いない。多くのライダーがメディアに対して金曜夜の安全委員会の議題にすると言っていた。結論は出たようだ。金曜夕方遅くにFIMの安全委員のフランコ・ウンチーニが清掃スタッフと一緒にF1が路面につけたラバーの層を削っている。これがクラッシュの原因かどうかは全くわからない。だがそれはラバーをはがさないで良い理由にはならないのだ。

MotoGPクラスは最高のコンディションだった。FP1は気温が低くドライ。そしてFP2では気温が上がり、路面が濡れていたのも最初の10分程度で済んだ。その後はライダーに夜アタック合戦だ。慎重ではあったがそれでもアタックしていた。Q2入りのためのタイム出しだ。土曜に天候が悪化したときの保険である(おそらく大丈夫だろう。最悪の天候はもう過ぎ去ったようだ。まあ何があるかはわからないが)。

両セッションを制したのはアンドレア・ドヴィツィオーゾだ。ただしFP1の最速ラップはコースをはみ出したために取り消されている。このためタイムシートのトップはエクトル・バルベラが飾ることになった。ドヴィツィオーゾは午後にこれを取り戻してみせる。自らのベストタイムを0.6秒更新しドゥカティをトップの座に据えたのだ。1日目の終わりに本来座るべきところに位置を占めることになったとは言え、下位との差は思った以上に小さいことも忘れてはならない。

すべてが接戦

実際金曜には様々なライダーが輝きを見せたのだ。トップはドヴィツィオーゾのドゥカティだが、その後ろにはヤマハ、ホンダ、サテライトのヤマハ、ワークスドゥカティ、サテライトドゥカティ、レプソルホンダと続いている。実力は伯仲しており誰もが主役になる可能性がある。ヤマハは加速と電子制御を改良しマーヴェリック・ヴィニャーレスはどんどん気持ち良く乗れるようになってきている。ホンダはリアのグリップに関して1つか2つの改良を施してコーナー脱出加速を良くしてきた。これでマルク・マルケスとカル・クラッチローもトップに近づいている。

ビッグネームでここに挙がっていないのはヴァレンティーノ・ロッシだけだが、彼は先週からインフルエンザに苦しんでいて、全力で走れない状態だと明かしている。ロッシは土曜にはQ2争いができるくらい体力が回復するのを望んでいる。

ドヴィツィオーゾが頭一つ抜け出しているとは言え現時点ではオーストリアの勝者は全く予想できない。予報通り土曜が一日晴れていれば、予選終了時点でもう少し判断できるだろう。日曜の天気はもっと良さそうだ。しかしまだそこまでの道のりは長い。
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そりゃ怒るよねえ…。だったら最初からとらなきゃいいのに…。

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公式プレビュー>オーストリアGP2017

ヤマハホンダドゥカティ(英語)スズキ(英語)アプリリア(英語)、KTM(未)。

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MotoGP:レディングが語る。持参金、パーツ、ピットの安全性…

ジャック・ミラーがプラマックに加入したことで放出が決定的になったスコット・レディング。グレジーニやマルクVDSが有力視されています。その彼のインタビューをCRASH.netより。Peter Mclarren氏の記事です。
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2018年のMotoGPクラス、スコット・レディングの先行きは不透明なままだ。しかしひとつだけはっきりしていることがある。シートを金で買うことはしない、ということだ。

プラマック・ドゥカティにおける彼のシートはジャック・ミラーに脅かされているという噂だ。しかし現時点では公式発表はない
(訳注:昨日遅くにミラーの加入が発表されてます)。一方レディングはアプリリアへの加入が噂されている。

「現時点ではどうなるか全くわからないですね。本当ですよ」というのが木曜のレッドブルリングでのレディングのコメントだ。「MotoGPには残りたいと思ってますよ。それだけの力はあると信じてますし。あとは現時点での最適解を見つけるだけですね。
 あまり選択肢がないってのは良い状況ではないですけどね。実際選択肢って言うより、唯一の道って感じですけど…」

MotoGPに残るためなら持参金を用意してでもシートを確保したいと思ってます?

「そもそもそんなお金を持ってないですけどね。ただお金を払わなきゃ乗せてもらえないなら家に帰った方がましですよ。これは最初から言ってることですけどね。2009年もキャリアが終わり掛けてるんです。2010年に契約がみつからなくてね。
 でも自分の命を危険にさらしているのにお金を払う意味がわからない。走るんならお金をもらわなきゃ。趣味で走ってるんじゃないんです。生活のためだし人生のためだし、これから生きていくためなんです。
 もちろん持参金やスポンサーを自分で見つけて、楽しみで走るために年間70万(訳注:ポンドだったらざっと1億円)とか使うライダーがいるのも知ってますけどね。でも自分だったら7,000だって払わない。僕にとっては仕事なんです。趣味じゃない…。ま、どっちにしろ払えるお金なんてないんですけど」

去年のオーストリアでのレディングの順位は8位。二人のドゥカティワークスライダー、アンドレア・イアンノーネとアンドレア・ドヴィツィオーゾがレースを支配していた。

「ここでは去年も良い走りができたんですよね。良い気持ちで走れた。このコースは大好きなんです。唯一の問題はみんなウイングを付けていて、でもうちのには付いてないってことですね。こういうコースではかなりの違いが出ると思うんです。だから今回までにみんな準備してきたんですよ。
 今付いてないだけじゃなくて、これからも付かないでしょうね。去年のウイングを付けてガムテかなんかで外側を覆えば良いのかな?ほんとにがっかりですよ。結局みんなウイングを復活させたんですよ。別にいいですけど、だったらみんなに付けるべきでしょ。
 だから走ってみないとわからないですね。でも1コーナーと3コーナーでは立ち上がりで不利になるでしょうね。ちょっとそこでは苦労しそうです。でもまあこのコースではほんとに気持ち良く走れるんで。ブルノも凄くいい感じでしたし、ここでもさらにうまくやれると思ってます」

ウイングと同様、カーボンファイバーのフロントフォークについても試すチャンスはないだろうとレディングは考えている。

「サテライトチームでサテライトマシンを走らせてるってことは、ヴァレンシアに行っても愛機は12か月前と同じってことなんですよ。サテライトにいて唯一問題になるのはそこですね。全然進化がないんです。去年はカウルを1種類とウイングを2セット手に入れられた。今年はウイングが禁止になって、結局何も手に入らない」

プラクティス前日の彼がもうひとつ気にしているのはウェットであらわになる危険性のことだ。

「ここでウェットになったら僕にもチャンスはあると思うんですけど、唯一心配なのは安全性ですね。去年も言ってますけど、右に曲がると目の前に壁が立ちはだかる。めちゃめちゃ嫌な感じですね。フロントが浮く場所もたくさんあって、ランオフがないところでマシンを倒さないといけない。どうなるかはわからないですけどね。水たまりではグリップもどうなることやら。明日の天気予報は雨模様ですね。そのあとは良くなるみたいですけど」

先週日曜のアレイシ・エスパルガロとアンドレア・イアンノーネのピットでの事故について、レディングは、そもそもライダーがピットから出るのに悠長に構えて待っていると思う方が間違いだと言う。「コース上ではコンマ何秒かしか稼げないけどピットなら何秒も稼げるんですからね。
 信じられないかもしれないけど、この件については安全委員会でもう話し合ってるんです。2〜3レース前かな。僕は「ダブルピットレーン」を提案した。インとアウトが分かれていて、先に入った方に優先権があるんです。だってもし自分がレースのトップを走っていて、ピットに入って、例えばそれが5台の集団だったりして、5番手のやつが僕の目の前に入ってきたら、なんで僕が止まらなきゃいけないのか?
 でも誰も僕の意見を聞いてくれなかった。しょうがないですね。もし僕がピットを出ようとしていて、誰かが入ってきたとしても後ろを振り返ったりしないしスロットルを緩める気も無い。勝ちたいですから。だからもし2人のライダーがそんな気持ちで、まあみんなそうだろうと思うんだけど、そういう意味ではあのエスパルガロとイアンノーネの件は必然ですね。あれ以上の何を期待してるんです?ライダーがスローダウンするわけがないじゃないですか。
 メカニックが「OK」とか「だめ」とか言うなんて期待するのもなしですよ。だってライダーはクラッチを離しちゃってるんです。僕ならそうする。要するにレースを戦ってるってことなんです。誰かが自分の前を通るのを待って0.8秒とか1秒とか失うなんてごめんですよ。
 ピットで稼げるタイムってすごく大きくって、ライダーもそれに気づき始めてる。だからクラッシュも増えてるんです。トライアスロンでも僕はトランジットでタイムを稼いでるんですけど、それと同じですね。ピットなら何秒も稼げるけどコース上ではコンマ数秒。つまり簡単に何秒も手に入れられるってことなんです」

レディングはピットストップでは最低何秒止まっていなければならない、ということを決めれば「うまくいくと思う」と言っている。併せてMoto2チームのピットをMotoGPチームの間にはめることでも「かなりの助けになるだろう」との考えだ。
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はっきりしていてたいへんよろしい。

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ストーブリーグ表2018(2017.08.11時点)

ミラーがプラマック・ドゥカティと契約したのを受けて諸々修正。次の目玉はレディングの去就でしょうか。そしてイアンノーネもそろそろスズキで確定しようかな…。

Stove_2018_170810_2


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MotoGP:ロウズ-アプリリア事案−グレジーニはレディングに思いを馳せる

契約があるにもかかわらず放出の噂が絶えないサム・ロウズですが、そろそろ通告期限が迫っている様子。久しぶりにGPOneよりPaolo Scalera氏の記事です。イタリアメディアなのでかなりアプリリア寄りの論調かな。
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サム・ロウズへの刑の宣告期限が刻々と迫っている。

今月中旬にはアプリリアはサム・ロウズに対して契約延長か放出かを通告しなければならない。一方ロウズにはアプリリアを説得するために切れるカードはほとんどない状態だ。

事実をいくつか。
今シーズン開幕からこれまでのレースで、サムがポイント圏内でゴールしたのはたったの一回。フランスGPでの14位だ。
ロウズのランキングは現在24位。後ろには3人しかいないが、それがギュントーリ、カリォ、津田というワイルドカードだというのもいささか問題だろう。

多すぎるクラッシュ:アプリリアがリザルトそれ自体より問題視しているのは繰り返し起こるクラッシュである。開幕からは16回を数える。
無視できる回数とはとても言えない。比較のために記すと、マルク・マルケスは14回、バウティスタも同じ、アレイシ・エスパルガロとクラッチローは12回ずつだ。

かつてケニー・ロバーツが言っている。「速いライダーにクラッシュしない方法を教えることはできるが、遅いライダーに速く走る方法は教えられない」。
サム・ロウズの問題は、大して速くないにもかかわらずクラッシュが多いところだ。しかしアプリリアに選択肢はあるのだろうか?

スコット・レディングの名前が取りざたされている。さらにはステファン・ブラドルの名前も出ている。ただしブラドルはマルクVDSチームとも接触しているようだ。
「本当のところ、うちには選択肢はないんですよ」というのがロマーノ・アルベシアーノの言葉だ。その時の表情はポーカーフェイスとしか表現しようのないものだったが。「まあこれからですよ」。もう少し情報を得るために、アプリリアチームのもう一つの顔、ファウスト・グレジーニにも話を聞いてみた。

「クラッシュは本当に問題ですね。かなりの回数になりますし、それもテストの最中の分は勘定に入れてません。クラッシュする度にパーツを交換しなければならない。コストの問題じゃないんです。製作に時間が掛かるのが問題なんです。作るのに時間が掛かると言うことはスタッフがそれに忙殺されるってことなんです。開発に忙しいのにね。つまり開発の足を引っ張ってるんですよ」

とは言え、ロウズからは技術的フィードバックを得られないというわけではない。

不思議なブレーキング:「彼の伝えてくるインプレッションがアレイシ・エスパルガロと同じってのは確かです」とグレジーニは正直に言う。「現時点での彼の問題はライディング方面ですね。サムのブレーキングは普通じゃないんですよ。スロットルをと閉じてからシフトダウンして、それからやっとブレーキングを始めるんです。それってタイムをロスするだけじゃなくて、エンジンにも負担を掛けるんです。彼がMoto2上がりだからなのかどうかはわからないですけど、Moto2からMotoGPに上がってきた他のライダーはそんな問題を抱えてないですからね」

実際問題、サムはクラッチのないマシンに適応するのに苦労しているようだ。彼はMoto2で戦っているときはクラッチを握りながらブレーキングしてリアホイールをコントロールしていたのだ。
では誰がサム・ロウズの代わりになるのだろうか?

代わりのライダーを探すのが難しいことをグレジーニはわかっていながらも、ひとつの名前が胸に去来しているようだ。スコット・レディングである。

「彼は24歳と若いし、同時に充分な経験も積んでいる。MotoGPで4年走ってるんですからね。それに彼が遅いとは思いませんし。彼はプラマックでペトルッチと同じマシンに乗っているわけじゃない。マシンの性能の問題だけじゃなくて、モチベーションを失っても仕方が無い状況なんです。

アプリリアにも時間はない。スコット・レディングはすでに交渉相手を探している上、彼のマネジャーはミハエル・バルトレミーだ。彼はホンダ・マルクVDSチームのマネジャーでもある。スコットが元のチームに戻るという噂も飛び交っている。そして以前自分が乗りこなせなかったマシンに再び乗ることが心配ではないかと尋ねられた彼はこう答えているのだ。「同じ?今じゃ全然違うマシンですよ。違うメーカーのマシンみたいだ」
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特に新しい情報があるわけじゃないですけど、グレジーニが赤裸々に語ってますね。

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MotoGP:テクニカルディレクターがドゥカティのカウルについて語る

チェコGPの話題をさらったドゥカティの新型カウル。あれ、OKなんだ?ってのとは別に、かっこ悪さと裏腹の速さも見せたことで、いろいろおもしろいことになってますね(私は大好き!)。レギュレーション違反かどうかはテクニカルディレクターが決定するということで、そのダニー・アルドリッジにCRASH.netがインタビューをしています。
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チェコGPの話題の一つはここでデビューを飾ったドゥカティの新型カウルだった。

冬期テストで登場した「シュモクザメ」カウルほどやり過ぎではないものの、今回登場したカウルは出場登録できた新世代カウルの中では最も過激であることは間違いない。

後付けウイングは昨シーズンをもって禁止されており、今年からは「(空力効果のある)パーツでボディから飛び出ていたりボディのラインと一体になっていないもの」は使用不可となっているのだ。

カウルが新たなレギュレーションに合致しているかどうか判断する唯一の人間がテクニカルディレクターのダニー・アルドリッジである。

これはダニー・アルドリッジがブルノで月曜に行われたテストの最中にドゥカティのカウルについて話した内容である。ジジ・ダリーニャによればこのカウルは従来型ウイングの40%程度のダウンフォースしか発揮できていないようだ。

OKが出るまでに4〜5回の修正

「ドゥカティのカウルのデザインが決まって出場登録できるまでに2か月ほど掛かっています。最初のデザインが提出された時にはこちらからは『だめですね、ここは変更してください』って言っています。つまり彼らが望むものがすべて実現したわけじゃないんです。
 彼らの仕事は限界までやることだし、こちらの仕事は限界を守ることです。だからできたものは両方を満たした結果なんです。最初のデザインについては、まあこれは他のメーカーでも起こっていたことではあるんですけど、まずは向こうが『これでOK?』って言ってきて、こちらは『いや、こことかこことかこことかは修正して』と答えてます。それで彼らはバージョン2、3,4と持ってくる。
 こうした空力パッケージの全てについて、最終決定は私がすることに決まっています。でもそうは言ってもかなり重要な決定になることはわかってますから(レースディレクターの)マイク・ウェッブや(MotoGP技術ディレクターの)コラード・チェッキネリとかの意見も聞くようにしています。プチ委員会みたいな感じでじっくり話をするんです。彼らの意見を聞きながら全員が、これならルールの範囲内だってなるところまで議論する。そうやってから私が許可を出すんです。
 ルールにかなりの解釈の余地があるんですけど、それで助かる部分と辛い部分はありますね。誰に対しても平等にあろうとしていますが、何か決定を出すたびにそれが先例になる。いつも考えてるんです。『この決定がどんな影響を持つのか?』ってね。だからマイクやコラードと話をするのは本当に大事なことなんです。3人寄れば文殊の知恵って言いますしね。
 ルール上はテクニカルディレクターがどう解釈するかってことになってますし、もちろんひとそれぞれ解釈は違います。『これはウイングだから不許可』って言う人がいる一方で、それを気に入って、むしろなんでOKなのかを知りたがる人もいる。20人いれば20通りの解釈があるんです。
 でもそれがバイクレースをおもしろくしてるんです。コース上をいろんな形のマシンが走るってのはいいことですよ。でなけりゃワンメイクレースにすることになる。F1でも空力関連ルールは凄く厳しいですけど、それでも毎週のように最新の空力スタイルについて議論が起こっています」

曲率や曲げ角について議論を始める時期かもしれない

「いちばん最初にこちらからメーカーに対してウイング禁止のために『ルールのひな形をもらえないか』って頼んでるんです。で、結局彼らは何も提供してくれなかった。でも今になってみれば解釈の余地がありすぎるルールじゃないかと…。
 簡単じゃないですよ。例えばヤマハのデザインですけど、両サイドに丸みを帯びた膨らみがある。その上でドゥカティのデザインを見ると、同じように膨らんでいるけど、こちらは四角い形です。ヤマハがOKなら、どこまでOKで、どこからだめってことになるんでしょうか?
 そこが問題なんです。許容可能な曲率から定義しないといけないんです。でも現時点ではそれはルールブックには載っていない。現在のルールについてメーカーと話し合いを持って、彼らがうまくいっていないと思っていないか、満足していないのか、そういった点について判断していきたいと思っています。
 今のところ向こうからは何の申し入れもありません。でももしメーカーが相談に来たら私の意見としては、まず曲率と曲げ角を決めようということになりますね」

ドゥカティのカウルは3枚羽根(ペトルッチ仕様)でも2枚羽根(ロレンソ仕様)のどちらでもOK

「ドゥカティは2つのバージョンがあります。水平部分が中側にあるんですけど、ルール上はパーツを外すことができる。そこで彼らはまず中空でないソリッドパーツを一体成形した上で、下側部分を切り落として、スムージングして塗装しているんです。実に頭のいいやり方です。
 ルールで明文化されているのは「ダクト」はカウルと一体でなければいけないってことです。ヤマハもホンダもボルト留めとかリベット止めしている。しかしドゥカティの上側パーツはカウルと一体で型に流し込まれているんですよ」

ドゥカティのカウルはルールぎりぎり?

「その通りですね。実際この4レースか5レース、ドゥカティとミーティングを重ねていて、これ以上ほとんど何もできないというところまできています。実に時間が掛かりましたよ。彼らは当然自分たちが考えている最良の空力パッケージを実現したいわけですし、私はそれをルールの範囲内に引き戻さなければならない。
 彼らがもう少し小さくしたいと相談してきたことがありますけど、その時も私からは『ええ、切り取ってもいいですけど、その切り方だと許可は出せないですね』って言ったりしています。だから彼らもやり方を変えなければならなかった。安全性が理由ですね」

下側を切り取って2枚羽根にすると2枚のウイングを垂直のサイドパネルで繋いだだけに見えますけど…

「ホンダとドゥカティが両極端で、他のメーカーはその中間ですね。
 レギュレーション違反かどうかの判断でいちばん頭が痛いのは、既にヤマハとスズキには許可を出してるってことなんです。どこまでならOKで、どこからがだめなのか?厳しくしたければルールの条文も細かくしないといけないんです。
 ドゥカティについては他のメーカーにも説明しています。みんな何故私が許可をだしたのかわかってくれてますし、説明した時点では不満はないようでしたね」

一部を取り外したり切り取ったりする時に気にするのはどんなことですか?

「いちばん大事なのは安全性です。鋭利な部分とか自分や他のライダーやコースマーシャルに危険を及ぼすような部分があってはいけない。空力パーツについてはもちろんルールに合致していることが条件です。何かをはずしたらウイングになるようなのは無しです」

つまりドゥカティは上下のウイングを繋いでいるサイドパネルは外せないと。

「その通りです。幸いにも私は各メーカーと良好な関係を保っているんで、いつでも検討中のことについて私のところに相談に来てくれてます。いきなり何かを実戦に登場されることはない。基本的に『私が文書で許可しない限り許可にはならない』ってことなんです」

将来的にはパーツの取り外しとか切除とかについても規制を強めたいと考えていますか?

「正直、ボルト留めパーツがもっと少ないといいと思ってますね」

空力関連ルールの変更はどんな手続きになるんですか?

「技術関連ルールの変更にはMSMA(訳注:モータースポーツ製造者協会。MotoGPマシンのメーカーによる会議体)の合意が必須です。安全性の問題については別ですが。ウイングも安全性の問題でした」

ペドロサはドゥカティのカウルについて、ハンドルが引っかかるんじゃないかと言ってますが…

「安全委員会の場でライダーが懸念を示すかレースディレクションに話をすれば、私たちも検討することになります。開口部の面積を制限するのも一案でしょう。まあほとんどのライダーは気にしていないようですが」

シーズン中の変更と見なされるのは、ライダーがそのカウルでコース上を走った時点からですか?

「ええ。実際にコース上で使われた段階ですね。テストは関係ないですよ。ですからヤマハについては今日新型カウルで走ってますけど、これを登録しないといけないわけではない。テストでは好きにやっていいんです。
 GPで実際走る前には私に知らせる必要があります。現時点でドゥカティの新型カウルを使うのはロレンソとペトルッチということになっています。つまり理論的にはドヴィツィオーゾはこのカウルを気に入らなければモディファイして別途登録することも可能なんです。GPで走らない限りはね。だからこそホンダではクラッチローとマルケスとペドロサのカウルが微妙に異なっているんです」

ドゥカティの「シュモクザメ」

「あれは私のところには持ち込まれなかったですよ。ですから何も情報がないんです。テストだけでしたし、それなら問題はありませんし、結局棚上げしてしまいましたし。で、今回のような全然別物が各メーカーから登場した。シーズン後半はこうした新型カウルにお目にかかることになるわけです」

MotoGPカウルのこれから

「いろいろ進化していくでしょう。これまでもバイクレース界では様々は方向に進化して、最終的にひとつの方向に収斂していくということを繰り返している。ドゥカティのカウルのノーズ部分がいい例です。KTMのノーズを極端にしたような形です。そしてアンダーカウルはスズキのものをさらに先鋭化したような形になっている。つまり彼らは限界に達しているってことです。だから今年はいろいろ極端な形態を目にするでしょうけど、来年は全てのマシンが似たデザインに向かっていくでしょうね」

コストカット

「空力関連ルールでコストカットに寄与しているのは、年に1回のみの変更というところですね。各チームが毎週新型を投入するという羽目には陥らないで済んでいる。ウイング時代はそれに近いことが起こってましたからね」

Moto2やMoto3でもこういうカウルは使用できる?

「ルールの範囲内ですからね。だからKTMはやりたければMoto2にMotoGPのカウルデザインを取り入れることもできるんです」
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いろいろ楽しみ!

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公式リリース>チェコGP2017

ヤマハホンダドゥカティ(英語)スズキ、アプリリア(英語)KTM(英語)

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公式プレビュー>チェコGP2017

ヤマハ、ホンダ(未)、ドゥカティ(英語)スズキ(英語)アプリリア(英語)、KTM(未)。

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鈴鹿8時間耐久 ヤマハR1−妥協の産物:220周のためのスピードvsスタミナ

再びMotoMatters.comよりSteve English氏の記事を。こちらはマシンについてのお話。なおリンク先はテックポルノ写真満載。閲覧注意の溶接痕とカーボン綾。
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1日が終わる。勝利は手にした。ヤマハが鈴鹿8時間耐久レースで三連覇を飾ったのだ。日本のメーカーが他のどのレースよりも勝ちたがっているレースである。ヤマハワークスのYZF-R1をじっくり観察してみよう。

良く言われていることだが、耐久レースはモータースポーツにおける自由な設計と自由な技術の最後の砦である。アウディが4輪で導入したディーゼルエンジンについても、今の2輪耐久レーサーについても、グリッドには革新的技術が溢れているのだ。

今週末の鈴鹿8時間にヤマハワークスが持ち込んだのは地球上でおそらく最も進化したYZF-R1である。電子制御に制限はなく、タイヤ戦争もあり、ルールブックにはあらゆる革新の種が落ちている。アレックス・ロウズとミハエル・ファン・デル・マルクがワールドスーパーバイクで通常乗っているマシンとはかなり違うものとなっているのだ。

「鈴鹿用マシンと僕らのワールドスーパーバイク用マシンを比べられたのはほんとによかったですね」というのがファン・デル・マルクの決勝前夜のコメントである。「一方でレースして、すぐにテストのために別のマシンに乗ると、それぞれのマシンの良さがどこにあるかよくわかりますし、スーパーバイク用マシンのどこに開発余地があるかもわかりますからね。
 エンジンも違いますよ。鈴鹿用マシンは8時間保たせないといけないですから。でも電子制御も全然違う。鈴鹿用マシンはすごくスムーズなんです。ちょっとした違いなんですけどマシンが乗りやすくなっている。スーパーバイク用マシンと特性は同じなんですけど、電子制御のおかげでパワーのコントロールがめちゃめちゃ楽になってるんです。あれ、僕のマシンにもほしいですよね!」

レースマシンに装着されるあらゆるパーツはすべて速さのためだ。しかし耐久レースでは同時にメンテナンスの速さにも気を遣ってパーツを作らなければならない。ホイールを素早く交換したりクラッシュで負ったダメージを修理したりといった場面でいかに時間を節約するかが死命を制するのだ。ピットで稼いだ1秒1秒が砂金のように積もり積もって大きな意味を持つことになる。そして効率的に作業をこなすことはあらゆるチームにとって賞賛に値する宝なのである。

あらゆるものがいかにスムーズに作業を進めるかを考慮して設計されている。ワールドスーパーバイクやMotoGPのマシンと比較すると、外しやすさと作業効率が最優先で作られているのだ。普通なら後回しになるチェーン交換や給油の速さ、さらにはメンテナンススタンドにいかにマシンを速く載せるかといったことまでが最優先で考えられているのである。スピードが最重要事項なのだ。しかし休み無しで8時間走りきるためのスタミナにもかなりの配慮がされていることも忘れてはならない。

誰もが勝ちたがっている8耐におけるヤマハの3連覇にはタイヤもマシンの一部として大事な貢献をしている。世界耐久選手権でヤマハが履くのはダンロップだが、ワークスヤマハは再びブリヂストンで8耐に挑んでいる。これが大きなアドバンテージになったのだ。この日本製のタイヤはこれまでも暑さに強いことで定評があった。そしてこれも耐久レースという挑戦のひとつの側面なのである。

このところ私たちは世界中をまわるMotoGPとワールドスーパーバイクでタイヤメーカーが1社に限定されていることとに慣れつつあるが、タイヤ戦争もレースの一部であるのをまた目にするのもいいものである。ライダーにとってはワールドスーパーバイクで使われるピレリとはずいぶん違った感触となるが、大事なのはパフォーマンスである。そしてブリヂストンはその期待に充分応えてみせたのだ。

これまでの鈴鹿8耐からのフィードバックは2015年まではMotoGPタイヤの開発にも役立てられていた。このため感触も実によく似ていたのである。極めて強靱なフロントの感触に加えて機能する範囲であれば豊富な安心感を与えてくれる。しかし一旦その範囲を外れるとひどいしっぺ返しを喰らう。その時こそダメージからいかに早く復活するかが意味を持つのである。

3人のライダーが1台のマシンに乗るということは、誰にとっても完璧でないマシンになるということだ。たいへんなのは3人ともに満足するマシンに仕上げることである。今年についてはヤマハの課題はロウズや中須賀と比べて身長の高いファン・デル・マルクも許容できるライダーポジションだった。ロウズと中須賀の二人は三人に合わせた際のベストを作るために自分たちの要求を変更しなければならなかったのだ。

2015年、3連覇の最初の勝利の際、ブラッドリー・スミスは「第3ライダー」だった。この時のチームメイトは中須賀とポル・エスパルガロである。つまらない役割では決してない。それどころか他の2人と同様に重要な役割である。しかし彼によれば違う役割が求められていたのだという。

「ライダーは3人いて、だからそれほど乗れないんですよ。スーパーポール(訳注:トップ10トライアル)も走れなかったし、それを平気で我慢できるライダーなんていないですよね。でも僕は第3ライダーで、それは週末の間ずっと変わらなかった。まあそのまま受け取るべきものでもないし、恨みに思うべきものでもないんですけどね。チームのとして結果を出すために参加してるんだし、別に自分一人のためにやってるわけじゃないんですから。
 テストや決勝前の予選とかではタイヤをいろいろ試してどれがいいのか決める仕事をしていました。20〜30分はいいんだけど1時間保たないタイヤとかもあるんです。そうやってタイヤについてはどっちの方向で行くべきかをチームに進言する。そしてそっちの方向に向けてセッティングを変えていくんです。僕がそっちの方がいいと確信していて、結局それが正しかった。安定性が一番大事なんですよ」

耐久レースというのはひとつの循環サイクルである。リスク分析とスタミナが純粋なスピードより必要だ。ゆっくり走り過ぎたり慎重になり過ぎたりすると速さを失い表彰台から遠ざかってしまう。しかしリスクを冒しすぎればピットクルーが効率的にマシンを修復するのに頼らざるを得なくなる。すべてはどこでどう妥協するかなのだ。耐久マシンは妥協の産物なのである。220周、すなわち数千キロにわたって最高でいられるための妥協なのだ。
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そういえばスミスは去年出場しなかったことを相当後悔してたみたいでしたね。

ついでに写真のキャプションも訳しておきます。
2枚目(仕事場:ライダー視点)
3枚目・4枚目(シンプルなスイッチに騙されそうになるが電子制御は複雑だ)
5枚目(違いはタイヤだけではない。鈴鹿仕様のR1はカヤバのサス)
6枚目(フリーサイズでご用意:ステップ、シート、ハンドルは3人全員に合うように設定)

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鈴鹿8時間耐久 決勝まとめ:ヤマハが完勝で三連覇を飾る

ノーミス・ノートラブルであることは十分条件だが必要条件ではない、というのが耐久レースの常。しかし今回の8耐で優勝したのは強豪チームで唯一ノーミス・ノートラブルだったヤマハワークスでした。その優勝チームにレース直後に行われたインタビューをMotoMatters.comより。Steve English氏の記事です。
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ヴィンス・ロンバルディ(訳注:60年代に名を馳せたアメフトの監督)の言葉だ。「誰にとっても最高の瞬間というのは、戦いが済んだその場に疲れ切った体を横たえ、血のにじむような努力を重ねて手にした勝利を味わうことだと信じているんだ」。

1日が終わる。戦いは勝利に終わる。ヤマハは3年連続で鈴鹿8時間耐久の優勝トロフィーを高々と掲げることになった。ゼッケン21のメンバーか完璧な戦いをやってのけた。そしてその余韻の中彼らは腰掛けて自分たちの成功を味わっていた。疲れているようには見えない。しかしアレックス・ロウズ、ミカエル・ファン・デル・マルク、中須賀克行の3人にとってはここまでが2017年の鈴鹿8耐なのだ。

パドックのオフィスに座った彼らはリラックスしていたが同時に1日が終わった感動が押し寄せてきたようにも見えた。ファン・デル・マルクにとって表彰台の頂点に立つのは3度目だ。ロウズにとっては「義務を果たした」ということになるだろう。彼らは速さと安定性と経験が三位一体となった見事な走りを見せたのだ。中須賀もファン・デル・マルクと同様に3勝目だ。そして彼は鈴鹿のキングの座に留まることができた。彼の1回目のスティントこそが今回の勝利の基礎を形作ったと言っても良いだろう。

「天気に関してはラッキーでしたね。でもあの克行の最初の1時間はほんとにすごかった」とファン・デル・マルクは思い返す。「高橋(巧)を追いかけるなら彼が一番だったんです。巧はこういうコンディションだといつでも強いライダーですからね。最初のスティントは最高でした。で、アレックスが走ったんだけど、彼もすごく強くて速くて、コースレコードも作ってる。
 これは本当に一大イベントで、実感が湧いてくるのにも時間が掛かるんですよね。8時間を走りきって、突然アドレナリンが枯渇して、それでやっとスローダウンできるようになるんです。本当に疲れ切っちゃうんです!信じられないようなレースですよ。だって勝つために本当にたくさんの人たちが努力を重ねてるんです。走るのは3人だけだけど、勝つためにすごく多くの人たちがめちゃめちゃ頑張ってくれてるんです」

そこまでの資源を投入したからこそ、ヤマハワークスは今回のような素晴らしい勝利をおさめることができたのだ。ヤマハは最高のマシンを用意し、チームはあらゆることをチェックし、ひとつの漏れもなかった。彼らが望んでいたのはただ一つ。1年で最も重要なレースでの勝利である。

「僕らが勝利することへの期待もすごかったですね。でも本当に楽しいレースでした」とロウズは言う。「マシンも気持ち良く乗れたし、おかげでレースも楽しめました。自分のドライのペースには自信があったし、チームのペースにも自信があった。でもそもそもコンディションに左右されるようなレースはごめんですからね。だからドライレースだといいと思ってましたし、それでうちがどれほど速いか見せることができた。
 今週は本当に楽しかったですよ。物事が上手く運べたし問題もそれほどなかった。ワールドスーパーバイクのラグナセカが厳しかったんで、ほんとに良かったですね。このレースの経験をワールドスーパーバイクの残りのレースに役立てたいですね。ミハエルも中須賀サンも凄かった。そして僕らはみんなでうまくやれたんです。チームの雰囲気も最高でしたね」

その素晴らしい雰囲気こそが成功の秘訣だろう。しかし表彰台で浴びたシャンパンも乾かないうちから二人のワールドスーパーバイクライダーは次の目標のことを考え始めている。いつものマシンで優勝することだ。

「R1のライディングについて中須賀からいろいろ学んだんです。タイヤが違うのは確かですけど、僕らのマシンに使えることもあると思うんです」とロウズは言う。「ピットにもチームにもいろんな知識が詰まっていて、質問をすると彼らの経験から知識を与えてもらえるんです。すごく役に立ちますね。ここにあるあらゆる物事から学ぶことができる。その中に自分たちのマシンに使える知識があると思うんです」

マシンは鈴鹿のものとワールドスーパーバイクのものでは違うのだが、しかし8耐で優勝したせいでファン・デル・マルクの勝利への渇望が研ぎ澄まされてしまったようだ。

「毎年鈴鹿に来るたびに勝利を期待されてたし、今年も同じでしたね。ヤマハの雰囲気は去年ホンダで体験したのにすごく似ています。僕らが勝つことを期待している。ヤマハは歴史を作るためにここにやってきて、そして鈴鹿8耐で3連覇を飾った。
 レースではいつも良いマシンに乗せてもらえて、ラッキーだと思ってます。つまり鈴鹿にくるとそれなりの期待を受けるってことですね。前に勝ってから2年くらいで、また表彰台に昇ることができて本当に嬉しいです。これで3回も勝ってるなんて本当にラッキーですね。それに本当に素晴らしいことです。このレースは本当に感動を与えてくれるんです。でも勝ったからこそ本当の感動が味わえると思うんですよ」

ワールドスーパーバイクライダーの二人はすぐでもその感動をまた味わいたいようだ。
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うむ。楽しみですね。

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