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ルーチョ・チェッキネロへのインタビュー

テック3のエルヴェ・ポンシャラルと並んでサテライトチームでもきちんとビジネスになるということを体現してみせた草分けの一人、ルーチョ・チェッキネロ。そのためにきちんと体制を作って、スポンサーも大事にして、しかも毎戦スポンサーを変えるという新しいアイディアをやってみせたりと、ほんとうにビジネスマンとしてもレース好きとしても見習うべきことの多い人です。その彼への独占インタビューをCRASH.netのNeil Morrison氏の記事から。
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カル・クラッチローがHRCと2018、2019年の2年契約をかわしたというニュースの後、CRASH.netはLCRのオーナー、ルーチョ・チェッキネロにこの契約についての考えや、それが彼のチームにとってどんな意味を持つのか、今シーズンのこれまでの評価、来年2人のライダーを走らせる可能性などを尋ねてみた。

CRASH.net:カルが2018年、2019年の契約をHRCとかわしました。この変化はあなたのチームにとっても大きな影響があるんでしょうか?

チェッキネロ:まあこれまでもホンダHRCからはかなりのサポートを受けてましたからね。カルは最初から今に至るまでどんどんマシン開発に深く関わるようになってきてますし、パーツテストでの役割も大きくなってます。そしてマシンに関しても改善のためにいろんな意見を出している。だからこういう契約になってもうちとホンダの関係やうちのやり方に大きな変化はないと思ってますね。ホンダが自分たちの二輪最高峰参戦プロジェクトにどれほどカルが大事かって理解したんだと私は考えています。だから彼にとっても今まで以上にメーカーと直接かかわることのできるチャンスですよね。つまりはメーカーのために今まで以上にいろいろしなきゃなんないってことですけどね。イベント参加とかも増えるんでしょう。彼にとってはいいことばかりじゃないってことですよね。いや、もちろん冗談ですよ。今回の契約はほんとに良かったと思います。


CRASH.net:カルはHRCと契約しながらこのチームで走り続けるということなんですか?

チェッキネロ:それが彼の希望なんです。他からもオファーはあると言ってはいましたけど、別に真剣に検討していたとは思わないですね。もちろんそれなりのオファーはあったはずです。その上でうちにアプローチしてくれて、もちろん(HRCのレースマネジメント部門ジェネラルルマネジャーの)桑田(哲宏)にも話をもっていった。そこから交渉が始まりました。実際は去年の終わり頃から契約更改の話は始めていたんですけどね。うちとしてはヴァレンシアまでにHRCの新しい役員と話を付けておきたかった。で、夏休み前には2年契約を固めて契約更改を発表したかったんです。


CRASH.net:つまり2016年後半のカルのパフォーマンスを見れば彼との契約更改を最優先するのも当然だと?

チェッキネロ:ええ、まさしくそういうことです。付け加えるなら、私たちはカルの実力を疑ったことはありませんし。2015年に彼と一緒にやり始めてすぐ第3戦アルゼンチンで表彰台を獲得してくれたことを忘れはしません。それ以降、彼にもいろいろ厳しいことがありましたけどね。ホンダはマルケスが望む方向でマシンを開発するようになっていって、それがペドロサや、そしてカルが思う方向とは必ずしも一致しているわけじゃんかなったんです。でも全部がマルクの方を向いていた。マルクは普通のライダーじゃないんです。そして彼が本当に好きなマシンってのは他のライダーには乗りにくいマシンなんです。普通のライダーのセッティングの方向性とマルクの方向性は全然違う。そしてマルクの方向性では他のライダーは力を出せないんです。で、2016年になって、やっとホンダの声がこちらに聞こえてくるようになって、でもシーズン序盤はそりゃあたいへんだった。うちにとってはタイヤも新しいし、カルはフロントタイヤへの要求が厳しいですからね。当時のミシュランはフロントからの警告がわかりにくかったのが弱点だったんですよ。ミシュランが良くなってからは、あとホンダも新しいソフトウェアに慣れてきて、それで結果がついてくるようになりましたね。
 今年について言えば、まだ楽観的でいますよ。やらかしちゃったことも何度かありましたけどね。でもいい感じできている。アルゼンチンでは3位に入ってますし。テキサスでも4位になった。ルマンでは5位です。普通の状況ならトップ5には入れるんです。ワークスホンダ2台とワークスヤマハ2台とワークスドゥカティ2台ととんでもなく強いザルコとか、他にもテック3にいるわけですよ。悪くないでしょ。


CRASH.net:2015年はマシンがマルク用に開発されていたと。今年のマシンは全ホンダライダーの要望を考えているという感じなんですか?

チェッキネロ:そのとおりですね。ホンダはすごく頑張ってくれてますよ。マルクの希望や指示だけに耳を傾けるんじゃなくて、カルやダニの話も聞いてくれるようになってるんです。例えば違うスペックのフレームとか空力特性の違うカウルのセットとか、カルのライディングスタイルにマッチするようなパーツが供給されるようになってるんです。基本的にペドロサとカルは似たようなスペックに落ち着きますね。でもマルクは相変わらずちょっと過激すぎることがある。でも最終的にホンダが目指すのは全ライダーに最大のチャンスを与えることなんですよ。他のメーカーも強さを増してることは充分理解してますからね。だからこれは競争の結果でなんです。それが良い方向に転がってるってことですね。わかってもらえます?


CRASH.net:他のメーカーの話が出ましたが、ドルナはスズキやアプリリア、KTMについてはできるだけ早く台数を増やしてもらいたいと思っています。あなたのチームがホンダ以外のメーカーからマシン供給を受ける可能性というのは現実的ですか?

チェッキネロ:去年の序盤にそういうオファーはありましたよ。スズキから話がきたんです。でも交渉には至らなかった。私はプロとしホンダHRCに何が進行しているかをきちんと伝えました。それですぐ関係強化ができるかどうか、長期的関係性を築くにはどうすれば良いかといった話が始まりました。で、去年のムジェロでこれからも一緒にやっていこう、少なくとも17、18、19年はいっしょにやろうということになったんです。それ以降は他のメーカーとは全く話をしていませんよ。去年はアプリリアからも話がありましたけどね。それ以降はそういう話があってもお断りしてるんです。


CRASH.net:カルがHRCと契約したことであなたの仕事は楽になりますか?予算確保とかスポンサー確保といった面の話ですが。

チェッキネロ:そうは思わないですね。否定はしませんけど肯定もしにくい。現時点では世界中を視野にいろいろやってますけど、状況は変わらないですね。スペアパーツが増えたり新型パーツが増えたりはするでしょうけど、それはあまり関係ない。ま、ピットから消えるものはないし、むしろいろいろ増えるんですけどね!


CRASH.net:それは悪いことではないですよね?

チェッキネロ:ええ。


CRASH.net:つまりは小規模なワークスチームになるってことですか?

チェッキネロ:ですね。


CRASH.net:2018年にLCRホンダが2台走る可能性はあります?

チェッキネロ:その件については検討中なんです。ブルノまでに決めることになってます。ブルノが締め切りなんですよ。やるのかやらないのかね。うちの選択肢は二つです。ひとつは幸運に恵まれてメインスポンサーがついてくれてドルナの支援と合わせれば二人目を走らせることができるという選択肢。そうなったら誰を走らせるか考えます。その場合はMoto2からLCRで走ってくれるライダーを探すことになります。イタリア人がいいな(笑)。でもこれについては誰かとちゃんと検討したことはないんです。だって少なくとも契約更改が終わるまでは話せませんからね。現時点では夢みたいな、まあ希望、ですね。もうひとつの可能性はワークスサポートを受けたライダーを走らせるか、どこかの企業か組織がサポートするライダーを走らせるかですね。例えばマレーシア政府がマレーシア人ライダーをMotoGPクラスで走らせたいと考えているのは秘密でもなんでもない。問題はMotoGPで戦えるマレーシア人ライダーがいないってことですね。でもそういうことを本気でやりたがっている。中上がMoto2でちゃんとパフォーマンスを発揮できたらホンダHRCがMotoGPで彼を走らせるためのサポートするだろうってのもみんな知っていることですね。でもまだそれも決まりではない。残念なことに中上は現時点でランキング3位以内に入っていない。その他にスポンサーを連れてくる可能性のあるライダーを見つけるのは難しいでしょうね。
 つまり現実的な話をするなら、現時点ではまだ決定できないってことになりますね。ドルナとIRTAには2レースくらいで2人目を走らせるって話はしています。たぶんブルノとオーストリアが精一杯ですね。そろそろ決めたいとは思っています。中上がホンダの支援を得られるとか、マレーシア政府がシャリーンをMotoGPで走らせるとか、そういうことを見極めないといけないんです。もし運が良ければスポンサーがみつかるでしょうけど、現時点では代理店と契約はありますけど、先の話はわからない。現実的な話をすれば、現時点ではその可能性は半々ってところですね。


CRASH.net:シーズン後半も楽しみにしてます。チームの目標はどんなところですか?

チェッキネロ:自分たちに力があることは信じてますからね。今のところ、とんでもないライダーであるマルクは別にすれば、うちのマシンにも力はありますからね。ブレーキングはいいし加速もいい。アッセンとかドイツとか、ブルノやミサノでもストレートは強い。タイトコーナーが多ければうちのマシンも力を発揮できる。カルも表彰台争いができるはずです。優勝争いとまでは言えませんけど、表彰台争いはできるはずです。カルはバルセロナやムジェロでも速いと思いますよ。ここんとこ苦労してるサーキットですけど。もちろんマシンも良くしていかないといけませんね。今のタイヤでうまく走れるマシンにしないといけないですし、トップスピードも上げていきたいところです。まだトップスピードでは少し劣ってますからね。そこは誰が見てもそうでしょ?トップスピードはなんとかしなきゃいけない。あと、繰り返しになりますけど加速は最高なんです。加速だけを純粋に考えればね。
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来年の2台目についてのコメントがとても興味深いですね。

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コメント

洞察力 分析力 同じライダーとしての視点
シャキッとしてますね!
チェッキネロ!
こうじゃなきゃリーダー は務まらないのでしょう。
なに気に凄い。

投稿: motobeatle | 2017/07/16 02:17

>motobeatleさん
 ルーチョはほんとに理想のチームオーナーの一人ですよね。というかそうでなければ生き残れないのかも。ポンシャラルも同じ感じですもんね。

投稿: とみなが | 2017/07/16 11:35

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