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MotoGPストーブリーグまとめ−夏休みは熱い交渉の時期

おそらくブルノでいろいろ一気に決まってくるので、楽しめるのも今の内。ってわけでMotoMatters.comより。
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MotoGPマシンがその咆吼を止めてから1週間。チームもライダーも四方に散っている。名目は夏休みだ。そしてライダーは1週間ばかりどこぞのビーチに行き、その後はシーズン後半に向けての体力作りに励むことになる。一方チームやライダーのマネジャーも決して休んでいるわけではない。シーズン後半に向けての様々な活動はもちろんだが、いくつかのサテライトチームにとっては2018年の準備もしなければならないのだ。

ストーブリーグはここで一段ギアを上げる。ここまでのところ今年の夏休みは2018年に空席となるMotoGPのシートをめぐってがっつりと交渉が進められているようだ。そもそもシートが空くかどうかについての交渉も繰り広げられている。チームスタッフに掛かってくる電話は夏休みについてのお愛想から始まり、そして瞬時にその夏休みというのがシーズン後半に向けての会議や準備の間の1日だけ、良くて2日間だというのが判明するのである。

MotoGP2018年ストーブリーグ夏の陣の先陣を切ったのは、ジャック・ミラーが来シーズンプラマック・ドゥカティでダニオ・ペトルッチのチームメイトとして走るというMotorsport.comの報道である。HRCとの直接契約が終了するのを受けて(ちなみにその契約はカル・クラッチローが引き継いでいる)彼はマルクVDSとの契約交渉を行っている。しかし金銭的に折り合わず交渉は決裂。そしてドゥカティからのより良いオファーを受けてミラーの気持ちはプラマックに向いているという話だ。

契約についてはまだ発表されていないしどちらのチームも公式に何かを語ることを拒否している。ミラーは地元のオーストラリアのタウンズビルと日本の鈴鹿8耐を行ったり来たりでありコメントをとりにくい状態だ。しかしMotoGPが再び集結するブルノでは何らかの発表があるだろう。

おそらく実現しないネタ

プラマックにミラーが加入するとなれば出るのはスコット・レディングだ。彼は今シーズンは苦労続きで、マシントラブルにもレース中のリアグリップ不足にも悩まされている。現在レディングは選択肢を吟味中で、MotoGP残留だけでなくワールドスーパーバイクへの移籍もあり得るようだ。まずありそうなのはアプリリアだ。レディングとマネジャーはザクセンリングでアプリリアとミーティングを行っている。こちらも苦労しているサム・ロウズの代わりとしての加入だ。レディングによればこの時は「おしゃべりに終わった」ということだ。いずれにせよレディングがアプリリアに行くかどうかはアプリリアがロウズを残すかどうかにかかっている。

一方、ロウズの立場は少し良くなっている。彼も先週マネジャーと共にアプリリアと会話をしているが、こちらについては内容は漏れてきていない。しかしアプリリア社内にロウズに味方する勢力があるという話も聞こえてきている。これはこの2戦ほどロウズが結果を出し始めていることとも符合する。シーズン序盤は3秒遅れだったのが1秒遅れ程度まで持ち直してきているのだ。

そもそもMotoGP昇格9レース目でルーキーをクビにするといのも乱暴な話である。しかもロウズはMotoGPでの2年契約の初年度で、さらに言うならアプリリアのMotoGPプロジェクト自体が限られた予算で運営されている開発含みのものなのである。ロウズをクビにするのはナンセンスだ。来年はトップライダーはほぼ契約が決まっているとなればなおさらである。2018年は彼を走らせて2019年に誰を連れてこられるか考えた方がいいだろう。

もちろんアプリリアのレース部門の責任者であるロマーノ・アルベシアーノに対してどの程度すぐ結果をだせという圧力が掛かっているかはわからない。(親会社である)ピアジオのトップ、ロベルト・コラニーノはかなり特徴のある人物で、おそらく表彰台、それどころか優勝を求めている可能性もある。とは言えマシンの戦闘力とは裏腹に、その設計には根本的な欠陥があるようだ。ニューマチックバルブの設計に問題があるせいで今シーズンは何度もマシントラブルに見舞われている。まず取り組むべきはそこだろう。

ネットの噂レベルのネタ:偉大なる大魔王

レディングがアプリリアに行けないとしたらどこに行くのだろうか?彼はこれをツイッターでフォロワーと一緒にネタにして楽しんでいる。まずは「スズキってかっこいいよね」、翌日は「ヤマハって気持ちよさそう」。そしてこうしたすべてはモトクロスマシンの買い換えのためだったかのようにKTMについても語っている(訳注「来年のモトクロスマシンが何になるかはまだわからないんだけど、ことによったらKTMかも速そうだし。みんなはヤマハとスズキについてはどう思う?」)。注目されたいがためにこうした発言をしているのだろうか?たぶんそうだろう。しかし彼が何をやったとしても憶測はわき上がっただろう。

レディングの行き先としていちばんありそうなのはマルクVDSだ。レディングはマルクVDSで2013年のMoto2タイトルにあと一歩のところまで迫っている。そして2015年には彼のためにチームはMotoGPに参戦しているのだ。レディングのマネジャーはいまだにマルクVDSのチームマネジャーであるミハエル・バルトレミーである。つまり彼がチームに復帰するという推測もあながち根拠のないものではないと言えよう。

その場合の不安要素はレディングが結局乗りこなせなかったホンダRC213Vに再び乗らなければならないことだ。しかしこれについて言えば、少なくともホンダの供給台数の多さが問題だというわけではないはずだ。マルクVDSに対してはスズキからもサテライトのオファーが出ているが、真剣な話し合いには至らなかった。最大の問題は支援体制である。1980年代以降、スズキはいちどもサテライトチームをもっていない。つまり2台体制を組むサテライトチームにどれほど喜んで戦闘力のあるマシンを供給してくれるか甚だ疑問だということなのである。

驚きのサプライズ?

マルクVDSがホンダに残るか(たぶんそうだろう)スズキにするかは別として、誰がフランコ・モルビデリの2018年のチームメイトとなるかについては相変わらず謎のままだ。レディングは確かに候補の一人だが、チームがMoto2から誰かを引っ張ってくる可能性もある。情報源となりそうな相手は誰もが候補となるライダーについて語ろうとはしない。しかし契約があるMoto2ライダーにも可能性はある。そういう意味ではトム・ルティは除外だ。彼は中上貴晶とLCRでの2人目の座を争っているのだ。では中上か?それともペッコ・バニャイアだったりするのか?それはたぶんないだろう。しかしここまで移籍交渉がヒートアップしている状況では妄想を膨らませたくなるというものだ。

マルクVDS以外でスコット・レディングの行き先を探すとなると、かなり限定されてしまう。アヴィンティアのシートは二つとも競争の的だ。アスパーのひとつもそうだが、一方、アルヴァロ・バウティスタは残留で決まりそうだ。ロウズの抜けた代わりとしてのアプリリアへの移籍はないだろう(訳注:2017.7.17にバウティスタが残留をツイートしてます)。一方、エクトル・バルベラの今シーズンはぱっとしないのは確かだ。ドゥカティ・デスモセディチGP16からはフロントの接地感が得られないのだ。彼の今シーズンの結果は2016年に比べると惨憺たる有様である。シーズンを半分過ぎてバルベラが獲得したのはわずか21ポイント。最高位はバルセロナの9位だ。去年の今頃彼は65ポイントでランキング7位だった。トップ10に入ること7回。そして5位と6位も記録していた。

バルベラのチームメイトであるロリス・バズはかなりましだ。しかも彼が乗るのはさらに旧型のGP15である。バズはランキング15位で、バルベラからは2つ上、ポイントでは10ポイント上回っている。バズの不運はヨハン・ザルコがこのクラスにやってきたことだ。ドルナとしては彼がいればフランスの放送局と強気の交渉ができるということなのである。

レディングはアヴィンティアに移籍するのだろうか?ティト・ラバトがアヴィンティアで走るとも言われている。元Moto2チャンピオンの彼はかなりのスポンサーを連れてきてくれるのだ。ラバトはにプラマックに行くという選択肢もあった。しかしそれはドゥカティがジャック・ミラーを持ってくる前の話だ。パドックの噂ではアヴィンティアにとっての問題はラバトの金銭的要求だそうだ。しかしCRASH.netに掲載されたピーター・マクラーレンによるインタビューによれば、チームマネジャーのアウグスティン・エスコバルは「5人から6人」のライダーが候補に挙がっていて、その中には現有ライダーも含まれているとのことである。

実現しなかった契約

スズキとアンドレア・イアンノーネの今後についてはかなりの憶測が飛び交っている。公式にどんなに否定されても内部事情に通じている情報筋はチーム内の雰囲気は最低だと言っている。イアンノーネとチームの間の意思疎通は普通ではないほどうまくいっていないそうだ。そしてイアンノーネはチームからの情報提供に耳を貸さないとも言われている。彼は自分が連れてきたかなりの数の取り巻きとだけ話をしたがっており自分のライディングスタイルをスズキに合わせるための努力もしたいとは思っていないのだ。そしてスズキを自分に合わせるための努力をチームと一緒にするつもりもないということだ。労働意欲がここまで低下している上、トレーニングよりパーティーを選ぶようでは彼がチームに愛されるわけもない。

スズキの内部でも我慢が限界に達しているという確度の高い噂もある。そしてイアンノーネのシートは今MotoGPで走っていないライダーに与えられるのではないかという観測が支配的だ。しかしスズキは瞬時にそうした噂を否定してきた。スズキは2018年まで二人のライダーと契約しているのだから変更する予定は無い。それが公式見解である。その方向に話が進んでいるのはスズキの日本側の幹部の意向によるものだ。ライダーと契約して、にもかかわらず期限前に契約を破壊するというのは幹部がミスをしたということになってしまうのだ。

だからといってイアンノーネが来年も引き続きスズキと密接な関係にあるということが保証されるわけではない。もしイアンノーネが出て行きたければ契約書に途中解約に関する条項が必要だ。とは言え出て行くのも只では済まない。2018年分の数百万ドルの契約金は捨てなければならないだろう。スズキとイアンノーネはお互いに来シーズンまで縛り合っているのだ。これがうまくいくかどうかは主にイアンノーネに掛かっているだろう。
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あー、間違ったら死ぬ病…。

そんなわけでストーブリーグ表も更新。

Stove_2018_170717

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