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2017ザクセンリングMotoGP:書き切れなかったこと

MotoMatters.comより、なんですが、タイトルが示すとおり本編は別にあります。でもこっちの方が面白いのでこっちを翻訳。
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レースが開催される週末、毎度のことながら私は何かを書き忘れたり、そうでなくても書く時間がなかったりすることが多い。そんなわけでザクセンリングで行われたドイツGPについて書き漏らしたことなどを。

件のフレームについて

バルセロナテスト以降、パドックではヤマハのフレームに関する噂が乱れ飛んでいる。ヴァレンティーノ・ロッシはバルセロナでテストしたフレームのうちのひとつに夢中になっている。ところがチームメイトのマーヴェリック・ヴィニャーレスはそれほど心は奪われていない様子だ。アッセンとザクセンリングでは両者に「新型」フレームと「旧型」フレームが1台ずつ供給された(新型は去年型の発展版で、去年型そのものだと指摘する人までいる。そして去年型は2015年型に小改良を施したものである。一方「旧型」フレームは去年型をベースに新造されたもので、リアタイヤの保ちが良くなっている一方で、コーナー進入が犠牲になってしまっている)。

ヴァレンティーノ・ロッシはどちらのフレームを気に入っているか、そしてどちらを使っているかについて常にはっきり語っている。一方ヴィニャーレスはこの件に関しては明言を避け続けている。ヤマハからの箝口令がその理由だと彼は言っている。どうして一方は明言できて一方は回答を拒否するなどということが起きるのだろうか?

ヤマハは、他の日本メーカーど同様に、必要以上に秘密主義である。私たちがフレームについて質問すると彼は答える前に広報担当を見るのだ。そこからも彼がフレームについて語るのを禁じられていることが見て取れる。そしてかすかにPR担当が首を横に振るだけでヴィニャーレスは黙ってしまう。

ヴィニャーレスが語ることを禁じられているのだから、当然ロッシもそのはずだ。しかしヤマハが採れる手立てが限られていることをロッシは充分承知している。ヤマハに何ができるというのか?まさか彼をクビにするとでも?金銭的ペナルティというのもあり得るが(正直言うと私はどんなケースなら金銭的ペナルティが科せられるのか皆目わからないのだが)、しかしロッシのような大金持ちがめんどくさい雇用主からの罰金など気にするとも思えない。ヤマハはそもそもそんなことをしようとも思わないだろう。ヤマハとヴァレンティーノ・ロッシはこれからもずっと仲良くやっていくことになるのだ。彼が引退するにはまだ間があるだろうし、引退した後もずっと一緒にやっていくのだ。それが生み出す金額を考えたらフレームがらみの論争などつまらないことだろう。

ホルヘはどうする?

ホルヘ・ロレンソのドゥカティでの苦闘はまだまだ続いている。彼は死ぬ気で頑張っているのに結果は安定しない。予選は6位でウォームアップは23位。そしてセッション毎に結果はその間を行き来している。決勝ではぱっとしない11位という結果だった。チームメイトからは順位で3つタイムで5秒離されてのゴールだ。グリップの良さに助けられてもいたが、ミックスコンディション、つまり乾きつつある路面にウェットパッチが残っている状態では散々だった。彼自身、そこが最大の弱点だと認めている。なんとかしなければならないのは確かだ。それも早いところ結果を出したいところである。ブルノテストが重要になるだろう。そしてロレンソはそこで雨が降らないことを祈っていることだろう。

彼が祈っているのはそれだけではない。ドゥカティがブルノに持ち込む予定の新型カウルも重要なはずだ。ロレンソが苦しんでいるのはフロントの感触のなさであり、フロント荷重が増せば彼にとっては助けになるだろうからだ。しかし新型カウルに求められるのはすっかり忘れ去られたシュモクザメカウルより優れた性能である。ダニオ・ペトルッチとミケーレ・ピッロが来週ミザノで新型カウルをテストすることになっている。リミニで夏休みをとる予定の人がいれば、ちょっと足を伸ばしてみるのもいいだろう。

イアンノーネは進化したのか?

ホルヘ・ロレンソが抱えている問題については誰もが思索にふけっている一方、アンドレア・イアンノーネについては誰もが語りたがっているのが現状だ。イアンノーネはザクセンリングではスズキの伝説的ライダー、ケヴィン・シュワンツに散々に叩かれてしまっている。シュワンツはイアンノーネがリスクを取りたがっていないのではないか、だったらバイクはあきらめてカートでもやればいいと言い放ったのだ。イアンノーネのそれに対する返答は生意気と言っていいほどのものだった。レース後にカートの写真と共に「これからカートに乗るんだ」とツイートしたのである。


実際のところ、イアンノーネの今回の結果はこれまでより少しだけ良いものだった。トップグループにはまだまだだが、しかしクラッシュするまでの彼の走りは彼の進化のあとが見えるようだった。少なくとも努力はしているように見えたのだ。

イアンノーネとスズキのこれからが決まるにはもう少し時間がかかるだろう。ザクセンリングで私はスズキのボス、ダヴィデ・ブリヴィオと30分ほど話し込んでいる。当サイトの会員専用記事のために、ライダーの才能をどう見極めて、その上でどうやってライダーを選ぶのかについて話を聞いたのだ。ブリヴィオはスズキが契約したことのあるほぼ全てのライダーについてじっくり語ってくれた。しかし彼がほとんど言及しなかったライダーが一人いる。それがアンドレア・イアンノーネだ。どう受け取るかはあなた次第ではある。

KTMは進化している

ポル・エスパルガロはQ2に進出した。そしてエスパルガロとブラッドリー・スミスはどちらもポイントを獲得した。スミスは7台を後ろに従えてゴールしたのだ。このオーストリアのメーカーがどれほど進化しているかの証左と言えよう。

スミスもエスパルガロも指摘しているマシンの問題は一致している。曲がりにくいというのである。その結果リーンアングルが大きくなりすぎ、タイヤの消耗が激しくなる。これに手を付けられるのは来年以降だろうとの見立てだが、これはすなわちエンジンに大幅に手を着けなければならないことを示唆している。エスパルガロは現在検討中の変更(それが何かは教えてもらえなかった)が状況を改善するだろうと楽観視している。スミスはまずは新型エンジンを試してから考えたいようだ。いずれにせよそれまではフレームとサスペンションだけでどこまでできるか試すしかない。

Moto2ルーキー

誰もがトップ争い、特にフランコ・モルビデリとミゲール・オリヴェイラの争い(そしてアレックス・マルケスとトム・ルティの転倒)に注目していたが、今回のMoto2レースで最も面白かったのはルーキーの強さである。ペッコ・バニャイアが今シーズン3度目となる表彰台を獲得している(彼にとっては4回目だが、一度はマティア・パジーニがバルセロナでレギュレーション違反となるオイルを使用したため転がり込んできたものだ)が、これは彼が普通のライダーではないことを物語っている。バニャイアは他のMoto3マシンと比較して明らかに劣るマヒンドラでの経験を最大限に活かしているのだ(性能が劣るせいでマヒンドラはGPからの撤退を表明しているほどだ)。その時の苦労が報われているのだ。彼はマシン以上の走りをするやり方を身に付けたのである。

そのはるか後方ではホルヘ・ナヴァッロが6位に、ブラッド・ビンダーが7位に入っている。これもライダーの力だ。しかもビンダーは去年のテストで負った手首と腕の怪我のせいで痛みとも戦っているのである。トップ7に入ったこの3人のMoto2ルーキーは実にうまくやっており、2018年も活躍することになるだろう。

夏休み?なにそれおいしいの?

ザクセンリングが夏休み前の最後のレースである。次のレースまでは5週間。ライダーはみなやっと手にしたブルノまでの休みの間にリラックスすることができるのだ。

しかしこれから4週間半、ビーチに寝そべっていられるわけでは全くない。私が話を聞いたライダーはすべて同じことを言っていた。1週間はほとんど何もしないで過ごす。そして次の3週間はこれまで以上にきついトレーニングをする。体をつくるのだ。シーズン中にトレーニングができる時間というものは貴重なのだ。シーズン後半には連戦が待っているとなれば、体を最高のコンディションに調えておくことは非常に重要なのである。MotoGPは5週間の休みに入るが、ライダーが休めるのは1週間だけなのだ。
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アスリートに休みはないですねえ。

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コメント

アルゼンチンの最初のラップで転んだ以外は、ホルヘはDNFがないんですよね。
昨年はM1で結構あった筈ですけど。
でも、これって、やはりドカだとコーナリングで思いっきり行けてない証にもなるのかなと(゚▽゚*)
序盤速いのはホルヘの持ち味ですしね、これを生かしながら後半もペースを維持できれば良いと思いますね。

ザクセンで後方からロッシを抜き去り、ちぎって行ったマーベリックの力は、やはり間違いないでしょう。
別に二人が違うフレームを使ってもヤマハはそれに対応できるだろうし、ある面これはメディアの飯の種という感じがしないでもありません。

ノネに関しては、シュワンツ御大が話していたことに、とても納得してました。

投稿: motobeatle | 2017/07/06 10:43

いつも楽しく拝見しております。
私はホルヘのファンですが、マヒンドラで奮闘しているペッコを見て、デルビで奮闘していた頃のホルヘを思い出してからペッコのファンになりました。
群雄割拠のMoto2はライバルも多いですが、1年目で優勝してくれることを願っています。

投稿: Jacque | 2017/07/06 16:55

ホルヘはさっそくイビサでのんびりしてますな。
短いオフは普通のセーネンらしく(わ椎名誠っぽい笑)めいっぱい楽しんでほしいもんです。
それにしてもエメット御大のツゥイートが気になりますねぇ。
ブルノ前に大きな動き・・・まさかノネのことじゃ・・・

投稿: りゅ | 2017/07/07 13:37

ホルヘのスタートダッシュは相変わらず感動するくらい速いですね。
残念なのは徐々に後方へ沈んで行ってしまうことですが、、、。
やはり長年培ってきたライディングスタイルを変えるのはおいそれとはいかないでしょう。
大変な作業だと思います。
強がりなんだとは思いますが、決して弱音を吐かず、悲観的な発言をしないところが涙ぐましくて、、、、
やっぱりホルヘはやめられません(ρ_;)
後半なんとかコンスタントに表彰台に乗れるようになることを願ってます!!

投稿: たけちよ | 2017/07/10 14:12

>motobeatleさん
 夏休み前に盛りだくさんで楽しかったですね!後半どう走るか、そのヒントがアッセンにありそうです(とダリーニャが)。

投稿: とみなが | 2017/07/13 00:06

>Jacqueさん
 デルビ時代!そしてバニャイア!そういえばなんか頑張ってる感じが!

投稿: とみなが | 2017/07/13 00:08

>りゅさん
 なんか無理して楽しんでるっぽい感じもなくはないというか、義務的にトレーニングの一環として真剣に休んでいるというか、そこもホルヘらしくていいんですけどね。

投稿: とみなが | 2017/07/13 00:09

>たけちよさん
 大丈夫、ジジが「時間の問題だ」って言ってますよ!!

投稿: とみなが | 2017/07/13 00:10

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