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2017バルセロナMotoGPテスト:ヤマハのフレーム、ホンダのタイヤ、そしてストーブリーグの兆し

暑いバルセロナで再び苦しんだヤマハですが、レース後のテストには新型フレームを持ち込んでいます。MotoMatters.comより。
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レース後の月曜にテストをすることの意味はなんだろう。レースに全力を尽くした週末を終えてライダーは疲れ切っている。しかしそれを差し引いても月曜のテストから得られるものは大きいのだ。まずコースはきれいになっており、ラバーグリップも充分だ。天候はたいてい決勝日と似通っており良い比較ができる。しかしそれより何より、ライダーが既にスピードに慣れていて時間を無駄にしないで済むのである。ヨハン・ザルコの言葉がこれを良く表している。「すごく楽しんでますよ。だって感触を取り戻すために半日とか費やしなくていいんですからね。もう感触はいい感じなんです。朝起きてマシンのウォームアップが終わったらもう行ける。すぐに仕事が始められるんです。今日もそんな感じでした。良いことですよね。日曜のせいで疲れていても、マシンにまたがって300km/hで走って、最高の人生ですよ!」

さて、メーカーは何をテストしていたのだろうか。ドゥカティには何もすることがなかった。ワークスもアスパーもアヴィンティアも、みな荷造りをしてマシンを走らせることなく去って行った。ドゥカティはここの前にムジェロでテストを行い、その前はルマンでも行っている。つまりテストが必要なパーツを用意するにはまだ早いということだ。最短でも8月のブルノテストで新型カウルが出てくるくらいだろう。それがドゥカティの次の目標である。

テストに参加したチームの中で最も注目を集めていたのはヤマハだ。ワークスであるモヴィスター・ヤマハは2種類のフレームを持ち込んで来たが、月曜に試したのは1種類だけだった。ヤマハはアラゴンテストをキャンセル、延期して火曜も居残る予定なのである。

フレームへの評価はライダーによって異なる結果となっている。マーヴェリック・ヴィニャーレスの評価ははっきりしないものだった。フレームは良くはなっているが、自分の思っていた方向ではないということだ。一方、ヴァレンティーノ・ロッシはかなり熱を込めて、新型フレームは2017年型で失われていた曲がりやすさを取り戻したんだと語っている。

とは言え、2017年型フレームを選択したのはマーヴェリック・ヴィニャーレスだロッシは指摘していた。「結局早ったのはマーヴェリックで、マーヴェリックがあのフレームを気に入ってたんですよ。それにマーヴェリックの方がポイントを稼いでますしね。だから自分のことについてだけ話した方がいいでしょうね。マーヴェリックとは別のストーリーになりますから。彼はヤマハに乗ったことがないでしょ?スズキから来てこれに乗って、それがヤマハだと思ってる。でもこれまでのマシンの変化を知っている僕にしてみれば、2017年型は何かを失ってたんです」

異なる意見を持つ2人のライダー。モヴィスター・ヤマハが混乱気味だったのはモンスター・テック3のヨナス・フォルガーもテストに駆り出されたことからも見て取れる。一見しただけでは彼がテストしていたのがどちらのフレームなのかはわからなかったが、コメントから察するに2017年型のようだ。彼のコメントでブレーキングの安定性が増しているが、機動性と曲がりやすさを犠牲にしているとのことだが、これではヴァレンティーノ・ロッシが2017年型を表現するときに使った言葉と同じなのだ。フォルガーがテストしていたのは2017年型なのかとロッシにたずねてみたが、誰が何をテストしているのかまったくわからないというのが彼の答えだった。本当に知らないのか、それが真実なのか嘘なのかも、まあ気になるところではある。

ヤマハは新型カウルも持ち込んでいた。アウトレットと前面開口部が変更されていて、前のバージョンとは穴の位置が異なるものだ。効果も内部構造もかなり違うのだが外形はほとんど変わっていない。これまたメーカーがこじ開けた抜け穴の一つである。ウイングと比較したらコストはかなり高いはずだ。とは言えそれだけの効果はあって、ヴィニャーレスは接地感が高くなっていると喜んでいる。

ホンダはヤマハほどいろいろテストはしていなかった。彼らが試していたのはちょっとした改良パーツくらいなもので特筆すべきことは何もなかった。カル・クラッチローが相変わらず熱心にテストをこなしており、新型カウルで走っていた。バルセロナならカウルのテストにうってつけだが、それはこのコースの特徴のひとつにすぎない。

マルク・マルケスはミシュランの左右対称ハードタイヤのテストを行っている。当初の計画では火曜に何人かのライダーに試してもらう予定だったのだが、月曜に試すことになったライダーもいたということのようだ。マルケスはこのタイヤが気に入ったようである。「左右対称タイヤの方がはっきりと安定してますね」というのが彼のコメントだ。

テスト日の最後の15分はヴィニャーレスとマルケスの一騎打ちの様相を呈していた。ヴィニャーレスがほぼ丸一日トップタイムをキープしていたのだが、最後の最後にマルケスがトップを奪う。二人はその日の最後にまるで予選セッションのようなバトルを繰り広げながらトップの座を争っていた。最終的にマルケスがヴィニャーレスを寄り切ったのだが、この二人が後続に圧倒的な差をつける結果となっている。

スズキは大量のテストプログラムをこなしていた。そしてそのほとんどをこなしていたのがシルヴァン・ギュントーリだった。アンドレア・イアンノーネも78周をこなしていたが、ギュントーリは地味な仕事を黙々とこなしていた印象だ。様々なパーツをテストしていたが、その中には新型フレームやサスペンションが含まれていた。イアンノーネが抱えているコーナー進入の問題を解決するためだ。

アプリリアも熱心にテストに取り組んでいた。彼らはついに信頼性の問題を抱えていたパーツを突き止めたのだが、それはニューマチックバルブ周りの小さなパーツだった。既に解決済みだったと楽観視していたパーツなのだが、それは間違いだったのである。他にも電子制御、特にRTD(ライダー・トルク・ディリバリー)の改善に取り組んでいた。ライダーの右手とスロットルバタフライの関係を表現する気取って言うとこうなるのだそうだ。

アプリリアとスズキに関してはライダーのラインナップについても話が出ていた。アプリリアのボス、ロマーノ・アルベシアーノはサム・ロウズ解雇を決定したという噂を否定してはいたが、それでもロウズが良い成績を出す必要があるとは語っていた。そしてはっきりとは言わないものの、アプリリアとしてはロウズを手放した後のライダーを探し始めているということはほのめかしていた。少なくともロウズのワークスシートが安泰だとはとても言える状況ではないだろう。

ダヴィデ・ブリヴィオがアンドレア・イアンノーネの残留について語る言葉は、もっとはっきりとしていたが、納得のいく説明だったとは言いがたい。チームの雰囲気が良いことにブリヴィオは感激しているが、状況に完全に満足しているわけではない。噂ではイアンノーネにとってこれがスズキでの最後のシーズンになり、彼はアプリリアに移籍するだろうと言われている。スズキでのブレーキングではイアンノーネはグリップを引き出せず、そしてスズキチームもイアンノーネ自身にも、彼の(そして彼の取り巻きの)チームにおける態度には不満をもっているという話である。

MotoGPのストーブリーグが始まったような感じがするだろう。予想よりドラマチックなものになる可能性もある。しかし本格的なスタートはもう少し後になりそうだ。
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もうあれですよ、ストーブみたいな暑さの時期に始まるからストーブリーグでいいですよ。

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コメント

少し前、ロレンソも言ってましたけどヤマハらしいですね。
車体開発に非常に重きを置くという。
でも、そのヤマハですらへレスやカタルニアの様な状況に陥ってしまった。
本当に奥が深い。
レース後の新フレームでのテストでは良いタイムを出せたようですね。
そういえば今年、ロッシとマーベリックの対決は見れたけど、マルケスとマーヴェリックのそれは見てません。
いずれということでしょうけど楽しみですヽ(´▽`)/

投稿: motobeatle | 2017/06/14 09:25

>motobeatleさん
 そうは言ってもマーヴェリックの気持ちからは離れているフレームらしいので、これまためんどくさいことになりそうでわくわくしてますw。

投稿: とみなが | 2017/06/14 21:05

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