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ミハエル・バルトレミー(マルクVDS)インタビュー

テック3のエルヴェ・ポンシャラルやチーム・アスパーのホルヘ・マルチネスに並ぶ名伯楽になりつつあるんじゃないかと密かに思っているマルク・VDSのチームボス、ミハエル・バルトレミー(ベルギー人だからオランダ語読みのミハエルでいいよね?ベルギーはベルギーでもドイツ語圏の出身/在住であることが@ken_Sugarさんのご指摘で判明。発音は同じでOKですが。ドイツ語圏はとても小さいので忘れがち・・・と言い訳してみる)。CRASH.netの独占インタビューでモルビデリ、アレックス・マルケス、ミラー、ラバトについて愛ダダ漏れで語ってます。
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マルクVDSのMoto2そしてMotoGPのチームのトップであるミハエル・バルトレミーにアメリカズGPの行われる金曜にインタビューを行った。そこで彼はチームのMoto2パッケージの進化やランキングトップのフランコ・モルビデリとの共同作業、そして2017年以降のホンダとの契約延長の可能性について語ってくれた。

CRASH.net:マルクVDSの2人のMoto2ライダーは今シーズンどちらも良いスタートを切っていますね。オフシーズンで何か変わったんですか?

バルトレミー:まずはフランコの話からしましょう。彼は去年の後半戦からかなりいい感じでした。すごく調子がいいと自分でも思うときもあって、いいパッケージを手にしている(ヨハン)ザルコとも戦えた。しかもザルコはチーム加入2年目だった。。初年度は自分のことをじっくり考える時間がちょっとは必要ですよね。どうやってチームと一緒にやっていくか、どうやってマシンをセッティングするかとか考えてかなきゃいけない。カタールでの勝利をもたらした要素はいろいろあります。いろいろ変わりましたからね。うちはたいていザルコか(トマス)ルティに負かされていた。うちより経験のあるライダーってことですね。去年のフランコにはミスもありました。これも経験不足のせいですね。フィリップアイランドとかはやはり彼のミスが少しあって、それで経験のあるルティにやられてしまった。あとマシンも少しだめでした。ザルコとルティに比べるとトップスピードが少し劣っていたんです。これについては冬にかなり頑張りましたよ。ここ3年上手くやれなかったんですが、それはお金の問題が大きかったのと、そこまでお金を掛けるほどのことじゃないと私が思っていたからなんです。そこが今年の大きな一歩になりましたね。
 新型マシンのおかげでフランコにとってはフロントのフィーリングが良くなったようです。それにオーリンズが去年の開幕頃と比べたらかなり大きく進化している。去年の終わりにはもうかなり良くなってたんです。ヴァレンシアのレースの後のテストでかなり進化したんですよ。シーズン中にうちが開発していた新型パーツもあるんですよ。で、いつも「よし、これで来週に間に合うな」って思ったものです。でもみんな大きい会社だしいろいろ変更しなきゃならないことを抱えている。だから基本的にサスに関してはMotoGPと同じ方向に向かっていますね。思ったより時間がかかる。でもまあこうした3つとか4つの要素が合わさって今年のカタールやアルゼンチンの結果につながっているんだと思います。
 アレックス(マルケス)について言えば、やっぱりフロントのフィーリングが鍵だと思いますね。去年の最大の問題はまだマシンが重い序盤の周回だったんです。フロントのフィーリングに苦労していて、だからほとんどのクラッシュがレース序盤に起きている。新型シャーシがかなりうちの助けになっていることは間違いないですね。うちとしては2017年型の方がいいですよ。2016年型と17年型で迷ってる人もいますけどね。ルティはまだどちらがいいか迷ってる。うちのライダーは17年型の方がいいって考えています。あとアレックスについては…、私の考えでは、去年の段階ではうちと契約を継続するのか出て行くのか迷っていたように見えますね。彼のマネジメント会社もマルクVDSが契約延長の価値があるチームかどうか100%確信が持てていなかったと思います。去年の6月のある日、アレックスが電話してきて言ったんです。「このチームに残りたいんです。他の人がどう考えようが関係ない。僕は残りたいんです」ってね。これもパズルのピースの一つでしょう。彼が大人になってきたってことなんです。コース上でも違うアレックスが見られるでしょ。今日(金曜のFP1後)みたいなもアルゼンチンやカタールでも、コースに出れば戦闘モードになる。もうじっくり待っているタイプじゃない。コースに出て速さがあることを、そして誰よりも速いってことを見せつける。二人にとって今のパッケージは最高ですね。
 アルゼンチンは…私は決して言い訳をするような人間じゃないんで、あれはミスですね。あれは最終ラップで残りのコーナーは4つしかなかった。差もかなり大きかった20~30mはあった。残り4コーナーで追いつくには、もっと差が詰まっていなきゃならなかった。相手はチームメイトです。相手が誰か別のライダーならもっと冷静にやれたんでしょう。残り4周というところでフランキーにアタックをかけたのが彼のミスですね。フランキーは決勝で強いんです。レースの日は本当に手が付けられない。こうい言ってもいいですよ。アレックスはアタックを最終ラップまで待ってフランコを驚かせれば良かったんです。今回フランコはアレックスがいるのはわかっていて、しかもフランコは速かった。一方、アレックスもこのクラッシュで学ぶところがあったでしょう。金曜や土曜を思い出してみてもこのコーナーで何度も同じようにスライドしていた。でもスライドすると彼は少しスロットルを緩めて、それからまた全開にして、それで走り続けていた。でも20周も走ったタイヤで同じことをやったんですよね…。そしてスライドして、彼は同じようにできると思って、スロットルを開ける。その時彼はもう滑らないだろうと思ってたんです。で滑って転倒した。残念ですね。それがなければアメリカにもランキング1-2で来られたんです。そうなればもっと良かったんですけどね。でも実際はこういうことなので、また彼をやる気にさせないと。ここに来る前にしばらく二人といっしょに時間を作ってるんです。次のレースの目標を明確にしたタイトル争いはまだ始まったばかりですからね。獲得に向けてやっていかなきゃいけないんです。


CRASH.net:カレックスのフレームは2016年と2017年でかなり違うんですか?

バルトレミー:いちばん大きいのは新型フレームとサスがあればもうクラッシュしないって自信が持てることですね。おかげでライダーは自信が持てるようになった。全般的にマシンは良くなっています。この3年間、風洞実験をしてないんです。今年はかなり風洞でかなり時間を使っています。今日もうちのマシンがライバルより1~2km/h速かったでしょ。それが助けになるんです。あとパーツメーカーを一社変更しているんです。それでトップスピードと加速が良くなっている。Moto2ではこういう細かいことで違いが出るんです。いきなり0.5秒とか大きな違いが出るようなことはないんです。こういう細かいことを積み重ねていかなきゃならないんですよ。


CRASH.net:つまり風洞実験でマシンの空力が改善したのも今年の良いスタートの鍵だってことなんですね。

バルトレミー:そうですね。最高速が上がってますから。去年、うちのマシンはみんなにスリップストリームを取られてました。それで二つの面について主に取り組んだんです。ひとつは空力の改善でもうひとつは後ろのライダーにスリップストリームを利用させないようにすることです。ただ、両立させるのは難しいんです。風洞で空力を改善すればするほど後ろのライダーにとって良いスリップストリームができてしまう。だからどこかで妥協は必要です。うちの着地点は悪くないですね。これも新たな一歩ですし、また風洞実験をやってよかったです。3年前にスコット(レディング)とやって以来ですからね。Moto2には身長が高すぎて問題があったんでやったんです。でもまた風洞実験をやるってのは正しい判断でしたね。


CRASH.net:風洞ではライダーのポジションについても検討したんですか?

バルトレミー:風洞を使うのは凄くお金が掛かるんで、予算とかいろいろ計算しなきゃいけないんです。今回はマシンを1台送って1か月試してもらっています。だからライダー無しで実験しているんですよ。カレックスの新型空力パッケージが手元に来てからはそれも送って、1週間くらい試してもらいました。それからライダーたちと一緒に出向いて最終調整を行いました。ライダーのポジションとかそういうことの調整ですね。でも結局カレックスも風洞実験で生まれたマシンなわけですから、「うちが新型カウルやら新型フェンダーを作った」なんて言うことはできませんね。マシンのちょっとしたパーツを少しずつ調整するんです。今週末は前回より少し良くなっている。時間がかかるプロセスなんですよ。結局の所パーツは自分で作らなきゃならない。でもカレックスには渡したくないですね。彼らは他のチームのためにもそれを使っちゃうし、まあそれは当然ですからね。


CRASH.net:フランコはいつでものんびりした正確ですよね。メディアと話すときはそうなんですが、少なくとも彼がMoto2のトップライダーになってからはずっとそうなんですけど、2016年から17年にかけて彼のやり方は変わったりしています?

バルトレミー:違いには気付いてますよ。彼が変わったわけじゃなくて環境が変わったんですね。チームの中にはそれで困惑しているスタッフもいます。私はこういうことは何度も経験しているんですけど。若いライダーがチームにいて、そのライダーが勝ち始めると、みんな彼と話をしたがって、で、「なんで僕が?」って思うんです。良くある話ですよね。翌年の同じ時期にはもうみんな慣れてストレスでもなんでもなくなる。同じことはレディングでもラバトでも起こってます。だからアルゼンチンではミーティングを開いて、フランコが気に入らないことについて話をしたんです。でも私は気にならない。1か月もすればもう笑い飛ばせるようになりますよ。レースに集中しなきゃならないんです。そして彼を幸せにすることに集中したい。さっきあなたが言った通り、彼は気楽でクールな人間ですね。去年彼に言ったことがあるんです。「ねえ、いつか世界チャンピオンになりたいって思ってるの?」ってね。だっていつでもリラックスしていて気楽な感じなんですよ。それが彼のスタイルなんです。ラバトの後のモルビデリって、本当に100%正反対なんですよ。世界で一番神経質なやつと世界で一番力の抜けたやつ。彼と一緒にやるのはすごく楽しいですよ。それはありがたいですね。
 それに他にもいいことがある。マシンで何か試したいことがあったり問題があったりしても、彼はピットで愚痴を言わないんです。彼はいつでものんびりしている。物事を深刻にとらえない。コースに出ればきちんと仕事をする。彼を選んで本当に良かったですね。2015年、私は彼と一緒にやることに決めました。チームの中でも外でも色んな人がその決定に不満の意を表明していた。でも彼は特別な人間だといつでも思っていたんです。当時うちのチームに入りたいライダーはたくさんいた。でも今、私は彼を選んで正しかったと確信しています。アレックスとの契約延長も正しい判断でした。結果にはすごく満足しています。うちみたいに何年もトップランナーを二人も抱えているチームはMoto2にはそんなにありません。たいていは一人のトップライダーと、もう一人は中盤のライダーですからね。この何年かは二人のライダー共にとても良い成績を収めてくれてるんです。


CRASH.net:アレックスについてですけど、本当の能力を開花させるには何シーズンかかかるタイプなんですか?

バルトレミー:アレックスはいつでもナイフを自分の首に突きつけてるタイプなんだと思いますよ。彼がうちに来たときにはアレックス・リンスとやりあっていた。一人はチャンピオン、一人はランキング3位(訳注:2014年Moto3タイトルがアレックス、3位がリンス)。そしてアレックス・リンスの方がいい結果を出していた。そしてメディアがマルケスを殺しにかかっていたんです。兄はトップスターで、弟は苦労していた。それが現実です。最終的に僕らがチームとして彼を守り続けたんです。去年の今頃、彼のマネジメント会社が違う道に行こうとした時、私は何度も彼と話をしてました。その頃彼が電話してきて言ったんです。「僕はVDSと一緒にやるよ」。それこそ私たちが必要としていたことなんです。彼はアレックス・マルケスとしての一歩を踏み出したんです。私は彼に何度も言っている。「君の兄貴のことなんてどうでもいいと思ってる。彼はうちのためにレースをしてくれたことはないからね」。うちはプライベーターなんです。うちの総予算はことによったら彼の契約金1年分くらいかもしれない。「彼のことなんて全く眼中にないんだ。彼はレプソル・ホンダのライダーなんだよ。君がうちのライダーなんだ。メディアや周りの連中の言うことなんか気にするな。自分の仕事をしていればいつか結果は出せるんだ」。去年はそんな感じでしたね。5月か6月に全ライダーの分析をしてるんです。アレックスは本当の力を出していない。なかなか悪くない結果を出すこともある。もしすべてが上手くいけば3人の内の一人なんです。


CRASH.net:まだシーズン序盤ですが既にフランコは2018年にMotoGPにスイッチするという噂が出ています。それはマルクVDSでってことですか?

バルトレミー:フランコと契約した時にMoto2で2年、MotoGPで2年うちで走るってことに決まってるんです。ただしワークスチームでワークスマシンに乗る場合は例外になってます。もしタイトルが獲れたら彼にMotoGPマシンを提供しなきゃならないことはわかってます。これはうちの哲学で、MotoGPを頂点にMoto3チームからスペインで走ってる子供たちまでをピラミッドにするんです。ティトをMotoGPで走らせたのと同じですね。何百万も稼ぐ男を惹きつけることができないってのはわかってるんですよ。うちはプライベーターですから。外から見たらうちはマルクVDSとエストレア・ガルシアによる巨大プロジェクトに見えるでしょうけど、予算は限られている。予算の範囲内でやってかなきゃならないんです。Moto2でタイトルを獲って、そのライダーをMotoGPに連れて行く、そういう未来のライダーを育てていくのがうちのやり方なんです。そしてMotoGPでは最高の走りができるようにサポートして、いつかそのライダーがワークスに行く。それがうちのやるべきことだと思うんです。私の考えではタイトルが獲得できたら当然次の年はMotoGPで走らせたいんです。


CRASH.net:つまりフランコがタイトルを獲れるかどうかにかかっていると?

バルトレミー:それはライダーがライダーのマネジメント会社と話していることですね。うちと話していることじゃないんです。契約では彼がもう一年Moto2で走りたいならうちに残留することになっています。他のMoto2チームには移籍できない。契約はかなりかっちりしていて、でも選択の余地はある。もし彼が「OK、ランキング3位だったんで来年はタイトルを狙いたい」って言えば、来年もうちでMoto2を走ることができます。もし「OK、もう昇格の時期だ」って言えばうちが供給できる最高の機材でMotoGPを走らせます。


CRASH.net:いま走らせてるMotoGPライダーはどうなるんですか?

バルトレミー:マルクVDSチームが全てを決めることができるんです。ジャック・ミラーはHRCのライダーですからね。カタールでホンダとミーティングをやって将来の話をしています。HRCとの契約が今年で終わりなんです。3年契約だったんで。こちらからは是非継続したいって言ってます。外から見る限りかなりまくいきそうですね。でもこの「ジャック方式」についても話をしているんです。今は状況がどうなってるか確認しているところなんです。うちからホンダには「ジャックに対してこちらから来年のオファーを出すのはずるいと考えている」って伝えてあります。だって彼はうちのパートナー企業であるHRCの契約ライダーですからね。ホンダはジャックと契約を更新するかどうか決めるまでにはもう少し時間が欲しいって言ってます。彼と契約しないと言われれば、うちからオファーを出すこともできる。これが今の状況です。でもうちとしてはまずホンダを尊重したい。で、ホンダは「まだどうするかわからない」と言ってるので、こっちは待ってるところです。状況を見守る立場ですからね。私がやりたくないのは、こっちから彼のマネジメント会社にオファーを出すことですね。で、彼らがホンダに行って「ねえ、バルトレミーがうちにオファーを出してきましたよ!」って言うことなんです。そこははっきりしているので、こちらからはそっちで決めてくれと言ってるんです。もしジャックとホンダがそのまま行くとなったら、それが最高ですね。もしそうじゃなければうちが彼とやっていくかどうか決めることになる。それが正しい交渉のやり方ってものなんです。それが正しい取引ってものなんですよ。もちろん彼は能力があると思ってます。ちゃんとやれる。やれないわけがない。彼をマルクVDSのライダーと呼ぶのはまだ時期尚早ですけどね。これは彼と彼のマネジメント会社とホンダ次第なんです。彼らが決めなきゃならないことなんですよ。


CRASH.net:スケジュールはどうなってるんですか?いつ頃になったらホンダとこうしたことについて同意できるんでしょう?

バルトレミー:来月ぐらいにはホンダは決めるんだと思いますよ。5月の終わりくらいですね。そこを過ぎるとちょっと時間的にきつくなるんで、そこまでに決まるならありがたいですね。


CRASH.net:マルクVDSとホンダの契約更改はどんな状況なんですか?HRCとやっていくのが最優先なんでしょうか?

バルトレミー:来年ホンダとどうなるかははっきりしてないんです、ミーティングではこちらからはホンダが第一選択だと言ってるんですが。こちらとしては契約を続けたい。実際むこうも同じことを言ってくれてます。契約を続けたいって言ってもらってるんですけど、まだいろいろ決めなきゃならないことがあるんだそうです。例えば予算とかですね。ホンダの予算年度は3月締めなんです。だから彼らと話したのは昨年度のことになるんですね。3月20日くらいだったかな。だから4月なるまではいろんな計算ができないのは普通のことなんです。つまりまずうちはホンダと話してるってことです。ホンダの結論が出るまではどのメーカーとも交渉はしませんよ。他のメーカーからもアプローチは受けてます。彼らも会いたがってはいるんですが、こちらからはホンダの結論を待ってくれって言ってるんです。ホンダがうちとやっていきたいかどうか確認したいってね。それからなら話ができる。ホンダの返答次第ですね。
 そういうのって良いやり方じゃないのかもしれません。今はみんなパドックの誰とでも交渉を同時にする時代ですからね。それで混乱が大きくなる。でも、うちとしてはいつも正直にやっていきたいし、ずるはしたくないんです。最終的に決めるのはホンダです。でもマルクVDSは魅力的でないチームじゃないですから。財政的にはパドックでいちばんの金持ちというわけじゃないですけど、ちゃんと請求書通りにお金は払っている。Moto2のプログラムはすごくいいし、メーカーにライダーを供給することもできる。ホンダも将来のことを考えなきゃならないですしね。いつかはマルクもいなくなる。ダニは最年少というわけじゃ全然ない。カルももう若くはない。確かにヴァレンティーノは38歳ですけど、今必要なのは21歳とか22歳のライダーでしょう。そしてそのための最高の学校がマルクVDSなんです。うちは育てることができる。ホンダにとってはうちのパッケージも魅力的なはずです。でも決めるのは向こうですからね。カードは向こうが持っている。ホンダがまず何をオファーするのか決めなきゃならない。こちらとしては技術的な要素も大事なんです。お金の問題だけじゃないんですよ。技術的な部分については、最低でも今年レベルのものは必要です。同じくらい重要なことなんです。ホンダが何を考えていて、どう決めるのか、楽しみに待ちたいです。


CRASH.net:ジャックについても同じようなスケジュール感なんですか?5月の終わりには決まる?

バルトレミー:ええ、そう思います。私の見立てではマシン供給の方が先に決まるでしょうね。それから1レースか2レース、ジャックのレースを確認してから決めるんでしょう。マシンについては日本の本社側で、ライダーについてはイタリアのチーム側で決めるんじゃないんでしょうか。まあ私の感触ですが。


CRASH.net:あなたが2017年(訳注:おそらく2018年の間違い)もホンダでやってる可能性はどれくらいだと思います?

バルトレミー:彼ら次第ですね。カタールでミーティングはしています.チームオーナーもいて、彼はこれからも一緒にやっていきたいと言ってくれました。うちの体制は、まあ内部的には決まってるんです。2021年まではMotoGPをやることが決まっている。内部的にはそう決まってます。そこから先はわからないですけどね。今はどのメーカーがうちに最高のパッケージを供給してくれるか待っているところで、現時点ではホンダが最優先です。でも私が決めることはでいない。向こうが決めるんです。


CRASH.net:ジャックがHRCとの契約を延長できなかったらその穴はどう埋めるんですか?

バルトレミー:確かに今はジャックのおかげで財政的に助かってるのは事実です。でもぜんぶ無料で済んでるわけじゃないんですよ。ライダーの契約金を払うとしたら、それはもちろん今より費用増にはなります。でも何百万も積まなきゃならないわけじゃない。こっちはバイクにバカ高い金額を払ってるんです。こっちが顧客なんですよ。ルーチョと同じでね。確かにジャックはHRCのライダーですけど、それ以外はこっちでちゃんとお金を払ってるんです。


CRASH.net:ティトの状況についてはどうなんでしょうか?

バルトレミー:彼も進歩していることをわかってます?もう去年と同じじゃないんです。ジャックもティトも進歩している。これまで2レースやってますけど、2回ともジャックはトップ10でフィニッシュしてますし、ティトもポイントを獲得している。だから去年より良くなっているんです。マシンも良くなっている。マシンは去年よりいろんな部分で良くなってるんです。まだ改良の余地はありますよ。そりゃヤマハほど乗りやすいパッケージじゃないのは事実ですから。ティトの実力もこんなもんじゃない。彼はまだ上にいけるんです。彼ほど気持ちの強い男はいませんよ。あんな奴は他にはいない。彼は本当に根っからのバイク気狂いなんです。彼が興味を持つのはバイクだけなんですよ。彼がやってること以上なんてできやしないです。
 タイヤがたれてきたりマシンが軽くなってきたときにどうやって乗るか、どうやって操るかをゆっくりと学び始めた所なんだと思ってます。だんだんそれが楽にできるようになってきている。今日(アメリカズGPの金曜)とか見てみればわかりますよ。彼は自分に腹を立てている。でも(FP1の)最後の10分は9番手にいた。彼がうちのチームでMotoGPを走り始めてから金曜午前としては最高の順位です。でもまだ彼は不満なんです。まだ自分がだめだと思ってる。私に言わせればティトの最大の問題はMoto2の時からそういうところが変わっていないということですね。彼はいつも自分のことしか考えられない。自分で、自分だけでなんとかできると思ってるんです。でもMotoGPはMoto2とは違うんです。あんまり攻めすぎるとタイムは落ちてしまう。そう言い聞かせてマシンに乗ったらリラックスするように教えてます。もっとマシンと語り合えってね。マシンと話さないとだめなんです。自分のやりたいことをマシンにやらせられるわけじゃない。それじゃ絶対だめなんです。トップライダーは激しい走りでマシンに言うことを聞かせてるように見えますけど、本当はすごくスムーズに走ってるんです。自分が何をやってるか完璧に把握している。それがこちらの最大の問題ですね。うまくいかなかったり、ピットに戻ってP17って表示を見たりすると、ティトは必要以上に反応しすぎてかえってタイムが悪くなる。アウトラップがいちばん速かったりするんでよ。ラップタイムを気にしてないからなんです。いまそこに取り組んでいるところなんです。
 ティトは簡単な人間じゃないんです。Moto2の時から変わってないですね。彼なりのリズムがあるんです。地元のアルメリアでは1日10時間もバイクに乗らないと気が済まない。そういうときは速く走れる。でもMotoGPマシンでそれを再現できないんです。Moto2の時はもっと楽にできた。MotoGPだとレースの時かテストでしか走れない。でも10万周も走っても何の役にも立たないこともあるんです。今は彼に「家で6日過ごすなら3日はバイクに乗らないで」って言ってるんですけど、強制はできない。頭の切り替えがうまくできれば再びマシンにまたがったときにもっと良い結果が出せるんですけどね。いま彼も少しずつわかり始めてるようです。こんなことも言ってます。「この3日間で0.2秒も速くなってる」。それはリフレッシュしてストレスがなくなったからなんです。さっき言った通り、彼は神経質で、その反対がフランキーなんです。
 ティトをコントロールするのはたいへんですよ。でもまだ私は彼のことが好きですよ。彼はすごく正直なんです。ティトは絶対うそをつかない。彼は「マシンに赤ランプがついたからスローダウンしたんだ」とか絶対言わないんです。そんなことは絶対ない。いつも自分のせいにするんです。毎日「なんでそうしたのか?」って話をしてます。自分のやってることをもっと気軽に受け止めてほしいからですね。でもアルゼンチンを見てください。12位でしたよね。満足してますよ。順位だけじゃなくて、4人でのバトルに勝てたからです。彼は戦えるところまできた。もう一人で最後尾を走るライダーなんかじゃないんです。これは彼にとって大事なことですね。だって何より彼は世界チャンピオンなんですから。彼はMoto2でシーズンのほぼ全レースを勝ったライダーなんです。つまんないライダーなんかじゃない。彼はバイクの乗り方を知っている。うちのマシンが他のマシンより乗りにくいだけなんです。対応には時間が必要なだけなんですよ。
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めっちゃいい人!めっちゃいいインタビュー!

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