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MotoGPインタビュー:ヨハン・ザルコ

今年からテック3でMotoGPに参戦しているザルコですが、ヤマハYZR-M1の完成度の高さと乗りやすさもあってフォルガーと共に驚くような成績を挙げています。そんなザルコへの独占インタビューをCRASH.netより。
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デビュー早々からの電光石火のスタートで周りを驚かせているヨハン・ザルコ。Moto2タイトルを2度獲得した彼にアルゼンチンGPの決勝前夜、CRASH.netがインタビューを行った。彼はカタールでのパフォーマンスやMoto2タイトル防衛ときのプレッシャー、そしてヴァレンティーノ・ロッシやマーヴェリック・ヴィニャーレスのデータから学んだことについて語ってくれている。

CRASH.net:カタール開幕戦ではたくさんの人を驚かせましたね。あれから1週間、自分の走りを分析してみてどんなことを思いましたか?

ザルコ:分析してみましたよ。周りも驚いたでしょうが、僕自身も驚いたんですよ!データを分析してもかなり状況がいい感じですし。今年はチャンピオン争いをするつもりなんてありませんし、あんな風にレースを引っ張るなんて開幕戦も考えてもいませんでした。まあ6周で終わっちゃいましたけど、それでもトップで走りましたしね、自信はつきますよ。気持ちの上でもね。あんなことができるってわかったし、実際できた。モチベーションが凄く上がりますね。なのでまた同じような状況で走りたいですね。今度はもっとうまくやれると思うんです。


CRASH.net:2連覇したMoto2時代ではレース序盤は着実に走って、最後に向けて速さが増していくのがいつものやり方でした。カタールではスタートから爆発的に早かったですけど何が変化したんですか?

ザルコ:そこは自分でもまだわかんないんです!ソフトタイヤが効いていたのは間違いないですね。ライバルよりも僕の助けになったんです。あとプレッシャーが全然なかったのも原因かもですね。去年のMoto2とは違ってね。おかげで速く走れたんです。タイトル争いやポイント獲得を考えたら良くないんですけど、プレッシャーはなかった。自分が速く走れないかもってことだけが怖かったんです。でもちゃんと他のライダーより速く走れるところをみせられた。確かに今回のはいつもの僕のスタイルじゃない。もちろん悪くはないことですよ。こういう走りができるのもいいと思うんです。将来に向けて選択肢が増えるわけですから。


CRASH.net:スタートがずるずる遅れていったのにずっと冷静でしたね。ライダーの中には、例えばホルヘ・ロレンソみたいにこういう自体に対処するためのメンタルトレーニングをする人もいますが、あなたはどうやってトレーニングしてるんですか?

ザルコ:さっきった通り去年は連覇を狙っていてプレッシャーが大きかったんです。ずっとプレッシャーを感じ続けていて、プレッシャーと一緒に生きていかなきゃならなかった。それと比べたらグリッドでちょっと長く過ごすくらい大したことじゃないですよね。冷静さを保つ必要はありましたけど、もともと神経質な方じゃないし、だから集中を保てたんです。


CRASH.net:オフシーズン中にヤマハM1に合わせてライディングスタイルを大きく変えたりしたんですか?

ザルコ:ヤマハのマシンに乗れてラッキーでしたね。基本的にヤマハはルーキーに優しいマシンなんです。僕ら二人、僕とヨナスにとってね。だからうまく慣れることができる。いろいろ変えなきゃならないことはあるし、でもヴァレンシアテストの時からマシンのポテンシャルは感じていたのでまずは時間をかけて理解していくことが必要ですね。カタールでここまで走れたのは驚きでしょうけど。自分が予想以上に速く学習してるってことなんでしょう。だからこのペースで攻め続けて行きたいですね。


CRASH.net:このマシンについて何が最大の学習ポイントですか?

ザルコ:最大の学習ポイントが何かってのは言いにくいですね。まだ自分自身を適用させるのとチームに慣れるのに精一杯なんです。考えなきゃならないことがいろいろあるんですよ。仕事のやり方に合わせて自分を変えていくんです。


CRASH.net:カタールでの最終テストでチームメイトが3日目に2番手タイムを記録したときには、彼の方がマシンの限界を出す方法をよりうまく学んでいるとおっしゃっていました。しかも特に気に障っているようでもなく言っていたんですけど、これってライダーとしては珍しいことですよね。これは自分の弱点を認識した上で受け入れるという経験のなせるわざなんですか?

ザルコ:だと思います。バイクについて学んでいるところですからね。そでもすごい高いレベルで毎週学べるんです。おかげで人間としても成長できてるんだと思います。それで、みんながバイク好きだって思えるようになってる。だからもし彼が僕より速いのなら、それはそれで喜ぶべきことなんです。彼はいい奴ですしね。自分より彼が速いからって頭に来たところで自分が速くなるわけじゃない。だったらポジティブでいた方がいいですよね?


CRASH.net:ヴァレンティーノやマーヴェリックのデータは見られるんですよね。彼らが何をやってるか見て驚くようなことはありましたか?

ザルコ:ええ、データとか見られるんですよ。自分のスタイルを彼らと比べてみました。あの二人がどれほどうまくマシンをコントロールしてるか見られるだけでも凄い体験ですね。ラップを重ねて行けば彼らみたいにマシンをコントロールできるようになっていくとは思います。でもそうですね、何に驚いたって、彼らがコンピュータみたいだってことですね。マシンのあらゆる挙動を予測してるんです。あと乗り方も変えながらうまく適応している。だからいつか彼らのように乗れるようになるのも楽しみだし、経験を積めばそこまでいけるじゃないかと楽しみですね。


CRASH.net:それはグリップの変化やガソリンの量に合わせてライディングポジションを変えていったりとか、そいういうことですか?

ザルコ:ええ、そうですね。あとスロットルコントロールとかブレーキングとかフロントとリアとかですね。結局この4つ、スロットル、フロントブレーキ、リアブレーキ、ギアでマシンをコントロールするんです。この4つについては彼らはもう自動的にやっている。僕はまあそうなりつつありますけど、彼らのようになるにはまだ成長しないといけないですね。


CRASH.net:タイトルを2回獲得してますが、2015年と2016年のどちらの方が嬉しかったですか?

ザルコ:両方ですね。確かに普通はあれだけ長いとこ待ち望んだチャンピオンを獲ったんだから最初のタイトルだと思うのかもしれませんけど、2回目はプレッシャーが凄かったですからね。ほんとうにきついこともありました。みんな僕が勝って当然だと思っていて、その中で駆った。だからどっちのタイトルも嬉しかったですし、でもそこで体験したことは全然違うんです。


CRASH.net:16年のタイトル防衛ではほんとうにプレッシャーを感じていたんですね。

ザルコ:ええ。タイトル獲得に向けてのアドバンテージもそれほどなくて、だからプレッシャーもきつかったですね。2015年はほとんど毎戦他ポイント差を広げていった。ランキング2位のライダーとの差をつけられたんです。2位のライダーもいつも入れ替わっていたし。ティト(ラバト)の次は(アレックス)(リンス)で、(トマス)ルティも時々2位になっていた。でも僕はずっとトップでした。ポイント差は1ポイントから10ポイントになって、その後はポイント差がもっと大きかった。でも2016年は違ったんです。


CRASH.net:最近フランスでの報道も増えて注目されるようになってきて、人生が変わってきたと感じますか?

ザルコ:2度目のタイトルでもっと注目を集めるかと思ってたんですけど、そうでもなかったですね。残念なことですけど、おかげで生活は変わらないままです。どこでも思いのままに生きていける。そういう意味では前からうまくやれてるんです。僕が2度目のタイトルを獲ってもあまりみんな注目しなかったんで、「MotoGPでもこんなんだったらどうしよう」って思い始めてました。もしMotoGPで最速になったらフランスでもバイク談義が盛んになると思ってるんです。そうなるんじゃないかって気がしてきてるところですけどね。だってMotoGPで6周トップを走っただけで、僕が2度目のタイトルを獲った時よりみんなバイクの話をするようになってますから。


CRASH.net:アキ・アジョのチームでMoto2を走っている時、チームの雰囲気がすごく大事だといつも言っていました。チームの雰囲気が重要っていうのは…

ザルコ:僕にとってもコーチにとってもチームのスピリットがとても大事なんです。アキとはすごくうまくやれていた。オーストラリアのテストでコーチ(原注:ザルコのマネジャーでもあるローラン・フェロン)も感じていたんですけど、今のチームもすごくいい雰囲気ですね。開幕前でしたけど良いチームにいるんだなあって思えたんです。完璧としか言いようがない。あとは楽しむだけですね。


CRASH.net:フランスのチームで走るというのもチーム移籍を楽にしてますか?

ザルコ:ええ、それは思ってもみませんでしたけど、その通りですね。お互いに前から知り合いでしたし。一緒に仕事したことはなかったですけどね。一緒にやりはじめてみて、なんか前からずっと知ってるみたいな感じでした。


CRASH.net:去年のはじめころはスズキとMotoGP契約ができているように見えたのですが、何があったんでしょうか?

ザルコ:2017年にスズキで走れるという契約ではなかったんです。シーズン中にいろいろ準備してテストもやるってだけでした。結局彼らはリンスを選んだ。でも実際に走ってみて、チームのこともわかってきたいま、良かったんだと思います。ぼくによっては良い方に転がりましたね。


CRASH.net:そもそも今年スズキで走るという目はなかったと言うことですか?サテライトの可能性もなかった?

ザルコ:それはわからないです。そういう話はしていないので。マネジャーがやってくれてますし、彼のことは信頼していますから。


CRASH.net:自分の土地のコースで若手とトレーニングしているのが今でも強い秘訣だとロッシはいつも言っています。あなたもフランス人ライダーのためにレーシングスクールを開催してますけど、これは何かの役に立ってますか?

ザルコ:彼らは(僕と競争するには)まだ若すぎますよ!ロッシについて言えばもう世界選手権レベルのライダーを連れていていて、だから競争でもできる。僕の方は6歳から12歳のライダーで、まだちょっと戦うって年齢じゃないですよね。でも彼らをコースで見ているといろいろわかってくるし、ライディングスタイルの比較もできる。MotoGPやMoto2、Moto3でコースの外から見ているときに今まで気付かなかったことに気付くことがある。だから自分が成長するのにはいいのかもですね。


CRASH.net:レーシングスクールを開催する最大の動機はなんですか?

ザルコ:コーチは僕を個々までのレベルにするのに凄い労力を注いでくれたんです。その彼が「ザルコとここまでやれたんだから、次は一緒に別のライダーを育てよう」って言うんです。そうやっていろんなやり方やレースの方法を伝えていくんです。


CRASH.net:カタールでこれからのシーズンの見方が変わりましたか?今シーズンどこまでやれるか、ということですが。

ザルコ:目標はルーキー・オブ・ザ・イヤーです。そのためにはトップ10に入らないといけないですね。でも開幕戦を終わってみて、トップ6でもいいかなって思うようになりました。だからアルゼンチンの結果しだいですね。
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アルゼンチンではトップから15秒差も5位ですからね。大したものです。

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コメント

去年のスペインの悲しい出来事の後、プレカンで男気を見せたザルコがとても印象に残ってます。
あと、やっぱりヤマハはとっつき易いマシンなんでしょうね。
対してホンダは、なかなかそういう話を聞かないですね。
ドゥーハンが丁寧に仕上げたNSRの時代は遠い過去のことなんでしょうか?
ドカはWSBの時は、そんなに悪い噂はなかったような、、、。

投稿: motobeatle | 2017/04/17 20:10

>motobeatleさん
 でもホンダっていっつもそうですからね。巨摩郡の時代から…。

投稿: とみなが | 2017/04/21 22:55

巨摩郡!ww
確かにこういう記事読むと、今更ながらにやっぱグンはHONDAでなければいけなかったのだ、とか思ったり。

カンケーない話でスマヌですけど、「バリ伝」連載当時って私の仲間内ではコミック誌の購買担当誌が決まっていて笑。
基本回し読みだったんですよね(ビンボーだったから!?)
で、私の担当は少年マガジン(なんでやねん)。バイクはもっぱらモンキーか後ケツだったけど、バリ伝はご多分に漏れずよく読みました・・・

投稿: りゅ | 2017/04/23 12:47

>りゅさん
 バリ伝はもうバイブルですね。でもあいつとララバイには行かなかったのです。ペリカンロードもちょっと好きでしたが、いちばん好きなのは万歳ハイウェイ…。

投稿: とみなが | 2017/04/26 22:29

はは~ん
ということはとみながさまにとっての『ゴロー』は
けして『北の国から』ではなく『万歳ハイウェイ』というこってすな?

投稿: りゅ | 2017/04/27 21:41

>りゅさん
 北の国からは見たことがないのですw。なのでゴローちゃん一択。

投稿: とみなが | 2017/04/28 23:32

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