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ミハエル・バルトレミー(マルクVDS)インタビュー

テック3のエルヴェ・ポンシャラルやチーム・アスパーのホルヘ・マルチネスに並ぶ名伯楽になりつつあるんじゃないかと密かに思っているマルク・VDSのチームボス、ミハエル・バルトレミー(ベルギー人だからオランダ語読みのミハエルでいいよね?ベルギーはベルギーでもドイツ語圏の出身/在住であることが@ken_Sugarさんのご指摘で判明。発音は同じでOKですが。ドイツ語圏はとても小さいので忘れがち・・・と言い訳してみる)。CRASH.netの独占インタビューでモルビデリ、アレックス・マルケス、ミラー、ラバトについて愛ダダ漏れで語ってます。
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マルクVDSのMoto2そしてMotoGPのチームのトップであるミハエル・バルトレミーにアメリカズGPの行われる金曜にインタビューを行った。そこで彼はチームのMoto2パッケージの進化やランキングトップのフランコ・モルビデリとの共同作業、そして2017年以降のホンダとの契約延長の可能性について語ってくれた。

CRASH.net:マルクVDSの2人のMoto2ライダーは今シーズンどちらも良いスタートを切っていますね。オフシーズンで何か変わったんですか?

バルトレミー:まずはフランコの話からしましょう。彼は去年の後半戦からかなりいい感じでした。すごく調子がいいと自分でも思うときもあって、いいパッケージを手にしている(ヨハン)ザルコとも戦えた。しかもザルコはチーム加入2年目だった。。初年度は自分のことをじっくり考える時間がちょっとは必要ですよね。どうやってチームと一緒にやっていくか、どうやってマシンをセッティングするかとか考えてかなきゃいけない。カタールでの勝利をもたらした要素はいろいろあります。いろいろ変わりましたからね。うちはたいていザルコか(トマス)ルティに負かされていた。うちより経験のあるライダーってことですね。去年のフランコにはミスもありました。これも経験不足のせいですね。フィリップアイランドとかはやはり彼のミスが少しあって、それで経験のあるルティにやられてしまった。あとマシンも少しだめでした。ザルコとルティに比べるとトップスピードが少し劣っていたんです。これについては冬にかなり頑張りましたよ。ここ3年上手くやれなかったんですが、それはお金の問題が大きかったのと、そこまでお金を掛けるほどのことじゃないと私が思っていたからなんです。そこが今年の大きな一歩になりましたね。
 新型マシンのおかげでフランコにとってはフロントのフィーリングが良くなったようです。それにオーリンズが去年の開幕頃と比べたらかなり大きく進化している。去年の終わりにはもうかなり良くなってたんです。ヴァレンシアのレースの後のテストでかなり進化したんですよ。シーズン中にうちが開発していた新型パーツもあるんですよ。で、いつも「よし、これで来週に間に合うな」って思ったものです。でもみんな大きい会社だしいろいろ変更しなきゃならないことを抱えている。だから基本的にサスに関してはMotoGPと同じ方向に向かっていますね。思ったより時間がかかる。でもまあこうした3つとか4つの要素が合わさって今年のカタールやアルゼンチンの結果につながっているんだと思います。
 アレックス(マルケス)について言えば、やっぱりフロントのフィーリングが鍵だと思いますね。去年の最大の問題はまだマシンが重い序盤の周回だったんです。フロントのフィーリングに苦労していて、だからほとんどのクラッシュがレース序盤に起きている。新型シャーシがかなりうちの助けになっていることは間違いないですね。うちとしては2017年型の方がいいですよ。2016年型と17年型で迷ってる人もいますけどね。ルティはまだどちらがいいか迷ってる。うちのライダーは17年型の方がいいって考えています。あとアレックスについては…、私の考えでは、去年の段階ではうちと契約を継続するのか出て行くのか迷っていたように見えますね。彼のマネジメント会社もマルクVDSが契約延長の価値があるチームかどうか100%確信が持てていなかったと思います。去年の6月のある日、アレックスが電話してきて言ったんです。「このチームに残りたいんです。他の人がどう考えようが関係ない。僕は残りたいんです」ってね。これもパズルのピースの一つでしょう。彼が大人になってきたってことなんです。コース上でも違うアレックスが見られるでしょ。今日(金曜のFP1後)みたいなもアルゼンチンやカタールでも、コースに出れば戦闘モードになる。もうじっくり待っているタイプじゃない。コースに出て速さがあることを、そして誰よりも速いってことを見せつける。二人にとって今のパッケージは最高ですね。
 アルゼンチンは…私は決して言い訳をするような人間じゃないんで、あれはミスですね。あれは最終ラップで残りのコーナーは4つしかなかった。差もかなり大きかった20~30mはあった。残り4コーナーで追いつくには、もっと差が詰まっていなきゃならなかった。相手はチームメイトです。相手が誰か別のライダーならもっと冷静にやれたんでしょう。残り4周というところでフランキーにアタックをかけたのが彼のミスですね。フランキーは決勝で強いんです。レースの日は本当に手が付けられない。こうい言ってもいいですよ。アレックスはアタックを最終ラップまで待ってフランコを驚かせれば良かったんです。今回フランコはアレックスがいるのはわかっていて、しかもフランコは速かった。一方、アレックスもこのクラッシュで学ぶところがあったでしょう。金曜や土曜を思い出してみてもこのコーナーで何度も同じようにスライドしていた。でもスライドすると彼は少しスロットルを緩めて、それからまた全開にして、それで走り続けていた。でも20周も走ったタイヤで同じことをやったんですよね…。そしてスライドして、彼は同じようにできると思って、スロットルを開ける。その時彼はもう滑らないだろうと思ってたんです。で滑って転倒した。残念ですね。それがなければアメリカにもランキング1-2で来られたんです。そうなればもっと良かったんですけどね。でも実際はこういうことなので、また彼をやる気にさせないと。ここに来る前にしばらく二人といっしょに時間を作ってるんです。次のレースの目標を明確にしたタイトル争いはまだ始まったばかりですからね。獲得に向けてやっていかなきゃいけないんです。


CRASH.net:カレックスのフレームは2016年と2017年でかなり違うんですか?

バルトレミー:いちばん大きいのは新型フレームとサスがあればもうクラッシュしないって自信が持てることですね。おかげでライダーは自信が持てるようになった。全般的にマシンは良くなっています。この3年間、風洞実験をしてないんです。今年はかなり風洞でかなり時間を使っています。今日もうちのマシンがライバルより1~2km/h速かったでしょ。それが助けになるんです。あとパーツメーカーを一社変更しているんです。それでトップスピードと加速が良くなっている。Moto2ではこういう細かいことで違いが出るんです。いきなり0.5秒とか大きな違いが出るようなことはないんです。こういう細かいことを積み重ねていかなきゃならないんですよ。


CRASH.net:つまり風洞実験でマシンの空力が改善したのも今年の良いスタートの鍵だってことなんですね。

バルトレミー:そうですね。最高速が上がってますから。去年、うちのマシンはみんなにスリップストリームを取られてました。それで二つの面について主に取り組んだんです。ひとつは空力の改善でもうひとつは後ろのライダーにスリップストリームを利用させないようにすることです。ただ、両立させるのは難しいんです。風洞で空力を改善すればするほど後ろのライダーにとって良いスリップストリームができてしまう。だからどこかで妥協は必要です。うちの着地点は悪くないですね。これも新たな一歩ですし、また風洞実験をやってよかったです。3年前にスコット(レディング)とやって以来ですからね。Moto2には身長が高すぎて問題があったんでやったんです。でもまた風洞実験をやるってのは正しい判断でしたね。


CRASH.net:風洞ではライダーのポジションについても検討したんですか?

バルトレミー:風洞を使うのは凄くお金が掛かるんで、予算とかいろいろ計算しなきゃいけないんです。今回はマシンを1台送って1か月試してもらっています。だからライダー無しで実験しているんですよ。カレックスの新型空力パッケージが手元に来てからはそれも送って、1週間くらい試してもらいました。それからライダーたちと一緒に出向いて最終調整を行いました。ライダーのポジションとかそういうことの調整ですね。でも結局カレックスも風洞実験で生まれたマシンなわけですから、「うちが新型カウルやら新型フェンダーを作った」なんて言うことはできませんね。マシンのちょっとしたパーツを少しずつ調整するんです。今週末は前回より少し良くなっている。時間がかかるプロセスなんですよ。結局の所パーツは自分で作らなきゃならない。でもカレックスには渡したくないですね。彼らは他のチームのためにもそれを使っちゃうし、まあそれは当然ですからね。


CRASH.net:フランコはいつでものんびりした正確ですよね。メディアと話すときはそうなんですが、少なくとも彼がMoto2のトップライダーになってからはずっとそうなんですけど、2016年から17年にかけて彼のやり方は変わったりしています?

バルトレミー:違いには気付いてますよ。彼が変わったわけじゃなくて環境が変わったんですね。チームの中にはそれで困惑しているスタッフもいます。私はこういうことは何度も経験しているんですけど。若いライダーがチームにいて、そのライダーが勝ち始めると、みんな彼と話をしたがって、で、「なんで僕が?」って思うんです。良くある話ですよね。翌年の同じ時期にはもうみんな慣れてストレスでもなんでもなくなる。同じことはレディングでもラバトでも起こってます。だからアルゼンチンではミーティングを開いて、フランコが気に入らないことについて話をしたんです。でも私は気にならない。1か月もすればもう笑い飛ばせるようになりますよ。レースに集中しなきゃならないんです。そして彼を幸せにすることに集中したい。さっきあなたが言った通り、彼は気楽でクールな人間ですね。去年彼に言ったことがあるんです。「ねえ、いつか世界チャンピオンになりたいって思ってるの?」ってね。だっていつでもリラックスしていて気楽な感じなんですよ。それが彼のスタイルなんです。ラバトの後のモルビデリって、本当に100%正反対なんですよ。世界で一番神経質なやつと世界で一番力の抜けたやつ。彼と一緒にやるのはすごく楽しいですよ。それはありがたいですね。
 それに他にもいいことがある。マシンで何か試したいことがあったり問題があったりしても、彼はピットで愚痴を言わないんです。彼はいつでものんびりしている。物事を深刻にとらえない。コースに出ればきちんと仕事をする。彼を選んで本当に良かったですね。2015年、私は彼と一緒にやることに決めました。チームの中でも外でも色んな人がその決定に不満の意を表明していた。でも彼は特別な人間だといつでも思っていたんです。当時うちのチームに入りたいライダーはたくさんいた。でも今、私は彼を選んで正しかったと確信しています。アレックスとの契約延長も正しい判断でした。結果にはすごく満足しています。うちみたいに何年もトップランナーを二人も抱えているチームはMoto2にはそんなにありません。たいていは一人のトップライダーと、もう一人は中盤のライダーですからね。この何年かは二人のライダー共にとても良い成績を収めてくれてるんです。


CRASH.net:アレックスについてですけど、本当の能力を開花させるには何シーズンかかかるタイプなんですか?

バルトレミー:アレックスはいつでもナイフを自分の首に突きつけてるタイプなんだと思いますよ。彼がうちに来たときにはアレックス・リンスとやりあっていた。一人はチャンピオン、一人はランキング3位(訳注:2014年Moto3タイトルがアレックス、3位がリンス)。そしてアレックス・リンスの方がいい結果を出していた。そしてメディアがマルケスを殺しにかかっていたんです。兄はトップスターで、弟は苦労していた。それが現実です。最終的に僕らがチームとして彼を守り続けたんです。去年の今頃、彼のマネジメント会社が違う道に行こうとした時、私は何度も彼と話をしてました。その頃彼が電話してきて言ったんです。「僕はVDSと一緒にやるよ」。それこそ私たちが必要としていたことなんです。彼はアレックス・マルケスとしての一歩を踏み出したんです。私は彼に何度も言っている。「君の兄貴のことなんてどうでもいいと思ってる。彼はうちのためにレースをしてくれたことはないからね」。うちはプライベーターなんです。うちの総予算はことによったら彼の契約金1年分くらいかもしれない。「彼のことなんて全く眼中にないんだ。彼はレプソル・ホンダのライダーなんだよ。君がうちのライダーなんだ。メディアや周りの連中の言うことなんか気にするな。自分の仕事をしていればいつか結果は出せるんだ」。去年はそんな感じでしたね。5月か6月に全ライダーの分析をしてるんです。アレックスは本当の力を出していない。なかなか悪くない結果を出すこともある。もしすべてが上手くいけば3人の内の一人なんです。


CRASH.net:まだシーズン序盤ですが既にフランコは2018年にMotoGPにスイッチするという噂が出ています。それはマルクVDSでってことですか?

バルトレミー:フランコと契約した時にMoto2で2年、MotoGPで2年うちで走るってことに決まってるんです。ただしワークスチームでワークスマシンに乗る場合は例外になってます。もしタイトルが獲れたら彼にMotoGPマシンを提供しなきゃならないことはわかってます。これはうちの哲学で、MotoGPを頂点にMoto3チームからスペインで走ってる子供たちまでをピラミッドにするんです。ティトをMotoGPで走らせたのと同じですね。何百万も稼ぐ男を惹きつけることができないってのはわかってるんですよ。うちはプライベーターですから。外から見たらうちはマルクVDSとエストレア・ガルシアによる巨大プロジェクトに見えるでしょうけど、予算は限られている。予算の範囲内でやってかなきゃならないんです。Moto2でタイトルを獲って、そのライダーをMotoGPに連れて行く、そういう未来のライダーを育てていくのがうちのやり方なんです。そしてMotoGPでは最高の走りができるようにサポートして、いつかそのライダーがワークスに行く。それがうちのやるべきことだと思うんです。私の考えではタイトルが獲得できたら当然次の年はMotoGPで走らせたいんです。


CRASH.net:つまりフランコがタイトルを獲れるかどうかにかかっていると?

バルトレミー:それはライダーがライダーのマネジメント会社と話していることですね。うちと話していることじゃないんです。契約では彼がもう一年Moto2で走りたいならうちに残留することになっています。他のMoto2チームには移籍できない。契約はかなりかっちりしていて、でも選択の余地はある。もし彼が「OK、ランキング3位だったんで来年はタイトルを狙いたい」って言えば、来年もうちでMoto2を走ることができます。もし「OK、もう昇格の時期だ」って言えばうちが供給できる最高の機材でMotoGPを走らせます。


CRASH.net:いま走らせてるMotoGPライダーはどうなるんですか?

バルトレミー:マルクVDSチームが全てを決めることができるんです。ジャック・ミラーはHRCのライダーですからね。カタールでホンダとミーティングをやって将来の話をしています。HRCとの契約が今年で終わりなんです。3年契約だったんで。こちらからは是非継続したいって言ってます。外から見る限りかなりまくいきそうですね。でもこの「ジャック方式」についても話をしているんです。今は状況がどうなってるか確認しているところなんです。うちからホンダには「ジャックに対してこちらから来年のオファーを出すのはずるいと考えている」って伝えてあります。だって彼はうちのパートナー企業であるHRCの契約ライダーですからね。ホンダはジャックと契約を更新するかどうか決めるまでにはもう少し時間が欲しいって言ってます。彼と契約しないと言われれば、うちからオファーを出すこともできる。これが今の状況です。でもうちとしてはまずホンダを尊重したい。で、ホンダは「まだどうするかわからない」と言ってるので、こっちは待ってるところです。状況を見守る立場ですからね。私がやりたくないのは、こっちから彼のマネジメント会社にオファーを出すことですね。で、彼らがホンダに行って「ねえ、バルトレミーがうちにオファーを出してきましたよ!」って言うことなんです。そこははっきりしているので、こちらからはそっちで決めてくれと言ってるんです。もしジャックとホンダがそのまま行くとなったら、それが最高ですね。もしそうじゃなければうちが彼とやっていくかどうか決めることになる。それが正しい交渉のやり方ってものなんです。それが正しい取引ってものなんですよ。もちろん彼は能力があると思ってます。ちゃんとやれる。やれないわけがない。彼をマルクVDSのライダーと呼ぶのはまだ時期尚早ですけどね。これは彼と彼のマネジメント会社とホンダ次第なんです。彼らが決めなきゃならないことなんですよ。


CRASH.net:スケジュールはどうなってるんですか?いつ頃になったらホンダとこうしたことについて同意できるんでしょう?

バルトレミー:来月ぐらいにはホンダは決めるんだと思いますよ。5月の終わりくらいですね。そこを過ぎるとちょっと時間的にきつくなるんで、そこまでに決まるならありがたいですね。


CRASH.net:マルクVDSとホンダの契約更改はどんな状況なんですか?HRCとやっていくのが最優先なんでしょうか?

バルトレミー:来年ホンダとどうなるかははっきりしてないんです、ミーティングではこちらからはホンダが第一選択だと言ってるんですが。こちらとしては契約を続けたい。実際むこうも同じことを言ってくれてます。契約を続けたいって言ってもらってるんですけど、まだいろいろ決めなきゃならないことがあるんだそうです。例えば予算とかですね。ホンダの予算年度は3月締めなんです。だから彼らと話したのは昨年度のことになるんですね。3月20日くらいだったかな。だから4月なるまではいろんな計算ができないのは普通のことなんです。つまりまずうちはホンダと話してるってことです。ホンダの結論が出るまではどのメーカーとも交渉はしませんよ。他のメーカーからもアプローチは受けてます。彼らも会いたがってはいるんですが、こちらからはホンダの結論を待ってくれって言ってるんです。ホンダがうちとやっていきたいかどうか確認したいってね。それからなら話ができる。ホンダの返答次第ですね。
 そういうのって良いやり方じゃないのかもしれません。今はみんなパドックの誰とでも交渉を同時にする時代ですからね。それで混乱が大きくなる。でも、うちとしてはいつも正直にやっていきたいし、ずるはしたくないんです。最終的に決めるのはホンダです。でもマルクVDSは魅力的でないチームじゃないですから。財政的にはパドックでいちばんの金持ちというわけじゃないですけど、ちゃんと請求書通りにお金は払っている。Moto2のプログラムはすごくいいし、メーカーにライダーを供給することもできる。ホンダも将来のことを考えなきゃならないですしね。いつかはマルクもいなくなる。ダニは最年少というわけじゃ全然ない。カルももう若くはない。確かにヴァレンティーノは38歳ですけど、今必要なのは21歳とか22歳のライダーでしょう。そしてそのための最高の学校がマルクVDSなんです。うちは育てることができる。ホンダにとってはうちのパッケージも魅力的なはずです。でも決めるのは向こうですからね。カードは向こうが持っている。ホンダがまず何をオファーするのか決めなきゃならない。こちらとしては技術的な要素も大事なんです。お金の問題だけじゃないんですよ。技術的な部分については、最低でも今年レベルのものは必要です。同じくらい重要なことなんです。ホンダが何を考えていて、どう決めるのか、楽しみに待ちたいです。


CRASH.net:ジャックについても同じようなスケジュール感なんですか?5月の終わりには決まる?

バルトレミー:ええ、そう思います。私の見立てではマシン供給の方が先に決まるでしょうね。それから1レースか2レース、ジャックのレースを確認してから決めるんでしょう。マシンについては日本の本社側で、ライダーについてはイタリアのチーム側で決めるんじゃないんでしょうか。まあ私の感触ですが。


CRASH.net:あなたが2017年(訳注:おそらく2018年の間違い)もホンダでやってる可能性はどれくらいだと思います?

バルトレミー:彼ら次第ですね。カタールでミーティングはしています.チームオーナーもいて、彼はこれからも一緒にやっていきたいと言ってくれました。うちの体制は、まあ内部的には決まってるんです。2021年まではMotoGPをやることが決まっている。内部的にはそう決まってます。そこから先はわからないですけどね。今はどのメーカーがうちに最高のパッケージを供給してくれるか待っているところで、現時点ではホンダが最優先です。でも私が決めることはでいない。向こうが決めるんです。


CRASH.net:ジャックがHRCとの契約を延長できなかったらその穴はどう埋めるんですか?

バルトレミー:確かに今はジャックのおかげで財政的に助かってるのは事実です。でもぜんぶ無料で済んでるわけじゃないんですよ。ライダーの契約金を払うとしたら、それはもちろん今より費用増にはなります。でも何百万も積まなきゃならないわけじゃない。こっちはバイクにバカ高い金額を払ってるんです。こっちが顧客なんですよ。ルーチョと同じでね。確かにジャックはHRCのライダーですけど、それ以外はこっちでちゃんとお金を払ってるんです。


CRASH.net:ティトの状況についてはどうなんでしょうか?

バルトレミー:彼も進歩していることをわかってます?もう去年と同じじゃないんです。ジャックもティトも進歩している。これまで2レースやってますけど、2回ともジャックはトップ10でフィニッシュしてますし、ティトもポイントを獲得している。だから去年より良くなっているんです。マシンも良くなっている。マシンは去年よりいろんな部分で良くなってるんです。まだ改良の余地はありますよ。そりゃヤマハほど乗りやすいパッケージじゃないのは事実ですから。ティトの実力もこんなもんじゃない。彼はまだ上にいけるんです。彼ほど気持ちの強い男はいませんよ。あんな奴は他にはいない。彼は本当に根っからのバイク気狂いなんです。彼が興味を持つのはバイクだけなんですよ。彼がやってること以上なんてできやしないです。
 タイヤがたれてきたりマシンが軽くなってきたときにどうやって乗るか、どうやって操るかをゆっくりと学び始めた所なんだと思ってます。だんだんそれが楽にできるようになってきている。今日(アメリカズGPの金曜)とか見てみればわかりますよ。彼は自分に腹を立てている。でも(FP1の)最後の10分は9番手にいた。彼がうちのチームでMotoGPを走り始めてから金曜午前としては最高の順位です。でもまだ彼は不満なんです。まだ自分がだめだと思ってる。私に言わせればティトの最大の問題はMoto2の時からそういうところが変わっていないということですね。彼はいつも自分のことしか考えられない。自分で、自分だけでなんとかできると思ってるんです。でもMotoGPはMoto2とは違うんです。あんまり攻めすぎるとタイムは落ちてしまう。そう言い聞かせてマシンに乗ったらリラックスするように教えてます。もっとマシンと語り合えってね。マシンと話さないとだめなんです。自分のやりたいことをマシンにやらせられるわけじゃない。それじゃ絶対だめなんです。トップライダーは激しい走りでマシンに言うことを聞かせてるように見えますけど、本当はすごくスムーズに走ってるんです。自分が何をやってるか完璧に把握している。それがこちらの最大の問題ですね。うまくいかなかったり、ピットに戻ってP17って表示を見たりすると、ティトは必要以上に反応しすぎてかえってタイムが悪くなる。アウトラップがいちばん速かったりするんでよ。ラップタイムを気にしてないからなんです。いまそこに取り組んでいるところなんです。
 ティトは簡単な人間じゃないんです。Moto2の時から変わってないですね。彼なりのリズムがあるんです。地元のアルメリアでは1日10時間もバイクに乗らないと気が済まない。そういうときは速く走れる。でもMotoGPマシンでそれを再現できないんです。Moto2の時はもっと楽にできた。MotoGPだとレースの時かテストでしか走れない。でも10万周も走っても何の役にも立たないこともあるんです。今は彼に「家で6日過ごすなら3日はバイクに乗らないで」って言ってるんですけど、強制はできない。頭の切り替えがうまくできれば再びマシンにまたがったときにもっと良い結果が出せるんですけどね。いま彼も少しずつわかり始めてるようです。こんなことも言ってます。「この3日間で0.2秒も速くなってる」。それはリフレッシュしてストレスがなくなったからなんです。さっき言った通り、彼は神経質で、その反対がフランキーなんです。
 ティトをコントロールするのはたいへんですよ。でもまだ私は彼のことが好きですよ。彼はすごく正直なんです。ティトは絶対うそをつかない。彼は「マシンに赤ランプがついたからスローダウンしたんだ」とか絶対言わないんです。そんなことは絶対ない。いつも自分のせいにするんです。毎日「なんでそうしたのか?」って話をしてます。自分のやってることをもっと気軽に受け止めてほしいからですね。でもアルゼンチンを見てください。12位でしたよね。満足してますよ。順位だけじゃなくて、4人でのバトルに勝てたからです。彼は戦えるところまできた。もう一人で最後尾を走るライダーなんかじゃないんです。これは彼にとって大事なことですね。だって何より彼は世界チャンピオンなんですから。彼はMoto2でシーズンのほぼ全レースを勝ったライダーなんです。つまんないライダーなんかじゃない。彼はバイクの乗り方を知っている。うちのマシンが他のマシンより乗りにくいだけなんです。対応には時間が必要なだけなんですよ。
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めっちゃいい人!めっちゃいいインタビュー!

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もし自分が俺ほど速くないってことを受け入れられるならレースをさせてやる

GP史上唯一の親子チャンピオン、ケニー・ロバーツとケニー・ロバーツ・ジュニアについてCRASH.netより。父子鷹。
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アメリカズGPにおいてケニー・ロバーツ・ジュニアは25人目のMotoGP殿堂入りを果たしたライダーとなった。そしてその場に父であり最高峰クラスのタイトルを3度獲得しているケニー・ロバーツ・シニアもいた。そして息子が自分と同じ道を歩もうとしていることを知った時に与えたアドバイスについて語ってくれた。

模範にできそうな安定性、冷静な判断、そして予測不可能な優勝者たち、その全てがジュニアの2000年の500ccタイトル獲得に貢献している。そしてそれ以来スズキで最高峰クラスでチャンピオンになったライダーはいない。

ロバーツ家の2世代がジュニアの殿堂入りを祝うためにプレスカンファレンスに出席していた。その席でケニー・シニアは息子が自分に比肩するほどの業績を上げるのは予測できていたと語っている。

「ジュニアへのプレッシャーは父親ほどには上手くやれなかった息子たちが掛けていたんですよ」とシニアはジョークから始めた。「彼が初めてレースに出る日に私は行ったんです。『ひと言言っておくが、俺ほどにはなれないからな。だからもしそれを受け入れられるならレースに出してやる』ってね。
 いつでもそれは繰り返してました。『どうだろうと関係ない。年寄り共は俺を覚えていて、おまえのことなんか理解しようとしないんだ。奴らは、ああ、親父ほどにはよくないね!って言うだろうな』って。だからチャンピオンを獲らなきゃってプレッシャーはすごかったでしょうね。
 ブラジルでそれほどがんばって乗らずにタイトルを獲得できるだけのポイントを獲得したのを目撃しましたけど、あの時彼は勝てる速さがあったんです。彼はウェイン・レイニーと一緒にダートトラックを走りながら大人になった。彼に掛かっていたプレッシャーは私に掛かっていたのよりずっと大きかったんです」

レースキャリアに関する父の影響についてジュニアに言わせれば、父のアドバイスは非常に上手いものだったが、それがどれほど重要だったかは最近になって500ccでの自分のレースの写真やビデオを見てやっと理解できたのだそうだ。

「写真やビデオを見返してやっと父がしてくれたことに気付いたんです。当時は意味がわからなかった。でも父は必要な量の情報だけをくれたんです。ここに気を付けろってね。それはタイヤだったり天気だったりしたんですけど。
 すごく絶秒で旨い方向に考えを向けられたんです。凄く助けになりましたけど、当時はその重要性が理解できてなかったんです。自分で吸収して、正しいタイミングでそういうことを言ってもらいたいってなる。今はすごく意味を理解できますね。
 当時もどういうことか考えてはいたんですけどちゃんとわかってなかった。でも父がいなければ最初からこんなところまでできなかった。父の助けがなかったらここまでこれなかったんです。ウェイン・レイニーなんかもアメリカだけじゃなく僕のキャリアを通じて助けてくれましたね」

激動の2016年シーズン以前には2000年が最高峰クラスで最も優勝者の多かった年だった。8人の勝者といくつもの記憶に残る最終ラップのおかげで今でも最高のシーズンのひとつとして人々の記憶に残っている。

これほどまでに様々なライダーが勝ったことはジュニアにとっては驚きだっただろうか?「アレックス(クリヴィーレ)が(99年は)凄く強かったですよね。スズキはいちばん安定しているパッケージだと感じていたし、99年もタイトルにはかなり近かった。だから2000年は自分たちの年だって思ってたんです。ヴァレンティーノが上がってきてホンダのナンバー1になろうとしていたけど、あの時は最大のチャンスだったし、僕らはそれをきちんと活かすことができたんです。
 そしてブラジルでは16秒差の6位でフィニッシュした。タイトなレースでしたね。ラップタイムだけを見たらトップ6がどれだけ接戦だったかわかるでしょう。トップ2が逃げて残りが30秒差とかじゃない。あの頃もちょっと気を抜いたら転倒でしたしね。
 バンク角を2〜3%間違っただけでもタイミングが悪ければそこで終わりです。自分でも乗りながら『なんで転ばずにいられるんだ?』って良く想ってましたよ。
 あとギアのことも考えながら乗らなきゃなかった。あの頃は「5速、4速、3速」とか教えてくれるインジケーターなんかなかったですからね。自分で覚えてなきゃならなかったんです。転ばないようにするためにも、勝つためにも、とにかくいろんな要素をうまくこなさなきゃならなかったんですよ」
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ちなみに新谷かおる先生のは「ふたり鷹」ですからね。強いのはお父さんじゃなくてお母さんだったし。

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MotoGP:ロレンソがドゥカティについて語る

いつも素晴らしいインタビューを記事にしているManuel Pecino氏がこんどはロレンソにインタビューしてるので訳出。SportRider.comより。
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5つの世界タイトルを手にしたホルヘ・ロレンソは今ふたたびバイクの乗り方をイチから学び直している。フラストレーションで一杯に違いない彼が自分のライディングの問題について語ってくれた。

ホルヘ・ロレンソもドゥカティもこんなシーズン序盤を夢見ていたわけではなかったはずだ。目標が達成できないどころか、むしろ状況は悪くなる方向に向かっているのではないかと思わせる時さえある。プレッシャーも大きい。オースチンでのアメリカズGPの散々な結果を受けて、普段は温厚なアンドレア・ドヴィツィオーゾの口からも厳しい言葉が飛び出す始末だ。ドゥカティのピットでは組織が混乱に陥っており、すべてが崩壊寸前だと言うのだ。皮肉なことにこれほどの混乱の中、唯一自分自身に全ての注意を注いでいるのが、普段は最も要求の多いホルヘ・ロレンソである。

Sport Rider:あなたはいつでも非常に思慮深いライダーですよね。いまのような厳しい状況の中でどうやって感情をコントロールしているんですか?誰かに話をするとか、助けを求めるとかするんですか?

ロレンソ:いいえ、全部自分で処理してますよ。精神分析も受けてないですしね。誰にも頼ってません。いろいろ経験を積んでわかったんです。これは、そうですねぇ、いろんな理由でうまくいかないことがあるスポーツなんだってことですね。今回については理由ははっきりしてますよ。マシンの変更が自分が思っていたより難しかったってことです。


Sport Rider:繰り返しになって申し訳ないんですけど、きつい状況の時に気持ちを分かち合う相手がいないってのは辛いんじゃないですか?普通は自分を助けてくれる人がいて、それはプロフェッショナルだったり身近な人だったりですね。特にエリート選手の場合はそうだと思うんですが、あなたの今の人生にそういう人がいないってのは驚きなんですが。

ロレンソ:それがいないんですよ。自分の問題は自分で吸収するのになれているし、忘れなきゃならないことは忘れられる。考えない方がいいことがあれば別のことを考えられる。そしてその問題を分析すべき時が来たら分析する。その時がきたらパズルのピースがきちんとはまるんです。そしたら仕事に取りかかれる。突然上手く行き始めるってもんじゃないこともはっきりわかってます。そうじゃなくて、十分の一とか0.5とか、そうやってすこしずつ良くなっていくんです。そうやって自分の目指すところに少しずつ近づいていく。


Sport Rider:2年前の2015年もひどいスタートを切りましたよね。でもその後ヘレスで優勝したとき、あなたはそれまでのレースとの違いについて「本能に従って乗る」ことに決めたことだとコメントしてます。今年はそれと比べてどうなんですか?同じようなやり方でなんとかなりそうです?なすがままにまかせて余り考えすぎないってやり方ですけど。

ロレンソ:本能に従ったらヤマハのときみたいな走りになっちゃいますね。ヤマハだと攻めすぎると遅くなるんです。みんな見てるでしょ。(ベン)スピーズは最初は良かったですけど後から苦労するようになったし、(ポル)エスパルガロはすごくアグレッシブなライダーで、それで速く走れなかった。ヤマハで速かったのは技巧派ライダーなんです。(コーリン)エドワーズとかヴァレンティーノとか僕とかね。ヤマハでは最初はゆっくりいくんです。ブレーキングがアグレッシブだったり突っ込み過ぎたりするとだめなんです。早めのブレーキでスロットルも早めに開ける。これがドゥカティだと真反対ですね。とにかくブレーキは遅らせて、あと強く掛ける。そうやって荷重移動を大きくするように心がけてます。あとリアブレーキも使わなきゃならないんです。ヤマハの時は全然使ってなかったんですよ。リアホイールをスライドさせて減速するんです。ヤマハとは逆ですね。あと空転もちょっと多めになる。スロットルをアグレッシブに開けてコーナー中盤でスライドさせるんです。ヤマハでそれをやったら全然ダメですから…違う世界ですね。すごく攻撃的なサッカーリーグでやっていたのに突然イタリアに移籍してディフェンシブに戦わなきゃならなくなったみたいな感じですよ。


Sport Rider:ブレーキング、コーナリング、加速とコーナーでは三つのことをやるわけですが、あなたはその内後者の二つで飛び抜けていました。そしてそれがあなたのライディングの強みだった。ドゥカティでは逆にコーナリングを犠牲にしてブレーキングを良くしなければいけないように見えますがそれで合ってます?コーナーを犠牲にしてブレーキングを改善する。

ロレンソ:人によるんだと思います。(アルヴァロ)バウティスタなんかはコーナリングで強いでしょ。ドヴィツィオーゾはブレーキングだけでコーナリングは全然ですし。ブレーキングと加速でもうちょっとアグレッシブにするってくらいの話なんです。あとリアブレーキを多用すると。基本的にコーナー進入をなめらかにしてスピードを保つ。でコーナーに入ってからのスピードは追求しない。コーナーを上手く走れれば2km/hくらいスピードが稼げるんです。僕はまだヤマハの時ほどのコーナリングレベルに達していない。5km/hくらいコーナリングは遅いんです。でも他の部分でカバーできる。加速とかですね。エンジンパワーとうちが上手くやれてるアンチ・ウィリーシステムを最大限に活用しないといけない。あとブレーキングでの安定性を活かしてブレーキを遅らせる…。コーナー中盤での遅れをブレーキングを遅らせて早めに加速することでカバーしたいんです。


Sport Rider:ヤマハからドゥカティに移籍した最近の例ではロッシ、ドヴィツィオーゾ、あとカル・クラッチローがいますけど。結果を見るとみんな適応するのに苦労している。彼らと自分の状況が似ていて心配になりませんか?

ロレンソ:ロッシの結果と僕の結果を比べると判断を間違えると思いますよ。2010年には速いマシンは4台しかなかった。他のライダーは何光年も離れていて、トップと45秒差でも5位か6位にはなれたんです。今はもしそれほど話されたら15位ですよ。速いマシンも増えているし、レベルも似ている。一方で今のドゥカティはロッシの頃より完成している。でも、繰り返しになりますけどワークスのいいマシンも前より増えているんです。


Sport Rider:ドゥカティのライダーはみんなデスモセディチが非常に体力的に厳しいマシンだと言っています。どういうことか説明していただけますか?なぜドゥカティは他のマシンより疲れるんでしょう?どこがいちばん辛いんですか?

ロレンソ:今のマシンはブレーキレバーを引いても止まらないんです。だからドゥカティのライダーはレバーを引くのに力を入れすぎて腕が疲れちゃうとかないようにリアブレーキを使っている。結構腕にくるんですよ。で、エンジンはすごく神経質で、特にスピードが出てるときがひどいんです。だからマシンを大人しくさせるためにリアブレーキを使わなきゃならないコーナーもあるんですよ。その二つ、ブレーキングとハイスピードでの加速のせいで、かなり体力的には厳しいですね。そのかわりストレートではすごく安定してるんです。あんまりぐらつかないんで、そこでは少しは息をつける…。でもそうですね、全体的にはこれまでより疲れるマシンだし、心拍数も上がりますね。


Sport Rider:このために体力トレーニングの方法を変えたりしてるんですか?

ロレンソ:ええ。前より筋肉がつきました。前より強くなってますね。


Sport Rider:5回も、しかもその内3回はMotoGPでタイトルを獲った乗り方が通用しないってのを受け入れるのは精神的にきついに違いないと思いますが、やっぱり簡単じゃないんですよね。

ロレンソ:もともとかなり高い目標だとは覚悟してました。これまで(ケイシー)ストーナーしか達成できてないことですからね。それにあの時のマシンはすごくわかりにくくてしかもヤマハやホンダに比べて馬力でもそれほど勝っていたわけじゃなかった、それに彼が使っていたのはブリヂストンで、ミシュランとはかなり、特にフロントが違った。2008年に何回か勝ってますし、2009年にもちょっとは勝っている。2010年も勝ってる。、でも2007年程じゃ結局なかった。ストーナーだけがいつも勝ち続けて、そしてドゥカティ唯一のタイトルを獲得している。ええ、今の段階ではバウティスタはすごくうまくマシンに適応しているし、ドヴィツィオーゾも僕より早いし、(ダニオ)ペトルッチも(スコット)レディングも他のライダーも速い。でもぴったりはまれば誰よりも高いレベルで走れると思ってますよ。そうならなきゃいけないんです。だってドゥカティはそのために僕と契約したんですからね!これまで乗ってきたマシンを理解してきたように、今回もどうやってこのマシンで速く走れるか理解できれば他のライダーより一歩先に行けるって自信は持ってます。


Sport Rider:これまでの説明からするとやるべきことはわかっていて、これを理論から実践に持っていこうとしている段階だってことですね。

ロレンソ:それがいちばん難しいんです!(笑)口だけなら誰でも勇敢になれる。でもそれを実行に移さなきゃならないんです。


Sport Rider:(チーフメカの)クリスチャン・ガバリーニとの関係はいかがです?これも新たな経験となるわけですが。

ロレンソ:最高ですね。すごくいいですよ。彼は最高に穏やかで、ここまで信頼できる人はいなかったですね。プロとしても最高だし、人間としても最高ですよ。


Sport Rider:イタリアのチームと働くのは日本のチームとはかなり違うものなんですか?キャラクターとか精神的なものとか、一番の違いはなんでしょうか?

ロレンソ:ドゥカティでは何かを試す時間が少ないですね。あんまりテストで距離を走らないんです。迅速でいいですけど、逆に壊れやすかったりはしますね。


Sport Rider:そこも慣れが必要なところですね。

ロレンソ:ええ。でも(ジジ)ダリーニャがいるんで、かなりうまくまとまっていますね。


Sport Rider:ドヴィツィオーゾがカタールとアルゼンチンでは前を走れたのはいい徴候ですよね?マシンのポテンシャルはあるってことです。

ロレンソ:ええ。ドヴィはカタールでは勝てそうだったし、バウティスタもアルゼンチンではヴィニャーレスから6秒遅れでフィニッシュしてます。25周で6秒というのは1周にすれば0.2〜0.3秒ですから。それほど大きくはない。うちのマシンもヤマハから0.2秒は離れてないってことなんです。


Sport Rider:ヤマハであなたがやっていなくてヴィニャーレスがやっているのは何だろうかとマルケスに尋ねてみたんですけど、ヴィニャーレスはブレーキを遅らせてるのにコーナリングスピードも犠牲にしてないというのが彼の答えでした。そいうことだと気付いていましたか?

ロレンソ:ブリヂストンのとき実は僕はすごく高いレベルに達していたんです。でもミシュランでは安定しなかった。タイヤやコースコンディションで成績が変わってしまってたんです。ブリヂストンのときほど安定した成績が出せなかった。一方ヴィニャーレスはどんなコースでも安定していて、あとリアブレーキの使い方を心得ているんです。ヤマハでは僕はリアブレーキを使っていなかったんです。ドゥカティほどは必要じゃなかった。でもヴィニャーレスは使っているし、それでフロントに荷重を掛けすぎないでいられるんです。フロントだけでブレーキングするのはすごく効率的で、例えばウェットだと前後ともにブレーキを掛けた方がいい。これがヤマハでできてれば良かったですね。ブレーキングを遅らせることもできたろうしあんな風にブレーキングで遅れをとることはなかったでしょう。実際去年はブレーキングでやられてましたから。マーヴェリックは現時点ではスタートに改善の余地ありですね。今は最初の何周かは前に追いつくために使ってしまっている。でも彼はすごいライダーですよ。特にリアブレーキのテクニックは凄い。それに去年の僕より完成度が高いですから。


Sport Rider:ヴァレンティーノが今年は誰よりも調子がいいですけど、アルゼンチンみたいにレースになると予選より0.7秒も速くなるのはなぜか説明していただけますか?

ロレンソ:(微笑みながら)わからないですね。みんなが知りたいのに彼にしか答えられない質問ですよ。
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なんだ冒頭の切ない話は…(TT)。

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公式リリース>アメリカズGP2017

ヤマハホンダドゥカティ(英語)、スズキアプリリア(英語)KTM(英語)

しかし日テレG+はホンダが自社バイクに乗るライダーを「ジャンアントニオ」と呼んでいるのに、いつまで何語だかわからない「ギャナントニオ」を使うつもりなのか…。

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サイクリングで気持ちがのってくるんだ

アメリカズGPではちょっと光が見えてきたダニ・ペドロサが自転車について語ってます。Repsol公式より。
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ダニ・ペドロサは素晴らしいGPライダーというだけではない。他の多くのスペイン人のスポーツ好きと同じように彼も自転車が大好きだ。これは今シーズンの初ポスト。MotoGPライダーに関連するいろいろなことについて語っている。レプソル・チーム・ブログの初回となる今回、ダニが見るのもやるのも大好きな自転車というスポーツについて語っている。

自転車への愛

自転車が大好きだって気付いたのはずいぶん小さいころです。バイクに乗る前から自転車でいろいろやっていた。僕にとっては自転車がモーターサイクル代わりだったんです。すごく小さい頃にバイクに乗り始めましたけど、でもその頃、もしバイクでダメなら自転車選手になりたいと思ってました。

今自転車に乗るのはフィットネスと、あと自分が楽しむためですね。自転車で山道を登って、いつでも同じルートで自分のタイムを破るのが楽しいんです。でも常に自分のことを監視してますよ。でないと夢中になってがんばりすぎちゃうんです。毎日ふらふらになるまで走るのはいいことじゃないですからね。トレーニングするときは頭を使って、2日くらいは休みも取るようにしないといけないんです。プロとして走ってるわけじゃないですけど真剣に取り組んでいるし、タイムが出なかったり前回よりペースが遅かったりするととがっかりしますね。

あと自転車に乗っていていいのは自分の体の作り込みに合わせられるってことです。例えば冬場はアウターチェーンリング(訳注:自転車の前側のギアの大きい方…ですよね)はほとんど使わないのではずしてます。脚力がついてきてさらに上を目指せるようになったらチェーンリングをつけたりケイデンス(脚注:脚の回転数)を上げたりするんです。

最高なのはみんなで走ることですね。いい仲間と走っていると時間も距離も関係なくなる。それにトレーニングの質も上がるんです。一人で走るのも楽しんでますよ。それはそれで別のアプローチなるんです。自分の内面のモチベーションを高められるんです。

自転車コレクション

自転車の車体も大事ですよ。ピナレロのドグマF10にシマノを合わせたのに乗ってます。自転車を選ぶときにポイントになるのはぴったりのマシンを選ぶことですね。凄く軽くてクオリティの高いカーボンフレームのやつです。あと見た目も大事ですよ。

何年も前に自分の自転車はコレクションしておくことにしたんです。どれも忘れがたい思い出と経験が詰まってるんです。僕がやり遂げてきたことは全部自転車トレーニングのおかげなんです。自分が辛いことに直面しても、きつい登り坂を自転車で全力で走ることで乗り越えられたっていい思い出ですからね。

そんなわけでピナレロのいいコレクションができました。時代を変えて流行を創り出した自転車たちです。これが並んでいるのを見ると時代によって技術や色が変わってきたのがよくわかりますね。

プロ自転車競技への情熱

好きな自転車選手はプリート(訳注:ホアン・ロドリゲス)でした。あの凄いパワーが好きだったんです。でも彼は引退しちゃった。今はスペイン選手に注目してます。アレハンドロ・ヴァルヴェルデとかアルベルト・コンタドールとかですね。あと次のスターを探すのも楽しいですね。最近ではフルームとかキンタナとかニバリとかアルベルト・コンタドールとかがビッグタイトルを争ってますけど、今年どんな選手が驚かせてくれるか楽しみですよ。

好きな自転車競技のステージは間違いなくアルプスですね。自分でも良く走っているし、最高の場所ですよ。ドロミテなんて本当にたいへんで、のぼるのが本当に辛かった。でも登り切ったときは本当に良い気持ちでしたね。

テレビで見るならグランツールですね。今はいろいろ観るようになってますけど、やっぱり伝統的なレースの方がわくわくしますからね。

自転車から学んだこと

前はツアー競技にも出たことがあるんです。で、わかったのは自分の位置取りが難しいってことですね。グループが別れちゃってるとか自分が先頭にいるとか把握するのが難しい。だから無線をつけるんです。そうすればいろいろ助かりますからね。無線については競技をつまらなくしてるとかいろいろ言われますけど、選手同士の競争は激しくなるし見ても面白くなるってのは否定できないですよ。

パリ−ルーベに出たいって時々思ったりもしたんですけど、どれくらいたいへんか考えたら萎えちゃいますね。弟が走ってるんですよ。彼の話をきくとテレビで見ると実際よりずいぶん簡単に見えるようです。もし走ったとしても一番好きなレースにはならなかったでしょうね。

僕の自転車への情熱を読んで楽しんでくれたらうれしいですね。いつもの通りBox Repsolのフォロワーのみなさん、読んでくれてありがとう。そしてサポートしてくれてとても感謝してます。またサーキットで会いましょう!

ダニ・ペドロサ
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すごい愛だ。ことによったらカルより速いかもよ。

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エベレストに登るように

アメリカズGPの決勝後、凄いライディングをとらえた1枚の写真が世界を駆け巡りました。その写真についてのMat Oxley氏の記事をMotor Sport Magazineより。
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現代のMotoGPは以前と比べてライダーの関与できる部分が少なくなっている。だからこそ我々は再びアクロバティックなライディングを目にしているのだ。そしてこれがマルク・マルケスのライディングが見応えのあるものになっている理由でもある。

marquez_straight.jpg

すごい週末だった。そしてこれはすごい写真だ。昔を思い出す。ウェイン・レイニー、ケヴィン・シュワンツといったライダーたちが車輪の着いたミサイルとでも呼ぶべき500cc2ストロークにまたがり、なんとか少しでも正しい方向に走らせようとする。

サーキット・オブ・ジ・アメリカズの予選で限界を超えてもレプソル・ホンダ213V から振り落とされることなく走って見せたのはマルク・マルケスだ。まるでエベレストに登ったシェルパ、テンジンのようだ。

私たちがGPマシンを駆るライダーについて語る時、たいていはコーナリングの話になる。サーキットでのレースというのはたいていコーナリングがポイントになるからだ。ストレートというのはコーナーを繋ぐ何かでライダーは少しの間リラックスしてハンドルを握る手を緩め、そして脳をリセットして次に起こることに向けた準備をする。

実際はそんなことはない。見ての通り自分の下にあるのが250馬力のモンスターともなればストレートを走るのさえ簡単ではないのだ。そして一旦MotoGPマシンにまたがったら休息の時など全くないのである。

マルケスの専属写真家アレハンドロ・セレスエラが撮ったこの写真を最初に見たとき私はこれがたくさんあるCOTAの切り返しのどこかだと思っていた。マルケスが左コーナーから立ち上がってフロントホイールを接地させようとマシンの前方に体を乗りだし、そしてグリップを取り戻しながら右コーナーに飛び込んで行こうとするところだ。

しかしそれは間違いだった。これはRC213VをCOTAの最終コーナーに向けて駆るマルケスの気狂いじみた走りなのだ。フロントを下げるためにタンクに覆い被さり、ホイールスピンを減らすためにステップの上で中腰になり、そしてすこしずつマシンを進路にのせつつフィニッシュラインに向かっている。

あらゆるレーサーは、MotoGPの世界チャンピオンでさえ物理の法則には従わなければならない。マルケスのような人間ならそれすらねじ曲げることができると思いたくなるが、しかしもちろんそんなことはできない。精神力と体力を駆使してマシンを曲げ、カウンターを当て、遠心力や求心力や重力や慣性力や摩擦力や、そんなものたちと戦っているのである。

トップライダーがコーナーを攻めるとき、彼らは多大な力を使ってマシンを倒し曲げようとしている。そしてコーナーを立ち上がるときでもこうした力は加わり続けたままだ。そのためストレートに入ってもマシンはまだ曲がり続けようとしている。これがライダーがストレートで蛇行する理由だ。例えば左コーナーからの立ち上がりではストレートに入ってもまだ左に曲がり続けようとする。それで彼らはマシンを右に向けながら真っ直ぐ走ろうとするのである。

マルケスは自分の持てる力の全て、腕力、脚力、そして自分の体重と脳の全てを使ってマシンを少しでも早く起こし、ワイドになりすぎてコース右側縁石に乗ることのないよう、そしてピット前を加速する際には左に寄りすぎないように頑張っている。フロントホイールが左を向いているのは彼がカ逆ハンを切っているからだ。ハンドルを左に切ってマシンを右に傾けようとしている。それでマシンを直立に保つのである。逆側にハンドルを切るというのは奇妙に思えるかもしれないが、バイクに乗るときにはいつもやっていることだ。それがCOTAであれちょっと買い物に行くときであれ。

1990、91、92と500ccタイトルを獲得しているウェイン・レイニーはここで何が起こっているか完璧に理解している。彼がレースをやっている頃、またライダーのための電子制御というものは賢いエンジニアの頭の中にしかなかった。つまりヤマハYZR500にまたがりハンドルでマシンを曲げ、ステップでホイールスピンをコントロールし、ウィリーを避けつつどうにかマシンを左右の縁石の間に留めておくというのが彼のGPキャリアのすべてだったのだ。

500の悪魔的なパワーの出方と最低重量(1990年にはMotoGPマシンひょり42kgも軽かった!)、そして前時代のシャーシとタイヤのせいでレースというのはとんでもなくたいへんな仕事だったのだ。あれは剣闘士のような仕事だったんだとレイニーは語ってくれた。

「レース前は儀式をしてましたね。まあそう呼びたければ、ってことですけど、いつもの習慣ってのがあって、そうやって気持ちを調えていくんです。週末は毎回やってました。モーターホームの周りで踊ってツナギを蹴りつけるとか、モーターホームの中で座り込んで盛り上がっていく気持ちに集中していると怒鳴り散らしたりハンドルをマシンから引きちぎりたくなったりね。戦いに向かっていく感じというか。もし誰かが僕のホーターホームに入ってきたら気が狂ったと思ったでしょうね。『少し休みを取ったらどうだい?』って言われかねなかった」

ライダーのための電子制御がこの15年で大きく発展を遂げたことで全てが代わってしまった。トラクションコントロールは元はと言えば骨折防止のためだった。それがいつの間にかコーナー脱出のタイムを削りそのための努力を軽減するものとなってしまった。アンチ・ウィリーやその他全ても同じ方向で開発が進んでいった。しかしドルナが去年から統一ソフトウェアを導入したことで再び全てが変わることになる。ドルナは時計を巻き戻してライダー支援のための電子制御を本来の目的に立ち戻らせたかったのである。つまり安全性向上のためのツールであり、パフォーマンス向上のためのものではないということだ。ウィリーは安全性をそれほど脅かさないということでアンチ・ウィリーソフトウェアはアンチ・ドルナと見なされ、結果としてウィリー周りは電子制御が基本的なものに限定されMotoGPライダーが自分でコントロールする部分となったのである。

冒頭の写真は知力と体力と精神力を尽くしてドルナのローテク・アンチ・ウィリーソフトを補正しながら千分の数秒というわずかな時間を削りながら5連続となるCOTAでのポールを目指しているマルケスの姿というわけだ。翌日彼はCOTA5連勝を飾り、ロデオを成功させた彼にお似合いのカウボーイハットを被って表彰台に立つことになる。

「凄い写真ですよ。500の時はホッケンハイムなんかでそんな写真を撮られてますけどね」とレイニーは言う。「COTAはスーパークロスみたいな感じですね。もう全然スムーズじゃない。僕に言わせれば彼はバンプも使ってるんじゃないかな。実際マシンを曲げるのにバンプを使うことができるときもあるんですよ。早いライダーはCOTAでそれをやってるんですよ。この写真でわかるのは路面温度の低さとバンプですね。で、彼はコーナーを脱出してバンプにタイヤを当てて加速している。だからフロントエンドが簡単に動いてるんです。
 500時代はアンチ・ウィリーとかなかったですからね。ラグナセカの最終コーナーから立ち上がるときはタンクの後端に座るくらいまで前に出て1速、2速、3速、4速とスロットルは1/4くらいしか開けてない。そうやってマシンがウィリーしないように、ひっくり返らないようにするしかなかったんです。でもそれでも加速しようとしていた。ラグナでは1周の内の28%しか全開にできなかったんです!
 アンチ・ウィリーというのは確かにラップタイムには凄く効きますよ。ライダーは自分のライディングに集中できますからね。でも今は統一ソフトウェアになって、それもいいですね。見応えのあるライディングがまた増えますから。それがこの写真なんです」

レイニーの最大のライバル、ケヴィン・シュワンツは当時のマルケスだった。500ccマシンでまるでロデオを演じているかのようだったのだ。テキサス生まれの彼はマシンの上で誰よりも大きく体を動かしていた。ひょろりと長い手足をてこにして荷重を上図にコントロールしていたのだ。前へ後ろへ、左へ右へと彼は常に動いていた。

「まるでアッセンの最終シケインから立ち上がってるところみたいですね。マシンを右に向かって引き起こすんです。その前は左側にべったり寝かせてる」。1993年の500ccチャンピオンのシュワンツはこう語る。「自分の下にあるマシンをふり回すなんてことはなかなかできないことなんですよ。マシンは今やっていることをそのまましたがるものなんです。フロントは持ち上がってるけどまだ左に行こうとしていて、ライダーはマシンの手綱を引きながら、こっちへもどれ!ってやってるんです。この写真ではいろんなことが起こってるんですよ。そのことを考えたらあの浮いてるフロントホイールが着地したときにはマシンがワヤヤヤってなるのはわかるでしょ?だから彼はマシンの上に覆い被さってるんです」

シュワンツとレイニーがどちらもレーシングキャリアの初期にはダートトラックを経験していたことは偶然ではない。グリップを求めてフロントもリアもあちこちを向く。そしてライダーの脳と体にテクニックがたたき込まれ、筋肉は乗り方を記憶し、そしてGPマシンを乗りこなすことができるのだ。そしてマルケスもこれまでの人生の多くの時間をダートマシンでコースを回ることに費やしている。

レイニーとシュワンツを(良い意味でも悪い意味でも)悩ませた唯一のヨーロッパ人ライダーは1984年の250ccチャンピオン、クリスチャン・サロンだ。フランス人の彼は1985年に500に昇格し1990年に引退している。つまり500ccクラスに革命をもたらしたライダーフレンドリーな「ビッグバン」エンジンを知らないままだった。しかし面白いことに彼はそのことをむしろ喜んでいる。

「ビッグバンエンジンは嫌いなんですよ。だってスクリーマーを手なずけるのが楽しかったんでね」と彼は言う。「そういう挑戦もビッグバンが登場してできなくなってしまった。スクリーマーは辛かったですし心臓にも悪かったですし、ほかにもいろいろたいへんでした」。そういいうことだ。サロンは実に勇敢だったのだ。

サロンもこの写真を楽しんで分析してくれた。スーパーヒーローたちが史上最凶マシンで肉弾戦を繰り広げていたあの時代を思い出させるというのだ。

「マルクはスライドさせながらコーナーを立ち上がってるように見えますね。ステップの上で立ち上がってるでしょ。これは500の時はよくやっていたことです。加速したかったら立ち上がってステップに全体重を掛けなきゃならなかったんです。そうやってリアグリップを稼いでスライドを減らしていた。
 ヘルメットでスクリーンを割っちゃうことも良くありましたね。ウィリーを避けるためにすごい早さで体を前に動かしてたんですよ。あと彼が左のハンドルを引いて、右側を押してるのがわかるでしょ。これはストレートに向けてマシンを右に持っていきたいからなんです。またライダーがいろいろやるようになるのが見られて嬉しいですね。だってマシンの上にどっかり座ってアンチ・ウィリーが全部やってくれるのを見るなんてバカみたいですからね」

マルケスはここで左コーナーを立ち上がりながらマシンが半時計周りの弧を書き続けるのを止めようとしている。サロンはこの分析をずいぶん楽しんでいるようだ。

「これについてはかなりいい説明がありますよ。パワーのあるMotoGPでならわかるんですけど、でもなんでMoto2やMoto3マシンをストレートで蛇行させるのか理解できないんです。だって走る距離が増えちゃうでしょ。それは理屈に合わない。それにそんなことをしたら加速が鈍ってしまう。マシンを傾けるってのは4輪で言えばハンドルを切ってるようなものなんです。パワーがロスしてまう。そうしないためにはマシンと戦わなきゃならない。それもたいへんなんです。すぐマシンを起こして完全に真っ直ぐ走らせるなんてことはできないんです。だからそこは待たなきゃならないんです。マルクの場合、彼は自分がやるべきとができるまで待って、そうなってから右ステップを踏んでマシンを起こして、だからマシンは左に回りすぎないってことになって、そこから彼はストレートを最短距離で走って行く。
 何年も前にヤマハフランスの500GPチームを運営していたときにニール・マッケンジーとエイドリアン・モリラスを走らせていたんですけど、ポールリカールでプライベートテストをやったことがありました。ミストラルで立ち上がってくるとき、彼らはストレートなのに蛇行していた。それで僕は頭にきたんです!考えればわかるだろってね。蛇行しなければ距離を稼げるしスピードも乗る。スピードガンを持ってたんで僕が彼のマシンに乗ってマルクがこの写真でやってみるみたいなことをやってみせたんです。そうしたらストレートエンドで時速にして4〜5kmは稼げた。もちろんそれは楽なことじゃないし、複雑なんですけどね!」
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自分で乗ってみせるチームマネジャーw。

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公式プレビュー>アメリカズGP2017

ヤマハドゥカティ(英語)ホンダアプリリア(英語)スズキ(英語)、KTM(未)。

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MotoGP:カル・クラッチローへのインタビュー

CRASH.netがカル・クラッチローへの独占インタビューを行ってるので訳出。意外に大人な仕事っぷりをどうぞ。
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今シーズンの初表彰台を飾ったアルゼンチンGPの直前、我々は二度の優勝経験を持つカル・クラッチローへのインタビューを行い、彼に現在の状態、2018年の選択肢、そしてこれから5年後の自分がどれくらいのレベルで戦えていると思うかについてたずねてみた。

CRASH.net:これまでと同じくらい上手く走れていると思いますか?

クラッチロー:いままでにないくらい強い走りができてると思いますよ。でも去年も同じくらいいい感じで走れてましたけどね。去年はめちゃくちゃ運が悪くて、自分でもやっちゃいけいないミスをしたってだけなんです。でも去年の序盤は自分でも信じられないくらいひどかったですね。マジで現実のこととは思えなかった。でもいい感じで乗れたんです。去年のカタールではまったく理解できないマシンに乗って、でも5位争いができたんです。サム・ロウズは今年同じ状況ですよね。でも2分あたりで走れてる。つまりサムはとんでもなくいい仕事をしてるってことですし、とにかく完走はしてる。信じられないですよ。去年の僕は吹っ飛んでますしね。今年もですけど!
 でもいい感じで乗れてるとは思いますよ。まあいっつも言ってますけどホンダには何でもできるライダーが集まってるんです。僕がテック3で走ってたときは勝てると思ってた。勝ててれば良かったとは今でも思いますよ。あの時勝ててたらもっといい状況にいられたと思いますからね。まあ実際はドゥカティからも出て、ホンダにやってきた。でもそうならなかったのかもなとは思うんです。ヤマハにずっといた可能性もある。ヤマハに残るという選択肢もあったんです。ヤマハ本社も僕に残って欲しいと思ってたんです。まあいろいろあってドゥカティに出て行くことにしたんですけど。この2~3年でライダーとしては成長したと思ってますよ。誰が何と言おうとね。ホンダに乗るってのがどういうことかは乗ってみないと絶対わからないし、マルク・マルケスと同じマシンに乗ってみないとわからないことはあるんです。そういうことなんですよ。奴は本当に凄いことをやってるんです。
 だから質問に答えるなら、確かに最高の状態だってことですね。去年も素晴らしい1年だったし、最高のチームで最高の1年だった。僕の周りのみんなに応えられたしね。だから今年も同じくらいいい年にしたいですね。


CRASH.net:これまで何度もホンダは乗りこなすのが難しいと繰り返し言ってます。RC213Vで速く走れるようになったということはライダーとしても強くなったということですか?

クラッチロー:ホンダにきた最初の年でもそれなりに競争力はあったと思いますよ。飛び抜けてたわけではなかったけどね。最高のシーズンだったとも言えないけど速いコースもあったし。3年間で3つのメーカーのマシンを理解したんですよ。ホンダにとっても僕がヤマハとドゥカティでの経験を持ち込んだのは良い仕事だったと思いますしね。ホンダライダーはみんなホンダにしか乗ってないでしょ。マルクもダニも。ダニは他のメーカーに乗ったことがないし、マルクもそう。だからホンダに移籍した年に僕の経験をつぎこんだのは良かったと思ってます。
 去年はそれ以上のことができた。そして今年はホンダのために仕事をするのが喜びになってます。そうじゃないライダーもいるのはわかってますよ。自分のことしか気に掛けてない。僕はそういうんじゃない新しい段階に来てるっていうか、ワークスのために力を尽くすことが僕自身のためにもなるってのがわかるようになったんです。でもGPを見回しても僕みたいにいろんなマシンに乗った経験のあるライダーはそんなにいないし、僕は他のライダーより自分の乗ってきたマシンを理解している。他のライダーより速くないからって理解が浅いってわけじゃないんですよ。単に彼らがやってることを僕ができないってだけなんです。僕がホンダやマルクのためにやってきたのは、テストで役に立ったり、ワークスライダーより先にパーツを試してそれがうまく使えるようにしたりってことで、そういうことをさんざんやってきたんです。で、そういうことが自分の役にも立ってるんですよ。


CRASH.net:それでちゃんと満足できるんですか?ワークスに役立つようにパーツの開発をするのって、いい結果を手にするのと同じくらい満足です?

クラッチロー:ええ、でも同時にホンダは今苦労しているってのも事実ですね。競争力を付けるには二つのことを同時にしなきゃなんないんだと自信を持って言えますね。ほんとにそうしてほしい…、去年はエンジンと電子制御に集中していた。シャーシはまあほっとかれたって言ってもいいでしょうね。あんまり手を掛けてくれなかった。で、今年もエンジンが中心です。マシンはこの3年変わってないように見える。なんにもやってないとは言わないですよ。ホンダの工場にも行って、みんながすごく一生懸命やってるのも見てますし。ほんとに凄いんですよ。休みなく働いている。HRCの日本人のエンジニアもイタリア人のエンジニアも、あと僕のチームもみんな休みなしで働いている。でも他のメーカーと比べるとあまり改善が進んでない。ホンダのライダーって他のライダーより良いライダーだってほんとに思うんですよ。でもフォルガーとかザルコの方が注目されてる。あれはバランスの取れたマシンに乗って、だからあの速さがあるんです。別に世界最高のライダーってわけじゃない。って僕は思うんです。それは本当にそうなんですよ。もしホンダに乗ったらティト(ラバト)みたいな順位になるはず。ティトやジャック(ミラー)をヤマハに乗せたらフォルガーとかザルコみたいに走れる。彼らのマシン(M1)は乗りやすいんです。ほんとに乗りやすい。ホンダとは違う。でもそこに気が付ける人はそれほどいないんですよ。

CRASH.net:今年のマシンで味わっていることって、なんかあなたもレプソルのライダーも2016年に愚痴っていた状況に似ているように見えるんですけど…それってびっくりじゃありません?

クラッチロー:ホンダがなんにもやってないとは言えないですよ。でもマルクは誰にも乗りこなせないマシンを乗りこなしている。ホンダもこちらの言うことに耳を傾けてくれる。でも次のレースに何かもってくればいいってような簡単な話ではないんです。僕らが苦労しているのは加速力とトップスピードなんです。それは馬力の問題じゃない。グリップの問題で、どうやってコーナー脱出の加速を稼ぐかって話なんです。ヤマハはここ何年もスピードでは他のメーカーに負けていた。でもホルヘ(ロレンソ)はタイトルを獲得できたしマシンは最速だった。スムーズだからなんです。グリップのおかげでめっちゃ加速が良かったんです。だからストレートエンドまで行ってもスピードがそれなりに出てる。コーナー脱出で0.2秒くらいもう前に行ってるんですから。うちはコーナー脱出でほんとに苦労してるんです。これはグリップと、あとウィリーのせいですね。もううんざりするほど何回も言ってますし、でもそれほど変化は無い。今年はなんとかなると良いですね。テレビで見てもデータを見ても何を見てもそれははっきりしてる。去年もきつかったけどマルクは凄い戦いをした。今年は、テストで他のメーカーに近づけて、だからみんな今年はいいだろうって言ってました。でも本当の所はライダーが去年より上手く走れるようになって、超頑張ってるから速く見えてるだけなんです。まあ、ことによったら他のメーカーがちょっと遅くなってるのかもですけど。


CRASH.net:「セルヴェラから東京へ」というマルケスの2016年のタイトル獲得を記録したドキュメンタリーでは、マルクはHRCのエンジニアとうまくコミュニケーションできなかったことについて話しています。あるレースで彼は「浮くような感じ」とはどういうことかと尋ねられてるんですね。それまでも何度か説明したことがあるにもかかわらずです。そういったコミュニケーションの問題というのも大事なことなんですか?

クラッチロー:GPにはほかに浮くようなバイクなんて1台もないんですけどね。まあ信じられないでしょ。僕らはいつもコーナー中盤ではマシンまかせなんです。リアが回ってきて、次にフロントがついてくるのを待つ。ブレーキをリリースしてからスロットルを開けるまでの時間のギャップってすごく大きく感じるんですよ。マシンが滑ってる最中の話ですからね。でもマルクはダートトラックをやってるからそこのところがすごくうまい。彼はそういう乗り方なんです。125の時からそうですね。Moto2のことは気にしないでほしいですけど。で、今もそれが続いている。あれを真似するのはかなり難しいですね。

言葉の壁については僕はそれほど問題だと思ってないですよ。だって僕は英語をちゃんと話せるし、周りはスペイン語より英語の方が理解してくれるし。あ、でもマルクも英語はうまいと思いますよ。問題は技術スタッフがバイクの経験がないことなんです。他のメーカーだとそういうスタッフがいるし、仲立ちをしてくれる人もいるんです。ヤマハだとウィルコ(ツィーレンベルク)がいる。(ドゥカティの)イタリア人はイタリア語で話してるけど(ミケーレ)ピッロがいて、テストライダーもやってるけど会話の仲立ちもしてくれる。(ダヴィデ)タルドッツィも元レーサーですしね。前はアルベルト(プーチ)がいて彼とはよく話してました。彼はこっちの話をちゃんと理解してくれるんです。でもアルベルトからエンジニアに伝えるのに苦労してましたね。こうした状況を止めたければ止められるでしょうし、それはわかってると思うんですが、まあ言葉の壁はそれほど問題じゃないですね。

(この時ジャック・ミラーがドアから顔をのぞかせた。二人はフリープラクティスや他のライダー、タイヤコンパウンドについて早口でちょっとした意見交換をしていた。そしてその会話の最後にクラッチローは自分をマネジャーにしてくれよ、と冗談を飛ばし、ミラーはにやっと笑いながら去って行った)

CRASH.net:それって将来やろうとしてることなんですか?ジャックみたいな若いライダーのマネジャーをやるってことですが。

クラッチロー:今年はホンダが彼をかなりバックアップしてるんですよ。当然ですよね。ジャックとのプロジェクトを成功させなきゃならないんですから。時間もお金もリソースも注ぎ込んで成功を目指している。ジャックはグリッドでも最高の天才の一人なんですよ。でもホンダに乗って他のバイクに乗った時と同じように戦うってのはかなりたいへんだと思います。でもそれは彼に限った話じゃない。いつでも僕は自分の気持ちを正直に語るんで言いますけど、ジャックのことは気に掛けてますよ。でもレース中はそれは難しい。ライバル心からってわけじゃなくてね。今は彼の手助けをしたいと思ってるんです。だってそれで自分が困るわけじゃないですから。彼が僕を負かせると思います?そんなことはない。だってもし自分でそう思っちゃうなら苦労してレースなんかしてないですよ。彼を手助けしても僕の損にはならない。サム・ロウズを手助けしても僕の損にはならない。さっき言った通りマルクを助けても僕の損にはならない。だってそれは僕の得にもなるんですから。
 結局みんな自分勝手だってことなんですよ。僕はいつでも自分が信じていることや感じていることを口に出してきたいですね。もしダニ・ペドロサがヤマハに乗ってたらずっと前にタイトルを獲れたでしょうね。もしマルク・マルケスがドゥカティに乗ってもすぐにタイトルを獲れるでしょう。あとマーヴェリックは、ヤマハに乗ってずいぶん強さが増しましたね。
給をちゃんともらって、それで3レースごとにメーカーを変えるってやつですよね。僕にしてみれば史上最高のシリーズになりますよ。もちろんそんなことは起こらないでしょうけどね。MotoGPライダーはみんなすごいお金をもらうんだけど、そのかなりの部分をメーカーからのボーナスでまかなう。僕にしてみればそんなシステムだったらタイトル獲得のチャンスもかなり出てくると思いますよ。最高ですね!リヴィオもそんなことができるわけはないと言ってますけど。でもかなり面白いでしょ。うちでゆっくりしてるときにそんなことも考えるんです。僕は他のメーカーがどんなことをやってるかも知っているし、どのメーカーのマシンでも速いことは証明しているわけですから。
 僕の次の目標は何か別のことをすることですね。それとも前にやってみたことをもう一回やるか。でも今は自分の居場所に満足してるんです。知っての通り2017年終わりで契約が切れるんですよね。もちろん残留オファーはもらってます。


CRASH.net:このチームに?

クラッチロー:ええ、このチームです。


CRASH.net:でも他のメーカーに移籍する可能性もあると?

クラッチロー:ええ、そこはじっくり考えたいですね。今のところホンダより良いメーカーからはオファーはないですけどね。そんなに良いところからはきてない。ワークスの話だけじゃなくてサテライトも含めて考えますよ。そこは一緒に考えてもいいでしょう。その方が楽しい。みんな違うレースが見たいでしょ?みんな次の年は別のマシンに乗ってるのが見たいんですよ。あと誰かが苦労するのも見たい。僕は他の誰とも違うことがしたいんです。だからいつも1年契約なんです。自分の心に従ってるんですよ。まあ僕のコメントとかも普通じゃないでしょうね。でも変えるつもりはないですよ。僕のことをたくさん取り上げてもらえるのも取材が多いのも友達やファンが多いのも、僕の素顔を評価してくれてるんだろうと思うし、それが普通のことでしょ。
 もし妻か娘か誰か僕の近い人に間違ってるって言われたら、その意見には耳を傾けますよ。もし誰かがブレーキの突っ込みが甘いって言われたら、いやぎりぎりでやってるよって言い返しますけど、妻が同じことを言ったらもう少し突っ込んでみますね!

CRASH.net:いま来ているオファーは2年契約なんですか?

クラッチロー:それについては話せる状態じゃないですけど長期的な契約になりますね。少なくとも1年よりは長いです。でももう1年ってのが限界かな。さっき言った通り違うことがしたいんです。たぶん1年以上はいやなんですよ。それが僕のやり方なんです。僕の気持ちはそうですね。ホンダがどういうつもりなのかはわからないです。ルーチョ・チェッキネロ:チームオーナー)がホンダと続けるつもりなのかどうかもわからない。そこは知らないんです。


CRASH.net:あなたのHRCへの貢献を考えたら、もしホンダを離れるならどこか別のワークスで走るか、少なくともワークス契約があるってことだろうと思うんですが?

クラッチロー:ええ、良いマシンと良いチームが望みですからね。他にも良いマシンや良いチームがある。もちろん今のチームは気に入ってますよ。僕が他のメーカーのマシンに乗るとしてルーチョも別メーカーに乗り換えないとも限らない。自分のことはサテライト最速だと思ってます。それは間違いないでしょう。でも他のメーカーのマシンに乗ってるライダーも、さっき言った通り苦労したり上手くいったりしている。とにかくあらゆる可能性を考えたいんです。もちろんワークスヤマハには行けないですけどね。それは無理だってわかってます。


CRASH.net:LCRホンダ唯一のライダーになって今年で2年目です。チームメイトがいれば助かったと思ったりします?

クラッチロー:今はそうですね。バカみたいに聞こえるかもしれませんけど、飽きてきたんです。唯一のライダーでいるってのにね。プレッシャーは自分一人に掛かってくる。チームのために結果を出さなきゃならないですから。レースになれば60人とか50人のスタッフがチームのために働いて、みんな僕が結果を出すのを待ち望んでいる。結果を出せなければ、ってこれまであまりそういうことはなかったですけど、そうなればみんな何しに来たんだってなっちゃう。チームメイトがいた方がいいんですけど、でもルーチョとはすごくうまくやれてますね。チームメイトがいないのは予算の問題じゃないと思います。まあ本当の所はわからないですけど、予算の問題じゃないのは知ってる。来年は変わるかもしれませんね。僕の他に二人のライダーをルーチョが見つけられるといいですけどね。管理するのはそうとうたいへんでしょうけど!僕も多少は計画について知ってるけど僕が言うことじゃないですね。


CRASH.net:ヴァレンティーノ・ロッシは40歳になっても走ってそうですね。あなたは31歳で、まだポールも表彰台も狙える速さがあります。どれくらい長くやれそうですか?

クラッチロー:最近そういうことを考えるようになりましたね。あんまりいいことじゃないですけど。


CRASH.net:父親になってからということですか?

クラッチロー:それはわからないですね。さっき言った通り速く走ればどんどん強くなるわけで、その分いつまで走れるかとか考えなくて済む。そういうことを考えるのは空港の中を歩いているときとか飛行機の中とか、あと家の中で外は大雨のときとか、そういう時なんですよね。
 でもまだモチベーションはありますからね。だから走っていたいですね。バイクにまたがって走り出せば、それはきついことだけど、でもちゃんと帰ってくる。それがレースってもんなんです。それにすごく気持ちを高めてくれる。今のところやめるつもりは全然ないですよ。でもインタビューで百万回言ってますけど、ある朝目が醒めてモチベーションがなくなってたら、きっぱり辞めますよ。走るのにそれほど理由はないんです。走る必要はないんです。レースをしなくてもやっていける。暮らしていくだけなら、残りの人生楽しく安楽にやっていけるんです。ビジネスから利益も出ているし、投資もしている。でもまだレースのことが大好きで、だから走り続けてるんです。
 でも旅暮らしにも飽きてきましたね。そこはきつくなっている。最高の状態で飛行機には乗せてもらってますよ。そこは楽させてもらってます。ルーチョがすごく気を遣って僕の移動をサポートしてくれてますから。そこは全然ケチらないで予算も削ったりしない。Moto3の子たちはみんなたいてい僕より遥かにひどい状態で異動している。でもそういうのはずっとやってきて、まだ移動を続けなきゃならなくって、それは最悪ですね。
 で、今僕にはウィロー(訳注:去年生まれた娘)がいる。あと2年もすれば彼女を世界中連れ回すのも難しくなるだろうし、一か所に腰を落ち着けて友達を作りたくなるだろうね。それに彼女が嫌がるならパドックに連れてくることもない。パドック以外の世界で生きていくことになるだろう。彼女は僕の娘で、僕は彼女のためにできるだけのことをしてあげたい。妻も娘のためにできるだけのことをしたいと思ってるし、だからいろんな計画をたくさん作ってるんです。まあこれからのことですけど。
 だからあと2年でやめようとか、そういうことではない。5年後にはやめてるってことでもない。もちろん来年やめるということでもない。いつかは辞めることになるけど、それがいつかはわからない。次のレースのことだけを考えているんです。それ以外は意味がない。も今年の初めにタイトル争いができるくらい良い状態だと信じてるって言ってるとしても、実際このパッケージだとかなり厳しいですね。「OK、チャレンジだ」って感じで。これからも良いレースもあれば辛いレースもあるでしょう。でも去年よりは速いと思うし、それはいいことですね。中には去年より遅くなってるライダーもいるわけですし。
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意外な一面が出てきたインタビューかも。でも「ルーシーが言ったらもう少しブレーキングで突っ込むよ」ってのは相変わらず。

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ホンダの「大脱走」

今回のアルゼンチンも荒れましたが、そこには「外の世界」が影響していたというMat Oxley氏の記事。歴史のお勉強もかねてMotor Sport Magazineより。
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違うタイヤだったら世界タイトルを争うレース違う結果になっていたかもしれない。しかし外の世界がモータースポーツに影響を及ぼすのはこれが初めてでは決してないのだ。

MotoGPが開催される週末、楽しいことはたくさんある。しかし何より素敵なのはMotoGPという殻に数日閉じこもって悪意に満ちた広い外の世界を束の間忘れられることである。

とは言えその悪意に満ちた広い世界のせいで殻にひびが入ることもある。ほぼきっかり35年前の1982年アルゼンチンGPで起こったのがそれだ。フォークランド戦争が起こったときの話である。パドックのほとんどのチームはぎりぎりのところでアルゼンチンを出国できたのだが、一部のかわいそうなイギリスチームはロンドンではなくマドリッドで降ろされることになってしまった。アルゼンチン航空が英国領に踏み込むリスクを冒そうとはしなかったのである。

今年のアルゼンチンGPも外の世界の影響を受けることとなった。木曜に行われた全国一斉ストライキのためにミシュランのハード側フロントスリックがテルマス・デ・リオ・オンドに時間通りに到着しなかったのである。この影響を誰よりも受けたのがレプソル・ホンダであるのは間違いないだろう。日曜の決勝、ライダーは二人ともフロントからのクラッシュでリタイヤしているのだ。マルク・マルケスとダニ・ペドロサは開幕戦カタールの後に、より硬いフロントを要求した5人の内の2人なのである。残りの3人はホンダの第三の男カル。クラッチロー、そしてアンドレア・イアンノーネとヴァレンティーノ・ロッシである。みなフロントに問題を抱えていたと言われている。

誰よりそのタイヤを必要としていたのはホンダのライダーたちだ。RC213Vはブリヂストン製のウルトラハイパフォーマンスのスリックの性能をブレーキング、そしてコーナー進入で最大限に引き出していたマシンである。その基本的な特性は変わっていないことから、いまだに彼らは硬いフロントを必要としているのだ。もし一斉ストライキが発生せずライダーが硬いタイヤを使うことができていたら日曜の結果は変わっていたかもしれない。

4周目、フロントが暴れたままマルケスは左の2コーナーになんとかマシンを向けようとしていた。1コーナーと2コーナーの間のバンプのせいでRCVのサスがすこしだけ不安定になり一瞬荷重が抜けた後、こんどはフロントタイヤに大きな荷重がかかる。彼が転倒するにはそれで充分だった。10周後、同じコーナーでペドロサがそっくりな転倒を喫している。

ミシュランの2017年型フロントタイヤは2016年型よりもできがよさそうだ。今週末のMotoGPクラスの転倒は去年の25回に対して12回。しかしまだライダーに綱渡りを強いる気難しいタイヤでもある。より硬いタイヤであれば、マルケスやペドロサといったライダーにとっては少しだけ許容範囲が広かったのかもしれない。

こんなことを言って申し訳ないのだがミシュランのフロントのおかげでレースはスリリングになっている。身を乗り出すようなレースが増えたのだ。ファンにとってもライダーにとってもだ。もちろん違う意味合いだが。
ファンにとってはたまらない状況だ。1周目から最終ラップまでライダーが技量を尽くして息もつかずにぎりぎりの戦いを繰り広げる。それこそがバイクレースの醍醐味、綱渡りのスリルである。

マルケスとペドロサのことを思うとクラッチローの表彰台復帰は実に賞賛に値する。ロッシからはわずか0.8秒遅れ、勝者のマーヴェリック・ヴィニャーレスからは3.7秒遅れだ。彼は見事に綱渡りを演じて見せたのだ。しかも彼の苦労はヤマハの二人より遥かに大きかったのである。

「マシンから振り落とされないのがやっとでしたね。難しいコンディションではあまりないことですけど」。去年10月のフィリップアイランド以来の完走レースが終わった後、彼はそう言って笑って見せた。「マシンがちょっと暴れるとすぐにフロントからいきそうになるんです」

とは言え最も賞賛されるべきはロッシだろう。38歳の彼は350戦目を勝者からわずか2.9秒遅れでフィニッシュしたのである。彼が1996年3月31日のマレーシアGPでデビューしたときのトップとの差、5.4秒よりも僅かな差だ。そしてそのときヴィニャーレスはまだおむつをしていたころである。

誰にも真似できない彼のキャリアについての大げさな表現に意味がないのは誰もが知っていることだ。もう数年かそれ以上前に私たちはやらかしてしまっているのである。いや、我々ジャーナリストの何人かがやらかしたというのが正確かもしれない。2010年、ヤマハが彼を手放したのは、彼がキャリアの終わりにさしかかっているとヤマハが判断したからである。事実はこうだ。ロッシの能力もレースに注ぐ情熱もレースマシンから彼が得る痺れるような喜びも、なにもかもが我々の理解を越えているのだ。日曜のレースの直前、ヤマハのフロントホイールの前にうずくまる狡猾な年老いた山羊は、本当に老人のようだった。闘争心は欠片も見えない。そして50分後。表彰台の彼は何歳も若返って見える。アドレナリンとエンドルフィンとシャンパン数滴が体中を駆け巡っている。

ロッシの時代は永遠に続くかのようだ。しかしアルゼンチンGPでは世代交代の兆しも見えた。25周の内の4周目までに過去5年の内にMotoGPタイトルホルダーがいなくなっていたのだ。ヴィニャーレスがやってきてマルケスの記録を打ち破ろうとしているのはマルケスが数年前にホルヘ・ロレンソの邪魔をしたのと同じ状況なのだろうか?

マルケスはすぐに復活するだろうが、ロレンソについてはもう少し長く掛かりそうだ。2010年、2012年、2015年と3回のタイトルを獲っている彼はレースが今より簡単で自分の思い通り正確にマシンを操れたときのことを懐かしんでいるに違いない。ドゥカティ移籍後のこの2戦は天気が味方してくれなかったのも事実である。しかし誰にとっても天気は同じだ。つまり癖のないライダーに優しいマシンが大きな違いを産むということなのである。

ロレンソのことはかわいそうには思わない。私は怪我をしない限りレーサーを気の毒に思うことはないのだ。ニッキー・ヘイデンがかつて自分の仕事についてこう言っている。「排水溝を作ってるわけじゃないんだ」。ロレンソは今苦労しているのは確かだが、彼はそれでもこの地球上で最も恵まれた人間の一人なのだ。

さて、話題を戻そう。バイクレースと悪意に満ちた広い世界の話だ。世界的な事件がモータースポーツをこれほどひどいかたちで壊したのはおそらく1939年8月をおいて他にはないだろう。このとき多くの世界的なライダーが既にナチに併合されていたオーストリアのザルツブルクの山間部で行われたインターナショナル・シックスデイズ・トライアル(ISDT)に出場していた。その3日目のことだ。ナチとソ連が独ソ不可侵条約を発表する。そしてそれは直後のポーランド侵攻とこれに続く第二次世界大戦を招くことになるのだ。

ISDTに出場していた英国人ライダーやスタッフの多くが軍人だった。彼らはナチとロシア人がポーランドを分割すれば自分たちが危険にさらされることを知っていた。そして当然のこととしてウィーンの英国大使館からはすぐに帰還するようにとの電報が届く。ISDTの4日目そして5日目と英国軍所属のライダーたちは路肩への転落やリタイヤでレースを離れていった。一挙にではなく一人ずつだ。ドイツ人に疑われないためである。しかしこれは彼らの冒険の始まりに過ぎなかった。

ライダーたちは故郷から1千マイルほども離れている。そして彼らにあるのはヨーロッパ内でのレース許可証と手持ちの乗り物だけ。宣戦布告前には英国海峡を越えたい。バイクに乗る者、車を運転する者、サイドカーを勝手に手に入れる者、様々な乗り物で彼らは故郷を目指す。かなりの部分が敵の土地だ。彼らは走り続ける。夜も昼も走り続ける。いつ止められるか、いつ逮捕されるかわからないまま走り続ける。

戦争が終わって数年後、神経をすり減らすようなヨーロッパ横断レースの参加者はこの故郷に向けての旅を「大脱走」と呼んでいる。ドイツは1939年のISDTの勝利を宣言するがFIMは戦後このリザルトを無効にしている。
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うむ。

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MotoGPインタビュー:ヨハン・ザルコ

今年からテック3でMotoGPに参戦しているザルコですが、ヤマハYZR-M1の完成度の高さと乗りやすさもあってフォルガーと共に驚くような成績を挙げています。そんなザルコへの独占インタビューをCRASH.netより。
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デビュー早々からの電光石火のスタートで周りを驚かせているヨハン・ザルコ。Moto2タイトルを2度獲得した彼にアルゼンチンGPの決勝前夜、CRASH.netがインタビューを行った。彼はカタールでのパフォーマンスやMoto2タイトル防衛ときのプレッシャー、そしてヴァレンティーノ・ロッシやマーヴェリック・ヴィニャーレスのデータから学んだことについて語ってくれている。

CRASH.net:カタール開幕戦ではたくさんの人を驚かせましたね。あれから1週間、自分の走りを分析してみてどんなことを思いましたか?

ザルコ:分析してみましたよ。周りも驚いたでしょうが、僕自身も驚いたんですよ!データを分析してもかなり状況がいい感じですし。今年はチャンピオン争いをするつもりなんてありませんし、あんな風にレースを引っ張るなんて開幕戦も考えてもいませんでした。まあ6周で終わっちゃいましたけど、それでもトップで走りましたしね、自信はつきますよ。気持ちの上でもね。あんなことができるってわかったし、実際できた。モチベーションが凄く上がりますね。なのでまた同じような状況で走りたいですね。今度はもっとうまくやれると思うんです。


CRASH.net:2連覇したMoto2時代ではレース序盤は着実に走って、最後に向けて速さが増していくのがいつものやり方でした。カタールではスタートから爆発的に早かったですけど何が変化したんですか?

ザルコ:そこは自分でもまだわかんないんです!ソフトタイヤが効いていたのは間違いないですね。ライバルよりも僕の助けになったんです。あとプレッシャーが全然なかったのも原因かもですね。去年のMoto2とは違ってね。おかげで速く走れたんです。タイトル争いやポイント獲得を考えたら良くないんですけど、プレッシャーはなかった。自分が速く走れないかもってことだけが怖かったんです。でもちゃんと他のライダーより速く走れるところをみせられた。確かに今回のはいつもの僕のスタイルじゃない。もちろん悪くはないことですよ。こういう走りができるのもいいと思うんです。将来に向けて選択肢が増えるわけですから。


CRASH.net:スタートがずるずる遅れていったのにずっと冷静でしたね。ライダーの中には、例えばホルヘ・ロレンソみたいにこういう自体に対処するためのメンタルトレーニングをする人もいますが、あなたはどうやってトレーニングしてるんですか?

ザルコ:さっきった通り去年は連覇を狙っていてプレッシャーが大きかったんです。ずっとプレッシャーを感じ続けていて、プレッシャーと一緒に生きていかなきゃならなかった。それと比べたらグリッドでちょっと長く過ごすくらい大したことじゃないですよね。冷静さを保つ必要はありましたけど、もともと神経質な方じゃないし、だから集中を保てたんです。


CRASH.net:オフシーズン中にヤマハM1に合わせてライディングスタイルを大きく変えたりしたんですか?

ザルコ:ヤマハのマシンに乗れてラッキーでしたね。基本的にヤマハはルーキーに優しいマシンなんです。僕ら二人、僕とヨナスにとってね。だからうまく慣れることができる。いろいろ変えなきゃならないことはあるし、でもヴァレンシアテストの時からマシンのポテンシャルは感じていたのでまずは時間をかけて理解していくことが必要ですね。カタールでここまで走れたのは驚きでしょうけど。自分が予想以上に速く学習してるってことなんでしょう。だからこのペースで攻め続けて行きたいですね。


CRASH.net:このマシンについて何が最大の学習ポイントですか?

ザルコ:最大の学習ポイントが何かってのは言いにくいですね。まだ自分自身を適用させるのとチームに慣れるのに精一杯なんです。考えなきゃならないことがいろいろあるんですよ。仕事のやり方に合わせて自分を変えていくんです。


CRASH.net:カタールでの最終テストでチームメイトが3日目に2番手タイムを記録したときには、彼の方がマシンの限界を出す方法をよりうまく学んでいるとおっしゃっていました。しかも特に気に障っているようでもなく言っていたんですけど、これってライダーとしては珍しいことですよね。これは自分の弱点を認識した上で受け入れるという経験のなせるわざなんですか?

ザルコ:だと思います。バイクについて学んでいるところですからね。そでもすごい高いレベルで毎週学べるんです。おかげで人間としても成長できてるんだと思います。それで、みんながバイク好きだって思えるようになってる。だからもし彼が僕より速いのなら、それはそれで喜ぶべきことなんです。彼はいい奴ですしね。自分より彼が速いからって頭に来たところで自分が速くなるわけじゃない。だったらポジティブでいた方がいいですよね?


CRASH.net:ヴァレンティーノやマーヴェリックのデータは見られるんですよね。彼らが何をやってるか見て驚くようなことはありましたか?

ザルコ:ええ、データとか見られるんですよ。自分のスタイルを彼らと比べてみました。あの二人がどれほどうまくマシンをコントロールしてるか見られるだけでも凄い体験ですね。ラップを重ねて行けば彼らみたいにマシンをコントロールできるようになっていくとは思います。でもそうですね、何に驚いたって、彼らがコンピュータみたいだってことですね。マシンのあらゆる挙動を予測してるんです。あと乗り方も変えながらうまく適応している。だからいつか彼らのように乗れるようになるのも楽しみだし、経験を積めばそこまでいけるじゃないかと楽しみですね。


CRASH.net:それはグリップの変化やガソリンの量に合わせてライディングポジションを変えていったりとか、そいういうことですか?

ザルコ:ええ、そうですね。あとスロットルコントロールとかブレーキングとかフロントとリアとかですね。結局この4つ、スロットル、フロントブレーキ、リアブレーキ、ギアでマシンをコントロールするんです。この4つについては彼らはもう自動的にやっている。僕はまあそうなりつつありますけど、彼らのようになるにはまだ成長しないといけないですね。


CRASH.net:タイトルを2回獲得してますが、2015年と2016年のどちらの方が嬉しかったですか?

ザルコ:両方ですね。確かに普通はあれだけ長いとこ待ち望んだチャンピオンを獲ったんだから最初のタイトルだと思うのかもしれませんけど、2回目はプレッシャーが凄かったですからね。ほんとうにきついこともありました。みんな僕が勝って当然だと思っていて、その中で駆った。だからどっちのタイトルも嬉しかったですし、でもそこで体験したことは全然違うんです。


CRASH.net:16年のタイトル防衛ではほんとうにプレッシャーを感じていたんですね。

ザルコ:ええ。タイトル獲得に向けてのアドバンテージもそれほどなくて、だからプレッシャーもきつかったですね。2015年はほとんど毎戦他ポイント差を広げていった。ランキング2位のライダーとの差をつけられたんです。2位のライダーもいつも入れ替わっていたし。ティト(ラバト)の次は(アレックス)(リンス)で、(トマス)ルティも時々2位になっていた。でも僕はずっとトップでした。ポイント差は1ポイントから10ポイントになって、その後はポイント差がもっと大きかった。でも2016年は違ったんです。


CRASH.net:最近フランスでの報道も増えて注目されるようになってきて、人生が変わってきたと感じますか?

ザルコ:2度目のタイトルでもっと注目を集めるかと思ってたんですけど、そうでもなかったですね。残念なことですけど、おかげで生活は変わらないままです。どこでも思いのままに生きていける。そういう意味では前からうまくやれてるんです。僕が2度目のタイトルを獲ってもあまりみんな注目しなかったんで、「MotoGPでもこんなんだったらどうしよう」って思い始めてました。もしMotoGPで最速になったらフランスでもバイク談義が盛んになると思ってるんです。そうなるんじゃないかって気がしてきてるところですけどね。だってMotoGPで6周トップを走っただけで、僕が2度目のタイトルを獲った時よりみんなバイクの話をするようになってますから。


CRASH.net:アキ・アジョのチームでMoto2を走っている時、チームの雰囲気がすごく大事だといつも言っていました。チームの雰囲気が重要っていうのは…

ザルコ:僕にとってもコーチにとってもチームのスピリットがとても大事なんです。アキとはすごくうまくやれていた。オーストラリアのテストでコーチ(原注:ザルコのマネジャーでもあるローラン・フェロン)も感じていたんですけど、今のチームもすごくいい雰囲気ですね。開幕前でしたけど良いチームにいるんだなあって思えたんです。完璧としか言いようがない。あとは楽しむだけですね。


CRASH.net:フランスのチームで走るというのもチーム移籍を楽にしてますか?

ザルコ:ええ、それは思ってもみませんでしたけど、その通りですね。お互いに前から知り合いでしたし。一緒に仕事したことはなかったですけどね。一緒にやりはじめてみて、なんか前からずっと知ってるみたいな感じでした。


CRASH.net:去年のはじめころはスズキとMotoGP契約ができているように見えたのですが、何があったんでしょうか?

ザルコ:2017年にスズキで走れるという契約ではなかったんです。シーズン中にいろいろ準備してテストもやるってだけでした。結局彼らはリンスを選んだ。でも実際に走ってみて、チームのこともわかってきたいま、良かったんだと思います。ぼくによっては良い方に転がりましたね。


CRASH.net:そもそも今年スズキで走るという目はなかったと言うことですか?サテライトの可能性もなかった?

ザルコ:それはわからないです。そういう話はしていないので。マネジャーがやってくれてますし、彼のことは信頼していますから。


CRASH.net:自分の土地のコースで若手とトレーニングしているのが今でも強い秘訣だとロッシはいつも言っています。あなたもフランス人ライダーのためにレーシングスクールを開催してますけど、これは何かの役に立ってますか?

ザルコ:彼らは(僕と競争するには)まだ若すぎますよ!ロッシについて言えばもう世界選手権レベルのライダーを連れていていて、だから競争でもできる。僕の方は6歳から12歳のライダーで、まだちょっと戦うって年齢じゃないですよね。でも彼らをコースで見ているといろいろわかってくるし、ライディングスタイルの比較もできる。MotoGPやMoto2、Moto3でコースの外から見ているときに今まで気付かなかったことに気付くことがある。だから自分が成長するのにはいいのかもですね。


CRASH.net:レーシングスクールを開催する最大の動機はなんですか?

ザルコ:コーチは僕を個々までのレベルにするのに凄い労力を注いでくれたんです。その彼が「ザルコとここまでやれたんだから、次は一緒に別のライダーを育てよう」って言うんです。そうやっていろんなやり方やレースの方法を伝えていくんです。


CRASH.net:カタールでこれからのシーズンの見方が変わりましたか?今シーズンどこまでやれるか、ということですが。

ザルコ:目標はルーキー・オブ・ザ・イヤーです。そのためにはトップ10に入らないといけないですね。でも開幕戦を終わってみて、トップ6でもいいかなって思うようになりました。だからアルゼンチンの結果しだいですね。
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アルゼンチンではトップから15秒差も5位ですからね。大したものです。

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公式リリース>アルゼンチンGP2017

ヤマハドゥカティ(英語)ホンダアプリリア(英語)スズキKTM(英語)

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公式プレビュー>アルゼンチンGP2017

ヤマハドゥカティ(英語)ホンダアプリリア(英語)スズキ(英語)、KTM(枠だけ空けて待ってる)。

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「また一緒にトップに立つなんて…正直不思議な感じですよ!」

シーズン開幕前の記事ですが、フォロワーの皿さん(@sara_motogp)がとても楽しいパワポを作っていたのを見てやっぱり翻訳することにしました。実は先月やりかけて、やめて、消してしまったのはここだけの秘密だよ。


Motor Sport MagazineよりいつものMat Oxley氏の記事です。
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マーヴェリック・ヴィニャーレスとマルク・マルケスが最初にレースで戦ったのは15年前のことだ。そして今、彼らは最高峰クラスに舞台を写して再び相まみえることになったのである。

mmmvpodium.jpgg

一枚の写真は千語にも勝ると言われる。そしてそれは正しいことが多い。上の写真に写っているのは三人の少年レーサーだ。クレマン・ドゥニコウスキーという名の11歳のフランス人とさらに若い二人のスペイン人だ。彼らの名前はマーヴェリック・ヴィニャーレスとマルク・マルケスという。

もし人生をすごろくに例えることができるなら、ドゥニコウスキーは2年ほどは二人より先にコマを進めることができた。2006年のルマンでGPデビューを果たしているのだ。マルケスに先立つこと2年、ヴィニャーレスより5年も早かったのだ。しかし彼らが着実にコマを進めている一方でドゥニコウスキーは「マスを戻れ」の指示で後ろに下がってしまっていた。彼はスポンサー探しに苦労したままいつの間にか消えてしまったのだ。

この表彰台の写真はドゥニコウスキーがカタルニア50ccメトラキット選手権で2位に入ったときのものだ。このシリーズは伝統あるペニャ・モトリスタ・バルセロナクラブが運営するものだ。7歳のヴィニャーレスが優勝、そして9歳のマルケスは3位となっている。日付は2002年9月。ちょうどヴァレンティーノ・ロッシが初の4ストMotoGPタイトルを決めた頃だ。写真のマルケスは結果に満足していないように見える。

それもそのはず。(そうは見えないが)彼はヴィニャーレスより2歳歳上で、既に11馬力のメトラキット用バイクを卒業し、その頃は少し速いコンティ杯用マシンで走っていたのだ。その年の終わり、メトラキットシリーズのプロモーターがワイルドカードとして彼を2戦走らせたのである。しかしメトラキットのレギュラーライダーであるヴィニャーレスがマシンを完璧に乗りこなしていた。それがこの結果なのだ。そして年下に負かされて平気な子供などいないのだ。

「バトルはしましたね」とマルケスは言うが、ゴーカートコースでヴィニャーレスと戦ったことについてはあまりはっきり覚えていない様子だ。「だいたい同じくらいのレベルで、彼が勝ったんじゃないかな…」

ヴィニャーレスの記憶はさらにあいまいだ。「覚えてないですねえ、すごい昔のことだから」と彼は笑って言った。「今また二人でトップに立ってるなんて、正直不思議な感じですね!」

マルケスの方が当時のミニバイクレースのことを良く覚えているようだ。「レースが終わると子供たちはみんなあつまってサッカーをしたり自転車とかスケボー乗り回してましたね。

その13年後、同じ二人が同じレースで走ることになる。2015年のMotoGPシリーズだ。マルケスはチャンピオンとして、ヴィニャーレスはルーキーとして。以来2年間、彼らはバイクレースの最高の栄誉を目指して戦い続けている。だぶだぶのツナギも薄っぺらいトロフィーも遠い昔の話だ。彼らが戦っているのはこの地球で最高のバイクレーサーを決める戦いだ。そしてチャンピオンともなればとんでもない量の戦利品を手にすることができる。

二人がいつかMotoGPで再会すると2002年のあの日に予言するのは簡単そうに見えるかもしれないが決してそんなことはない。ほとんどのレーサーは長期的視点から目標を設定したりはしないのである。せいぜい2〜3年先のことしか考えていないし、マルケスもヴィニャーレスも同じだ。

「子供の頃はただ楽しんでいただけですね」とマルケスは言う。「11歳とか12歳のころは本当に125に乗りたかったし、だからGPの125に行きたかった。でも本当のことを言うと世界GPを走り始めたときはMotoGPのことなんて頭になかったですね。125でトップになりたかったんです。で、2010年、17歳の時に125のタイトル争いができて、そこでMotoGPのことを考え始めたんです。トップライダーのいるクラスに行きたいってね」

ヴィニャーレスもほぼ同じだったようだ。「そうですねぇ、MotoGPに行けるって思ったのは125で走り始めて3戦目で優勝した時くらいでしょうか。その頃から、僕ならできるって思うようになったんです」。2011年のルマンのことだ。その同じ日、マルケスはMoto2での初優勝を飾っている。彼らは今でも1歩か2歩先のことしか考えていないのだ。

この4年間で3回のMotoGPタイトルをレプソル・ホンダで獲得しているマルケスは2017年に何が待ち受けているのか良くわかっている。「マーヴェリックはハートが強いんですよ。物静かなのにコース上ではアグレッシブで攻め続けることができるんです。もうスズキのときからもの凄く速くて、今年はヤマハでもっと速いんでしょうね。彼は速い上に安定しているしプレッシャーもコントロールできる。つまりタイトル争いができるってことなんです」

ヴィニャーレスはヤマハYZR-M1を駆ってプレシーズンテストで圧倒的速さを見せた。そしてこれからもますます速く、強くなるだろう。彼はモヴィスターのチームメイトであるヴァレンティーノ・ロッシとチーフメカのラモン・フォルカダから多くを学んでいる最中なのだ。フォルカダはヤマハで9シーズンにわたってホルヘ・ロレンソを監督していたのだ。

「ヴァレンティーノのデータを見ると学ぶことばかりですね」とヴィニャーレスは言う。「例えば同じコーナーから立ち上がるときでも彼はリアブレーキを使って挙動を穏やかにしながらスロットルを少し遅らせて開けてるんです。ヴァレンティーノは本当に加速が上手くて、特に統一ソフトウェアになってからはすごいですね。
 スズキとヤマハは少し似てるんです。フレンドリーなところとかね。でも自分のライディングスタイルも少し変えなきゃならない。僕は時々乱暴に乗りすぎることがあるんでブレーキを掛けるべきときは掛けてマシンをコーナリングスピードをのせたままうまく曲げられるようにならないといけないと思ってます。ヤマハのコーナーでのトラクションはすごく安定しているのでコーナー進入時とコーナリング中のスピードをかせぐことができるんです。
 ラモンは経験豊かなんです。僕にどうやってM1から100%の力を引き出すかを教えてくれるし、マシンのこともよくわかっていてセッティングの方向性もきちんとわかっている。ラモンといっしょにやったおかげで少しスムーズにやれるようになってきましたね」

マルケスとヴィニャーレスには今年多くのプレッシャーがかかっている。こうしたプレッシャーが両肩にのしかかる状況についてはマルケスの方が良くわかっていると思うだろう。しかしヴィニャーレスはいつでも氷のようにクールに見える。

「今のところは去年よりプレッシャーは少ないですね」とマルケスは言う。「去年よりモチベーションは高いですけどプレッシャーは少なくて、でも目標は変わらない。去年のプレッシャーは凄かったですね。2015年に自分のミスでタイトルを逃したからなんですが。だから本当にプレッシャーが大きかった。自分のためにもスポンサーのためにもホンダのためにもタイトルを逃すわけにはいかなかったんです」

マルケスとヴィニャーレスには明らかに共通した部分がある。二人とも去年はミシュランのフロントスリックに完璧に対応していた。おそらく今のMotoGPにおいて最も重要なスキルである。マルケスがタイトルを獲得できたのはタイヤを使いこなす彼の能力のおかげとも言えるだろう。一方ヴィニャーレスは以前のMotoGPタイヤであるブリヂストンの時よりミシュランでの方が転倒が少なかった数少ないライダーである。

これはライディングテクニックの問題でもありピット戦略の問題でもある。

「去年は1周目から攻めて走るってやらなかったんですよ。ミシュランでは絶対ね」とヴィニャーレスは解説する。「あとミシュランからできるだけいい情報をもらうように努めてたんです。あるコンパウンドで誰かがクラッシュしたらそれは使わない。何か問題があるってことですからね。ハードの方が速く走れることもあるけどそれで1周走りきれるかどうかはわからない。だからどれが良いのか理解するためにいろいろやるんです。でも今はタイヤがかなり良くなっているんです。フロントタイヤからウォーニングが感じられるんです」

現在も開発が進むミシュランだが、特にフロントの改善が著しく、他のライダーもマルケスやヴィニャーレスについて行けるようになってきた。一方、ヴィニャーレスはマルケスをかつてないほど追い詰めているが、これが二人を新たなレベルに引き上げて、他のライダーを再び置き去りにするのだ。

おそらく新型ビッグバンエンジンを搭載したRC213Vはマルケスを新たな境地に導くことになるだろう。もちろん現時点でははっきりしたことは言えないが。「新型エンジンはトラクションに優れている部分がありますね」と彼は言う。「でも電子制御も根本から見直しになるんで、まだまだやることがたくさんあるんです」

これはメトラキットのミニバイクの23倍のパワーを誇るマシンで争われる2017年の一騎打ちは実に見応えがあるだろう。

既に二人の間ではちょっとした諍いが始まっている。先月のフィリップアイランドでのテストでマルケスがレースシミュレーション中のヴィニャーレスを追いかけたのだ。ヴィニャーレスはこれが気に入らなかった。しかしセパンテストの序盤で今度はヴィニャーレスがマルケスに対して全く同じことをしている。

「ちょっとふざけてみたんです。おもしろくってね」とその時ヴィニャーレスは語っている。「もう僕らはお互いを気にしながら自分たちの立ち位置を確認してるんです」

そして両者共にコース上でのバトルは大歓迎だ。

「すごくいいバトルになるでしょうね」とヴィニャーレスは重ねて言う。「乗り方は違うんですよね。僕はマシンの全てをコントロール下におきたい。でもマルクはすごくアグレッシブなライダーなんです。でも僕もアグレッシブにやらなきゃならないときにはやりますよ。もしマシンをねじ込まなきゃならなければ、そこにねじ込みますから。怖さは感じないですね。実際抜くときにちょっと接触したりはしますし…でもそれがレースってものでしょ?アレイシ(エスパルガロ)と去年バトルしましたけど、あるレースでは6〜7回接触しましたね。でも最後にマシンから降りれば笑い合ってました」

そしてマルケスがやられたらやり返すというバトルが大好きなのは誰もが知っていることだ。「僕の抜き方はアグレッシブですよ。だからみんなが僕に同じことをするだろうと思ってますしね」と彼はにやりと笑って言うのだ。
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ををを、マルケスも早く速さを取り戻してほしいですね!!楽しみ楽しみ。

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ありがとうございます!

青山さんからはKampa!をいただくし、Key3からはメッツをいただくし、小躍りしている春の宵です。

ほんとに励みになります!
ありがとうございました!!
20170403_200916_2


<追記>
bbさんからも!!まじありがとうございます!

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【不定期ポスト】気が向いたらよろしくお願いしますm(__)m

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猿でもわかるMotoGPガイド by カル・クラッチロー

イギリスのGQ誌のサイトに去年の9月記事ですがおもしろいのがあったので訳出。クラッチローがMotoGPのなんたるかについて解説してくれます。
ちなみにGQってのは男性向けファッション・カルチャー誌で、まあブルータスとレオンを足して2で割りつつもブルータスに寄せたような感じかな?
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ヴァレンティーノ・ロッシと聞いて、どこの洋服ブランド?と思うようなあなたのための記事である。MotoGPは最高峰のバイクレースのカテゴリーで今週もまた多くのファンが熱狂するのだ。というわけでニースライダーからハイサイドにいたるまで、それがどんなものかを教えることにしよう。教えてくれるのはBTスポーツの大使でLCRホンダのMotoGPライダーであるカル・クラッチローだ。35年ぶりに最高峰クラスで優勝した英国人である彼が時速300kmを越える戦いについて解説してくれる。

MotoGPマシンは買えません

 公道用バイクってのがフォードのフォーカスだとするとMotoGPマシンはルイス・ハミルトンのF1みたいなものですね。普通は僕らが乗ってるマシンを買うことはできないんです。何もかも秘密に覆われていて、何もかも特注品で何もかも完璧に組み合わさってる。あらゆるパーツがレゴみたいにかっちりはまるんです。値段は付けられないですよ。もしホンダに「このマシンはいくらするの?」って尋ねても彼らも答えられないんです。だって研究とか開発のコストも含まれてますからね。


MotoGPの速さは凄いけど自分ではわからない

 スピードはねえ、気にしないですね。テスト初日だと冬にがっつり休むんで「うっわ、神様!すっげー速ぇえ!」って思いますけど、半日もすると、もっとパワーをってなるんですよ。スピードなんてすぐになれちゃうんです。230km/h越えちゃうとあとは同じですね。そこまでいっちゃとワープする感じで視界がめっちゃ狭くなるんです。でも230km/hから350km/hまでは全然違いがわからないですね。


ニースライダーだけじゃなくてエルボースライダーのことも忘れないで

 ライダーが膝を地面に着けるようになったのはずいぶん前ですね。マシンが寝かせられるようになったからなんです。今ぼくらが膝を着くのは別の理由ですね。センサーとして使ってるんです。どれくらい寝てるかどうかを探るためですよ。そして今は肘まで接地するようになってるんです。これはマシンをどんどん寝かせるようになったからなんです。マシンの方向を変えたければ寝かせればいいんです。寝かせれば寝かせるほど体が地面に近づいていく。そうやって物理の法則に対抗してるんです。


タイヤは間違えないよう

 タイヤで地面に接しているんで、だからタイヤ選択は完璧じゃないといけない。ドライタイヤというのはつるつるで、表面に溝がないんです。なんでかって言うと単純な話で、熱を持ちにくくてグリップがいいんです。インターミディエイトはドライタイヤに似てますけど少し溝を切ってある。そうやって冷えた路面でも熱を持たせることができるんです。
 ウェットタイヤは全然違いますね。できるだけたくさん溝を掘って排水するようにできている。溝が多ければそれだけ水を排出できますからね。その分だけグリップが増す。スリックで雨の中を走ったらピットレーンを出たとたんに転んじゃいますよ。全然グリップしないんです。ウェットタイヤでドライ路面を走ることもできますけど、めっちゃめちゃ熱くなっちゃいますね。


ハイサイドは怪我をしがちなクラッシュ

 ハイサイドというのはマシンの上に飛ばされる感じなんですが、リアタイヤが滑るときに起こるんです。普通はアクセルを開けすぎたり、アクセルの開け方に対してグリップが少なすぎたりするときにでるものですね。それでリアタイヤが滑り出しちゃうんです。で突然またグリップする。そうすると自分が上にとばされちゃうんです。それでハイサイドって言うんですよ。実際それで怪我することは多いですね。


ローサイドはもう少しエレガント

 ローサイド(訳注:日本ではフロントからの転倒)はただ転ぶって感じです。たいていはマシンの内側に体がいっちゃいますね。これはいろんな原因があるんですが、普通はブレーキをかけすぎて、その時のマシンの傾きやスピードも合わせるとフロントタイヤが強いブレーキに耐えられなくなって起こっちゃうんです。よくあるんですけど、フロントタイヤが根を上げちゃうからなんですね。あとフロントの方が小さいんです(訳注:接地面が)。フロントからクラッシュすると地面をマシンと滑っていくんですけど、まあ実に優美な感じですね。


マシンから投げ出されたら?目をつぶるんです

 中には腕を折りたたんで腕や鎖骨を骨折しないようにとかするライダーもいますけど、僕はそうなったら目をつぶった方がいいですね。もう地面に横たわってるんだから眠った方がいいってことですよ。まあ姿勢を変えることもできたりしますけどそんなのは10回に1回くらいですよ。


謎の足出しブレーキングについて

 ドクターズ・ダングル(訳注:ドクター風ぶらぶら足)ってのは(ドクターというニックネームの)ヴァレンティーノロッシが始めたやり方で、足を出すんですよ。彼が最初かどうかは知らないですけどね。「ブレーキングが楽になるし、マシンの向きを変えやすいし、あれとかこれとかに効く」ってみんな言いますけど、まあクソですね。子供の時にモトクロス用自転車に乗って止まれないって思ったことあるでしょ?そうなるとまずは足が出る。僕らはブレーキングゾーンでも限界ぎりぎりで走ってるんです。いつでも止まれないと思いながら走ってる。そうなると足をステップに戻せないんです。まあ違う理由を挙げる人もいますけど、僕の説ではみんな子供なんですよ、止まれないーってなってるだけなんです。


ウェットセッティングとドライセッティングの違いについて

 雨だとマシンを柔らかくしないといけないんです。マシンにかかる力もブレーキもグリップも全然少なくなりますからね。だからマシンを本当に柔らかくする。電子制御を変えて、スプリングを変えて、フロントとリアのスプリングですね。それからマシンを低くするんです。水が排出できるようにですね。


ドリフトはかっこいいけど速いとは限らない

 速くなるときとならないときがあるんです。リアを出口に向けてうまくスライドさせていけばマシンを曲げるのには役立ちますね。上手く曲げられなかったらもっとスロットルを開けてスピンさせるんです。でもそうするとハイサイドになる危険性が増すんです。だからきっちりリアでマシンを曲げていかなきゃいけない。コーナーに入っていくときにも同じですね。もしうまくコーナーに入れなければマシンをロックさせて行きたい方向にマシンを向ける。最高の乗り方とは言えないですね。でも格好いい。


腕上がりについて語る

 バイクに乗るのは肉体的に本当にめちゃきついんです。特にホンダは難しい。だから腕上がりになっちゃうんです。腕上がりって言うのは腕の力が出なくなることなんですけど、これは前腕の筋肉が大きくなりすぎるから起こるんです。筋肉は膜に覆われていて、膜に対して筋肉が大きくなりすぎると酸素が行き渡らなくなる。それでたくさんのライダーが腕にメスを入れるんです。僕も両腕やってます。腕を切り開いて、膜を切るんです。筋膜っていうんですけどね。そうやって酸素が行くようにする。そうしてからまた閉じる。僕は何回か手術してます。2006年と2011年と2014年ですね。まだ完全には治ってないですよ。腕ってのはやっかいなんです。
 背の高い連中には起こらないんですよね。奴らの筋繊維は長いんです。


他のライダーを転ばせようったって

 前を誰かが走っていたら抜かなきゃならない。もし誰かが後ろにいたら抜かせるわけにはいかない。そういうときにお互いが違うことを考えてることもあるんです。どこで抜くかとか、どこが弱いかとか、どこが強いかとか、相手が誰かとかね。
 シルバーストンではマルク(マルケス:同じホンダのライダーでメーカー直営のレプソルチームのライダー)を抜くのに躊躇はなかった。でも僕にお金を払ってるのはホンダで、彼はランキングトップだってことは気にはしますね。だから彼を抜くときには、彼が僕をぬくときより少しだけ気を遣ってますね。僕はライバルを尊敬してますよ。結果として誰かを転ばせたこともありますし、きっとまたやっちゃうと思いますけど、でもわざとやらなきゃならないなんてことは絶対ないんです。それは信じてますよ。


史上最高のライダーが今ここで走っている

 過去からずっと見てみればバリー・シーン(二回タイトルを獲得した英国人)やケヴィン・シュワンツ(1993年のチャンピオンの米国人)、ヴァレンティーノ・ロッシ(MotoGPタイトルを7回獲得しているイタリア人)、ランディ・マモラ(タイトルを獲得していない最も偉大なライダーの一人)がいる。もちろんほかにも10人くらいはいるはずですね。ミック・ドゥーハン(5回連続タイトルを獲得しているオーストラリア人)とか史上最高の一人ですよね。でも今はマルク・マルケス(二度のタイトルを獲得し、史上最年少のMotoGPチャンピオンのスペイン人)が最高ですね。彼はキャリア最高の時期を迎えている。マシンはライバルほど戦闘力はないんだけど、彼がまじすごいんですよ。あとホルヘ(ロレンソ。2015年のMotoGPチャンピオン)は3回タイトルを獲得している。だからほんとにめっちゃたくさんのすごいライダーが走ってるんです。
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ブレーキングでの足だし、こどもが「わーっ」ってなってるのと同じ説www。

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カタールGP:神々の掌の上で

いやはや、天候に翻弄されましたがレース自体はたいへん素晴らしかったですね。そんな開幕戦についてMat Oxley氏が書いてます。Motor Sport Magazineより。
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人の企てを神が笑う。カタールGPの4日間、パドックを右往左往する何千ものか弱き人々を嘲笑しながら雲の上の天気の神がノアの洪水もかくやという豪雨を続けざまに叩きつけて混乱をもたらしているのを我々はただ見守るほかなかった。

週末のスケジュールは雨にのせいで崩壊し、そのまま最後まで確定できなかった。雨の神の他は誰一人何がどうなるのかを把握しておらず、そして神は週末を通じて石油王たちの傲慢さと溢れる光に満ちた虚栄のイベントをあざ笑い続けたのである。そのイベントには世界最大級のガス田の上に住む誇大妄想狂の連中がおそろしい程の金を注ぎ込んでいる。1台3万ユーロ(450万円)ディーゼル発電機が44台、電線500km、3000トンのコンクリートを注ぎ込み電気の力で夜を昼に変えているのだ。本当に彼らは自然を支配できたのか?

そんなことはなかった。人間がドライ路面を欲しているとき、神は再び豪雨をもたらす。そして時速340kmで走るライダーが540万ワットの目も眩むような灯りの中で雨に濡れたシールド越しに路面が路面が見えるか確認できるよう人間がウェット路面を欲すれば、雨の神は強い風でアスファルトを乾かしてしまいセッションは中止となる。新しい展開だ。コースがドライなせいでプラクティスが中止になったのだ。

今回の大混乱はまるで1992年のブラジルGPのようだった。サンパウロのインテルラゴスF1サーキットで初めて開催された時のことだ。そしてこれが最後の開催となる。ケヴィン・シュワンツ、ミック・ドゥーハン、ウェイン・レイニー、エディー・ローソンを含むあらゆるライダーがコースを安全ではないと主張していた。F1ブラジルGPをテレビで見た彼らは最終コーナーの巨大な壁を気にしていたのだ。フルスロットルで走り抜ける高速コーナーで、ハイサイドでも喰らえばリオデジャネイロあたりまで飛ばされかねないコーナーなのだ。

そこでライダーはGP優勝経験もある安全担当のデディエ・デ・ラディゲスをコースに派遣し、報告を聞くことにした。デ・ラディゲスはブラジルに飛び、サーキットを見学後ヨーロッパに戻ってきた。コースは問題ないというのが彼の答えだ。

インテルラゴスに到着して壁を確認したシュワンツをはじめとする他のライダーはいったいデ・ラディゲスが何を見ていたのかと困惑した。レースはとてもしたくない。そこで会議が開かれることとなった。怒りに満ちた言葉が飛び交い、いつもの通り怒りっぽいローソンがついに切れてこう叫ぶ。「おまえらが何をしようが俺は絶対逆のことをやるからな」

そして迎えた金曜の朝は暗く、そして路面はウェット。ピットレーンは完全に沈黙していたが、1台の500ccマシンがその静寂を破った。ローソンがカジバのピットから出てきたのだ。彼はレイニーのピットの前にマシンを止めて怒ったようにスロットルをブリッピングしてみせる。そしてピットレーンを駆け抜けていった。ブラジルGPが始まったのだ。

カタールでデディエ・デ・ラディゲスと同じ役割を果たしたのは3度のタイトル経験をもつロリス・カピロッシだった。MotoGPライダーの代表として彼はロサイルの煌々たる灯りの下でも雨のレースは問題ないと言ったが、ライダーたちは同意しなかったのだ。

土曜の予選はすべてキャンセルされてしまった。突然の豪雨がランオフエリアを池に変えてしまったのだ。そして日曜朝の衛星写真ではさらに雨がやってくることが予想された。レースが行われる夜の天候はルーレット任せとなったのである。

Moto3、Moto2とレースが進むにつれて雷雲が大きくなっていく。そして最初のMotoGPマシンの咆哮が響くと、これに合わせて雨の神が面白半分に雨を降らせる。大した量ではなかったがスタートを、それも2回も遅らせるには十分な量だった。おそらく大雨でグリッドが洪水になった2009年と同様にレースは月曜まで延期されることになるだろうと思われた。

この時点でレースディレクションは別の問題にも直面していた。夜になって気温が下がると露が路面に降りてくるのだ。そのせいでグリップは破滅的に減少することになる。いわゆる露点温度というのは高価なカーボンファイバーでアスファルトを激しくこするという非常に金の掛かる手法で誰かが不協和音を奏でることによって確認されるものだ。

この時点でドルナ、レースディレクション、IRTAの3者にはみんなで胃の痛みを耐え続けるという選択肢もあったのだが、彼らが考えていたのはカタールにおける虚栄のプロジェクトをなんとか推進し続けることだった。大金持ちが望めばそれは手に入るのだ。

1分が過ぎる毎に状況は絶望的になっていく。そこでレースディレクションは例え3周で赤旗中断となってもレースは成立、しかもポイントは同じと宣言する。つまり69年間の世界選手権の歴史において2017年のカタールGPが最も短いレースとなる可能性もあったということだ。本来は45マイル(72.4km)以上でなければならないにもかかわらずである。

最底辺のクラブレースですら3周以上は行われるだろう。そして混乱する状況が続くのを見ている何百万人ものテレビ視聴者も同じことを考えるのである。

しかし物を言うのは金である。ロサイルの興業主はドルナにかなりの金を払ってこの特徴あるイベントを開催しているのだ。開幕戦を投光器の下で行うことができるのはそのためである。この1回のイベントのために支払われている金額でおそらくMoto2とMoto3の半分のライダーをシーズン半ばまで走らせることができるはずだ。だからこそレースは人工照明の下で行われなければならないのである。実は3月であれば日中の気温も25℃と快適なのだ。

ナイトレースというアイディアはカタールGPが最初の2回、10月に行われたことに起因する。2004年と2005年のことだ。この時期の気温は脳も溶ける48℃。「問題ないですよ」と興業主は言う。「世界最大の人工照明システムを設置して、ドーハからモスクワまでの道を照らし続けるくらいの燃料を燃やしますから」。しかし露はどうするのか?「問題ないですよ」とまた彼らは言う。「路面下にヒーティングシステムを設置しますから。本当ですよ」。

辛いことは忘れて良い思い出だけが残るのが人間の性である。そんなわけで45分遅れでMotoGPグリッドが埋まった時点で既にこうした騒ぎは忘れられてしまっていた。

いや、ライダーたちは忘れてはいなかった。最高の状態でもロサイルのグリップは大したことはない。そこでほとんどのライダーは最初の数周を(いつもよりは)慎重に走っていた。ルーキーのヨハン・ザルコを除いては。

ザルコの走りは見応えがあった。彼はMotoGPデビュー戦で思い切ったチャレンジをしたのである。プラクティスでも速かった彼は序盤の数周に全てを賭けていたのだ。マルケスよりも1秒速いライダーというのはつまり明らかに限界というものを忘れているということである。結局彼はグリップのあるラインを外したままロサイルの悪名高い2コーナーに突っ込み転倒してしまう。

プラクティスで同じコーナーでの転倒を喫したスコット・レディングはこう語っている。「そうなっちゃいけないくらい僕は欲深くなってたんですよ」。ザルコは自信の欲深さのせいで、1998年のマックス・ビアッジ、1973年のヤーノ・サーリネンと並ぶ3人目の最高峰デビューウインという二度とないチャンスを失うことになったのだ。

逆に、今年からヤマハに加入したマーヴェリック・ヴィニャーレスは恐ろしくなるほど失うものをたくさん抱えていた。冬期テストのタイムからはチャンピオン候補だと当然視され、そのせいで初戦転倒リタイヤという最悪の事態だけは避けたかったはずだ。しかし彼は完璧なレース運びをみせた。序盤は冷静に走り、他のライダーがリスクを冒すのを見守り続ける。そしていけるとなったら容赦なく前に出て行く。22歳の彼が手にしたMotoGP2勝目はヤマハにロサイル3連勝をもたらすこととなった。そして彼は2017年タイトルの最有力候補となったのである。

ドゥカティのアンドレア・ドヴィツィオーゾも惜しかったがまた届かなかった。ロサイルで彼が惜しい2位を記録するのも3連続である。2015年はロッシ、2016年はロレンソ、そして今年はヴィニャーレスの後ろだった。

ヴァレンティーノ・ロッシは苦悩のプレシーズンテストから見事に復活を遂げている。プラクティスの2日間はいつもの通り苦労続き他だった。木曜、金曜とあらゆる種類のトラブルに見舞われ、グリッドは4列目に終わってしまった。しかしスタートライトが消えると彼は変身する。レースをどのようにうまく運ぶかを知っているというのは彼の偉大な才能の一部なのだ。

一方、チームメイトのホルヘ・ロレンソほどまとめきれないまま週末を終えたライダーも少ないだろう。サーキットに乗りこんできた段階では他にはロッシしか記録していない最高峰クラスにおける異なるメーカーでの連勝という離れ業も視野にいれていたのだ。過去5年間でカタールでは3勝、そしてデスモセディチはロサイルのあやしいグリップにも対応できるだけのトラクションを備えている。しかし雨の神は彼の味方ではなかった。予選がキャンセルとなったせいで彼は4列目となってしまう。なんとかポジションを上げようと無理をした彼はコースアウトを喫してしまう。彼の沈んだ顔がすべてを物語っていた。ドゥカティが得意なサーキットに再びたどりつくにはまだ何戦かあるのだ。

ホンダはこれまでロサイルで楽ができたことはない。RC213Vはブリヂストンのフロントスリックの類い希なるブレーキングパフォーマンスを最大に引き出すことがでいるマシンだと目されていた。しかしロサイルはブレーキング主体のコースではない。唯一の本当のブレーキングゾーンは1コーナーだけなのだ。そしてミシュランのフロントはそもそもブリヂストンほどのブレーキンググリップは期待できない。それがなくてもRCVはいまだにコーナーエントリーでのパフォーマンスを発揮するためにハードコンパウンドを必要としている状況なのだ。しかし気温が下がったせいでマルケス、ダニ・ペドロサ、カル・クラッチローはフロントをミディアムに変更せざるを得なくなった。マルケスの攻撃的なライディングスタイルのせいでフロントタイヤは数周でだめになってしまう。クラッチローのフロントタイヤは熱が入りすぎて、そのせいで彼はクラッシュ。その二人より軽量でスムーズなライディングをするペドロサはそこまで苦労はせずマルケスの直後でゴールすることとなった。

レースがもう数周つづいていたら2台のレプソル・ホンダは今回のMVP、アプリリアのアレイシ・エスパルガロの犠牲になっていたに違いない。タイトル争いに関係がないとわかっているライダーはこうした難しいコンディションでは有利なのだ。リスクを冒すことができるのである。賭けに勝てば多くを手にすることができるのだ。そしてもしやりすぎて転倒したとしても、それほどダメージはないのである。

いずれにせよエスパルガロは覚醒モードに入っていた。かつて彼がアプリリアのCRTマシンに乗っているときにも何度かあったことだ。彼はこれまでずっと弟ポルの影に隠れていたが、そもそもリスクのあるライディングに喜びを感じるライダーの一人なのだ。それが日曜の夜にはっきり目に見えたのである。

ヴィニャーレスが表彰台に昇る頃、神々は最後にもう一度我々をあざ笑う。再び土砂降りになったのだ。信じがたいことだが、週末中の祭りの踊りに神々が喜びMotoGPにほんのわずかぎりぎりの時間を与えてくれたのかもしれない。

我々の大混乱を楽しんだことへの雨の神なりの感謝の気持ちなのだろう。しかし本当にそれは神の仕業なのだろうか?この数年にわたってUAE(アラブ首長国連邦)は人工降雨により記録的降雨量を手にしている。塩の結晶を雲に打ち込み水蒸気を凝集させ雨を降らせるというものだ。来年の今頃、カタールがUAEに申し入れをしておけば全てがうまくいくのかもしれない。
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へー、人工降雨ねー。おもしろい。

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ドゥカティの新しいウイング

ヘレスでプライベートテストを実施していたドゥカティですが、例のシュモクザメ風エアロの他に隠し球を用意していた様子。CRASH.netより。
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昨シーズンドゥカティが導入したウイングだが、今シーズンから禁止された上、シーズン中の改良はKTMを除いて1回のみとされている。

先週のカタールGPの木曜までに登録する必要があった新型カウルだが、全メーカーが昨シーズン版を使用し、結局のところ冬期テストでデビューさせたカウルは誰も登録しないという結果となっている。おそらくストレートが長いことで相対的に加速領域が短いために、この時点でウイング内蔵カウルを登録するより、今後ひかえているコーナー主体で加速がクリティカルとなるコースに備えて開発を続ける方が良いと各メーカーが判断したためだろうと多くのジャーナリストは判断している。

しかしドゥカティについてはそれは必ずしも当てはまらないようだ。彼らは冬期テストの最終盤になって「シュモクザメ」と呼ばれるアグレッシブな形態のカウルを導入し、その醜さで世界の話題をさらっている。そしてそれ以上に議論を巻き起こしそうな「エアロパーツ」を今回のヘレステストで導入し、その効果が高ければ特にカウルを登録する必要はないと考えているのだ。

「レギュレーションではマシンについてしか規定されていません」とドゥカティのゼネラル・マネジャーのジジ・ダリーニャは言う。「ライダーについては既にヘルメット後方のエアロフィン等が導入されていますが、これは特に問題にされていません。そこで私たちはこれをもう少し進めてみることにしたんです。具体的にはライダーの肘に装着するエアロフィンです。これによりライダーは力を入れずにタンクに肘を密着させることができる上、さらにタンク周りにダウンフォースを発生させることができるため、内蔵ウイングは特に必要なくなる可能性もあります」

実際にテストで使用していたミケーレ・ピッロはその効果についてこう語る。「多少肩に負担がかかるのは事実です。でもヘレスの最終コーナーでフル加速をしてもフロントはかなり接地し続けていますね。おそらくそれほど気を遣わなくてもスロットルを全開にできるのではないでしょうか」

現在のところ導入は未定とのことだが、最短で次回アルゼンチンGPで試されることになるかもしれない。
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デ…デビルマン…ですか?

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