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生まれ変わったダニ・ペドロサ:白紙からやり直す年(パート2)

パート1で引っ張ってますが、パート2も早速。PecinoGPより。
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24時間前に公開した「生まれ変わったペドロサ」の記事ではスペイン生まれの彼が自分とそしてHRCのライダーがプレシーズンテストで味わった苦労について話してくれた。そうした苦労は革新的ライダーであるストーナーやマルケスそして彼自身が味わってきたものだ。そして彼がレースキャリアを通じて保ち続けているホンダへの忠誠心について語ってくれた。このパート2ではペドロサの内面について知ることになる。常にファンやジャーナリストとうまくいっていたわけではないこと、翌週からの新シーズンへの抱負について、そして自分で選んだ2017年に向けての大変革について語ってくれた。これからお読みになる内容は本当に、本当に読み応えがあると我ながら思う。

今シーズン、ダニ・ペドロサは自分を取り巻く環境を大幅に変えている。彼は自分のレースアプローチ自体を思い切って刺激しようとしているようにも私には見えるのだ。マネジャーを替え、チーフメカを替え、メカニックも替え、アシスタントも替え、そしてセテ・ジベルノーをコースアドアイザーとして招いている。明らかにペドロサはこれまでやってきたこととは違うことをやろうとしているのだ。
「こうやっていろいろ変えたのは経験を積んで、時間を経るに従って物事は変わって、だから自分を作りかえなきゃならないとわかったからなんです。時代の変化にどうやって自分を合わせていくか見つけないといけない。ライディングスタイルも自分を取り巻く環境も変えなきゃならないんです。トレーニングを積んで肉体的にも時代についていかなきゃならないのはもちろんです。でもそれだけで全てはカバーできない。何かを見落とすんです。だから大事なのは自分ひとりでは完璧にカバーできない部分を理解した上でそこを作り変えていくことなんです。今回は自分でいろいろ変えたんですけど、満足していますよ」

「よくわかってますね」。それが”新しい人生”を作り出した背景にはモチベーションの維持という目的があったのかという質問への彼の答えだ。「経験を積むことで自分がうまくできないことはわかるんです。そういうのとか、自分でバランスをとろうとしているのにバランスがとれない部分とかはわかる。バイクに乗ることや楽しむことや関係ないことに邪魔されないこととかですね。若かった頃と今とでは全然違うんです。色んなことを学んで色んなことに目配りができるようになった。でも基本に立ち返ることにしたんです。レースとバイクのことだけに集中するんです。そこに集中することが大事なんですよ」

ドゥカティにいたイタリア人を新チーフメカに迎えたということは、これからメカニックとライダーの関係を構築し直すということである。これはおわかりいただけるだろう。どちらも相手が言っている意味をきちんと理解しなければならないのだ。「マシンが曲がらない」というとき、ホンダのライダーであるペドロサと元ドゥカティのエンジニアで同じことを言っているのだろうか?共通言語を創り出すところから始めざるを得ないということだ。「彼が僕に何か言って僕が彼を黙って見つめ返すってことが何度もありましたね。彼が言ってることは僕が思ってるのと同じことなのかとか、あと、こっちから質問すると「それ私にきいてます?」とかね。僕はイタリア語は少ししか話せないんですけど、そういうレベルの話じゃないんです。ピンとこない単語があるんですよ。まあそれほど大きな問題じゃないんですけどね。確かに昔の僕なら問題になったかもしれないですよ。たぶんね。あの頃は知らないことも多かったし、でも今はここまで経験を積んだんで、「待って、もう一回言って、何言ってるかわかんなかった」って言えるんです。

モチベーション、経験

私がペドロサのようなベテランライダーにインタビューするときにはいつも同じ質問をすることにしている。レースに対する情熱についてだ。MotoGPレベルでレースを続けるというのは非常に厳しいことだし、楽しいからやっていたのにいつの間にか仕事になってしまっているのはどういう気持ちだろうと思うのだ。「ああ、確かに楽しめない時期もありましたね。環境は最高だったのに、勝てるチームにいて子供の頃からの夢をかなえて…、でもいつでも幸せにいるってのは難しいんです。怪我もなんどもしたし、うまくいなかったこともあったし、個人的な部分でも…。どれがどうってはっきり言うことはできないですけどね。自分が夢見ていた人生を送っているんだけど、だからといっていつもハッピーだったわけじゃないんです」

いちばん楽しくなさそうな話題は最後までとっておくことにした。おそらくダニを不快にさせるだろうと思ったからだ。ファンや世間やジャーナリストに対する彼の態度についてだ。かつて彼に、ペドロサが最高のレースをできるとしたら観客がいない、そしてジャーナリストがいないレースではないかと言ったことがある。それを再び持ち出すことにしたのだ。もちろん彼の態度はずいぶん変化している…いい方にだ。ダニは私の厳しい質問を笑顔で受け止めた。

「昔はとにかく最善を尽くしたくて、すごく高いレベルで集中しなきゃならなかったんです。そもそも僕は内気なタイプだし当時は若かったし…、いろんなことをうまく扱えなかったんです。たくさんの人に囲まれて、みんなが僕に触ろうとして、写真を撮ろうと腕を回してきて」。ダニは少し間を置いてこう言った。「小さな町で生まれ育ったんです。部屋に入ったらみんなが僕の方を向くなんてなかった。もともと自分では人目を引くような性格じゃないと思ってるし、僕の態度も、まああなたも言うほど距離を感じていないようにも見えるけど、あんまり人当たりが良くはないですよね。そういう外のいろんなことにわずらわされずに静かにしていたいんです。すごくショックだったし良い気持ちにはなれなかった。今は経験も積んで違う見方ができるようになりました。わかったんです。子供だったんですよ。僕についてきてくれる人たちにどんなことをしてたかってわかったんです。みんなが僕をテレビで見ていて、僕と写真を撮るのがみんなにとってどんな意味を持つのがわかったんですよ。そうやって見えてきたおかげで僕は変わったんです。違う見方ができるようになった。もう僕は前みたいにこうしたことが自分を安全な場所から遠ざけるようなものだとは思わなくなったんです」

2017年に向けての抱負

そろそろわかってもらえたことだろう。2017年のペドロサは新しい一歩を踏み出したのだ。経験を積んできたおかげで彼は地に足のついた人物となった。大言壮語はなし。大声でなにかを言うこともない。「今年は最高の自分をあらゆる場面で出していかなきゃって、はっきり見えてるんです。僕のやりたいことや、モチベーションを最大限に発揮する。これまでの経験やチームをそのために使っていく。全てを活かすのは最高にたいへんですけど、それが今僕のやっていることなんです。それが僕の目標です。もし全てが上手くかみ合えば数字はついてくるはずです。見ていてください」

このダニとの会話はカタールテストの2日目に行われたものだ。24時間後、ペドロサは最後のプレシーズンテストで3番手のタイムを叩き出した。チームメイトのマルケスがほんの数日前に警告していたことだ。「ダニには気を付けた方がいい。僕はピットにいるから彼がどれほどやっているか知ってるんだ。バン!HRCにはみんな忘れてるけどすごいライダーがいるんだ」。

「僕は自分の最高を追求してきた。それでどんな結果を出せるかはわからないけど、すごくわくわくしているし、努力をするのが楽しいんだ。そのおかげで言えるんですよ。ここまでがんばってきたんです、でももっとやれるし、それを自分でも楽しみにしてるってね。それが僕のモチベーションなんです」
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をー!!!訳してて泣きそうになったのは久しぶりだ!!!
記事では「大言壮語はなし」ってなってますが、こんなに自信に満ちたダニは見たことないよ!!!

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コメント

なんでしょうこの感動ドキュメント!
私も涙ぐんでしまいました…
今年のMotoGPはペドロサに気をつけろ!
開幕が待ち遠しいです♪

投稿: LOWER | 2017/03/22 07:19

個人的にはパート1のマシンの解説が面白かったです。
「マシンの挙動に合わせなければならないバイク」
、、いまだホンダはそんな感じなんですかねヽ(´▽`)/
パート2の、「時代の変化にどうやって自分を合わせていくか見つけないといけない」
というのは、仕事している自分にも耳が痛い話でw

ダニ、がんばってくださいよ!
彼が自信をもって走る環境になれば、きっとチャンプを手中にできると思います。
もしかして開幕カタールはダニが獲るかも。

投稿: motobeatle | 2017/03/22 09:49

私、前々から一人勝手に力説していることがあるんですけど。
それはホルヘにとっての真のデュエリストは、マルクでもヴァレンティーノでもなく、ダニ・ペドロサその人なんだい!ということなんです。
過去からのリザルト的にいえばホルヘに軍配が上がるということになるのかもしれないけれど、この2人の決着はまだついてないように思えるんですよね・・・
だから毎年、ひそかに2人の一騎打ちを楽しみにしてるんですが、テストを見ていると今年はダニ来そうですよねぇ!
待ちかねた対決が今年こそ見たいなぁ(今年はホルヘが問題かdespair)。
小柄な体に秘められた驚きべき身体能力と、シャイな表情では隠しきれない強い眼差し。
ダニが人気あるのはわかりますねぇ。

投稿: りゅ | 2017/03/22 13:56

「ファンもファンじゃない人も幸せを祈ってやまないダニ・ペドロサ」の冒頭文に深く深く頷いてしまいました。

ダニがどれだけの長い間、苦悩と努力と我慢を重ねてきたかを思うとやはり、一度でいいからチャンピンを獲る姿を見てみたい。
中本さんが「ダニほど精神力の強いライダーはいない」と言ってましたが、本当にそう感じます。

シャイで謙虚で勇敢なスペインの小さな侍。
がんばれ、ダニ。
今年こそ。

投稿: たけちよ | 2017/03/22 14:41

去年は、腕上がりから開放されたペドロサの年になると思っていたら、タイヤのおかげで残念な結果。
今年は、ウイングも無くなり、ミシュランも安定し、ホンダもまあまあ、ペドロサの年だ。ってなって欲しいなぁ。
でも、みんな凄いのよねぇ。ビニャーレスとか、特に。
4強と言われつつも、凄いチームメイト続きで、凄いのに№2的、タイトルとって欲しいなぁ。

投稿: 輝 | 2017/03/22 20:44

ホンダのmotogpマシンが晩年のNSR250のように
バランスの取れたマトモなマシンだったなら複数回ダニは世界チャンピオンになってたと思いますね。

パワーさえ有ればええんじゃろ?的なエンジニアリング至上主義的なマシンじゃなければダニは勝てるライダーなんだ!と。

今年のホンダはどうかな?

投稿: bb | 2017/03/22 22:26

>LOWERさん
 彼ならやってくれるはず!わくわくさせてもらいましょう!

投稿: とみなが | 2017/03/23 16:39

>motobeatleさん
 私のぐっときたところは「経験を積んだからこそ人に任せられるようになった」ってとこですね。大人になるってそういうことですよ。

投稿: とみなが | 2017/03/23 16:40

>りゅさん
 250時代は王様に仲裁してもらわなきゃならなかったくらいですもんね。だからこそ二人のタイトル争いは見たいです!!

投稿: とみなが | 2017/03/23 16:41

>たけちよさん
 ほんとにこのまま「記憶に残るだけのライダー」になってほしくなーい。

投稿: とみなが | 2017/03/23 16:46

>輝さん
 ホンダが彼と契約し続けてるのも理由がないわけじゃないはず!

投稿: とみなが | 2017/03/23 16:47

>bbさん
 だからみんながヤマハ移籍を願ってたのに、なんでダニはあそこまでホンダに忠誠を誓うんでしょうかねぇ…。彼は彼なりの賞賛があるのか、それとも恩義に篤いだけなのか…。

投稿: とみなが | 2017/03/23 16:49

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