« マイク・ウェッブ:ライダーからMotoGPレースディレクターへ | トップページ | MotoGPのトラクションコントロールはどのように機能しているのか? »

MotoGP:なぜドゥカティのカウルはルール違反では(たぶん)ないのか?

なりふり構わない感がさいこー!なドゥカティのエアロカウル。これも含めて2017年のカウル規定(変更は1回だけ、外部に付けられたウイングは禁止)について、判定を任されたただ一人であるテクニカル・ディレクターのダニー・アルドリッジ氏へのインタビューです。CRASH.netより。
============
カタールテストではドゥカティがこれまでで最も過激な新世代カウルを導入している。外部に取り付けたウイング禁止という規定を受けてのことだ。

MotoGPのテクニカル・ディレクター、ダニー・アルドリッジは新型カウルがOKかどうかを判定するただ一人の人物だ。

「規定上では新型カウルを事前に見せる必要はないんです。カタールGPのときでOKなんですよ」とアルドリッジは以前語っている。「でも各メーカーには事前に見せてくれるように強く推奨してますよ。だってもしカタールで初めて見せてもらって、それを私がルール違反だと判断したらメーカーとしてはたいへんでしょ」

アルドリッジは今回のテストで登場したドゥカティのカウルを事前に見せられてはいなかった。その上彼はMoto2/Moto3公式テストのためにヘレスにいたのでカタールテストも不在だった。というわけでまだ最終的な判断はできない状況だ。しかしこれまでの情報から彼はドゥカティについても「特に問題はない」と考えている。

ドゥカティのカウルについて話してもらう前に2017年の新ルールでは何種類のカウルを使えるのかについてアルドリッジにたずねてみた。

CRASH.net:ダニー、カタールテストではホンダがカウルの横にウイングを内蔵してカウルと面一になるような後付けカバーを導入しました。その後付けカバーがなければ普通のカウルに見えますけど、レースではどちらも使っていいんですか?

ダニー・アルドリッジ:少しだけ時間を巻き戻しましょう。どのメーカーでもヴァレンシアでは2016年型カウルを登録して良かったんです。ウイング無しですけどね。その場合はGP用に装着されたウイングを除いて完全に同じものでないといけません。このルールはKTMには適用されません。新規加入メーカーなので2017年中のカウルの改良は制限なくできるんです。
 カタールでは木曜午後5時にテクニカル・コントロールが締め切られます。それまでに全メーカーは2017年型カウルを登録しなければなりません。メインのカウルとフロントフェンダーですね。
 フロントフェンダーは一体成形となりますがメインカウルはすきなだけ細かいパーツで構成することができます。ルールではカウルからパーツをはずすのは可能なので、一旦カウルを登録しても、そこからパーツをはずしたり、はずしたパーツを装着したりは自由なんです。

MotoGP技術規定:「登録した空力カウルから一部をはずすことは可能とする(例:雨天専用のハンドガード等)…その他の部品も空力カウルからはずすことが可能である(例:トリム、穴開け等)。この場合再登録は不要である。ただし新たなパーツの装着は禁止する。

 つまり2017年型カウルを取り外し可能なパーツ込みで構成していれば状況に応じて装着するかどうか決めることができるんです。同じことがハンドガード等の通常のパーツにも適用されます。
 例えばホンダがカタールでテストした中にウイングが入っている新型空力パーツはカウルの両側にボルト留めされてますよね。あれは簡単にはずせそうに見えます。


CRASH.net:ここまで導入された5種類のウイング内蔵カウルですけど、ホンダ以外に「後付け」で外せるものはありますか?スズキとヤマハはどうでしょう?

ダニー・アルドリッジ:私が見る限りですし、カタールの木曜午後5時まではどのカウルにするか決める必要がないのでまだ変更はあるという前提ですけど、ヤマハのカウルは一体に見えますね。ウイングが入ってる部分をはずせるとは思えないです。でも内側のウイングの形状も数も好きに変更できるんです。私が関与するのは外形だけですから。
 スズキについてはあの部分をどうやって取り付けているかによりますね。もし一体成形ならはずせない。カタールでは各メーカーにカウルのサンプルか設計図を提出してもらうことになります。それと写真も撮ることになります。
 なのでもし私がヤマハやスズキのピットに行って、カウルがカーボンファイバーの一体成形であることを確認したら、後からカウルにジョイントをつけて外せるようにしてもだめです。外形が全く同じでもね。カタールの段階で接着されている場合でも同じです。それをボルトオンにするのは無しです。
 カタールで「このパーツははずせる、こちらははずせない」となったら、そのままそれでシーズンを通してもらうことになりますね。


CRASH.net:来週木曜までは何も公式には決まってないということはさておき、現時点でどのメーカーのカウルがレギュレーションにあってるんでしょうか?

ダニー・アルドリッジ:ヤマハはもう確認しましたしスズキも確認済みです…、残念ながらMoto2、Moto3の最初のテストがヘレスであってそれがカタールのMotoGPテストと重なっちゃったんですよ。各クラスの初テストには行くようにしてるんです。そこでチームがいろいろ質問してくるんでね。
 ドゥカティのカウルはカタールが初めてだったんでまだ確認していません。以降ドゥカティとは連絡を取っていますし、先方も詳細を送ってくれてます。でもまだ公式にはOKを出していません。ここまで見てきたところは問題があるとは思いませんけどね。マイク・ウェッブ(レースディレクターで元テクニカル・ディレクター)にもカタールで確認してもらうよう頼んでありましたし。かなり話し合いは重ねているんです。
 今のところの私の認識ですが、ドゥカティのカウルを切り欠き部分も含めて見ても単に大きな膨らんだカウルにしか見えませんね。上側がかなり外側に膨らんでますけどまあカウルというのは手をカバーするために上の方で膨らんでるものですしね。単に普通より四角いってだけです。
 ですからドゥカティについても心配していません。問題はないと思ってますよ。そうはいってもかなり設計を変えてきましたね。ヤマハみたいにウイングを内蔵できなかったんですね。ことによったらホンダのように空力パーツを必要に応じて付けたりはずしたりするのかもしれません。ドゥカティのカウルは一体成形っぽいですけど。


CRASH.net:一般論として新型カウルについて判断する場合は、空隙とかは無視して面一の表面として見るんですか?

ダニー・アルドリッジ:ええ、ルールの文言でも「スクリーンを除く外形」についてしか判断しないことになっていますから。ですからテクニカル・ディレクターとしてはダクトや穴については制限できないわけです。ドゥカティのカウルの写真を見ても、黒いマジックでダクトを塗っちゃえば全然普通に見えますよね。私はそういう感じで確認してるんです。

MotoGP技術規定:「スクリーンを除く外形のみが本規定の対象となる。よって以下のパーツについては空力カウルの一部には含まれない:スクリーン、冷却用ダクト、カウルサポート、その他外形に覆われているすべてのパーツ」

CRASH.net:カタールでは2017年型カウルを使わないサテライトライダーもいるんですか?

ダニー・アルドリッジ:一番台数を出しているんでドゥカティを例に挙げますけど、2017年型カウルをワークスと例えばプラマック用に登録することもできます。その他のサテライトは2016年型カウルで開幕戦を戦って、カタール以降2017年型カウルを使うのであればそれは改良版と見なされることになります。2017年型を最初使っていなくてもね。
 ワークスチームについてはカタールでは2016年型と2017年型を出すんだと思っています。理論的にはメーカー毎ではなくライダー毎に判断するものなので、2017年型もペドロサ用とマルケス用とクラッチロー用に別のものを登録することも可能ですけど、まあ私はそんなことになるとは思っていませんね。


CRASH.net:ありがとう、ダニー。

以上のことを心にとどめつつ、シーズン途中で改良版カウルを導入したら各メーカーは(2016年型カウルを使わないことを前提とすれば)2017年型を2種類使うことができるのだが、その後はどんなことになるだろうか?

おそらくチームはドゥカティ風のダウンフォースが大きいカウルに移行していくことになるだろう。それまでは空力パーツをはずすことができるがダウンフォースが少ないホンダ/スズキ/ヤマハタイプを使うことになりそうだ。
============
なかなか興味深いですね。いやぁ、へんなカウルがたくさん登場すると楽しいなあ。

|

« マイク・ウェッブ:ライダーからMotoGPレースディレクターへ | トップページ | MotoGPのトラクションコントロールはどのように機能しているのか? »

コメント

何はともあれ、ダセェ

投稿: ke | 2017/03/17 22:48

カウルの変更部分や「カウル」というパーツの
規定上の解釈が少し理解出来ました。
ありがとうございます♪

空力の規定の隙間を縫うのは4輪でも散見しますが
MotoGPでも創意工夫が色々見られると楽しそうですね♪
最終的に「透明部分やダクト部の変更でカウルだ、カウルじゃ無い」みたいな無理矢理解釈とか…(苦笑

投稿: LOWER | 2017/03/18 08:35

>kさん
苦いビールも大人になると美味しくなるのですよ。あとピーマンとか食べられるようになったり。

投稿: とみなが | 2017/03/18 10:41

>LOWERさん
「空力カウル」と訳したのは「Aero Body」なのですが正しい日本語だとどうなるんてしょう??いずれにしてもメインのカウルのことですが。
まあ今回は「俺がルールだ」って人を設定してるので、それほどもめないでしょうね。

投稿: とみなが | 2017/03/18 10:46

とみなが様、お返事ありがとうございます♪

「Aero Body」だと…うーん…単純に「外装」というか「露出して空気に触れる外殻」と言うイメージですが、2輪の場合はネイキッドも有る訳ですし、そもそもカウルに覆われていない部分も有るのでやっぱり「カウル(フロント?リア?)」と言う呼び方で問題無いように思います。放熱もしないと行けませんしね。

となると、内部は「シャシー」や「マシン本体」と言うように呼び分けるのでしょうか…?「カウル内部」のが分かり易いですが…難しいものですねぇ…いつも翻訳ご苦労様です…

確かに、2輪の場合は左右にマシンを振り回す特性で、マシン同士の接触も多いので、4輪のような鬼神の如く規定の解釈戦争と言うよりも、常識の範囲内での「やるか、やらないか」な上に「事前確認希望」と言う事なので、妙に安心できますね(苦笑
それもカタールGPの直前には決めないと行けないわけですし。変更も1度だけ。

4輪だと「空力発生部(ウィング等)は出来る限り動かすな!(空気流が乱れるので)」と言うのが定説で、動き回る2輪で過激に空力を突き詰めてもマシンがデリケートになるだけ…だとしたら、特定の状況でのみ穏やかに空気流の効果を得られるものを攻めてきそうです。

でも、一番空気を乱してる凹凸部分ってマシン上で動くライダー自身なんでしょうけどね(苦笑

投稿: LOWER | 2017/03/19 22:43

>LOWERさん
 メインカウルとか訳しちゃっても良かったんで浮けどね…。でもまあほんとに空力を追求してもストレートにしか関係しないのでコストとのからみもありますし、どこで見切るかですよね。

投稿: とみなが | 2017/03/20 13:37

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/69409/65027920

この記事へのトラックバック一覧です: MotoGP:なぜドゥカティのカウルはルール違反では(たぶん)ないのか?:

« マイク・ウェッブ:ライダーからMotoGPレースディレクターへ | トップページ | MotoGPのトラクションコントロールはどのように機能しているのか? »