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ダリーニャはMoto3参戦はドゥカティにとって良いと考えている

えー、昔はドゥカティも250ccシングルを作ってましたし、シングル乗りなら誰もが憧れたスーパーモノっつー、水冷水平単気筒エンジン(要するにLツインの前バンクを使った)のレーサーとかも作ってました。なのでMoto3に参戦って言っても納得感はなくはないし、是非水平エンジンでと願ってやみませんね。CRASH.netより。
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ドゥカティはホルヘ・ロレンソと巨額の契約を交わしたことを受けてMoto3への参戦を延期している。最高峰クラスで3度のタイトルを獲得した彼にすべての資源を投入するためだ。

しかしMoto3参戦はいまだに魅力的に映っているようだ。

1月のMotoGPチーム立ち上げ発表会でCEOのクラウディオ・ドメニカリは250ccで行われるMoto3クラスへに興味があると表明しているのだ。しかし現時点では計画として存在しているものではないとも言っている。

「Moto3は非常に興味深いカテゴリーですね。しかし今のところうちの計画には入っていません」とドメニカリは言う。「レース部門内部で話はしていますが、まだ会社全体として検討しているわけではありません。ですから現時点では社としての計画とはなっていないんです。
 スポーツという観点からは本当に面白いクラスだということは否定できませんね。若いライダーを育てることができるわけですし、チームもそのライダーといっしょにトップカテゴリーに進むことができる。Moto2もそういう部分があって、上に行くには良いやり方だと思います。
 現時点ではうちの商品開発計画がMoto3参戦にはそぐわないものなんです。でも毎年商品ラインナップについては計画を見直していますけどね」

セパンテストでドゥカティ・コルセのゼネラル・マネジャーであるジジ・ダリーニャは、今でもMoto3参戦が良い考えだと思っていると語っている。

「ドゥカティにとってMoto3マシンを持つってのはいいことだと考えていますよ。まあ一歩ずつ、ですけどね」と彼は言う。ダリーニャは以前ピアジオ傘下のアプリリア/デルビ/ジレラの3ブランドでの125、250参戦プロジェクトを率いてタイトルを獲得している。

「Moto3の前にMotoGPプロジェクトを完成させないといけないですから。それが完璧になったらMoto3の準備ができますね」

ダリーニャは、小排気量エンジンを作るのはドゥカティにとってそれほど無理はないことだと考えている。ドゥカティは大排気量Vツインで知られているがMoto3マシンにもトレードマークのデスモドロミックバルブを導入することも可能だというのだ(ただしエンジン回転数制限があるのだが)。

「ドゥカティは経験豊富ですし、知識も豊富ですから、それほど難しい話ではないと思いますね…。まあどちらにせよデスモでやることになるでしょう」

MotoGPのライバルホンダは既にMoto3に参戦している。

一方、Moto3の昨年のチャンピオンKTMは今年から一気にMotoGPとMoto2の2クラスにも参戦する。つまり3クラスすべてに参戦する唯一のワークスとなるということだ。

KTMはこれについてMoto3で育てた若いライダーがMoto2で自分たちの下を去って行くというのが身の毛もよだつほど嫌だったからだと説明している。特にMotoGPクラスのライダーが必要となっている今はなおさらである。

しかし他のメーカーはMoto2のエンジンが1メーカー(現在はホンダCBR600のもので、2018年からはトライアンフになると目されている)のものだというのを問題視している。「Moto2については検討対象にはなりませんね」とダリーニャも認めている。「でもMoto3は別の話ですよ…」

ホンダ、KTMの他にはマヒンドラもMoto3に参戦しているが、この3メーカー共に昨年は優勝を飾っている。
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ドゥカティのシングル、なんて夢のある言葉でしょう!

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もっと前へ:MotoGPトップエンジニアに技術関連の質問をしてみた

他のサイトとはひと味違うネタいつもが楽しみなPecinoGPより、各社のトップエンジニアとのQ&Aを。レギュレーションに対する考え方がメーカーを問わずエンジニア魂です。
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シーズンが終わる度ににMotoGPマシンを作るメーカーのレース部門のエンジニアは毎年厳しくなる技術制限に対抗しながらさらなる開発を行いマシンを進化させようと苦闘している。今回、各社の技術部門トップに対してMotoGPどちらの方向に進むべきか5つの質問を投げかけてみた。MotoGPプロジェクトの責任者の地位に就いている才能あるエンジニア、ヤマハの辻幸一、ホンダの桑田哲宏、ドゥカティのジジ・ダリーニャ、スズキの河内健、アプリリアのロマーノ・アルベシアーノ、KTMのセバスチャン・リッセの5人だ。

質問1:ウイング禁止規定ができた今、空力開発はどういった方向に進むのでしょうか?

辻幸一(Y):開発部門はまだ空力でなんとかできないか開発を続けています。方向性が見えたらそれを伸ばしていくことになりますね。去年ウイングが登場した時と同じことが起こっているわけです。いま取り組んでいる開発の方向性はシンプルです。後方乱気流を減らして操縦性を良くすることですね。

桑田哲宏(H):いわゆるダウンフォースがうちのマシンのパフォーマンスにも影響が出ますね。みんなどうやったら失われてしまった空力効果を復活させるかについて考えているところです。ウイングがだめってなると厳しいですけど、私たちエンジニアはその解決策を探るのが仕事ですから。いつでも何かしら挑戦したいですし、今回のはかなりの大きなハードルですね。

ジジ・ダリーニャ(D):ウイングがないときついですね。うちにとっては同じ空力効果を得ることはもう不可能です。ウイング付きと同じバランスを取り戻そうとしていますけど、今のところ安定性が失われたのは間違いないです。なんとか上手いやり方をみつけようとしているところです。今シーズンは2016年型カウルからウイングをはずしたもので始めることになるでしょうね。セパンからテストしてるやつです。

河内健(S):ウイングがどれほどの空力効果をもたらしてくれてたかは誰もがわかっているところですし、今は失われたダウンフォースをとりもどす方法を創り出そうとしているところです。ウイングがもたらしてくれたものを再び取り戻すのが難しいのは間違いないです。でもレギュレーションの範囲で最高の性能を出していかなきゃならないんです。マシンの運動性と操縦性についてはウイングがなくてもスズキのマシンの挙動にはほとんど影響しないですね。

ロマーノ・アルベシアーノ(A):ウイングについてはいろいろ言われてますよね。少なくとも安定性が稼げたことは誰も否定できないはずです。うちとしては使い続けたかったんですが。でもウイングの効果が強調されすぎてたってのもあると思いますよ。実際アレイシがヴァレンシアでウイング無しのうちのマシンをテストしたときもすぐに良いタイムが出せましたからね。ダウンフォースを得られるカウルデザインを検討しているメーカーもありますけど、その優先順位を高くしていないメーカーもありますし…。

セバスチャン・リッセ(K):うちはウイングは使ってませんから。研究は始めたんですけどすぐに禁止されちゃったんで、それ以上何もやってないんです。ダウンフォースがなくなってライバル社が何を開発してくるかは興味がありますね。みんな何か考えはあるようですし、でもサーキットによってどんな風に空力の効果の現れるかわからないのに新しい空力パーツを導入してタイトルを争いをしようなんてとこがあるんですかね?すこしずつ変えていくって今年はできなくて、一回しかシーズン中に変更できないんですよ。失敗のリスクは誰も犯したくないでしょ?


質問2:エンジンパワーについては何を優先して開発をしているのでしょうか?

辻幸一(Y):パワーというのは永遠の課題ですね。でも使いこなせなければ意味はありませんし、だからうちはマシンをうまく走らせるための最適な特性を探っているんです。うちにとってエンジンはシャーシの構成要素のひとつなんです。

桑田哲宏(H):わかったところで楽になるわけではないですけど、エンジン開発って結果が数字ででるのでわかりやすいですよね。うちはできる限りのパワーを出そうとしているのは間違いないです。エンジンがパワフルなら加速は良くなりますしストレートでも速くなる。サーキットでラップタイムを出す一番良い方法のひとつなんですよ。もちろんパワーは使いこなせなければならないし、だからこそ電子制御でコントロールしてるわけです。あとパワーにシャーシが負けるようではだめですね。そのバランスをとれるように開発を進めているところです。

ジジ・ダリーニャ(D):エンジン開発が止まることはないですね。私たちの目標は、強みであるパワーを維持しながら使い易くしていくことです。

河内健(S):去年からは低回転からのリカバリーがうまくいくようになってきました。うちのエンジンは使いこなせるし、使い易いんで、その特性は維持したいですね。同時に中高速でのパワーも改善したいと考えています。これはバランスの問題で、低回転のパワーを挙げすぎるとスライドが激しくなるし、トラクションコントロールにも負荷をかけることになる。それは避けたいんです。低回転域から中回転域のパワーの繋がりがすごく大事なんですよ。

ロマーノ・アルベシアーノ(A):うちのを良いエンジンにするにはトルクカーブの改善が必要ですね。どんな場合でも他のライダーと競っているときにはパワーが決め手だってのはわかってます。ストレートで速ければ速いほどいいんですよ。

セバスチャン・リッセ(K):パワーは出てるんですよ。使いやすさという意味では去年うちのマシンにのってくれたライダーたちからいろいろフィードバックをもらってます。今年のうちのライダーはどちらもMotoGPではヤマハしか乗ってないんですよね。M1はパワーカーブがいいって言われていて、使いやすいらしい。二人にはV4の特性になれてもらわないといけません。こちらとしては開発を続けるだけです。11月にポルとブラッドリーがスロットルとトルクカーブについて初めてフィードバックをくれたときからかなりのことをやってきました。そこそこ悪くはないマシンになってきてると思いますけどね…。


質問3:去年から統一電子制御ソフトウェアが義務づけられました。ソフトはどこれくらい使いこなしていて、開発についてはどんなところまで進んでいるのでしょうか?

辻幸一(Y):パフォーマンスの観点からはこれ以上はそれほど伸びないと考えています。一方で安全に関してはもっとやれることがあるはずです。

桑田哲宏(H):まだ100%じゃないですね。とは言え90%くらいまでは使えているんで、これからもうまく使えるように努力は続けますよ。

ジジ・ダリーニャ(D):これ以上は性能を引き出せないですね。もうみんな同じレベルまできてると思いますよ。

河内健(S):これは終わりがないですね。今のところうちは70%か80%ってところでしょうか。つまりあと20%は改良の余地があるってことですね。

ロマーノ・アルベシアーノ(A):私に言わせればまだ進歩の余地がありますね。ソフトのあらゆる可能性を引き出せるところまではわかっていないんです。考慮しなければならないパラメータが何千もある。私の考えでは全部を理解するには5年くらいはかかりますね。

セバスチャン・リッセ(K):このソフトは巨大な工具箱みたいなものなんです。自分たちなら入れなかった工具もあるし、全然使えない工具もある。逆に足りない工具もある。でもみんな同じものを使っている。だから使えるパラメータを最適化して正しい手順で間違いなくセットするところからですね。統一ソフトとは言え、すごく複雑なんです。ことによったら各社が自分のところのソフトを使うよりめんどくさいかもしれない。まあベストを尽くすのがベストということですから。


質問4:シャーシについてですが、ブリヂストンからミシュランへの移行には対応できたんですか?バランスという意味ですが。

辻幸一(Y):バイクをタイヤに合わせていくための開発には終わりはないんです。目材しているのは異なるサーキットに合わせてタイヤを使いこなしながらパフォーマンスを最適化することですからね。

桑田哲宏(H):タイヤに散々苦労させられましたね。どのメーカーもタイヤメーカーが変わったことにはある程度対応できてると思います。うちもライダーからタイヤに関してマシンの挙動について文句は言われてませんし。

ジジ・ダリーニャ(D):私たちはあらゆる分野で前に進もうとしています。ウイングは禁止されたんでマシンの安定性を確保するために何らかの策をみつけなければならないですけど、今の状況には満足していますよ。

河内健(S):タイヤメーカーの変更はうちにはほとんど影響していませんね。MotoGPに復帰してからずっとコーナリングスピードについてはいいパフォーマンスを出せてましたし。でもコーナー出口には少し問題を抱えていますね。そこも改良は進んでいますけど、まあタイヤの変更とは関係ないんです。

ロマーノ・アルベシアーノ(A):前に使っていた基本セッティングとあんまり違わないところで良いバランスを見つけられてますね。タイヤの変更って、結局のところマシンのセッティングの問題じゃなくてライダーのフィーリングの問題なんです。

セバスチャン・リッセ(K):ずっとミシュランとやってきてるんです。だからうちにとっては新しいメーカーに対応するって話じゃないんです。うちのマシンはミシュランで開発してきましたから。去年もミシュランと密接にやりとりしながらマシンの方向性や開発で何をやるべきかを決めてきました。必ずしもGPで使われるとは限らないタイヤでテストをするのは楽なことばかりではなかったですね。でも最終的に今の状況には満足しています。


質問4:技術的な面での規制がどんどん厳しくなっていますが、それでも他メーカーとの違いを出せるんでしょうか?エンジニアとしてどうお考えですか?

辻幸一(Y):こうした技術的規制があってもやれることはたくさんありますよ。それどころか規制ってのは発明の母だと言ってもいいくらいです。いずれにせよ現在のレギュレーションには満足していますよ。

桑田哲宏(H):制限ってのはエンジニアにとってはいつでも挑戦の対象なんです。課せられた制限に対してどんな解決策を出していくかは私たちにかかっているんです。すごくおもしろい頭の体操ですね。もちろん先に進むにはもっと自由が合った方がいいですけど、コストのことも考えて現実的にならなければいけません。こういう規制があるから新たなメーカーが参戦してくるってのもありますしね。それも良い面の一つです。

ジジ・ダリーニャ(D):まだ開発する余地は残されてますよ。規制は厳しいですけど想像力や創造性は今でもこのスポーツでは大事なものなんです。とは言え新技術をどんどん規制していくようにならないといいですね。今の空力付加物の禁止とかですね。でもレースをやるのに過大な運営費用をかけずに開発ができるのはいいことですよ。

河内健(S):エンジニアとしてはレギュレーションは見直してほしいですね。特にシーズン中の開発凍結についてですね。予算を抑えることができるって言われてますけど、開幕したら開発できなくなったとしてもエンジニアの仕事が楽になるわけじゃないんです。それでもシーズン終わりに向けて準備をしなければならないし、それは簡単なことじゃないんです。あとテストの日数も増やしてほしいですね。トップ集団に追いつきたいしABSのテストもしたいし…(訳注:ABSってなんでしょう?アンチロックブレーキは禁止されてますよね?)。でもこれはエンジニアとしての気持ちでチームマネジャーとしての考えじゃないですよ。

ロマーノ・アルベシアーノ(A):空力付加物の話がそれですよね。エンジニアというのは新技術による解決策が規制されてしまうのが気にくわないものなんです。それでも規制ってのはコスト抑制と新技術開発の自由の間のどこかで妥協しなければならない。私は今の方針は悪くはないと思いますよ。規制はあっても革新的な何かを作る余地はあるんです。

セバスチャン・リッセ(K):今でもかなりの自由はあるんです。結局仕事の内容は変わってないんですよ。ルールを良く勉強してどこまでやれるかきちんと確認する。規制がエンジニアの創造性を奪うとは思わないですね。レギュレーションってのは単なる制約であって、それ以上のものじゃないんです。
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ヤマハの辻さんの「エンジンはシャーシの構成要素のひとつ」ってヤマハ的でおもしろいですね。そしてエンジニアの皆さんが「規制があればそれだけ燃える」ってなってるのもかっこいい。

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MotoGP:ミシュランがヴァレンシアでウェットテストを実施予定

これ、おもしろい!できればハーフウェットとかもやれるといいですね。MCNより。
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MotoGPのタイヤ供給を担当するミシュランはおそらく史上初となるサーキットでのウェットタイヤテストを今シーズン、ヴァレンシアで実施する予定だ。コースを水浸しにしてウェットタイヤのテストをするのだ。

ミシュランの計画ではテストは1日。全チーム・ライダーが参加可能なものだ。時期はアメリかラウンドからヨーロッパに戻ってきた頃となる。ヘレスでのレース後、スペインの反対側に移動しテストを1日行うということだ。

ミシュランはフランス、クレルモン・フェランの自社テストコースにスプリンクラー付きのレインコンディションをシミュレートするためのコースを持っているが、ヴァレンシアテストでは500cc時代から数えても例のない人工ウェットでのMotoGPテストを行うことになる。

フィリップアイランドテストの際のMCNのインタビューに答えてミシュランの責任者ニコラス・グーベールは、ここでしか得られないデータを得る良い機会だと語っている。

「ドライでのテストはたくさんやっているんですけど、ドライが前提となるテストで雨になると誰も走りませんからね。だからウェットタイヤのテストをしたければ、特殊な条件を作り出すしかないとはわかっていたんです。まあ参加してくれるライダーがいるかどうかはわかりませんけど、何人か来てくれるといいですね!!
 特に改良したいのはフロントタイヤですね。異なるプロファイルのフロントスリックは開発しているんですけど、レインではそこまできてないですから。そもそもその必要があるのかも知りたいんです。スリックからウェットにしてもライダーに苦労をかけないようにしたいんです」

とは言えウェットコンディションにはリスクが付きものである。ランキング上位のライダーが何人ミシュランの要請に応えるかは難しいところだ。しかしMCNの予想ではかなりのワークスとサテライトが参加することになるだろう。
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これは楽しみ、ホルヘはなんとなく参加しそうな気がしますね。

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我々が最も憎むライバル−KTMの不倶戴天の敵、ホンダ

ホンダvs.ヤマハ、ビアッジvs.ロッシ、古くはレイニーvs.シュワンツとライバル関係があれば盛り上がるのがGPの常。そしてKTMはホンダがいるからこそ燃え上がっているという記事をMotoMatters.comから。
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チームの立ち上げ発表会というのはいつでも少しだけ戦闘的になるものである。会社の幹部やチームマネジャー、そしてライダーたちが一堂に会し、来たるべきシーズンについての気合いを語る場所なのだ。誰もが勝利のために参戦するのだと高らかに声を上げ、いずれタイトルを獲得するのが目標で、自分たちはライダーの才能も技術者の力も巧みさもライバルより勝っているのだと宣言するのだ。

そうはいってもKTMのチーム発表会はやりすぎとも言えるようなものだった。オーストリアのテレビ局セルヴスのインタビューでKTMのCEO、ステファン・ピエレはライバルたちに激しい言葉をたたきつけたのである。彼は自社の売り上げがBMWを上回ったことを誇らしげに語り、さらにレースでBMWに勝つのは「もう彼らはレースに出ていませんから」という理由で難しいと言ってのけた。そして日本メーカーとの戦いについてはこう言ったのだ。「私たちはレースを愛していますし、日本のメーカーを負かすのが楽しくて仕方ないんです」

しかしピエレの奥底にあるホンダへの怒りが次の言葉に表れている。Moto2への参戦という驚くべき決断について彼はMoto2のエンジンについてこう言ったのだ。「我々が最も憎むライバルであるホンダ製」と。そして彼はKTMがMotoGPに参戦することでMSMA(モータースポーツ・マニュファクチャラーズ・アソシエーション:MotoGPマシンのメーカーの協議会。MotoGPのルールを策定するGP委員会への投票権を持つ)のバランスが取れるようになるのだと語った。ヨーロッパのメーカーが日本メーカーに対抗できるようになり、ホンダが自分たちの提案をごり押しするのを防ぐことができるということだ。

「ホンダは何でもやろうとしますからね」とピエレはセルヴスTVに語っている。一方、資金的には「彼らはプロモーターにもお金で言うことをきかせている。それができなければできないで、あらゆることを仕掛けてくる。これでやってGP委員会のバランスが取れるんです。それが大事なことなんですよ」

歴史のお勉強

なぜこれほどまでにホンダを毛嫌いするのか?両者はこれまであらゆる分野で激突しているのだ。しかし最初の遺恨はMoto2である。125で大成功したKTMは2スト2気筒で戦われていた250ccクラスに参戦し、すぐに好成績をおさめるようになった。青山博一とミカ・カリォはどちらも革新的な並列2気筒マシンで勝利をあげたのだ。KTMの驚くべき革新性はフューエル・インジェクションの導入に象徴されるだろう。

そしてFIMとドルナが250ccを4ストローク600ccのMoto2に置き換えようとした際にはKTMは怒り心頭に発すことになった。彼らはパドックの他のチームと同じように、この決定の裏にホンダの影を見て取ったのだ。ホンダは昔から2ストロークを憎んでおり、葬り去ろうとしていたということだ。

1970年代終盤のこと、ホンダはかのオーバルピストンのNR500で2ストロークに挑戦したが、結局信頼性の不足で2ストロークマシンに勝つことはできなかった。そして彼らは敗北宣言を余儀なくされNS500を作り、これは無敵のNSR500に昇華することとなった。しかしホンダは相変わらず2ストを嫌っていたし、だからこそ中間排気量クラスに4ストロークが導入された時にはすぐにホンダの陰謀だと指をさされることになったのである。

Moto2導入が発表されると即座にKTMはGPから撤退し、2009年シーズンの参戦を取りやめている。そして翌年には125ccクラスからも撤退し、捲土重来を期することとなった。

冷たい内に召し上がれ

そしてMoto3の導入が発表されるとKTMは満を持して復帰を果たす。ホンダがドルナの決めた価格制限に従い低価格の性能の低いエンジンを導入したのに対してKTMは250ccモトクロッサーのエンジンをベースにサラブレッドとでも言うべき純血レーシングエンジンを持ち込んだのである。彼らはMoto3初年度となる2012年のタイトルをサンドロ・コルテセのライディングで獲得した。FTRホンダがとんでもなくパワー不足だったことを考えれば、類い希なる才能を持つホンダのマーヴェリック・ヴィニャーレスが信じられないような働きをしていなかったらトップ3も独占できていただろう。

今度はホンダが頭に来る番だ。彼らはKTMを卑怯だと非難した。ルールの精神を破壊したというのが当時のHRC副社長中本修平の言い分だ。本来は若い才能を育てるための安価なマシンを作るべきなのにKTMが作ったのはおそろしく高価なマシンだというのだ。しかしKTMはそんな非難は気にもしていなかったルールブックには中本が指摘するような「ルールの精神」なぞ書かれてはいないのである。

2013年、KTMはMoto3に錚々たるメンバーをそろえて再びタイトルを獲得した。そして契約した全チームに対して同じエンジンを供給するようにルールは変更された。ワークス扱いのチームだけが有利になるような不公平な状況を防ぐためだ。

あんたがやれることくらいなら、俺はもっとうまくやるぜ

そしてホンダの逆襲が始まる。2013年、ホンダは2014年の計画について何も語らなかったため、多くのチームが不安になり2014年はKTMに乗り換えることになった。そしてそれがホンダを利することになったのである。彼らには秘策があったのだ。2014年、ホンダは6人のライダーにしかエンジンを供給しないで済んだ。そしてホンダが出してきたのは完全な新型のNSF250RRだったのだ。実質これは完全なワークスマシンでレースに勝つことだけを目的としていた。

2013年にKTMが価格制限ルールを無視していると非難していたホンダは確かにエンジンは安価だったがシャーシとサポートについては20万ユーロ(訳注:当時の為替レートで26百万円くらい)を請求していた。そして2014年の請求額はその2倍、そして2015年にはほぼ50万ユーロ(6500万円)にまで跳ね上がっていた。エンジンとシャーシに対して価格制限があったにもかかわらずだ。結局2014年はホンダのアレックス・マルケスがKTMのジャック・ミラーを破ってタイトルを獲得することとなった。

2015年、こんどは回転数制限が14,000rpmから13,500rpmと厳しくなった。その結果KTMはMoto3のために新型エンジンを開発することになる。ホンダに乗るキーファー・チームのダニー・ケントがタイトルを獲得した2015年の終わりには、KTMのレーシング・ディレクター、ピット・ベイレールがホンダが回転数制限を破っていたと告発した。結局これはデルオルト製ECUの誤差の範囲ということで、ホンダのエンジニアは回転数制限のぎりぎりを使っていたということだと判明している。ドルナはデータを分析して結果としてKTMの告発を却下している。

次の2016年はKTMの年となった。ブラッド・ビンダーが残り4戦を残して易々とMoto3タイトルを獲得。ホンダは完膚なきまでに叩きのめされ、レッドブル・アジョ・KTMのビンダーに対抗できるライダーは誰もいなかったというのが昨シーズンであった。

遺恨は続く

ステファン・ピエレの発言はこうした長年にわたる遺恨の反映だということだ。KTMとホンダの間の血で血を洗う戦いはいまだに続いている。そしてこれからも続くだろう。陰謀論者はKTMのMotoGPマシン、RC16がRC213Vにいかに似ているかを言い立てるかもしれない。KTMがホンダをMotoGPでも打ち負かしたいのは間違いないが、しかしそのためには自分たちのマシンをホンダに似ていても、より優れた、より素晴らしいマシンにしなければならない。

ライバル関係はどんなスポーツにおいても重要な要素である。そしてMotoGPでもそれは同じだ。ピエレがKTMのMotoGPプロジェクト立ち上げでホンダを攻撃したのは、ライダー同士と同じようにメーカー同士でも火花が散っていることを思い出させる良い機会だったと言えよう。
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フィリップアイランドMotoGPテスト:ヴィニャーレスとマルケスのライバル心が燃え上がる

まあテストは普通マシンの改良やらセッティングやらに集中しつつ体も慣らしていくものですが、ライバルが同じ場所にいるんだからそれだけってわけにもいかないのかもですね。ってなわけでフィリップアイランドテストでもヴィニャーレスとマルケスの二人の間のライバル心に火がついたようです。CRASH.netより。
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これまでのテスト結果のタイムシートを見れば、チャンピオン、マルク・マルケスの座を脅かすライダーの最有力候補がマーヴェリック・ヴィニャーレスであることははっきりしている。

今年からヤマハで走ることになった彼はスズキを離れて以来ずっとラップチャートのトップに名前を刻んでいる。その間、レプソル・ホンダのマルケスは安定したレースペースを保ちながら今年最大のライバルであるヴィニャーレスを遠くから見ていた。

しかし2回目のプレシーズンテストとなるオーストラリアの最終日、レースシミュレーション中のヴィニャーレスの後ろにマルケスが張り付いたのだ。これにいらだちを隠さなかったのがビニャーレスである。

「なんて言ったら良いんだか。まあ何かしようとしていたわけじゃないし、実際何か得たものがあるわけでもないけど、でもこういうのは普通じゃないですよね。自分はレースシミュレーションをやっていて、そうじゃない人もいる。こっちはやめるわけにもいかない」とヴィニャーレスは切り出した。

しかし結局のところマルケスに後ろにつかれたヴィニャーレスは、いろいろ悟られないよう途中でレースシミュレーションを中断することになった。

「彼に後ろに疲れて5周走ったんですけど、レースシミュレーションはあきらめることにしました。4キロ以上もあるコースなのにね。なんで彼が僕の近くにいたんだかわけがわかりませんよ」

マルケスが後ろについたのは自分集中力を削ぐためだったと思うか聞かれたヴィニャーレスは、むしろペースを上げる役にしか立たなかったという。

「またニュータイヤに履き替えて、いくぞ!ってなりましたね。100%でいきましたよ。良いリズムで走れていたんです、彼と同じようにね。だからそうですね…良かったんじゃないかと。モチベーションもアップするし、バトルも楽しみです。良かったですよ!」と彼は笑って答えた。


ヴィニャーレスはマルケスに0.294秒差をつけてテストを終えた。マルケスは初日はトップタイムを記録したが、2日目と3日目はヴィニャーレスに次ぐ2番手となっている。

「彼は最後にはタイムを出しに来ると思ったんですけどね。でもその必要がなかったのかも」とヴィニャーレスは付け加える。「どっちにせよ彼が速いことには変わりませんから。彼は速いし、だからこっちもいつも今より速くなろうというモチベーションが保てるのはいいことですよ」

タイトル争いが二人の間で行われるのが望みだと語りつつ、2016年のシルバーストンの勝者であるヴィニャーレスはマルケスの強さについてこう語っている。「すごく強いですよね。ブレーキングポイントなんて信じられないくらいです。ほんとにブレーキングが得意で、こちらもそこは改善しないといけませんね」

マルケスは自分がヴィニャーレスの後をついていったことは認めている。違うマシンを観察するのはおもしろかったが、特段語るべきことはなかったと言っている。

「僕が走っていたら彼が抜いてったんですよね」とマルケスは言う。「少し差をつけられて、でも近づくことはできたんで2周ばかりついて走ったのです。面白かったですね、いや、違うマシンを見るのがね」

ヴィニャーレスは手強そうかということについては彼はこう答えている。「マシンが1コーナーで凄く安定しているんです。8コーナーでも1コーナーと同じ様な感じでしたね。うちのマシンはもっと神経質で、でも毎年このコースのそういうコーナーでは苦労していますからね。でもそれについて一生懸命やっていますよ。ヤマハは本当に安定している。でももちろんヴィニャーレスも速いんです」

3度MotoGPタイトルを獲得しているマルケスはこの金曜に24回目の誕生日を祝うことになった。

22歳のヴィニャーレスはマルケスがチャンピオン争いで初めて出会う年下のライバルだ。

一方ヴィニャーレスは明日シーズンが始まれば良いと考えているはずだ。そして3月26日の開幕までには自分とM1がどこまで速くなっているかも明確にわかっているはずだ。

「マシンはすごくいいですね。まだ電子制御とブレーキング周りで少し改善ポイントがありますけど」と彼は言う。「僕も努力しないといけませんね。もっとマシンを速く走らせるように、もっとスムーズに乗らないと。ちょっとアグレッシブにマシンの上で動きすぎることがあるんです。だから僕もできるだけ早く乗れるようにならないと。
 心配事はないですね。マレーシアでも心配はなかったですから。スピードも出てますし。100%にもっていくにはまだ少しやらなければならないことがありますけど。でもチームもいい感じだし、そこもありがたいですね」

最後のプレシーズンテストは3月10日から12日までカタールで行われる。これがマルケスにとっても他のライダーにとっても開幕前にヴィニャーレスの勢いを止める最後のチャンスだ。2週間後、いよいよそのカタールでシーズンが始まるのだ。
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まだM1を乗りこなしていないのにあのタイム。ヴィニャー、恐ろしい子…。

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コースサイド…テレメトリーでもテレビでもわからないこと

これだけテレメトリーが発達してもやっぱりプラクティスではコースサイドからスタッフがライダーを観察しています。その理由をPecinoGPより。
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多くの機材を駆使したテレビ中継に加えてMotoGP関連ウェブサイトが溢れかえっているおかげで山ほどの映像やレポートが手に入るようになった。そして現地からの距離が500マイルだろうが1000マイルだろうが10000マイルだろうが、コースにいるのと同じ情報が得られた気になってしまう。しかしそれは間違いだ。同じなわけがないのだ。

現地で実際の場面に立ち会っていなければ見えないことや理解できないことはとてもたくさんある。それだけではない。マシンに搭載された最先端のデータ収集システムでもわからないことはあるのだ。だからこそアドバイザーたちがコースサイドに張りついているのだ。ルカ・カダローラもウィルコ・ツィーレンベルグもダヴィデ・タルドッツィもそうなのだ。MotoGPのように技術が飽和状態に達している世界で人間の観察が何を付け加えることができるのか?最先端のコンピュータプログラムが全てを計測し分析しているのに、たかが人間に何ができるというのだろうか?

とは言え、コースサイドに人をやって何が起こっているか目で見て耳で聞くことが実はこうした最先端技術から最大の情報を得るための重要な要素であるというのが何よりの証拠だ。この事実にエンジニアは頭が上がらないのである。そういう意味でセパンのコースサイドから観察するマシンごとに異なる挙動やライダーのボディランゲージから見て取れることがたくさんある。いくつか例を挙げていこう。

セパンのコースサイドに立っているとホルヘ・ロレンソが新たなマシンに日々進化しているのがよくわかる。初日の惨憺たる結果を受けて彼は立ち止まり何が起きているのかを分析したのだ。ミケーレ・ピッロとケイシー・ストーナーの助けも残り二日間の彼の変容に力を貸しただろう。

2日目、明らかに彼は様々な方法を試し始めていた。マシンの上でいろいろなポジションを試し、コースに出るたびに違う体の動かし方をする。ドゥカティの優位性をどうやって引き出すかを少しずつ試し、そしてデスモセディチへの理解を深めていった。もっとアグレッシブに乗る必要があったのだ。8年間のヤマハ時代に慣れ親しんだ早めのブレーキングと半径の大きいきれいなコーナリングラインという自分のライディングスタイルを根本から直さなければならなかったのである。

それほど難しい話ではない…理論的には。ホルヘはデスモセディチの最大の強みであるエンジンパワーを最大限引き出せばいいのである。どうやって?簡単だ。コーナリングの時間を短くするだけである。ドゥカティのエンジンがMotoGPで一番パワフルかつ速いのであれば、できるだけ長くエンジンに仕事をさせてやればいいだけだ。
コースサイドから見ればロレンソがどのように新しいマシンで自分のライディングスタイルを進化させていったのかが手に取るようにわかる。3日目のコーナー入り口の乗り方は初日とは全く違っていたのだ。しかし以降のコーナー進入、クリッピングを探りながら直立状態から最大アングルまで倒し込んでいく様はまだ自然なものではなかった。ヤマハでは本能的にできたことがドゥカティでは考えながらやらなければいけないのだ。

彼のボディランゲージはマシンについてどう感じているかを雄弁に物語っていた。まだそのやり方はうまくっていないと考えているのがにじみ出ていたのだ。しかし彼がピットを出るごとに進化していったことはわかるだろう。ホルヘは自分の仕事をよくわかっているのだ。

何時間もセパンの灼熱の太陽の下で立ち続けているのは楽しいことではない。しかしそこでしかわからないことがあるのだ。例えば二人のルーキー、ザルコとフォルガーがなぜ調子が良かったのかといったことだ。自信の有無ということではない。もちろん二人とも11月にもヤマハで走っているが、それが彼らの調子の良さの理由ではないのだ。11月の3日間のテストを終えてどのチームもセッティングをする時間が充分あったというのがその理由なのだ。それだけではない。コースサイドで見ていると、どうもヤマハM1にはライダーが合わせやすいという何かがありそうなのだ。

これはヤマハが元々ブレーキングや加速でマシンが暴れないということもあるだろう。前後のホイールが同一軸上に揃っているおかげで、その2か所のマシンの接地点が同じ方向に向けて機能できるのである。おわかり頂けるだろうか?HRC製のRCVを思い起こしてみてほしい。M1とは正反対のマシンだ。

マルク・マルケスがコーナー進入であらぬ方向にリアタイヤを向けているのはお馴染みの光景だ。ブレーキングといった大事な瞬間に「あらぬ方向」に向くというのはつまりRCVの前後タイヤが一直線上にないということである。マルケスとロッシのブレーキングの差を思い浮かべれば私が何を言いたいのかわかってもらえるだろう。

どちらもハードブレーキングを得意とするライダーだ(とは言えクラッチローのブレーキングが最もハードだろう)。しかしマルケスのブレーキングではリアホイールが左右に蛇行しているのに対してロッシのブレーキングではマシンはフロントホイールの方向にきっちり向いている。つまりマシンの接地点が同じい方向を向いているということだ。ザルコやフォルガーのような経験の浅いライダーでもマシンを制御しやすいのはそういうことなのである。

他にもコースサイドからわかる細かいことがある。こんどは音の話だ。加速でのエンジン特性の違いである。ホンダとスズキの違いはスロットルの開け始めに現れている。トラクションがかかるその瞬間だ。

アンドレア・イアンノーネのGSX-RRが全閉から20%ほどまでスロットルを開けたところを例に挙げてみよう。トラクションコントロールやウイリーコントロールが介入してパワーをカットするほどではない状態のところだ。これがホンダだと5%くらいの範囲しかないのである。どういうことか?スズキならちょっと開けすぎたくらいでも何も起こらないのだが、ホンダでこれをやるとすぐに加速が鈍ったりトラクションコントロールが介入し始めるのである。

こうしたことはコースサイドにいるからこそわかることだ。違うマシンが同じ場所を通り過ぎる音を繰り返して聴く。冒頭で述べたとおり、テレメトリーでもテレビ映像でもわからないことだ。そして同じことが他の場面でも起こっているのだ。それについて語ることにしよう。

ホンダとスズキのエンジンの比較の話をしたが、この特性の違いはマシンを自分で積極的に動かしていくのか、それともマシンの挙動に対して自分が反応していくかの違いに現れてくる。セパンではマルクのホンダは明らかにマシンの挙動に反応しなければならないタイプだった。マシンの挙動を常に修正し続けていかねばならないのだ。こういうマシンはライダーを疲労させる。肉体的にも精神的にもだ。そしてその結果としてアグレッシブなライダーに合うマシンとなるのだ。
ライダーが積極的に動かしていくタイプのマシンは当然ライダーが主導権を握ることになる。こうしたマシンならライダーのタイミングでマシンを好きなように動かすことができる。スズキもそうだがヤマハのM1こそがその代表である。マシンの挙動がつかみやすく限界で走らせることができ、ライダーの意のままに制御できる。マシンに合わせなければならないとなるとマルク・マルケスのような技術と決断力か、カル・クラッチローのような勇気が不可欠となるのだ。
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みんなサーキットに行こう!!

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信じる?…MotoGPトップライダー干支占い

めっちゃ無神論者の私ですけど、たまにはこういうネタも。なかなか味わい深いですよ。PecinoGPより。
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数週間前、世界中に広がる中国人コミュニティで旧正月が祝われた。中国占星術では2017年は酉年。マレーシア生まれのリー・メン・フェイがMotoGPのトップライダーの干支占いを送ってくれた。紹介しよう。

アンドレア・ドヴィツィオーゾ:寅年生まれ

2017年の寅年生まれは徐々に仕事が軌道に乗っていくでしょう。周りの助けもあって問題が解決する年です。しかし去年の不運から抜け出すにはもう少し時間がかかりそう。人間関係には恵まれるので、同僚や友人からの助力も期待できます。また仕事についてはじっくり考えることができるようになるので感情的になることは少ないでしょう。ただし敵を過小評価してはいけません。予想もしなかったところで敵が現れるかもしれません。特に、さあこれからという大事な時は気を付けて下さい。今年後半は仕事運も上り調子なので責任を持って真剣に仕事に取り組むことが大事です。くれぐれも楽観視しすぎないよう。

アンドレア・イアンノーネ:巳年生まれ

変化を求めた今年ですが、好機には恵まれません。幸いなことに人間関係には恵まれるので周りに助けてもらえるでしょう。収入は増えますが、その分仕事面のプレッシャーは高まることに。

マルク・マルケス:酉年生まれ

2017年の酉年生まれは不運に襲われます。今年は大きな変化や決断は避けた方がよいでしょう。さらに仕事の上でも様々な困難が待ち受けています。同僚や上肢とも諍いがあるでしょう。何か決断するなら2回考えて。直感で決めることはさけるべきです。

ホルヘ・ロレンソ:卯年生まれ

今年の卯年生まれは仕事の上で大きな困難に直面します。仕事上のライバルに陥れられたり、一生懸命働いているのに成果が上がらなかったりします。さらに仕事の進め方を率先して変えようとするなら困難を克服するために外部の助けを積極的に求める必要があります。家族や友人や同僚の助けやアドバイスが必要でしょう。

ダニ・ペドロサ:丑年生まれ

丑年の彼は幸運にたいへん恵まれます。仕事への取り組み姿勢やその能力は上司が見てくれています。今年は自分のキャリアを考えて能率的に仕事を進めれば大きな成果が得られるでしょう。物静かで地に足のついた仕事のやり方のおかげで2017年は着実にキャリアアップします。しかし敵の嫉妬心には気を付けて。特に同僚は最大のライバルですし利害が対立します。仕事に口を出してくる人を信じてはいけません。他人が仕掛けた落とし穴にはまらぬよう自分の身は自分で守りましょう。

ヴァレンティーノ・ロッシ:未年

彼の2017年は普通の年。解決しなければならない難しい問題がたくさんやってきます。そういう意味ではこれまでよりも疲れることが多くなるかも。予想もしなかった問題が次々押し寄せて、孤独を感じることもありそうです。市場の変化のせいでビジネスは下降線。ですから自ら変化と改革を進めていかねばなりません。新たな販路や方法論を開発しましょう。また外部の人とも積極的にコミュニケーションをとるのもいいでしょう。一緒に仕事をしている人たちの意見に耳を傾け、ペースを落とさずチームをひっぱていけば厳しい戦いにも耐えられるでしょう。

マーヴェリック・ヴィニャーレス:戌年生まれ

戌年生まれには概ねこれまでにない幸運が待ち受けています。そのたぐいまれなる幸運は後援者からもたらされます。異なる職業の友人からたくさんのことを学ぶことが飛躍の鍵です。しかし後ろから付け狙う敵には気を付けなければなりません。同僚と良い関係が築けた戌年の男性には後援者から大きな幸運がもたらされ、そしてキャリアアップのチャンスにも恵まれるでしょう。
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ダニ、今年こそチャンピオン?

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【提供記事】マルケスとブレンボのこれまで

あんまり宣伝関係は掲載しないのですが、これはたいへん興味深いので。ブレンボからの提供記事です。
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マルク・マルケス。彼が125cc時代からMotoGPまで使いこなしてきたブレンボのブレーキの変遷についてご紹介しましょう。

マルケスの5度の世界制覇を支えたブレンボのブレーキ。2010年から現在までの違いと共通点をさぐっていきます。

熱烈なファンもそうでない人も、彼の5回もの世界制覇は、決して偶然の産物ではないのは誰もが認めるところ。しかも24歳未満の若さで5回もの優勝を果たしたライダーは、世界選手権史上ただ一人。そう、マルク・マルケスです。MotoGPでは参戦わずか4年ですでに3回優勝しています。

マルケスの勝利には、バレンティーノ・ロッシと同じで共通項が1つあります。それはブレンボのブレーキシステム。もちろん、クラスやマシンが変わるたびに仕様は変わり、それとともにブレーキの特性も変化していきましたが、パーツはすべて、イタリア北部ベルガモ郊外にあるブレンボのレーシング製品の製造工場(www.brembo.com)で作られたもののみでした。

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では、マルケスの勝利を支えたブレーキシステムについて詳しくみていきましょう。

1) キャリパー
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 ブレンボのキャリパーは、マルケスの5台のマシンに共通する最も重要なパーツです。仕様はマシンごとに異なりますが、唯一変わらなかったのは、フロントがモノブロックでリアがツーピースということです。モノブロック製法のキャリパーは剛性が高いため、使用割合が大きいフロントに用いることでメリットを最大限に発揮できます。一方、リアは小さい分、剛性の差も限定的という技術的な理由からツーピースをリアに採用しました。マルケスの場合、変わっていったのはマウント方式とピストンの数です。2010年に世界を制した際のデルビでは、フロントはラジアルキャリパー、リアはアキシャルキャリパーで、いずれも2ポットでした。その2年後に再び世界チャンピオンに輝いた際のスッターでは、フロントを4ポットに変えました。プレミアクラスで3度目の世界制覇を成し遂げた際のホンダRC213Vは、フロントもリアもラジアルキャリパーになりましたが、リアは2ポットです。素材は一貫してアルミニウムですが、2013年と2014年は、フロントにアルミ・リチウム合金製キャリパーを採用しています。

2) ディスク

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 かつての125ccクラスとMoto2クラスでは、コスト削減のためカーボンディスクはレギュレーションで禁止されていました。そこでマルケスは、ブレンボのブッシング付きスチール製ディスクを使用して2度の世界制覇を果たしました。ご存知のとおり、排気量が増大するにつれてディスクも大型化していきます。デルビの頃はフロント218mm径、リア190mm径でしたが、スッターではフロントが290mm径、リアは218mm径になり、厚さも125cc時代を上回りました。ホンダRC213Vになってからは、フロントがカーボン素材の320mm径ディスクですが、開催地によっては340mm径も使われています。いずれも厚さは下のクラスより増しています。

3) パッド
 マルケスを5回優勝に導いた5台のマシンは、すべてリアにH38シンタード(焼結)パッドを使用しました。パフォーマンスに優れた素材ですが、噛みの強さは抑えめです。したがってリアに使用して、フロントは別の素材にしています。フロントはブレーキディスクとの相性さえよければ多少噛みの強い素材も使えるので、125ccクラスとMoto2クラスではZ04シンタードパッド、MotoGPではカーボンパッドを使用しました。このカーボンパッドには数多くの改良を加えてきましたが、詳細は機密保持の理由から明かせません。

4) マスターシリンダー

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 ブレンボはキャリパー、ディスク、パッドの他に、レース用のマスターシリンダーも世界選手権のマシンに長年供給してきました。マルケスが使用しているフロントマスターシリンダーは、アルミニウムのインゴットからの削り出し製法によるもので、1度だけピストン径を変えています。デルビの頃は16mmでしたが、スッターとホンダでは、デルビよりサイズを上げて18mmを使用しました。一方、リアマスターシリンダーではフロントよりも大きな変化がありました。マルケスが125ccクラス時代に使用したのは鋳造のマスターシリンダーで、リザーバータンクが別のタイプでした。Moto2にクラスを上げてからは、ピストン径はそのままでリザーバータンク一体型に変え、製法もアルミニウム削り出し製法のものになりました。MotoGPでは引き続きアルミニウム削り出し製法のリザーバータンク一体型を使用していますが、ピストン径は大きくしています。
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マスターシリンダーのピストン径を大きくするとイメージとしてはレバーの握りが硬くなる感じでしょうか。

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春のパスタ会、日程決定。

2月25日(土)16時頃から。

参加ご希望の方は冨永宛ご連絡くださいな。
今のところ3名様が参加予定です。

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ロレンツォ・バルダッサーリへのインタビュー:Moto2チャンピオン候補であることについて、VR46アカデミー、2017年への準備

需要の有無に関係なくかわいかったので、Moto2ライダー、ロレンソ・バルダッサーリへのインタビューをMotoMatters.comより。
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昨年のランキング上位7人のうち3人がMotoGPクラスに上がることになったMoto2クラス。つまりこの中量級クラスのチャンピオン争いは多くのライダーに開かれているということだ。ロレンツォ・バルダッサーリ、トム・ルティ、フランコ・モルビデリ、中上貴晶といったライダーがその筆頭である。他にもKTMのミゲール・オリヴェイラやスッターのドミニク・エガーター、ダニー・ケント、カレックスのアレックス・マルケスといったダークホースも控えている。それに加えてなんといっても有望なルーキーたちがこのクラスに乗りこんでくるのも興味の的だ。昨年のMoto3チャンピオン、ブラッド・ビンダーに加えて、ファビオ・クアルタラロやペッコ・バグナイアといった目が離せないライダーがやってくるのだ。

そしてこのクラスについて驚かされるのはイタリア人ライダーの層の厚さである。Moto2のトップチームが名を連ねているおかげであり、そして何よりヴァレンティーノ・ロッシの強大な商業帝国に支えられたVR46アカデミーが才能あるライダーを輩出し続けているおかげである。そしてその二つの要素はミラノでの2017年フォワードレーシングのMoto2発表会にも存在していた。ジョヴァンニ・クザーリが所有しミレーナ・コーナーが運営するこのチームのライダーは去年と同じ。チャンピオン争いが期待されるロレンツォ・バルダッサーリと、今年は常にトップ5を狙いたい、そして表彰台争いにからみたいルカ・マリーニだ。

しかりロレンツォ・バルダッサーリが2017年にフォワードレーシングですべきことははっきりしている。発表会ではチームオーナーのクザーリもVR46の代表であるアレッシオ・ウーチョ・サルッキもこの20歳のイタリア人が優勝候補だとはっきり言ったのだ。この発表会に出席していた何人かのジャーナリスト今シーズンに臨むバルダッサーリの気持ちについて尋ねている。

プレッシャー

「もちろんありますよ」とバルダッサーリは言った。「僕はライダーだし、プレッシャーを感じていないライダーなんていませんからね。タイトル争いをしようという最初の年ですからね、100%で走りきらなきゃいけないし、ミスはできない。これは当然のことですし、だからプレッシャーもコントロールできますよ」

バルダッサーリ自身は自分をチャンピオン候補だと考えているのだろうか?「もちろん今年もたくさんのライダーがタイトルを狙ってくるわけですけど、僕もやれると思ってます。だからタイトル獲得がひとつの目標です。でもMotoGPに行ったライダーもたくさんいて、すごく速いライダーが3人か4人は上に上がってますよね。とは言え毎レース全力を尽くして100%で臨みますよ。そして今年は安定して走りたいですね。
 これまでのシーズンは浮き沈みがありましたから。特にシーズン前半は苦労してます。その後はトップ3で走ろうってとこまでは行けてるんですけど」。バルダッサーリは誰がライバルとなるかについてもはっきりした考えをもっている、「トマス・ルティはMoto2の経験も豊富です。あとフランコ・モルビデリとタカ・ナカガミですね。他にもKTMが新規参戦してきますしスッターも復帰しましたね」

今シーズンへの備え

バルダッサーリは細かいことにこだわるので有名だ。そんな彼が毎年どのようにシーズンに臨んでいるか教えてくれた。「細かいことも完璧に仕上げていくんです。例えば、過去のレースを見返したり、今年のシーズンオフは全レースを見返してます。予選もね。自分のライディングスタイルをビデオや写真で見直してもいます。あと他のライダーのスタイルとも比較しますね。それからヴァレ(ロッシ)からも学んでいます。先生からはすべてを吸収しようとしてますよ」

ロッシだけがバルダッサーリの師匠ではない。VR46アカデミーには常勤のライディングコーチがいる。スペイン人のイダリオ・ガヴィラだ。彼は全てのライダーを見ているのだ。「彼の存在はとても重要ですね。コースに来て全ライダーのコーナリングをあちこちで観察してくれるんです。何速に入れてるとかもね。だから彼はどうやったらまく乗れるか教えることができるし、どこを直したらいいかも教えてくれる。ほんとうにコーチみたいな存在なんです。VR46の全ライダーのために働いてくれてるんですよ」。ロッシもできるときには助けてくれるが、レース期間中はこの伝説的イタリア人の集中力はすべて自分のレースに注ぎ込まれることになる。「ヴァレもコースで手伝ってくれますよ。サーキットでの走行会とか主催するときですけどね。でも彼はすごく忙しいし、だから僕らは地元やジムで会ってますね」

VR46アカデミー

バルダッサーリはVR46アカデミーがイタリアのバイクレースシーンの再興にどれほど重要な役割を果たしているのかも話してくれた。少し前まではスペイン選手権を経験したスペイン人ライダーがグランプリを席巻していた。しかしVR46アカデミーがこの状況を大きく変えたのだ。

「VR46が僕らにとって重要なのは言うまでもないですよ」とバルダッサーリは私たちに言った。「それまでは学校を持っているのはスペイン人ライダーだけだった、だからチームマネジャーもスペイン人ライダーをどんどん育てることができた。一方僕らイタリア人にはそういう手助けになる学校がなかったんです。誰もそんなことができるとは思ってなかった。でも今はVR46アカデミーがある。ヴァレが作ったこの学校のおかげで僕らは凄く早く成長することができたんです。イタリア人がまた増えてきたのはそのおかげもあるんですよ」

アカデミーで学んだことの中で最も大事なことはなんだろうか?「もちろんいろんなことがありますよ。トレーニングについても僕には目新しかったです。特にライディングのトレーニングですね。あとライディングスタイルもそうですね。すごく細かいところをいろいろ学んでいて、ヴァレからも教えてもらってます。ヴァレの施設コースで彼と話すこともすごく役立ってますね。マシンのコントロールが学べるんです。それと戦い方も学んでます。ヴァレのコースでは毎回レースをやるんですよ。しかも本当のレースばりにみんな真剣なんです。みんな日々上に行こうとしてるんですよ」

VR46 のダートトラックコース、「モト・ランチ(バイク園)」はバルダッサーリが自分で最大の弱点だと考えている部分の改善にも役立っている。「この冬は、特に方の手術が終わってからはモト・ランチとジムに通ってます。僕のライディングスタイルだとドライとウェットが混ざったコンディションで苦労するんです。僕がそういうのが好きじゃないんですよ。でもそういうのも克服しなきゃならないんで、すごくがんばってます、あとヴァレンシアでもコースがドライとウェット混じりでわかりにくかった。だからあの時も少しでも苦手意識を克服しようとしてました。モト・ランチもそういう意味ですごく役立ってます。冬期テストでは苦手克服のために路面温度が低い状態で走る予定ですよ」

Moto2の先に

バルダッサーリはMoto2を越えてMotoGPで走りたいと考えているのだろうか?「ええ、もちろんですよ。子供の頃から考えてますよ。だってMotoGPに行くのが夢なんですから。だからそのためにも全力を尽くしますよ。でも大事なのは急ぎすぎないことです。自分の準備ができたら上がればいいと思ってますし、一緒にやるなら良いチームでやりたいですしね」

MotoGPの方がバルダッサーリは楽ができそうだ。その身長のせいだ。「パワーがあるのも間違いなくいいですよね。僕は身長もあるし体重もありますからね。だから凄く良いと思いますし、試してみたいですね。明日にでも!」。彼はこの件を友人で同居人のペッコ・バニャイアにも話している。アスパーチームがバニャイアにご褒美でユージーン・ラヴァティが2016年に使ったドゥカティGP14.2に乗らせた後のことだ。「彼はMoto3なのに僕より早くMotoGPマシンに乗ってるんですよ。だから彼に感想を聞いてみたんです。すごかったみたいですよ。僕がMoto2に乗るより全然大きく踏み出してますよね」

バニャイアがMoto2に上がってきたせいで、同じ屋根の下にライバルとクラスのはずいぶんな緊張関係となりそうだ。「そうとうへんでしょう?ぜんぜん違いますよ!」とバルダッサーリは言う、「この件についても話し合っていて、でも僕は何も変わらないと思ってます。去年は状況が違いました。彼はMoto3で、でも今年はMoto2で、家の中で皿を投げ合うとかあるかもね、って話したりはしたんですけどね。でも僕は、お互いに尊敬しあえると思ってますよ。ルカみたいにね。コース上ではルカも敵ですけど、でも家に帰ればピットの中のルカに対するのと同じように友達でいられますよ。それどころか助け合えると思ってます。プラクティスとか、あとはアドバイスを出し合ったりね」
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こうした長文のための情報収集には資金が必要です。もし楽しんでいただけたのならMotomatters.comへのご支援をお願いします。サポーターになっていただくか、カレンダーをお買い求めいただくか、寄付をしていただくか、若しくはGoFundMe経由でご支援をいただければ幸いです。
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なんだ、このいい人っぷりはw。

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CRASH.netによるダニ・ペドロサ独占インタビュー

契約は2018年までありますけど今年が正念場な気がするダニ・ペドロサへのインタビューです。CRASH.netより。
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MotoGPライダーのダニ・ペドロサはチームメイトのマルク・マルケスとともにセパンからインドネシアに旅立った。PRツアーの最後となるジャカルタで行われるレプソル・ホンダチームのお披露目のためだ。

CRASH.netはそのステージが終了した後に29回のMotoGP優勝経験がありランキング2位を3度経験しているダニ・ペドロサへのインタビューを行った。

スペイン人の彼はセパンテストで初日の13番手から最終日は4番手にジャンプアップ。マルケスと彼はホンダの最新型エンジンのテストをしていたのだが、同時に統一電子制御ユニットにも取り組まなければならなかった。

CRASH.net:ダニ、ここではこの2日間、ずいぶんと凄い歓迎を受けました。特に工場訪問は凄かったですね。MotoGPで走り始めてかなり経ちますけど、こういうのには今でも驚くんですか?

ペドロサ:もちろん、もちろん。こんなことは他ではないですよ。さっき言ってくれたみたいに、ファンといろんな体験ができたんです。いろんなことをいろんな国でね。でもここで昨日体験したことは現実とは思えないですよ。まず僕らが言ったのは巨大な工場で、でもそれ以上に感動したのは従業員の皆さんが全員集まっていたことですね。3000人もの人が叫びながら写真を撮りたがってたんですよ!こんなたくさんの人たちが僕の前にいるなんて見たことがない。すごかったです。


CRASH.net:MotoGPのすごさにコース外でも驚いているようですが、コースではいかがですか?どんなモチベーションで再びサーキットに戻ってきて限界で走ること
ができるんでしょうか?

ペドロサ:常に上に行きたい、勝ちたい、自分がどこまでできるか試したいってことですね。常に自分の限界に挑戦したいんです。それが僕の内なる魂なんです。

CRASH.net:ミザノでまさにそれを見せてくれましたね。マシンが合えばどれほどのことができるのかを証明しました。MotoGPマシンにはどんな特性を求めるんですか?

ペドロサ:そうですねぇ、強いて言うなら、どれほどかはともかく安定性のあるマシンがいいですね。僕のライディングスタイルでは毎ラップ常に同じラインで同じクリッピングポイントを通りたいんです。ライディングでも安定性が大事なんです。そういう意味で安定性の高いマシンがいいんです。
 まあみんな知ってますけど僕はすごく体重が軽くて、だからリアサスはすごく柔らかいのを使ってるんです。でもフロントはそこまではできないんです。ブレーキングがうまいライバルと闘ってるからなんですよ。僕のフロントサスはそうしたライバルほど硬くはないですけどね。僕は彼らほど大きくないんで、彼らみたいに(体を使って)フロントに荷重をがっつり掛けるわけにもいかないんです。
 自分の体重を(前後に)移動させても彼らほどの効果はないんですよ。だから荷重を移動させるためにサスは柔らかくしたいんです。マシン自体のピッチング(前後の荷重移動)を大きくしたいんです。でもマシンにかかる荷重とスピードは同じですから、それなりに硬いスプリングを使わなきゃならないんですよ。


CRASH.net:ミシュランタイヤの特性が去年は大きな鍵となりました。新しい「太い」ミシュランのフロントはどうですか?去年より好みです?

ペドロサ:ええ、新型タイヤはグリップも増したし接地感もある。太くなったことについては高評価を下してます。コーナーに向かってマシンが傾くスピードが少しゆっくりになってるんです。そこは最高とは言えないですけど、でもグリップも増してるし接地感もあるんで、だからセパンでもクラッシュが減ったんでしょうね。新しい舗装のおかげか新型タイヤのおかげかはわからないですけど、クラッシュは減った。だから別のコースでまたどんな感じか確認したいですね。


CRASH.net:去年から大きく変わったことに統一電子制御ユニットの導入があります。パフォーマンスのレベルはどうですか?

ペドロサ:電子制御に関して言えば以前ほどのパフォーマンスはないですね。でも電子制御ユニットは統一化されましたけどマシンごと、チームごとに違ったアプローチをしているはずですし、それがパフォーマンスの差を作ってるんだと思います。
 まあ基本的にはそのせいでセパンテストではそれほどいいスタートが切れなかったですけど、テスト期間中にいいところまで持って行けました。逆にドゥカティなんかは最初から良いペースでしたね。
 だからまだ「隠してる」って感じだと思いますよ。(あるセッティングの電子制御には)合うコースもあるし、そうじゃないコースもあるでしょう。コンディションにどう電子制御が反応するかなんです。


CRASH.net:去年の序盤はホンダも新型電子制御に対応するためにいろいろしなければなりませんでした。それを経験したことで今年は楽になるんでしょうか?

ペドロサ:全然ですよ!まあ電子制御に集中して取り組まないといけないってことは学びましたけどね。去年はそれ以外の部分に精力を注いでいて、電子制御のセッティングの違いでこれほどまでにライバルに差をつけられるとは思わなかったんです。だから電子制御にどれほど力を注がなきゃいけないかわかりましたね。


CRASH.net:では今他のパーツをどうこうするより、まずは電子制御のセッティングを決めなければいけないということなんですね。

ペドロサ:基本的にはそうですね。マシンの気持ち悪い挙動はたいてい電子制御がコースのその部分に合わせてちゃんとセッティングできてなかったからなんです。それで変な挙動が出るとかウイリーするとか、パワーの出方が気持ち悪いとかなるんです。


CRASH.net:統一電子制御は今年も同じですが、ウイングが禁止されましたね。あなたはウイングが危険だとはっきり主張していたライダーの一人ですが、ヤマハの新型カウルについてはどう思いますか?

ペドロサ:いくつか写真は見ましたけど刃物みたいなものが突き出しているよりは全然安全ですね。あとは乗った感触の問題でしょうけどそれについては僕は何も言えないですから。


CRASH.net:セパンではマルクが親指ブレーキを試していましたけど興味はありますか?

ペドロサ:試したことはあるんですよ。悪い考えじゃないと思いますよ。慣れればね。ドヴィツィオーゾはもうMotoGPで使ってると思いますけど、使いこなせるほど試してるわけじゃないんで。


CRASH.net:最後にひとつ。まだシーズンも始まってない段階ですが、メーカーごとの力量差はどんな感じだとみていますか?

ペドロサ:全メーカーがパフォーマンスを上げてきたと思いますよ。マシンのコーナリング性能だけじゃなくて、例えば電子制御についてもそうだし、エンジンもみんな良くなってますよね。ストレートでは今回のテストを見る限りドゥカティが一歩先にいってますけど、ヤマハも速いしスズキも速い。それにKTMもストレートではちゃんと速いんですよ。
 だから各メーカーともにいいレベルになってるし、どのチームにもいいマシンを供給していますね。


CRASH.net:ありがとうダニ。

ペドロサ:どういたしまして。
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あー体重かー、辛そうだー。

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2017年日本GPライダー応援席について

先日やっとのことでツインリンクもてぎに日本GPの感想をお送りしました。
主に絶賛、ついでに「2017年のライダー応援席はZ席以外でお願いします」って要望も。

で、お返事が来ました。

例によってまるごと引用はご遠慮ください、なので要点をかいつまむと、

○2016年開催時のロッシ応援席は、公式ファンクラブで購入された方の満足度は高くアンケートでも好評
○今後の展開については、アンケートや皆様からの意見に基づき関係団体様との調整を進めている最中
○正式決定後WEBで発表

ですって。

まあ今年もZ席に来そうな予感…。

一応、お問い合わせフォームから、

「そりゃそうでしょうけどZ3席から去って行った皆さんの気持ちも慮っていただきつつ、Z席全部がライダー応援席になるってのはお願いだからやめてくださいな」と返しておきました。

ご賛同頂ける方はぜひ声をサーキットに届けて下さい。

+++以下、最初のお手紙(原文ママ←誤字恥)+++

昨年春にロッシ応援席について設置反対のお願いをした冨永ともうします。その節は真摯にご対応いただきありがとうございました。

さて、今更ながらですが昨年の日本GPについての感想(主に感謝とお礼です)2017年についてのお願いです。

1.2016年MotoGPにいついて

(1)ロッシ応援席の件
 おかげさまでZ4で観ていても特にい気に障ることもなく快適に観戦することができました。事前の周知のたまものだと思います。ありがとうございました。
 逆に応援席の方たちは楽しめたのかが心配になるほどでした。なんとなうdすが、メーカー応援席と同様に、単にロッシが前を走ると旗を振るだけで、予想していた地鳴りのような応援の声もなく、盛り上がりがいまひとつのように感じました(なにが言いたいかというと、「こんなんだったら応援席じゃなくてもいいんじゃない?」ってことなんですが)。そしてロッシが転倒しても目に見えてがっかりするわけでもなく、端から見物していて甚だつまらないものでした(よけいなお世話ですが・・・)。

 というわけで2017年のZ席応援席企画は是非断念されますよう。

(2)ホスピタリティガーデン
 オーバルのほすぴたは最高でした!前田牧場の牛串やELIOのピザとワイン、沖縄そば等々、これまでにない贅沢をさせていただきました。

(3)出迎え最高!
 南ゲートから駐車場に入って、中央エントランスまでの道にライダーの等身大パネルと母語での応援が書かれているのに盛り上がりつつ、中央エントランスにシーズンの全ラウンドが1枚ずつの巨大パネルにまとめられているのが感動でした。終盤におかれた日本GPなあではの企画!ありがとうございました。

(4)キャンギャルの影が薄くてすばらしかった
 以前より、半裸に近いキャンギャルが(それほど知性的でもなく)語るステージはモータースポーツに対する冒涜でもあり、家族連れが多くなってる最近の日本GPにはいかがなものかと思っていたので、昨年のもてぎで目に見えてキャンギャルの影がうすくなったのは大英断であり、しかもそれを貫き通すのにいろいろご苦労もあったでしょう。これからも世界の最先端としてこうした部分も維持していただければとぞんじます。

総じて2016年の日本GPはイベントの質が一段上がったと感じられるすばらしいものでした。本当に楽しかったです。


2.2017年に向けてのお願い
(1)ライダー応援席はZ席以外でお願いします
 こは昨年もお願いしたことですが、みんなのZ席だと思っているので、一等地を特定のライダーのファンが独占することのないようにお願いします。
 ロッシ応援席をZ3にしてZ4にマルケス応援席、Z2にロレンソ応援席とかってのは最低ですからね(念のため)


(2)今年も前田牧場は是非!
 いや、向こう次第でしょうが、感動的なおいしさでしたので。

(3)いつかオーバルの撤廃を
 いや、これは今年の日本GPには無理ですがオーバルがなくなればもっと見やすいコースになるのになぁって・・・。

なにがあろうが今年も日本GPには参りますし、モーターサイクルショーでは金曜に乗り込んでチケットを確保するつもりでおりますので、今年もよろしくお願い申しあげます。

本当に2016年は最高のイベントでした。今年も楽しみにしております!
+++以上+++

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重力の法則は破る。ママの言いつけは守る。

米国ではあんまりGPの人気は無いんですが、珍しくニューヨークタイムズがマルク・マルケスを記事にしてます。面白いので訳出。NYT2/7版より。
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スペイン、セルヴェラ発

マルク・マルケスはあるトラブルから逃れようともがいている。ただしこのトラブルはいつもとは違うものだ。

恐らく世界最高のライダーである彼はいつもはバイクで重力の法則と戦っている。しかし今回彼が挑戦するのは違う戦いだ。弟のアレックスと一緒に水泳でワークアウトし家に帰ってきた彼はママのルールに従わなければならないのである。

「濡れたタオルをバッグに入れっぱなしにするなんて許しませんよ」。息子たちが自分の命令に従ってヒーターにタオルを掛けたのを見届けたロゼール・アレンタは解説した。「あの子たちは世界チャンピオンでしょうけど、私の息子ですからね。うちでは私のルールに従ってもらいます」

マルケス兄弟のように世界チャンピオンになれば、普通はモナコやスイスといった贅沢のできる避難所に引っ越すものだ。しかしマルケス兄弟は相変わらず両親の目の届く場所、すなわち両親が今23歳のマルクが生まれる直前に手に入れたテラス付きの家にとどまっているのである。

つまり、マルケスが世界中を駆け巡ってファンの前でレースをし、ざっと1100万ドル(12億円)を稼いだ後、シーズンオフの間は昔のままの2段ベッドで子供の頃に集めたミニカーに囲まれて眠るということなのである。私たちが1月に彼を訪ねたときには彼の部屋の一角に未使用の服が山と積まれていた。スポンサーから送られてきたものの余りものだ。すぐに親戚の子供たちがこれに目をつけることになるのだろう。

「他のライダーが冬はモルジブとかで過ごしたいってのもわかりますよ。でも僕はここで育ったんだし、今でもここにいたいんです」とマルケスは語る。「もちろん昔と同じってわけじゃないですよ。でも僕の回りの人たち、家族や友達やマネジャーは全く変わってないんです。それにここなら一番の親友である弟とトレーニングができますからね」

マルケスの家族が住む家には兄弟が子供の頃に獲得したトロフィーでいっぱいの部屋がある(バイクや、もっと重要なトロフィーはこの小さな町の博物館だ)。マルクの寝室にはFCバルセロナのディフェンダー、ジェラール・ピケのサッカーシューズ、F1ドライバーのフェルナンド・アロンソのヘルメットといった他のスポーツのチャンピオンからもらった大事なものが飾られている。自分がいかに早くいかに大きな記録を打ち立てたかを思い出させるようなものではないのだ。

2013年には最高峰クラスであるMotoGPに参戦し、そしてタイトル獲得の新記録となる20歳でチャンピオンとなっている。30年前にアメリカ人ライダー、フレディ・スペンサーが打ち立てた記録を破ったのである。

「自分が次の瞬間にどうすべきかを察知するマルクの能力は誰にも真似ができないんですよ」とスペンサーは電話インタビューに答えてこう言っている。「もし自分の記録が破られるなら、誰かそのスポーツのレベルを変えてしまうような人に破ってほしいですよね。彼を負かすにはさらに一生懸命やらないといけないって誰の目にも明らかになるような、そういう相手ですね」

マルケスは2014年に再度チャンピオンになっているが、このときは弟のアレックスもMoto3クラスでタイトルを獲得している。世界GPの歴史において初めての兄弟チャンピオンだ。マルクは去年3度目のMotoGPタイトルを獲得し、勝利数も5つ積み上げた。これで通算29勝。既に歴代トップ10に名を連ねている。リンク先PDF)

世界GPはヨーロッパでは大人気だ。サーキットによっては週末のプラクティスから予選、レースで20万人を集める場所もある。そしてマルケスはレース中の最高速も記録している。時速350km、すなわち時速217マイルだ。

これまでに挙げた成績と同じくらいマルケスの乗りこなし方も革命的だ。あらゆるコーナーで大きくバンクするせいで膝だけではなく肘まで地面に接している。これでマシンを安定させているのだ。

GPを走り始めた頃、体格に恵まれた他のライダーに対抗するために彼は独自のライディングスタイルを生み出して自分の体には大きすぎるマシンをコントロールしていた。そう語るのは父のフリアだ。「マルクが大人の体格になったのは18か19歳になってからなんです」と身長170cm、体重64kgの息子について教えてくれた。

世界参戦を始めたのは15歳のときだ。マルケスはまだ小さく、レギュレーションに合わせるためにマシンにはかなりのおもりが積まれることになった。そんなわけで彼は自分のエンブレムに蟻を選んだのである。蟻が自分の重さの数倍のものを持ち上げられるのにちなんでのことだ。

しかしマルケスは最初からプロとしての能力に恵まれていた。カタルニアのジュニアモトクロスチャンピオンとして滑りやすい泥の上で磨き抜いてきた反射神経である。

「モトクロスはアドリブが求められるんです。予想もできない穴ぼこや轍に反応しなきゃならない。平らな路面しか走ってない連中には学ぶこともできないことですよ」。元世界チャンピオンのスペイン人で、12歳の時からマルケスの天才を見出したエミリオ・アルサモラはそう語る。以来彼はマルケスのマネジャーだ。

3月には4回目のMotoGPタイトルを目指した戦いが始まる。現在バイクレースを支配するのはスペインの無敵艦隊だ。全18戦の内4戦がスペインで開催され、そしてシリーズの商業権を持つのはスペイン企業のドルナなのだ。

2013年にマルケスがレプソル・ホンダチームで走るために、MotoGP参戦初年度はワークスチームで走れないというルールを取り下げたのもドルナである(レプソルもスペインの石油会社だ)。しかし彼がスペインのレース界と関係を持ったのはそのずっと前からである。

幼い頃はボランティアで週末のモトクロスレースを主催していた父と叔父に連れられてレースに参加していたマルケスが自分のバイクを欲しがったのは4歳のときのことだ。両親は彼に中古の白と赤紫に塗り分けられたバイクを与えたが、最初の頃は転ばないように補助輪がついていた。

「マルクはスポンジのように何でも吸収していきました。あの年の子供でそれほどのことができた子はいませんでしたね」と叔父のラモン・マルケスは語る。本当はオフロードが好きだったマルケスは、それでもカタルニア政府が初めて乗る子供たちのために装備を買い与えるというシリーズを始めると渋々ながらもオンロードに転向していった。

建設機械のオペレータの父親と秘書の母親の給料で二人の子供のレース資金をまかなうのに苦労していた彼らにとっては願ってもない話だったのだ。マルクが成長し始めると両親は最初に手に入れたツナギに革のはぎれを足して対応していた。新しいものは買えなかったのだ。そしてそのツナギは3歳下で兄より3インチ背の高い弟のアレックスに受け継がれていった。

「子供たちにブーツを買ってあげるために外食をあきらめたこともあるんです」と母は語る。「皆さん、今のマルクとアレックスしか知らないでしょうけど、ここまで来るまでにみんないろんなことを我慢してきたんです」

実際、両親共に先般のスペインの経済危機のあおりで仕事を失っている。以来父のフリアは息子について世界を回っている。そのせいで彼は、息子のレースを人生を通じて見続けたおかげで培った危険を冒して勝利を目指すというレースに付きものの決断を重んじる気持ちと、父親としての心配な気持ちの間で揺れ動くこととなっているのだ。

「マルクがとんでもなくアグレッシブに走っているのを見て、本当にそこまでしなきゃならないのかって問い詰めることもあるんです」とフリアは言う。「マルクの答えはいつでも同じです。そこまでやらないと限界がわからないんだって言うんですよ」

そのアプローチのせいでマルケスは何回かの骨折を経験している。しかし今日まで大けがを免れてもいるのだ。最も長戦線から離脱したのは5か月間。2011年のマレーシアで頭部を打って目の手術をしたときのことだ。

マルケスの成功と独特なライディングスタイルのせいで頭にきている先輩ライダーたちもいる(リンク先youtube)。特に9回もタイトルを獲得しているイタリア人ヴァレンティーノ・ロッシはそうだ。

「僕がMotoGPに参戦してからずっといろいろ非難されてますね。アグレッシブ過ぎるとかリスクを冒しすぎるとか。でも今ではみんな僕と同じように走ってますから」とマルケスは言う。

バイクレースは危険なコンタクトスポーツだと彼は主張する。つまりテニスプレイヤー同士のライバル心とは違うということだ。「もし速さだけの問題で接触がないなら、きっとみんな友達になれてますよ」と彼は言った。

マルケスはどこまでいけるだろうか?2014年に彼のチームのディレクターであるリヴィオ・スッポは、最終的にはロッシの9回のタイトルを超えるだろうと言っている。今回のインタビューでも彼はそれを否定するようなことは言っていない。

そしてセルヴェラを去るという予定はないのと同じように、2012年、27歳で突然引退してマルケスにホンダのワークスの座を譲ったオーストラリア人チャンピオン、ケイシー・ストーナーと同じことをするつもりもないようだ。

「もし僕からバイクをとったら、僕の人生の半分を取り去るようなものですから」
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そっかー、そのマルクの二段ベッドの部屋にロッシのポスターがあったんだねー。そう思うとおととしのいざこざも味わい深いですね。

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2017セパンMotoGPテストまとめパート2:スズキ、ルーキー、アプリリア、KTM、タイヤについて

意外とホンダ・ヤマハ・ドゥカティ以外のメーカーも元気なところを見せています。マレーシアテストのまとめ(その2)をMotoMatters.comより。
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セパンテストで優勝候補として躍り出たマーヴェリック・ヴィニャーレスとマルク・マルケスのすぐ後ろにはヴァレンティーノ・ロッシ、ダニ・ペドロサ、アンドレア・ドヴィツィオーゾが続いている。そして目を離してはいけないダークホースがアンドレア・イアンノーネである。彼は火曜に最速タイムを叩き出し、残りの2日間もヴィニャーレスに続く2番手タイムを出している。

イアンノーネが受け継いだのは既に開発の進んだマシンだが、スズキはセパンに新型エンジンを持ち込んでトップチームとの差をさらに縮めてきたのだ。イアンノーネは新型パーツのテストではなくレース用セッティングに集中し、ユーズドタイヤでのパフォーマンスを最大化するために走っていたのだと言う。

最終日のイアンノーネはややタイヤに悩まされたようだ。3回の転倒を喫し、その内1回はロングランの最中に1コーナーでフロントから転倒している。問題は低速コーナーで振動が発生することだった。「低速コーナーで少し振動がでるんです」とイアンノーネは語る。「1コーナーではマシンは完璧なんです。振動もないしチャタリングもない。でも低速コーナー、特に4、9、14、最終で出ますね。一番倒し込んだときに少し振動が出るんですね」。振動はタイヤがたれてくるとひどくなるとのことだ。

干し草の山のなかの一本の針

そのタイヤに不具合があったせいだろうか?ミシュランのチーフ、ニコラス・グーベールは、問題を把握するためにテスト後にすべてのタイヤを検査するのだと言っている。しかしタイヤの振動を止めるのは複雑な要素がからむのだ。タイヤはホールに装着された後にレーザー式の機械でバランス取りをして完璧にバランスさせる。その後チームに渡されて、持ち帰ったチームがタイヤウォーマーを装着し使用に備えるのだ。

そういう意味では様々な要素がタイヤとホイールの挙動に影響するのだ。ウォーマーに問題があるせいでタイヤの温度にばらつきがでて、微妙にタイヤの形を狂わせてしまう。ホイールをマシンに装着するときに軽くぶつけただけでもタイヤやホイールのバランスが少し狂ってしまう。ブレーキディスクやハブも均一に摩耗するわけではないため、これも振動の原因となる。サスペンションはタイヤの摩耗やマシンの挙動に大きく影響する。振動の原因を一つに絞り込むのは途方もなく難しいということだ。これはミシュランにとってはありがたいことでもあり苦労の種でもある。チームはミシュランを攻めれば良いし、ミシュランはチームを責めることができる。そして誰が正しいか言い当てるのは不可能なのだ。

リンス再び

イアンノーネのチームメイトであるアレックス・リンスもセパンで実に良いテストができた。月曜のペースは抑えめで、MotoGPマシン初ライドとなったヴァレンシアで喫した大クラッシュを受けて自信を取り戻そうとするかのようだった。彼はすぐに速さを取り戻し月曜のタイムを水曜には参加ライダー最大となる1.8秒縮めてみせた。最終的なタイムは12番手。チームメイトとはわずかの差で、ダニオ・ペトルッチやジャック・ミラー、ヘクトル・バルベラ、スコット・レディングといった先輩ライダーを上回って見せた。

しかし最も印象的だったルーキーはリンスではない。現地にいたほぼ全員一致で最も印象的だったのはヨハン・ザルコだ。ザルコは火曜の午前中、乾きつつあるコースをウェットタイヤで走っていた。MotoGPマシンの限界について深い理解を得ようとしていたのだ。彼は3日間で1.5秒近くタイムを縮めただけではなく、かなりの安定性も見せてくれたのだ。

ルーキー大暴れ

ヴァレンティーノ・ロッシはモンスター・テック3ヤマハの2人についてどれほど驚いたかをメディアに語っている。「ザルコは凄く良い仕事をしましたね」とテスト後に語っている、「それにフォルガーも速かった。彼の後ろを走ったんだけど、ほんとに上手く乗ってましたよ」。感じやすい魂をもち真摯で懸命なザルコはロッシの言葉にいたく感じいっている。彼がレースを始めたのはロッシをテレビで見たからなのだ。憧れのアイドルに褒められて彼はは本当に感動したのである。

ヨナス・フォルガーのタイムはチームメイトには劣るものの、彼もかなりの進歩をみせている。月曜から水曜にかけてのタイムの改善は0.3秒とそれほどではなかったが、それはむしろ月曜のタイムがいかに速かったかを示しているのだ。水曜に遅かったのではないのである。フォルガーは11月のセパンでのテストでかなりのものを得ているのに違いない。

もう一人のルーキー、サム・ロウズがおそらく一番苦労していたようだ。ロウズはリンスやザルコと同様に去年の大クラッシュで失った自信を取り戻さなければならなかったし、アプリリアにもまだまだ慣れていなかった。RS-GPは大きく進化したものの、まだ他のメーカーと比べると馬力不足は否めない状態だ。ロウズは3日間で1.6秒タイムを縮めている。これを上回るのはアレックス・リンスとブラッドリー・スミスだけだ。テストはチームメイトから1.2秒遅れで終えることになったが、次のフィリップアイランドでマシンに対する理解を深めるのを楽しみにしている。

アレイシ・エスパルガロはアプリリアの進歩に満足しているが、馬力についてはかなり真剣に不満を呈している。彼は全くトラクションコントロールを使わなかったのだと言う。トラクションコントロールが必要なほどのパワーがそもそもないのだ。シャーシは良いしマシンは曲がる。加速で苦労していただけなのだ。これをなんとかするにはパワーを上げるしかない、そして月曜に書いた通りエスパルガロはイタリアの風洞でスペシャル空力パッケージをテストしている。「かなり奇妙なカウル」と彼が称するそれは今後のテストで登場する予定だ。

KTMの作業量

弟の方のエスパルガロもかなりの仕事を抱えていた。KTMの最速タイムはトップのヴィニャーレスから2秒近く遅れていたが、MotoGPに復帰したスズキの最初のセパンテストでのタイム差とさほど変わらないものだ。ポル・エスパルガロもブラッドリー・スミスもKTMがやってのけた仕事に感嘆している。しかし同時に自分たちがテストしなければならないパーツの量にも、これからやらなければならない仕事の量にも途方に暮れている。マシンのポテンシャルは非常に高いが一方でそのポテンシャルを充分に発揮するまでにはまだまだやることが残されているのだ。

コースサイドで見ていてもかなりの仕事が残っているのは明らかだ。KTMのRC16はかなりのじゃじゃ馬なのだ。マシンはブレーキングでもコーナー脱出加速でも暴れている。私はポル・エスパルガロに体力的にきついマシンではないかと尋ねてみた。「ですね、たいへんですよ」というのが彼の答えだった。これまで乗り慣れてきたマシンとは全然違いますね。体力的にかなり厳しいんです」

相当体力を消耗するようだ。「乱暴に乗らないといけないんです」とエスパルガロは付け加える。「でもそんな風に乗ってもかなり疲れますね。マシン自体もワイルドなんですけど、電子制御とかそういったもののせいでマシンの暴れ方がひどくなっちゃうんです。それを体全体で抑えなければならない。だから体力がいるんです」

逆に言えばKTMのマシンは体力でなんとかなるということでもある。「確かにKTMはそういうマシンですね。攻めれば攻めただけタイムがついてくるんです。気狂いみたいに1周走ればタイムもちゃんとついてくる」。問題はそうしようとすると体力が続かないということだ。「連続してタイムを刻み続けるのは本当に難しいです。今日はそれにトライしてたんですけどね。1周だけじゃなくユーズドタイヤで連続してタイムを出そうとしてたんですよ。今はそれが一番重要なポイントですね。1ラップだけなら良いタイムが出せるんです。でもその後はマシンがアグレッシブになりすぎるし神経質になりすぎる。努力は続けてますし、結果には満足してますよ。すっごく進歩しましたから」

KTMはエスパルガロとスミスがテストするためのパーツを山ほど持ち込んでいた。実際1回のテストには多すぎる量だった。とは言えフレームはほぼ決まったようだ。スミスの方がエスパルガロよりフレームが気に入っている。テストのためにスイングアームも持ち込んでいたが、そちらは後回しになった。エスパルガロもスミスもKTMをちゃんと曲げるのに苦労していたのだ。それさえなんとかなれば、あとはリアのグリップと加速の改善に集中できるだろう。

タイヤもテストをしていた
テストに新型パーツを持ち込んでいたのはワークスだけではない。ミシュランも新型フロントタイヤをチームがテストできるよう持ち込んでいたのだ’。構造違いが2種類、コンパウンド違いが2種類である。構造の差は温度が上がりやすくするためのものであり、コンパウンドの差はグリップの改善のためである。多くのチームが新型タイヤを好意的に受け入れていたが、違いはあまりなかったようだ。

つまりはそういうことだ。去年のヴァレンシアでミシュランは大きく変えてきているということだ。ヴァレンシアに持ち込んだタイヤはプロファイルが違っていた。エッジ部分の接地面積が大きくなったおかげでグリップが増していた。このプロファイルが2017年のミシュランタイヤの基本となるものだ。
クラッシュが非常に少なかったのもミシュランの新型フロントが機能していることを示している。タイヤは充分良くなっているし、ライダーもチームもクラッシュを避けるために限界をきちんと把握してマシンをタイヤに合わせこんできているのだ。

それでも転倒者はいたが、大きな怪我を負ったのはティト・ラバトだけだった。彼は難しいコンディションとなった火曜に大クラッシュを喫している。ハイサイドで足と手を骨折し膝にひどい開放創を負ってしまったのだ。ラバトは既に治療のための手術を済ましているが、次のフィリップアイランドのテストは不参加だろう。
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次のフィリップアイランドのテストは2月15日からです。そして3月8日のヘレステスト、10日のカタールテストを経て26日はいよいよ開幕戦!

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春のパスタ祭りのお知らせ

2/18、25、3/4(いずれも土曜日)のどこかで「春のパスタ祭り」やります@うち。
タラの芽とふきのとうと砂肝のパスタ、タコとトマトのペペロンチーノ、なんならヨコイのソースなパスタも出しましょう。

参加ご希望、日程ご希望(上記以外で日曜でもいいですよ)はFBにレスしていただくかTwitterでDMをお願いします。おそらく時間は夕方からですね。

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2017セパンMotoGPテストまとめパート1:93 vs 25、ヤマハ、ドゥカティ、ホンダ、その他

年が明けてのテストはシーズンが間近であることを感じさせてくれるので大好きです。というわけで中々興味深い結果となったマレーシアテストのまとめ(その1)をMotoMatters.comより。
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セパンMotoGPテストで何が見えてきただろうか?日曜の夜に予想していたよりいろいろなことがわかった、というのが答えだ。天気予報は憂鬱なものだった。にわか雨が何度も降るという予想で、しかもコースは乾きにくいということで、3日間は無駄に終わるかと思われていた。しかし水曜の夜に丸1日のテストを終えたチームが片付けを始めるころには今回のテストが実に得るものが多く、有益だったことが判明したのである。

3日間のテストを終えてわかったのは、今シーズンのライダーの力がいかに均衡しているかということである。トップ10までのがわずか0.4秒におさまっているのだ。16番手のヘクトル・バルベラでさえトップのマーヴェリック・ヴィニャーレスから1秒遅れだった。トップ4は良い具合に様々なメーカーがちりばめられているのだ。

例外は二つ。アプリリアとKTMである。しかし彼らにも希望はある。アプリリアは去年と比べれば長足の進歩を遂げている。アレイシ・エスパルガロはヴィニャーレスから0.740秒遅れの13位。去年のステファン・ブラドルとアルヴァロ・バウティスタがテストでマークしたものと比較すると1秒以上も差が縮まっているのである。あとの問題はパワー不足だけだ。KTMは今年がMotoGP初年度 。しかし2015年にスズキが復帰したときのセパンテストよりトップとの差は小さいのだ。MotoGPのレベルは信じがたいほど高く、信じがたいほど差が小さいということである。


新人に見せつけるかのごとく

だからといって優勝候補が見えないというわけではない。ラップタイムをじっくり検討すれば興味深いことがわかるのだ、レースディスタンスで考えると2人のライダーが他のライダーから頭一つ抜け出ている。多くのライダーも良いタイムを出しているが、マーヴェリック・ヴィニャーレスとマルク・マルケスは誰にも真似できないほど安定して速いタイムを刻み続けたのである。

数字を挙げてみよう。1分59秒台に入れたのは10人。しかしヴァレンティーノ・ロッシ、ホルヘ・ロレンソ、アンドレア・ドヴィツィオーゾ、ヨハン・ザルコは1回だけ、ケイシー・ストーナーも2回しか記録していない。ダニ・ペドロサ、アルヴァロ・バウティスタ、マルク・マルケスが3回、カル・クラッチローが4回59秒台に入れている。しかしマーヴェリック・ヴィニャーレスは10回も2分を切って見せたのである。

2分00秒まで範囲を拡大するとマルケスとヴィニャーレスの圧倒的速さがわかる。ヴィニャーレスは2分01秒未満のラップを20回記録し、その内10回が1分59秒台だった。そしてマルケスはさらにその上を行っている。1分59秒台は3回だけだったが2分00秒台のラップは39回、他のライダーたちのほぼ2倍である。しかもすべてのラップが良いタイムだったのだ。2分00秒5を切ったのは26回、2分00秒7を切ったのは35回。そして2分00秒4を切ったのは14回だ。この高いレベルでの安定感はまるでロレンソのようだった。

マルク vs. マーヴェリック

さらに数字を深く分析しようとすればあと1日や2日はかかるだろうが、結論ははっきりしている。セパンの段階では今シーズンはマーヴェリックとマルクの対決になるだろうということだ。そしてディフェンディングチャンピオンの方がやや上回っているということも見える。もちろん偉大チャンピオンは誰もがこの道を通ってきた。群れから抜け出した成り上がり者の挑戦を受けるのである。しかしマルケスにしてみればこれほど早く簒奪者として名乗りを上げるライダーが現れるというのは予想外だろう。

2人は2周ほどコース上でからんでいた。ヴィニャーレスはしかしこの遭遇がそれほど重要ではなかったと断じている。マルケスをコース上で観察できて何か学べたかときかれた彼はこう答えているのだ。「何もないですね。抜き合いを楽しんでいただけですよ。お互い大して学ぶものはなかったでしょうし、どちらもそれほど本気で走っていたわけじゃないですから」。ずいぶんとはしょった答えだ。ライバルが強いか弱いか確認するチャンスをみすみす見逃すライダーなどいるわけがない。しかも今回はタイトル獲得に向けてお互いが最大の障害となるはずなのだ。

ヤマハに乗ったヴィニャーレスは目に見えてリラックスしており、冷静で、しかも気持ちよさそうだった。深くブレーキングしたまま1コーナーに入り、コースの反対側にマシンを向けて2コーナーを抜ける。そしてスムーズなパワースライドでセパンの素晴らしい3コーナーを曲がっていく。そこで感じたトラクションはヴィニャーレスを最も驚かせたようだ。「ほんとに、ほんとに一定してるんですよ。だからコーナー進入とコーナリングスピードにに集中できるんです。これなら確かに同じペースでラップタイムを刻み続けられますね」

進化したヤマハ

これほどヴィニャーレスが気持ち良く走れるということはヤマハがそれだけ進化したという証だ。同じ場所をロッシも去年よりうまく走っているように見えた。ロッシとヴィニャーレスはどちらも新型シャーシを試していたが、どちらもこれが気に入ったようだ。メディアやファンにとっては残念なことにヤマハは一般論以外のことを話さないようライダーに箝口令をしいたらしい。新型シャーシのどこが良いのか、ダクトウイング(訳注:二重カウルに仕込まれたウイング)はどうかといった質問は全て答えてもらえなかったのだ。私がロッシに新型シャーシの良さについてたずねると彼は笑ってこう答えた。「一般論で!」。こんな風に易々と質問を交わすことができるのはウィットに富む彼ならではである。

ヴィニャーレスの方はまだ新型シャーシを心から気に入っているわけではない。「良いとは思いますけど、まだ改良の余地はありますね」というのが彼の考えだ。ヴィニャーレスは水曜にレースシミュレーションができなかった。このため最終的な結論はレースディスタンスを走りきってから出すことにしたのだろう。

ダクトウイングまたは抜け道(風の)

ライダーにはコメントを禁じていたが、それでもヤマハはメディアが新型の空力付加物を観察するのは許してくれた。ダクトウイングである。尊敬すべきF1のテクニカルライター、クレイグ・スカルボローの命名だ(訳注:原文ではducted vaneすなわち「ダクトに仕込まれた羽根」ですが、日本語話者に馴染む感じにしてみました)。モヴィスター・ヤマハの二人はほぼ1日中これが着いたマシンに乗っていたし、マシンは堂々とピットに停めらていた。

最初は予想通りの効果がない可能性も考慮して隠していた。彼らが怖れていたのは他のメーカーがこれをまねて問題を解決してしまったら相手が有利になってしまうということである。結局堂々と展示していたということは良い結果が得られたということだろうし、次はさらに効果を高めるために改良を重ねていけば良いということである。

設計自体は実にシンプルなものだ。硬い材質でできた前後が開けているダクトに2枚の後ろに向けてせり上がった羽根というかウイングが仕込まれているだけだ。(少なくともウイングと比べれば)エレガントだし効果的だ。さらにウイングと違って安全上の懸念もない。「最初からこうすれば良かったんですよ」とあるヤマハのメカニックは口にしている。

カウルから垂直に立ち上がる突起物というのはそもそも危険であり、こちらの方が良いのは間違いない。MotoGPマシンには他にも多くの危険なものが着いているのだ。可倒式でないステップや、さらに危険なのはMoto3マシンのスイングアームに取り付けられたスタンド用のC型パーツである。他に安全な方法があるならウイングは必要ないのだ。

ビッグバン風

ヤマハが新型ダクトウイングをテストしている一方、ホンダは新型エンジンをテストしていた。HRCがセパンに持ち込んだのは2種類のビッグバンエンジンである。とは言えホンダは詳細については隠したままだ。日本人ジャーナリストの西村章がHRCのテクニカルディレクター国分信一にエンジンについてたずねたのだが、彼は西村がビッグバンエンジンと言ったのを「ビッグバン風」と訂正しただけだった。

どういうことだろうか?おそらくRC213Vが各シリンダーの点火タイミングを近くしてはいるが2つのバンクのシリンダーを両方とも同時に点火しているわけではないといったところだろう。HRCがやっているのは2本の大端をずらしたのか、一方のバンクのシリンダーを同時に点火してもう一方のバンクを360°ずらしているのかといったところかもしれない。(ヴァレンシアとヘレスでテストした)旧型エンジンと(セパンでお目見えした)新型エンジンの違いはわずかだろう。通り過ぎるのを聴いても音の違いは耳ではわかるレベルではなかった。誰のバイクも同じ音に聞こえたのだ。

マルク・マルケスもダニ・ペドロサもどちらのエンジンがいいのか決めかねている。そしてどちらもエンジンについては語りたがらない。ペドロサは、これからまだデータを集めている段階で、これからHRCが詳細を調べてから結論を出すんだと言うだけだった。

マルケスはもう少し詳しく語ってくれた。彼の水曜のコメントの行間からは、2種類のエンジンは最大馬力も馬力の出方も違っているようだ。一方は低回転域でパワーがあって、加速が良いがトップエンドが伸びないせいでストレートで遅い。もう一方は低回転域はそれほどではないためコーナー脱出が難しいがパワフルだという。「これからどちらの方向で行くのか決めないといけないですね。一方を選んでパワーを増やすのか、新型を選んで使い易くするかですね」とマルケスは言っている。

デジャヴ?

マルケスのコメントは2015年から2016年にかけてホンダのライダーがアグレッシブなエンジンに苦労していたことを思い出させる。そのせいでマルク・マルケスは2015年のタイトルを失うことになったのだ。着いていこうとして何レースかクラッシュしたためだ。2016年、マルケスのアプローチはバランス重視になった。年間タイトルをめぐる戦争に勝つためには局地的な戦闘で負けることも受け入れるようになったのである。

つまりは歴史は繰り返すのだろうか?そう尋ねたくなるのも当然だ。HRCは再びとんでもなく乗りこなすのが難しいエンジンを作ろうとしているのだろうか?「去年のうちはトップからずいぶん離れていたせいですごく苦労したんです。去年の今頃はまだ何もわかってなかったんですよ。今年は何をやってるかわかってますから」とマルケスは言っている。

とは言えまだ彼は慎重だ。2015年、彼はセパンテストで道を誤ったのだ。距離が長く幅の広いサーキットでしかも気温が高いということでパワーの出方に問題があることに気づけなかったのだ。この体験のせいで彼は慎重な態度を崩さないのだ。「問題がどこにあるかはわかってるんです。でも別のサーキットも走ってみないとね。2015年はここですごく速く走れたのに他のコースではすごく苦労したって経験がありますからね」

走るサラダボックス

ドゥカティはどうだったろう?ホルヘ・ロレンソもアンドレア・ドヴィツィオーゾも2017年型を走らせている。テールカウルに黒いサラダボックスがついたマシンだ(訳注:リンク先のMat Oxley氏の記事では、進行方向に回転するジャイロを入れてウイリーを抑えているのかもと言っています)。そしてテストの最初の2日間使っていたヴァレンシアモデルの2017年型より気に入ったようだ。しかしまだ開発の初期段階だとどちらも言っている。つまりこれからまだ開発すべきことがあるということだ。
ホルヘ・ロレンソはこのテストで自信をつけることができて、ずいぶんと安心したようだ。初日は「かなりのショックを受けた」からである。マシンはヴァレンシアテストのときとはうって変わって扱いにくくなっていたのだ。「ヴァレンシアにはヘアピンもブレーキングポイントも少ないんでこれまでの乗り方でいけたんです」とロレンソは言っている。セパンではマシンの違う側面があらわになったことで自分が思っていた以上に乗り方を変える必要があったのだ。

これは自分がもっと若かったときのことを思い出させたようだ。「最悪なのは自分が速く走れないってのに慣れてなかったことですね。いつもずっと戦える速さがあったし、自分なりに乗って速かったですから。17歳のときのことを思い出しますよ。あの時もトップに全然ついていけなくって、ライディングスタイルを大きく変えなきゃならなかった。でもマシンを変えたらそういうことは起きるわけだし、それがドゥカティみたいな複雑なマシンならなおさらですよ」

適応せよ、さもなけば死が

そしてロレンソは既にライディングスタイルを変え始めている。「もういろいろ変えているんです」と彼は言う。「もう少しだけ攻撃的に、スロットルの斧歩をはっきりさせて、ブレーキングも強めにしてます。あとマシンもいくつか変更が必要ですね。そこはジジたちエンジニアがわかってます。でも強いところもたくさんあるし、そこはこれからも有利なところですね」

水曜午前中にコースサイドで見ていたのだが、明らかに変化しているところが見て取れた。1コーナーでロレンソはブレーキングをいろいろ試していたのだ。ブレーキリリースをこれまでより明らかに遅らせていたしラインも変えていた、そして時々突っ込み過ぎてもいた。しかしロレンソは ドゥカティでも基本の部分はロレンソだった。リラックスしてスムーズに乗っているのだ。ヤマハのときと同じなのだ。1コーナーヘアピンでの右から左への切り返しや低速左の2コーナーではほとんど体を動かしているように見えないほどスムーズに移り変わっていくのだ。それが彼の持ち味なのである。

つまり最終日の終わりには彼は自信を取り戻したということなのだ。「結局2日間で凄く大きく前進したってことですね。もちろん限界には程遠いですけど、それもいいことですよ。だってまだまだ限界は遠いのにもうかなりの速さなんですから」

彼の速さはドゥカティのテストライダー、ミケーレ・ピッロのアドバイスによるところも大きい。ロレンソのコース分析をしてくれているのだ。ピッロも同じ道をたどってきておりロレンソの導き手になってくれるのである。「どうやったらすぐに適応できるか彼は本当に良くわかってるんです。もう4年だか5年乗ってるわけですけど、最初は多かれ少なかれ僕と同じように感じていたんです。彼もコーナリングスピードを稼ぐタイプですから。だから僕にアドバイスをくれるんですけど、その通りに乗ると効果があるんです」

マシン自体もかなり良くなっている。全ドゥカティライダーが不満をもっていたのがコーナー中盤での向き変えだ。多少は改善されたようである。アンドレア・ドヴィツィオーゾは言う。「ウイングがなくなったおかげでコーナリングが良くなりましたね。でもまだ他のメーカーほどは良くないんです。だからここは改善の余地がありますね」。ドゥカティはカタールで新型空力パッケージを導入する予定だが、これがGP17の旋回性能に悪影響をもたらすかどうかはそこでわかることになる。

目に見えてわかったのはブレーキング時の安定性が改善されたことだ。そしてさらにコーナーの奥まで突っ込めるようになっていた。これはGP13やGP14の時から得意とするところで、ドヴィツィオーゾもブレーキングで強みを発揮することができた部分である。ドゥカティはGP15でかなりそこを犠牲にしていた。持病のアンダーステアを改善するためである。

以来ドゥカティコルセは一旦あきらめたブレーキングパフォーマンスを取り戻そうとしてきた。その努力ががGP17で実を結んだようだ。ドヴィツィオーゾはこう言っている。「ブレーキングはいい感じですね。特に進入でアグレッシブに掛けるのがいい感じなんです」。これは他のマシンに対してそれなりにアドバンテージとなると彼は考えている。「ライバルと比べるとかなり戦闘力がありますね。この3日間、何人かのライダーを見てましたけど一緒に走って気持ち良かったですから」

親指ブレーキ再び

予告なくピットに登場した小ネタの一つがホルヘ・ロレンソのマシンに装着された親指リアブレーキレバーである。アンドレア・ドヴィツィオーゾのものと同様のものだ。ピットレーンをざっと見渡しただけでも他にも装着しているマシンがあった。親指ブレーキは基本的には左側に取り付けられていてライダーが親指で操作するようになっている。

ドヴィツィオーゾによればライダーが親指ブレーキを使うのは、コーナー進入で右ステップに足の先(指の後ろ)の部分をのせることができるからだという。そしてコーナー中盤でも親指ブレーキを使えば向き変えに役立つということだ。とは言えロレンソは親指ブレーキは実際には使っていないそうだ。

バウティスタ復活

セパンで速かったドゥカティ・デスモセディチはGP17だけではない。アルヴァロ・バウティスタも速かったのだ。プル&ベア・アスパー・ドゥカティの彼は、自分のGP16(基本的にはヴァレンシアでワークスのピットからアスパーのピットに移動されたもの)がこれまで乗った最高のMotoGPマシンだと語っている。「完璧なマシンですね。エンジンは力強いし、スムーズだしハンドリングも僕にとっては素晴らしいです」

コーナー脱出が唯一彼の苦労していた部分だ。偶然にもここはウイングが役立っていた部分でもある。しかいマシンは彼のライディングスタイルにマッチしているのだ。リアホイール主体で乗りこなし曲げていくマシンなのだ。おそらくだからこそドゥカティがミシュランと合っているのだろう。ミシュランのリアグリップとコントロール性が素晴らしいからだ。

バウティスタはユーズドタイヤで精力的に走っていた。そして25周を2分00秒台に入れている。彼のペースはマルケスやヴィニャーレスほどではなかったが、バウティスタの2分00秒台のラップの内20周が2分00秒5を切っており、15周が2分00秒7から2分01秒0の間だ。それでもこれは1年落ちのマシンとしては素晴らしいペースである。バウティスタは目に見えて意気軒昂で、そして良く知るチームに戻ってきて幸せそうだった。

ベテランスペイン人ライダーに課せられた仕事はワークスライダーと比べたらかなり楽なものである。バウティスタはセットアップをひとつだけ決めればいいのである。「前は開発のために違うやり方で仕事してたんです。でも今はベースができているマシンなんで新型フレームやら新型スイングアームやら新型エンジンやら新型電子制御やら新型ソフトウェアやらのテストはしなくてもいいんですから。自分のことだけ考えてマシンのパフォーマンスを最高にするだけでいいんです」

明日のパート2ではスズキ、KTM、アプリリア、そしてMotoGPのルーキーについて分析するとともに、ミシュランがテストに持ち込んだニュータイヤについてもスポットを当てることにしよう。
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ってなわけでパート2は明日。

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