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2017セパンMotoGPテストまとめパート2:スズキ、ルーキー、アプリリア、KTM、タイヤについて

意外とホンダ・ヤマハ・ドゥカティ以外のメーカーも元気なところを見せています。マレーシアテストのまとめ(その2)をMotoMatters.comより。
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セパンテストで優勝候補として躍り出たマーヴェリック・ヴィニャーレスとマルク・マルケスのすぐ後ろにはヴァレンティーノ・ロッシ、ダニ・ペドロサ、アンドレア・ドヴィツィオーゾが続いている。そして目を離してはいけないダークホースがアンドレア・イアンノーネである。彼は火曜に最速タイムを叩き出し、残りの2日間もヴィニャーレスに続く2番手タイムを出している。

イアンノーネが受け継いだのは既に開発の進んだマシンだが、スズキはセパンに新型エンジンを持ち込んでトップチームとの差をさらに縮めてきたのだ。イアンノーネは新型パーツのテストではなくレース用セッティングに集中し、ユーズドタイヤでのパフォーマンスを最大化するために走っていたのだと言う。

最終日のイアンノーネはややタイヤに悩まされたようだ。3回の転倒を喫し、その内1回はロングランの最中に1コーナーでフロントから転倒している。問題は低速コーナーで振動が発生することだった。「低速コーナーで少し振動がでるんです」とイアンノーネは語る。「1コーナーではマシンは完璧なんです。振動もないしチャタリングもない。でも低速コーナー、特に4、9、14、最終で出ますね。一番倒し込んだときに少し振動が出るんですね」。振動はタイヤがたれてくるとひどくなるとのことだ。

干し草の山のなかの一本の針

そのタイヤに不具合があったせいだろうか?ミシュランのチーフ、ニコラス・グーベールは、問題を把握するためにテスト後にすべてのタイヤを検査するのだと言っている。しかしタイヤの振動を止めるのは複雑な要素がからむのだ。タイヤはホールに装着された後にレーザー式の機械でバランス取りをして完璧にバランスさせる。その後チームに渡されて、持ち帰ったチームがタイヤウォーマーを装着し使用に備えるのだ。

そういう意味では様々な要素がタイヤとホイールの挙動に影響するのだ。ウォーマーに問題があるせいでタイヤの温度にばらつきがでて、微妙にタイヤの形を狂わせてしまう。ホイールをマシンに装着するときに軽くぶつけただけでもタイヤやホイールのバランスが少し狂ってしまう。ブレーキディスクやハブも均一に摩耗するわけではないため、これも振動の原因となる。サスペンションはタイヤの摩耗やマシンの挙動に大きく影響する。振動の原因を一つに絞り込むのは途方もなく難しいということだ。これはミシュランにとってはありがたいことでもあり苦労の種でもある。チームはミシュランを攻めれば良いし、ミシュランはチームを責めることができる。そして誰が正しいか言い当てるのは不可能なのだ。

リンス再び

イアンノーネのチームメイトであるアレックス・リンスもセパンで実に良いテストができた。月曜のペースは抑えめで、MotoGPマシン初ライドとなったヴァレンシアで喫した大クラッシュを受けて自信を取り戻そうとするかのようだった。彼はすぐに速さを取り戻し月曜のタイムを水曜には参加ライダー最大となる1.8秒縮めてみせた。最終的なタイムは12番手。チームメイトとはわずかの差で、ダニオ・ペトルッチやジャック・ミラー、ヘクトル・バルベラ、スコット・レディングといった先輩ライダーを上回って見せた。

しかし最も印象的だったルーキーはリンスではない。現地にいたほぼ全員一致で最も印象的だったのはヨハン・ザルコだ。ザルコは火曜の午前中、乾きつつあるコースをウェットタイヤで走っていた。MotoGPマシンの限界について深い理解を得ようとしていたのだ。彼は3日間で1.5秒近くタイムを縮めただけではなく、かなりの安定性も見せてくれたのだ。

ルーキー大暴れ

ヴァレンティーノ・ロッシはモンスター・テック3ヤマハの2人についてどれほど驚いたかをメディアに語っている。「ザルコは凄く良い仕事をしましたね」とテスト後に語っている、「それにフォルガーも速かった。彼の後ろを走ったんだけど、ほんとに上手く乗ってましたよ」。感じやすい魂をもち真摯で懸命なザルコはロッシの言葉にいたく感じいっている。彼がレースを始めたのはロッシをテレビで見たからなのだ。憧れのアイドルに褒められて彼はは本当に感動したのである。

ヨナス・フォルガーのタイムはチームメイトには劣るものの、彼もかなりの進歩をみせている。月曜から水曜にかけてのタイムの改善は0.3秒とそれほどではなかったが、それはむしろ月曜のタイムがいかに速かったかを示しているのだ。水曜に遅かったのではないのである。フォルガーは11月のセパンでのテストでかなりのものを得ているのに違いない。

もう一人のルーキー、サム・ロウズがおそらく一番苦労していたようだ。ロウズはリンスやザルコと同様に去年の大クラッシュで失った自信を取り戻さなければならなかったし、アプリリアにもまだまだ慣れていなかった。RS-GPは大きく進化したものの、まだ他のメーカーと比べると馬力不足は否めない状態だ。ロウズは3日間で1.6秒タイムを縮めている。これを上回るのはアレックス・リンスとブラッドリー・スミスだけだ。テストはチームメイトから1.2秒遅れで終えることになったが、次のフィリップアイランドでマシンに対する理解を深めるのを楽しみにしている。

アレイシ・エスパルガロはアプリリアの進歩に満足しているが、馬力についてはかなり真剣に不満を呈している。彼は全くトラクションコントロールを使わなかったのだと言う。トラクションコントロールが必要なほどのパワーがそもそもないのだ。シャーシは良いしマシンは曲がる。加速で苦労していただけなのだ。これをなんとかするにはパワーを上げるしかない、そして月曜に書いた通りエスパルガロはイタリアの風洞でスペシャル空力パッケージをテストしている。「かなり奇妙なカウル」と彼が称するそれは今後のテストで登場する予定だ。

KTMの作業量

弟の方のエスパルガロもかなりの仕事を抱えていた。KTMの最速タイムはトップのヴィニャーレスから2秒近く遅れていたが、MotoGPに復帰したスズキの最初のセパンテストでのタイム差とさほど変わらないものだ。ポル・エスパルガロもブラッドリー・スミスもKTMがやってのけた仕事に感嘆している。しかし同時に自分たちがテストしなければならないパーツの量にも、これからやらなければならない仕事の量にも途方に暮れている。マシンのポテンシャルは非常に高いが一方でそのポテンシャルを充分に発揮するまでにはまだまだやることが残されているのだ。

コースサイドで見ていてもかなりの仕事が残っているのは明らかだ。KTMのRC16はかなりのじゃじゃ馬なのだ。マシンはブレーキングでもコーナー脱出加速でも暴れている。私はポル・エスパルガロに体力的にきついマシンではないかと尋ねてみた。「ですね、たいへんですよ」というのが彼の答えだった。これまで乗り慣れてきたマシンとは全然違いますね。体力的にかなり厳しいんです」

相当体力を消耗するようだ。「乱暴に乗らないといけないんです」とエスパルガロは付け加える。「でもそんな風に乗ってもかなり疲れますね。マシン自体もワイルドなんですけど、電子制御とかそういったもののせいでマシンの暴れ方がひどくなっちゃうんです。それを体全体で抑えなければならない。だから体力がいるんです」

逆に言えばKTMのマシンは体力でなんとかなるということでもある。「確かにKTMはそういうマシンですね。攻めれば攻めただけタイムがついてくるんです。気狂いみたいに1周走ればタイムもちゃんとついてくる」。問題はそうしようとすると体力が続かないということだ。「連続してタイムを刻み続けるのは本当に難しいです。今日はそれにトライしてたんですけどね。1周だけじゃなくユーズドタイヤで連続してタイムを出そうとしてたんですよ。今はそれが一番重要なポイントですね。1ラップだけなら良いタイムが出せるんです。でもその後はマシンがアグレッシブになりすぎるし神経質になりすぎる。努力は続けてますし、結果には満足してますよ。すっごく進歩しましたから」

KTMはエスパルガロとスミスがテストするためのパーツを山ほど持ち込んでいた。実際1回のテストには多すぎる量だった。とは言えフレームはほぼ決まったようだ。スミスの方がエスパルガロよりフレームが気に入っている。テストのためにスイングアームも持ち込んでいたが、そちらは後回しになった。エスパルガロもスミスもKTMをちゃんと曲げるのに苦労していたのだ。それさえなんとかなれば、あとはリアのグリップと加速の改善に集中できるだろう。

タイヤもテストをしていた
テストに新型パーツを持ち込んでいたのはワークスだけではない。ミシュランも新型フロントタイヤをチームがテストできるよう持ち込んでいたのだ’。構造違いが2種類、コンパウンド違いが2種類である。構造の差は温度が上がりやすくするためのものであり、コンパウンドの差はグリップの改善のためである。多くのチームが新型タイヤを好意的に受け入れていたが、違いはあまりなかったようだ。

つまりはそういうことだ。去年のヴァレンシアでミシュランは大きく変えてきているということだ。ヴァレンシアに持ち込んだタイヤはプロファイルが違っていた。エッジ部分の接地面積が大きくなったおかげでグリップが増していた。このプロファイルが2017年のミシュランタイヤの基本となるものだ。
クラッシュが非常に少なかったのもミシュランの新型フロントが機能していることを示している。タイヤは充分良くなっているし、ライダーもチームもクラッシュを避けるために限界をきちんと把握してマシンをタイヤに合わせこんできているのだ。

それでも転倒者はいたが、大きな怪我を負ったのはティト・ラバトだけだった。彼は難しいコンディションとなった火曜に大クラッシュを喫している。ハイサイドで足と手を骨折し膝にひどい開放創を負ってしまったのだ。ラバトは既に治療のための手術を済ましているが、次のフィリップアイランドのテストは不参加だろう。
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次のフィリップアイランドのテストは2月15日からです。そして3月8日のヘレステスト、10日のカタールテストを経て26日はいよいよ開幕戦!

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コメント

ライダーが二人とも変わったスズキ。
でも新しい二人も期待できますね。
個人的にはリンスの成長に興味があります。
ザルコもクレーバーな感じで良いですね。
KTMは個人的に凄く好きなメーカーなんで、がんばってほしいです。
GPマシンとしてのノウハウを得たら、必ずしや上がってくると思います。

投稿: motobeatle | 2017/02/06 11:05

>motobeatleさん
 悪辣スズキコンビも期待しますし、テック3も楽しみだし、そして(おそらく)ぐにゃぐにゃフレームのKTMも楽しみで、つまりはキャラの立ったライダーが多いってことですよ!!

投稿: とみなが | 2017/02/08 20:49

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