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勇気の人、カルクラッチロー

はぁ、なんだか今シーズンはいつの間にか終わっちゃった気がしてぼーっとしてますが、そんな中でも私の大好きなPECINO GPがカル・クラッチローについて書いています。

いいぞ。
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彼のことが好きか嫌いかはさておき、彼のジョークを面白いと思うかつまらないと思うかはさておき、ファンかどうかはさておき、カル・クラッチローがMotoGPで最も心の強いライダーであることは間違いない。

そうは見えないかもしれないがMotoGPライダーも「普通の」人間だ。血と肉でできている。いつも目にする派手なクラッシュで地面にたたきつけられれば、彼らの筋肉も骨もあなたや私と同じように傷つくのである。しかもそうしたクラッシュが起こるのはジャンボジェットでも離陸するようなスピードだったりするのだ。しかもライダーは空に舞い上がったあとには地面に落ちてくるのである。

ちょっと想像してみよう。椅子に座って目を閉じてほしい。その椅子から26回振り落とされるしたらどうだろう。しかも毎回、1回目も2回目も3回目も4回目も5回目も6回目も7回目も8回目も9回目も、落とされる度に立ち上がって、また椅子に腰掛け、また落とされる。それが26回も続くのだ。うんざりするような話だ。

26回。それが2016年の18レースでカル・クラッチローが地面にたたきつけられた回数だ。LCRに所属するイギリス人ライダーの彼は、2016年の最多クラッシュというタイトルを手にすることになった。2015年年の倍以上の回数マシンから投げ出されているのだ。2011年にMotoGPに参戦して以降のシーズンあたりのクラッシュ数は12回、14回、14回、10回、12回…、そして今年の26回だ。

これほどまでに転倒した原因はなんだろうか?私は複数の要因がからんでいると考えている。まずはマシン自体の難しさだ。2016年のクラッシュの殿堂にホンダのライダーが3人も入っているのは偶然ではあり得ない。クラッチロー、ジャック・ミラー、マルク・マルケスだ。クラッチローの26回に加えてミラーが25回、そしてチャンピオンを獲ったマルケスでさえ17回も転倒しているのである。2015年の4倍以上の転倒だ。それでさえマルケスにとっては転倒の多い年だったのだ。

2016年型RCVは誰にとっても乗りにくいマシンだった。クラッチロー、ミラー、マルケスの転倒回数がそれを物語っている。ペドロサとラバトにとっても辛いシーズンだった。カルについて言えばそれだけの転倒にさえ屈することはなかった。彼はあきらめることなく前に進み続けた。10回、15回、20回と転倒を重ねるそのどこかで「もうたくさんだ!」と言っても良かったのに、クラッチローはリングにタオルを投げ入れることをよしとしなかったのである。

狂ってる?鈍感なだけ?全く違う。彼には根性があるのだ。そして何より勇気があるのだ。誰よりも肝っ玉が据わっているのである。MotoGPで最もテクニックのあるライダーがペドロサで、最も揺るがない決意を持っているのがマルケスで、最も緻密なのがロレンソで、最も頭のいいのがロッシで、きっとそれは誰もが認めるところだろうが、クラッチローが最も勇気があるライダーだというも異論はなかろう。彼に2度の勝利をもたらし、ホンダにとってのマルケス、ペドロサに並ぶ第3の男にまでのし上がることができたのも、その揺るがない気持ちがあるからこそだ。

もうひとつだけ想像してみてほしい。そうすれば2016年がライダーにとってどんなシーズンで、どれほど辛いものだったわかるだろう。2016年は9人のライダーが優勝しているが、彼らの転倒回数をライダーのアルファベット順に見ていこう。クラッチロー26回、ドヴィツィオーゾ6回、イアンノーネ13回、ロレンソ11回(2015年は3回しか転んでいない)、マルケス17回、ミラー25回、ペドロサ10回(彼も2015年は3回だけだ)ロッシ4回、ヴィニャーレス5回。

数字には心が通っていないかもしれないが、それでもまざまざと現実を見せつけてくれることもあるのだ。
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ううう、椅子から落ちるって大したことないと思います?だったら座ろうとした椅子を意地悪に引かれてお尻からおっこちるのを26回やってみましょうか…。

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コメント

カルは確かに転んでるなぁという印象はありました。
でも初優勝!そして二勝目!!しかもサテライトでの快挙ですからね。
デマのようでしたけどダニ引退の後釜で、カルの名が挙がったのも分かる気がします。

ただ今年は、ちょっと危ないシーズンだったと僕は思います。
RCVもそうだけど、やはりミシュランの特性もあっただろうと。
転んでも起き上がれる転倒だったら良い。
けど、起き上がれない転倒だったら、、、。
チャンプを決めた後、オーストラリアでのマルケスの転倒にはドキッとしたんです。
身体とマシンが同じ方向に流れて行って。
もし、転がって飛び上がったマシンが体の上に落ちたら、、、。
シーズンを通しマルケスやロッシとかも、「予兆がなく、いきなり転んだ」という話をしてました。
アルゼンチンもFPから転倒だらけで、レースは「どうぞ御安全に」という感じでした。
あの路面状況にライダーはボイコットしても不思議じゃなかったのでは?と。
ダッチTTにしても、あそこまで雨が激しくなる前に赤旗を出すべきだろうとも感じてました。
オーガナイザーは、ちょっと安全を軽視しているのではないかと。
マシンは、パワーは相変わらずでムジェロでは340キロとかですよね。
あのスピードでウォブルを出しながら競り合ってるなんて、やっぱり彼等は超人以外の何者でもないですよ。
でも、文章の通り彼等も血と肉でできている人間。
もっともっと安全に気を使わないといけないと思うんですよね。

投稿: motobeatle | 2016/11/25 17:09

往年のブリテッシュライダーの香りがする
クラッチロー
来年もかき回して欲しい。
出来ればワークスで~

投稿: 日本の名無しさん | 2016/11/27 06:27

それにしても、GPライダーがコケまくり。
フィードバックが少ない?
マージンが少ない?
リカバリーが難しい?
全部?
ワンメイクじゃなけりゃ、選びたくない、ミシュラン。

それは、さて置き。
ライダーはコケても乗るでしょう。
乗らなきゃライダーじゃなくなる。
イヤでも、ワンメイクだから。

自分にとって、最も勇気があるライダーは、ロレンソですね。
その日の、本当のコンディションが判るのは一周終って。
その一周目に、あのダッシュは、記憶力と正確な再現性、そしてそれを実行する、勇気が無けりゃ出来ません。雨で遅い事をもって、ヘタレ批判が有りますが、速さを引き出す方法論の違いでしょう。
ライダーなら誰でもする、グリップを予測し限界を探る。
ロレンソは、一段違うレベルで、やってる感じ。何かがちょっと違う気が。タイヤの使い方もあるし。

でも、マルケスの派手走りの方が好きですけど。クラッチローも結構器用ですね。ドカにも終盤慣れたし。ホンダでも。娘が生まれて、優勝2回とか勝利の女神ですね。美味しいキャラなんで、頑張って欲しい。みんな怪我しない事を祈る。

投稿: 輝 | 2016/11/27 15:11

確かに転倒は多かったですねぇ。でもカルは転倒の多さより、イギリス人らしい歯に衣着せぬ発言が魅力!!

投稿: とみなが | 2016/12/12 22:57

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