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独占インタビュー:HRCのトップ、中本修平氏がMotoGPの8年間を語る

今年で定年退職となるHRCの中本副社長へのインタビューです。海外メディアには「金に飽かせて勝ちまくるホンダの象徴」くらいにも見られているのですが、どんなインタビューなんでしょうか。Bike Sport Newsより。============
ヴァレンシアGP。HRCの副社長、中本修平は彼の最後のMotoGPレースに立ち会っていた。彼は今年限りで8年間君臨したレース界から去っていくのだ。

彼の後任には3人の監督が着くことになる。それぞれひとつの分野のエキスパートだ。マーケティング担当の服部ナオキ、レーシングマネジャーで契約担当の桑田テツヒロ、テクニカルディレクターの国分信一の3人である。これはF1のテクニカルディレクターを7年間経験した後、2009年にレプソル・ホンダを率いることになった中本がどれほどの仕事をしてきたかの証左でもあろう。

先週の日曜が彼にとっての最後のMotoGPレースとなった。2017年4月までは彼は今の地位についていることになるが、モトクロスやダカールラリー、トライアルといった仕事が中心となる予定だ。そして60歳を機に引退することになる。それがホンダのルールなのだ。

私たちは彼にインタビューを行った。彼は自分が関わってきた年月に満足していると言っている。しかし日本人には珍しくMotoGPの現場から離れるのが残念だともはっきり言っている。中本はMotoGPに登場したその時からライガーやエンジニアやメディアが注目する人物だった。中本の下でホンダは2011年のケイシー・ストーナーを皮切りにマルク・マルケスが3回のタイトルを記録することになった。2016年は出だしこそ躓いたもののライダー、マニュファクチャラーの二つのタイトルを獲得しホンダの力を見せつけている。それだけではない。ホンダではどのメーカーより多い4人のライダーが勝っているのだ。

F1を離れてMotoGPに来たときにはどんなことを予想していたんですか?

「ホンダは最高峰クラスで様々な記録を打ち立ててきましたが、私が来たときにはそれほど強かったわけではありませんね。ニッキー・ヘイデンが2006年のチャンピオンになってましたけど、次の年はドゥカティがタイトルを獲って、次はヤマハだった。だから私の使命はホンダHRCチームをタイトルを狙えるレベルまでもっていくことだったんです。レースに勝つには3つの重要な要素があるんです。ライダーが一番大事で、あとはマシンとチームですね。つまりピットと日本ということです。勝てるようになるためにはその3つのどれも改善する必要がありました。そこで私はまずマシンと、そしてチームの組織改革に取り組んだんです。ライダーについては当時ダニ・ペドロサがいて、彼は速いライダーでしたし、マシンもエンジンはパワフルだった。でもブレーキングに関してはヤマハに負けてたんです」

その使命は果たされたとお考えですか?

「ええ。この8年間でタイトルも獲れましたし、今年はライダーとマニュファクチャラーの両方のタイトルを獲れましたから」

MotoGPに来てあなたはどんな風に変わりましたか?

「MotoGPは大都市とみたいなF1と比べると小さい村ですね。F1は私には大きすぎた。だからMotoGPで過ごした年月は楽しかったですね。本当に居心地が良かったです」

F1ドライバーやMotoGPライダーで印象に残っているのは誰ですか?

「本当に強いライダーといつも一緒にやれて幸せでしたね。だからどのライダーのことも愛していますよ。息子みたいなものですね」

マルク・マルケスとケイシー・ストーナーが一緒に走るところを一回でも見たかったとは思いません?

「MotoGPファンなら誰もが夢見ることですね。私もファンの一人ですよ」

2017年についていですがマルク・マルケスとダニ・ペドロサはどんなことを要望してるんですか?

「マルクとダニはライディングスタイルが違うんですけど、要望は似てますね。どちらも加速をなんとかしてほしいと言ってます。つまりエッジグリップが問題だということですね。エンジンパワーをが活かしにくい部分で、どうマシンを起こして加速させるかにも関わってくるんです。ここについてはドゥカティの方がうまいんですよね」

ビッグバンエンジン導入を検討しようとはしなかったんですか?

「ビッグバンエンジンは違う感じでしょうけど、それで問題が解決するかどうかはわからないですから。もちろんいろんな解決策は考えていますけどまだどれが一番いいかはわかってないんです。ビッグバンエンジンもひとつの考えですけど、ここヴァレンシアでは別の解決策をエンジンに関してテストするつもりです」

4人ものライダーが勝ったのはホンダだけです。つまりRC213Vがグリッドで最高のマシンだと言ってもいいってことでしょうか?

今年は4メーカーのライダーが勝っています。つまりみんなレベルが高くて接近してるってことですね。ホンダが一番強いコースもありました。ザクセンリングとかですね。でもオーストリアではドゥカティの方が速かった。今年は電子制御ユニットが統一されてミシュランタイヤも導入された。だから去年までとは違ったんです。来シーズンのタイトルのためにはあらゆる分野で改善が必要ですね。コーナリングも加速も、すべてです」

電子制御についてはいかがですか?

「序盤戦ではかなり苦労しましたがシーズンが進むにつれて改善も進んでいきましたね。現時点ではソフトウェアの80%は使い切れています。つまりはまだ改善の余地があるってことですけど」

いろんな制約やルールがありますけど、技術開発の余地が小さくなったことでメーカーの興味が失われる可能性はあるとお考えですか?

「もしなんのルールもなければもっと電子制御についてもいろいろできるでしょうね。でも開発能力には限界があるんです。それに予算にも制限がありますから。ホンダだって何でもできるわけじゃないんです。もちろん制限はありますけど、まだ新技術を試す余地はあるんです」

クラッチローは2勝もしましたが、来年サポートが増えたりしますか?

「今シーズンの序盤のカルはダニと同じマシンでした。その後バルセロナでダニが違うフレームを試して、いいところと悪いところがあった。結局ダニは元のフレームを使うことになりました。でもカルの要求は違ったんでワークス用フレームを使っています。だからカルにしても他のサテライトのライダーにしてもサポートはしてるんです。1〜2戦すればワークスと同じ新しいパーツが使えるんですよ」
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ほぉ、比較的いい感じのインタビューですね。そして中本サンもケイシーvs.マルクが見たかったのか!!

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コメント

賛否はあったようですが、僕は中本さんの様な存在、つまりメーカーを代表し顔として露出する人が、もっと日本にいるべきだと思ってます。
それくらい素晴らしいマシンを作ってるわけですから。
本当に世界に誇れる日本の技術力です。
ヤマハにしても、辻さんあたり適役かとおもうんですが、、、余計なお世話かな?w
ともあれ中本さん!お疲れ様でした!

投稿: motobeatle | 2016/11/16 21:35

>motobeatleさん
 あんな感じでがんがん前に出てくる/はっきり言う、キャラが立ってる人っていいですよね。面白かったです。

投稿: とみなが | 2016/11/24 21:02

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