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2016アラゴンMotoGPレースまとめ:タイトルの獲り方、逃し方

えー、お久しぶりです。シーズンオフも近づいてきたし、腰も投薬によりましになってきた(腰痛に苦しんでいたのです!)ので、ぼちぼち復活します。というわけで信頼と安心のMotoMatters.comより、アラゴンGPのまとめです。
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時の勢い。オーストラリア・アジアラウンドの3連戦を前にして行われた先日のレースをこれほど的確に表現している言葉はないだろう。タイトル争いの終盤に向けての時の勢い。これを手にしてもてぎ、フィリップアイランド、セパンに乗りこむことがタイトル争いの鍵になっていた。そしてタイトルが決まるのはフライアウェイの3連戦だとしても、アラゴンでその行方が見えてきたのである。

日曜に行われた3クラスのレースはそれぞれタイトル争いに大きな影響を及ぼすものだった。最初のレースではタイトルが決まり、次のレースでタイトル争いは再び混沌に陥ることとなった。最後のレースではマルク・マルケスが3度目のタイトルという城壁の完成に向けてに新たな煉瓦を積み上げただけでなく、自らの名声をさらに高めるレースを展開して見せた。良いレースに恵まれた1日だったと言えよう。

タイトル獲得への道は数限りなくある。しかし2016年のMoto3タイトルは予想通りの結末となった。Moto3レースはいつもの通り激しい争いが繰り広げられた。誰もがレースを支配しようと熾烈なバトルを最後の4周になるまで繰り広げ、そしてその中から4人のライダーが抜け出した。ブラッド・ビンダー、そして計算上は彼を破ってタイトルを獲得する可能性のあるエネア・バスティアニーニとホルヘ・ナヴァッロ、さらにそこに上り調子のルーキーであるファビオ・ディ・ジャンアントニオの4人だ。

斧でぶった切れ

予想通りの激しいバトルだった、ビンダーはリスクを冒してまで勝利を目指した。そこには慈悲はなかった。誰もそれを求めなかったし、誰もそれを与えようとはしなかった。そしてそれでもフェアな戦いだった。ホルヘ・ナヴァッロが勝利をおさめ、ビンダーはバスティアニーニに1秒の差をつけて2位に入った。様々な意味で最後の3周ほどは2016年を象徴するものだったと言えよう。

今回のレースにおけるビンダーについておそらく最も印象的だったのは、彼がタイトルについて全く考えていないように見えたところだろう。彼のレースはまるで初勝利を目指したライダーのような走りだったのだ。前にいくためならクラッシュしてもかまわないという気迫が垣間見えたのである。彼もそれを認めている。「確かにタイトルを決めたかったというのはありますけど、でもまだ4レース残ってましたからね」。彼は新チャンピオンのために設けられたプレスカンファレンスでそう言ったのである。

これはプレッシャーを感じていなかったということでもあると彼は語っている。そしてそれはチームオーナーのアキ・アジョのおかげだとも話した。土曜の夕方、彼にとってはがっかりな結果となった予選の後、私がビンダーのコメントをとるためにピットに行ったときのことだ。ビンダーに向けて私が発した質問に答えたのはしかしアジョの方だった。「戦略はいつもと同じですよ」と彼は言った。私が状況を理解しないまま馬鹿げた質問をしたことを再確認するかのようだった。アジョはチームマネジャーとしての仕事を完璧にこなし、ライダーをつまらない外野の声から守って見せたのだ。私がいらついたのは事実だが、それもまた勝利を目指すための努力のひとつなのだ。

信じる気持ちがすべて

新チャンピオンのためのプレスカンファレンスでビンダーは実にチャンピオンにふさわしいライダーであることを我々に教えてくれた。穏やかで思慮深く成熟したライダーなのだ。彼はなんどもチームを讃えてみせた。「一番の違いは僕を陰で支えてくれたチームですね。すごくいい組織で、何もかもがほんとうにうまく回っていたんです。今年はどのレースでも何かに不安を抱えたまま決勝を走るなんてことは一度もなかったんですよ。チームがすごくがんばってくれたし、KTMの人たちもがんばってくれた。僕のマネジャーも、周りの人もみんながんばってくれた。おかげで今年は何もかもが完璧にうまくいってるって確信がもてたんです。すごいことですよね。だって基本的にレースの時には僕がやることは自分の仕事をこなすことだったんですよ。他のことはみんな整っていたんです」

初勝利を挙げたヘレスのレースも助けになったようだ。ヘレスで彼ははグリッド最後尾でのスタートを余儀なくされた。そして彼は充分な余裕をもって勝利をかざったのだ。それが相当の自信になったという。「今年は苦しいときにヘレスのレースを思い出して自分に言い聞かせていたんです。わかるでしょ。僕は最後尾から勝てたんだからいつだって勝てるんだってね」

ビンダーは4レースを残してタイトルを獲得した。これはMotoGPが現在のポイントシステムとなってから(より正確には『戻ってから』)初の出来事である。彼はチャンピオンに慣れたのはライバルの脱落のおかげもあると正直に認めている。「今年はすごく安定していたんですけど、例えば現時点で2位と3位のライバルにとってはそう簡単なシーズンではなかったと思います。ホルヘ(ナヴァッロ)は足を骨折しているし、何回かリタイヤもしている。そしてそのレースで僕は勝つことができました」。エネア・バスティアニーニもタイトル争いができるほどの安定性はみせられず、ロマーノ・フェナティはVR46ライダーズ・アカデミーのやり方が気にくわないまま結局チームをクビになってしまった。その時彼はランキング2位だったのにかかわらずだ。

こうした助けがあったとはいえビンダーはタイトルにふさわしいライダーである。タイトル争い序盤で強さをみせ、そしてヘレスでの勝利のおかげで自分の能力に自信を持つことができた。マシンが完璧でなくてもポイントを獲得し、マシンが完璧なら勝利をおさめることができた。ヘレスで彼が得た揺るぎない自信は彼の走りも王者のものにしたのだ。バイクレースはかなりの部分を耳と耳の間の臓器、すなわち「脳」に依存している。そしてブラッド・ビンダーの脳、そして意志はダイアモンドのように堅固で鋭利で、そして輝きを放っているのだ。

ロウズにもチャンスが

ビンダーがMoto3タイトルを獲得した一方で、Moto2のタイトル争いはサム・ロウズのおかげでますますわからないものとなってしまった。これはアレックス・リンスがミザノでやったことより影響が大きいだろう。ヨハン・ザルコのスランプはアラゴンでも続いており、去年のチャンピオンである彼は存在感を示すことなく中団で争うこととなってしまった。彼は力を振り絞ってリンスを負ったが、結局追いつくことはできなかった。今週末のリンスはずっと胃腸炎に苦しんでいたにもかかわらずだ。

ロウズはアレもが納得する勝ち方をみせた。誰も彼をけなすことなどできないだろう。週末のすべてを支配し、ポールからスタートして3番手より後ろに落ちることはなかったのだ。彼は最初からレースをリードし、予想外に速かったアレックス・マルケスを6周目で置き去りにすると易々と勝利を飾ったのである。マルケス兄弟の弟であるアレックスはマルクVDSのチームメイトであるフランコ・モルビデリの終盤のアタックを退け2位に入った。これは彼の初表彰台である。マルケスは安定していたが中々速さを見せられなかった。しかしこの表彰台をきっかけに自身を持ってMoto2を戦えるようになるかもしれない。Moto2のトップライダーが2016年限りでいなくなることを思えば、マルケスの来年は相当いい状況と言えるだろう。

ロウズが勝利をおさめた一方、リンスとザルコはそれぞれ6位と8位に終わってしまった。つまりザルコのリンスに対するリードはわずか1ポイントになったということである。そしてロウズがその差を53ポイントから40ポイントまでつめてきた。レース後ロウなくて勝つことは二の次みたいだからね、と語っている。「今彼らはすごくポイント差がつまっていて、それは相当たいへんあことだろうね。だから僕はいいポジションにいるんだと思いますよ。日本は好きだしフィリップアイランドは一番好きなコースだから、これも僕にとってはありがたいですね。もし日本で2人がややこしいことになって、それフィリップアイランドを迎えて僕がうまくやれたらどうなるかわからないですよ」

マイティ・マルク

ひとつのクラスではチャンピオンが決まり、もうひとつのクラスではタイトル争いが混迷の度を増した。そして最後のMotoGPクラスの結果はその中間とでもいうべきものだった。ただしどちらかと言えばMoto3に近いのは確かではある。マルク・マルケスがプラクティスからの絶好調を維持して勝利をおさめたのだ。とは言えみなが予想したように大差をつけて勝ったわけではない。最初の2つのコーナーではホルヘ・ロレンソとトップを争い、お互いにアウトにはらんでしまう。その結果上り調子のマーヴェリック・ヴィニャーレスがトップに立ってしまう。マルケスはその後ヴィニャーレスに反撃し、そして7コーナーで大スライドを喫し再びいくつか順位を落としてしまう。

その大スライドからの復帰もすごかった。金曜の夜、ミシュランのボスであるニコラス・グーベールが語ったところでは、マルケスは最近のクラッシュ寸前のスライドからむしろ自信を得たのだそうだ。最近の大スライドの体験から彼はミシュランのフロントタイヤの限界がどこにあるのかを精確に把握したのだ。ミシュランタイヤにできることとできないことがわかったということである。こうした理解に基づきアラゴンのレースで肘を使ってフロントのスライドを維持し、そして普通の状態に戻すことができたというわけだ。そして彼はわずか1秒ロスしただけで5番手で復帰した。

マルケスは優勝争いから脱落していなかった。左右非対称のフロントタイヤであまりに早くから攻めると危ないと気付いた彼は、しかしじわじわと前との差を詰めていく。ヴァレンティーノ・ロッシは強い抵抗を試みるが、それも2周ばかりの間だった。結局マルケスの方が速いことを認めざるをえなかったのである。それ以降マルケスは独走態勢を築き、結局誰も彼についていくことはできなかった。

終わりは近づいている

今回の勝利はマルケスにとって大きな意味を持つものとなった。不調に終わったここ4レースの後ではなおさらだ。過去4レース、彼は一度しか表彰台に昇れず、しかも全レースでヴァレンティーノ・ロッシに前を行かれたという辛い結果に終わっていたのだ。しかしマルケスにとって幸いなことに、ロッシはこのチャンスを生かし切ることができず、タイトル争いができるほどのポイント差まで戻ることはなかった。

マルケスが勝ったことでロッシとの差は43ポイントから52ポイントに広がることとなった。マルケスにとっては充分な点差だ。ロッシはこれから毎レース平均13ポイントずつ詰めていかなければならない。つまりロッシが残り4レースを全勝してもマルケスは残り4位に入っていればタイトルを獲得することができるということだ。

ロッシにとっては嬉しくないシナリオである。これまでヴァレンシアでは常に苦労し、セパンではダニ・ペドロサとの激しいバトルが待っている。そしておそらくフィリップアイランドではグリッドに並ぶライダーの半数との戦いになるだろう。さらにもてぎはドゥカティが強さを発揮することになる。一方のマルケスはオーストラリア、マレーシア、ヴァレンシアを得意としている。しかもそこで勝つ必要はないのだ。もちろん勝つ力は充分あるにもかかわらずだ。

マルク・マルケスがタイトルに片手をかけているのは間違いない。そしてもう一方の手も指が1〜2本かかっている。計算上はもてぎでマルケスのタイトルが決まる可能性もあるが、しかしそのためにはロッシに23ポイント差、ロレンソに9ポイント差をつける必要がある。そう考えるとフィリップアイランドでロッシに50ポイント以上の差をつけてチャンピオンを決めて南半球を後にするということが最もありそうなシナリオだろう。

ロレンソのタイヤ冒険

ロッシのタイトル獲得にはチームメイトであるホルヘ・ロレンソもたちはだかっている。彼は予選でもFP4でペースが出せずに苦労し、自分でも前を走れるとは思っていなかった。しかし午前中のウォームアップでのクラッシュが結果として彼を救うことになる。セカンドバイクに問題がないことを確認するためにロレンソはサイティングラップをハード側のリアタイヤを履いたセカンドバイクで走っている。ハード側は彼がうまく使いこなせなった方だ。そしてソフト側タイヤを履いたレースマシンに乗り換える。こちらも彼は喜んで使っていたわけではないのだが。

サイティングラップの2周目が終わるとすぐに彼は自分が間違いを犯したことに気付き、セカンドバイクで使ったハード側タイヤに変更するようスタッフを急がせた。ソフトタイヤは機能しておらず、ハードタイヤの方が良い感触だったのだ。土曜の予選では得られなかった感触である。その短い間に何が起きたのだろうか?ロレンソに近い情報源によればミシュランタイヤの製品のばらつきが問題だったのではと言っている。一方ミシュランの広報は土曜のロレンソは彼らのアドバイスを無視したからだと言っている。どちらが正しいのかは誰にもわからない。我々にわかるのはホルヘ・ロレンソがレース終盤にヴァレンティーノ・ロッシをとらえ、そして結局1秒の差をつけて前でゴールしたということだけだ。

高い代償

とは言えロッシは易々と抜かせたわけではない。数週にわたってロレンソの真後ろにつけ、復讐の機会を狙っていた。しかしロッシはロレンソを抜くタイミングを見誤ってしまう。早すぎたのだ。そもそも抜くべき場所が間違っていた。彼は13コーナーの進入で抜きにかかってしまったのだ。ロッシはミスを犯したことを素直に認めている。そしてウィルコ・ツィーレンベルグは後になってロッシがロレンソについてミスを待つべきだったと言っている。

ロッシは13コーナーのブレーキングを遅らせすぎたことに気付くことになる。そかも自分はロレンソのイン側に入っていた。もし彼がコーナーを無理して曲がりきろうとすればロレンソをはじき飛ばすことになっていたろうし、自分もアウトに出て行ったかもしれない。13コーナーを安全に曲がりきれるスピードにまで落とすことはできないと気付いた彼はブレーキを緩めてアウトにはらむことを選択する。それは2位の座をあきらめることを意味していた。そしてマルク・マルケスとの間の貴重な4ポイントを失うこと、さらにはチームメイトとの間の8ポイントを失うことも意味していたのだ。ロッシとロレンソの差は14ポイントとなる。ランキング2位争いはわからなくなってきた。

通常であればランキング2位の座など本気で争うには値しない。ライダーであればそれよりリスクを冒してでもレースに勝利する方を狙うだろう。レースで2位に入るより優勝する方がボーナスが多いからというだけではない。しかしロッシとロレンソについては状況が違う。ロレンソは今年限りでドゥカティに移籍することになっている。どちらも相手を屈服させようとしている。同じマシンに乗っている間にどちらが上かを相手にわからせようとしている。タイトル争いは終わったも同然だが、まだランキング争いは相当おもしろいエンターテインメントだ。

好調を維持するスズキ

マーヴェリック・ヴィニャーレスは表彰台には昇れなかったが、ここ最近でも最も嬉しそうな様子だった。彼はこの数戦リアグリップを最後まで保たせることができるようになった。路面温度が上がっているときでもだ。18周目でも加速できるだけのグリップを残すことができたのである。これまでのレースより良い状況だ。「今回タイヤが18周目まで保ったんです」と彼は言っている。「次は最終ラップまで保たせるようにがんばりますよ」

そのためにはエンジンブレーキが鍵になるだろう。レースが進行するにつれ問題となってくる部分だ。コーナー進入でリアがロックしそこでかなりのタイムを失っていた。そしてヴァレンティーノ・ロッシのリアに突っ込みそうにもなっていた。そのせいで彼はロッシに追いつけず結局4位に終わったである。

5位に入ったカル・クラッチローは対照的に不満そうだった。また集団に飲まれてしまったことに怒っていたのだ。もし予選で転倒していなかったらもっと前でスタートできたろうし、彼は自分のペースがトップ集団についていけるものだとも感じていた。表彰台争いもできただろうと彼は考えている。しかし結局アレイシ・エスパルガロ、次にアンドレア・ドヴィツィオーゾ、そしてダニ・ペドロサとのバトルをしなければならなかった。彼がこうしたライダーの前に出たときにはトップ集団は遙か先を行っており、いかなかれのペースを持ってしても追いつくことはかなわなかったのである。

二つのタイヤ、二つの理由

ペドロサとドヴィツィオーゾはどちらも似たような運命に見まわれたが、その原因は大きく異なっている。ドヴィツィオーゾのドゥカティには4周目からフロントタイヤに振動が出始め、前を走ることができなくなっていた。原因がタイヤなのかマシンなのかに関してドヴィツィオーゾは慎重な口調に徹していた。しかし彼の様子からはタイヤに問題があると考えているようだった。しかしミケーレ・ピッロも同じようなトラブルに見舞われたことを考えるとタイヤの問題というよりマシンの問題と判断する方が理にかなっているだろう。

容疑者の最右翼はデスモセディチのウイングだ。フロントの問題はワークスとプラマックではよく起こっているが、どちらもウイングを活用している。一方でウイングを使用していないアヴィンティアとアスパーではあまり起こっていたのだ。GP15/16とGP14.2は大きな違いがあるが、ウイングのせいでフロントへの荷重が大きくなるということを考えると、一つの要素として考えざるを得ないだろう。

ダニ・ペドロサのタイヤ問題がウイングの製でないことは明らかだ。彼はブレーキもまともにできない状態だったが、これはレースが3/4を過ぎたあたりでフロントタイヤに深刻な問題が発生したためである。レース後のフロントタイヤはゴムが一部はがれ落ちており、ブレーキングがままならないのもむべなるかなという状態だった。なんとかブレーキングしようと彼はブーツの摩擦まで利用し、最後にはブーツのフロントがこすれてつま先が見えるほどになってしまった。

こちらは明らかにタイヤの問題だ。ミシュランは検査と原因究明のためにタイヤをクレルモン・フェランの工場にそのタイヤを送っている。最初にソーシャルメディアで、後に国際的プレスのウェッブサイトにそのタイヤの写真が掲載されるというのも異例なことだ。通常であれば摩耗パターンを隠すためにチームがすぐにカバーで覆ってしまうものである。しかし通常では考えられないダメージを受けたタイヤにカバーをつけるのを忘れた上に、たまたまスマホカメラを構えて待ち受けるジャーナリストの前を転がしてくというのもまあチームにとっては悪くないのだろう。この摩耗状態を見れば誰もライダーが悪いなどとは思わないはずだ。

喜びのノアーレ

6位でゴールしたダニ・ペドロサが失意に沈む一方(ミザノでは勝っているのだからなおさらだ)、アプリリアのピットは喜びに沸いていた。アルヴァロ・バウティスタとステファン・ブラドルの両方がトップ10に入ったのだ.バウティスタが9位、ブラドルが10位である。ミザノでの好調がフロックではないことを示した上に、新型シャーシと彼らが見つけ出したセッティングのおかげでアプリリアには真のスピードと自身がもたらされたのだ。

真のブレークスルーはどこからもたらされたのだろうか?ミザノでも、そしてその2日後に行われたヴァレンシアのテストでも速かったのだとバウティスタは言っている。その速さをアラゴンでも維持できたおかげで、これまでにない戦闘力を示したのである。性格が異なる3つのサーキットで速さを示せたということは、彼らがトップに近づいてきたことを意味している。

アプリリアにとって次のステップは二人のライダーのセカンドバイクも新型にすることだ。そうすれば同じシャーシで比較することでより良いセッティングが可能となる。ミザノと同様アラゴンでも二人は新型シャーシと旧型シャーシを1台ずつ与えられたのだが、それではセッティングを出すのもままならないだろう。2台目の新型シャーシはもてぎで投入されるはずだとステファン・ブラドルは希望を持って語っている。

危ない男:ペトルッチ

アプリリアの二人が希望を持ち始めた一方、プラマックのピットは対照的な雰囲気だった。2017年にスコット・レディングかダニオ・ペトルッチのどちらかだけにGP17を供給するというドゥカティの決定がかえって火種となっているのだ。相手より少しでも上回る結果を出して新型マシンを得ようという二人のぎすぎすした戦いが始まっているのだ。そしてその戦いはアラゴンの結果に象徴されるようにとんでもないミスを誘発しかねないのである。

1周目、ペトルッチがレディングをはじきとばしてしまったのだ。野蛮で無謀な追い抜きをかけた結果である。ペトルッチはレースディレクションからライドスルー・ペナルティを科せられることになった。このペナルティにはこれまでの行状も考慮されている。オーストリアではユージン・ラヴァティに対して似たようなことをしでかしており、レースディレクションも今回はきちんとお灸を据えるべきだと考えたのだ。

他のライダーもこれは必要なことだったし、もっと前にそうすべきだったと考えている。ペトルッチについて聞かれたポル・エスパルガロは即座に彼の危険な1周目の走りに対する非難の言葉で答えている。「序盤にリスクを冒しすぎるんですよ。限界で抜くにもほどがある」。エスパルガロもまたその犠牲者である。さらに彼の兄であるスズキのアレイシも同じ目に遭っている。ラヴァティに続いてこんどはレディングに当てたことについてポル・エスパルガロはもう出場停止にする時期だと感じている。もしペトルッチがまた誰かに当てたらおそらくそういうことになるだろう。

歴史の指し示す先
モーターランド・アラゴンにやってきたマルク・マルケスは征服者としてここを去っていく。そしてまた一つ歴史にその名を刻むこととなった。1974年以来の最多ポールポジション(64回)を獲得してホルヘ・ロレンソに並んだのだ。さらにはミック・ドゥーハンに勝利回数で並ぶこととなった(54勝)。オーストラリア人は感じやすい、特に自国民が成し遂げたとんでもない業績については、やはりとんでもなく感じやすいので、すぐにドゥーハンの勝利は全てNSR500で成し遂げた最高峰クラスのものだと主張するだろう。一方マルケスの勝利は125cc、250cc、MotoGPの3クラスで達成したものだ。

当然の反論だ。しかしドゥーハンが125にも250にも乗っていなかったからといってマルケスを非難するのは筋違いだ。マルケスの勝率はドゥーハンには及ばない。マルケスは146レースで54勝、ドゥーハンは135レースで54勝である。しかしまだマルケスは23歳だ。ドゥーハンの54勝は33歳のときのものである。マルケスの前にはまだジャコモ・アゴスチーニ、ヴァレンティーノ・ロッシ、アンヘル・ニエート、マイク・ヘイルウッド、ホルヘ・ロレンソがいる。彼らはまだ勝利数で上回っているのだ。もちろんマルケスが引退するまでにはその内かなりのライダーの記録を塗り替えるだろう。とは言え、これも大事なことだが、トップに立つのは無理だろう。

彼がどれくらいまでいけるかも楽しみである。そして忘れてはならない。ヴァレンティーノ・ロッシはまだそのハードルを上げられるのである。
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今回の記事、私がいちばん「ほぉ」って思ったのはロッシがロレンソに対して引いたということですね。

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公式リリース>アラゴンGP2016

ホンダヤマハスズキドゥカティ(英語)アプリリア(英語)

ちなみに日本GPでマルケス優勝(273pt)かつロッシ15位以下(197pt)、ロレンソ11位以下(187pt)なんてことになると、残り3戦で最大75ポイントしか詰められないので、マルケスのチャンピオンが決まりますね(同ポイントだと優勝回数に依存するので、ここは最終戦終了時点でマルケスが二人のポイントを上回る計算)。

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公式プレビュー>アラゴンGP2016

ホンダヤマハドゥカティ(英語)スズキ(英語)アプリリア(英語)

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SR何でも相談室を2016年9月29日をもって終了することにしました

いろいろ思うところがあったりなかったりして、長いこと皆様に支えて頂いたSR何でも相談室終了することにしました。
思えば、まつさんから管理人をひきつぎ、HappyManさん管理のサイトで運営してからもう10数年、炎上という言葉もなかったことから大炎上することもなくやってこられたのも、本当に良識ある皆様のおかげだと感謝してもしきれませんよ。

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公式プレビュー>サンマリノGP2016

ホンダヤマハドゥカティ(英語)スズキ(英語)アプリリア(英語)

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公式リリース>イギリスGP2016

ホンダヤマハドゥカティ(英語)スズキアプリリア(英語)

ロレンソのコメントの短さ…。

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公式プレビュー>イギリスGP2016

ヤマハホンダドゥカティ(英語)スズキ(英語)アプリリア(英語)

ここんとこ更新が止まっていますが、暑さに負けているのと仕事でおもしろいネタをたくさんみつけちゃったからです。あとSRダンディ本館と何でも相談室の移行をどうしようか迷っているってものありますが。

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