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2016オーストリアGP決勝まとめ:最高の6人、その他

バトルは少ないMotoGPクラスでしたが、イアンノーネとドヴィツィオーゾがトップ争いをしていたことで、ある意味余計な緊張感に満ちあふれていたレースでしたね。そんなオーストリアGPのまとめをMotoMatters.comより。
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午後7時30分、ついに雨が降り出した。私たちがサーキットを後にしようとしていたときのことだ。土曜の夜から日曜の午後2時にはオーストリアのレッドブルリングに雨が降ると言われていたのだ。現地時間のレース開始時である。ライダーたちはここでウェットレースになることを考えて不安になっていた。誰もが雨のせいでとんでもなく広いアスファルト製のランオフエリアがどんな影響を及ぼすかを心配していたのだが、中でも何人かは心から不安に思っていたようだ。過去2回、雨のレースで残念な結果しか記録していないホルヘ・ロレンソはここでなんとかタイトル争いに踏みとどまろうとしていた。気温が低く、さらにウェットとなるとこれまでロレンソは苦労し続けだったのだ。晴れればロレンソも輝くことができる。相手がドゥカティであってもだ。

彼の願いは叶えられた。ほぼ20年ぶりとなるオーストリアでの開催となる今回、95,000人と発表された大観衆が詰めかけ、久しぶりのGPを堪能しようと待ち構えている。その味はどんなだったか?最初のMoto3ではフィニッシュラインまで初優勝を狙うライダーと優勝常連ライダーが力のこもったスリリングな戦いを続けることになった。Moto2ではレースが決まる2/3あたりまでは激しいバトルが繰り広げられた。そしてMotoGPでは素晴らしく濃密な争いに観衆は息を呑むことになったのだ。スピールベルグのコースは伝統的なバイク用サーキットではない。しかしGPマシンはここで素晴らしいレースを演じてみせたのである。

ディープインパクト

3クラスとも決勝の結果はタイトル争いに大きな影響を及ぼすことになった。どのクラスもランキングトップのライダーがその地位を固めることになったのである。Moto3では素晴らしい走りにもかかわらずホルヘ・ナヴァッロが転倒リタイヤとなったことで安定のブラッド・ビンダーがリードを強固なものにした。ロマーノ・フェナティはそもそも決勝を走っていなかった。彼はスタッフに対する横暴な態度のせいでSky VR46チームから出場を停止されていたのである。

Moto2ではヨハン・ザルコが支配力をますます強めることとなる。彼の走りは王者のものだった。それでも彼が防戦一方だったバトルを余裕の勝利につなげるまでレースの2/3を費やしてはいることは覚えておこう。そしてMotoGPだ。マルク・マルケスはモヴィスター・ヤマハの2人の後ろでゴールできたおかげでホルヘ・ロレンソに詰められた差をわずか5ポイントに収めたのだ。マルケスはレプロル・ホンダにとって相性最悪のコースを2016年のタイトルに手を掛けたまま終えることができた。残り8レースで全てが2位でも彼はチャンピオンになれるのである。

最高の6人

オーストリアGPが素晴らしいものになったのはしかしタイトル争いのおかげではない。レースそのもの、そしてその結果のおかげである。ヴァレンティーノ・ロッシが土曜に予言した通り、世界最高の6人のライダーが一歩も引くことなくバトルを繰り広げたのだ。レース結果自体は彼らの強さとマシンの強さに応じたものとなったが、レースの3/4あたりまでは誰が勝ってもおかしくない状況だった。2台のワークスドゥカティと2台のモヴィスター・ヤマハの戦いの決着はなかなかつかなかった。早々にドゥカティが独走してしまうという戦前の予想は杞憂に終わったのである。

しかしすべてはドゥカティのシナリオ通りだったのだ。彼らはシーズン最速のサーキットで大事なのは燃費とタイヤの保ちだということを理解していた。コースのほぼ半分でスロットルが全開となるのだ。そこでドゥカティはその対策を打つことにした。自分たちのマシンの加速力があれば前半は十分に戦えることをわかった上で、終盤に向けて燃料をセーブしたのである。彼らがその制限をはずしたとたん、モヴィスター・ヤマハの2台は脱落したのだ。これがドゥカティの完璧な勝利の裏側である。しかしこれは戦略あってこそだった。単にエンジンパワーで勝ったわけではないということだ。

すべては戦略

燃料をセーブするために最初は力を抜いていたのかという我々の質問に対して満足そうなジジ・ダリーニャはひと言こう答えた。「ええ」。アンドレア・イアンノーネの説明の方がもう少しわかりやすい。「燃料をセーブするために前半はあまり使わないようにしたんです。そして電子制御のマップを変えてバイクがもう少しだけ走るようになったんです」。喜びに満ちた彼はプレスカンファレンスでそう答えた。「うまくレースを進めたかったんです。だから全力で攻めることはしなかった。ソフトタイヤで走ったんでタイヤの保ちもコントロールして使い切らなきゃならないようにしないといけなかったし。空転させないように、スライドさせないようにってね。この戦略は素晴らしかったですね」

素晴らしかっただけではない。歴史的な結果でもあるのだ。イアンノーネの勝利はドゥカティにとってはケイシー・ストーナーが2010年にフィリップアイランドで優勝して以来、つまりほぼ6年ぶりということになる。アンドレア・イアンノーネが2位に入っているが、ドゥカティの1-2フィニッシュは2007年にフィリップアイランドでストーナーとロリス・カピロッシが記録して以来のことである。2011年のムジェロから2016年のバルセロナまでの89レースで優勝したのはわずか5人。ホルヘ・ロレンソ、マルク・マルケス、ダニ・ペドロサ、ヴァレンティーノ・ロッシ、ケイシー・ストーナーだけだ。そして最近の3戦の勝者はジャック・ミラー、マルク・マルケス、アンドレア・イアンノーネとなっている。

彼はやるときはやる

イアンノーネの勝利は中でも印象深いものだ。彼とチームメイトのドヴィツィオーゾ、それにロレンソを加えた3人が序盤で激しく順位を入れ替え、その後ドヴィツィオーゾがレースをコントロールし始める。彼はチームメイトの前を走り、一方ロレンソはロッシとバトルを繰り広げる。この時点でドヴィツィオーゾが勝利を手中にしたように見えた。イアンノーネは肋骨を痛めており、それが終盤で影響するに違いないと思われていたからなおさらだ。しかし勝利のにおいは最高の痛み止めである。そしてイアンノーネはチャンスの静かな足音を聞きつけたのだ。彼がドヴィツィオーゾに襲いかかったのは21周目だ。9コーナー立ち上がりから10コーナーへの進入、ぎりぎりのコントロールでドヴィツィオーゾのインに入る。そして彼の走りに火がついた。そのままドヴィツィオーゾをゴールまで従えて、わずかな差で優勝を飾ったのだ。実に見事な勝利だった。

ケイシー・ストーナー以来のドゥカティの勝利がチームが手放すことにしたライダーによってなされたのは皮肉なことだ。勝ったのはホルヘ・ロレンソと2017年に走るライダーではないのだ。しかしイアンノーネの速さは、だからこそドゥカティが彼のチームメイトを選んだ理由でもある。今回のような走りをすればイアンノーネは誰にも勝てないライダーになる。しかしたいていはこんな風に乗れないのだ。いつもでも彼のライディングはワイルドで注意力に欠け思慮がなくチームメイト(アルゼンチンで)、そしてライバル(バルセロナで)をはじき飛ばしてしまう。アンドレア・イアンノーネは潜在的にはタイトル争いをできる力を持っているが、それは集中力と冷静さを維持できることが前提だ。しかし彼にはそれができないし、やろうともしなかった。

アンフォレア・ドヴィツィオーゾについては今回の2位が彼のこれまでのキャリアを象徴していると言えよう。ドヴィツィオーゾはイアンノーネの対極に位置するライダーだ。注意深く思慮深く、そして良くものを考えている。彼もまた優勝できる才能を持っているし、タイトル争いをすることもできる力がある。しかし彼の知性と思慮深さが彼の大成を妨げているのだ。もう少しだけワイルドで、勝利が視野に入ったらもう少しリスクを冒すことができれば、ドヴィツィオーゾにもチャンピオンの可能性があるだろう。しかし彼は行動する前に考えてしまうのだ。

すべてはマシンのせい、すくなくともある部分については

ドヴィツィオーゾの2勝目の可能性があるとしたらここスピールベルグのはずだった。ドゥカティはこのサーキットでは完璧だった。もともとの特性にあっているのだ(日曜の夕方ドゥカティのCEO、クラウディオ・ドメニカリがプレスリリースで優雅に表現している通りである)。しかしドヴィツィオーゾは注意深く安全策をとってハード側リアタイヤを使うことにした。一方のイアンノーネはミディアムリアに賭け、そして勝ったのだ。

「ブレーキングではイアンノーネより良かったんです」とドヴィツィオーゾはプレスカンファレンスで語っている。「だからそこがレース終盤で鍵になるはずだと思ったんです。二人ともすごくいい戦略だったと思います。どちらも燃費に関してはリスクを冒したくなかったしタイヤも持たせたかった。だからどちらも序盤から攻めるようなことはしなかったんです。電子制御マップもいつもと違うものでしたし、トップスピードも抑えていた。でもそれは安全策の一環で、時がくるのを待っていたんです。レースでは何が起こるかわかりませんからね。でもタイヤについてはイアンノーネがグリッドで賭けに出た部分ですね。全力だと6周くらいしか保たないだろうと思っていたんです。右コーナーではグリップが足りなくて辛かったですね。彼についていくことも抜くこともできなかったんですから。すごくがっかりしてますけど、それは自分にがっかりしてるってことです。だってこれは自分たちで決めたことですから」

リスクを冒す者だけが勝利する…

そういう意味ではリスク・マネジメントこそがヴァレンティーノ・ロッシが表彰台に昇れなかった原因だと言えよう。彼は週末を通して非常に良いペースで走れていたしレースでも良いペースで走ることができた。しかしそのペースはロレンソに及ばず、無理して抜こうとしたらとんでもない結果に終わっていただろう。「何度か抜こうとはしましたし、表彰台にのぼるためにバトルしようとも考えたんですけど残念なことにレースのコンディションが誰にとっても難しいものだったんです」とロッシはレース後に語っている。「ブレーキングで巧く減速できなかったしコーナー立ち上がりもうまくいかなかった。だから僕にとっては100%コントロールできる状態じゃなかったんです。もし抜こうとしたらとんでもないリスクを冒すことになったはずです。近づこうとするために何かミスをして、結局4位ということで終わったわけです」。表彰台の可能性もあったが、そのために走ることはリスクが大きすぎたということである。

ホルヘ・ロレンソのレースマネジメントはそれより遥かに賢いものだった。彼は未だに雨の2戦での思い出に悩まされているが、それでもそこから学ぶこともあったようだ。「キャリアの危機と呼べるようなものはこれまで5〜6回ありました」とロレンソは言う。「そのたびに同じレベルか、もっと強くなって戻ってきてます。時間があれば解決できるんです。そして努力し続ければ解決できるんです。もし環境が整ったりチャンスがやっていたりすればまた元に戻れる。それが今日やったことです」

今回は危機というほどのものではなかった。いつもの通りのホルヘ・ロレンソだ。最高の状態に戻ってきたのである。スピードを手中にし、とんでもないタイムでラップを重ね、誰もついていけないペースで走り続ける。どこからこの変化がやってきたのだろうか?全ては温度の問題だ。ミシュランが適応可能な温度幅はブリヂストンのそれより狭いのである。適応範囲内ならミシュランはロレンソが必要とするグリップ力を発揮できる。温度が適応範囲外だと、機能はするがロレンソにとっては十分ではなくなってしまう。気温が低すぎると彼は迷子になってしまう。チャンピオンにとっては苦しい戦いを強いられることになっているのだ。

「ブリヂストンだと全然問題はなかったんですよ」とロレンソはレース後のプレスカンファレンスで語っている。「もしすごく寒くても温度範囲がとんでもなく広かったんです。だから寒くても暑くてもどんなコンディションでも戦えた。ミシュランだと僕にはもっと厳しい状況ですね。こういう状況でどうやったらもう少しうまくやれるか理解しなきゃいけない。でも自分の中では普通の状況が戻ってくればまたやれるってわかっていたんです。今回は優勝争いができるって示せました。まあ今日は無理っぽかったですけど。でも何か普通じゃないことがドゥカティに起こらないとも限らないわけですし。何も起こらなかったから、3位というのは現実的な位置ですね」。これからブルノ、シルバーストン、ミサノの3戦となる。そして3戦の内、2戦については好天の予報だ。フライアウェイラウンド(訳注:ヨーロッパを離れてアジア、オーストラリアを回るラウンド)前にロレンソはシーズンの調子を取り戻すだろう。

ミディアム?まじ?

ヴァレンティーノ・ロッシのプレス囲み取材についても書き留めておきたい。取材も終わり頃のことだ。タイヤについて聞かれた彼は、誰もが同じリアタイヤで走っていたといっていた。メディアが「アンドレア・イアンノーネがただ一人ミディアムリアを使っていて優勝した」ことを指摘するとロッシはそんなはずはない、ハードで走っていたはずだと重ねて主張した。こちらも混乱してミシュランに確認すると、イアンノーネは確かにミディアム、すなわち2種類用意されたリアのソフト側を使ったと返答してきた。

イアンノーネはぎりぎりまで決断を遅らせたのだ。彼がリアを換えたのはグリッドでのことだったのである。イアンノーネのタイヤチョイスが正しいものだったかについてたずねられたジジ・ダリーニャはそれを肯定している。午前中のウォームアップの段階でダリーニャはレースではハードではなくミディアムをレースで使うことになるだろうといっていた。「昨日の時点でそれが最適な選択だと考えていりました」とドゥカティの最高指揮官はいっている。「昨日の時点ではどちらのライダーにもソフトを使わせるつもりでいました。でもウォームアップでハードを使ってみることにしたらそれでもいけることがわかったんです。だから選択はライダーに任せることにしました。でも昨日の時点ではどちらにもソフトをつかってほしいと思ってましたね」

分別ある若者

ドゥカティとヤマハが速かったレースでランキングトップのマルク・マルケスはどうだったのだろう?彼はRC213Vからすべてを引き出してみせたがレース中盤までについていくのは無理だと気付いている。「レース中は苦労しっぱなしでした」とマルケスは言っている。加速力の欠如が最大の要因だそうだ。「序盤は前にいてバトルもできたし攻める走りができた。でもこのままだと完走か転倒かが半々の確率だって思ったんです。それで少しペースを落としました」

とは言えマルケスのリザルトは今年になってからの彼の進化を示している。表彰台や勝利のためにリスクを冒すよりも下唇を噛みながらもつまらない順位を受け入れることができるようになったのだ。ドライで5位というのは2015年カタール以来の悪い成績である。そしてRC213Vが問題を抱えていることが誰の目にも明らかなレースだった。しかし今回の彼はその結果を喜んで受け止めている。ロッシには2ポイント、ロレンソには5ポイント詰められただけで済んだのだ。リアのグリップがなかったということで彼も戦える状態でなかったことはわかっていたのだ。しかしドゥカティのおかげで失点は最小に抑えられたのだ。

リアグリップの欠如はマーヴェリック・ヴィニャーレスにも起こっていたことだ。スズキGSX-RRにとってはお馴染みの現象である。スズキのマシンは気温が上がり始めるとリアグリップを失う傾向にある。とは言えヴィニャーレスの反応は冷淡なものである。リアグリップが足りなくなるのは今回が初めてではないし、これからも起こるだろう。しかし残り8レースでスズキを去る彼にとってはそれが直ろうが直るまいがそれほど関係はないことだ。スズキにいる間に彼は自分の能力を、MotoGPの4人のエイリアンに割ってはいる実力があることを示せばいい。来年、戦闘力のあるヤマハに乗ったら、こんどはそれを証明する番だ。

フライング

MotoGPのレースは出だしで躓いてしまった。多くのライダーがフライングを犯してしまったのだ。カル・クラッチロー、ヘクトル・バルベラ、アルヴァロ・バウティスタ、ステファン・ブラドル、ヨニー・エルナンデスの5人もがやってしまったのだ。しかしクラッチローはペナルティが厳しすぎると考えている。フライングで得をしているどころか順位を落としてしまったからだ。ペナルティを科せられた5人の内、2人がライドスルーペナルティに関して大きな間違いを犯している。バルベラはライドスルーをおこなわずブラックフラッグが出るまで走り続けてしまった。ブラドルはピットロードに入り、ピット前で停止してしまった。ルールの厳密な解釈上はこれはライドスルーではないということでまた彼はライドスルーを科せられたのである。そして2度目は停止することなく走り抜けた。

ブラドルとバルベラのミスはダッシュボードにメッセージを表示しようという動きにも関係のあるテーマである。ふたつのチームがダッシュボードの装着ミスのせいでライダーにメッセージを届けることができなかった。バルベラはメッセージを完全に無視し、ブラドルはエンジンに問題があると勘違いしてしまった。ライトが点滅しダッシュボードの下半分が消えてしまったからだ。どちらもレースディレクションがピット出口前に表示するサインボードを無視し、ダッシュボードしか見ていなかったのである。

望みを口にするときには気を付けなさい

「公式見解としてはフライングやブラックフラッグやとにかくその他のことについてもサインボードで出した情報が公式なものなんです」とレースディレクターのマイク・ウェッブは語っている。「ダッシュボードに表示されるサインはあくまで補助的なものですし、それ以外の意味はありません。ダッシュボード自体は公式なサインじゃないんです。信号を受信して、それがレースディレクションからの信号で、それにライダーが従うなら、それでいいですけど、ペナルティの決め手になるのはピットレーン終わりのところで表示されるピットボードなんです」

ダッシュボード問題はダッシュボードのセッティングの問題でもある。それに比べればどうやってメッセージを送るかは大した問題ではない。「こういうことが起こったのは今回が初めてで、でもいい経験になりましたね」。マイク・ウェッブは言う。「こちらが信号を発信してライダーがタイミングループを通過するとトランスポンダーから受信したという信号がこちらに送られてくるんです。それでこちらも受信したからOKだなってなるんですよ。問題はマシンとダッシュボードの間で信号が流れなかったってことなんです。それに関してはチームの問題で私たちにはどうすることもできない。だからこういうことが起こったという事実が大事なんですよ。つまりダッシュボードに100%頼ることができないってことで、補助的に使うしかないってことなんです。ダッシュボードが機能不全に陥る可能性はあるわけだし、それが今日起こったことなんです」。レース・ディレクションと技術ディレクターのダニー・アルドリッジは既にアヴィンティア及びアプリリアと会合を行っており、ダッシュボードを正しくセッティングする方法について提案もしている。

今回発生した問題は、現在トランスポンダーを使用してブラックフラッグやライドスルーペナルティについて信号を送っているシステムを利用してチームからライダーにメッセージを送ろうという議論を進める際の良い経験になった。もしダッシュボードに問題があればさらなる混乱を招き安全性にも影響を及ぼしかねないのだ。送信するメッセージ、そしてそれを支えるシステムが複雑になればなるほどエラーとセッティング不良の可能性は増加する。そしてそれが引き起こすのはオーストリアでバルベラとブラドルに起こったことと同等か、ことによったらもっとひどいことになるかもしれないのだ。チームからライダーへのコミュニケーション手段を増やしたいという希望のせいで、とんでもない問題が起こるかもしれない。今回の件は関係者全てに対する警告でもあるのだ。

単なるサポートレースではなく

MotoGPがメインレースとは言うもののMoto2とMoto3も見応えのあるものだった。Moto2ではヨハン・ザルコがMoto2初の2連覇の可能性を示して見せた。彼は実に冷静に、そして考え抜いてレースを完遂してみせた。5人のライダーとのバトルの結果ポイントリードを広げたのである。彼がトップに立った時点で彼の勝利は間違いないと思わせる走りだった。このレースで25ポイントを稼いだことでタイトル獲得も相当楽になっている。アレックス・リンスも予選9番手からのスタートで3位を獲得するという頑張りをみせたが、しかしザルコを止めることはできなかった。サム・ロウズは2戦連続の転倒に終わってしまっている。フロントから転倒してしまったのだ。その結果彼はザルコから55ポイントも離されることになってしまった。

Moto3の決勝はいつもの通りアドレナリン全開だった。ホアン・ミル、ファビオ・クァルタラロ、エネア・バスティアニーニ、フィリップ・エッテルとのバトルを強いられたもののブラッド・ビンダーはいつもの通りレースをコントロールしているように見えた。スロットルの問題のせいでコーナーをきれいに立ち上がることができず、最終的にホアン・ミルがランキングトップのビンダーの前でゴールしている。ミルの勝利はルーキーイヤーであることを考えたら素晴らしいものである。しかも彼は今回ポールまで獲得しているのだ。レース後にミルは、サマーブレイク中はモチベーションを高めるためにトレーニングを続けていたと言っている。常勝だったスペイン選手権からGPに移って、結果はいつも18位とか、もっと悪いというのはそうとう堪えたのだという。ここでモチベーションをかき立てたことでトップ争いができるようになった。それどころではない。優勝まで手にしたのである。

私たちがサーキット後にするころ、パドックは片付けられ、そして雹が降り出した。MotoGPチームは月曜にはブルノに向かう。Moto3とMoto2チームのいくつかはオーストリアに留まってテストをする予定だ。しかしブルノが始まるまでは1週間もない。もちろんライダーにとっては今年のミスをカバーするチャンスがすぐにやってくるのではあるが。
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いい終わり方。

とは言え、ピット-ライダー間コミュニケーションをピットボード以外に広げることに反対する理由に機械的ミスの可能性をもってくるのは無理筋感はあります。それよりも理念的な理由、つまりライダーは孤独であり、それこそがツーリスト・トロフィーの魂であり、つまりはGPの原点であり魅力である、ということで私は反対したいなあ(フラッグ・トゥ・フラッグ:マシン乗り替えルール導入の時も同じこと言ったけど)。

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コメント

この記事は各ライダーの現状を的確に言い当ててますよね。
特にイアンノーネとドヴィツイオーゾに関しては、なるほど!と膝を叩きたくなるほどです。
鋭い視点!
ロレンゾとロッシの三位争いは、抜きつ抜かれつはなかったけど相当ハイレベルなものだったと思います。
ロッシが言うように、あの走りのロレンゾを抜くのは大変なリスクだったでしょう。

ロレンゾに関しては、
タイヤが彼の走りに合うよう変わるのと、
彼がタイヤ特性に順応して速く走る
どちらが先か?といったら前の方だと思うんですが、これも個人の特徴であり、観る側はそれを楽しむのが良いですかね。
そのうえで彼がプレカンで語った
「これはスポーツですし人生ですから、良い時もあれば悪い時もあるという事を受け止めなければならない」
と言う言葉に、スポーツマンとしての真摯さを感じました。

投稿: motobeatle | 2016/08/16 10:08

あらら 書きたいことをmotobeatle さんが全部書いてくださってたw
特にホルヘはおっしゃるとおり、とw(わーい)
天候や路面温度に左右されるネガティブさも、研ぎ澄まされた日本刀のような精緻さと表裏一体のものといえましょうて。
そういうあれもこれも全部ひっくるめて『ホルヘ・ロレンソ』。こういうレーサーがいるからオモシロイ♪

といいつつ今回の主役はなんたってドカティでした。おめでとうWアンドレア&チームドカ!
まさに『結実』とはこのことを言うのかと。
ジジさまの、「うれしいけどまだまだこれからやでぇ・・・」とでも言いたげな笑みがワクワクします。

さ、喜びに浸っている間もなく次戦ですね。
とみながさま、モンエナ飲んでがんばってくださいまし。

投稿: りゅ | 2016/08/16 12:04

ホルヘの復活劇を見られたことが何より嬉しいです♪
彼は自分がダメな時にチームメイトやチーム批判に走らないところが男気あって好きです。

私もピットボード以外の情報表示には反対です!
今のつまらないF1のようになってしまうので。

投稿: CHIYO | 2016/08/16 13:29

CHIYOさんも書かれていますが私も追記。
ピットボード以外のコミュニケーションは必要ないと思います。
もちろんライダーの中には「いや必要」と思う人もいるのかもだし、技術的にはどんな方法でも取れるのだとは思います。
でもとみながさんも書かれてますが、私が反対する理由もまさに『理念的』なソレです。
『ツーリスト・トロフィーの魂』…ぐっときましたw

投稿: りゅ | 2016/08/16 16:09

やっとホルヘ復活ですね!ここ3戦はホルヘの成績に伴い中継も見てませんでした。何故かドゥカティ移籍の発表があってから調子悪くなり、彼のチームも一人だけしかついていかないと報道があったので、その辺りがチームとして機能していないんじゃないか?と心配してました。優勝じゃないところが悔しいですが、後半戦の追い上げホルヘは期待できますから、今回の走りにホットしました。ヤマハで有終の美を飾って欲しいです!!!

投稿: エフ | 2016/08/17 09:39

りゅさん、どうもです o(_ _)o

投稿: motobeatle | 2016/08/18 08:45

>motobeatleさん
 なんだかんだ言っても3回タイトルを獲得してるわけですし、やはり最強の一人であることは間違いないですよね。チェコにも期待!

投稿: とみなが | 2016/08/18 23:56

>りゅさん
 まじモンエナ飲まないと死んでしまいそうです…。

投稿: とみなが | 2016/08/18 23:57

>CHIYOさん
 チェコでは是非勝ってほしいですね!そしてほんとにねぇ、ピットボードって仲間の気合いが伝わって素敵ですし。

投稿: とみなが | 2016/08/18 23:58

>エフさん
 もてぎあたりでポイント差がなくなっているのを期待!

投稿: とみなが | 2016/08/18 23:59

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