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ホルヘ・ロレンソのひみつ

なんかひらがなにすると「ウルトラ怪獣大図鑑」っぽいですが、Motor Sport MagazineでMat Oxley氏がカタールでめっぽう強かったロレンソの分析をしています。
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なぜ日曜のロレンソはあれほど速かったのか?ここに一つの推論がある…。

人間の脳は素晴らしいものだ。少なくとも素晴らしい脳を持っている人が確実にいる。何十億人の中でもとりわけ素晴らしいのがMotoGPのトップライダーたちだ。彼らはマシンから多くのことを感じ取り、私たちには、そして他のレーサーがとてもできないようなことをバイクでやってのける。

カタールの週末、私はロレンソが他には一人しかできないことをやっているのを何度も目撃した。ほとんどのライダーはミシュランのフロントをやや神経質に扱っていた。特にコーナー進入時の中途半端なリーンアングルでのトリッキーな場面ではそうだ。一方ロレンソは完全にタイヤを理解し、そして自身の心と体を完璧にフィットさせタイヤの性能を存分に引き出していたのだ。

ミシュランのフロントタイヤには瞬間的に荷重が抜けてグリップを失うことがあると何人かのライダーがいっている。あるエンジニアはこう説明する。タイヤにはその性能を発揮するのに鍵となる部分がいくつかあって、最高のライダーだけがこういう部分を発見してそこを最大限に活かすことができるのだそうだ。

タイヤとスロットルは全く違うものだが、ここでスロットルを例にとってみよう。2st500cc時代、ホンダのNSR500が何年も君臨していたが、これはスロットル特性がリニアだったからでもある。ライダーが2%スロットルを開けると2%トルクが増す。1.5%や2.5%ではない。おかげで自信を持ってコーナー脱出で加速することができ、スピードも稼ぐことができるというわけだ。

ミシュランのフロントはライダーがコーナー進入でマシンをバンクさせるときリニアに接地面が増加するようには見えない。そこで賢いライダーは接地面が最高の状態になるようにしているのである。

カタールでのロレンソは他のライダーと同じようにコーナーに進入していた。しかしクリッピングの直前、トリッキーな領域を過ぎたところでさらに彼はマシンに力を加えバンク角を深めることでマシンの旋回性を高めていたのだ。これが彼の速さの最も重要な部分だ。他にこれができていたライダーは私が気付いた中ではマーヴェリック・ヴィニャーレスだけである。

もちろんバイクレースの最も素晴らしいことのひとつは問題解決の方法がひとつではないということである。マルク・マルケスはミシュランに適応するために冬期テストの間中スムーズな走りを追求していたがラップタイムはついてこなかった。そこで彼は再びワイルドなスタイルに戻り、ぎりぎりのスライドをみせるようになっている。マルケスも「何十億人に一人クラブ」の会費は納入済みだ。そして彼はミシュランのフロントの限界を理解し、コーナーに向けてスライドしていくのである。そしてそのおかげで彼はさらに鋭角なコーナリングラインを通ることができるのだ。

こうしたことが彼らと特別なライダーにしているのである。彼らは究極の限界のコントロールでサーキットを周回するのだ。その時彼らの精神は今まさに起こりつつあることを感じ取り、両輪に、ブレーキレバーに、スロットルに極めて正確な力を掛けるための体の動きに集中している。

別のエンジニアが私に話してくれたことがある。彼の担当するライダーがロサイルのあるコーナーの立ち上がり加速でマシンの向きを変え、そして次のコーナーに飛び込んでいくときの話だ。加速しながらマシンを切り返すとき、そのライダーはフロントの接地面が小さくなりそして一瞬だけ広がった後に再び小さくなるのを感じているという。彼はそのほんの少しの違いを感じ取っているのだ。私たちのほとんどにはその違いはわからない。そして彼は何が起こっているのかを理解してその瞬間を速く走るために利用しているのだそうだ。1ミリ秒だけスロットルを緩めてまたスロットルを開ける。彼のエンジニアはその動作がライバルより1フィートか2フィート前に行くのに役立っていると推測しているという。

こういう微妙な作業をMotoGPライダーは追求しているのだ。彼らが力を注いでいるのは1/10秒や1/100秒ではない。1/1000秒を縮めることなのだ。

そして今年のレースのゴールタイムは去年より7秒早いという結果となった。タイヤと退化した電子制御が実践に使われたのは今回が初めてであるにもかかわらずだ。
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タイヤの接地面積の変化を感じ取ってスロットルを一瞬緩める?なんという世界(@ー@)。

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コメント

いい記事ですよね。
『motorsports』版は永久保存版にしてありますが、とみながさんのもそうさせて頂きます。
ああ、アルゼンチンが待ち遠しいw

投稿: りゅ | 2016/03/25 12:33

>りゅさん
 こういう技術とライダーのすごさみたいな記事は私も大好きです!

投稿: とみなが | 2016/03/26 14:31

ホルヘがミシュランタイヤでどのようにアドバンテージを築いているのか、また一つ学習できました。ホルヘネタを今回もありがとうございます。
G+の座談会でもマルクとロッシのいざこざばかりで何故かホルヘの走りの凄さについてはちょこっとしか触れられていませんでした(2012年よりマシですが・・・)ので、りゅさん同様とみながさん記事は永久保存版とさせていただきます!

投稿: エフ | 2016/03/28 11:47

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