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2016年 カタールMotoGP水曜まとめ:圧政、封殺された言論、そして未知の要素

いろいろばたばたしている上にアイスランド呆けでぼんやりしている間になんだか開幕がやってきちゃいましたよ!
ってなわけでMotoMatters.comより水曜記者会見のまとめです。記者会見の全訳はいつものとおりmotofunk1さんの「気になるバイクニュース」でどうぞ。
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MotoGPファンに良いニュースと悪いニュースがやってきた。良いニュースは2016年シーズンがあと数時間ではじまるということ。カタールで日が落ちたすぐ後の午後6時にはMoto3クラスが走り始める。良いニュースはロサイル・インターナショナル・サーキットでシーズンが始まること。ここは高速コーナーと低速コーナーが絶妙に配分された歳以降に素晴らしい設備を持つサーキットで、しかもライダー、マシン共にきちんとテストを行っている。良いニュースは統一電子制御ユニットと統一ソフトウェアが導入されたこと。ワークスマシンはつばぜり合いを繰り広げるだろうし、ライダーの技量にゆだねられる部分も大きくなった。そして最高のニュースはMotoGPクラスがこれまでになく激しい戦いの場となったこと。お才能ある大ラーと様々なメーカーの戦闘力のあるマシンが顔をそろえた。Moto2も今年はここ数年で最も厳しい戦いとなるだろうし、Moto3にはとんでもない才能のルーキーが何人か参加し、これまた戦闘力のある既存のライダーたちに戦いを挑む。今年のレースは全クラスで素晴らしいものとなるはずだ。

しかし悪いニュースもある。とんでもなく悪いニュースだ。まずMotoGPファンには最も気がかりな天気だ。この2週間ほど湾岸地帯では雨が断続的に降っている。そして水曜は1日中雨だった。カタールはナイトレースとなるため雨が降るとコースはクローズされるのだ。照明が路面の水面で乱反射しライディングが不可能となるのである。現時点での天気予報は火曜までは雨が降らないことになっているが、しかしそれが的中するかどうかは実際にその日になってみないとわからない。

最悪のニュースは開幕戦がカタールで開催されることだ。その年の最初のレースが開催されるのはわずかな観客の前(ヨーロッパなら走行がない木曜でもカタールの決勝日より多くの人が集まる)。コースは砂漠の真ん中で砂やほこりがコースに舞い込み路面を覆う。これによりタイヤが消耗するだけレはなく、ライダーがラインをはずれるとひどい目に会わされることになる。サーキットの隣にあるのはロサイル・スポーツ・アリーナだ。このアリーナをはじめとするスポーツ施設の建設のために1200人の外国人労働者が死んでいる。そしてまだ多くが死ぬことになるだろう。サーキットに向かう途上でこうした労働者がバスに詰め込まれ、もらえないことも多い僅かな給料のために建設現場に向かうところを目にすることができる。彼らは逃げることもできない。カファラと呼ばれるこの国のシステムの下、彼らはパスポートを取り上げられ移動も、そして文句を言うことも許されていないのだ。

地質学的偶然

これほどMotoGPレースにふさわしくない場所は想像するのも難しい。2〜300万年前に死んだ豊富なプランクトンの層が腐敗し豊富な天然ガスを生み出す地層の上にこの国がのっているのは偶然に過ぎない。天然ガスは価値ある消費財だ。そしてそれがこの国の市民(住人全体の10%程度)に何十億ドルものtomiをもたらしたのもたまたまである。そして彼らの中から自分でサーキットを作り、毎年MotoGPの開幕戦を開催しようという気になるくらいドルナに金を払うことができるほどの金持ちが現れたのだ。もちろんMotoGPレース開催に倫理的な問題があるのはカタールだけではない。マレーシアやアルゼンチン、そして心から悲しいことだがイタリアやスペインでも政治的腐敗が横行している。しかしカタールほど人権が侵害され自由が抑圧されている国は他にはない。VPNを通さなければ何の罪もないグーグル検索ですら10%かそれ以上がこの国の検閲システムにひっかかり、なんの理由も想像できないのにブロックされるサイトがあるのだ。夜間開催という厳しいスケジュールと人権侵害のせいで私は家にいることを選ぶのである。

強権発動?

最近のカタールの検閲拡大に関する法律を見るにつけ、FIMが新たに制定した表現の自由を制限するルールの下で行われる最初のラウンド開催前記者会見の雰囲気が抑制的だったのもうなずける。ヴァレンティーノ・ロッシとマルク・マルケスが一緒に現れるのは2015年シーズンを偏執狂と陰謀論者の渦に貶めたあのセパンの木曜の記者会見以来にもかかわらず、なんのドラマもなく、問題発言もなく、のの知り合いもないものとなったのだ。南極のようにとでも言うべき雰囲気だったのである。ロッシもマルケスもライバル関係に関する質問はあいまいで月並みなコメントではぐらかし、お互いを努力して無視しつづけた。

カメラのスイッチが切られた後の自国メディアに対する二人のコメントですらよくせいてきなものだった。まあ公式会見よりはもう少し率直ではあったが。ロッシはここでもセナとプロストの例を持ち出し、イタリアメディアに対して、セナの偉大さを理解したのはずいぶん後になってからだと言っている。そして鈴鹿の1コーナーでプロストをはじき飛ばす大胆さを、そんなシチュエーションにはもうまきこまれないといいが、という前提付きで褒めた後、そうしたことが起きるのはスピードが速いせいだと示唆した。彼はこう言っている。「でもまあ全部うまくいくといいですね。コース上では尊敬しあうことが必要ですし。みんな自分のためだけにレースをしてくれるといいですね」

こんな風に火花が散らなくなったのはドルナのせいで口ごもるようになったからだろうか?ドルナも何か言ってはいるかもしれないが、最大の要因は彼らの雇い主だろう。ヤマハもホンダももうこの件に関しては火に油を注ぐような事態はさけたいのである。どちらも2015年の末に予定されていたPRイベントをキャンセルすることになったのだ。GPへの投資額を考えたら日本でこの事態が快く受け止められなかったのも当然だ。

変化が大きければ大きいほど変わらないことが見えてくる

ドルナの新しい寄生は功を奏したのだろうか?私は匿名を条件に大チームの内部にいる何人かにたずねてみた。新ルールは実質的には参加条件、要するにチームとIRTAの間(つまりチームと、彼らにグリッドに立つ権利を与える組織との間)の契約に関する部分にのみ限定されるということを彼らは教えてくれた。「誰もがそう思っていますが、これは去年のプレスリリースを受けてできたものですよ」と一人は言った。「ライダーには特に何も言ってないですよ。でもチームはちょっと慎重になってます」と言った人もいる。こう言っている人もいた。「『無責任な』という意味がどういうことなのかみんな探っているということですね。ドルナがどこかのチームに、これはルール違反だと言った時点で初めてどこが限界かわかるんでしょうね」

しかしその限界は既に試されている。「もし何か言われたら、すぐに昔のプレスリリースを引っ張り出して、これは『無責任』じゃなかったんですよねって言ってやりますけどね」と言った人もいるのだ。ドルナの非難を交わすためにそうした昔のリリースを使うのだろう。結局このルールはとんでもなくめんどくさいが、しかし同時に全く意味のないものと見なされているということだ。ルール(下記参照)にはペナルティは規定されていないために、どうやってドルナがルール違反を罰するか不明なままなのである。

要するに、参加条件をFIMのルールブックに記載しうるのは全く無意味だというのが全般的な見方のである。ある人はこう言っている。「このスポーツに難癖をつけようなんて誰も思ってないですよ。これで食べてるんだし情熱のもとでもあるんです。このスポーツが成功することが望みだし、この世界で成功することが望みなんですから。MotoGPに対してネガティブなことを言って得るものなどなにもないんです」。MotoGPは彼らの情熱である。これが一番だ。そして同時にビジネスでもある。そしてビジネスというものはその世界にとっても、そこで働く人々にとっても重要なものなのだ。

危険なライディングかどうかの判断がレースディレクションからFIM審判委員会の手に渡されたことについてどう思うかについての質問へのライダーたちの答えには笑いそうになった。記者会見に出席していた6人のほとんどがこの新ルールに驚いたものの、彼らはこれを良いものだろうと考えていると答えたのだ。MotoGPライダーの心理が垣間見えた瞬間だ。彼らはルールの詳細も知らなければ、気にもしていないのである。何が許されて何が許されないか、そしてそれがレースに勝つためにどう役立つかを知りたいだけなのだ。MotoGPで戦うには多大な酋長力が必要だ。そしてこの手のつまらない事柄は彼らの中に入り込む余地はないのである。

あいかわらずタイヤと電子制御

政治的な話はこのへんで終わりにしよう。レースのことも話題に上っている。再びホルヘ・ロレンソは今年から使われるミシュランタイヤと統一ソフトウェアのせいで去年より体力的に厳しいと言っている。さらに興味深いことに、彼はレース序盤からの逃げ切りというこれまでの戦略が使えなくなるだろうとも言った。ミシュランタイヤは温度の上昇が比較的遅く、冷えたタイヤで攻めすぎるとそのしっぺ返しを喰らうことになるのだ(ダニオ・ペトルッチがその一人だ。折れた3本の右中手骨を固定するために彼の体には3枚の金属板と12本のネジが埋め込まれている)。

戦略の再考を迫られているとロレンソは言った。本当かどうかはこれから3日間のタイムチャートディーシー画わかるだろう。ロレンソがブリヂストンのときと同じようにピットをでてすぐに全開で走れるようなら、まだその戦略は生きているということだ。

水曜にはまたスコット・レディングがタイヤの保ちについて発言している。いつもMotoGPはMoto2レースの後に行われる。600ccマシンが路面にタイヤの層をつくるのだ。「ダンロップだと感触に影響があるでしょうね」とレディングは言った。彼がカタールテストでレースシミュレーションをしなかった理由の一つがこれだ。彼は古いタイヤで周回を科せ寝ることに集中したのだ。「タイムは気にしないことにしてたんです。そんなことをしたらレース中になんでそのタイムが出せないんだ?ってなりますからね」

真実はそこにある:コース上だ

もちろんこれは水曜の話、つまり推測に過ぎない。誰もが統一電子制御がレースを接戦にしてくれると考えている。誰もがミシュランが誰が速くて誰が遅いか決めると考えている。誰もがチャンピオンの可能性は多くのライダーにあると考えいてる。当然だ。テストはレースとは違う。テストには激しさも競争も勝利への渇望もない。ヴァレンティーノ・ロッシがうまいことを言っている。「テストは大事ですけどレースのある週末は違うんです。全ライダーがそれより少し言い走りをする。そして少しそれより力を出せるんです」。木曜になればライダーにどんなことができるか目の当たりにすることになる。その時すべてが明らかにされるのだ。
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公式発言に関する新ルール

1.11.4.1 チーム及びライダーによる公式発言

a) チーム及びライダーは公式の場での発言やプレスリリースにおいてMotoGP世界選手権を傷つける、または貶めるような発言をしてはならない。従って全ライダー、全チーム及びチーム管理者、チームの構成員、チームの代理人はMotoGP関係者の合法的な利益を阻害するような発言をしてはならない。またMotoGPおよびモータースポーツの発展を阻害するような発言をしてはならない。

b) MotoGP関係者の合法的な利益を阻害するような発言をしてはならない。またMotoGPおよびモータースポーツの発展を阻害するような発言を以下に例示する。
・メディアに対する、MotoGP関係者を無責任に攻撃し、非難し、名誉を毀損しし、または傷つけるような公式発言
・チームの構成員、ライダーが知っている、または当然知っていると推測される公式発言で、モータースポーツ及び/またはMotoGP関係者の評判、イメージ、権益を阻害するものも当然このルールの対象となる。
・MotoGP関係者間及び/またはMotoGPの方針との間に生じた合理的な見解の相違についての責任ある発言についてはこれを禁止しない。
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ま、言いたい放題がおもしろいので、あんまり口ごもらないでほしいですね。

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