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今年良く読まれた記事ベスト10:2015年版

今年の当サイトで良く読まれた記事(ページビュー数)ベスト10です。
記事ごとのPVなので、定期的にトップページにお越し頂いている方がカウントされてない(=検索でヒットする記事が上位にくる)とかありますが、まあ今年の振り返りということで。
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10位:2015 セパンMotoGPラウンドまとめ : 英雄たちのガラスの仮面(2015年10月31日)
 大騒ぎになったセパンに関するMotoMatters.comのDavid Emmett氏渾身の大長文。もうね、今年はこの記事を訳せただけで「良くやった自分!」って感じです。お友達のお手伝いがなければとてもやりきれませんでした。

9位:ガイ・マーチン:ナッツコーナーからの長い旅路(2015年2月22日)
 ちょっと意外な記事がランクインしています。公道レースのスペシャリスト、ガイ・マーチンの引退についての記事。公道レースについてはいろいろ問題はあるとは思うのですが、だからこそ生まれた魅力あるライダーです。

8位:ヤマハ vs. HJC:空力をめぐる5mmのせめぎ合い(2015年2月12日)
 シーズン前の記事ですがアップした当時よりシーズンに入って内装が落ちてきたりシールドが曇ったりといった問題が起きてから検索でヒットしたのがランクインの要因と思われます。まあチャンピオンが獲れてよかったですねえ。

7位:オランダGPラストラップのロッシとマルケスの接触に関するレースディレクションの見解(2015年6月28日)
 最終ラップの最終シケインでの両者の接触についての公式見解。こちらもアップした当初よりシーズン終盤のごたごたの中で良く読まれたようです。

6位:2015アルゼンチンGPまとめ:ロッシ vs マルケス、なぜ「専門家」を信じてはいけないかについて(2015年4月24日)
 これも同じようにロッシ-マルケス問題の流れで読まれています。このあたりからMotoMatters.comの長文にドライブがかかっていますね。

5位:ヤマハがロッシとロレンソを鈴鹿8耐で走らせたがっている(2015年4月6日)
 まあガセでしたがね。来シーズンもそれはないでしょう。

4位:2015MotoGP最終戦で何が本当に起こっていたのか(2015年11月13日)
 読みたいジャーナリスト、Mat Oxley氏の最終戦の評論。議論を巻き起こしたシーズンでしたが、冷静な、でも愛にあふれる良い記事でした。

3位:2015アッセンMotoGPレースまとめ(その1):ロッシ vs マルケス(2015年6月30日)
 こちらもEmmett氏による長文。しかしこれくらいの長文は序の口でした。

2位:腕上がりとは何か、そしてその治療法(2014年5月15日)
 去年の記事が2位にランクインしてます。「腕上がり」でググると上位にくるのがその理由。その腕上がりが完治したダニに来年は期待しましょう!

1位:ロッシへのペナルティについてレースディレクターが説明(2015年10月25日)
 レースディレクター、マイク・ウェッブ氏がマレーシアGPのロッシの行為に対して与えられたペナルティについて説明しています。こうしてみると誰がチャンピオンだったのか忘れちゃいそうですが、でもロレンソの精密な走りはずっと覚えているに値する素晴らしいものでしたね。
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今年の更新はこれにて終了です。いやぁ、おそろしくたくさん長文を訳した気がしますね。

そんなわけで記事のネタ元MotoMatters.comへの寄付はこちら。方法はこちら

その上で余裕があればとみながにもお年玉を!(Kampa!Amazonのおねだりリスト

では皆様、良いお年をお迎え下さい。

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私はどのように翻訳しているか Part3:間違いから学ぶ

これまで2回ばかり私の翻訳方法について偉そうに講釈をたれたことがあるのですが、実は間違いもしているというお話です。今回はツイッターで@hige_penguinさんから御指摘いただいたところをまとめつつ、解説を入れましたのでご笑覧くださいな。(以前のものはこちら→その1その2
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さて、最初のネタはMat Oxley氏による最終戦の評論「2015MotoGP最終戦で何が本当に起こっていたのか
」です。原文はこちら。

その1:慣用句であることに気付かないまま知ってる単語をつなぎ合わせたことによる誤訳
原文:If both Repsol Hondas had managed to get past Lorenzo, then Rossi would have been champion. But they didn’t. Perhaps Marquez was riding shotgun to Lorenzo.(4枚目の写真のすぐ下)

当初の翻訳:もしレプソル・ホンダの2台がロレンソを抜いていたらロッシがチャンピオン
だった。しかしそうはならなかった。マルケスはロレンソを抜けたかもしれない。

hige_penguinさんによる指摘:Perhaps 以下は、もしかするとマルケスはロレンソを護っていたのかもしれない。とそのまま訳してよいのでは?

修正後:もしレプソル・ホンダの2台がロレンソを抜いていたらロッシがチャンピオンだった。しかしそうはならなかった。マルケスがロレンソを護っていた可能性はある。

解説:ここのポイントは「riding shotgun」です。私は「ショットガン」という単語からなんとなく「マルケスがロレンソを狙っている」的に訳したのですが、これは慣用句。西部劇なんかでショットガンを持つ男たちが駅馬車を護っている様子から「誰かを護っている」という意味だったのです。

教訓:なんとなくで訳さない。辞書を引けば出てくることもある。

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その2:その1の続きで文意が通るように無理矢理訳したことによる誤訳
原文:But if that’s true, why was he on the M1’s tail throughout the race,

当初の翻訳:ではどうして最後までM1の後ろでうろうろしていたのか?

hige_penguinさんによる指摘:前からの続きなので、上に続けると、もし、それが事実なら、なぜマルケスはずっとM1のすぐ後ろについていたのか?(on なので、くっついているという意味かと)

修正後:ではどうして最後までM1の後ろにぴったりくっついていたのか?

解説:ここは「その1」で訳した文章が正しいという前提で次の文章の意味が通るように訳してしまったために誤訳となっています。おそらく単体で訳していたらどちらでもテストでは○がもらえるかとは思いますが、「もしそれが真実なら」の「それ」の意味が180度逆に訳していたのでこの文章も逆に訳してしまっているのですね。

教訓:間違いに気付かないと傷が広がる。

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その3:さらに間違いが続く
原文:And why didn’t he give Lorenzo an easy time, following him around at a
respectful distance, rather than hassling him lap after lap?

当初の翻訳:なぜ彼はそれなりの距離をとってロレンソに楽をさせていたのか?毎周つついて
もよかったのではないか?

hige_penguinさんによる指摘:ここは、why didn't なので、

なぜ彼はそれなりの距離をとってロレンソに楽をさせなかったのか?毎周つつき続けるのではなく?

となるかと。

修正後:なぜ彼はそれなりの距離をとってロレンソに楽をさせなかったのか?なぜ毎周つつき続けたのか?

解説:文意から読み飛ばしていったので「why didn't」の「not」部分を見逃して訳すという大失態です。ちゃんと読んでここで気付けば遡ってリカバリも可能でした。

教訓:思い込みは人を盲目にする。

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その4:読み飛ばすとこういうことになる
原文:Rossi very nearly won the championship with four victories, including his win in the Silverstone rain(above), undoubtedly one of his greatest rides of all.(6枚目の写真の上の段落)

当初の翻訳:ロッシは雨のシルバーストンをはじめとして4勝を挙げ、もう少しでタイトルを獲得するところだった。彼は間違いなく最も偉大なライダーの一人だ。

hige_penguinさんによる指摘:one of his greatest rides なので、雨のシルバーストンについて、

間違いなく彼の最もすばらしいレースのひとつだった 

と形容していると思います

修正後:ロッシは雨のシルバーストン(彼の最高のレースのひとつだ)をはじめとして4勝を挙げ、もう少しでタイトルを獲得するところだった。

解説:前から訳していけば当然そうなるはずなのに、なんでこんな誤訳をしたのか自分でも意味がわかりませんね。おそらく「one of his greatest rides of all」を「one of a greatest riders of all」とか読み違えていたのかも。

教訓:文意が通じても安心してはいけません。ちゃんと読もう。

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そしてお次はDavid Emmett氏による最終戦の評論「2015ヴァレンシア日曜MotoGPまとめ:タイトル争いの勝者、敗者、そして破壊者」です。原文はこちら

その1:andが何と何をつなげているかを見誤ったことによる誤訳
原文:Most importantly, Kent has absolute faith in what Bom is doing for him, and Bom has faith in the talent of Kent, and the ability to convince Kent of the Englishman's own talent.(第3節「You've got to have faith:信じる気持ち」の最初の文)

当初の翻訳:最も重要なのはボムがケントのためにしてくれるすべてについてケントが信頼をおいていたことだ。そしてケントはボムが自分の才能を信じてくれていること、ボムと一緒なら自分の才能が開花することも信じていた。

hige_penguinさんによる指摘:この後半は、原文の主語がBomなので、全部Kentを主語として訳すのはやりすぎな気が。(意図的にそうされた気配がありますが)

そしてボムはケントの才能を信じ、ケントに自身の才能を確信させた。

いずれにせよ、ライダーとチーフメカとの相互信頼関係による心理的なサポート
が鍵だったという主旨に変りはないので、好みの問題ですね。

修正後:最も重要なのはボムがケントのためにしてくれるすべてについてケントが信頼をおいていたことだ。そしてボムもケントの才能を信じ、そしてそのことでケントが自分の才能に自信を持てたということだ。

解説:文章の中の二つのandが何と何をつなげているかということですが、私が1つめのandを「what Bom is doing for him」 と「Bom has faith in 〜」をつなげてると思ったのが間違い。その原因はconvince Kent of the English man's own talentで、なんとなくbe convinced と読んでしまって、Kent of the Englishmanを「英国人ケント」とややもって回った言い方に解釈しちゃったことにあります。そこまで修辞的ではなかった。1つめのandの前にあえて「,」がついているのがポイントとでしたね。この「,」によって一旦文章が切れている=主語が変わるということに気付くべきでした。

教訓:句読点もおろそかにしてはいけません。

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その2:筆者の対象に対するスタンスへの理解不足
原文:Kent may have deprived Oliveira of the Moto3 title, but the Portuguese rider put himself on the map this year with the Red Bull KTM team.(その1のすぐ下の段落)

当初の翻訳:ケントはオリヴェイラにMoto3のタイトルを奪われる可能性もあった。しかし今年のオリヴェイラの成績はレッドブル・KTMチーム次第だった面もある。

hige_penguinさんによる指摘:ここは、Someone *may* do something, *but* ... の構文と、epriveの主語がKentであること、put someone/something on the map の慣用句に注意すると、オリベイラについてよりポジティブになって

ケントがオリベイラからMoto3のタイトルを奪いはしたが、オリベイラは今年レッドブル・KTMチームと共に名を遂げた。

となります。(直訳調...)

修正後:ケントはオリヴェイラからMoto3のタイトルを奪うことができたが、今年レッドブル・KTMチームで走ったオリヴェイラは素晴らしい成績を残すことができた。

解説:ここは「put on the map」をどう訳すかがポイントです。実は辞書で引いた上で当初訳「〜次第」としたんですが、明らかに指摘通りの訳の方が正しいです。なんでこんなことに…。

教訓:状況を理解しながら訳さないといけません。今年のオリヴェイラは褒め尽くしていいくらいの活躍だったんだから、褒める文脈になるべき。

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その3:英和より英英
原文:The Moto2 race itself was a close-run affair,(さらにすぐ下の文章)

当初の翻訳:Moto2のレースはいまひとつではあった。

hige_penguinさんによる指摘:直訳すると、

Moto2のレース自体は接戦だった。

となり、否定的ニュアンスは感じないのですが... (短縮レースになったことは確かですが)

修正後:Moto2のレースは接戦だった。

解説:「close-run」をweblioで引くとhttp://ejje.weblio.jp/content/close+run「いま一歩」としか出てきません。そこでそのまま訳しちゃったんですが、そのページの例文を読むと「-- life or death, and a close run.":生きるか死ぬかのきわどい航海なんですよ」とあります。さらに同じページの「Wikitionary英語版」では「Hotly contested; won or achieved only by a small margin.」とあります。「熱い闘い:わずかの差で勝利すること」となるのですね。おそらくweblioの訳が間違いです。

教訓:英和辞書より英英辞典を信用しよう。

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その4:接続詞ひとつで意味が変わる
原文:and as at Phillip Island and Sepang, a tense and thrilling battle was ruined by the events which surrounded the race afterwards.(第4節「All is not what it seems:見えること/見えないこと」の最初の文)

当初の翻訳:フィリップアイランドとセパンではレース後のごたごたで素晴らしい戦いが台無しになってしまった。

hige_penguinさんによる指摘:as の見落としで意味が違っています。

フィリップアイランドとセパン同様、緊迫した素晴らしい戦いがレース後のごたごたで台無しになってしまった。

修正後:今回もフィリップアイランドとセパンと同様にレース後のごたごたで素晴らしい戦いが台無しになってしまった。

解説:これは解説不要。しかしこの誤訳の原因をasの見落としと見破っているhige_penguinさん!

教訓:落ち着け!

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その5:意味のわからない誤訳
原文:For me, if you check the races of Marc Marquez in the last two years(「On the outside looking in:外から推し量る」の3段落目)


当初の翻訳:前の2レースでマルク・マルケスがやったこと思い出せば

hige_penguinさんによる指摘:この2年間のマルク・マルケスのレースを確認すれば

修正後:この2年間マルク・マルケスがやってたこと思い出せば

解説:last twoしか読んでなかったですね。

教訓:だーかーらー、ちゃんと読め。

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その6:事実確認を怠ったことによる誤訳
原文:If Lorenzo had not got suckered in trying to follow Scott Redding at Misano on slicks fresh out of the pits,(「If you ain't got the speed …:速さがないなら…」の最後の段落)

当初の翻訳:もしロレンソがスリックでピットから出てきたばかりのスコット・レディングを追おうなどと思わなければ

hige_penguinさんによる指摘:原文でも at Misano on slicks fresh out of the pits が to follow と Scott Redding のどちらに係るのか不明確ですが、ピットから出てきたばかりだったのは、ロレンソの方でした。

もしロレンソが、ミザノでピットから出てきたばかりのスリックでスコット・レディングを追おうなどと思わなければ

修正後:もしスリックでピットから出てきたばかりのロレンソがスコット・レディングを追おうなどと思わなければ

解説:ここは本文だけ読んでミザノのラップチャートを確認しなかった私のミスです。こういうのは文章からだけではわからないので、誤訳が気付かれにくいのですが、翻訳という作業はこういうチェックも含めて重要ということですね。

教訓:文章の解釈に起因するのではない「誤訳」というものある。

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その他、解釈というか趣味の違いについてもちょっと興味深いネタもあるのでちょっとばかり。

その7:正確さと文章の勢いのどちらを採るか?
原文:Once again, there are no winners here, and that is very sad indeed.(「All is not what it seems:見えること/見えないこと」の1段落目最後の文章)

当初の翻訳:もういちど言っておこう。勝者はいな。それが本当に悲しいのだ。

hige_penguinさんによる指摘:タイポ以外に、here を省略せずに、

この点において勝者はいない。

と限定する方がよさそう。

修正後:もういちど言っておこう。勝者はいない。それが本当に悲しいのだ。

解説:ここは難しいところです。私は文章の勢いを優先しつつ「very sad indeed」への流れを優先して「here」をあえて訳しませんでした。英語のテストでは御指摘の通りにした方が良いはずなのですが、なんとなくEmmet氏の気持ちを(勝手に)推し量ってこうしてます。

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その8:読者とどれくらい前提を共有しているか?
原文:If he had not been suckered into battling with Márquez – clearly Márquez' plan,(「If you ain't got the speed …:速さがないなら…」の2段落目)

当初の翻訳:もしマルケスの計画通りバトルに巻き込まれなかったとしても

hige_penguinさんによる指摘:「計画通り」が「巻き込まれなかった」を修飾するように読めしまうので、修飾関係を明確にするために、

もしマルケスの計画通りのバトルに巻き込まれなかったとしても

「の」が連続してしまいますが。

修正後:もしマルケスの計画にはまって彼とのバトルに巻き込まれなかったとしても

解説:「ひとつの文章だけで誤解がないようにする」か「読み手の一定の知識を前提に流れを重視するか」がポイントです。このレースを観た方は「マルケスがロッシをバトルに巻き込もうとしていた」ことを前提として読めるので修正前でもOKですが、そうでない方には御指摘のような誤解が生まれてしまうかもです。でも文章の流れは重視したい。そのせめぎ合いはいつでもあります。というわけで折衷案が修正後の文章となるわけです。
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まあ罠はあちこちに潜んでいるのですよ。

hige_penguinさん、これからもよろしくお願いします!

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2015年チャンピオン、ホルヘ・ロレンソへのインタビュー(その5:運がいいだけでもタイトルは1回は獲れるかも、2回もあり得ないことではない。でも運だけで3回はあり得ない)

全5回のインタビュー、その5(最終回)ですPECINO GPより。
その1その2その3その4
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1シーズン通してロッシと戦い続けるのはおそろしく厳しい体験である。そして当然のようにホルヘの精神力も試されることとなった。彼は3度にわたってポイント差を詰めなければならなかったのだ。最初は29ポイント差を詰めようとし、しかしまた23ポイントまで広がってしまう。再度ホルヘはロッシを照準にとらえたが、再び差がついてしまう。残り三戦となった時点でポイント差は18。オーストラリア、マレーシア、ヴァレンシアで追いつくのは非常に難しくに思えた。しかしそこで彼は底力を発揮する。持ち前の粘り強さでポイント差を縮め、最終戦にはロッシと7ポイント差で臨むことになったのだ。タイトル獲得には勝利しかない状況だ。外野から観ればこれほどエキサイティングでドラマチックな状況はない。

「その通りですね。これまでで一番苦労したタイトルです。それは間違いない」とホルヘは同意してくれた。しかしすぐに他にも同じような良い経験をしたことも思い出したようだ。「ああ、最初の250ccタイトルも苦労しましたね。でもあの時は最終戦までにそれなりに差をつけていましたから。今回は勝たなければならなかった。少なくとも2位に入る必要はありましたね」

とは言えこうした苦労もすべて過去のものだ。28歳にして彼はMotoGPタイトルを3回獲得したのだ。ケニー・ロバーツやウェイン・レイニーといった伝説のライダーの仲間入りを果たしたということである。そして最高峰クラスの勝利数では史上4位だ。彼の上にいるのはロッシ、ジャコモ・アゴスチーニ、ミク・ドゥーハンだけである。ホルヘはこうした伝説のライダーと並び称されることをずっと夢見ていたと語ってくれた。

「ええ、これがずっとやりたかったことなんです。タイトルを2回獲ってバリー・シーンみたいなライダーに並ぶ。それもすごく嬉しかった。でも3回タイトルを獲ってロバーツやレイニーにならぶのはそれ以上に嬉しいことですね。それにこうも言うでしょ、『1回目は偶然、2回目は偶然では起こりにくいけど起こらないわけではない。でも3回目は運だけではできない』ってね」

3回目のタイトルの先には…

MotoGPタイトルを3回獲って史上最も優れたライダーの仲間入りを果たしヴァレンティーノ・ロッシ、ケイシー・ストーナー、マルク・マルケスというそれぞれの世代を代表するライダーを倒し、そして次にホルヘ・ロレンソが目指すのは何だろう?最初に思い浮かぶのはメーカーを変えて違う環境、違うマシンで走ることだが、ロレンソはその可能性を即座に否定した。ヤマハのGPチームでキャリアを終えたいというだけではない。引退後はブランド・アンバサダーになりたいとすら考えているのだ。では何がこれからのホルヘのモチベーションになるのだろう?

「そうですねぇ、毎日前より上に行けるように努力して自分を磨き続けてるんです。少しずつでも良くなっているならまたチャンピオンになれる可能性が上がるでしょうね」

自分が速いかどうかの判断基準をタイムにおいているというのがロレンソと他のライダーの違いなのである。こういうことだ。他のライダーはライバルより速ければいいと思っているのだが、ホルヘは去年の自分より速くなければいけない、各サーキットで最速タイムを出したいと思って自分にプレッシャーをかけているという印象なのだ。今年、彼がこう言うのを何度私たちは聞いたことか。「 このコースで1秒縮めたのは僕が最初ですね」。前に書いた彼独特のセルフマネジメントの好例である。
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2015年チャンピオン、ホルヘ・ロレンソへのインタビュー(その4:新型電子制御?最初に乗った日には気が狂いそうだった!)

全5回のインタビュー、その4ですPECINO GPより。
その1その2その3
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激しい戦い、そして困難を乗り越え、2015年はホルヘ・ロレンソにとって素晴らしい年となった。しかし彼にとってそれは過去のことになっている。2016年はかなり混乱のシーズンとなりそうだ。新型電子制御が導入され、タイヤはミシュランとなる。未知の要素がたくさんあるいということだ。最初のプレシーズンテストの結果を見る限りでもホンダはやや苦労している。一方でヤマハはヴァレンシアGP後のテストに参加したのみで他のメーカーが参加している2週間後のヘレステストは欠席している。タイトルを獲ったからそういうことができるのだろうか?どうもそうではないらしい。2016年に向けたテストの回数は制限されていることから、ヤマハとしては戦略的に1回分をとっておくことにしたのである。

マルク・マルケスは新型タイヤと新型電子制御のどちらを優先するべきかという問いに対して、まずは2016年型マシンの電子制御が最優先だと答えている。ホルヘも同じ意見だ。

「新型電子制御のマシンに乗った初日は本当に心からびびりましたよ。気が狂いそうでしたね。コースのどこを走ってもまともに機能しないんです。ウィリーコントロールは唐突だし、エンジンで何かあったのかリアホイールはロックするし、トラクションコントロールはほとんど利いてないみたいだし…。僕の電子制御担当が『とりあえず初日だし、明日は今シーズン使ったマシンの70%くらいはいくから』って言って落ち着かせようとしてくれましたけどね。でも今年のマシンも開幕戦では70%もいってなくて、せいぜい50%くらいでしたね。一日中セッティングに取り組んでやっと70%になりましたね。要するに新型電子制御は今まで使ってたものほど洗練されてないってことなんです。特にウィリーコントロールが問題ですね。開幕戦のペースは0.4〜0.5秒くらい遅くなるんじゃないでしょうか」
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その目標タイム、言っちゃっていいの?ホンダはきっとやってくるよー。

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2015年チャンピオン、ホルヘ・ロレンソへのインタビュー(その3:セルフマネジメントが鍵)

全5回のインタビュー、その3ですPECINO GPより。
その1その2もどうぞ)
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チームヤマハのトップであるリン・ジャーヴィスがかつて私たちにホルヘ・ロレンソとヴァレンティーノ・ロッシがいかにうまくストレスに対処しているかについて語ってくれたことだがある。ただし二人のやり方は大きく異なっている。ロッシは周囲のサポートを必要としている一方で、ロレンソはある種の「一匹狼」なのだ。ロッシはごく親密な仲間からの助けを得てプレッシャーに対処するのだが、ホルヘは一人で対処する。個性の違いというか、より正しい言い方をすれば培われてきた性格の差なのだろう。セルフコントロールの方法が違うのである。殴り合いの果てに足がふらつくことがあっても、彼はかならず自らのコーナーから立ち上がって戦いを続けることができた。

「そうですね、そういう言い方もできるでしょう。でもチームと一緒に解決してきたこともいろいろあるんですよ。まあとは言え僕のセルフコントロールの力も相当強いとは思います。自分の反応をうまくコントロールできるようになってるし、考え方や気持ちもコントロールできる。レースで最高の結果を出すためにね」

環境へのこうした向き合い方は、サーキットでの走りに役立っただけではない。「MotoGPというスポーツの発展のために」ロッシのチャンピオン獲得を期待する世間一般に対峙したり、主にイタリア人で構成されたチームの中でヴァレンティーノ・ロッシとタイトル争いをするという状況に対処するのにも役立っているのだ。他のライダー以外とも戦っているとホルヘ・ロレンソが考えていることは私たちの誰もが知っていることだ。しかし彼はこういう状況をうまくかわしているようだ。

「マスコミが書くことなんてコントロールできないでしょ。でもジャーナリストとの関係を良くすることはできる。ヤマハの人やピットのスタッフとの関係も良くすることはできる。みんなとうまくやっていけるってのはいいことですよ。ものごとを決められる人たちもその中にはいるわけですし。でも正直言うとそういうのはあんまり気にしてないんです。いちばん大事なのはスロットルなんですよ。スロットルを誰よりも遅く閉じて、誰よりも早く開けることができれば勝てるんです。人より先に閉じて後から開けるんじゃあ負ける。要するにどれだけガソリンをエンジンに突っ込めるかが勝負なんです。それがいちばん大事なことでの頃は10%か20%しか大事じゃない。成功できるかどうかはマシンに乗って速いかどうかなんですよ」

「あとチームヤマハの国籍って話では確かにイタリアとの関係が深いですよね。本拠地もモンツァだし、でもヤマハが欲しいのは勝利なんだし、ヤマハは本当にまじめな日本企業で、ライダーをあからさまにひいきするってことはないんです。要するに僕らは独立して動いている二つのチームってことなんですよ。ひとつはヴァレンティーノのちーむでもうひとつがロレンソのチーム。チームにイタリア人もいるけどスペイン人と同じように僕は彼らを愛してますよ」
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「いちばん大事なのはスロットル」惚れる…(//∇//)。

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2015年チャンピオン、ホルヘ・ロレンソへのインタビュー(その2:2015年最悪の瞬間)

全5回のインタビュー、その2ですPECINO GPより。
(その1はこちら
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2015年シーズン、ホルヘ・ロレンソにとって最も重要なレースはヴァレンシアだったのは間違いない。何か月もプレッシャーと緊張感が彼にのしかかり、そしてそれがフィニッシュラインを通過した瞬間に消える。彼が世界チャンピオンになった瞬間だ。とは言え完璧な終わり方をした今シーズン、彼が多くの困難を乗り越えてきたことは忘れてはいけない。カタール、アルゼンチン、アッセン、シルバーストン、アラゴン、もてぎ…。

「最悪の瞬間ですか?」彼は私の質問を繰り返しながら自分の記憶を探っていた。そして彼はこう言った。「最初の3レースじゃないでしょうか。自分に起こったことがなかなか受け入れられませんでしたね。自分の責任じゃなかったからなおさらですね。でもそこで起こったことのおかげで表彰台に上がり続けることができたんです」。そして彼は再び間をとった。そして2秒ほど考えてこう付け加えた。「どれかひとつだけと言われればミザノがいちばんきつかったですね。もう1コーナーか2コーナーだけ待ってタイヤが温まっていたらクラッシュしないで済んだってわかっているだけに、すごく後悔したんです。その気持ちを振り払うのは本当にたいへんでした。ロッシに対してポイントを詰める最高のチャンスだったのに逆に11ポイントも失ってしまったんです」

同じようなことはフィリップアイランドでも起きている。そこでタイトル決まる可能性もあったのだ。しかしスタートからトップを守り続けたホルヘは残り2コーナーというところでマルク・マルケスに前を行かれ貴重な5ポイントを失ってしまった。

「もちろんレースに勝てたときほどには喜べませんでしたよ」とロレンソは告白した。「でも幸いにもイアンノーネがロッシを抜いてくれたってことを考えればそれほど悪い結果じゃないってこともわかっていましたから。まあ正直に言えばあれもそうとうイライラする結果でしたけどね。前のレースではロッシに4ポイント話されただけで済んで、でもフィリップアイランドで12ポイント彼から削れるはずが7ポイントで終わっちゃったんですからね」

「でも勝ちが見えたときにマルクのマシンがインに入ってきとときは『まじかよ!』とか思ったでしょ?」

「その2〜3コーナー前からエンジンの音が聞こえてたんで、誰かにつかれてることはわかってたんです」とホルヘは話してくれた。彼のR1がフィリップアイランドの最終ラップに入った時、私はその最後の数キロがどれほどの緊張感に耐えなければならないものとなるか思いを馳せて凍り付いてしまっていた。「でもイアンノーネだと思ったんです。マルクじゃなくてね。ピットサインではイアンノーネが0.8秒リードしてるって出てたんで。後ろにいるのがイアンノーネだと思ってたんでコーナーのインを閉めなかったんです。後ろにいるのがイアンノーネかマルケスかで対応は違うんですよ。初優勝を狙うライダーが後ろにいるなら相手はスペースが無くても突っ込んでくるかもしれない。そしたら両者転倒ってなってしまう。でもそんなことを相手は気にしてないんです。もし後ろがマルケスだってわかってたらもっとインを閉めたでしょうね。彼なら二人とも転倒ってのは避けるでしょうから」

これは非常に興味深い話だ。「ああホルヘ!なんでこんなインを開けるんだ!!」というのがフィリップアイランドのルーキーハイツからの下りブレーキングでマルケスがロレンソのインに入ってきたときに誰もが叫んだ言葉だ。MotoGPのトップライダーが自分の周りで何が起こっていかを分析する力がこれほどだとは思っていなかった。自分を振り落とそうと待ち構えている250馬力以上もあるマシンを操りながらそこまで考えているのだ。彼らは本当に異星人なのだ!
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その3もすぐにやるよっ!

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2015年チャンピオン、ホルヘ・ロレンソへのインタビュー(その1)

やろうやろうと思っていて今まで手を着けていなかったのですが、やっぱりこの人の語りを訳さないわけにはいけませんよね!ロッシとマルケスのごたごたで何となく影が薄くなってしまいましたが今年のチャンピオンはホルヘ・ロレンソです!というわけでPECINO GPよりその1を(全5回です!)。
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11月8日にホルヘ・ロレンソが3度目のMotoGPタイトルを獲得してからというもの、彼はメディアにひっぱりだこになっている。テレビ、ラジオ、一般紙、業界紙、スポンサーイベント、FIMガラセレモニー、ミラノ…、

「これまでどれくらいインタビューに答えました?」マドリッドのホテルのカフェででホルヘにインタビューしたときに聞いてみた。彼がスペインのテレビ番組に向かうために出発する2時間ほど前のことだ。

「わかんないですね。ちゃんと数えたりはしないですからね。でも今回はいつもより多いですよ」。それが彼の答えだった。その時の彼は黒いキャップで「一般人風」に変装しようとしていたが、ホテルのロビーでもすぐに彼だとばれてしまう程度の役にしか立っていなかったようだ。「あとはインドに行って、そしたらしばらく消えますよ」

私がホルヘ・ロレンソととこうして座って話し込むのは2度目になる。最初はシーズン中盤、ヴァレンティーノ・ロッシとのポイント差を縮めようと苦闘していたときのことだ。まだ最後の2戦で起こるばかばかしいできごとの前である。

「リン・ジャーヴィス(原注:ヤマハレーシングのトップ)と日本で話したんですけど、ヴァレンティーノとあなたはすごくうまくプレッシャーに対応しているそうですね。お互いに自分のやり方でうまくやっている。でもその2戦後には何もかもが混乱に陥ってしまいました。特にヴァレンティーノの方はひどいことになりましたが」

「そうですねえ、僕はヴァレンティーノが自分で問題を引き寄せてしまったんだと思います。木曜のセパンのプレスカンファレンスであれをやっちゃったのが間違いですね」。そうホルヘは静かに話し出した。「本当にそう思います。彼は間違っていた。あんな風に公の場でマルケスを、しかもあんな強い口調で責めないで、かわりにマルケスと個人的に話してアルゼンチンやアッセンの件でも和解できていたら、もっと関係は良くなっていたでしょうね。でも結果として自分の思っていたこととはまったく反対の結果を招いてしまった。猛獣を覚醒させちゃったんです」

インタビューはリラックスしたムードで行われた。録音しているiPhone意外は私たちだけだったのだ。すべてについて語り合った。内容に制限はなし。1本の記事に収めるのはやや無謀なことだろう。読者のみなさんは最後まで集中できないだろうからだ。それはあまりにもったいない。何が起こっていたのか、そしてそのとき何を考えていたについてホルヘ・ロレンソが詳細を語ってくれたのだ。恐ろしいほどの戦いが繰り広げられ、そして彼が3度目の世界タイトルを獲得したそのシーズンについて理解を深めることができるのだ。そこで彼のイン汰qびゅー派5回に分けて掲載することにしよう。回を重ねるごとにおもしろくなっていくはずだ。まずは1回目。タイトルは…、
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ヤマハが勝ったのか?それともホンダが負けただけなのか?

楽しい質問ではないかもしれない。しかし今年のRCVのせいでホンダがタイトル争いに加われなかったのは誰もが知っていることだ。マシンの問題に加えて、ダニ・ペドロサが開幕戦の後に欠場を決めたこと、そしてマルク・マルケスが前半不調に終わったこともホンダをタイトルから遠ざけた。しかしランキングの通り本当に2015年型RCVが2014年型より悪かったのか?実際に戦ったホルヘ・ロレンソほどこの質問の回答者として最適な相手はいないだろう。

「なんて言ったらいいかわかりませんね」とホルヘは答えた。そして記憶を探りながら数秒考えてこう言った。「今年のホンダはたぶんパワーが増して速くなったんで祐、序盤は乗りにくかったんだと思います。2014年のマルクは11勝しましたけどその強さは無かったですし。彼はプラクティスでもレースでも去年ほど速くなかったし、僕についていこうとしてクラッシュもしていた。最初の5戦とか6戦とか7戦で2015年型のホンダが2014年型より悪かったかどうかはわかりませんけど、ヤマハがホンダより進化していたのは間違いないですね」

2015年型のR1は本当に素晴らしいマシンだった!ホンダが通常のスケジュール感で新型を開発していた結果2015年型は大きな変更が加えられることになったようだ。一方ヤマハは対照的に細かく、しかし着実に改良を加えていった。シームレスギアボックスの最終バージョンに象徴されるように彼らは安全なステップを踏んでいったのだ。

「それですべてが解決したなんて思わないでくださいよ!例えばブレーキングの問題は30%くらいしか解決していないんです。まだ問題はあるんですよ。ホンダは相変わらず僕らよりレイトブレーキングができる。しかも僕らよりイン側でね。そこは小さいとは言え彼らの強みなんです。でも去年抱えていた問題が無くなったのも事実ですね。ブレーキングの問題が30%解決できて、しかもコーナリングスピードの素晴らしさとコーナー脱出加速の良さは変わらなかったのがとても大事なことなんです。それでホンダのライダーがブレーキングで稼いだコンマ何秒かを僕らは削ることができたんです。0.5秒くらいは削れましたね。その結果レースで勝てたんです。正確な数字じゃないかもですけど、ある部分を改善するのがどれくらい大事かわかってもらえるかと思います。ほんのちょっとのことなんですけどね。でもそんなちょっとのこと、0.1秒がゴールの時には3秒になって返ってくるんです。それは大きいですよね!MotoGPのレベルって高いんです。勝つか負けるかの違いは1周0.05秒とか0.1秒とかの差で決まるくらいのレベルなんですよ」
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すぐに続きますよ。

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カル・クラッチローのファンが再びインタビュー!

ずいぶん前にインドネシアの少女(当時6歳!)がクラッチローにインタビューした記事を翻訳しましたが、その彼女が再びカルにインタビューしてます。かわいいし鋭い!ってなわけでCRASH.netより。
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クリスマスも近くなって善意にあふれる季節がやってきた。2015年終盤のごたごたを忘れるためにも少しいい話を記事にしよう。

数年前、シャイーナ・サルヴィアというある若いMotoGPファンが憧れのカル・クラッチローに会うことができた。そこで彼女はクラッチローとそのガールフレンド(今は妻)のルーシーと話すことができたのだが、6歳の彼女の勇気に感銘を受けた彼は彼女にレース用グローブをプレゼントすることとなった。

それからあっという間に3年が経ち、そしてシャイーナは10月のマレーシアGPで再び憧れの人に会うことができたのだ。今回は学校の宿題にかこつけて彼にインタビューを申し込んだのである!

カルはそれを受けることにした。そして自分のタブレットに質問を用意したシャイーナはルーシーに導かれLCRのピットガレージにやってきたのだ。座ってインタビューを始めると、すぐに彼女は緊張から解放され、見事なインタビューをやってのけた。

彼女は自分の10歳の誕生日である今日(12月8日)発行される学校の広報誌にインタビューが掲載されることを願っていたのだが、それは残念ながらかなわなかった。

そこでシャイーナの母親はCRASH.netに連絡し、彼女の誕生日プレゼントにできないかとたずねることにしたのだ。我々はカルに許可をとってみた。そして彼はすぐにOKを出してくれたのだ。「すごく楽しいインタビューでしたよ。今年最高のインタビューですね!」」

さあ、これからシャイーナのインタビューが始まる。お誕生日おめでとう!

シャイーナ:(まじめな顔で緊張しながら)MotoGPに来る前はワールドスーパーバイクで走っていましたね。引退前にMotoGPからワールドスーパーバイクに行くライダーもいます。いつかワールドスーパーバイクに戻る予定はありますか?

クラッチロー:ワールドスーパーバイクに戻る予定はないよ。今はMotoGPで走っているし引退するまで走りたいと思っているからね。でもワールドスーパーバイクに興味がないわけじゃないんだ。ただ今はそういうことを考えていないってこと。最後はMotoGPでキャリアを終えたいんだけど、それがいつになるかはからないな。1年後かもしれないし10年後かもしれない。バイクレースが楽しくなくなったら家に帰ってルーシーにもっと愛をそそぐことにするよ(笑)!


シャイーナ:1年ホンダで走ってみて自分の走りには満足してますか?

クラッチロー:満足しているところと満足していないところがあるかな。シーズン前半はよかったので満足しているし、最後の2レースくらいも良かったと思ってるよ。でも悪いレースもあったし運が悪いときもあった。だからランキングはあんまり良くなかった。でもまだ自分は速く走れると思ってるんだ。ホンダのバイクは慣れるのが難しいんだよね。だから来年はもっと速く走れると思うよ。


シャイーナ:シルバーストンではチームメイトのジャック・ミラーに当てられてクラッシュしまました。なんで彼に笑顔を見せられるんですか?学校で友達に嫌な思いをさせられると、その相手に笑顔を見せるのは難しいんですけど…。

クラッチロー:(笑)いい人になるんだよ。ジャックは悪い奴じゃないんだ。ミスしようと思ってたわけじゃないからね。わざとじゃないんだ。クラッシュしたいと思ってたわけじゃないし、僕に当てようと思っていたわけでもないんだ。

本当に申し訳ないって言ってくれたしね。だからOKって返したんだよ。ちょっとの間は彼に怒りを感じていたけどすぐに冷静になったしね。しょうがないことだよ。僕だって他のライダーをクラッシュに巻き込んだことはあるんだし。もしまたやっちゃったら、そしてまだジャックにむかついていたら、僕が巻き込むライダーもずっと怒ってることになるからね。許すことは大事なんだし、だから僕もジャックを許している。でもまた彼がやらかしたらかなりヤバいと思うよ!

いや、ジョークだよ(笑)!


シャイーナ:どうして35番をゼッケンに選んだんですか?

クラッチロー:前は5番をつけていたんだ。最初の3年間ね。で、5番を選べなくなったんで3を前につけることにしたんだよ。でも思いつきにしては良かったね。僕が好きな数字が5でルーシーが好きな数字が3なんだ。だから完璧だよね。


シャイーナ:ライダーって楽な仕事なんですか?

クラッチロー:楽なこともあるけどみんなが思うほど楽じゃないかな。すごくがんばらなきゃならいんだよ。みんなこの仕事が大好きで、それは特別なことだと思ってる。本当にこういう仕事ができるのは特別なんだ。ライダーでいられるってことがね。でも辛いこともある。うちには帰れないし、ずっと旅をしてるからね。世界中を回っていても何にも観られないしね。観光地にいったりはできないんだよ。サーキットに行くんだし、あとはホテルと空港だから。だから世界中を見て回ってるわけじゃないんだ。つまり正直きつい仕事なんだよ。でもみんなこの仕事が大好きだし、それは変わらないと思う。他のライダーもみんなそう思ってるはずだよ。


シャイーナ:マレーシアではカラーリングが違ってました(カストロールカラー)。マレーシア専用だったんですか?

クラッチロー:マレーシア専用ですよ。でもかっこいいからずっとそのままだといいな。


シャイーナ:レースでいつも目標にしていることは何ですか?

クラッチロー:優勝!いつでも優勝を狙っているよ。でもみんな今僕が優勝するのは難しいことはわかっている。10位になるかもしれないし5位かもしれない。でもいつも狙っているのは優勝なんだ。


シャイーナ:インタビューに答えてくれてありがとうございます。

クラッチロー:どういたしまして。


シャイーナ:(3年前にもらったグローブを出して)またサインしてもらえます?

クラッチロー:(サインしながら)君にこれをあげた時のことは覚えているよ。まだもっていてくれて本当に嬉しいな…。バイクと一緒に写真を撮る?


シャイーナ:わあ!ありがとう!

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私、こんないいインタビューができる気がまったくしない…。カストロールカラーネタとかものすごく鋭い質問。
そしてカルのルーシー愛!!

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MotoGPクラッシュ統計の分析

シーズンも終わってややのんびりモードですが、ちょっとおもしろそうな記事なので訳します。Motor Sport MagazineよりMat Oxley氏の分析です。
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病気と呼ばれようが性格が歪んでると言われようが、ここのところ私は大好きな書類を読んで楽しんでいる。MotoGPのクラッシュレポートだ。別に冬の間はぬくぬくとしながら人の不幸を楽しむのが好きだというわけではない。クラッシュの一覧を見るとシーズン中に何が起こっていたのか手に取るようにわかるからなのだ。

ライダーにとって勝利が最高のご褒美であるなら、クラッシュは最悪の罰である。500ccでの勝利経験もありワールドスーパーバイクのチャンピオンでもあるカルロス・チェカほどこれを巧く表現した者はいないだろう。

「クラッシュはライダーにとってクソだ。バイクにとってもクソだ。メカニックにとってもクソだ。セッティングにとってもクソだ」。彼はしばらく前に私にそう話してくれた。「自分が間違った方向でやってるっていうシグナルなんだ。勝ちたいけどクラッシュしたら絶対勝てない。イギリスに行こうと思ってるのにフランスにいるような漢字だね。で、クラッシュするってのはスペインにまで行っちゃうようなもんなんだ。そんなことをやってたらいつまでたってもイギリスには行けないよね」

ありがとうカルロス。その通りだ。

MotoGPクラッシュレポートはドルナのフリン・ヴェィーリャの労作だ。どのライダーが最もクラッシュが多かったか、どのコーナーでのクラッシュが最も多かったのか、レースごとのクラッシュ数は何回か等々のデータが満載である。

しかしまずは2015年のMotoGPクラッシュリーグのチャンピオンの話からはじめなければいけない。紹介しよう,】最近レッドブル・KTMをクビになったカレル・ハニカだ。24回、つまり1ラウンドあたり1.3回のクラッシュを喫している。トップ争いというのはいつでも厳しいものである。今回のハニカもMoto2のレックス・ポンスをわずか1回差で上回ったに過ぎない。そしてその後ろには2回分の中に8人のライダーがひしめき合っている。サム・ロウズ、アレックス・マルケス、アレックス・デ・アンジェリスが19回、ルイ・ロッシ、ジャック・ミラー、尾野弘樹、シャヴィエル・シメオン、鈴木竜生が18回で続いているのだ。

もちろんこれをどう分析するかが重要なのは言うまでもない。一般的にクラッシュしないライダーはマシンに気持ちよく乗れていて限界もわかっているため、何も気にすることなく毎ラップ限界ぎりぎりで走ることができる。一方クラッシュが多いライダーは正確に限界近くでバイクを走らせることができず、その結果、限界を超えてしまう。

最高峰クラスのトップには最近にはないできの悪さのRC213Vに悩まされたマルク・マルケスが君臨している。カーボンファイバーをゴミ箱行きにしたのは13回(去年は11回で済んでいた)。一方、タイトルを獲得したホルヘ・ロレンソはこれまでになく巧みな、そして正確なライディングを見せた。転倒はわずか3回だったのだ。ロレンソは8年間のMotoGPキャリアで36回の転倒を喫しているが、マルケスは3年で39回も転倒している。

ヴァレンティーノ・ロッシにとってはキャリアで2番目に転倒の少ないシーズンとなった。現役最長のキャリアを誇る彼がいかに気持ちよくYZR-M1に乗っていたかは、彼が2回しか転倒しなかったことからも明らかだ。最も転倒が少なかったのは2003年の1回だ。この時は3度目の最高峰クラスタイトルを獲得している。圧倒的な強さだったRC211Vに乗っていたときだ。その反対に2011年、ドゥカティの悪魔的なデスモセディチでの1年目は12回も転倒している。

2015年に最も転倒の多かったラウンドはシルバーストンとルマンだ。それぞれ79回、78回の転倒があった。25回だったアルゼンチンの3倍以上だ。イギリスとフランスでは気温も低く雨も降っていたことを思えばそれほど驚くようなことではない。

今シーズン最も転倒の多かったコーナーはミザノの10コーナー(非常に重要となるバックストレートに向かうトラモントと呼ばれる右コーナー)で20回の転倒が起こっている。ただし多くはウェットでの話だ。これに次ぐのがカタルニアの10コーナー(バンピーで逆バンクとなっている上、通常はオーバーテイクの最後のチャンスとなる)、そしてヘレスの2コーナーで、それぞれ16回だ。

全クラスを通じて2014年はそれまでの記録を塗り替える981回(きゅうひゃく・はちじゅう・いっかい!)のクラッシュがあった。そもそもクラッシュの数は増加傾向にあるのだ。これにはレースが接戦になっていること、サーキットの安全性が高まっていることなど様々な要因がある。そして今シーズンにはついに1000回を超えるかと思われたが、実際には976回、1ラウンドあたり54回におさまっている。

それでもかなり数字である。しかしさらに重要なのは深刻な怪我につながるようなクラッシュがなかったことだ。MotoGPが依然として危険ではある。最近でも2010年に富沢祥也が、2011年にマルコ・シモンチェリが亡くなっている。しかしますますタイムが縮んでいることを考えれば、驚くほど安全になっていると言えるだろう。

今シーズン最悪のクラッシュはアレックス・デ・アンジェリスの頭部の怪我だ。彼はもてぎのそのクラッシュで脊椎と肋骨を3本骨折している。そしてドミニク・エガーターがアラゴンで脊椎を4か所と肋骨、右手首を骨折し肺挫傷を負っている。

その他に今シーズンは合計すると手の指が6本、足の指が4本、鎖骨が3本、手首が2本、腕が一本、軽い脳震盪と脱臼、捻挫がいくつかとなっている。もちろんそれがどれくらい痛いかは私にはわからない。MotoGPライダーがクラッシュしてテレビのキャプションに「ライダーOK」とでるが、それは「ライダーはとんでもない痛みに見舞われているが奴はとんでもなくすごいのでレースには出る」という意味である。

もちろん今問題となっているのは、MotoGPに導入される統一ソフトウェアがクラッシュを増やすか減らすかということである。

理論的には電子制御によるライダー支援はクラッシュを減らすことになる。しかし現実は少々異なっている。バイクの電子制御技術はまだ揺籃期なのだ。つまりまだ開発余地があるということなのである。故障やらバグやらのせいでクラッシュが起こることもありえるのだ。

MotoGPクラッシュレポートが教えてくれるのは最高峰クラスでは2006年からクラッシュが倍増(98回から215回)しているということだ。もちろんその責を全て電子制御に負わせるのは早計ではある。

しかしトラクションコントロールやエンジンブレーキコントロールが予想外の挙動をしたら、どんなライダーでも地面に投げ出されることになるだろう。同じようjに1960年代や70年代初頭は2ストロークの技術が未熟だったために多くのライダーが怪我をしたり死んだりしていた。その犠牲の上に冶金や潤滑方法が発達し、多くのライダーがその恩恵を受けることになったのだ。今日のMotoGPライダーも電子制御のためのクラッシュテスト用ダミーなのである。

MotoGPクラスのクラッシュは急激に増加しているが小排気量クラスではそれほどではない。ここ数年はほどんと増加していないのだ。どういうことだろう?その理由は数え切れないほどある。

マニエッティ・マレリ社がドルナの技術ディレクター、コラード・チェッキネリの協力の下で作製したソフトウェアとハードウェアの話に戻ろう。全てのマシンが既製品ソフトウェアを使わなければならないということはMotoGP黎明期からすごい早さで開発が続けられてきたワークス特注ソフトウェアほどの性能は出せないということである。

ドルナ製電子制御キットの初のフルテストとなったヴァレンシアではトップライダーのほとんどがその退化に驚くこととなった。2008年か2009年くらいに戻ったのではというのがロッシの意見だ。しかし彼はそれほど否定的ではない。

「最初は頭にきてf**kって言いたくなりますね。すごく乗りにくくなりましたからね。でもレースは面白くなるでしょうね。ラップタイムを安定させるのが難しいんです。だからバトルも激しくなるし、楽しくなるでしょう」

ロッシはおそらく正しいだろう。しかし彼を担当するワークスからきた電子制御エンジニアが次の3月までがんばってソフトウェアの性能を最大限に引き出すことの方がありそうだ。

対照的にワークスドゥカティのアンドレア・イアンノーネとアンドレア・ドヴィツィオーゾは新型ソフトウェアを大歓迎している。これはたまたまドゥカティにマッチしていたという話ではない。マニエッティはMotoGPでもスーパーバイクでもドゥカティと長年一緒にやっているのだ。当然ドルナのマニエッティ製ソフトはドゥカティがこれまで使っていたものに近いものとなっている。ヤマハもマニエッティとやっていたがドゥカティほど長くはないのだ。

ドルナの電子制御キットに最も不満なのはマルケスをはじめとするホンダのライダーだ。彼は先週のヘレスでひどいハイサイドを喰らっている。トラクションコントロールが予想と違う動きをしたのだ。

「電子制御はスムーズとはとても言えないですね。電子制御が介入しすぎてマシンが暴れるんです。スライドし過ぎると極端に介入してくるんですよ。しかもそのタイミングが遅すぎるんです。それでスロットルを緩めなきゃならなくなる。ほんとうに乗りにくいですね」

ホンダはミシュランとマッチしているようには見えるが、MotoGPの新たな電子制御時代の到来のせいでかなりの不利を被ることになるだろう。これまでずっと電子制御はハードもソフトも内製していたからだ。これまでマニエッティのような電子制御を使ったことがないのだ。朝霞のHRC本社のシーズンオフは徹夜が続くことになるだろう。
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おもしろいシーズンになりそう!

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