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2015年チャンピオン、ホルヘ・ロレンソへのインタビュー(その5:運がいいだけでもタイトルは1回は獲れるかも、2回もあり得ないことではない。でも運だけで3回はあり得ない)

全5回のインタビュー、その5(最終回)ですPECINO GPより。
その1その2その3その4
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1シーズン通してロッシと戦い続けるのはおそろしく厳しい体験である。そして当然のようにホルヘの精神力も試されることとなった。彼は3度にわたってポイント差を詰めなければならなかったのだ。最初は29ポイント差を詰めようとし、しかしまた23ポイントまで広がってしまう。再度ホルヘはロッシを照準にとらえたが、再び差がついてしまう。残り三戦となった時点でポイント差は18。オーストラリア、マレーシア、ヴァレンシアで追いつくのは非常に難しくに思えた。しかしそこで彼は底力を発揮する。持ち前の粘り強さでポイント差を縮め、最終戦にはロッシと7ポイント差で臨むことになったのだ。タイトル獲得には勝利しかない状況だ。外野から観ればこれほどエキサイティングでドラマチックな状況はない。

「その通りですね。これまでで一番苦労したタイトルです。それは間違いない」とホルヘは同意してくれた。しかしすぐに他にも同じような良い経験をしたことも思い出したようだ。「ああ、最初の250ccタイトルも苦労しましたね。でもあの時は最終戦までにそれなりに差をつけていましたから。今回は勝たなければならなかった。少なくとも2位に入る必要はありましたね」

とは言えこうした苦労もすべて過去のものだ。28歳にして彼はMotoGPタイトルを3回獲得したのだ。ケニー・ロバーツやウェイン・レイニーといった伝説のライダーの仲間入りを果たしたということである。そして最高峰クラスの勝利数では史上4位だ。彼の上にいるのはロッシ、ジャコモ・アゴスチーニ、ミク・ドゥーハンだけである。ホルヘはこうした伝説のライダーと並び称されることをずっと夢見ていたと語ってくれた。

「ええ、これがずっとやりたかったことなんです。タイトルを2回獲ってバリー・シーンみたいなライダーに並ぶ。それもすごく嬉しかった。でも3回タイトルを獲ってロバーツやレイニーにならぶのはそれ以上に嬉しいことですね。それにこうも言うでしょ、『1回目は偶然、2回目は偶然では起こりにくいけど起こらないわけではない。でも3回目は運だけではできない』ってね」

3回目のタイトルの先には…

MotoGPタイトルを3回獲って史上最も優れたライダーの仲間入りを果たしヴァレンティーノ・ロッシ、ケイシー・ストーナー、マルク・マルケスというそれぞれの世代を代表するライダーを倒し、そして次にホルヘ・ロレンソが目指すのは何だろう?最初に思い浮かぶのはメーカーを変えて違う環境、違うマシンで走ることだが、ロレンソはその可能性を即座に否定した。ヤマハのGPチームでキャリアを終えたいというだけではない。引退後はブランド・アンバサダーになりたいとすら考えているのだ。では何がこれからのホルヘのモチベーションになるのだろう?

「そうですねぇ、毎日前より上に行けるように努力して自分を磨き続けてるんです。少しずつでも良くなっているならまたチャンピオンになれる可能性が上がるでしょうね」

自分が速いかどうかの判断基準をタイムにおいているというのがロレンソと他のライダーの違いなのである。こういうことだ。他のライダーはライバルより速ければいいと思っているのだが、ホルヘは去年の自分より速くなければいけない、各サーキットで最速タイムを出したいと思って自分にプレッシャーをかけているという印象なのだ。今年、彼がこう言うのを何度私たちは聞いたことか。「 このコースで1秒縮めたのは僕が最初ですね」。前に書いた彼独特のセルフマネジメントの好例である。
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コメント

2015年シーズンは最高でした。ぶっちぎりでランキングを走るより、今シーズンのように接戦になり、しかも自分が好きな選手が勝利するなんて!
最後の3戦については汚されたとは思いません。なぜならホルヘの走りは誰よりも最高で最強だったからです。強いものが必ず勝つわけではありませんがそれを証明した納得のチャンプです。ミザノでの転倒は珍しいミスでしたが、追い上げる集中力は2013年のときもしかり、№1と言っても過言ではありません。
MOTOGPの情報が少ない中でいつも楽しく拝見させております。特にホルヘの情報(これまた少ない・・・)を今回のようにピックアップしていただき大感謝です!
本当にありがとうございました。

投稿: エフ | 2015/12/21 10:47

狼であり、求道者であり、哲学者でもあり、そしてアーティストでもある。
それでいてお茶目で気のいい青年でもある。
最終戦以降に見せている素晴らしい彼の笑顔に、ああそうだったホルヘはこんな笑顔をするんだったと思い、
彼女と二人でリラックスしている表情に、どれだけ多くをレースに捧げているのかを改めて知らされました。
彼はライバルがどんなに強くても、自分の置かれた状況が困難でも、とどのつまり「自分がどうあるか」なのだということを知り実行しているすばらしいアスリートですね。
いちファンとして彼を誇りに思いますし、こんなオバはんにもポジティブなフィードバックをくれるホルヘにありがとうと言いたいです。

ああ、しみじみ泣けた。
ありがとうございます。とみながさん。

投稿: りゅ | 2015/12/21 15:08

>このコースで1秒縮めたのは僕が最初ですね
確かに言いますよね。
ロレンゾにとってトラックを走ることは、レースで他の選手と競うのと同じくらい、如何に誰よりも速く走るか?が重要な挑戦なんでしょう。
時折、ロレンゾはアイルトンセナの名前も出しますよね。
セナのあのフライングラップ!、、、凄かった!
ロレンゾに感じる魅力も、どこかそういうところから来てるのかな?なんて考えちゃいました。

投稿: motobeatle | 2015/12/29 00:21

>りゅさん
 楽しんでいただけたようで何より!

投稿: とみなが | 2015/12/31 20:52


>motobeatleさん
 なんか孤高の人なところが見応えありで、切ないですよねえ…。

投稿: とみなが | 2015/12/31 20:53

>エフさん
私もホルヘ好きなので、喜んで訳してます!

投稿: とみなが | 2016/01/01 01:23

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