ミシュランの技術ディレクターへのインタビュー
お次はタイヤネタ。CRASH.netより、ミシュランの技術ディレクター、ニコラス・グーベールへのインタビューをば。
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ミシュランのレース部問の技術ディレクターであるニコラス・グーベールにヴァレンシアテストで独占インタビューを行った。
ブリヂストンに代わって来年からミシュランがMotoGPのタイヤを供給することになる。ヴァレンシアテストで初めてこのフランスのタイヤメーカーの公式タイムが出ることになった。
ほとんどのライダーがブリヂストンの最終戦で出したタイムを上回ったが、一方でフロントからの転倒も相変わらず多かった。
CRASH.net:ミシュランにとってはこれが2008年以来のMotoGPテストになるわけですが、戻ってきたご感想を。
グーベール:すごくいい気分ですね。7年って長かったですけど、それだけに嬉しいです。今はタイヤ設計の最終段階にきています。2016年シーズンそして新しいパッケージの導入に向けて全員が集中していますよ。来年は電子制御が全く新しいものになるチームもありますからね。そうしたチームは新しいパッケージを最大限に活かすためにがんばらなければならない。つまり全てに適応していかなきゃならないってことなんです。
CRASH.net:ピットでいくつかのチームと話されていましたけど、タイヤに関してはどう言われたんですか?
グーベール:今のところいろんな意見がありますね。ラップタイムはすごくいいです。2時間くらいでレースタイムが出せてますから。
CRASH.net:ラップタイムには驚かれましたか?
グーベール:そうでもないですよ。前のテストでもこんな感じでしたから。
とは言えチームの協力を得ながらまだ改善しなければならないこともあります。ライダーにクラッシュしないって信頼してもらうとかですね。誰も怪我をしていないのは安心できる点ですけど、どうやったら改善できるかは検討を続けないといけませんね。
この三者が同じ方向に向かって協働していくことが望みです、チームはタイヤに合ったマシンセッティングを見つけて、ライダーには新型タイヤに合わせた乗り方を見つけてもらう。ミシュランにはミシュランの乗り方があるわけですし、他のタイヤでもミシュランの乗り方は合わないですよね。そして私たちは彼らに信頼してもらえるタイヤを作らなければならない。
開幕戦から自信を持って乗ってもらえるように開発努力を続けていきますよ。
CRASH.net:同じパターンの転倒が多かったですね。たいていはクリッピングポイントからライダーがスロットルを開けようとした時なんですけど、何が起こっていたか説明していただけますか?
グーベール:まだ全てを分析したわけではないですけど、転倒のいくつかは最初の頃のセパンでの転倒にそっくりですね。つまりリーンアングルが最大になったところこで起きてるってことです。ただポル・エスパルガロみたいにそれほどリーンしていない状態でバンプに乗って、それでマシンが振られて転倒しているケースもあります。
今のところこの二つのパターンについてはかなり力をいれないといけないと思っています。最大アングルでの転倒の方がタイヤの要因が大きいと考えていますね。浅いリーンでの転倒についてはタイヤとマシンセッティングの両者に原因がある。
基本的なセッティングについてはチームにつくってもらわないといけないんですが、残りはライダーと私たちで作っていく感じですね。
CRASH.net:リアタイヤに関してはかなり良い反応が返ってきているようですが。
グーベール:ええ。リアに関しては全然心配してないですね。
CRASH.net:テストには何を持ち込んできてるんですか?
グーベール:基本的にはフロント2種類、リア2種類です。今回はセッティングを出してもらいたかったので、それほど多くの種類は持ち込まないことにしたんです。新型タイヤのテストではセッティングを変えないのが普通なんです。タイヤの違いがはっきりわかるようにね。
2週間前にヴァレンシアに入って、ピッロ(ドゥカティのテストライダー)に試してもらってるんです。その時点でテスト用タイヤが悪くないことはわかりました。ペースも良かったんですよ。ほとんどのライダーが同じスペックのタイヤを使っていましたけど、太陽が出て気温が上がってからは少しハード目のタイヤを使うライダーもいました。まあタイヤのテストというより、ライダーとチームがタイヤに慣れるためのテストという意味合いが強かったですね。
CRASH.net:ミシュランを使ってのセッティングは今回が初めてなんですか?
グーベール:ほとんどのチームにとってはそうですね。
CRASH.net:例えばカタールにどんなタイヤをもっていくかについてはどこまで決まっているんですか?
グーベール:まだ決めてないですね。リアはほぼ決まりです。もちろんコースによって変わってきますけど、何をすべきかはかなりわかっています。フロントについてはまだ改善の余地がありますし、残り時間を開幕戦に向けて最大限に活用していきますよ。
CRASH.net:来シーズン何種類のタイヤを使うかは決まっているんですか?
グーベール:まだ正確に何種類のスペックを導入すればいいのかは把握していません。でもリアよりフロントのバリエーションの方が少なく済むでしょうね。ライダーはフロントタイヤのスペックは変えたがらないんですよ。ですからフロントが対応できるコンディションの幅を広げなければならないんです。今はそこに力を注いでいます。決めるまで残り4か月ですね。
CRASH.net:今シーズンのMotoGPについてはどう思いました?
グーベール:すばらしいシーズンでしたね。もの凄いレースも何レースかありました。最終戦はそれほど気に入りませんでしたけど、いいレースが多かったですね。いい時に戻ってきたと思っています。
CRASH.net:ありがとうございました。
グーベール:どういたしまして。
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誰にとってラッキーで誰が苦労するのか、とても楽しみですね!
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