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GO! GO! 2016!

混戦模様を呈してきた2015年シーズンを見ながら、タイヤメーカーが替わり電子制御ソフトが統一される2016年に思いを馳せるMat Oxley氏の記事をMotor Sport Magazineから訳出。
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最高のホルヘ・ロレンソだった。ホールショットを奪い、全てを支配し、結局トップ争いは最後までなかった。もしマルク・マルケスが小指の骨折に苦しんでいなかったら、そしてヴァレンティーノ・ロッシがフロント周りのセッティングが出せていたら、ことによったら最終ラップでの戦いが見られたかもしれない、しかしそれは全て仮定の話に過ぎない。

ヘレスの結果は今シーズンの混戦を予感させるものとなった。この後も素晴らしいレースがたくさん見られるだろう。しかし私はそれ以上に2016年を楽しみにしているのだ。

MotoGPで1クラス2制度となってから4年が経つ。来年は本来の姿に戻って、全ライダーが同じ技術ルールの下で戦うことになる。公平なルール。言い訳なし。さあレースの始まりだ。

2012年、2013年はクレイミング・ルール・チーム(CRT)という実に馬鹿馬鹿しい名称のクラスがあった。悲惨なほどに減ってしまった参戦台数をなんとか増やし、ワークスマシンと互角に戦えるという体を装ったものだったのだが、結局それは失敗に終わってしまった。

去年からはオープンクラスというものが導入されている。少しはましにはなったが、同じクラスのレースを走っていると言いくるめるにはまだ苦しい。さらにファクトリー2クラスというものまで新設されている(まあどう呼ばれていようと私はとっくに興味を失っているが)。ファクトリー2クラスはトップに追いつけないメーカーのためのもので、ワークスマシンだが優遇措置を受けられるというものだ。

オープンマシンは燃料、タイヤ(より柔らかい)、エンジン台数(かわりに電子制御は制限)といったあたりで優遇措置を受けられているが、それでワークスマシンに追いつけるかもしれないというのははかない希望に過ぎないだろう。ファクトリー2マシンも同様に燃料制限をはじめとした優遇措置を受けている上、自社製のハイテク電子制御を使うことができる。しかも性能が上がってきたら燃料制限については優遇措置がなくなるが、それ以外の優遇措置はそのままなのである。えーっと、ついてきてますか?

CRTもオープンクラスも導入されたのにはそれなりの理由がある。ほぼ死にかけた(2011年には15台しかグリッドにいないこともあったのを思い出してほしい)グリッドになんとか活気を取り戻そうとしてのことだ。しかし技術規定が何段階にも分かれているせいで観客は気が狂いそうになっている。

燃料が24Lのライダーもいれば、22Lのライダーもいれば、20Lのライダーもいる。コースによっては有利になる、しかし別のコースでは不利にもなるスーパーソフトタイヤを使えるライダーもいる。ううう。これはもうレースではなくて「数独」ではないか!

おかげでグリッドに並ぶマシンの優劣をつけるのは不可能になっている。手持ちのカードがそもそも違うのだ。確かにドゥカティは復活したが、それはレギュレーションの違いがもたらす幻影なのか、それとも2016年にhのんだやヤマハのワークスマシンと同じ燃料、タイヤで戦っても同じ結果が出せるということなのか?

それこそが私が知りたいことであり、来年、全マシンが同じ燃料制限、同じタイヤコンパウンド、同じ電子制御で走ることになって初めてわかることでもある。現時点で起こっているのは一種の茶番なのだ。ロッシは最近こう言っている。「マジな話モータースポーツでこんなことが起こるのはMotoGPだけですよね!」

「ファスト・ショウ」(訳注:Wikipediaをざっと読む限りネタ繰り出し系のモンティパイソンっぽいテレビ番組らしいです)に、とりあえずいま話している相手に同意しまくる人物が出てくるが、いろいろな意見が出ている統一電子制御ユニットに関しての私の立場はそんな感じである。プライベートチームのオーナー「これはいいアイディアだろう?」と言えばそれに同意し、ワークスの電子制御エンジニアが「そんなの馬鹿げている」と言えばそれにうなずくといった具合だ。

統一電子制御が導入されれば理論的にはトップのマシンが遅くなり、遅いマシンが速くなるはずだ。つまり差が縮まるということである。フォーミュラ1のエンジニアが私に教えてくれたが、F1では統一ECUの導入で電子制御周りのコストは半分になったが、マニエッティ・マレリ社がちゃんとシステムを開発できるかどうかについては疑問があるということだった。MotoGPでは全チームが新型ソフトウェアに関する機能を提案できるが、ドルナがそれを採用するかどうかについては、まず全チームがそれを使えるかどうかが考慮される。そしてプログラミングはマレリが行うこととなっている。

ライダーのほとんどが電子制御を減らすべきだと考えているし、(少なくとも理論的には)統一電子制御の導入によってそれが実現され、ライダーは自分がやりたいことをできるようになるだろう。つまり自分でマシンをコントロールするということだ。

この手のNASAが使っていそうなすごい電子制御のせいで金持ちチームと貧乏チームの差がさらに広がっていると私に言ったライダーは数限りない。

オースティンではブラッドリー・スミスがレース終盤に苦労していた。彼のサテライト仕様のヤマハM1の燃費コントロールソフトウェアがワークスのものほど優秀でなかったためだ。スミスのマシンはパワーダウンを余儀なくされただけでなく、コーナー脱出でも問題を起こしていた。スロットル開け始めの電子制御の挙動が敏感すぎたために、フロントからのスリップダウンを避けるようとしてもスロットルコントロールでフロントタイヤに徐々に荷重を掛けていくのが難しかったのである。

来年の統一電子制御ユニットノ導入で真の公平性が実現するはずだ。しかしもちろん資金力のあるチームの優位性は変わらないだろう。何と言っても彼らには優秀な電子制御エンジニアがいて、ブラックボックスからその性能を最大限に引き出すことができるのだ。

2016年もマシンによる違いは残る。何年か優勝を経験していないメーカーについてはエンジン台数制限が緩和されるのだ。そうしたチームに対しては9台のエンジンが許される。さらにシーズン中にエンジン周りのパーツを導入することも許されている。しかしそれでも同じマシンでの戦いは素晴らしいものになるだろう。
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来年が今年より楽しくなると、とんでもないことになりそうですね!!

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コメント

ここに来てスッポさんがドゥカティの来季の
優遇策を撤回しようという動きが出てきたのが
気になりますね。
スズキも賛同しているそうですが、
どうなりますか。

投稿: ブラインドカーブ | 2015/05/11 06:54

お疲れ様です。
2012年以来のモトGPのレギュレーション、カテゴリーの移り変わりは、ある意味、仕方がないのかなぁ と思っていました。 2011年のレースをビデオで見ると、グリッドに4列しかライダーが並んでないんですよね。。 CRTを経て、今の形になったのは、ドルナにとっても想定内、というか今の形が目指した形になっているのでは? と感じます。 ドゥカティがオープンクラスでエントリーへの批判はありますが、実は、ヤマハも、ホンダも、もし望んだのであれば彼らもオープンクラスでエントリーできたこと、意外に触れられていません。オープンクラス用の電子制御の開発にドゥカティがかかわっていたという話もあるので、シンプルな話ではないかとは思いますが、ポジティブに考えれば、性能差をなくすためにハンデを与えている、そしてそのハンデは、強いものでも選択可能。 そんな風に考えると、ドルナの措置はそこまで不条理なものではないと思いますし、そして結果としてホンダ、ヤマハのみがここ数年勝ち続けてます。(2010年のケイシー以来最後にホンダ、ヤマハ以外が勝ってないですよね) 

現在は、結果として20台以上のマシンがエントリーしてますので、13台の頃よりははるかに見ていて楽しいです。 モトGPのF1化については、今のF1を見ていると誰もが懸念をしていると思いますし、もちろん自分もしています。試行錯誤が続くとは思いますが、全身を使ってマシンを操るという要素が残っている限り、二輪レースとしてのFUNは残ると信じています。

投稿: ken | 2015/05/11 13:30

>ブラインドカーブさん
 まあ今年勝ったら優遇措置はなくした方がいいんでしょうね。実際もうハンディ無用の速さですし。

投稿: とみなが | 2015/05/14 20:40

>kenさん
 グリッドが賑やかなのは素敵ですよね!マシンの優劣は昔からあったことだし、私がGPを見始めたころは既にワークスがぶいぶい言わせてたので、実を言うと、性能差もあまり気になっていないんです。

投稿: とみなが | 2015/05/14 20:41

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