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ドルナCEOカルメロ・エスペレータ氏へのインタビュー

GPというのは、その統括団体FIM(世界モーターサイクル連盟)の下、メーカー、チーム、そして興行主であるドルナによって運営されています。かなり粗い言い方をすると、FIMが元締めで、FIMが主催するレースにチームが参加して、メーカーがマシンを供給するという形。ではドルナは何をやっているかというと、レースを興業として成立させてお金が回るようにしているということですね。もちろんドルナも稼いでいますが、興業としての魅力を増すことで、チームも経済的に成立するようにしているということです(いくら稼いで、いくらチームや興業自体に回っているかは、ドルナもその親会社である投資ファンドのブリッジポイントも上場企業ではないのでよくわからないんですけども)。
そのお金を回してくれているドルナのCEO(最高経営責任者)であるカルメロ・エスペレータ氏にCycle Worldがインタビューしていますので訳出。
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彼のMotoGPでの立場はF1で言えばバーニー・エクレストンということになる。ドルナのCEOであるカルメロ・エスペレータがこの業界に足を踏み入れたのはスペインのサーキットの創設者、そして管理者としてだった。4輪、2輪ともにレースが大好きだったのだ。そして彼がバーニー・エクレストンと親交が深かったこともあり、FIMがテレビ放映権を売ることにした1990年、エスペレータは鍵を握る男となったのである(当時テレビ放映権はエクレストンが持っていた)。1991年にドルナに参加したエスペレータは1992年にそのテレビ放映権とその他の商業権を手にすることになった。当時ドルナの社員はわずか7人。今ではそれも300人ほどとなっている。MotoGPが開催されてヘレスで、我々は彼のオフィス(パドックの中心に設置されたドルナの巨大なテントの中だ)に招き入れられ、ここまでの成功の話を説明してもらった。

エスペレータ:レースは私のDNAです。人生を通じてモータースポーツに関わってきました。最初にF1を見たのは1951年、5歳の時です。バルセロナのペドラルベスサーキットのアヴィンギューダ・ディアゴナル通り(訳注:バルセロナの目抜き通りの一つ)で見てたんです。アマチュアのバイクレーサーとして走っていた1974年にバルセロナの150km南にカラファトサーキットを作りました。マドリッドのハラマサーキットも走りましたね。その後、1988年にバルセロナのモントメロサーキットの管理委員会の委員長になりました。


サイクルワールド:最初に乗ったバイクは何ですか?

エスペレータ:モンテッサの250です。最初に乗った4輪レーサーはR8TSですね。ルノー国内選手権で走ってたんですよ。そのあとはフォーミュラカーで走ってましたね。F3よりちょっと下のクラスでフォーミュラ1430と呼ばれていたやつです。それから耐久の場はラリーにカルロス・サインツのナビとして参加しました。最後にレースを走ったのは去年のアンドラのアイスレーシングですよ。


サイクルワールド:1991年にドルナに参加したときの話ですが、バーニー・エクレストンと友人だったことはかなりテレビ放映権の確保に役立ったんですか?

エスペレータ:ええ、かなり役立ちましたよ。バーニーはチームの集まりであるIRTA(訳注:国際レーシングチーム協会)と契約してたんで、かなりいろいろ話し合いました。最終的に合意に達して、FIMが予定してたより1年早い1992年から始められたんです。いろいろバーニーから学んでいます。彼がこういうビジネスを作り上げたわけですしね。私がやってたのは4輪と2輪の違いを際立たせつつも、バーニーのやり方を2輪レースに持ち込むとこだったんです。


サイクルワールド:バーニーもあなたも強大な権力を持っているわけですけど、二人の共通点と、相違点を教えて下さい。

エスペレータ:どちらもモータースポーツを愛していますね。でも性格は違いますよ。権力の行使という面では、私は交渉するのが好きなんです。自分が勝ってもみんなががっかりするんじゃあね。私は合意を重んじるんです。


サイクルワールド:かつてはメーカーがもっと力を持っていました。今は究極の技術テストの場としたいメーカーのニーズと、まかなえるお金の範囲で最高の興業を実現したいドルナの間でバランスがとれているようですが、どのようにそこまで持ち込んだんですか?

エスペレータ:MSMA(モーターサイクル・スポーツ製造者協会:メーカーの集まり)を作ってメーカーは力を増したんですよね。でもこれは権力の話というよりルール制定についての話なんです。技術規定に対する意見が違ったら、ちゃんと議論をしてすりあわせるんです。最終的な権力というのはFIMにありますからね。FIMの会長ともいろいろ離しているし、みんなが幸せになるような、そうでなくても少なくとも大部分が幸せになるような結論を出してきたと思っています。大事なのはFIM、メーカー、ドルナ、IRTAがちゃんと議論に参加して同じ目的のために合意に達するということですね。


サイクルワールド:ドルナとFIMはどういう価値観を共有しているんでしょうか?

エスペレータ:とにかく2輪レースを生き残らせなければならないということですね。ロードレースはもちろん技術開発の場としても重要ですけど、メーカーの言うなりにコストを増やしていくわけにはいかないんです。参加しているのはメーカーだけではないですからね。サテライトチームのことも守らなければならない。これは誇りをもって言いたいんですけど、MotoGPサーカスは4000人の大家族なんです。MotoGPを守り続けるということは、その家族の仕事を保証するということでもあるんです。


サイクルワールド:オープンマシンの導入は実にうまくいきましたし、ドゥカティが競争力を取り戻すことにもなりました。デスモセディチGP15がこれほど短期間にこれほどの成功を収めると予想していましたか?

エスペレータ:ドゥカティについても、このシステムについても喜んでいますよ。いずれにせよ、来年は同じ電子制御を使うことになりますし、将来的には1クラス化されることになります。ドルナは各チームに無料で電子制御ユニットを提供します。そうすればコストも削減できますし、興業としても面白くなるはずです。ソフトウェアはメーカーの協力を得て作製されています。


サイクルワールド:ルールがある程度変わらないということはメーカーの開発計画には重要なことなんですか?

エスペレータ:ええ。新たな技術ルールと、商業ルールについては合意しています。2016年についてはすでに決定済みですし、その後は2017年から2021年までルールは改定しない予定です。もちろん安全面とかで、全員が変更が必要だと考えたら別ですけどね。


サイクルワールド:2017年にKTMが参戦すれば6メーカー、24人のライダー(ワークス×12+サテライト×12)ということになります。プライベートチームにはドルナから今以上の支援があるのでしょうか?

エスペレータ:オースティンとアルゼンチンでメーカー及びチームと合意を交わしています。具体的にはメーカーとはマシンのリース費用の上限についての商業ルールについて合意したんです。で、そのリース費用はドルナからチームに対して支払うことになっています。各メーカーは2人体制で、さらに2人分のマシンを供給することも義務づけています。しかしそでは既存のチームに対してだけです。参戦台数が22台を下回るまでは新たに参戦するプライベートチームはないということになります。プライベートチームはどこのメーカーのマシンをリースするか決めることができますが、一方でメーカーは最大6台(ワークス2台、サテライト4台)まで走らせることができるようになっています。

サイクルワールド:つまりドルナはサテライトチームに対してライダー1人あたり180万から200万ユーロ(邦貨換算3億円くらい)のリース費用を肩代わりしてあげるということですか?

エスペレータ:チームに対してリース費用をカバーできるくらいの支援をする予定です。ドルナとしては思い切った決断ですね。2016年、2017年についてはドルナの負担は30%増しとなります。


サイクルワールド:ドルナはMotoGPと同時にワールドスーパーバイクのマネジメントも行っていますし、その他にもFIMジュニアカップシェル・アドバンス・アジア・タレントカップなど、プロフェッショナル・ライダーの全キャリアの面倒を見られる状況にありますね。強いライダーが様々な国から出てくることはやはり重要なんですか?

エスペレータ:違う国から強いライダーがそれぞれ出てくるのはGPの生命線ですね。特にGPを開催する国から出てくることが重要なんです。米国マーケットは非常に重要で、いいイベントを開催しなければなりません。もちろん米国には様々なモータースポーツイベントがあるので、簡単なことではないですけどね。それとヨーロッパとアジアでレースをやると米国にとってはうまい時間帯ではないというのもありますね。米国はドルナにとって非常に重要なマーケットですし、メーカーにとってもそうですね。そしてMoto Americaはロードレーシングの再興のために非常にがんばってくれてます。ドルナとしてもできる限り彼らを支援していきますよ。


サイクルワールド:MotoGPが盛り上がってるのはヴァレンティーノ・ロッシのおかげもかなりありますよね。ゼッケン46がここまで成功するというのはどれほど重要だと思われますか?

エスペレータ:ヴァレンティーノは本当に重要ですよ。性格とかそういう問題じゃないんです。まずなにより、素晴らしいライダーということですね。これは全世界が認めていることです。ヴァレンティーノのおかげでGPは本当に大きくなってきたんです。2003年の加藤大治郎の悲劇的な事故のあとに安全委員会を開催し始めたんですが、ヴァレンティーノは必ず毎回出席しているんです。そしてその時から今日までずっと現役でいる唯一のライダーなんです。


サイクルワールド:ヴァレンティーノ・ロッシは少なくともあと2年は現役を続けたいと言っています。

エスペレータ:たったの2年ですか?私は68歳ですけどまだ現役ですよ!ヴァレンティーノももっと長くやってくれるといいですね。
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いろいろ言われていますが、ドルナがMotoGPを大きくしたのは間違いないと思います。それが日本で見えないだけで。そしして日本だとドルナにあたる組織を主催者であるMFJが兼ねちゃっているという構図で、そこらへんにも問題がありそう…。プロが必要なのではないかしらん…。

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