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もっとトラクションを!:マルク・マルケス

2015年型RC213V。テストでは速さを見せていますが2年連続チャンピオンのマルケスはさらなる進化を望んでいる様子。その意味とメーカーは何をしなければいけないのかについてCycle WorldのKevin Cameron氏が解説しています。
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今月初めにマレーシアのセパンサーキットで行われたMotoGPテストの終盤、レプソル・ホンダのマルク・マルケスが望んだのは「さらなるトラクション」であった。ここで言う「トラクション」とはコーナーやエッジグリップとは別の話であり、ホイールスピンなしに加速できる能力を差しているようだ。

私がこのコメントを見たときに思い出したのは2005年の話だ。このときもホンダのライダーたちがトラクションを求めていた。一方でヤマハのヴァレンティーノ・ロッシにはそんな必要はなかったのだ。何が違っていたのだろうか?ライディングスタイルの違いもある。ホンダのライダーはダートトラック風の乗り方をしており、それがカル・クラッチローが言うところの「ホンダ独特のV字型コーナリングライン」となって現れている。V字の頂点で最も強烈に向き変えが行われる。その向き変えに集中するためにライダーは思い切ってスピードを落とすのである。その分加速も強烈にしなければならない。つまりそこで加速のためのトラクションが必要となるのだ。

それとは対照的なのがコーナリングスピード重視のライディングスタイルだ。そのためにライダーは大きな弧を描いていくことになる。常に車速は速いままだ。こうしたスタイルのライダーは高いコーナリングスピードを実現するためにエッジグリップに頼ることになる。そしてコーナリングスピードが高い分、トラクションの必要性は低くなるのだ。2005年の終盤にロッシがトラクションを要求しなかった理由である。

ホンダの要求に対応してミシュランは太く、そして空気圧が低いタイヤを2006年のプレシーズンテストで登場させた。当初はこのタイヤのせいでホンダのマシンにはチャタリングが起きてしまったが、最終的に彼らはこれを克服することができた。一方のヤマハはテストでは増大したグリップからくるトラブルは少なかったものの、開幕戦でロッシがチャタリングに襲われると驚くことになる。これを解決するのには時間がかかり、ロッシはポイントスタンディングで大きく出遅れることとなってしまった。

レースではこうしたことがよく起きる。マシンに関連する全てのものが相互に影響し合っているのだ。パフォーマンスのある部分を改善しようと思ったら、必ずどこかに悪影響が出るのである。1年以上前にドルナがブリヂストンに対して序盤3周までのタイヤ温度上昇特性を改善するように要求した。これはダートトラック風の乗り方のマルケスには吉と出たが、コーナリングスピードを重視するヤマハにとっての生命線であるエッジグリップがわずかに失われることとなってしまった。つまりこれまで重視されてきた馬力やパワーバンドの広さやサスペンションといったことよりも、メーカーがどれほど早くタイヤやルールの変化に対応できるかの方が重要になってしまったことを意味している。微妙に異なる何種類ものフレームを単位時間にいかにたくさん設計し作成しテストできるかが求められるのである。

勇気のある弱小チームが驚くようなアイディアで巨大チームを倒すというのは素敵な話だが、そんなことは一度しか起きていない。2007年にケイシー・ストーナーがドゥカティと統一タイヤサプライヤーになる前のブリヂストンでチャンピオンを獲得したときだけだ。
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だからルールはある程度一定の方がいいのかもですね。

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