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ニューマチックバルブの効果

スプリングのかわりに圧搾空気の反発力を使ってバルブをコントロールするニューマチックバルブですが、ホンダはプロトタイプマシンにのみこれを採用。オープンクラスは通常のバルブスプリングだったために、パワーが今ひとつという結果になりました。とは言え、私もなぜニューマチックだとパワーが上がるかはよくわかっておらず、そんななか、こんな記事が出ましたのでとりあえず翻訳。Cycle WorldのKevin Cameron氏の記事です。
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先日のマレーシア、セパンでテストを行ったMotoGPルーキーのジャック・ミラーがニューマチックバルブを搭載したホンダRC213V-RSについて、「スムーズだしパワー特性がコントローラブルだ」と言っていたのは注目に値する。

ニューマチックスプリングは、単に高回転まで回せるというだけではないということは強調しておきたい。ニューマチックバルブの最大のメリットは短時間でバルブのリフト量を稼げるということなのだ。これは金属スプリングではできないことである。金属スプリングのエンジンは、戦闘力を上げるために高回転まで回せるようにするにはバルブを開ける時間を多くして、しかもバルブリストは少なくしなければならないのである。そしてそのせいでパフォーマンスについては一種の妥協を強いられるのである。2006年のヤマハは正しくここに苦労していたのだ。

金属スプリングでバルブ解放時間を長くしようとすると、次のような問題が起こる。

1)低中回転域ではインテークバルブを下死点後も長く開けてしまうと、せっかく吸入した混合気をピストンが押し出してしまう(高回転域では吸入する混合気の勢いが強いために、これが実質的な蓋となって混合気が抜けてしまうのを防ぐことができる)。シリンダー内の混合気が少なくなってしまうということは、エンジンが発生するトルクが少なくなることを意味する。

2)上死点前の早い時点からインテークバルブを開ける、すなわちオーバーラップを大きくしてエキゾーストバルブが閉じていない段階からインテークバルブを開けると、エキゾーストパイプの脈動のせいでピークトルクの前にフラットスポットでできてしまう(これは中回転域でエキパイの背圧によりシリンダーに廃棄が逆流してしまい、インテークパイプやエアボックスにまで排気が戻ってしまうことによる)。

この2つの問題のせいで、低中回転域ではトルクが小さくなってしまうのだ。結果としてピーキーになり、トルクのフラットスポットをすぎるといきなりトルクのピークが訪れることになる。これはライダーにとっては、本当はスムーズに抜けたいコーナー出口でトリッキーになるということになるのだ。

そして3つめの問題としてトップエンドでの吸気量が少なくなってしまうということがある。金属スプリングで高回転を実現仕様とするとバルブリフト量がが少なくなってしまうからだ。

要するに、ニューマチックスプリングによりエンジンと混合気の流れにとって理想的なバルブ動作に近づくということなのである。
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なるほどー。ちなみにニューマチックバルブについては野田健一さんによるこちらのサイトが勉強になります。

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コメント

ホンダの方に言わせると、ニュウマチックの方が
エンジンのマイレージが長くなるそうです。
バルブスプリングに凄い負担がかかっているって
ことなんでしょうね。

投稿: ブラインドカーブ | 2014/12/03 09:49

二ユーマチックバルブの効果はよく分かりました。 但し、ホンダが重い腰を上げて採用を決断したのは、800cc移行後のドゥカティの最高速の優位性に対抗するためであったというのは事実だと思います。 つまり、高回転化→パワーアップ→最高速のアップ という要素が、採用の最も大きな動機であったかと。

デスモドロミックバルブ機構の短長所についてのリンクもあり、これも非常に分かりやすい解説ですが、何故、ドゥカティは最高速が速いのか? という究極の質問の答えになっていないように感じました。高回転でのフリクションロスが金属バルブより大きくなるのであれば、ドゥカティのパワーは、バルブ機構以外から来ていることになりますが、その点で、特にホンダが劣っているとは考えずらいですよね。 力学を超えたメリットがデスモドロミックエンジンにはあるのではと感じてしまいます。ドゥカティが、今に至っても最高速で優位性を出しているのは、ひょっとしてエンジン機台数の制限が緩いからでしょうか?

投稿: ken | 2014/12/03 16:53

ニューマティクと聞くと、私などは90年代のウイリアムズを思いだしますね。
あのマンセルのルノーV10が、やすやすとセナのホンダを抜き去っていった映像が記憶にあります。
今のmotogp車は最高速が360㎞!にも達するといいますよね。
ロレンソやロッシが危惧してたようですが、やはりもう少し速度は落とした方が良いと思います。
技術向上という意味とは別の意味で。

投稿: motobeatle | 2014/12/03 18:53

>ブラインドカーブさん
 確かに空気はへたりませんしね。

>kenさん
 ドゥカティの最高速はデスモのせいというより耐久性に目をつぶった結果の可能性が大だと私は思っています。

>motobeatleさん
 もう最高速が上がっても誰も幸せになりませんしねえ。

投稿: とみなが | 2014/12/04 20:26

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