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ホンダを追え!

今シーズン、マルケスの天才的なライディングに加えて圧倒的なマシン性能を武器にコンストラクターズタイトルを獲得したホンダですが、他メーカーも黙ってはいないはず(というか黙っていてほしくないですし)。そんな状況についてMat Oxley氏が記事を書いてます。Motor Sport Magazineより。
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あなたがこの記事を読んでいる間にもヴァレンシアでの最初のオフシーズンテストではマシンが走り、スパナが回されている。相変わらずの見慣れた光景だ。ホンダに追いつくためのゲームがまた始まった。

現時点でRC213VがMotoGP界最高のマシンであることは誰もが知っている(この4年間で3回のライダータイトルと4回のコンストラクターズタイトルを獲得しているのだ)。そしてその理由もみんなが知っている。ヤマハYZR-M1のコーナリングラインは素晴らしく美しい。コーナーをきれいに曲がっていく。そこにホンダが切り込んでいく。コーナー入り口ではフロントが跳ね、出口ではホイールスピンを見せる(しかしそれは多からず少なからずではある)。

そしてもちろん忘れてはならないのは、RCVの最も重要なパーツは、力にあふれてしかも素晴らしいできのハイテクコンピュータだ。これがハンドリングをコントロールしているのである。結局これを乗りこなして素晴らしい設計思想のポテンシャルをフルに発揮できたのはマルク・マルケスだけなのだが。

ホンダのマシンは小さく、21世紀仕様のサーキットに最適化されている。もしMotoGPが未だにフィリップアイランドのような高速コーナーで構成されたオールドタイプのコースで開催されているならM1こそが最高のマシンとなったろう。しかし21世紀仕様のサーキットに良く見られる低速コーナーやシケインではホンダがヤマハを1mか2mリードするのだ。1ラップにそうしたコーナーが6つもあれば、それが1レースでは25倍されるのだからホンダは100mばかり前に行ってしまうのである。

ではヤマハや他のメーカーはどうすればいいのだろうか?

実に馬鹿げた質問だよ。

ヤマハはコーナー進入時とコーナー脱出時のパフォーマンスを改善するために努力し続けているんだ。やめてくれシャーロック!ヴァレンティーノ・ロッシとホルヘ・ロレンソはヤマハにずっとフルシームレスのギアボックスを出してくれるように頼んでいる。マルケスのようにコーナー進入でシームレスにシフトダウンしたいのだ。しかしヤマハがシフトアップだけのシームレスギアボックスをホンダに遅れること2年半で導入して以来、音沙汰無しである。

2009年からヤマハのトップライダーであるロッシはこう言っている。「新型ギアボックスはぜひ欲しいですね。ずっとヤマハに言い続けてるんですよ。いつ?いつ?いつ?いつ?って」

しばらくすればヤマハは新型フレームを導入する。ロッシは付け加えてこう言っている。「ブレーキングとコーナー進入の改善になって、フロントタイヤへの負担も少ないやつですね。それがホンダの最大の強みですから」

しかしロッシはホンダがRC213Vを2015年に向けて作り直すとは思っていない。「ヤマハが改善されても基本は変わらないでしょうね。ホンダとヤマハが考え方が根本から違うんです。ホンダはうちみたいなコーナリングスピードは出せないでしょうし、ヤマハはホンダみたいなタイトなコーナリングはできないでしょう」

2月のセパンでGP15が出てくるまではドゥカティについては大して語ることはない。「アンダーステアリングの問題を解決するためにジオメトリーを変えなければなりませんけど、現在のエンジンではそうしたジオメトリーは実現できないんですよ」とジジ・ダリーニャは言う。「GP15のエンジンは小さくなります。シャーシの設計者にとってエンジンを可能な限りすることはとても重要なんです」

少なくとも先週のスズキにとってMotoGPの大海への航海のスタートは幸先の良いものではなかったろう。2基のエンジンを壊し、トップスピードは20kmほど下回っていた。予選は20番手で本戦はギアボックスのトラブルでリタイアしている。まあ最悪の結果とも言えるが、おそらくスズキのピットの中の人たちは、それでも意気消沈しているわけではないだろう。レースでは楽観主義が必須なのである。

スズキの最大の問題はパワー不足だ。ざっくりみつもって230馬力程度であろう。ホンダの260馬力には程遠い。

しかしシャーシはどうだろう?アレイシ・エスパルガロはGSX-RRのシャーシには満足している。クリッピングに向けてブレーキを遅らせることができるその能力に熱狂しているのだ。まるでホンダのようである。彼のラップタイムがシャーシの優秀性を照明している。パワー不足にもかかわらずエスパルガロはフォワードヤマハで日曜に記録したタイムを上回っているのだ。

「シャーシに関するアレイシのコメントは実にいいものでした」とエスパルガロのチーフメカであるトム・オケインは言っている。「でもコーナー進入がすごくうまくいくってライダーが言っているときにはエンジニアとしては『ああ、コーナー脱出に問題があるんだな』って思っちゃうんですけどね。
 でもコーナーをうまく曲がれるってのは事実ですからね。そこがいいってのは、いつでもその力を引き出せるってこなんです。もしスロットルを閉めても開けてもマシンがうまく曲がれるなら、それが悪さをすることはない。それはボーナスみたいなもんですね。スズキのシャーシについての思想はすごく良いってことはわかってるんですよ。すごく一生懸命いろいろ考えているんです」

オケインが最も気にしているのはコーナー脱出である。「ホンダの最大の優位性は低速コーナーからの加速性能なんです。グリップが少ない時こそホンダは何メートルか前に出られるんですよ。そこに追いつかないといけません」

スズキはパワー不足についてはそれほど心配していない。ドゥカティのアンダーステアという終わらない悪夢に比べれば、はるかにましなのだ。

「マシンが曲がらなかったら次のテストをするまで何もできないんですよ。つまり5週間は手が着けられないってことですね」とオケインは言う。「でも問題がパワー不足なら昼夜を問わずいろいろ試すことができる。だから最悪の問題ってわけじゃないんですよ」

スズキに対して期待していない人が多いというなら、アプリリアに関してはもっとだろう。ヴァレンシアでのラップタイムはMotoGpワークスマシンのレベルではなかったからだ。現段階ではアプリリアがやっているのは、公道用RSV4のエンジンにニューマチックバルブを載せて、ここ数年使い続けているARTのシャーシに搭載したということだけだからだ。

RS3キューブ以来のフルスペックのMotoGPマシンは来年の9月までは登場しない予定だ。これが2016年型となるが、これは思ったより賢い選択だろう。2016年にはミシュランタイヤに変更されドルナの統一ECUも導入されるからだ。

そこでミシュランがホンダのコーナー進入の優位性にどんな影響を及ぼすのか、そして現在のものほど進んでいない電子制御がコーナー脱出時の優位性にどんな影響を及ぼすのかという疑問が当然湧いてくる。ホンダはこれまでの苦労の末に手に入れた電子制御のノウハウをマニエッティ・マレリ社(訳注:統一電子制御ユニットのメーカー)に提供して、世界中に航海するほど馬鹿ではないだろうからだ。そんな気狂いじみたことをするほどホンダは狂ってはいないだろう。

「それはないですね」とオケインはニヤリと笑う。「ホンダが提供するのは今走っているもののお子ちゃま向けおもちゃみたいなバージョンでしょう。彼らはそれで満足するでしょうね」
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スズキ、以外と期待できるんではないでしょうか?

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