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直言御免。クラッチロー語る パート2:やる気とロッシの後追いとワークスライダーになることについて

MotoMatters.comによるカル・クラッチローへのインタビューのパート2です。
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今年はカル・クラッチローにとって厳しい年となった。4回の表彰台でランキング5位に入った絶好調だった2013年終了時点では彼は翌シーズン優勝 するだろうとまで思われていたにもかかわらず、ドゥカティでの初年度は散々な結果となっている。技術的なトラブル、クラッシュ、デスモセディチに取り憑いたアンダーステアとの果てしない戦い。今年のクラッチローは集団に飲み込まれゴールまでまともな争いができないままだ。これは彼がドゥカティとの契約書に サインした時点では思いもしなかった状況である。
今シーズン14戦目となるアラゴンのレースに先だって、我々はクラッチローに今年のこれまでの状況、そして来年の展望、この状況下でどうやってやる 気を失わないでいられるのか、等々について尋ねてみた。カル・クラッチローは例によって包み隠さず真っ正直に今シーズンを語ってくれた。責めるべき相手は責め、不遇なシーズンを送ったライダーが感じる恐れと自分に対する疑いについて話してくれたのだ。このインタビューで彼は他のライダーが話すことがないレースの一面について語り、ライダーとして、そして人としての勇気について教えてくれた。
月曜に掲載した第1回はドゥカティに適応するための苦闘、そして2014年がMotoGPキャリアで最 も厳しい年になったことについてだった。この第2回では引き続き暗黒に覆われた今シーズン、結果が出せない中、どのようにしてやる気を維持しているのかについて語っている。さらに水曜掲載予定の第3回では精神力がいかに重要かということ、ジャック・ミラーのMotoGP昇格について語る。

MotoMatters:やる気については是非お聞きしたかったんです。去年みんながカル・クラッチローについて話題にしていたのは、いつMotoGP初勝利を挙げるかでした。今年と比べてみると去年は勝つために走っていましたが、今年は10位以内が目標になってしまっていますね。そうとう精神的にきついと思うのですが。

クラッチロー:ええ、かなりやる気を削ぐ話ですよね。自分にとって最悪なのは、まあ僕自身がそう思っちゃうんですけど、自分がちゃんとやれてないってことなんです。まあ実際そうなんですけどね。僕がちゃんとしないのがいけない。でもうちに帰ったら自分に厳しくして、今まで以上にきついトレーニングもしてます。別に理由があるわけじゃないんです。そういうのはトレーニングとは関係ないですからね。
 わかるでしょ、うちに閉じこもってると考えちゃうんですよ。高い金もらって、自分ほどは全然もらってないライダーの後ろでフィニッシュするなんてってね。でも自分で勝ち取ったワークスチームという立場だって思うんですよ。自分でもOK、速く走ればいいんだってわかってて、でもできないってのはやる気が失せる話ですよね。もし速く走れてたら、どうしたらいいのかわからないなんて言いませんよ。でもみんな「なんで奴を倒せないんだ」とか「なんでトップ10に入れないんだ」とか「なんでアンドレア・ドヴィツィオーゾやイアンノーネみたいにできないんだ」とか好き勝手言いますよね。もしそうできるならやってますよ。簡単な話です。だからうちに閉じこもらないで、週末に休みをとってクルーズしたりするんです(訳注:cruise aroundなので自転車で流してるのかもしれません)。
 ルーシー(原注:長いことつきあっているクラッチローの妻)と前にこのことについて話したんですけど、最大のターニングポイントはテキサスでのクラッシュだったんです。それまでクラッシュが怖かったことはないんですよ。これまでにも何度か転倒してますしね。まあ他のライダーほどは転倒してませんけど。たぶんトップ10リストからは遠いと思いますけど、今年は去年や一昨年よりさらに転倒が少ないですね。でもそれは前ほどリスクを冒さなくなっているからで、テキサスでのクラッシュでリスクを冒せるほどの自信がなくなったんですよ。


MotoMatters:来年も違うマシンに乗るわけですが、一番大事なのは自信を取り戻すことに見えます。あと違うマシンを学び直さなければなりませんね。どうやって自信を取り戻すんですか?マシンが変われば自動的に自信も戻ってくるんでしょうか?マシンを替えれば心配がひとつ無くなるとか?

クラッチロー:自信をなくしたのにはいろんな背景があるんです。バイクに乗ることだけではなく、サーキット外でも諸々がたいへんなんです。良いチームと良いマシンがあればすぐに自信は取り戻せると思いますよ。
 まあヴァレンティーノ(ロッシ)を見てればわかりますよね。僕が今ドゥカティでしている苦労から逃れたわけだけど、まあ誤解しないでほしいんですが、ドゥカティの2年でも表彰台に乗ってるわけですし、でも良い結果を残せたとは言えないですよね。で、彼はメーカーを移ってこないだのミサノでは優勝した。だから僕も安心しました。誤解しないでくださいね、僕はヴァレンティーノ・ロッシじゃないし、9回もタイトルを獲ったわけじゃない。僕が彼みたいになれるって言ってるわけじゃないし、彼みたいに乗れるって言ってるわけでもない。同じ人種だとも思ってません。でも問題なく復活できるってのに本当に勇気づけられてるんです。彼はヤマハに復帰した去年、カタールですぐに表彰台に上がりましたよね。それ以来速さを取り戻しました。去年は年間を通して強さをみせたわけじゃないですけど、やれるところでは強さを発揮した。あの1年間を通して彼は学び直して今年は完全に強さを取り戻したんだと思います。
 だから復活できるってことに勇気をもらったんですよ。今考えているのは、2011年はきつい年でしたけど難しいコンディションの最終戦ヴァレンシアで4位に入れたってことです。翌日のテストでは2番手タイムでしたし、あれはよかったですね。自分に力があると示せたんですよ。セパンでのウィンターテストでは速さを見せられたし、2回ともトップ5に入れました。で、翌シーズンのカタールではフロントローを獲れたんです。
 何かを取り戻すのにバイクに乗って良い気持ちでいられる1日があればいいのか、良い1ラップがあればいいのか、それとも良いセッションが1つあればいいのか、それはわかりません。だって今の僕には何もないですからね。自分が満足できるラップもなければセッションもない。やる気について話してましたけど、何か勇気づけられるものが必要なんです。さっき言った通り、1ラップうまく走れればいいのかもしれないんです。最終戦後のヴァレンシアテストですごいラップができるかもしれないし、最高の気分になれるかもしれない。去年みたいなね。まあそれはわからないですけど。でも心配はしてないですよ、もちろん。みんなは僕が他のライダーと比べて速く走れてないって心配するでしょうけど、僕は来年も今年と同じようになるとは全く思ってないんです。でなきゃなんで走り続けるんです?


MotoMatters:まだ戦闘力があると考えているんですね。

クラッチロー:もちろんですよ。それは疑ったこともない。だってまだここにいるんですよ?うちに帰って楽な暮らしをすることだってできるんです!もし競争がいやになってバイクレースに疲れたら、今みたいにここにはいないですよ。間違わないでほしいんですけど、僕はものすごく努力してるし、人生の100%を注ぎ込んでるんです。でもそれが今はうまくいってないだけなんですよ。でも来年も同じだとは全く思ってないし、でなきゃ契約なんてしませんよ。もっとストレスが少なくてプレッシャーとかもない別の暮らしだってできるんです。
 でもこれが世界最高の仕事だと信じているし、まあきつい仕事なのは確かですけど、レースの日にサーキットを走るのは何かすごいことなんですよ。


MotoMatters:今はワークスライダーですよね。それで仕事やプレッシャーが予想以上に増えたってことはありますか?それとも覚悟はしてました?

クラッチロー:難しい質問ですね。ワークスライダーになるためにドゥカティに入ったんで、そんなことを考えるわけにはいかないんです。でも何を期待していいかってことですよ。僕は良い成績が挙げられなくて、離れることを選んだわけですから。ワークスとしてのドゥカティはすごいですよ。それにここで働いてるのは最高に頭のいい人たちなんです。僕のチームも本当にすごく頭のいい人たちですね。それにこんなに働くチームと一緒にやったことはないですよ。夜中の2時まで働いてるんです。テック3ではみんな5時半に仕事を終えて、みんなサイクリングに出かけていた。ここでは仕事をやめないんです。だから情熱も凄いってことですね。
 まあ確かに仕事はたいへんになったし、増えもしました。エルヴェ(ポンシャラル:テック3のオーナー)とやってたときは3年間でPRに使ったのは3日だけでしたけど、ここでは全然違います。シーズン開幕が永遠にこないんじゃないかと思うくらいでしたね。最高の気分だったわけじゃなくて、なんか変な感じでした。開幕前にあちこちに行ったんですよ。ドイツに行って、イタリアに行って、セパンにテストに行って、またイタリアに行って、ドイツに戻って、またイタリア、でマン島に帰って、次はカタール。これが続いたんですよ。レースに集中する時間がほしかったですね。でもまあこれは予想してましたし、文句は言いません。ワークスってそういうものなんです。それはわかってました。単にそういうのが好きじゃなかったってことなんですけどね。でも誤解しないでほしいんですが、ワークスに所属するってのは特別なことなんです。すごいひとたちと一緒に働けるし、メーカーの人と直接やりとりできるんですよ。中に人が立つんじゃなくてね。
 でも、そうですねえ、エルヴェと一緒にやってたときには環境も違っていて、そっちが懐かしかったですね、正直言うと。エルヴェは甘やかしてなんかくれなかったし、僕が間違っているときははっきりそう言う人でした。クラッシュすれば叱られたし、遅ければそれで叱られた。でも、なんか変な言い方になっちゃいますけど、僕は彼にすごく気に入ってもらえてたんです。今はまったく逆の感じですね。彼らを責めるつもりはないし、怒っているわけでもないんですよ。それがワークスのやり方なんです。でも来年行くチームはまた違う感じでしょうね。元に戻るっていうか。ジャック(ミラー)がチームメイトになって、それも楽しいでしょう。来年は今年より前を走れるといいと思っています。
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ポンシャラルとのくだりがちょっと泣けます。
あと「don't get me wrong」って口癖みたいに何度も言っていて、なんかドゥカティでも舌禍があったのかなあ、とか心配になっちゃう。そこがいいのに。

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