« ストーブリーグ表2015(2014.10.4時点) | トップページ | 直言御免。クラッチロー語る パート2:やる気とロッシの後追いとワークスライダーになることについて »

直言御免。クラッチロー語る パート1:今年は最悪の年だけどドゥカティへの適応努力はやめない

3回連続のMotoMatters.comによるカル・クラッチローへのインタビュー連載第1回。
============
今年はカル・クラッチローにとって厳しい年となった。4回の表彰台でランキング5位に入った絶好調だった2013年終了時点では彼は翌シーズン優勝するだろうとまで思われていたにもかかわらず、ドゥカティでの初年度は散々な結果となっている。技術的なトラブル、クラッシュ、デスモセディチに取り憑いたアンダーステアとの果てしない戦い。今年のクラッチローは集団に飲み込まれゴールまでまともな争いができないままだ。これは彼がドゥカティとの契約書にサインした時点では思いもしなかった状況である。

今シーズン14戦目となるアラゴンのレースに先だって、我々はクラッチローに今年のこれまでの状況、そして来年の展望、この状況下でどうやってやる気を失わないでいられるのか、等々について尋ねてみた。カル・クラッチローは例によって包み隠さず真っ正直に今シーズンを語ってくれた。責めるべき相手は責め、不遇なシーズンを送ったライダーが感じる恐れと自分に対する疑いについて話してくれたのだ。このインタビューで彼は他のライダーが話すことがないレースの一面について語り、ライダーとして、そして人としての勇気について教えてくれた。

今回のインタビューは長文になるので3回に分けて掲載する。第1回はドゥカティに適応するための苦闘、そして2014年がMotoGPキャリアで最も厳しい年になったことについてだ。第2回は火曜日に掲載予定だが、今シーズンの暗黒面、そして結果が出せないなかでやる気を保つための戦いについての話である。さらに水曜掲載予定の第3回では精神力がいかに重要かということ、ジャック・ミラーのMotoGP昇格について語る。

MotoMatters:2011年が最悪のシーズンだと前におっしゃってましたが、今年はもっときついですか?それとも思っていたよりはましですか?

クラッチロー:まず言いたいのは、僕がドゥカティに来た時点ではやれると思ってたってことですね。自分ではどんなマシンでも乗りこなせると思ってたんですよ。みんなそうだと思うんですけど、自分のことを信じて、できるって思っちゃうんですね。
 実際マシンに乗るまではわかってなかったんですけど、まあ2011年よりひどいでしょうねえ。だってもっといけると思われてるんだし、2011年はいけるとは思われてなかったですからね。2011年も自分ではうまくやりたいとは思ってましたけど、それが違いですね。今うまくやりたいと思ってないわけではないけど、2011年は自分ではいけるはずだと思っていて、だってワールドスーパーバイクではいけてたわけだし、でもそうはならなかった。今リザルトを振り返ってみれば今年よりはいいでしょうけどね。
 ラップタイムは今年の方が早いですし、だから簡単には比較できないですね。今年の方がいいマシンがたくさん走っているし、良いライダーも多い。でも今年の方がきついですよ。だって自分の実力以下しか出せてないってわかってるんですから。2011年は自分に何ができるかわかってなかったし、他のライダーにこてんぱんにやられる覚悟はあったし、まあその通りになったわけですけどね。でも今年は・・・、去年と一昨年が楽だったというわけじゃないですよ。でも今年より安定して戦闘力を発揮できたし、楽ではありましたね。でも今年は70%の力しか出せてないし、全然戦える状況じゃないんです。だからそうですねえ、今年の方がきついですねえ。


MotoMatters:マシンにはどうやって適応しようとしてきたんですか?ドゥカティは見るからにアンダーステアがひどくて、ドゥカティに初めて乗ったライダーはみんなそう言いますよね。ずっとコーナリングスピード重視でやってきて、それができないマシンにどうやって適応しているんでしょう?

クラッチロー:ドゥカティはこれまで乗ってきたマシンとは全然違うんです。そういうことなんですし、それだけなんです。まだライディングスタイルを合わせられてないですね。今年の頭にマシンに初めて乗ったときから5レース目ぐらいまでは頑固になってライディングスタイルを変えなかったんです。何度か言ったことがありますけど、ロレンソ乗ってるのと同じマシンに合わせるのに3年間使って、まあ完璧には乗りこなせなかったかもしれないけど、かなりいいところまでいって、最初よりはすごく速くなったんですよ。それに当時の僕のチーフメカのダニエーレ(ロマーニョリ)が乗り方を教えてくれて、ライディングスタイルを変えたんです。で、それなりの結果が出せた。
 だからドゥカティに来てもコーナリングスピード重視でやってたんです。でもマシンがついてこなかった。だからブレーキングも突っ込み重視に変えなきゃならなかったんですよ。ドゥカティはブレーキングゾーンで強いですからね。僕が乗ったどのマシンよりブレーキングゾーンで強いんですよ。でも僕はブレーキングが得意じゃない。僕のブレーキングって、最初はソフトに、で中盤で強く掛けてリリースするって感じなんです。でもドゥカティは僕の感覚より奥に突っ込んでからブレーキングを始めて、強めに、しかも長めにブレーキを掛けるんですよ。でコーナーに入っていく。僕はブレーキをリリースしてからマシンを曲げ始めたいんですね。ずいぶん僕の乗り方とは違っているんですよ。だからまだマシンに合わせようと努力してる最中です。
 問題は、次のサーキットに行くたびに、前のマシンでの乗り方で走っちゃうってことなんです。アンドレア(ドヴィツィオーゾ)もたぶん去年はそうだったんでしょう。今年の僕と同じようにね。2シーズンで2種類のマシンに乗って、3シーズン目に3種類目のマシンになった。彼も僕と同じように乗ろうとしてたんですよ。去年のアンドレアは今年の僕と同じくらいトップに離されてて、同じくらいのラップタイムですよね。で、今年の最初のテストから俄然マシンに慣れて、それ以来速いんですよ。
 だから、わかると思いますけど、もう1年ドゥカティにいれば、来年の僕も速くなるかもしれないし戦闘力を発揮できるかもしれない。そう思いたいですね。でも来年別のチームに行くからといって、今年マシンにライディングスタイルを合わせる努力をやめるわけじゃないですよ。そんなこと考えたことも無い。次のサーキットで苦労するのは、ドゥカティで走ったことがないから、それだけですよ。


MotoMatters:もしアンドレア・ドヴィツィオーゾやイアンノーネと同じ状況だと言うなら、ドゥカティに適応するには1年掛かるってことですね。去年ドヴィツィオーゾにインタビューしたときにはノイローゼ気味でしたけど、今年は全然違ってイケイケですよね

クラッチロー:たぶん僕と同じような感じだったんでしょうね。さっき言った通り、来年もドゥカティにいればドヴィツィオーゾと同じくらいいけると思うんですよ。もちろん突然優勝できるようになったり表彰台に立ったりってわけじゃないでしょうし、アンドレアも今年が最高の走りをしているように見えますしね。イアンノーネもそうですね。どちらも僕よりうまく乗れている。やる気も僕よりありますしね。それだけでもコンマ4秒は違うんですよ。ほんとですよ。
 わかるでしょ、ミサノのリザルトを見て思うのは、僕は何度かコースアウトして、ミスもたくさんして、それで10秒ぐらい遅れてしまった。あとマシンパワーで10秒の遅れ。だってエンジンが違うから1周あたりコンマ4秒彼らの方が速いんですよ。あと、前のレースで良い結果を残してるとか、これまで何回か良い結果を残したとか、予選が良かったとか、そういうのでやる気がでて、それだけでも速くなるんですよ。
 おかしいですよね。サーキットにいって、たとえばFP1で最速だと、そういうときにFP2や週末全体にすごいやる気が出るんですよ。知ってると思いますけど、僕はドゥカティでソフト側(訳注:オープンクラスと同じ柔らかいタイヤ)を使いたくはないんです。でもドゥカティは速くなるならと使いたがる。それで前の方にいけるんです。その勢いでレースを乗り切ろうとする。それで戦闘力が上がるとわかってるんです。でも僕はそういうのは嫌なんですよ。だってそのタイヤでレースができるわけじゃ全然無いですからね。今年1回はやってみましたけど、そのためには週末中ソフト側を使わなきゃならなくって、でもそれにはルール上、供給本数が足りなくなるんです。
 まあそういうことで、ライディングスタイルを変えてなんとかしようという努力をして、ちゃんと走れるようにという努力は続けますよ。でも次のサーキットでいきなり速くなるというのは難しいでしょうね。


MotoMatters:運動神経を再教育しなきゃならないんですか?それともコースを覚え直さなきゃいけないってことですか?

クラッチロー:両方ですね。またミサノのはなしですけど、あそこではテストをしてたんで、かなりましだったんです。でも金曜が雨で、だからこそうちには有利だと思ったんですよね。テストもしてたし。でもグリップが悪いってわかって、おかげで僕のスタイルには合わなかったんです。他のライダーより影響が大きかったでしょうね。ブレーキを遅らせて、コーナリングスピードが遅くて、脱出加速が速いって乗り方だと影響が少ないんです。ミサノで僕はコーナリングスピードを稼いでマシンを曲げようとしてたんですけど、それは難しかった。
 今年の残りのレースもきついでしょうね。他のライダーは僕より良いパッケージを手に入れてますし。前のレースからそうでしたけど、ここではもっと良くなっている。まあへんな状況ですよね。でもドゥカティは良くやってくれてるし、スタッフはみんな一生懸命ですし、マシンに文句は言わないですよ。スタッフにも文句はないです。今あるものでできるだけのことはやってるし、それだけのことです。
============
次回は明日。

|

« ストーブリーグ表2015(2014.10.4時点) | トップページ | 直言御免。クラッチロー語る パート2:やる気とロッシの後追いとワークスライダーになることについて »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/69409/60435476

この記事へのトラックバック一覧です: 直言御免。クラッチロー語る パート1:今年は最悪の年だけどドゥカティへの適応努力はやめない:

« ストーブリーグ表2015(2014.10.4時点) | トップページ | 直言御免。クラッチロー語る パート2:やる気とロッシの後追いとワークスライダーになることについて »