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ペドロサのチーフメカ、マイク・レイトナーへのインタビュー:レースの戦略、スタートの危険性、タイヤの過去と未来

ペドロサと10年間一緒にやっているチーフメカへのインタビューです。Motomatters.comより。
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ダニ・ペドロサが彼のチーフメカであるマイク・レイトナーと働き始めてもう10年以上になる。ペドロサが250ccにデビューした2004年からなのだ。ペドロサとレイトナーの絆は強い。オーストリア人であるレイトナーの手によってペド画長は2回の正解タイトルと41回の勝利を2つのクラスで挙げているのだ。

マルク・マルケスがMotoGPにやってきたことでレプソル・ホンダには様々な変化があった。マルケスの天性のスピードのせいで、ペドロサと彼のチーフメカはレースへのアプローチを考え直すことになったのだ。2人はマルケスという若いチームメイトに対抗する術を考え出さなければならなかったのである。今シーズン序盤ではペドロサはレイトナーの戦略がうまくいっていないと何度もこぼしていた。その戦略のせいで戦えなくなっていると言っていたのだ。

ペドロサの戦闘力は増しているし、それはブルノで今シーズン初めてマルケスを破ったのが彼であることがそれを証明しているが、未だに序盤の不振が尾を引いてペドロサのピットには緊張感が漂っている。ペドロサがレイトナーを替えたがっているという噂まで出る始末だ。

ペドロサのレース戦略にどんな変化があったのかを確かめたくなったので、チーフメカのマイク・レイトナーにインタビューをすることにした。その内容は非常に興味深く、どのようにチームがレースにアプローチしているのかが明らかになった。レイトナーは、ペドロサが序盤に攻めるだけ攻めることが有効な戦略であることに気付いた最初のライダーであることや、他のライダーがそれを真似するようになったことについて語ってくれた。そしてブリヂストンタイヤの性能の高さと逆に危ない面や、MotoGPではスタートが重要であることについても教えてくれた。

レイトナーはさらにドゥカティが使っているエクストラソフトタイヤのせいでMotoGPレースの序盤が混乱したものになっているとも語っている。Moto2レースで路面に残ったタイヤラバーのことも考えなければならいとも言う。これらがどのようにレース中に変化するのか、そして戦略にどう影響するかというのが問題なのだそうだ。

ペドロサが2015年に新しいチーフメカを迎え入れる可能性については全く語っていない。本当は聞きたかったのだがこのケンについては公式に聞いてはいけないことになっていたのだ。関連するその他の質問(ヴァレンティーノ・ロッシのチーフメカ変更がどう奏功しているかとか)についても禁じられた。しかしそうした質問なしでもレイトナーへのインタビューはMotoGPの深い部分について興味深い様々なことを教えてくれた。

MotoMatters.com:今シーズンずっとダニはレース戦略が変わったと言っていました。さらにそれには不満だとも。うまくいくときもあればいかないこともあるって言ってますね。去年までは彼はレース序盤は速かったですが、その速さが終盤まで保ちませんでした。ダニによれば戦略変更は彼がレース終盤で速く走るためにあなたの考えたことだそうですね。そのアイディアについて、何を変更したのか解説していただけますか?
レイトナー:シャーシセッティングやサスペンションやその他電子制御のマッピングとか普通にやってるセッティングもいろいろ手をつけています。細かいことはお教えできませんが。今シーズンの始めにかなりの進歩ができました。今はその方向で、まあそんな感じの方向でやっていますね。

MotoMatters.com:どうして方向性を変えたのですか?
レイトナー:もっと速く、そして限界で走るにはいろいろ変えなければならないんですよ。理由はそれだけですね。

MotoMatters.com:その「限界」というのはレース終盤の話ですか?
レイトナー:全般についてですね。ラップタイムは年々速くなっているし、マルクもすごく速い。それにダニはいつも上を目指しているんです。だから今のライディングに不満なら違う方向を考えなければならないということなんです。
 そういうことなんですよ。でもこの話は冬期テストの時から始まっているんです。それからずっと取り組んでいるんですよ。

MotoMatters.com:じゃあレースの後半で速くしようというのではななく、序盤から終盤まで速くしたいってことですか?
レイトナー:全般のパフォーマンスを上げたいということですね。最初から最後までです。もちろん終盤でちょっと遅くなることもありますし、序盤で遅いレースもあるんですよね。ですから序盤も終盤も良くしたいんです。

MotoMatters.com:ダニはいつでもスタートはいちばん速くて、常にホールショットを奪っていましたよね。
レイトナー:ええ、それはその通りです。みんなそう言いますし、それは見ればわかることなんでみんな何か言ってきますけどね。例えば去年ホルヘはすごくスタートが速くなった。最初からすごく速かったですよね。でも今年ドーハでクラッシュしてからは少し遅くなりました。それほど序盤を速くするのは難しいことなんです。今では彼らは最初からプッシュしています。スタート直後からね。私たちが遅くなったとは思っていません。うちはずっと同じペースなんですけど、他のライダーが速くなっているんです。私たちはすでに限界に達していて、そこに他のライダーが階段を一段上ったんだと考えているんです。

MotoMatters.com:要するにダニにはアドバンテージがあったけど他のライダーに追いつかれたということですね。
レイトナー:そうです、そうです。ダニはスタートの重要性に気付いた最初のライダーの一人なんです。ですから彼は一歩先んじていた。そして当然のように他のライダーも同じことをしはじめたんですよ。

MotoMatters.com:ダニの考えに従ってスタートを速くするにはやはりセッティングが重要なんですか?セッティングはどれくらい影響するんですか?
レイトナー:そうですね、全部が関係しますよ。ギアレシオやクラッチのセッティングやマッピングや・・・。ご存じの通りいろんなことが関係してくるんです。そしてそのためには何かを犠牲にしなければならないこともある。でもありがたいことに4輪のレースではないですからね。リズムをつかんで安定したラップを刻むことができるなら、毎レーススタートに成功しなくても大丈夫なんですよ。でもスタートがいいといろいろ楽になります。集団から逃げられるし、その分リスクは減りますしね。まあそういうことです。

MotoMatters.com:ブリヂストンのタイヤはそういう戦略に向いているんですか?がんがん攻めればすぐに温度が上がる特性だと聞いていますが。
レイトナー:そうですね。でもそれは前からですからね。そこはライダーがなんとかしないとならないところでもあります。

MotoMatters.com:メンタルも関係しているということですか?
レイトナー:ええ。例えばミシュランからブリヂストンに変えたときにはフィリップアイランドで痛い目に会いました(編注:1ラップ目のサザンループ)。当時はタイヤの特性を理解していなくて、当時はとにかく学習、学習、学習って漢字でしたね。でも他のライダーも同じところで優位性を確保しようとするんです。
 いずれにせよ今では予選の状況がかなり変わったんでいろいろ難しくなっていますね、いちばんの違いはドゥカティが使っているタイヤです。エクストラソフトのことなんですけどね。もしうちが100%でなかったらブルノみたいにドゥカティから0.2秒遅れということもあるんです。そうするとスターティンググリッドが2つさがってしまうことになる。でもレースペースではその位置にはドゥカティはいない。とは言え1コーナーでは前にいるんですよ。かなり難しい状況ですよ。

MotoMatters.com:ドゥカティがエクストラソフトを使っているせいでスタートが難しくなっているということですか?
レイトナー:その通りです。もしドゥカティの後ろになったらなかなか抜けない。1ラップ目はグリップがいいのでアドバンテージが彼らにあるんです。ご存じの通りエンジンも速いですしね。予選で彼らの前にいけなければ余分なリスクを背負うことになるんですよ。マルクはうまくやっていますけどロレンソもヴァレンティーノもやられることがありますよね。ダニもそうです。ブラッドリーはブルノではうまくやりましたね。同じタイヤでうまくやれましたから・・・。

MotoMatters.com:でも結果は2台のドゥカティに前を行かれてしまいました。
レイトナー:ですね。ですからスターティンググリッドがそうとうトリッキーなことになっているってことですね。

MotoMatters.com:ある意味マルクがスタートが得意でないというのはいいことですか・・・。
レイトナー:まあスタートが下手だとは思いませんけど、彼の強みでもないですね。でもすごくいいスタートを決めることもある。スタートを決めるには運も必要なんです。特に2列目にいるときはね。予想できないこともありますから。目の前にラインが開けることもありますが、運が悪ければスロットルをとじなければならないかもしれないし、もしかしたら他のマシンに突っ込んでしまうかもしれない。もし他のライダーがラインを変えたりしたら自分にできることはなにもない。本当に難しいんですよ。

MotoMatters.com:そういうことも予想するんですか?中にはラインを変えるライダーもいるとのことでしたが、ラインが読めるライダーもいるということです?
レイトナー:連鎖反応ですからね。最初のライダーがこうしたら次のライダーはこうして、っていう具合に混乱に巻き込まれちゃうんです。ですからものすごい反射神経が必要だし、ミスもできないってことでしょう。

MotoMatters.com:ブリヂストンタイヤはもし攻めることができれば温度がすぐにあがるという話をしましたが、レース終盤についてはどうですか。スタートと同じような性能が終盤まで保つんですか?
レイトナー:もちろんそんなことはないですよ。レース終盤まで最初と同じ性能を発揮できるタイヤなんてありませんよ。

MotoMatters.com:ですよね。でも2〜3年前は25周目とか27周目とかにファステストラップが出てましたけど・・・。
レイトナー:今年もそういうことは起こってますけど、他の要素もありますからね。燃料を消費するんでマシンは軽くなりますし、ゴールに向けてひとつでも前に出ようとがんばるってこともあるかもしれませんし、でも普通はタイヤはレース終盤に向けて性能が落ちていきます。どんなコンパウンドかにもよりますし、路面温度や天気にもよります。それにMoto2レースの後では路面状況も変わりますしね。

MotoMatters.com:それはおもしろいですね。ギ・クーロン(訳注:テック3の名物ベテランメカニック)もMoto2レースの後の路面状況について話していました。ライダーはみんなタイヤ痕で路面状況が変わると言っていますし。クーロンによればMoto2の影響よりも路面温度とか違う要素の方が強く影響しているとのことでしたが・・・。
レイトナー:いや、それは違うと思いますよ。予選やFP4ではもっと路面状況がいいことが多いんです。Moto2は基本MotoGPの後ですからね。実際、週末を通してMoto2はMotoGPの後に走るのに、レースではMoto2が先になる。もちろんコースによって影響度合いは変わりますけどね。Moto2が先に走っても問題のない舗装もあるんですよ。まあ数は少ないですし、たいていは状況が悪くなりますね。
 それにライダーのコメントをきけば、最初の10ラップがいかにひどいかわかりますよ。そして突然グリップするようになるんだそうです。

MotoMatters.com:それは路面がきれいになっちゃうからですか?
レイトナー:そうだと思います。誰か一人が言ってるなら無視してもいいでしょうけど、8人とか10人が同じコメントを言うってことは何かあるってことでしょう。

MotoMatters.com:タイヤについてもうひとつおきかせ下さい。2016年にはミシュランになるわけですが、何か予想していることはありますか?もう2016年のことを考えてます?マシンやセッティングにどんな影響があるんでしょうか?
レイトナー:今メーカーがテストライダーでのテストを始めていますが、まだ緒に就いたばかりです。チームが知らされているのは17インチに戻るということだけですね。どんなタイヤになるかは全然わかりません。まだ様々な種類のタイヤを試している段階で、これからどれにするか決めるわけですし。

MotoMatters.com:17インチになると何か違いはありますか?
レイトナー:もちろんです。ホイールが大きくなるとハンドリングが重くなるのが普通ですね。でも現時点ではどんなタイヤを使うかもわからないわけですし、ハイトの低いタイヤになるのかもしれないですし、まあわからないですね。本当に知らないんです。新しいタイヤはどうなるんでしょうねえ。タイヤ外径が変わるかどうかも全然わからないですし。

MotoMatters.com:ミシュランにとってMotoGP最終年となった2008年と同じような感じになるんでしょうか?
レイトナー:わからないですね。本当に全然わからないんです。私が知ってるのは噂できいて記事で読んだことだけで、今のところミシュランは市販タイヤとディメンジョンを変えるつもりはないということですね。ストリート用に売っているタイヤと同じようなでぃめんじょんではないかということです。でも正直言って何かを語るには時期尚早ってとこでしょう。

MotoMatters.com:つまりセパンでの初テストをやってから考えるということですか?
レイトナー:最初のテストですからね。そこで初めて実物を目にすることになるんです。
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いろいろ興味深いですね。

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