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ライディングスタイルの変遷3

さくさくいきますよ。Cycle Worldより。
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ホルヘ・ロレンソはどうして今のようなライディングスタイルになったのだろうか?2ストロークの125cc、250cc出身だからである。125はパワーがなく、早めに曲がる「ポイント・アンド・シュート」スタイルで失ったスピードは脱出加速だけでは回復できないのだ。そういうわけで125のライダーは曲率を大きくとることでコーナリングスピードをできるだけ稼ごうとする。1950年代から60年代のグランプリで見られた伝統的な走り方だ。
ロレンソが250のGPタイトルを獲得したときには既に最高峰クラスは800cc4ストロークになり、タイヤのエッジグリップももの凄いものとなっていた。このおかげで彼は大型マシンでも自分の培ってきたコーナリングスピード重視のスタイルで走れたのだ。ヴァレンティーノ・ロッシが2000年に250から上がってきたときの最高峰クラスはパワーの出方が唐突な500cc2ストロークだった。そのためロッシは向き変えを早く終えてマシンを起こすスタイルに変わっていったのだが、これはパワーを最大限に引き出すためである。
2009年から始まった現在のワンメイクタイヤルールの下では、個々のライダー専用のタイヤを開発することはできない。パドック全員が同じタイヤを使うのだ。1990年代から2006年までレース界を支配していたミシュランがエッジグリップを向上させることでMotoGP黎明期の極端なリーンアングルが実現させると、次いで2007年から2008年にはブリヂストンは安定した性能でこれに対抗。そのおかげで彼らはMotoGPのワンメイクタイヤに選ばれることとなった。
ダートトラックスタイルはこのコーナリングスピード重視のタイヤにどう対応したのだろうか?ニッキー・ヘイデンがMotoGP参戦初年度に体験したことを思い起こしてみよう。彼が攻めれば攻めるほどタイヤは摩耗しグリップが失われ、結局彼はスローダウンするか転倒していた。エッジグリップ重視のタイヤはホイールスピンやスライドには明らかに対応できていなかったのだ。ヘイデンはある程度は対応できたものの、供給されるタイヤは彼の元々もっていたスタイルには向かないものだった。
2007年にケイシー・ストーナーがドゥカティでタイトルを獲ったときには、多くの人がブリヂストンのエッジグリップにぴったりはまったコーナリングスピード重視のライディングスタイルのおかげなのだと考えた。しかしその年、ドゥカティのエンジニアであるフィリッポ・プレツィオージは、ストーナーの本質はコーナリングスピードにあるのではないと語っている。そしてそれを証明したのはヤマハだった。彼らがコースサイドに持ち込んだ計測機器によれば、ストーナーは最大リーンアングルでトラクションコントロールを作動させていたのだ。これは彼がアンダーステアに悩むドゥカティを曲げる唯一の方法を使っていたことを意味する。スロットルで曲げるということだ。ストーナーはご存じの通りケニー・ロバーツやダニ・ペドロサと同様にダートトラック出身である。
しかし2011年、彼が2度目のタイトルをホンダで獲得したときには、彼は「ブリヂストンタイヤはどのリーンアングルでも接地面積が変わらないのでタイヤに加速力を伝えるためにマシンを起こす必要はなかった」と私に語っている。彼はブリヂストンタイヤの特性のせいで誰もがコーナリングスピード重視にならざるを得ないのだとも主張していた。彼は嘘をついていたのだろうか?私が調べたところでは彼は正直に話してくれたと思う。最大リーンアングル付近ではタイヤのエッジの柔軟性のおかげで、スロットルに対してタイヤが緩やかに横滑りするのだそうだ。いきなり滑るとか空転するとかではなく、たわむのだという。そのおかげでコーナーの頂点付近で(ポイント・アンド・シュート走法ほどではないにせよ)一気に曲がることができる。カル・クラッチローが言うところの「ホンダのV型コーナリングライン」を実現することができるのだ。Vの頂点でリーンアングルは最大となりエッジが少しずつ横滑りする。これで最速のコーナリングが実現するのである(観客にはV型のラインには見えないが、近くで走っているライダーが自分のラインと比べるとわかるのだ)。
昨シーズン、元250のレーサーでオーリンスの技術者であるジョン・コーンウェルが言っている。「エッジグリップはレース中にどんどん失われていく大事な資産なんですよ」。ホンダの技術者も同じことを言っている。エッジグリップはコーナリングの頂点で短時間しか使えないのだそうだ。しかしロレンソはもっとエッジグリップを使いたいのである。できればコーナー全域にわたってだ。グリップが減りやすいコースや非常に気温が高い場合、ロレンソがトップ争いから脱落してしまうのはこのためだろう。
125のライダーと同じように、加速力で劣るマシンはコーナリングスピードを稼ぐしかない。1982年から83年にフレディ・スペンサーがパワーに劣る3気筒のNS500でやっていたのがまさしくこれである。ドゥカティのスパーバイクマシンも加速に重要な中回転域のパワーが足りなかったためにコーナリングスピードに頼っていた。1997年、ホンダはプライベーター向けのVツイン500ccマシンを開発したが、これはV4マシンより30馬力も劣っていた。唯一の望みは高いコーナリングスピードだったのだ。プラクティスではV2マシンが求めるコーナリングスピード重視のラインはV4マシンのポイント・アンド・シュートのラインとクロスすることになった。そしてV2のコーナリングスピードはタイヤがたれるまでしか保たなかったのである。2000年にミック・ドゥーハンがこれを指摘している。当時のミシュランではエッジグリップが保つ限りコーナリングスピードを重視してもタイムが出るが、タイヤがたれるとライダーはポイント・アンド・シュート式のライディングにスイッチしなければならなかった。その方が安全(倒している時間が短いから)で、エッジグリップに頼らなくても良かったからである。
開発は今でも続いている。マルケスがMotoGPに登場したとき、彼を驚かせたのはブリヂストンのフロントタイヤが大きな荷重に耐えることだった。コーリン・エドワーズが何年も前に言っている。「とにかく荷重を掛けるんだ。どうなっているかはわからないけど、それで速く走れるんだよ」。以前はフロントに荷重を掛けるとフロントが滑ってしまっていた。ここから回復できるというのがスペンサーの特徴で強みのひとつだった。今シーズン始めにヴァレンティーノ・ロッシが言っているが、彼は現在供給されているタイヤに合わせてライディングスタイルを変えたという。最新のタイヤがエッジグリップを失っても空転やスライドへの耐性が十分なら、エッジグリップに頼ったコーナリングスピード重視の走法を捨て、V型コーナリングラインにトライするのもうなずける話である。
来シーズンがブリヂストンのMotoGP最終年度となる。これに替わるミシュランがどのような特性を持つことになるかはまだわからないが、最速のライダーたちは新たな走法を生み出すことになるだろう。そして自分のスタイルを貫くライダーもいる。こうやって歴史は作られてきたのだ。
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キャメロン氏によるタイヤの話はここでもありましたね。なるなる。

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コメント

管理者様、
ブログ掲載、いつもありがとうございます。
楽しみにしております。

今回の記事ですが、
うーん・・・、なんかよく分からない感じですね。

書いた本人が理解しきれてない状態で書いているように感じます。
題材はとても興味のあることだけに残念に感じました。

管理者様はどう感じたのでしょうか?

面白い記事、これからも期待しています!

投稿: やす | 2014/08/11 15:11

>やすさん
ご愛読ありがとうございます!
うーん、私は原文を読んでいてそうは感じなかったので、翻訳のクオリティの問題ですね。ちょっと訳を見直してみます。

投稿: とみなが | 2014/08/11 21:46

>やすさん
 ちょっと見直しました。いかがでしょう?

投稿: とみなが | 2014/08/12 22:13

管理人様
何度も読みましたm(__)m
どこをどうされたのかはわかりませんが、以前より筆者の言っていることが伝わってきました。
ありがとうございます。

今度は今何が起こっているのかを聞くことが出来る現代のライダーにたくさん聞いて、どうコントロールしているのか?なんて話が聞けると良いですね!

これからも面白い記事を宜しくお願いしますm(__)m

投稿: やす | 2014/08/20 10:16

>やすさん
 自分でもよくわからない程度にうっすらなんですが、あちこち手を入れてみたんです。こうした訳は丁寧さが重要ですね!

投稿: とみなが | 2014/08/20 12:29

管理人様、お手数をおかけしました。

筆者が、どの辺まで踏み込んで書いたのか?というところが明確に感じられ、内容が理解出来ました。
外国語の記事なら翻訳ソフトで変換して終わり、という手法も取れるところなのに、真摯に難しい作業に取り組んでいただいたことが伺えます。

重ねてお礼申し上げます。
ありがとうございました。

投稿: やす | 2014/08/21 00:36

>やすさん
 これからも楽しんで下さいませ。

投稿: とみなが | 2014/08/21 21:11

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