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スポンサーのおっしゃるままに

MotoGPライダーがどんな風に契約に縛られてるかに関する興味深い記事。MotosprintよりGoogle翻訳(伊→英)excite翻訳(やっぱり伊→英)を駆使しつつ翻訳。
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MotoGPライダーがどうしてそういう行動をとるのか不思議に思ったら契約書を見てみるといい。我々はGPライダーがはっきりものを言わないとよく文句を言うが、それは彼らが契約書に縛られているからなのだ。
契約書にはトップライダーたちがいくら契約金をもらっていくらのボーナスを得るか(まあたいていはすごく高額だ)という基本的なことが書かれているわけだが、それがすべてではない。「私が払うから君は走れ」というわけにはいかないのだ。あらゆる種類の義務がてんこもりだ。個人的なことまで決められている。秘密保持からPR関連まで、やっていいこととやってはいけないことが事細かに書かれている。どんな服を着ればいいか、どんなふうに振る舞うべきか、そして言っていい言葉と言ってはいけない言葉まで。

かつては2種類の契約書が作られていた。ひとつは経済面と技術面に関する契約書、そしてもうひとつが肖像権に関するものである。現在は1本の契約書にまとめられている。他のスポーツの契約書とあまり変わらない、要するに頭を使わないと読めないものなのだが、これはライダーの契約書がサッカー選手のそれを下敷きにしていることを考えれば当然だ。もちろん違うスポーツなので違う部分もあるのだが。

レースが開催される週末には様々なイベントがライダーを待っている(時には水曜からイベントが始まることもある)。バイクに乗るだけではだめなのだ。スポンサーはこういうイベントへの参加も含めて契約金を払っているのである。レーサー間で金額に大きな差はあるが(たいてい契約金額だけで7桁ユーロ、その他に個人スポンサーとの契約もある)、基本的な内容は同じである。会社の国籍やマーケティング対象国により多少の違いも出てくる。しかし契約書を書くのは弁護士で、幹部が承認し、さらにチームマネジャーとレーサーとの間で長い交渉が行われる。これが契約合意・発表にいたるまでに時間がかかることがある理由でもある。

さて、契約書の中身に入るまえにひと言お断りしておこう。今回の記事を書くために接触した相手は匿名を強く望んでいるので、一般的な話が中心になる。しかしここに嘘はひとつもない。
結論:高額な契約でありその分義務もたくさんある。しかし最終的には良識で判断することも必要だ。それはライダーもマネジャーも同じである。

走るということは・・・

お金が大事
ライダーたちはお金がすべてではないと良く言うが、交渉での最初の議題はやはり契約金額である。その額が契約先決定にあたっては非常に重要である。さらに基本契約額が決まると次は成績に応じたボーナスの話だ。ライダーによっては受け取る額を何倍にもすることがある。ただしその場合の基本契約額は決して高くはないのだが。実際ゴール順位で支払われる金額が変わるライダーもいる。普通は各レース15位まで、最終ランキングは10位までが考慮される。さらにテストのパフォーマンスも8位まで考慮されるようだ。

沈黙の掟
たいてい契約は2年1セットである。ライダーやチームがプロジェクトを自信をもって進められるようにするためだ。契約終了日については議論のあるところだ。普通は契約年の最終日である。しかし「新シーズン」がシーズン最終戦の翌日から始まることから、契約には12月31日以前に翌年の新チームでマシンをテストする権利がうたわれている。11月のヴァレンシアテストが良い例だ。新チームのマシンをテストする許可は与えられるものの「沈黙」が条件なのである。ライダーはコメントを発表することは許されない。その時点のスポンサーのことを慮らなければならないのだ。これは2003年にホンダがロッシに対して翌年1月1日までヤマハのテストをさせなかったような事態を避けるための知恵でもある。

メインスポンサー
これまた微妙な問題である。まずはレースとそれ以外の部分をはっきりと分けなければならない。レースに関しては契約で明示されている。マシンにステッカーのついているスポンサーは「制限および例外なくライダーのメインスポンサーとなる。レースマシン、トランスポーター、メディア対応、公式イベント、口頭・筆記のインタビューに関しても同様である」と書かれているのだ。つまりライダーがチームの一員として行動することになるレースやイベントではチームの公式スポンサーの服を着なければならないということだ。ライダーがスポンサーマークがついていない、チームカラーでもない服を着られるのはチームとは関係なく行動するときだけである。
チームスポンサーはライダーと直接契約していなくてもライダーの肖像を自由に使うことができる。またスポンサーフィーだけでなく賞金もメーカーに入ることになっている。ライダーに入るのではない。IRTAからの賞金はすべてメーカーに入ると契約書に書かれているのだ。

個人スポンサー
これはかなりはっきりした話だ。ライダーの個人スポンサーとチームスポンサーが衝突するときにはチームスポンサーが優先する。どんな場合でもライダー(そしてその代理人)はパーソナルスポンサーのために知恵を絞らなければならない。チームスポンサーとの間の問題がなければ(それを最終的に決めるのはバイク会社だ)パーソナルスポンサーのためのスペースを見つけなければならないのだ。チームとライダーの間の契約ではマシン、チームウェアにパーソナルスポンサーのロゴをつけることはできないのが普通だ(もちろん契約で決められていれば別だが)。そのいい例が帽子である。ライダーは2つの帽子を使い分けている。ひとつはパーソナルスポンサー(たいていはエナジードリンク)、ひとつはチームのスポンサー(表彰台では公式タイヤサプライヤのものをかぶることになっている)。ライダーに残されているのはヘルメット、つなぎ、ブーツだ。しかし色、チームスポンサーのロゴについてはチームが決めている。

肖像権
ライダーの成績より見た目が大事かと思わせることもよくある話だ。実際契約を結ぶ際にはライダーの肖像権が問題となる。ロッシやマルケスやロレンソでは特に大きな問題だ。彼らは自らのビジネスのために肖像権を守ろうとする。莫大な額がからんでいるのだ。たいていの契約ではこの件に関してはもの凄い数の条項が作られる。チームはコース上、そしてサーキット内(この場合はGPウィーク中の肖像も含まれる)でのライダーの肖像を使うことができるのが普通だ。サーキット外(例えば書斎)にいるときの肖像に関しては微妙なところだ。この場合ライダーがどんな種類の行動をしているのか定義づけるのは難しいため、誰が肖像権を持っているかは決めにくい。

GP以外のレース
チームとライダーの契約には特定のレース(例えば過去には日本のメーカーはGPライダーを鈴鹿8耐に出場させたがった)への出場が含まれていることがある。しかし一般的にはGPの開催回数ベースの契約となる。テスト分は別払いのことが多く、開発のためのテストの日数で決められることになる。テストの日数、日程、場所まで契約書に記載されることもある。

抜き打ちテスト
「レースに耐えうる体調どうか契約期間内にチェックする」という条項が含まれていることが普通である。これはどうでもいいことではない。メーカーやチームがライダーの体調を把握する権利を保持しているのだ。通常シーズン3回、様々な項目がチェックされる。そしてその項目はすべて契約に記されている。身体能力のチェックは普通「心身」のチェックと称されており、チームが選定した医師、医療職によって行われるものである。費用はメーカー持ちなのだが、これはメーカーが最終的にライダーが走れる状態かどうかを判断する権利を持っているためである。

バイクの安全性保証
ほぼすべての契約書に、ライダーの安全を確保するために、メーカーは(技術的に)安全なマシンを製造しなければならないという条項が含まれている。これはチーム、会社が故障を最小限にするために常に努力していることを思うと意味のない項目にも思える(なんだかわかりきったことを否定しているようだ)。
バイクメーカーは常にバイクの技術的なことや開発プランを自分のコントロール下におきたいと考えている。これはそもそもチームやメーカー幹部の専決事項だと考えているのだ。契約書にはメーカーがマシンの色やロゴの位置まで決める権利を持てるよう書かれている条項が含まれることまである。他の条項では、ライダーがマシンを勝手にいじらないようにとも書かれている(そのためにライダーはカウルにステッカーを貼るのでさえメーカーに許可を求めなければならないのだ)。契約書のこの章には「優先順位」と呼ばれる項目もある。これはシーズン中に開発された新型パーツを優先的に使えるという条項である。この条項は当然他のライダーの契約書にはないものだ。最近の例ではヤマハがアッセンに3本の新型エキゾーストを持ち込んだが、ロレンソに2本(つまり2台分)、ロッシには1本しか残されなかった。明らかに優先順位はロレンソにあったのだ。ロッシはこう言っている。「これでヤマハのファーストライダーがロレンソだってことがはっきりしたよね」
しかし彼はそれ以上のこともやっている。250cc時代ロレンソのスペイン人マネジャーはロレンソのエンジンが他のライダーより速いことをメーカーに要求していた。他より時速何キロ速くなければいけないかまで書いていたのだ。これは事実である。実際3戦目の後にマネジャーが、契約条項を「忘れてはないか」確認しにメーカーにまで出向いているのだ。

絶対しゃべるな!
ライダーはメーカーとの契約、そしてメーカーと何をやっているかについては秘密にすることに同意している。これは契約期間中ずっと適用されるものだ。アイディア、コンセプト、新発見、設計、開発、様々な手順、データ、直接または間接に手に入れた知識などなど、ライダーがかかわるすべてが秘密にされる。チームメンバー(当たり前だ)、そしてライダーの法律コンサルタント(彼はライダーから秘密を守るよう言われている)を除いては情報を共有してはならないことになっている。裁判等で情報を開示するようライダーが命じられた場合は、メーカーが適切な判断ができるようお伺いを立てなければならない。秘密情報を不適切なかたちでライダーが使った場合、彼は法的に訴えられ賠償金を払うことになる。

チームオーダー
これは全ての契約書に含まれるわけではない。例えばホンダはチームオーダー嫌いで知られている。しかし「ライダーはチームマネジャーがチームにとって最高の結果を得るために発した指示に従わなければならない。他のライダーにも同じ指示が出されることがある」という条項がある場合もある。そしてこの条項に解釈の余地を作らないよう、ライダーが指示に従わなかった場合の罰金も明示されている。チームまたはメーカーから得られる金額が減ることになるのだ。しかしこうした条項は常に論争の元になっている。ライダーが指示に従ったどうかは難しい問題で極めて主観的な判断が必要なことなのだ。

何かあれば罰金!
罰金、つまり規律を守るために契約金から差し引く金額は契約書に確かに存在している。常に厳格に適用されるというわけではないが、様々な面にわたって書かれているのだ。例えば理由のない欠場や(2009年、ドゥカティで走っていたストーナーが夏に3レースを欠場したが、このときは罰金の対象となった可能性がある)、怪我による長期欠場(この場合は保険会社がライダーに契約に従って払うことになる)、法律違反(この場合は即時契約破棄となることもある)等である。

契約更改
契約更改については様々な条項で定められているが、普通は更改についての話し合いを始める時期が記されている。たいていの場合、メーカーが決定権を確保しようとし、話し合いを始める時期もメーカーが決定する。しかし例外(クラッチローとドゥカティのように)も存在し、ライダーが決定権を持つ場合もある。
もうひとつ大事なポイントは優先順位である。メーカーは他のメーカー以上の条件を提示することでライダーをつなぎ止めようとする。そこでライダーには他のメーカーが文書で出した条件をそのまま開示するよう義務づけることもある。メーカーはそれを見て一定の期間(通常は短く、10日営業日程度)内に新たな条件を提示する。ライダーは競合相手のオファーをメーカーに開示しなければならないのだ。

契約破棄
これもいくつかの条項で定められている。一般的には以下のようなケースだ。死亡した場合は当然である。そして障害を負った場合。つまりライダーが怪我や病気で一定期間(通常は3か月)以内に復帰できず契約を履行できない場合だ。ライダーが有罪判決を受けたり犯罪(交通違反は除く)を犯したりした場合、メーカーがイメージを傷つけられたと考えたばあいにはメーカー側から破棄を通告されることになるだろう。薬物使用の証拠が出た場合も同じである。
契約には不幸にもライダーが走れなくなるような怪我を負った場合についての条項が含まれている。この場合メーカーは一定期間分(合意の下で)契約額を減額することになる。例えば活動停止から20日目以降、1か月あたり8%を減額するといった具合だ。契約期間に対する活動しなかった日数に応じて減額するという条項の場合もある。
レースで負った怪我に関してはメーカーは即座に契約破棄が可能だが、その場合には全額払わなければならない。

目標が達成できなかった場合
ライダーが目標を達成できなかった場合にメーカー側から契約破棄をすることができるという条項もある。そういうことになってはいるが、実際にはこれが行使されるかどうかは微妙なところだ。契約には普通ライダーが達成すべき最低のランキングが(2年契約ならそれぞれの年について)定められているため、メーカーがライダーの出した結果に満足できなければ契約を破棄できるのだ。場数を踏んだマネジャーだと最低ラインを達成できなかったライダーを守るために、例えばランキング5位以内に入れば目標を達成できなくても契約更改ができるという条項を入れたりすることもある。

決して忘れないように
これも難しい条項だ。ライダーは、容易に想像できることだがかなりの保険に入っている(怪我や障害による不出場に関するものだ)。メーカーはこうした保険契約についてはメーカーとの契約締結後2週間以内に提出するように定めている。

旅費は誰がもつのか?
レースに関する諸々の費用はメーカーもちである。レース以外のイベントも同様だ。さらにライダーは(もしモーターホームを所有していない場合)ホテル代や交通費をメーカーにもつように要求することになる。

とにかく全部書いておけ
いつも話し合いを続けているが、とにかく離したことは全て書いておく必要がある。少なくとも法的になにか関係しそうなことは文字にしておくことだ。
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Casa(大文字で始まる)をメーカーと訳しちゃったんだけど、なんか自信がないとか、そもそもweb翻訳はヨーロッパ語同士でも精度が悪い上に法律用語っぽいものも入ってるので和訳が怪しいとかいろいろあります。御指摘プリーズ!
でもおもしろかった。

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コメント

ケーシーはこういうゴタゴタも嫌だったんでしょうかね。

投稿: 結石 | 2014/08/23 22:41

>結石さん
 私も訳していてそう思いました。しかもケイシーの場合は(素人の)お父さんがマネジャーをやっていたので、なおさらだったかもしれませんね。まあ一時期プロに任せて、やっぱりうんざりしてお父さんに戻したりもしてるんですが。

投稿: とみなが | 2014/08/23 22:44

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