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ポル・エスパルガロのチーフメカ、ニコラス・ゴヤンへのインタビュー:ヤマハM1をMoto2ライダーに合わせる話

ヤマハM1はMoto2ライダーに合わせて開発されているという興味深い話。このあたりにも250cc出身のホルヘ・ロレンソ不調の原因があるかもしれませんね。Motomatters.comより訳出。
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パドックの内外にかかわらず多くのMotoGPウォッチャーは2013年の早い段階でヤマハがポル・エスパルガロと契約したのを懐疑的な目で見ていた。1年経ちMotoGPのシーズンも半ばを過ぎた現在、そうした目で見るものは誰もいない。誰もがこの決断を尊敬しているのだ。エスパルガロ兄弟の弟であるポルはサテライトライダーではランキングトップに立ち、シーズン当初から戦闘力を発揮している。

ヤマハはポル・エスパルガロについてはっきりしたプランをもっていたのだ。Moto2でライディングスタイルを確立した若いライダーは250cc時代とは乗り方が違っている。Moto2レーサーはリアタイヤをスライドさせてコーナーを曲がろうとする一方で、250cc2ストローク時代のライダーはブレーキングを早めに済ませてコーナリングスピードを稼ぐことで結果を出していたのだ。ヤマハYZR-M1は当初は250ccスタイルに合わせて開発されたが、Moto2クラスで学んだライダーがMotoGPに参戦するようになると、ヤマハはマシンを新たな世代の若いライダーに合わせて開発する必要があることに気付く。そしてMoto2チャンピオンであるエスパルガロと契約した時、ヤマハは既にMotoGPマシンの開発にMoto2スタイルがどのような影響を与えるか、真剣に検討を始めていた。

この開発を指揮したのがポル・エスパルガロのチーフメカであるニコラス・ゴヤンである。フランス人の彼は2003年からMotoGPのデータ解析及び電子制御にかかわってきた。この年から最高峰クラスは4ストロークにスイッチしている。カル・クラッチローと働いていたダニエレ・ロマニョーリが彼と共にドゥカティに移籍したのを受けてゴヤンがMotoGPルーキーのエスパルガロのチーフメカとなった。以来ゴヤンはMoto2チャンピオンであるエスパルガロと共にヤマハM1を新たなMoto2スタイルに適応させるために努力し続けている。今回ブルノテストの後にゴヤンに対してマシンの改良点とポル・エスパルガロからのフィードバックについてインタビューを試みた。

Motomatters.com:ヤマハのスタイルというのはコーナリングスピードをできるだけ稼いでマシンを暴れさせないようスムーズに走らせるというものだとみんなが考えています。つまりストレートでブレーキングを終えて、ホイールをきちんとラインに乗せると。でもポル・エスパルガロはときどきMoto2スタイルを見せますよね。まずはどうしてそういうことになったか、それと彼とそういう話をしているのかについて聞かせてください。
ゴヤン:ええもちろん。それがヤマハのやりたいことなのは間違いないです。ポルは初めてヤマハと仕事をするMoto2チャンピオンで、ヤマハは彼の新たなスタイルにとても興味を持っています。Moto2ライダーはみんな新世代のライダーで特有のスタイルがあるんです。みんな知っているとおり肘を擦りますよね。さらにブレーキングではリアがかなりふられます。ポルはヤマハでもsのスタイルでかなり速いんです。
 ですからヤマハはかなり興味を持っていますね。特にホンダに追いつこうとしている今はね。ホンダを見るとかなりこのスタイルに合わせてきている。だからヤマハはこの方向でマシンを開発するためにポルにかなりの投資をしています、ブレーキングを良くしたいんですよ。だからマシンをセッティングして、エンブレのセッティングをして、いろいろ試してます。ヤマハの方向性を決めようとしてるんです。

Motomatters.com:そういう挙動にするためにマシンにはどんなことをしてるんですか?何をしようとしているのか教えて下さい。エンブレを強化使用としているのか、リアブレーキを強化しようとしているのか。
ゴヤン:最初は、去年を見ればよくわかりますけど、ヤマハのマシンはブレーキングで挙動が安定せずかなり振られてました。ですからマシンをスムーズにしようとしてますし、それはかなりいいところまでいっています。ルマンでそういう方向性を決めて、マシンのセッティングもエンブレのセッティングも、その他も全部とにかくスムーズにしてリアに荷重を掛けられるようにしてリアスライドを一定にしようとしてるんです。それでうまく曲がれるようになる。ですからそういう方向でがんばってますよ。スライドをコンスタントにしようとしてるんです。

Motomatters.com:つまり主にエンブレとか電子制御が中心で、サスにはあまり手を着けていないということですか?
ゴヤン:マシンのセッティングと言いましたけど、要するに全部ということですね。マシンのバランスの問題で、サスもフロント、リア共にセッティングしなければなりません。同時に動くものですからね。あともちろん電子制御、特にエンブレのセッティングです。

Motomatters.com:現在のヤマハM1でそれができるんですか?それとも何か改造しなければならないということですか?
ゴヤン:一定の限界には来ていると思いますね。最初にあなたがおっしゃったとおりずっと前からこの件は検討していて、うちのマシンのいいところはコーナリングスピードでコーナーを速く駆け抜けることができるところなんです。うちのマシンはストレートで強くブレーキをかけるのは得意で、そこでブレーキをリリースしてコーナーに速い速度で入っていく。ですから現時点でhあ新たなブレーキングスタイルへの適応に苦労していますね。まだやり方を探らなければならない。この方向で開発は続けていますが、現時点ではマシンの挙動に完璧にフィットしているとは言えませんね。ですからまだ方向性を見つけたとは言えない。いろいろ試している最中で、光も見えてきてますが、問題もたくさん出てきている。とにかく今は努力している最中です。

Motomatters.com:サーキットによっても違うんですか?ここではうまくいくけど別の場所ではだめとか?
ゴヤン:ええ、その通りです。もっと正確に言うならサーキットでもコーナーによって違うんですよ。ですからハードブレーキングを必要とするようなタイトコーナーではうまくいくんです。でも高速コーナーがあるとある程度リーンしたままブレーキングしなければならない。そうなるととたんにうちのスタイルでは難しくなるんです。

Motomatters.com:つまりルマンやもてぎではうまくいくけど、フィリップアイランドでは難しいということですか・・・。
ゴヤン:その通りです。

Motomatters.com:つまり、基本的には新たな方向性を探っていて、もう限界まで来ていると。そしてこの方向を追求するかどうか考えなければならないところっまできているということですね。いいところが失われていっているということはありませんか?
ゴヤン:それもその通りです。わかってきたんですが、特にこのコース(ブルノ)では週末の終わりになってかなり厳しくなった。もうこの方向を追求するのは限界だということに気付いたんです。ですから別の方向を探るか、マシンのセッティングを少しだけ元に戻すかしないといけないのかもしれません。でもいずれにせよ、あなたがおっしゃるとおりもうこれ以上先には進めませんね。いいことがないですから。むしろ問題の方が大きくなってしまいます。それは私たちの目指すところではありませんから。

Motomatters.com:ヤマハはそういう方向性にマシンを変えるべきだとお考えですか?世界チャンピオンでレースに勝てる実力を持つけど全然違うスタイルのホルヘ・ロレンソがいるわけですが。その一方でMoto3やMoto2から上がって来るライダーもいる。
ゴヤン:難しい質問ですね。ヤマハの将来を私が決めるわけじゃないですから。でも私が知る限りヤマハはこの方向性にかなり興味を示していて、ポルにもたくさん投資をしていて、それはさっき話した通り、ポルのスタイルが新しいからなんです。だからヤマハは彼のデータを詳細にチェックしています。この方向性でいくための何か新しいものを導入すると信じていますよ。でもまあ確かではないですけどね。ヤマハの決断しだいなんで。
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ホンダがMoto2のワンメイクエンジンサプライヤになったのもこんな深謀遠慮があったんでしょうか・・・。なんか個人的にはパワーのホンダ、コーナリングのヤマハ、みたいに特徴が出ているのが楽しいし、ホンダサーキット、ヤマハサーキットがあるのも楽しいので、みんなホンダ風/Moto2風スタイルになっていいのかなーとは思いますけど、まあそれは外野の勝手な考えで、まずは勝つことですからね。がんばれヤマハ!

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