« ハイプサイクル | トップページ | 公式リリース>チェコ2014 »

2014ブルノ土曜日まとめ:マルケスの秘密の戦略、Moto3でのドラマ

マルケスがわざとイアンノーネを後ろにつかせて引っ張ることで、ライバルとの間に本戦での戦闘力に劣るドゥカティをはさんだんじゃないか(笑)とのロッシの指摘をマルケスが「それはないですよ。でもロレンソとかペドロサとかロッシが後ろについてたんだったらスロットルを緩めましたけどね」とか言ったりしていて、何かとおもしろいのですが、Motomatters.comがこのスリップストリームの意味について解説してくれています。
============
バイクレースで成功する秘訣。それは変動する様々な要素をいかにコントロールするかにかかっている。しかしライダーもチームもコントロールできない要素が二つある。だからこそ皆が恐れているその要素とは「天候」と「クラッシュ」だ。ブルノの土曜日の天候はMotoGPとMoto2ではなんとかもったが、Moto3には大混乱をもたらした。クラッシュもなかなかコントロールがむつかしい。MotoGPとMoto3ではこれが鍵となったのだ。

鉛色の空の下でプラクティスは始まった。午前中には雨が降るだろうと予想されてのだ。重い雲がやってきて、そして去っていく。雲がモラヴィア地方に襲いかかりサーキットから去っていく。午後中、雲が切れることはほどんとなかった。Moto3の予選がその犠牲になってしまった。コース脇に立っていると雨が降り始めたと思ったらすぐに止んでしまった。ツイッターで報告しようと思っている間に天気が変わってしまったのだ。ツイッターでは嘘をついたようになってしまった。最終的にはフラッグも出されたので私が嘘をついていないことは証明されたのだが。フィリップ・エッテルがクラッシュしてエアフェンスをパンクさせセッションがフェンス修復まで延期されたのだ。

MotoGPの予選が始まるまでには雨はやんで、コンディションが良くなったおかげでカル・クラッチローが2013年に出した予選レコードタイムを破れそうな様子だった。マルケスがポールを獲得するのは別に驚くようなことではない。たとえそれが今年9回目だったとしてもだ。しかし彼がポールを獲ると同時にフロントローのグリッドをコントロールしていたとしたら驚きである。マルケスはピットから出てすぐトップタイムを叩き出したが、2回目のランでは後ろにライダーを引き連れていた。アンドレア・イアンノーネである。そしてマルケスが自分のタイムを更新すると同時にイアンノーネはマルケスのスリップストリームを利用してそのタイムを上回って見せた。その時点でイアンノーネがマルケスを上回って暫定ポールとなる。しかし彼のエクストラソフトタイヤは終わってしまい、これ以上マルケスについていくことはできなかった。結局マルケスはポールを奪い返し、イアンノーネはグリッド2番手となる。最終的にはヴァレンティーノ・ロッシの後ろについてタイムを出したアンドレア・ドヴィツィオーゾがイアンノーネに前にいくことになったのだが。

いずれにせよドゥカティが2台もフロントローにいるというのはロッシにとっては問題だろう。ロッシは3列目7位に沈んでしまった。ロッシは意地悪混じりのジョークでマルケスの戦略を評している。ドゥカティを引っ張ることで自分とライバルの間のグリッドにドゥカティを挟んでいるのではないかというのだ。ロッシは言う。「まあ彼はアタマがいいよね
ホルヘも僕もダニも後ろにつかせてくれないくせに、ドゥカティは引っ張ってあげるんだから」。マルケスはこの意見を笑い飛ばしている。とは言え否定したのはロッシの主張の半分だけだが。別にドゥカティを引っ張るつもりはなかったそうだが、ライバルを引っ張るつもりもないそうだ。彼は記者会見でこう言った。「まあ自分の意志でスロットルを緩めることはできますからね。もし僕の後ろにいたのだダニとかホルヘとかヴァレンティーノだったら間違いなくスロットルを緩めていましたよ。でも他のライダーだったら別に気にしませんからね」。まあこの告白はマルケスのライバルというものがいかに少ないかを示しているとも言える。ホンダワークスとヤマハワークス以外なら誰を引っ張ってあげても構わないというのだ。そのおかげで他のライバルの脅威を減じることができるのだ。うう。すごい戦略だがずるはしていない。

ブラッドリー・スミスはフロントローを逃してがっかりしている、テック3ヤマハの彼は珍しく予選で絶好調だった。彼はこういう言い方でがっかりを表現している。「最終コーナーを立ち上がってタイム差を見たら3/4秒上回っていたんです」。それで彼は油断してしまったのか、数分の一秒を失うことになった。「シケインで4/1000秒だったんですよ」と彼は言う。しかしそれでも彼は4番手でハッピーだ。ヤマハ最速で、すべてがうまくいった週末となった。テック3との契約更新のお祝いになったろう。

スミスはホルヘ・ロレンソのタイムも上回っている。ロレンソはフリープラクティスでは常にそれなりのペースをみせつけてきた。FP3と予選中にセッティングを変えて有利な状況に持ち込もうとしたのだが、うまくいかず、結局最初の走行ではタイムむが出せなかった。そこで試行用のセットアップを施したセカンドバイクに乗り替えてタイムを出したのだ。おかげでグリッドは6番手に沈み、ライバルのダニ・ペドロサにも前を行かれることとなった。

ではマルケスがわざとドゥカティを引っ張っているという話をロッシがしたのはなぜだろう。ソフトタイヤがあれば予選タイムに近いラップを刻めるはずだ。もちろんレースタイムを通じてソフトタイヤをもたせるのはつらいだろうが。新品タイヤならドゥカティはトップに迫る位のタイムまで攻めることができるはずである。6周目を超えるあたりでパフォーマンスが落ち始め後ろに下がってしまうために順位を落としてしまうのだが。もしドゥカティがマルケスとライバルの間に割り込めば、マルケスに逃げる時間を与えることができ、おかげでマルケスは2年目のタイトルに向けて悠々と走り続けることが0できるというわけだ。ドゥカティのおかげでマルケスはレース終了まで余裕を持って走ることができるのだ。

まあロッシの指摘は的外れで、意識してやっている戦略ではないだろう。しかしマルケスは予選結果に満足している。マルケスの考えるライバルは限定されている。ダニ・ペドロサ、ヴァレンティーノ・ロッシ、そしてホルヘ・ロレンソだ。ロレンソは確かにいつもの安定性を見せてはいないが、何かしらの解決策をみつけるであろうことは想像に難くない。

とは言うものの、タイムシートを見ればマルケスの真のライバルはチームメイトだけだ。マルケスとペドロサはどちらも1分56秒台中盤でラップを重ねており、他のライダーのタイムは56秒台後半で、ほとんどは57秒台にまで落ちてしまっている。FP4での唯一の例外はヴァレンティーノ・ロッシで、彼がセッション最速タイムを出しているが、それが無理して出したタイムだったことは彼が最速ラップタイムに挑戦していた5周目に転倒したことでもわかるだろう。

ロッシは小指の擦過傷以外はほぼ無傷だった。もっとひどい状況もあり得たし、実際彼は小指が骨折しているのではないかと不安になり、クラッシュしたときには地面を拳で殴りつけたほどだった。後に彼はレポーターにその時の恐怖を語っている。かつて小指を骨折したまま走ったことがあったが、その時は痛みでマシンのコントロールができなかったそうだ。ブルノも特に3,8,14コーナーがそうなのだがもそうだがバンピーなコースではなおさらである。彼がいい成績を収める可能性はなくなってしまっtなおではないかと恐れていたのだ。骨に異常がなかったのは幸いである。

ポールからスタートすることでマルケスの11連勝は堅いと思うかもしれない。それでも彼が打ち負かされれる日が近いという気もするのだ。ダニ・ペドロサのブルノでの様子を見ると、今週末がその日になるような気もするのである。そんな匂いがするのだ。バルセロナ以来、初めてマルケスが負けるのではないか。今回ではなくても次のシルバーストンかもしれない。ヤマハ向きのコースで、去年はロレンソが見事な勝利を遂げた場所だ。この数週間は相当おもしろいことになるだろう。

Moto2ではティト・ラバトとマルクVDSのチームメイトであるミカ・カリォの立場が再び逆転したようだ。今回苦しんでいるのはカリォの方で、彼は予選終盤、タイム出しをしようとしていたラップで転倒してしまった。彼のグリッドは6番手である。一方のラバトは例によって素晴らしいタイムを叩き出しポールからスタートすることになる。トム・ルティとサンドロ・コルテセがフロントローに食い込んだ、サム・ロウズが4番手である。彼はワールド・スーパースポーツ時代にここで走ったことがあるのだ。おかげで輝きを取り戻すこととなった。イギリス人の彼が表彰台を獲る可能性もある。

Moto3はいきなりの雨にたたられることとなった。予選中に雨が降った上に、エアフェンスが壊れたことで中断までされたのだ。雨は断続的に降り続けたが、フルウェットにはならなかった。最速タイムを出すことができず、レインフラッグは常に振られ、あちこちでスピードを落としたり上げたりという光景が見られた。さらに混乱を深めたのは、引っ張ってくれる速いライダーを待ちながらレーシングライン上をうろうろしているライダーたちだった。これに起こったのがランキングトップのジャック・ミラーである。彼がコーナーを立ち上がる度に前にはレーシングライン上でゆっくり走るライダーがういたのだ。スリップストリームにつこうとしていたのだ。ペッコ・バグナイアがいちばんあからさまだった。ミラーはそれに激怒して、しかもそれを行動で表してしまった(訳注:走っている最中、拳で相手の腕を殴りつけています)。

他の場合であればこうした表現はペナルティポイントに値するだろう。しかしバグナイアはやりすぎだったし、ミラーはバグナイアに危うく衝突するところだったのだ。どちらも口頭での厳重注意となったが、ペナルティポイントは科せられなかった。Moto3の予選はレースディレクションの頭痛の種となっている。レーシングラインでたらたら走るライダーは常になんとかしたいものなのだ。ブルノでは何人かのライダーがレースディレクションに呼び出されたが誰もが(真偽は別として)無実を訴えた。レインフラッグのせいでしかたなくゆっくり走っていたというのだ。まあ確かに雨のせいでゆっくり走っているのか、速いライダーを待っているのかは区別するのが難しい。スコットランドの法律では裁判所が「証拠不十分」という評決を出すことが可能である。被疑者が有罪だと思われるのだがそれを合理的な疑いなく証明できない場合に出す評決である。レースディレクションもブルノの後ではこうした評決を出したくて仕方がなかろう。

なぜライダーは引っ張ってもらいたがるのだろう。アンブロジオのブラッド・ビンダーに尋ねてみた。答えは見栄下位だった。いつくつかのサーキットにおけるラップタイムを比較したところ、0.5〜0.7秒の差があったというのだ。ブレーキングポイントも同じで、リーンアングルも同じ、スロットル開度も同じ、何もかも同じなのに、人の後ろについた方が速いのだ。「全然努力しなくてもタイムを稼げるってことなんですよ」とビンダーは言う。ちょっと頭の働くチームなら、チームのライダーに協力させる。スカイVR46のロマーノ・フェナティとペッコ・バグナイア、レッドブルKTMのジャック・ミラーとカレル・ハニカ、エストレアガルシアのアレックス・リンスとマルケス。いずれもお互いを引っ張り合っている。ミラーとハニカに至ってはアジョのライダーとも協働しタイムを上げているくらいだ。KTMのハニカとミラー、そしてハスクバーナのダニー・ケントとニコラス・アジョが協力してタイムを上げているのだ。

こうしたスリップストリームの使い合いはジャック・ミラーには関係なかった。ホンダはブルノで有利な立場にある。マルケス、リンス、マスブー,ヴァスケスは誰もがタイムを出すことができた。ポールを獲得したアレックス・マルケスによれば、中速コーナーが多いおかげでホンダシャーシの弱点がカバーされるというのだ。つまりKTMはホンダが克服できるチャタリングに悩まされているということである。

プラクティスでは優位性を保ったがホンダがレースで勝てるとは思えない、ブルノのようなコースでは集団が形成され何回もトップが入れ替わることになるだろうからだ。マルケスにとってやるべきことは一つである。リスクを冒してジャック・ミラーとエフレン・ヴァスケスからポイントを少しでも奪うことだ。毎週末いちばん面白いのはMoto3である。今回もそうだろう。レースは坂を登り切った最終ラップの最終コーナーまで決まらないに違いない。ホームストレート前の左、右と続く複合コーナーがドラマを産むことになるだろう。
============
へー、へー、スリップストリームだけでそんなに違うんですねえ。一周0.5秒縮まるってすごい!だって0.5秒違ったら10周で5秒離されるはずのところを挽回できるってことですよ!!

|

« ハイプサイクル | トップページ | 公式リリース>チェコ2014 »

コメント

スロー走行だけならまだしも、レーシングライン上でそれをやるってのはけしからん話ですね。
前々から思っていたんですが、台数の多いMoto2やMoto3でこそMotoGPの様にQ1、Q2方式にすれば良いと思うんですがね。

投稿: 結石 | 2014/08/17 17:42

>結石さん
 確かにあれはちょっとやりすぎな感じでしたねえ・・・。

投稿: とみなが | 2014/08/18 20:54

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/69409/60165584

この記事へのトラックバック一覧です: 2014ブルノ土曜日まとめ:マルケスの秘密の戦略、Moto3でのドラマ:

« ハイプサイクル | トップページ | 公式リリース>チェコ2014 »