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アッセンのピットストップ:得したライダー、損したライダー

ウェットからドライに移行する中、アッセンのMotoGPレースではマシン乗り替えがぞくぞくと行われました。安心と信頼のMotomatters.comがこのピットストップを分析していますが、おもしろそうなので訳出。
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アッセンで勝利したことで、マルク・マルケスはシーズン開幕からの連勝記録を8まで伸ばすこととなった。レース後、多くのファンがマルケスの見事な乗り換えをほめそやしたものだ。彼は地面に足をつかないで隣り合ったマシンからマシンへジャンプしてみせたのである。他のライダーは一旦飛び降りてから次のマシンに飛び乗っていたのにだ。これは写真(マルケス自身がツイートしている)では実に見応えがあるが、YoutubeチャンネルのMotoGPの公式ビデオで見れば跳躍と言うよりちょっとしたジャンプくらいなものである。

マルケスはこれでタイムを稼げたのか?答えは計測すればわかる。幸いにもMotoGP.comが2種類の計測方法が可能な素材を提供してくれている。まずはこちらのリザルトのページだ。ここでは全周回、ライダーごとのセクタータイムがPDFで提供されている。ピットイン周回の最終セクタータイムとピットアウト後の第1セクターのタイムを把握すれば、乗り換えでライダーがどれくらいタイムをロスしているかがわかる。加えてMotoGP.comのレースビデオ要有料登録)には速度制限区間の入り口と出口の間を通るのにライダーが要した時間が表示される。この2つの要素を利用すれば誰がピットストップを有利になるよう利用できたかがかなり判明するはずだ。

ただしどちらのタイムも利用には注意を要するのはもちろんだ。残念なことにディレクターは全ライダーのタイムを表示してはくれなかった。ピットインが2回目に混雑し始めたときにはデータ表示が途切れているのだ。この時はポル・エスパルガロとカレル・アブラハムが衝突しかけたくらいだった。しかしそれでも多くのトップライダーのタイムは出してくれている。そしてそうしたライダーはトータルでも速かったのだ。もうひとつ、セクタータイムは全体の流れの中で見る必要があるということにも注意しなければならない。最終セクターの始まり(ニューウェンメール・コーナーのすぐ後)から第1セクターの終わり(バックストレートのヴェーンランフの始まり)までのタイムは単にピット時間に左右されるものではない。特にピット出口に何台固まっていたかは大きな影響を与えることになる。ピットレーンから出るとハールボフトとマダイクという最初の2つのコーナーはインベタで曲がることになるからだ。まあそうした問題はさておいても、タイムを確認するといろいろなことがわかるものである。

バイク乗り替えチャンピオンはアンドレア・イアンノーネである。ピットレーンに入ってから出るまでに2位に0.2秒の差をつけている。その2位はスラファン・ブラドルだ。彼はレプソルホンダのマルク・マルケス、ダニ・ペドロサの両名に0.4秒の差をつけた。彼らの後につけたのがアンドレア・ドヴィツィオーゾで、マルケスと同時にピットレーンに入り、マルケスの後ろで出て行っている。マルケスより0.3秒遅かった、つまりイアンノーネから0.9秒遅れということになる。ヴァレンティーノロッシが6番手で、彼はイアンノーネに遅れること1秒であった。

いずれにせよこのタイムが物語るのはピットレーンでタイムを大きく稼いだり大きく落としたりしたわけではないということである。イアンノーネはピットレーンで0.6秒稼げたかもしれないが、結局マルケスからは29秒遅れでゴールしているのだ。セクター4とセクター1の合計タイムを見るとよりはっきりする。ピットイン時のセクター4のタイムは実に接近している。全ライダーで差は2秒程度に収まっており、マルケスとドヴィツィオーゾなどは0.02秒程度の差しかないのだ。彼らより遅いライダーでもトップと0.5秒程度の差でしかない。

第1セクター、つまりライダーがピットを出てラップタイムを刻み始めるまさにその区間のタイムを見ると状況がより明確となる。ここでマルケスがタイムを稼いでいるのだ。彼は2番手のドヴィツィオーゾに対して第1セクターだけで0.4秒の差をつけている。他のライダーに対してはもっとだ。マルケスはペドロサには0.9秒、アレイシ・エスパルガロには1.8秒の差をつけた。ヴァレンティーノ・ロッシに対しては3秒近い差をつけている。この違いは後ろにいくほど大きくなる。

これは単にピットレーン出口のトラフィックに恵まれたかどうかだけではない。第2セクターのタイムを見るとマルケスはアウトラップから攻めているのだ。あのようなコンディションにもかかわらずだ。マルケスより速かったのはドヴィツィオーゾだけであり、彼はマルケスを追っていた。マルケスのアウトラップ後の第2セクターのタイムはペドロサ、アレイシ・エスパルガロより0.4秒、ロッシよりは1秒以上も速かったのだ。

ここからどんな教訓を得ることができるだろう?まずはマルケスはコースに戻ったとたんに水を得た魚のようにアクセルを開けていったということだ。ピットレーンを出たとたんにトラクションを最大限に利用し、ギャップを広げるために最高の力で走っていった。これは第3セクターのタイムをみてもわかる。マルケスがデ・ブルトでコースアウトしてドヴィツィオーゾに対して4秒を失ったときのことだ。マルケスはびびるかわりによりリスクの高い走りをしたのだ。タイヤのグリップレベルに対する感覚が飛び抜けてすぐれている彼ならではのことである。そして彼はそのリスクを克服したのだ。彼のライディングスタイルとメンタリティがライバルとの差である。アクロバティックな乗り替えで差をつけているわけではないのだ。レースの勝敗はコース上で決するということである。

ピットインに要した時間:

ゼッケン ライダー  マシン  レース結果  ドルナ計測ピットタイム  差 
29 イアンノーネ Ducati 6 23.7  
6 ブラドル Honda 10 23.9 0.2
93 マルケス Honda 1 24.3 0.6
26 ペドロサ Honda 3 24.3 0.6
4 ドヴィツィオーゾ Ducati 2 24.6 0.9
46 ロッシ Yamaha 5 24.7 1.0
35 クラッチロー Ducati 9 24.8 1.1
41 A.エスパルガロ Forward Yamaha 4 25.2 1.5
19 バウティスタ Honda 7 25.5 1.8
99 ロレンソ Yamaha 13 25.6 1.9
38 スミス Yamaha 8 26.7 3.0
69 ヘイデン Honda 17 26.8 3.1

ドルナ計測ピットタイム:MotoGP.comのビデオより。ピットレーンのスピード制限区間開始から制限区間の終わりまでに要した時間。すべてのライダーのタイムが表示されたわけではない。

第4セクター+第1セクターのタイム:

ゼッケン ライダー  マシン  レース結果  ピットイン周回  T4+T1タイム  差 
93 マルケス Honda 1 6 83.631  
4 ドヴィツィオーゾ Ducati 2 6 84.065 0.434
44 P.エスパルガロ Yamaha 23 7 84.885 1.254
26 ペドロサ Honda 3 6 85.062 1.431
6 ブラドル Honda 10 7 85.540 1.909
9 ペトルッチ ART 15 7 85.987 2.356
41 A.エスパルガロ Forward Yamaha 4 6 86.471 2.840
19 バウティスタ Honda 7 6 86.739 3.108
46 ロッシ Yamaha 5 6 87.168 3.537
8 バルベラ Avintia 18 7 87.326 3.695
17 アブラハム Honda 14 7 87.630 3.999
29 イアンノーネ Ducati 6 6 88.135 4.504
38 スミス Yamaha 8 7 88.396 4.765
35 クラッチロー Ducati 9 6 88.438 4.807
7 青山 Honda 16 8 88.629 4.998
99 ロレンソ Yamaha 13 7 89.936 6.305
69 ヘイデン Honda 17 7 91.089 7.458

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ピットではなくコースでレースは決まる!

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