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カレル・アブラハム インタビュー

どうせ君が乗れるのはお父さんがお金持ちだからでしょ、とか言われちゃうチェコ出身のMotoGPライダー、カレル・アブラハム。パパはブルノサーキットのオーナーで、チームのメインスポンサーもひとつはブルノサーキットなのであながち間違いではないのですが、それでもMoto2では優勝経験もあるし、それなりの位置を走っているのも忘れてはいけません。というわけでCRASH.netより彼のインタビューを訳出。
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カレル・アブラハムは先日のイタリアGPでオープンクラスを走るホンダ勢のトップとなる12位でフィニッシュしている。

これはそのムジェロの振り返りと、彼のここまでのMotoGPキャリアに関するインタビューである。彼はMotoGPではドゥカティ及びアプリリアCRTにも乗っている。

そして最近法学の学位を取った彼は、「武器と軍需品」(!)の研究をしようという将来プランを明かしてくれた。

Crash.net:ムジェロでは素晴らしい走りでホンダRCV1000R勢のトップとなりました。しかもオープンクラスで前を走っていたのはアレイシだけでしたね。
アブラハム:ありがとうございます。確かに良いレースでしたし結果には満足しています。オープンクラスのトップになれなかったのは残念ですが、アレイシ(エスパルガロ)が現時点ではとんでもなく速いんでトップになるのはかなり難しいですね。彼のマシンは本当に速いんですよ。
 すごくたいへんなレースでした。ドゥカティ勢に囲まれていましたからね。僕のマシンはドゥカティより速く走れる実力はあるんですがドゥカティのエンジンがすごく速くてストレートでちぎられちゃうんです。それでドゥカの後ろになっちゃったんですよ。でも最終ラップではラッキーにもスコット・レディングのすぐ後ろにつけることができて、最終コーナー立ち上がりで彼より速かったんでストレートでパスできたんです。
 楽なレースじゃなかったですよ。中盤は一人で走っていて、ピロに近づいていったんですがいかにもドゥカティらしくストレートで離されるんです。ちょっと頭に来ましたね。精神的にもきついレースだったってことです。ドゥカティはムジェロのストレートで僕より30km/hくらい速かった。ムジェロのストレートは長いんでなおさら辛かったですね。
 最後にスコット・レディングみたいなトップライダーの前でゴールできたのは良かったです。彼を抜くのはたいへんだとわかってました。レース終盤には精神的にも疲れていたし、でも最終ラップで前に行かせて、コーナー立ち上がりを重視してスリップを使って彼を抜いたんです。ニッキー(ヘイデン)がいなかったのは残念ですね。彼とも良いバトルができたはずなんですが。

Crash.net:マシンの話に戻りますが、RCV1000Rについてはどう考えていますか?
アブラハム:そうですねえ、MotoGPの最初の年は僕らにオープンかつフレンドリーに接してくれたドゥカティでした。MotoGPで走れるかどうかもわからなかったときに、まずはテストをしたかったんですが、ドゥカティは喜んでテストさせてくれたんです。他のメーカーはテストをさせてくれなかった。僕らがドゥカティを選んだのは彼らの顧客に対する態度がすごくよかったからなんです。

最終的にドゥカティとの間にもいくつか問題が生じてきてアプリリアにスイッチしました。去年は厳しい年でしたね。怪我もしたし、でもアプリリアが思ったほど良くなかったというのもあります。それでまたマシンをスイッチする必要があったんです。
 実際にはあまり選択肢はありませんでした。アプリリアに戻るか、ドゥカティをゲットするか、ヤマハの可能性もなくはなかった。でもその時点でヤマハはシャーシ無しでエンジン単体のみを売る話しかなかったんです。で、残るはホンダですね。ドゥカティを試して、アプリリアにはがっかりして、ヤマハはエンジンしか売らない。要するにホンダしか残っていなかったんです。まあ結果としてマシンは良かったんですけどね。

Crash.net:費用面では問題はなかったんですか?
アブラハム:そうですねえ、問題はありましたけど、いくらなのか僕は知らないんです。お父さんに聞いてみないと。高かったのは確かですが、MotoGPマシンなんてみんな安くはないですから。

Crash.net:結果を出せると信頼されていると思いますか?
アブラハム:たくさんの人が見てくれていると思いますよ。ホンダの偉い人も僕らに何ができるか見てくれてますし、例えば中本さんは毎レースわざわざグッドラックと良いに来てくれてます。ホンダはレースに勝ちたいのももちろんでしょうけど、RCV1000Rがドゥカティを負かすのも見たいはずです。僕らがそれをできるかもしれないということもちゃんと見てくれている。マシンには満足していますし、ホンダもそれをわかってくれていると思います。こうした努力が将来報われるといいですね。
 信頼されているかという意味では、少なくとも見てほしい人には見てもらえていると思います。

Crash.net:お父さんがサーキットのオーナーということで練習とかテストが楽になったりしてますか?
アブラハム:ブルノではシーズン中のテストはないんですよ。確かにブルノは走り込んでいるし、でもそれはレーシングスクールを持っているからで、それにスクールの時はすごくゆっくり走るんでMotoGPの役には立ってませんね。
 意味のあるテストをするにはMotoGPマシンやテスト用のエンジンやスタッフやなにやらが必要となりますし、それはコストがかかりすぎます。ブルノを遅いマシンで走っても何の役にも立ちませんよ。
 そういうことをやってるライダーを知ってますよ。ティト・ラバトなんですけどね。彼は毎日Moto2マシンに乗ってます。でも彼の場合は僕と違って自分がレースするマシンかそれに近いものに乗ってるんですよね。

Crash.net:チームの運営についてですが、あなたを中心に組み立てられているんですか>
アブラハム:確かに僕を中心として育ってきたチームではありますね。ほとんどの人は僕と一緒に働き始めてからずいぶん長く経っていますから。実際僕と10年だか11年だか一緒に働いているスタッフも一人います。最初からってことですね。チーフメカなんですけど、僕が21歳で125ccに乗り始めた頃から一緒にいてくれて、それからずっとついてきてくれています。チームは家族みたいなもので、みんな気が合うんです。それが大事ですね。
 でももし状況が許せば他のライダーも迎え入れたいですね。例えばヤコブ・シュメルツが一年ほどいました。でもお金が常に問題なんです。ライダーにお金を持ってくるようになんて言ったら来たいライダーはいなくなりますからね。
 過去にはもう一人ライダーを走らせる資金を提供しようというスポンサーもいましたけど、彼らに必要な資金は100万ユーロ(1億4千万円)単位だと言うと、必ず10万ユーロくらいだと思っていたという答えが返ってきた。もし自前で資金をまかなえるライダーがいたなら是非チームで走ってほしいですね。

Crash.net:資金の大部分はお父さんから出ているんですか?
アブラハム:そうです。でもスポンサーからも出てますよ。例えばカルディオンは父の会社じゃないですから。スポンサーなんです。みんな父の会社だと勘違いしてますが、レースを始める前から良い関係を築いていただけで、あくまでもスポンサーなんですよ。

Crash.net:多くのライダーがバイク好きの家族の出身ですが、あなたはちがいますよね?
アブラハム:その通りです。家族の中でバイクに乗るのは僕だけですね。おじいさんがレースっぽいことをしていたので、隔世遺伝なのかもしれませんね。
 最初のバイクはマラグーティのグリズリー12でした。遅かったしオートマだったけどバイクにはまるきっかけを作ってくれました。その後はミニバイクに乗ってレースに出始めました。まあ当たり前ですけど、母は大反対で、でも最終的には折れてくれましたね。まあ今でも僕にレースをやめてほしいと思ってるでしょうけど。
 父がどう思ってるかは、どれほど僕がレースをするのに協力してくれてるかを見ればわかると思いますけど、彼は賛成してくれてます。もちろん安全は気にかけてくれてるし、クラッシュすればものすごく心配してくれますけど、それでも手助けしてくれるんです。

Crash.net:いわゆる「尊敬されるような」経歴に対するプレッシャーはありませんか?
アブラハム:2週間ほど前に大学を卒業したばかりで、法学の学位を取ったんです。法律の勉強は別の学校で続けたいと思っています。軍需品や武器にも興味があって、防衛大学もあるんですが、そこは基本的に兵士向けなんですけど文民も少しは入れてくれるんで、そこで武器と軍需品の研究をしたいと思ってます。そこでの学位は将来役立つでしょうからね。

Crash.net:自分でお金を払って乗せてもらってるという批判にいらついたりはしませんか?
アブラハム:そうとう辛いですね。僕がMotoGPに行くときも批判した人はいたけど、他にもいいスポンサーをつけているライダーはたくさんいるんです。アレックス・デ・アンジェリスとかもお金持ちだけど何にも言われてませんよね。
 バイクレースではお金がいるというのは厳しい現実で、僕らがいいスポンサーと良い関係を築いているというのも事実なんです。もし誰かが、来年MotoGPで走れるチャンスがあるけどどうする?と言ってきたらどうですか?そりゃそれに乗るでしょ?
 僕は自分がMotoGPに参戦したことを後悔はしていないし、間違った判断だとも思っていません。唯一ちょっと後悔しているのはもう1年Moto2で走れば良かったかなってことですね。Moto2ならトップ争いができたはずですから。でもその当時は、もう1年Moto2にいたらレギュレーションが変わってしまって新規参戦ができないと思っていたんです。CRTが導入されてすべてが変わりましたし、結局普通に参戦できたんですけど、その時にはもう遅かったですね。
 まあ僕が何をしても批判されるんでしょう。金でシートを買っているとか、ひどい人は金で学位まで買ってるって言うんですよ。ちょっとへこみますね。学位をとるためにすごくがんばったんです。レースでも人生でも手を抜いたことはありません。その手の批判が嫌だからなんです。最終的には自分のためになることだし、自分のやってきたことは自分が一番よく知っています。

Crash.net:実際に速さも見せていますし、速いライダーに勝ってもいる。レースにはどれくらい人生を捧げていると言えますか?
アブラハム:もちろんレーサーに乗るのは大好きだし、それが一番ですかね。それにバトルも好きなんです。最高のレースっていうのは何人ものライダーとバトルをして抜き合いをするようなレースです。これほど楽しいことはありませんよ。でもレース界も変わるべきだと思うこともあります。

Crash.net:例えば?
アブラハム:F1とかもそうなんですけど、ドライバーとかライダーよりマシンの占める比重が高くなっている。だから電子制御はもっと制限して、マシンに組み込まれたコンピュータからレースをライダーの手に取り戻すべきだと思うんです。
 MotoGPマシンは僕が乗った中で最高のバイクです。すごく精密だし美しい。でもいちばん楽しかったのは250ですね。エンジンもいじれたし、乗ればマシンのことがよくわかった。自分の手の内にマシンがある感じだったんです。自分が精密でなければならなくって、それには技量を必要としたんです。
 当時はそのクラスに入ってきたライダーがすぐ勝つようなことはなかった。マシンのことを学ぶのもたいへんだったし、慣れるのもたいへんだった。MotoGPマシンは馬鹿みたいに速いですけど、電子制御がコントロールしているせいでハイサイドをくらうこともできないというのは、あんまり楽しめる事実じゃないですよ。

Crash.net:ハイサイドしたいんですか?!
アブラハム:いや、もちろんハイサイドはいやですよ。誰だって痛いクラッシュはしなくないですし。でもその可能性があって、それを避けるのが自分のテクニックだという方が好きですね。もう限界まで走らせるのも難しくなっているんです。自分の心と手首が完璧につながっていなきゃならないとうのが楽しいんです。ハイサイドを恐れる心があるからマシンのことも尊敬できるってことなのかもしれませんね。もっとライダーの力が試されるようになるといいんですが。
 オープンクラスでさえ電子制御はすごく複雑で、メーカーはそれを変えたくはないでしょうけど、今より電子制御の介入を減らすべきでしょう。安全のために必要だということは理解しますけどね。

Crash.net:自宅ではどんなバイクに乗っているんですか?
アブラハム:ドゥカティのディアブロとホンダのホーネットを持ってますけど、CBR600も持ってます。今はファイアーブレードがほしいですね。

Crash.net:ディアブロってちょっとかっこわるくありません?
アブラハム:最初はあんまり好きじゃなかったんですが、だんだん気持ちが変わってきましたね。まあかっこわるいかどうかは別としてすごくパワフルなバイクですよ。

Crash.net:ありがとうございました。
アブラハム:どういたしまして。
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をを、結構聞きにくいことをずばずば聞いて、それにもまじめに答えてますねえ。MotoGPリーグでは彼のこともお忘れなく!

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コメント

カルディオン、名前的にもてっきり...

投稿: ひさすえ | 2014/06/16 20:55

>久末さん
 なんかそうなんですってよ。

投稿: とみなが | 2014/06/17 22:20

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