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重量制限に関する大議論:近々MotoGPの重量制限が引き下げに

さっきの翻訳ネタで使ったMotomatters.comの文章を全文訳出。実はさっきの記事で解説しているほどには考えずにやってることがよくわかりました(←考えろよ)。
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340mmカーボンディスクがMotoGPで再び許可されるというニュースのせいで水面下でここしばらく続いてきた議論が再燃している。 既に義務になっているもてぎに加えて全てのサーキットで340mmディスクがやっと使えるようになったのだ。これは過去3年にわたってMotoGPマシン のパワーと重量が増してきたためである。しかし真の解決策は最低重量を下げることにあるはずだ。
グランプリコミッションが320mmより大きいディスクを禁止したのは皮肉なタイミングだった。コストカットと合理化のためにこのルールが導入されたのは MotoGPが1000ccに戻ったときなのだが、これは同時にマシンがより速くなることを意味していたのだ。さらに問題を悪化させたのは最低重量の引き 上げだった。当初は800cc時代の最低重量150kgが153kgに引き上げられたのだが、しかし話はここで終わりではなかった。CRTマシンが生き延 びられるように2012年には157kgへ、そして2013年には160kgへと2段階で最低重量が引き上げられることになったのだ。

2年間でエンジン排気量は25%上昇し、馬力は10%程度上がることになった。一方重量も7%近く重くなっている。いかにもブレーキに問題を起こしそうな話であり、実際にそれは起こっている。ベン・スピースは2012年のもてぎでブレーキが利かないというトラブルに見舞われた。それで2013年には大型ディスクがもてぎで義務づけられたのだ。2013年のヤマハライダーは全員が口をそろえてブレーキングパワーの欠如を指摘し、カル・クラッチローは未だにドゥカティ・デスモセディチGP14のブレーキングに悩まされている。340mmディスクが使えるようになればすぐに問題は解決するだろうが、長期的には最低重量が再び引き下げられることが必要である。

このルール改正は意外とすぐに導入されそうだ。2016年のMotoGPルール大改正までには最低重量引き下げもなされそうな勢いである。市販ベースのCRTマシンは既になくなったことで最低重量をどうしても重くしなければならない理由がなくなったのだ。新世代のオープンクラスマシンはCRTよりファクトリープロトタイプに近い。つまり重量削減はそれほどたいへんな話ではなくなったのである。市販ベースのオープンマシン(アヴィンティア・カワサキやアプリリアRSV4のエンジンを使うARTやPBM)でさえ、この数年の開発を経てプロトタイプマシンに近づいているのだ。

では重量はどれくらい削減されるのだろう。ヘレスでレースディレクターのマイク・ウェッブが我々に語ったところでは、155kgか、ことによったら150kgまで削減することを考えているとのことだ。もっとも155kgの方が可能性が高いようだが。どちらの重量でも大丈夫などころか、もっと軽くできるとの話もある。フレームデザインの天才であるFTRのマーク・テイラーがそれほどコストをかけずとも達成できる重量について語ったところでは、給料分だけ働けるまともなエンジニアなら150kgのMotoGPマシンを設計できるとのことだ。それ以下だとかなりたいへんだが、高価な素材と技術を使えば140kgでもいけるかと尋ねられると、彼は可能だと答えた。ただしマシン自体が高価になるとも言っているが。

とは言うものの、重量制限引き下げの主な理由はブレーキングの問題だけではない。それ以上に切迫した理由があるのだ。スピードと重量が増加すればクラッシュしたときにマシンが飛ばされる距離が伸びるのである。ハイスピードで走るMotoGPマシンのもつ運動エネルギーは莫大だ。350km/hまで加速するのには莫大なエネルギーを擁する。もちろんこれを減速するにも同じだけの逆向きのエネルギーが必要だ。現在のクラッシュ対策は舗装部分→グラベルトラップ→エアフェンスの順となっているが、これも限界に来ている。エアフェンスは最後の手段としての意味しかない。理想的にはマシンもライダーもグラベルの終わりに達するまでに止まっていることが望まれるのだ。エアフェンスには可能な限り当たらないようにすべきである。

これまでエアフェンスはどんどん奥に設置されるようになっているが、とんでもなくコストがかかる対策である。しかも観客にとってもコースから遠ざかることになりいいことはない。そしていくつかのコースでは既にそれも難しくなっている。もうこれ以上エアフェンスが下げられなくなっているコースもあるのだ。例えばザクセンリングの1コーナーは既に10コーナーと11コーナーを結ぶセクションに近づいてしまっている。アッセンのラムズホークのランオフエリアはパドックに接さんばかりだ。ムジェロのストレートエンドにあるサン・ドナートは大きな丘の下にあるがランオフを拡張するためにその丘を掘り返すことになった。もしこれ以上スピードが上がれば、これはコーナリングスピードでもトップスピードでも同じだが、MotoGPで安全に走れるサーキットなどなくなってしまうだろう。

この問題を解決するには2つの方法がある。運動エネルギーは1/2mv²(訳注:mは質量、vは速度)で定義される。クラッシュしたマシンが滑る距離を減らすのに最も効果的なのはクラッシュ時の速度を落とすことだ。速度は運動エネルギーに対して2乗で効いてくるので、これを下げれば効果は絶大だ。しかしスピード制限は難しい。ドルナはトップスピードを下げるための回転制限を導入しようとやっきになっているが、この結果コーナリングスピードが上がることになるのは火を見るよりも明らかだ。800ccに排気量を制限したときに起こったのが正しくこれである。トップスピードを下げるならコーナリングスピードを下げる方策も導入しなければならない。これはグリップを下げるしかないが、そのためには電子制御を簡単なものにするか、タイヤの性能を落とすことになる。しばらくGPに参加していなかったミシュランの復帰は短期的には効果はあるだろう。しかしその内ミシュランの性能も現在のブリヂストンの性能まで上がってくるだろうし、そうなれば振り出しに戻ることになる。

重量を減らすのにはスピードを減らすほどには効果がない。重量と運動エネルギーは指数関係ではなく比例関係だからだ。しかし導入するのも簡単だし管理も簡単だ。ワークスは3メーカーとも最低重量を守るためにおもりを積んでいる。チタンやその他の特殊素材をステンレスに替えて重量を稼ぐこともある。おもりを取り除くとセッティングはかなり変更することになるし、設計も大幅に変更しなければならないかもしれない。しかし技術革新を必要とするわけではないのだ。2016年には新たなタイヤサプライヤーが来るし、電子制御も統一されしかも現在のものほど複雑ではなくなる。これを機に最低重量引き下げについての議論もまた始まるだろう。つまりは時間の問題ということである。
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そしたら鈴鹿に戻ってくるとかないかなあ・・・。

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