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マルケスのタイヤマネジメントのうまさについて:フランスGP日曜まとめ

CycleWorldのKevin Cameron氏がフランスGPでのタイヤマネジメントについて興味深い記事を書いていますので訳出。
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マルク。マルケスがルマンで開幕5連勝を飾った。この若者は全レースを勝つつもりなのだろうか?もし状況が許せばそれも可能だろう。

今年のMotoGPではタイヤをいかにうまく使うかが鍵になっている。もしフロントに荷重をかけすぎればタイヤの温度が上がりすぎコーナー中盤でアンダーステアが出てしまう。結果として加速時にはアウトにはらんでしまうことになるだろう。しかしコーナー進入までにタイヤの温度が十分に上がらなければ、グリップが失われ、同じ結果となる。加速でアウトにはらんでしまうのだ。

このタイヤの使用可能域を広げてうまく使いこなしているのがマルケスだ。日曜の決勝は当初の予想より暑くなり、路面温度は46℃まで上がった。ホルヘ・ロレンソはコーナリングスピードを稼いで速く走るタイプのライダーだが、これがうまくいく温度範囲は実に狭い。タイヤが機能する程度には暑く、そしてエッジグリップがなくならない程度には暑すぎないことが必要なのだ。

ロレンソは6位という残念な結果に終わった後にこう言っている。「スタートは悪くありませんでした。でも序盤では誰も抜けなかったんです。それであまり良いペースが出せなかった」なんというドラマだ!マルケスはこう言っているのだ。「僕はちょっとスタートでリラックスしすぎたんですね。それで遅れてしまった。で、ホルヘが僕を抜いていったんですが、おかげで僕はアウトに行ってしまった。それがなければ接触していたでしょうからね。あれのせいでみんなが僕を抜いていったんです」

原因がどうあれ、マルケスは10番手まで落ちてしまう。ドゥカティのアンドレア・ドヴィツィオーゾがその間にすばらしいスタートダッシュを見せ、ステファン・ブラドルがそれについていった。各車が接触しそうな距離でコーナーを駆け抜けていく。数周にわたってドヴィツィオーゾが懸命にレースをリードしたがその内後続に巻き込まれ、何度かの抜き合いの内にヴァレンティーノ・ロッシがブラドルをやすやすと抜き去ると、彼はついに追いつかれてしまう。ドヴィは序盤に1分34秒台で走っていたものの、しばらくすると彼のラップタイムは1分35秒台にまで落ちてしまった。

ブラドルのペースも落ちる。「タイヤがフレッシュだった時はすごく速かったんですが、6〜7周で脱出時にリアタイヤが機能しなくなったんです」とブラドルは言う。

マルケスはすばらしいタイムを出し続け、毎周のように他のライダーを抜いていった。他のライダーがグリップを失う中、マルケスだけはそうならなかったのだ。ことによったら彼はそれほどグリップ力に頼っていないのかもしれない。

コーナー進入時にタイヤに何が起こっているか考えてみよう。路面に接触している部分は急激に温度が上がり、それに伴いグリップも増す。そこでライダーが上手にスロットルを開けるとタイヤが「マシンを曲げる」ことになる。最適の状態ならタイヤの広い部分のグリップ力が頂点まで達し加速力に備えることができるのだ。しかしライダーがタイヤのある部分だけに荷重を掛けすぎると、そこだけ温度が上がり粘着力が増すが、もう一方はそうはならず、コーナー中盤や加速で問題が生じることになる。理想はローストチキンのように「全体がきつね色」になるようにすることである。

ルマンはまるでアコーディオンのように短いストレートと小さいコーナーが交互にやってくるサーキットだ。タイヤショルダーを非常に高温にするような高速コーナーがないのである。そこで供給されるタイヤはシーズンで最もソフトなものとなる。トップライダーはすべてソフト側のリアタイヤを選択している。金曜と土曜の予選を通じてライダーはソフト側がうまく機能すると判断したのだ。

ついにマルケスが追いつくとトップのロッシはブレーキングで突っ込みすぎてはらんでしまう。そしてその後はなんのドラマも起こらなかった。なんの接近戦もなかったのだ。「大事なところでブレーキングをミスっちゃいましたね」とロッシは言う。「ちょっと深く突っ込みすぎてはらんじゃったんです。すごく残念ですね。マルクに楽させちゃいましたよ」

3位に入ったのはグレシーニホンダのアルヴァロ・バウティスタだ。才能あるライダーだが2014年の初表彰台である。「冷静になって徐々にペースを作っていきました。ポジションも上げられましたし。3番手につけた時点でロッシをとらえようとしたんですが差がつきすぎてましたね」

ロッシが今年になって2位に入る実力を見せているのは、マルケスを以前の手法が通用しないことを理解したからである。去年はマルケスが何をしているのかを学び、それを自らの深い経験に付け加えることになった。ロッシがドゥカティに適応できなかったとき彼のキャリアはほぼ終わったと思ったものだが、まだまだ適応力があることを見せつけてくれた。

で、ダニ・ペドロサがポル・エスパルガロの後ろの5位とは何事だろう?ペドロサによれば序盤にニッキー・ヘイデンやアンドレア・イアンノーネの転倒の原因となった接戦はそれほど問題ではなかったとのことだ。「フロントに問題を抱えていて順位を上げられなかったんです。もっと攻めようとするとグリップが失われて、それで前に行くのにラップ数を重ねてしまったんですよ」

他のライダーもフロントタイヤのグリップに悩まされていた。しかしグリップというのは単なる数字の問題ではなく、言わば果実を得るために丁寧に世話しなければならない庭のようなものだのだ。パイロットは上のレベルのライセンスを取るにはより多くのことを同時にこなさなければならないと言う。レースも同じようなものだ。ハイテンポで指されるN次元のチェスのようなものなのだ。考えることなくできる者は適応に悩むこともない。

エスパルガロは有頂天だった。この週末について「ちょっとした夢みたいですよ。予選でフロントローを獲得して、これ以上はないって思ったくらいです。でもラッキーにもレースディスタンス中うまくパフォーマンスを発揮できましたね」それはラッキーではない!彼の名前はこれからも上の方に度々登場することだろう。

ドヴィツィオーゾは8位となった。いい予選結果にもかかわらず彼がリアリストぶりを発揮して、レースは最初の一周だけではないと言うのを何度聞いたことだろう?しかしドゥカティで5周もトップを走れたというのは大した進歩である。

ロッシとマルケスのどちらもがロレンソが明らかに不幸な状況にあると行っている。ロッシは言う。「今年はマルクも見ての通り経験を積んだし、ホンダの方が技術的にもヤマハを少し上回っていて、ホルヘにとってはそういうのが辛いんでしょうね。勝つのはほとんど不可能だけど、彼は2位にはなりたくないんです。だからハッピーとは言えないでしょうね。たぶんそのせいでちょっと問題を抱えているんでしょう」
そしてマルケスはこう言っている。「ロレンソはちょっと苦しんでるみたいですね。まあその内この状況から抜け出して楽しめるようになるでしょう。で、また速くなると思いますよ。でも楽しめなければ速くは走れないんです」

ファウスト・グレシーニは苦しんでいるライダーに再び喜びを与えることで成功に導くことができる。バウティスタの素晴らしい3位について彼はこう語った。「アルゼンチンGPの後にアルヴァロと話し合ってわかったんですけど、うまい心持ちが必要なんですよ」

1974年にスリックタイヤが導入されたとき多くのライダーがタイヤの機能を発揮させることができずレースで遅れをとることになった。何時の時代でもトップライダーは、マシンやタイヤの革新がもたらす新たな可能性をうまく噛み砕くことができるのだ。さあ他のライダーもこれをうまく噛み砕き、そして楽しむことができるだろうか。
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こちらの記事と同じような要旨ですね。それにしてもホルヘが心配。

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