« セパンテストの結果 | トップページ | 誰もマルケスには追いつけないね、とクラッチロー »

悩めるRCV1000R

性格が良くてほとんど人を批判しないニッキー・ヘイデンにまで「こんなに前と離されるとは思わなかった。がっかりだ。やらなければならないことがたくさんある。」と言わせてしまったホンダのオープンクラス用市販マシンRCV1000Rですが、こうした批判に対してHRC副社長の中本氏はこう言っています。CRASH.netより。
========
ヤマハに乗るアレイシ・エスパルガロがセパンテストで4番手タイムを叩き出したのがオープンクラスのポジティブなニュースだとしたら、その真反対がホンダのRCV1000Rの結果と言えよう。

オープンクラスの中ではエスパルガロに次ぐ2番手だったとは言え、ニッキー・ヘイデンのタイムはエスパルガロから1.5秒遅れ、トップタイムのマルケスからは2秒遅れの13番手だったのだ。

エンジン性能が劣っているというのがヘイデンの悩みである。「他のライダーについていこうとしてもついていけないというのは、本当にやる気が失せることですよ」と普段はポジティブなヘイデンは言う。

HRC副社長の中本修平氏はオープンクラスに対してヤマハとホンダの間には思想の違いがあることを強調する。
「詳細はわかりませんけど実質的にヤマハのオープンクラスマシンは去年型のワークスマシンですね。まあレギュレーション上はそれでもいいんですが。
 私たちは違うアプローチをしています。売り物として作っているんで、例えば2年間使ってもらうこともできるんですよ。その場合初年度に120万ユーロ払っていただいて、翌年はアップデートキット分だけ払ってもらえばいいんです。そうすれば1年当たりのコストは100万ユーロ未満になる。それに使った後は自由に撃ってもらって構いませんから、それもなにがしかの足しになるでしょう。
 マシンコストを120万ユーロに抑えるために、スプリングバルブとスタンダードのトランスミッション、そして仕様の違うオーリンズを使っています。でもメインのパーツ、例えばフレームとかスイングアームとかカウル類はワークスと同等ですよ」

決めつけになるかもしれないが、RCV1000RはCRTルール、すなわち買い取りにも耐えられるようにしてるのではなかろうか。これは元々企業秘密満載の技術による価格高騰を抑えるためのものだ。

ホンダが市販という形、そして再販も止めないというシステムをとっているということはRCV1000Rが買い取りシステムに対応しているということを示しているとも言える。

しかしヤマハ、そしてドゥカティのオープンクラスエンジンに対する思想は確かに異なっている。

買い取りルールがなくなったことによりヤマハはニューマチックバルブを装着したフルスペックのYZR-M1エンジンを供給することができた。フォーワードレーシングのマシンについて言えば、フレーム、スイングアーム、オーリンズサスも完璧にワークス仕様である。

オープンクラスは燃料容量、エンジン台数の点で有利な代わりに電子制御システムについてはドルナが供給するものを使用しなければならない。これはヨニー・エルナンデスのドゥカティもそうである。

中本はこうも言っている。「もし去年型のワークスマシンに統一ECUを装着したマシンを供給するなら、リースしかないですね。企業秘密が入っていますから、ワークスマシンを売るわけにはいきません」

おもしろいことに、そして皮肉なことに中本はホンダがルールを読み間違えたことまで示唆している。
「ヤマハとホンダの思想が違っているんですね。まあホンダもちょっとルールを読み違えたかもしれません。オープンクラスはマシンをチームに売らないといけないと勘違いしたんです。再度ルールブックを読み返してみたら、そんな規定はどこにもなかったんですけどね。
 去年のCRT用のレギュレーションではパフォーマンスにギャップがありすぎた。そこでホンダはそれなりに闘えるマシンを作ったんです。去年のワークスマシンをリースする方が楽でしょうね。統一ECUソフトを入れるだけで新開発する必要が無いんですから。
 でもこれがホンダのやり方なんです。プロダクションマシンとワークスマシンがあって、プロダクションマシンというからにはホンダはそれを売らなければいけないんです。
 マシン開発はエンジン、シャーシともに止まることはありません。エンジンの改良のために導入するよりよりピストンとかにチームは追加費用を払う必要はないんです。まあ新型シャーシとかだったら話は別ですが」

中本は秘密の多いシームレスミッションについては市販レーサーへの導入を否定しているが、ニューマチックバルブについては含みを残している。

「シームレスミッションはないですね。可能性はゼロです。ニューマチックバルブについてはわかりませんけど。でもコストがかかるのでチームと相談ですね。エンジンは似たようなものに見えても、吸気系統の問題があってフレームも相当変えなければならないんです」

セパンテストでの公式トップスピードは発表されていないが、ヘイデンによれば去年アスパーが使っていたアプリリアのCRTマシンより数km/hは速いとのことだ。
 去年10月のマレーシアGPでのアプリリアマシンの最高速は309.9km/h、トップのマルケスから17.6km/hの遅れであった。

ヘイデンは加速とトップスピードの両方で改善が必要だと主張しているが中本によれば高いギアでしか違いはないという。

「データを解析しましたが加速はそれほど違いませんよ。タイヤグリップの限界が先にきてしまいますからね。ピークパワーは確かにワークスマシンの方がいいですが、中低回転域での違いは本当にわずかです。1速から3速にかけてはワークスマシンはパワーを抑えなければならないですしね。だから4速以上でないと違いは出ないんです。
 データによればワークスと市販マシンのストレートでの差は0.16秒しかなかったですから、ストレート2本で0.3秒。これがエンジンによるタイム差です。ですからエンジンのせいで1ラップ2〜3秒も違うわけじゃないですよ。
 確かにラップタイム差は大きいです。アレイシから1.5秒も遅いですからね。でもホンダのマシンは必ずしも乗りやすいとは言えないんです。
 ライダーがマシンを理解してくればギャップは縮まるはずです。テストライダーによるプライベートテストでのタイム差は1秒もなかったですから」

今シーズンRCV1000Rのユーザーにはヘイデンの他にもいる。チームメイトの青山博一は16番手(2.850秒差)、グレシーニのルーキースコットレディングは21番手(3.300秒差)、カルディオンABのアブラハムは26番手(5.728秒)であった。ちなみに参加ライダーは27人である。
============
この中本さんの意見に対してヘイデンは、「いやドゥカティでついた癖もあるだろうけどストレートでのスロットルの開け方は忘れてないですよ(笑)。タイムはいろんなところで少しずつ差がついていくんです。回転が落ちるとトルクの谷があって、だから2コーナーとか9コーナーみたいな低速セクションの立ち上がりでも差がつくんですよ。もちろんトップギアでもね。エンジン自体で2〜3秒も差がつくわけじゃないってのはわかっていますから、自分のできることはやりますよ。
 今夜はHRCと話し合うつもりです」
とのこと(CRASH.net)。

悩みは深そうですねえ。

|

« セパンテストの結果 | トップページ | 誰もマルケスには追いつけないね、とクラッチロー »

コメント

FTR-M1との差はそんなにあるんでしょうか?
エスパロ兄とエドワーズのタイム差が離れすぎていて、マシンの戦闘力が分かり難いです。
ヘイデンもエドワーズよりは速いタイムなので、現在のエスパロ兄がすごく乗れてるって事なのかもしれませんし。

投稿: 結石 | 2014/02/08 23:38

ルール読み間違えたというか、CRTルールが撤廃された時にはRCV1000Rの開発はもう最終段階まで来てただろうから間に合わないですよね。

元々CRTマシンとして開発してたのに、ヤマハがワークスエンジンのリースを提案したので、それが可能となるようにオープンクラスの新しいレギュレーションが出来た訳で、ホンダにとっては青天の霹靂ですよね。

ワークスエンジンと市販エンジンじゃ差があって当然ですし、ニュウマチックバルブ搭載と非搭載だけでも差は歴然だと思います。

とりあえず市販RCVのニュウマチックバルブ搭載を急ぐしかないでしょうね…そもそも当初想定していたライバルのARTもニュウマチックバルブ搭載というもっぱらの噂ですし…

投稿: ko1kubota | 2014/02/11 00:02

>結石さん
 確かに兄パルガロがとんでもなく速いだけという可能性はありますね。誰かワークスマシンを!

>ko1kubotaさん
 ARTよりは速かったのがせめてもの救いですかね。でも中本さんはトップ6も可能だと去年の段階では言ってたんですけどねえ・・・。

投稿: とみなが | 2014/02/11 16:20

>>兄パルガロがとんでもなく速い
その可能性より、他が遅いだけだとも‥‥‥(苦笑)

>>中本さんはトップ6も可能だと去年の段階では言ってた
「ストーナーが乗れば」って前提だったのでしょう(^^;

いずれにせよ今年のチャンピオン争いは「マルケス中心でっ」て事が変わらないと、楽しいシーズンにならないので、ダニとホルヘに頑張ってもらうのを期待します。

投稿: もちょい | 2014/02/14 01:17

>もちょいさん
 マルケス、速いですよねえ。ほんとにダニにはがんばってほしいです!なんかこのままだとドゥーハン暗黒時代の再来かもと・・・。

投稿: とみなが | 2014/02/14 22:20

まあ型落ちのYZR250やTZM250にRS250が敵うかってーと無理だった訳ですしね...

投稿: ひさすえ | 2014/02/15 13:40

>ひさすえさん
 まあそうなんですけどね。でも兄パルガロには期待してしまう・・・。

投稿: とみなが | 2014/02/15 16:06

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/69409/59093329

この記事へのトラックバック一覧です: 悩めるRCV1000R:

« セパンテストの結果 | トップページ | 誰もマルケスには追いつけないね、とクラッチロー »