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セパンテスト:ダリーニャはドゥカティを作りかえる予定(ただし第3戦までは待ってね)

セパンテストではオープンクラスのアレイシ・エスパルガロにも遅れをとったドゥカティワークスですが、新チームマネジャーのジジ・ダリーニャが今後のドゥカティの予定について語っています。CRASH.netより。
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セパンテストの最終日、ドゥカティコルセのジェネラルマネジャーであるジジ・ダリーニャがドゥカティマシンの将来の変革について、考えを話してくれた。

前アプリリアレーシングのスポーティングディレクターであった彼は、ドゥカティのMotoGPプロジェクトの立て直しのために招聘されている。

2007年のライダー、そしてコンストラクターチャンピオンシップを獲得したものの、去年は表彰台がない上、2010年にケイシー・ストーナーがチームを離れてからは1勝もあげていない。

ダリーニャによれば急いで大改造を施すつもりはなく、3レースほどを経て情報を集めてからじっくり検討するとのことだ。

「このマシンは去年の改良型になっています。ですから将来のドゥカティマシンはこの2014年型から始まります。
 個人的な意見ですが、まずはテストとレースからデータを集めて、まあ3レース目が終われば新型のためのデータが揃うって感じですかね。
 まずはスタッフとそしてマシンのことを理解しなければなりませんから。現時点ではすべてが白紙状態ですよ。3レース目が終わるまではね」

セパンテストにおけるドゥケティはアンドレア・ドヴィツィオーゾの7位が最高位で、ホンダのチャンピオン、マルク・マルケスからは0.837秒遅れだった。

しかしドヴィツィオーゾと新加入のカル・クラッチローが去年のマシンと比較してGP14の方が良いと評価しているのは朗報である。

去年の11月にドゥカティに加入して以降の仕事についてダリーニャは言う。「既にマシンには私のアイディアを投入しています。これはセッティングに関してのことですけどね。すべての領域でいろいろ変わっていますよ。いいアイディアもあればそうでないものもありましたけど、まあそういうもんですよね。今は次に向けてうまくいかなかったアイディアについて、その原因を探っているところです。これはレース業界では当然のプロセスですけどね!」

ダリーニャは、ドゥカティが擁している人材こそが成功のポイントだと強く考えている。つまり最大の変革は組織改革だったということだ。
「私じゃなくてスタッフが仕事をするんですから、まずはスタッフについて理解する必要がありました。11月から新たに雇ったのは1人だけですよ。
 サーキットとボローニャの工場の連携が足りなかったので、まずは組織に手を着けたんです。マシンにはあんなにいろいろ手を着けたのに結果が伴わなかったのはこの連携不足が原因だと考えています。
 正直に言えば、このテスト結果で組織改革が少しはうまくいっていることがわかりましたね。今ではサーキットのスタッフがマシンがどうしてそういう風に改良されたかを十分理解しているし、だから新パーツを正しく使うことができるんです。
 サーキットにいるスタッフは問題を理解して、なぜ改良したはずなのにうまくいかなかったかについてデータを集めなければならないんです。そしてボローニャのドゥカティコルセで新型パーツや新たなアイディアや新たなコンセプトを作っていくんです。
 サーキットのスタッフも工場のスタッフも同じようにすごく重要なんです。ですから連携を強化することにしたんですよ」

そのために工場のスタッフをレース現場に送るというローテーションシステムも検討されている。

「前にやったことがあるんですよ。今のところ私にとってはマシン開発をうまくすすめる最良の手段です。なんかドゥカティでは今までそれがちゃんと行われていなかったみたいですね。
 今ではサーキットのスタッフはみんなボローニャで何が行われているかわかっている。コミュニケーションこそが重要なんです。レースに限らずね」

今の外野の関心はドゥカティが今まで以上に、またはすべてをオープンクラスにつぎこむつもりかどうかということである。

今月中にはその決定が下されるだろう。ダリーニャは現時点では何も決まっていないと言っているが、現在のファクトリーマシンに科せられた制限の厳しさについては問題があるとも言っている

ダリーニャの関心は、オープンクラスへの移行が最良の選択だとしてもメインスポンサーであるマールボロがを認めてくれるかどうかである。
「マールボロとの関係はすごくいいですよ。ですから常に一緒に検討するようにしています、でも最終的にはこの問題は技術の話なんですよ。マールボロにとっては、もちろんドゥカティにとってもですが、一番大事なのはマシンをマールボロやドゥカティのブランドを守れるよに位置においておけるかということなんです」

彼自身の目標についてはダリーニャはこう言っている。「私の今シーズンの最大の目標はとにかく進歩していくことです」

次のセパンテストは2月26日〜28日で行われることになっている。
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なんかビジネス書っぽい感じ。コミュニケーションは超重要

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羽生とチャンのジャンプについて

リクエストがあったのでニューヨークタイムズから訳出。
ずぶの素人の翻訳なので御指摘は歓迎ですが叩きはかんべん。
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2度の転倒にもかかわらず羽生が金メダル

世界記録となるショートプログラムの後、10代の日本人羽生結弦が2度の転倒にもかかわらず金メダルを獲得した。

羽生結弦
トータルスコア280.09

羽生はショートプログラムで100点越えを叩き出した初のスケーターである。ここでは4回転トゥループを含む多くのジャンプが評価された。しかしフリーでは2度の転倒があった。ひとつは初の4回転サルコウでの転倒である。米国フィギュアチームのテクニカルコーチであるアダム・リーブが解説する。

1:4回転サルコウ
 上半身がついていかず空中でタイミングをはずしてしまい転倒(基礎点10.50 得点7.50)

2:4回転トゥループ
 技術、タイミング、流れ、高さのあらゆる面で評価された(基礎点10.30 得点12.44)

3:トリプルフリップ
 ジャンプ進入でリスクを冒したが、上半身が速く回りすぎた結果着地でコントロールを失った(基礎点5.30 得点3.40)

4:トリプルアクセル-トリプルトゥループ
 フルスピードでジャンプに進入し、見事に決めた(基礎点13.86 得点16.29)

5:トリプルアクセル-ダブルトゥループ
 普通ではない入り方をしたために流れとパワーが失われた。ダブルトゥループでは着地が弱かった(基礎点10.78 得点11.07)

6:トリプルループ
(基礎点5.61 得点5.91)

7:トリプルルッツ-シングルループ
 2回目のジャンプでバランスを取るために足をついたことで3回目のジャンプ(トリプルサルコウ)ができなかったために得点が稼げなかった(基礎点5.72 得点5.42)

8:トリプルルッツ
(基礎点6.60 得点7.80)


パトリック・チャン
トータルスコア275.62

4ポイント差で羽生を追うチャンは完璧なスケーティングをしなければならなかったが、2回手をついてしまいチャンスをふいにした。

1:4回転トゥループ-3回転トゥループ
 加速しながら流れるようにジャンプを決め、このコンビネーションとしては最高の得点を得た(基礎点14.40 得点17.40)

2:4回転トゥループ
 ジャンプからの脱出が遅れたために転倒を避けるために手をついてしまった(基礎点10.30 得点8.73)

3:トリプルアクセル
 ジャンプのタイミングが遅れたために手をついてしまった(基礎点8.50 得点5.93)

4:トリプルルッツ-シングルループ-ダブルサルコウ
 トリプルルッツはうまかったがダブルは本来ならトリプルサルコウのはずだった(基礎点8.58 得点9.08)

5:トリプルルッツ
 高さもあり流れもきれいだった。さらに全体の中での流れがおもしろく得点を稼いだ(基礎点6.60 得点7.80)

6:トリプルループ
(基礎点5.61 得点5.61)

7:トリプルフリップ-ダブルトゥループ
(基礎点7.26 得点7.86)

8:ダブルアクセル
 難しい入り方をしたがシンプルなジャンプであり着地でステップアウトしてしまった(基礎点3.63 得点2.63)

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ブレーキングスタビリティの分析:なぜホンダはヤマハより安定しているのか?

Motomatters.comがマレーシアテストでのRC213Vの走りからのブレーキング時の安定性について詳細な分析を行っています。長文注意!
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メディアパスを保有していることで何よりいいのは、ガードレールのすぐ内側に立ってマシンが通り過ぎるのを間近で観て、そして音を確かめられることだ。セパンテストではその特権を最大限に活かして3コーナー(最初の素晴らしい右コーナーでライダーは4コーナーに向けてドリフトしながらストレートを立ち上がっていく)あたりをうろうろしながら最高のライダーが最高のテクニックを発揮するのを堪能させてもらった。

しかし私が観察していたのはMotoGPマシンの高速コーナーでの凄さだけではない。注意してみればライダーとメーカーが何をしようとしているかがよくわかるはずだ。昨今のMotoGPでは電子制御が大きな役割を果たしているが、コースサイドに来るとその進化がよくわかる。ピットでは(まあ新しいセンサーやトルク計以外では)ほとんどわからないが、コースサイドならマシンの動体解析アルゴリズムのアップデートが効果を発揮しているのかどうかがわかるのだ(つまりは効果を発揮していないことも時々はあるということなのだが)。

2013年の終わり時点でのマルク・マルケスとダニ・ペドロサの要求はブレーキング時の安定性と、より速いコーナリングスピードだった。セパンでマシンの音を聴くと、それがどのように達成されたのかがよくわかる。エンジン音の違いで電子制御のレベルやエンジンブレーキの設定やギアボックスの機能の違いが見えてくるのだ。

セパンではホンダがブレーキングとコーナー進入に力を入れていることが聞き取れた。RC213Vは常にブレーキングでスムーズな音を出していたが、4コーナーのブレーキングではそれが顕著だった。コーナーに向けてブレーキをかけシフトダウンしてもマルケスとペドロサのホンダは、6速ギアの4ストレーサーではなくまるでCVT(無段変速機)のビッグスクーターのように聞こえたのだ。エンジン回転はスムーズに落ちていき、シフトダウンの瞬間はほとんどわからない。アフターファイヤもなく、ただエンジン回転が落ちていく音がするだけなのだ。

これは何を意味しているのだろうか?基本的にはシームレスギアボックスのおかげだとみるべきだろう。ホンダの開発したこのギアボックスはシフトアップでもシフトダウンでも効果を発揮している。先にシフトアップ時の優位性については分析したが、ついにホンダはシフトダウンもうまくやる方法を見つけたようだ。ホンダのライダーはクラッチを使わずシフトダウンをしている。2013年終わりでロレンソとロッシが強く要望していたことからヤマハも同じ機能をセパンで試しているが、ホンダはその一歩先を行って、燃料噴射とRC213Vのスリッパー・クラッチ(バックトルクリミッター)を組み合わせてシー0無レスシフトダウンまで実現してしまったらしい。

このシステムによって何が変わるだろうか。シフトダウンでのアフターファイヤはオープンクラスのマシンで顕著だが、要するに燃料が無駄遣いされているということである。燃え残りの燃料がエキゾーストパイプ内で燃焼し、パン!という音を立てているのだから。燃料使用量に制限がなければ何の問題もないし、エキパイから火が見えるのもスペクタクルだ。ワールドスーパーバイクのカワサキZX-10Rはものすごく火を噴いている。MotoGPでそれが観たければカタールのナイトレースに行くといい。夜になると青い炎が良く見える

エンジン回転数に合わせて正確な量の燃料を噴射し燃え残りがないということは、エンジンが正確に必要なだけのエンジンブレーキを供給しているということでもある。21Lの燃料使用量が2014年から20Lになったことで、燃費が最優先事項の一つになった。そこで目をつけられたのが減速時のエンジンブレーキの際の燃料消費量である。ヤマハが極端に薄い燃調を試しながら燃費対策をしている一方、ホンダのライダーは少なくとも熱いセパンでは全く問題がないと言っていたことは、RC213Vの90土V4エンジンが既に十分な燃費性能を発揮していることを示していると言えよう。

燃費も重要なポイントであるが、あり得ないほどスムーズな減速というのも大きなメリットである。ドーピングしたバックトルクリミッターとでも言おうか、スクーターのような減速はブレーキング時のリアホイールの安定性に大きく寄与しているはずだ。シフトダウンでのエンジンブレーキ強度の変化はすでに完璧にコントロールされている。エンジンブレーキをかけながらのシフトダウンでリアがホッピングしないということは、ラインを正確にトレースできるということである。ホンダが4スト1000ccに天文学的な費用を投じて2スト的な挙動を再現しようとしているのはいささか皮肉なことではあるが。

どのようにしてここまで洗練されたシフトダウンを実現したのだろう。ひとつはトルダクター(Torductor)のおかげだろう。これはギアボックスのドライブシャフトにつけられた回転するトルクセンサーで、ホンダのワークスマシンに取り付けられているものだ。噂によればこれは6万ユーロ(邦貨換算8百万円)するとも言われている。当初はシフトアップでのスムーズなパワー特性を実現するためのものだったが、シフトダウンにも効果的なようだ。ドライブシャフトからのトルクとリアホイールでのトルクを測定している他、スロットルを閉じた時にはリアホイールのブレーキングパワーも測定し、電子制御システムにフィードバックしているらしい。

電子制御、シームレスギアボックス、そしてエンジンブレーキを制御するバックトルクリミッターのおかげでライダーはブレーキングだけに集中することができる。もちろんシフトダウンは自分でしなければいけないが(自動シフトはルールで禁じられている)、完璧なタイミングでのシフトダウンというのはもう必要がないようだ。ライダーはブレーキレバーとブレーキペダルだけに集中し、最適なポイントでブレーキをかけるだけでいいのだ。これでマシンコントロールがやりやすくなりコーナー進入も楽になる。エンブレで挙動が乱れるのを心配しなくても良くなったのだ。ブレーキ効率が高まりコーナー進入が楽になると言うことは、ブレーキングでの競り合いに勝てるということであり、しかも同時にコーナリングスピードを上げられるということである。

まあそのせいで見応えのあるブレーキングというのが観られなくなってしまったわけでもあるのだが。電子制御と洗練されたバックトルクリミッターのおかげでマシンはコントロールしやすくなった。コーナー進入も楽に、しかも速くなり、そのかわりに見応えがなくなってしまったとも言えよう。

他のマシンとの比較によって状況はより明らかになる。一番わかりやすいのは市販RCV1000Rとの比較だろう。この市販マシンは2013年型RC213Vによく似ているが、スプリングバルブとシームレスでないギアボックスとより大きな燃料容量と、そしてドルナ仕様のソフトウェア(これはパドックでは「チャンピオンシップソフトウェア」と呼ばれいている)が違っている。ニッキーヘイデンがアスパーチームのRCV1000Rに乗って4コーナーに進入していくのを観察してみたが、アフターファイヤが出た折、明らかにヘイデンの体の下で暴れていた。もちろんシーズンが進んでいけばソフトウェアも良くなるだろうが、しかしワークスマシンに追いつけるとは到底思えない。

ヤマハでも状況は同じである。テック3のマシンはシームレスギアボックスが装着されていなかった(チームオーナーのエルヴェ・ポンシャラルによればシーズン開幕時には入手できるということだ)。彼らのマシンは市販ホンダと同じようにアフターファイヤの音を立てていた。まあ市販ホンダよりは洗練されているようだったが。

一方ワークスヤマハのマシンはブレーキングでのアフターファイヤはかなり減っている。ロレンソもロッシも新型のシームレスギアボックスを使っていたようだ(コースサイドからはよくわからなかったのだが)。新型ギアボックスはホンダのものほど洗練されてはいないようだが、同様のアドバンテージは持っているようだ。ワークスヤマハのライダーはテック3やRCV1000Rに比べればスムーズで静かだったのだ。音は明らかに違っており、少しはアフターファイヤがあったものの、回転数はうまくコントロールされているようだった。

ヤマハとホンダでは要求されるライディングスタイルが異なっているという事実により正確な比較は困難ではある。ロレンソはホンダよりブレーキング開始が早く、一方ブレーキングリリースも早めであり、その分コーナリングスピードが高い。彼のライディングスタイルは素晴らしくスムーズで、マシンの力を借りる前からシフトダウンは最適化されていた。とは言えヤマハのシフトダウンははっきりと音でわかるものであり、去年までのホンダと同じような感じだった。

コースサイドからはブレーキング時のシフトダウンがホンダとヤマハの開発競争の焦点になるだろうことが見て取れた。燃料消費量制限とスピードの追求の狭間ででてきた当然の帰結である。そして私の限られた観察でも、ホンダが一歩先を行っていることはあきらかだった。

ここまで書いたことはもちろん推測に過ぎない。多くのライダーがラップを重ねていた午前中に、同じ場所から1時間ほど観ていただけなのだ。エンジン音には明らかな違いがあり、ブレーキング時の挙動も明らかに違っていた。しかしシステムがどう機能しているかについては私の推測である。HRCやヤマハのエンジニアに確認したわけではないのだ。エンジニアには本当のことを明かす義務もないのだし。私の推測を否定もできれば肯定もできる。そして彼らのいっていることが本当かどうかを判断することは私にはできない。現時点ではせいいっぱいの推測だが、それでも私の特権を最大限に活用して得た情報からの仮説である。

1:写真家のスコットにカタールでホンダがアフターファイヤを出している画像がないかとたずねてみた。もしホンダがアフターファイヤを出しているなら、彼はその瞬間を逃さないと信じていたからだ。しかしかれはそんな画像はないと言っているし、彼が持っていないなら誰も持っていないだろう。つまりドゥカティやヤマハと違ってホンダにはアフターファイヤがないということなのだと私は考えている。これも私の仮説を裏付けてくれる。
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今年はホンダが圧勝するのかなあ・・・。

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電子制御ソフトウェアが自前でないならMotoGPから撤退する、とホンダ(の中本副社長)

電子制御こそが鍵を握るということかもしれませんが、ホンダの中本副社長がこれまでの主張を繰り返しています。CRASH.netより。
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HRCの副社長である中本修平はECU(電子制御)を統一することに対してなぜホンダが反対し続けているかについて説明した。

2014年からの新ルールではマニエッティ・マレリのECUハードウェアが使われることになる。

しかしファクトリークラスについてはソフトウェアは自前で開発できることになっている。その代わりにオープンクラスト比較して燃料容量やエンジン台数も制限される上、エンジン開発も凍結されることになっている。

この方式は少なくとも2016年まで継続することになっているが、最終的にはドルナのCEOであるカルメロ・エスペラータが言うとおりハードに加えてソフトも統一されるのではないかという観測が大勢を占めている。ECUソフトウェアを統一するということはライダーに対するアシストを制限するということになるだえろう。

しかし去年マルク・マルケスにチャンピオンを獲らせたホンダは、ソフトウェアを自社開発できないのであれば撤退すると繰り返し警告を発している。マレーシア、セパンで先週行われた2014年シーズンの初テストでも中本はこう言っている。

「もしMotoGPがオープンクラスのみになったらどうなるかという質問ですか?確かにカルメロはそう言っていますがホンダの意志は決まっています。ホンダとしてはマシン開発が目的でMotoGPに参戦しているので、それができなければレースを続ける動機がなくなってしまいますね。
 ホンダの役員もそう考えています。私一人の意見ではないんですよ。ですからレギュレーションでソフトウェア開発が禁じられたらホンダはすぐに撤退しますね」

しかしコストを抑え、さらにマシンのパフォーマンスに上限を設定するためにMotoGpは既にエンジンの耐久性について制限を設けている。ファクトリークラスでは年間5基のエンジンしか許されないのだ。さらに燃料制限も作られている。

「何年か前はエンジン設計者はパワーの出るエンジンを開発することだけに集中すればよかったんです。でも今は耐久性も求められる。そこでいい技術やいい素材が開発されるんです。これは将来にとっても有益なことですね。
 さらに燃料消費量が21Lから20Lになったことでいろいろなチャレンジができますね。オープンクラスの上限である24Lからは何卯も生まれない。でも20Lの根量制限と5基のエンジン、そしてソフトウェアの開発ができるというのはバイクの将来にとってすごく有益なんです」

ヤマハもホンダの意見を支持しているが、さすがに撤退までは示唆していない。一方ドゥカティはオープンクラスへの移行を真剣に検討しているようだ。ファクトリークラスではエンジン開発がシーズン中凍結されるのを避けるためではないかと考えられている。

エンジン開発が凍結されるということはシーズン当初の仕様のまま5基のエンジンを使い続けなければならないということである。これは性能アップに苦闘しているデスモセディチを抱えるドゥカティとしては辛いことだろう。

エンジン開発の凍結がマシン開発のためのレース参戦という哲学と対立するのでは?という質問に対して中本はこう答えている。
「でも来年のためにエンジン開発は続けているんです」

中本としてはホンダの電子制御システムからマニエッティ・マレリのシステムに移行することも相当不満だったらしい。
「まるでマックからウィンドウズに変えるようなものですよ。ホンダのECUからマニエッティ・マレリに変えたんですけどコストは本当に膨大でした。データ分析システムもマニエッティ・マレリ社から買わないといけなかったんですがコストは信じられないほど高かったですよ。
 去年使っていたホンダのECUはコンパクトで安上がりで性能も出ていたんです!マニエッティ・マレリのハードはホンダのものより50%も高いんです。相当な値段ですよ。ハードにデータ分析システムにソフトウェアにと、まあ信じられないですね」

技術的な問題はさておき、2014年でドゥカティのカル・クラッチローを除くすべてのワークスライダーの契約が終了する。

レプソルホンダは記録破りの新人であるマルケスをもちろんキープしたいだろうし、チームマネジャーのリヴィオ・スッポはダニ・ペドロサも高く評価している。

しかしホンダは最高のライバルであるホルヘ・ロレンソとも交渉しようとしている。

「ホンダワークスのライダーにはナンバー1もナンバー2もないんです。二人とも同じ扱いなんですよ。もちろんホルヘにも興味はあります。彼は最高のライダーの一人ですからね。当然でしょう。ですから話はしてみたいですね」

スッポもこう言っている。「もちろんマルクは価値のあるライダーです。凄く若いしホンダの将来を背負って立つライダーだと思ってます。本当に強いですからね。でもダニのことも忘れちゃいけない。
 彼は常にチャンピオン候補だったし、それも2006年から常にトップ争いをしているんです。みんなダニのことを忘れてますけどね。2014年でトップライダーの契約がみんな切れるんで、誰もがみんなと交渉したいでしょう。でも現時点ではその話をするのは早すぎますね。ホンダは今のラインナップに満足しているんです」

セパンでの3日間のテストではマルケスが最速だった。次のテストは2月26-28日で開催される予定である。
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まあ個人的にはワークスがない時代でも素敵な争いが繰り広げられていたんで、撤退するならそれもありかなと思わんでもないですが。

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誰もマルケスには追いつけないね、とクラッチロー

セパンテストを終えてなんとなくもやもやしている感じのドゥカティワークス。今シーズンから加入したクラッチローのインタビューがCRASH.netに掲載されています。
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セパンテストのタイムを見れば今シーズンからワークスドゥカティに加入したクラッチローにとってもマルケスの優位は明らかだろう。

2位のヴァレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)に0,194秒の差をつけたホンダのスターマルケスは、2分を切った4人のライダーの内の1人である。

しかしマルケスが最終日に行ったレースシミュレーションは、彼の強さをまざまざと見せつけた。

クラッチローは言う。「トップのタイムが接近しているってみんな言うけどね。確かにヴァレもホルヘもダニもマルクと近いタイムを出している。でもレースシミュレーションでは20秒差がついちゃってるよね。そういうことなんだよ」

各ライダーがロングランを試した時間帯の違いを考慮しても、その差は大きいとクラッチローは言う。「レース終盤では10秒差くらいはつくんじゃないかな。いろいろ考えてもマルケスはすごくうまくやっているよ」

クラッチローのチームメイトであるドヴィツィオーゾが2分0秒370で7番手に入りドゥカティ勢のトップタイムとなっているが、これはマルケスから0.7秒遅れである。

「ドヴィのタイムが目標になるよね。良いタイムは一発出しだったけど、それでもあのタイムを出せるというのは勇気づけられる」

クラッチローのタイムはドヴィツィオーゾから0.7秒遅れだったが、最終日の最終段階でベストラップを出したワークスライダーは彼一人である。

「最初からあのタイムを出してたらアンドレアと同じくらいなタイムは出せたかもしれないけどね。だからラップタイムはあまり気にならない。あのタイムまでは出せると思うよ。一発出しは得意だし。
 マシンのいいところも見つかったよ。GP14はGP13より攻められるし限界も高い。グリップやらウィリーやら振動やらって問題は残っているけど、セパンでは対応できなかった。新パーツが必要なんだ」

ドゥカティは来月に予定されている次のセパンテストでファクトリークラスに留まるかオープンクラスに移行するか決めるのではないかと言われている。

「MotoGpクラスでドゥカティに乗るということしか決まってないんだ。だからドゥカティの行く方向についていくだけさ。ベストな決定をしてくれると信じているよ」

ファクトリークラスかオープンクラスかはともかくドゥカティの最大の問題はドゥカティワークスの新マネジャーであるジジ・ダリーニャがホンダやヤマハに追いつくための対策をとってくれるかどうかである。

「2回目のテストでは何か手を打ってくると思うけど時間に限りはあるからね。彼は去年の最終戦からドゥカティに来たんだし、その時はhピットをうろうろしていただけだんだから、それを考えると結構大したことをしてくれていると思うよ。
 でもシーズンは始まっているし、ジジとチームは毎レース僕らと一緒に動くことになる。つまり30週間うちから離れるってわけで、なにか大きな飛躍があるってことは考えにくいね」

セパンテストの2回目は2月26日-28日で予定されている。そして3月下旬にはカタールで開幕することになるのだ。
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なんか悲観的だなあ・・・。

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悩めるRCV1000R

性格が良くてほとんど人を批判しないニッキー・ヘイデンにまで「こんなに前と離されるとは思わなかった。がっかりだ。やらなければならないことがたくさんある。」と言わせてしまったホンダのオープンクラス用市販マシンRCV1000Rですが、こうした批判に対してHRC副社長の中本氏はこう言っています。CRASH.netより。
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ヤマハに乗るアレイシ・エスパルガロがセパンテストで4番手タイムを叩き出したのがオープンクラスのポジティブなニュースだとしたら、その真反対がホンダのRCV1000Rの結果と言えよう。

オープンクラスの中ではエスパルガロに次ぐ2番手だったとは言え、ニッキー・ヘイデンのタイムはエスパルガロから1.5秒遅れ、トップタイムのマルケスからは2秒遅れの13番手だったのだ。

エンジン性能が劣っているというのがヘイデンの悩みである。「他のライダーについていこうとしてもついていけないというのは、本当にやる気が失せることですよ」と普段はポジティブなヘイデンは言う。

HRC副社長の中本修平氏はオープンクラスに対してヤマハとホンダの間には思想の違いがあることを強調する。
「詳細はわかりませんけど実質的にヤマハのオープンクラスマシンは去年型のワークスマシンですね。まあレギュレーション上はそれでもいいんですが。
 私たちは違うアプローチをしています。売り物として作っているんで、例えば2年間使ってもらうこともできるんですよ。その場合初年度に120万ユーロ払っていただいて、翌年はアップデートキット分だけ払ってもらえばいいんです。そうすれば1年当たりのコストは100万ユーロ未満になる。それに使った後は自由に撃ってもらって構いませんから、それもなにがしかの足しになるでしょう。
 マシンコストを120万ユーロに抑えるために、スプリングバルブとスタンダードのトランスミッション、そして仕様の違うオーリンズを使っています。でもメインのパーツ、例えばフレームとかスイングアームとかカウル類はワークスと同等ですよ」

決めつけになるかもしれないが、RCV1000RはCRTルール、すなわち買い取りにも耐えられるようにしてるのではなかろうか。これは元々企業秘密満載の技術による価格高騰を抑えるためのものだ。

ホンダが市販という形、そして再販も止めないというシステムをとっているということはRCV1000Rが買い取りシステムに対応しているということを示しているとも言える。

しかしヤマハ、そしてドゥカティのオープンクラスエンジンに対する思想は確かに異なっている。

買い取りルールがなくなったことによりヤマハはニューマチックバルブを装着したフルスペックのYZR-M1エンジンを供給することができた。フォーワードレーシングのマシンについて言えば、フレーム、スイングアーム、オーリンズサスも完璧にワークス仕様である。

オープンクラスは燃料容量、エンジン台数の点で有利な代わりに電子制御システムについてはドルナが供給するものを使用しなければならない。これはヨニー・エルナンデスのドゥカティもそうである。

中本はこうも言っている。「もし去年型のワークスマシンに統一ECUを装着したマシンを供給するなら、リースしかないですね。企業秘密が入っていますから、ワークスマシンを売るわけにはいきません」

おもしろいことに、そして皮肉なことに中本はホンダがルールを読み間違えたことまで示唆している。
「ヤマハとホンダの思想が違っているんですね。まあホンダもちょっとルールを読み違えたかもしれません。オープンクラスはマシンをチームに売らないといけないと勘違いしたんです。再度ルールブックを読み返してみたら、そんな規定はどこにもなかったんですけどね。
 去年のCRT用のレギュレーションではパフォーマンスにギャップがありすぎた。そこでホンダはそれなりに闘えるマシンを作ったんです。去年のワークスマシンをリースする方が楽でしょうね。統一ECUソフトを入れるだけで新開発する必要が無いんですから。
 でもこれがホンダのやり方なんです。プロダクションマシンとワークスマシンがあって、プロダクションマシンというからにはホンダはそれを売らなければいけないんです。
 マシン開発はエンジン、シャーシともに止まることはありません。エンジンの改良のために導入するよりよりピストンとかにチームは追加費用を払う必要はないんです。まあ新型シャーシとかだったら話は別ですが」

中本は秘密の多いシームレスミッションについては市販レーサーへの導入を否定しているが、ニューマチックバルブについては含みを残している。

「シームレスミッションはないですね。可能性はゼロです。ニューマチックバルブについてはわかりませんけど。でもコストがかかるのでチームと相談ですね。エンジンは似たようなものに見えても、吸気系統の問題があってフレームも相当変えなければならないんです」

セパンテストでの公式トップスピードは発表されていないが、ヘイデンによれば去年アスパーが使っていたアプリリアのCRTマシンより数km/hは速いとのことだ。
 去年10月のマレーシアGPでのアプリリアマシンの最高速は309.9km/h、トップのマルケスから17.6km/hの遅れであった。

ヘイデンは加速とトップスピードの両方で改善が必要だと主張しているが中本によれば高いギアでしか違いはないという。

「データを解析しましたが加速はそれほど違いませんよ。タイヤグリップの限界が先にきてしまいますからね。ピークパワーは確かにワークスマシンの方がいいですが、中低回転域での違いは本当にわずかです。1速から3速にかけてはワークスマシンはパワーを抑えなければならないですしね。だから4速以上でないと違いは出ないんです。
 データによればワークスと市販マシンのストレートでの差は0.16秒しかなかったですから、ストレート2本で0.3秒。これがエンジンによるタイム差です。ですからエンジンのせいで1ラップ2〜3秒も違うわけじゃないですよ。
 確かにラップタイム差は大きいです。アレイシから1.5秒も遅いですからね。でもホンダのマシンは必ずしも乗りやすいとは言えないんです。
 ライダーがマシンを理解してくればギャップは縮まるはずです。テストライダーによるプライベートテストでのタイム差は1秒もなかったですから」

今シーズンRCV1000Rのユーザーにはヘイデンの他にもいる。チームメイトの青山博一は16番手(2.850秒差)、グレシーニのルーキースコットレディングは21番手(3.300秒差)、カルディオンABのアブラハムは26番手(5.728秒)であった。ちなみに参加ライダーは27人である。
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この中本さんの意見に対してヘイデンは、「いやドゥカティでついた癖もあるだろうけどストレートでのスロットルの開け方は忘れてないですよ(笑)。タイムはいろんなところで少しずつ差がついていくんです。回転が落ちるとトルクの谷があって、だから2コーナーとか9コーナーみたいな低速セクションの立ち上がりでも差がつくんですよ。もちろんトップギアでもね。エンジン自体で2〜3秒も差がつくわけじゃないってのはわかっていますから、自分のできることはやりますよ。
 今夜はHRCと話し合うつもりです」
とのこと(CRASH.net)。

悩みは深そうですねえ。

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セパンテストの結果

Motomatters.comがいちばんわかりやすかったのでそこから。

1 93 マルケス Honda RC213V 2:00.286
2 46 ロッシ Yamaha M1 2:00.804
3 26 ペドロサ Honda RC213V 2:00.906
4 99 ロレンソ Yamaha M1 2:01.082
5 19 バウティスタ Honda RC213V 2:01.240
6 6 ブラドル Honda RC213V 2:01.320
7 41 A.エスパルガロ Yamaha FTR Open 2:01.419
8 29 イアンノーネ Ducati GP14 2:01.538
9 41 P.エスパルガロ Yamaha M1 2:01.634
10 38 スミス Yamaha M1 2:01.876
11 5 エドワーズ Yamaha FTR Open 2:02.483
12 4 ドヴィツィオーゾ Ducati GP14 2:02.497
13 51 ピロ Ducati GP14 Test 2:02.552
14 35 クラッチロー Ducati GP14 2:02.860
15 68 エルナンデス Ducati GP13 Open 2:02.891
16 89 中須賀 Yamaha M1 Test 2:03.126
17 69 ヘイデン Honda RCV1000R Open 2:03.319
18 7 青山 Honda RCV1000R Open 2:03.328
19 14 ドゥ・ピュニエ Suzuki Test 2:03.893
20 72 秋吉 Honda RC213V Test 2:04.267
21 45 レディング Honda RCV1000R Open 2:04.431
22 8 バルベラ Avintia Kawasaki 2:04.922
23 63 ディ・メリオ Avintia Kawasaki 2:05.825
24 23 パークス PBM Aprilia 2:05.889
25 70 ラヴァティ PBM Aprilia 2:06.070
26 17 アブラハム Honda RCV1000R Open 2:06.755
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市販RCVが思いっきり下位に沈んでいる一方、FTRヤマハは好調ですね。そしてドゥカティは相変わらず・・・。

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