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セルジ・センドラへのインタビュー:ドルナのテレビ製作について

まいどお世話になっているテレビのGP中継。ドルナが製作しているのですが、その現場についてのインタビューを2回に渡って訳出します。
Motomatters.comより。インタビュアーは写真家のスコット・ジョーンズ氏です。
1回目は4月29日付。
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私がMotoGPのサーキットで毎回驚くのは、ドルナが設置するテレビ放映用のケーブルの多さである。何キロメートルものケーブルがサーキット中を駆け巡り、複雑なアンプのネットワークやアンテナやカメラに接続されている。そして最終的にはパドックに設置されたドルナのテレビセンターに流れ込む。カタールでドルナのテレビスタッフのポル・バードレットと話しをしたら、彼は親切にもディレクターであるセルジ・センドラにインタビューできるよう取りはからってくれた。オースチンのサーキット・オブ・アメリカズで、どのようにして18戦のテレビ中継を行っているのかについて尋ねたのが以下のインタビューである。

Motomatters:うちのサイトの読者のほとんど全員がMotoGPをテレビで楽しんでいると思いますが、それを毎レースやって、そして片付けて、次のレースに備えるのがどれほど複雑な仕事か理解している人は少ないでしょう。まずそのあたりについて語って頂けますか?
セルジ・センドラ:1992年から経験を蓄積しているんです。全戦中継は2000年からですね。
 前週の日曜にサーキットに入って、月曜から水曜までは設置作業になります。設備は全部で35トン分にもなるんです。ケーブルやカメラや無線やらなにやらでね。

Motomatters:櫓もですか?
セルジ・センドラ:櫓はサーキット側で用意してもらいます。ヨーロッパ外のレースでは地元のテレビ局が用意するんです。ヨーロッパでは全部やってくれる会社と契約しているんですよ。すごく複雑な仕事なんで信用できるスタッフが必要なんです。特に技術的な面が重要ですね。ケーブルをつなぎ間違えればそれがテレビの画面に反映されちゃうわけですから。ですから設営には本当に気を遣います。
 ケーブルについて言うと、ファイバーやTri-Xが26km分あるんです。ほとんどは光ケーブルで、おかげで高画質でしかも長距離でも大丈夫だし、いろんな情報を送ることができる。その26km分の他にカメラが22台あります。これはうちでトラック・フィードと呼んでいる画像を撮るためです。その他に無線用のファイバーもあります。
 18戦あるってことは設営も18種類あるってことです。サーキットも3.5kmから6kmまでバリエーションがありますしね。さらにカバーするエリアは50万平米から100万平米までとサーキットによって異なるんです。つまり良い機材と確かな蓄積が必要ってことなんです。
 これだけの範囲をカバーするにはいろんな場所に、しかも違う高さ、違うポジションに機材を設置しなければならないってことですし、アンテナはさらに16km分のファイバーでつながなければならないんです。ですから全部で45km分のケーブルを設営するってことですね。パドックを歩けば本当にたくさんのケーブルを眼にするでしょう。しかもそのケーブルは全部正しく接続されていなければならないのは先ほど言った通りです。放映が始まってしまったらあとはサーキットなりにやるしかないですからね。
 つまり今回テキサスに初めて来たわけですけど、ちゃんと計画も作ったし経験もあるとは言え、それでも問題は起こるし、シャドーが出たりするんで、誰よりも苦労しているんですよ。だからこのサーキット・オブ・アメリカズはチャレンジですよ。

Motomatters:そこが聞きたかったことの一つなんですが、初めてのサーキットのときはどうされているんですか?
セルジ・センドラ:そうですねえ、大事なのは経験ですね。何年やっているか、そして技術者がどこまで経験しているかですね。技術チームは常に同じことをするというのも大事なことです。いろんな国、サーキットに行きますが、毎年いろんなことを経験して、それを分析していくのが大事なんです。
 テキサスにきてもテストの時間が1週間もとれないからと言って即興でやるわけにはいかない。今日は最初の生中継テストですが、マシンがここを走るのも初めてで、だから本当に正確にことを進めなければならないんです。金曜は5%とか10%のミスは許されますけど、それはどんどん修正していって、さらに残りの90%とか95%は最高でなければいけなんですよ。日曜にちゃんとやるには2日しかないわけですから。

Motomatters:じゃあ今日はその5%の問題を解決する避難ですね。
セルジ・センドラ:金曜は5%でも、木曜は10%で、水曜はもう少し多いですかね。例えば今日はケーブルが長すぎてアンプが追いつかなかったんでカメラを3台変更してます。あと櫓の上のカメラにも問題があって、計画通りのショットが撮れなかったんです。
 コースのカメラは22〜24台あるわけですが、それぞれが撮れる範囲はちいさいんです。入ってくる画と出て行く画があって、ズームのセッティングがそれぞれあって、でもそれぞれ微妙にフリクションのセッティングが異なるんです。カメラの動きは1台1台異なっています。実際にマシンが目の前を走ってみないとスピード感がつかめないんですよ。ここは速いセクションだと思ってもその時になってみないと実際はわからない。ですからカメラのセッティングには3時間くらいかかりますね。
 今朝のことですが、テレビを見ている人は気付かないでしょうけど、実は妙なスイッチングしている時にはまあ大混乱というわけではないですが、ちょっとばかりばたばたしているんです。外面的には平成を装って完璧なふりをしてますけど、まあ家族みたいなもので、中でそれぞれ問題を抱えていても、外に向かっては問題ないって顔をするんですよ。
 だからいつも言っているのは、とにかく日曜の決勝日が一番大事だってことです。決勝日の問題はチャンスが一回しかないってことです。練習に使えるレースなんかないんです。MotoGPのレースは2時から3時にかけて行われますが、それまでに万全に準備をしなければならない。でないとミスを犯すことになりますからね。
 完璧な放映ができるまでに3年かかりましたよ。説明しましょう。最初の年はカメラは20台でした。今も経験的にそれくらいでいいってわかっています。でもマシンも見なきゃならないしレースでの動きも見せたい。最初のレースはライダーにとっても初めてのレースなんです。ですから2年目にはカメラのポジションを変える必要があるかもしれなし、3年目にはそれが固定するでしょう。ですから、ここサーキット・オブ・アメリカズでのレースについても来年は変わると思いますし、さらに来年にはいろんなフィードバックを得ることができるでしょうから、3年目にやっと安定するって感じでしょうね。
 あと大事なのは天気のことですね。天気が安定しているならコーナリングラインも一定しているんですけど、天気が変わると話が全然変わってくる。それに雨だと全体が遅くなるんで、金曜が雨だとこちらのセッティングも根本から変えなければならないんです。ライダーは全力を出さないし、でもこちらとしては抜き合いやクラッシュやらの、私たちが言うところのホットスポットを撮るためには限界を知っておく必要がある。それと昔はやってなかってですが今やっていることの一つに、ライダーに話を聞くってのがあります。テストの結果とかで「そうそう、ここがホットスポットだから、ここで抜くよ」とか言ってくれて、それがすごく重要なんです。ここテキサスもラグナセカやインディアナポリスとかヘレスみたいに視聴者にう楽しんでほしいんですよ。ですから初めてのこのサーキットは他よりチャレンジングですね。

Motomatters:それは櫓の上にある固定カメラのことだけですか?オンボードカメラもありますし、ピットレーンにはステディカムもありますよね。
セルジ・センドラ:そうですね。その他クレーンカメラとかヘリコプターカメラとかジャイロカメラとかもありますし。このジャイロカメラはこれまでで最高のカメラで8軸のジャイロスコープを備えているんです。
 これは「ハイビュー」と「ロービュー」、そして「連続ビュー」というシステムに分かれています。ロービューはカメラごとに分かれているんで、それを上手につなげてお見せするのが私たちの仕事ですね。
 ヘリコプターは全体像を連続して空から撮影しています。あとオンボードカメラは地面からの視点ですね。あれは全く違った世界です。60〜90台のカメラを使っていて、全部ハイビジョンです。今丁度新しい技術を開発しているところなんですよ。まだ導入されていませんけどね。MotoGPはたぶん相当な経験が必要なんです。技術的にはオンボードカメラのことですが、最新の技術を投入しています。世界で最小の最高技術を注ぎ込んだカメラなんです。他と比べることができるからわかるんですけどね。
 それに他にもあります。私たちは他の誰よりも一生懸命働いてるってことです。4輪に比べたら本当に2輪は小さいですからね。バイクみたいな小さい対象に載せるにはカメラも本当に小さくなければならないし、ケーブルの強度も4輪より求められる。1台のマシンに3台積んでいて、今4代目を考えているところです。ジャイロカメラはフルサイズになります。すごく小さいんですけどね。今年はジャイロ画像と固定画像の両方を撮れるカメラを導入する予定です。

Motomatters:それらを切り替えることができるんですか?
セルジ・センドラ:ええ。ですから60度まで動かせる小さいモーターが入っているんです。

Motomatters:それをリモートでコントロールすると?
セルジ・センドラ:そうです。すべてリモートですね。チームはオンボード画像を良くするために本当にがんばっています。あとはスーパースローですね。

Motomatters:ええ、みんなそれは大好きですね。
セルジ・センドラ:ハイスピードカメラと呼ばれているんですが、普通のカメラでは1秒50コマなんです。それで普通のスピードでは十分スムーズなんですが、1秒1000コマで撮ると情報は20倍になります。すごいスローモーションができるんです。そうすると肉眼ではわからないことがわかる。タイヤが空転しているところとかサスの動きとか、その他のライダーのトライとかね。いろんなサーキットがあって、それぞれがいろんなコーナーをもっていて、いろんな位置取りがある。これが今年導入しようとしているカメラです。

Motomatters:ハイスピードカメラは1台なんですか?
セルジ・センドラ:今のところ各GPで1台ですが、2〜3年後には3〜4台にしたいですね。需要もあるでしょうし。

Motomatters:でも本番ではどのコーナーに設置するか決めなければならないんですよね?
セルジ・センドラ:その通りです。ですからまだ学習しているところです。ここがいいと思ってもそれほどでもないことがありますからね。

これで少しはセンドラ氏の仕事の難しさがわかっていただけただろうか。インタビューの合間にもいろんな人が彼に相談に来ていた。15分のインタビューが終わる頃には彼のオフィスのドアには長い列ができていて、これ以上彼を引き留めることができなかった。

心からセンドラ氏とこのインタビューをセッティングしてくれたバロドレット氏に感謝したい。
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でもスーパースローは意味なく使い過ぎかも。あ、その間になにかトラブルが起こっていたりするのか?いずれにせよ、ドルナのクルーに大感謝を!

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